【神血の救世主】の3話ネタバレまとめ!
虹の扉の“主”
死に物狂いで虹の扉の中へ入った有明透晴(ありあけすばる)は、入った途端にうつ伏せのまま力尽きてしまう。
扉の中に居た人物はそんな透晴の頭に人差し指を伸ばすと、「ズブッ!」と後頭部
に深々と突き刺す。
「ジジジジジジジジジジジジジジジ」
すると凄まじい電磁音と共に、透晴の体から電気が火花のように発される。
同時に青いホログラムが現れ、そこに「システムがアップデートされます」と表記されると「損壊した肉体を修復します」「近視が除去されました」「脚部の復元まで7秒…6…5…」と立て続けに表示されていく。
そして最後に「心肺を蘇生します」というホログラムが表示されると、ドクンッ!と透晴の心臓が脈動し、パチッと目を見開いた。
「ぶはぁっ‼」
心肺が蘇生し生き返った透晴がガバッと起き上がると、扉の中に居た人物がにんまりと歯を見せて笑っている顔が目と鼻の先にある。
それに驚いた透晴は叫び声を上げ思わずのけ反り後ずさるが、その人物はうろたえる透晴を放っておいて玉座までスタスタと足を進めた。
「こ…ここは…」
ようやく周囲の状況を見る余裕が出たのか、キョロキョロと辺りを見回していると『虹の扉』に入ったことを思い出す。
そのおかげで、自分の目の前に居た人物が誰なのか検討をつけることができた。
以前テレビで比良坂が、『扉』の中がどうなっているのかを説明していた記憶を思い返す。
比良坂が体験した扉の中の様子は、一面が金で出来た中世の城みたいな場所だと答える。
そこは恐らく扉の“主(ぬし)”の棲み処なのだろうと思ったと告げた。
試練の扉の中には、その中の空間の支配者がおり“プレイヤー”になるには“試練”を乗り越えて主に認められる必要があると説明する。
そのインタビューの記憶を思い出した透晴は、自分が今いる場所は建物の中ではないものの主らしき人物が居ると確認した。
そして“試練”とはどんなものだっただろうかと、再び記憶を振り返る。
比良坂の扉の主は金色の騎士で、その主に一太刀浴びせられれば認められ、主の“力”の一部を得たと答えた。
透晴はそれを思い出すと、目の前の主に視線を向け自分がその試練を行わなければならないと再確認するが、どう見てもバケモノにしか見えない主に怖気づいてしまう。
「小僧、いつまでそうしている。体は完璧に治したはずだが…脳(ココ)が壊れたか?」
無理だと内心で思うと同時に、主が不意に透晴に声をかける。
まさか喋るとは思わなかった透晴が驚いているのを尻目に、主は呆れた様子で自分の頭に指をあてがいながら尋ねた。
「い…いえ…たぶん…平気…です…」
バケモノと会話が成立してしまい驚いた透晴だが、その主からさっさと掛かってこいと言われて動揺してしまう。
「俺に一発当てれば“力”をやる」
そう言う主だが、透晴は待ってほしいと声を上げた。
そんな透晴に「ハァ?」と余計に呆れた声を上げるが、透晴はあたふたしながら問いかける。
「『扉』は金・銀・銅の3種類!虹なんて見たことも聞いたことも…」
「どうでもいいだろうがそんなことは‼」
行動に移さない透晴に逆上した主はそう叫ぶと、透晴の左側を斬撃が「ヂィィィィッ!」と物凄い音を立てて走り、空間の突き当りに到達すると大きな爆発音を上げた。
透晴は反射的に頭を抱えて身をすくめていたが、斬撃が止むとこんな攻撃をしてくる主を殴るなんて無理だと一人ごちる。
「ボサッとするな早くしろ‼俺はさっさと済ませて眠りたいんだ!」
主が再び怒鳴るが、今度は斬撃は出ず振動のみ透晴に届く。
ビリビリと振動するほどの覇気がある怒鳴り声に恐怖を感じてしまい、体は強張ってしまった。
「あ…は…はい…でもその…あ…足が震えて…立てません…」
「…はぁ~~~~~⁉マジかクソ…!なんでこんな奴が選ばれたんだ…?」
透晴の有様に主も思わず額に手を当てて呆れ返るが、仕方ないと片手を上から下へ振り下ろす。
すると、「ザクッ!ドドドドッ!」と透晴の頭上から血のように赤い様々な形の武器が無数に降り注ぐ。
その様に叫び声を上げて頭を守るように手で抱える透晴だが、無数の武器は透晴を取り囲むように突き刺さり透晴には当たらなかった。
「直接殴るのが怖けりゃそれを使え。それでも無理なら他を探す、回れ右して帰れ」
怯える透晴に虹の扉を指さしながらそう告げる主の言葉に、透晴は驚いた後どうするか脳裏で考え始める。
主を殴るか、元の生活に戻るか、自分で考えると震える足を引きずるように動かして虹の扉のドアノブに手をかけた。
“試練”へ立ち向かうか、逃げるか
「…おいおい…おまえマジか?」
試練を受けるのではなく元の生活に帰ることを選ぼうとしている透晴に、主は嘲るように告げる。
「呆れたぜ、“力”が欲しくて『扉』を開けたんじゃねぇのかよ」
「……‼」
主の言葉にハッとするものの、恐怖には勝てない透晴。
力を持っている主や弟の大我、自分を虐めてきた銅級のプレイヤーたちの顔を思い浮かべ、「“力”を持ってるあんたたちには分からないだろう」と言い訳のようなことを考える。
主の煽りにも答えずドアノブをガチャッと動かし扉を開けようとする透晴に、主は舌打ちしてその背中に吐き捨てるように告げた。
「…チッ、虫ケラめ」
その言葉に透晴はピクッと反応し、扉を開けるのを止めて身動きを止める。
すると今まで透晴にかけられた「虫ケラ」という言葉がフラッシュバックしたのか、脳内で弟や銅級プレイヤーたちからも「虫ケラ」と呼ばれたように声が聞こえた。
身動きしない透晴に主はため息をつくと、投げやりに声をかける。
「…まぁいい、そうやって一生惨めに這い蹲って生きていけ」
その言葉に透晴は悔し涙を流し唇を噛みしめるが、「ただし」と続いた言葉にハッとして顔を上げると、目の前の虹の扉に自分の顔が反射して映り込む。
だがその映り込んだ顔はここに来る前に脳裏をよぎった、老いるまで飼われ続けた自分の姿だった。
それと同時に「選択の責任は自分で負えよ」と告げる主に、透晴は歯を食いしばり目の前の扉を強く叩く。
「なんなんだよ、なんなんだ…!」
何度も「なんなんだ」と繰り返し叫びながら扉をバンバンと叩く透晴は、ボロボロと涙を零しながら振り返る。
「“力”があったら何をしてもいいのか‼人を虫ケラ呼ばわりしてもいいのかよ⁉」
そう叫ぶ透晴に笑い声を零した主は、透晴の叫びに負けじと声を張り上げた。
「いいに決まってんだろこのバカがァ‼」
だが透晴は泣きながらも怖がることはなく、殴られたら痛い、人間扱いされないと傷付くと言い返す。
「そんなの当たり前のはずなのに…なんで誰も分かってくれないんだよォ‼」
「ヒャハハハハハ‼虫ケラがキレやがった‼」
「黙れ‼このバケモノ‼」
先程とは打って変わって怖気づくこともなく言い返した透晴は、主にそう叫ぶと地面を蹴って駆けだす。
その様子に驚いた主は様子を見ているが、透晴は怒りのまま駆け寄り拳を握って振りかぶる。
「おまえはさっさと…“力”を寄越せェ‼」
そう叫びながら殴りかかる透晴に主は「ニッ」と歯をむき出して笑い、無抵抗で殴られた。
「バチィッ‼‼」
主の顔面ど真ん中に入ったパンチは激しく鳴り、無抵抗の主に透晴はひどく驚く。
実際には主の顔面の口から上を覆う虹色のモザイクにぶつかり、ジジジと電磁音が鳴る中、これは一撃入ったのかと考える透晴。
「やればできるじゃないか」
すると殴られた主が立ち上がり、満足気に笑いながら透晴の両肩を何度もパシパシと叩きながら告げる。
「いいぞ‼素晴らしい‼拳から流れ込んでくる憎しみ!俺の目に狂いはなかった!」
そう言うときつくギュゥゥゥウと掴むと、「“合格”だ」と言った途端ガリッ‼と透晴の左肩に思い切り噛みつく。
「カハッ…グアアッ…あアッアっあああア‼」
主が噛みつくとドクンドクンという脈動と共に、2人が赤黒いオーラに包まれる。
ひどい痛みが走るのか、透晴は白目を見開き全身の皮膚には赤いひび割れのような傷が走っていく。
合格と言っておきながら自分に与えられる痛みに、結局殺されるのか、話が違うとうろたえる透晴だが、お前がそのつもりならと自分からも主の肩に思い切り噛みついた。
自分で奪ってやると意気込んだ反撃に、主は更に驚く。
「ククク…!面白れぇ…面白れぇなァ~お前!サービスしてやろう」
そう告げると透晴に注いでいるだろう“力”に変化を与えたのか、纏うオーラが虹色に変化する。
それと同時に透晴の体に走るヒビも虹色に染まっていき、遂に耐えられなくなった透晴が主の肩から口を話してしまい、その場にあおむけに倒れこんだ。
「“試練”の突破を承認」
そう記された水色のホログラムが表示されるが、透晴は白目をむいて何度も痙攣する。
透晴のことはお構いなしに、続けてホログラムが「肉体を“プレイヤー”として再構成します」と表示した。
「また会おう、スバル」
いまだに痙攣する透晴に向けて声をかける主。
「俺が何者かと訊(き)いたな。ヴァンキッシュ、俺の名前はヴァンキッシュだ」
気絶しているだろう透晴に、主は両手を大きく開いて自分の名を名乗る。
「しかし面白れぇ…面白れぇなァ~~~~‼」
そう満足げに声高らかに独り言を言うヴァンキッシュだが、少しずつその体が砂のように掻き消えていく。
ヴァンキッシュの姿がほとんど消えたころ、青いホログラムが「試練終了」と報せた。
“試練”を突破し、プレイヤーになった有明透晴
「有明透晴が“プレイヤー”になりました!現在のレベル/1」
「“吸血鬼/真祖”ヴァンキッシュの能力を受け継ぎました!」
意識が戻りホログラムが視界に入ったのか、透晴はあおむけに倒れたままヴァンキッシュの名前をたどたどしく呟く。
「【スキル獲得】化血操血(ブラッドモールド)/Lv.1」
「虹のスキルボーナス!【追加スキル獲得】血の簒奪者/Lv.1、光輝を憎む者/Lv.1、日の下を歩む者/Lv.1」
「虹…」
ボーッとホログラムを見つめていた透晴がそう呟くと、与えられた力の詳細の開示が終わったのか「『試練の虚界』が消滅します」と表示された。
「…え?」
「プレイヤーは30秒以内に『扉』から脱出してください」
「!?」
予想もしていなかったホログラムからの指示に、透晴は驚愕する。
それと同時に砂が零れ落ちるように地面が崩れていき、扉が立っている所まで浸食していった。
「(まだ体が動かないのに…!)」
力を与えられた反動なのか、意識は回復しているものの透晴の体はほどんど動かない。
そして地面が崩れたため虹の扉も落下してしまう。
思わず扉に手を伸ばすも全く届く距離ではなく、そしてすぐに透晴が倒れていた場所も脆く崩れ落ちてしまった。
透晴は地面がなくなった虚界に、背中から落下していく。
「‼ うわあああっ‼」
そして現実世界では、現れていた虹の扉がバキンッと音を立てて粉々に砕け散ってしまっていた。
「あ⁉おい!『虹の扉』が砕けたぞ!」
「消えてくってことは…あの虫ケラ…試練に失敗して死んだのか‼」
消滅していく扉を見ながら、外に居た銅級プレイヤーは透晴が試練を失敗したのかと考える。
「ふざけんなよクソッ…‼入っといて失敗するとか最悪だろ…‼」
佐渡は苛立ちながらそう言うと、自分たちが入っていれば試練をクリアしていただろうにと言いたげに顔をしかめて片手で覆う。
しかし、そんな二人の背後の空間に「ビシッ」と激しい物音を立てて虹色の裂け目が現れる。
その様子に二人はゾクッと身震いしながら振り返り亀裂を見ると、そこから死んだと思っていた透晴が飛び出してきた。
「も…戻って来やがった…‼」
「クソ…!なったのか…あいつ…‼“プレイヤー”に…‼」
爆破させた両足も綺麗に再生しており、先程まで悲痛な表情で逃げていた時とは別人のような顔つきの透晴を見て佐渡は問うような独り言を告げる。
自分を追いかけていた二人を見つめ返す透晴の表情は落ち着いており、両目は虹色に輝いていた。
神血の救世主の3話感想と考察
作中の様子を見る限り存在自体が知らされていない虹の扉でしたが、その上その扉の試練をクリアしてプレイヤーになった透晴は、やはり特別な人物なのでしょう。
次話以降は、ヴァンキッシュから与えられた能力を使う機会が見られるかもしれないと思うとワクワクしてきますね。
プレイヤーになった透晴の活躍を楽しみに、次話も読んでご紹介していきます!
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