1話の終わりで傷を負った透晴の姿が描かれていましたが、何故あのような姿になったのか読者の方はネタバレを見たくなった方もいるのではないでしょうか?
第2話では、主人公の有明透晴の過去はどのようなものだったのか、いつ「虹」の扉をくぐったのかについて詳しく描かれています。
今回の記事では、神血の救世主の2話をネタバレを交えて解説していきますので、ネタバレやイジメ・流血・残酷表現が苦手な方は記事を読み進める際には気をつけてください。
神血の救世主の2話ネタバレまとめ
有明透晴の人生を変えた「扉」の出現
救世主の有明透晴は、始めから救世主ではなかった。
虹の扉が現れた時の透晴は、傷だらけで血を流している体を引きずり命からがらドアノブに手をかける。
「あ…あ…あ…」
透晴と共にその場に居合わせたプレイヤーが、透晴の様子に気付くと怒鳴り散らす。
「おい!あいつ『扉』に入ろうとしてるぞ!」
「ふざけんなよバカ野郎‼」
「殺せ‼」
一人のプレイヤーが自分の能力で手のひらに火の玉を作り出し、透晴に向けて打ち放す。
「ドォンッ‼」
物凄い爆発音の後、透晴の両足が吹き飛ばされてしまう。
しかし透晴は涙をにじませながらも痛みに耐え、失った両足を引きずり扉のノブから手を離さない。
「虹の扉」は、透晴の前に現れた2つ目の扉だ。
透晴はそれを逃すまいとキッと睨みつけて、力いっぱい扉を開き身を乗り出して中へ入る。
「てめえチクショオォ‼」
「この…「虫ケラ」がァァ‼」
「(今度こそこの『扉』は俺のもの。死んでも誰にも渡さない‼)」
「(そして取り戻すんだ、俺が手に入れるはずだったすべてを…‼)」
有明透晴と有明大我
二人の少年がリビングでテレビを見ている。
15歳の有明透晴と、その弟である13歳の有明大我だ。
そのテレビには日本初のゴールドプレイヤーである、比良坂蓮爾がゲストとして招かれたニュース番組が放送されていた。
「…うわぁ~!比良坂蓮爾だよ大我!カッコイイなぁ!」
「うぜぇよ透晴、話し掛けんな」
「なんだよ、いいじゃんか兄弟だろ?」
「血は繋がってねぇだろが、兄貴ヅラすんな」
テレビを見て目を輝かせていた透晴が大我に話しかけるものの、大我は嫌そうに顔をしかめて突き放す。
悲しそうな透晴の横で、テレビは比良坂と共に先日起こった『異界の門』解放事件について語られている。
事件の内容は、マンションの空室に『異界の門』が発生したため発見が遅れてしまい、門に表記されていたタイマーのカウントが回りきって時間切れになった。
そのため事前に倒されるべき異界生物が倒されず、現世に解き放たれてしまい死傷者が63名も出た大惨事となった事件だ。
プレイヤーが門の中で異界生物を倒すことができず、あってはならない痛ましい事件だったと比良坂は語る。
解放された異界生物自体は比良坂が倒したものの、未然に防げなかったことを悔やむ比良坂だが、被害拡大を防いだことを称える声があるとアナウンサーが答える。
比良坂は改めて、同じような惨事を繰り返さないために「門」を発見次第すぐに通報するよう懇願する。
比良坂を始め、プレイヤーたちは命をかけて異界生物から皆を守ると宣言して締めくくった。
「カッコイイなぁ…!『プレイヤー』…‼」
そう言い切った比良坂に、透晴は目をキラキラとさせながら羨望の眼差しを向ける。
実際、突如世界中に現れた『異界の門』から出てくる異界生物を倒せるのは『プレイヤー』のみであり、当時の兵器では全く歯が立たない。
そんなプレイヤーにも等級(ランク)があり、上から金(ゴールド)・銀(シルバー)・銅(ブロンズ)に分けられる。
特にゴールドプレイヤーは桁違いの戦闘力を有しており、その強さによって地位と名誉、莫大な報奨金を得ることができるので、プレイヤーは全人類の憧れだった。
アナウンサーが比良坂に、プレイヤーに選ばれるのはどんな人間なのかを尋ねると、比良坂は試練の扉が“魂の輝き”が強いものを選んでいるのではないかと答える。
そんな比良坂の返答に、大我は嘲るように笑うと透晴に声をかける。
「クク…“魂の輝き”だってよ、お前にゃ関係のねぇ話だな。なァおい…」
そう告げつつテレビから透晴が居る方へ顔を向けると、大我の表情は一変した。
兄のすぐ右隣りに、金色の扉が煌々と輝いていたからだ。
1度目の「扉」
これが、透晴の前に現れた最初の『扉』だった。
「(『試練の扉』…金色の…!)」
透晴は自分の目の前で輝く金の扉を見つめ、この中に入れば自分もプレイヤーになれるのではないかと思い立ち、扉のドアノブに手を伸ばす。
ノブに手をかけて扉を開けようとしたその時、「ドンッ!」と大我に突き飛ばされた。
派手に倒れこんだ透晴が痛みに顔を歪めながら起き上がると、大我が金色の扉のドアノブに手をかけ、目をらんらんとぎらつかせながら口角をつり上げる。
「悪いな透晴…『扉(これ)』は俺がもらう」
そう言い捨てると、透晴の静止を振り切って金色の扉をくぐった。
3年後の有明透晴
場面は3年後に変わり、有明透晴が18歳へ成長した頃。
透晴は通っていた学校の目立たない渡り廊下の外壁に、下着一枚の姿で黒い蜘蛛の巣に磔にされていた。
力なくうなだれる透晴めがけて、石がビシュ!と投げられると足へ命中し、透晴は痛みに顔を歪める。
「うぐッ‼」
「惜っしィ~!」
「足だから1点な」
「頭は?」
「10点」
そんな透晴を気にも留めず、石を投げた男子生徒たちはゲーム感覚で透晴を虐める算段を立てている。
別の男子生徒が石を片手に、石を投げるから上手く避けるよう声をかけた。
「ギャハハ!お前の“スキル”で縛っといて何言ってんだか」
隣に居た別の男子生徒がそう言い、げらげらと下品な笑い声を上げる。
石を手にした男子生徒がかけ声をかけて石を投げようとすると、背後から男の声が聞こえた。
「透晴 またイジメられてんのか」
それが聞こえると、男子生徒はビクッと大きく震えて石を投げかけた手を止める。
声をかけてきたのは、透晴と同じく成長した大我だった。
幼少期とは打って変わり、金髪の剃りこみを入れたヘアスタイルに、同じく金色のごついネックレスやブレスレット、ピアスを身に着け、彼女と思われる女生徒の肩に腕を回して傍に侍らせている。
3年前、透晴から金の扉を横取りした大我は扉の向こうの試練を乗り越えて生還し、日本最年少のゴールドプレイヤーになった。
3年前と変わらず透晴を蔑んだ目で見ると、「虫ケラが」と吐き捨てる。
「銅級(ブロンズ)3人ごときにイジメられて情けねェ、お前の弟だなんて反吐が出る」
血が繋がっていないのが唯一の救いだと言い足し、石を持っていた男子生徒に「貸せ」と声をかけ、手にしていた石を受け取る。
その石を握り込むと手に力を込め始め、拳に金色のオーラがまとい始めた。
“特殊能力(スキル) 黄金戦腕(ゴールデンアーム)”
大我が自身のスキルを発動させると、土埃が舞うほどの覇気が立ち上る。
そして大我の右腕から肩、顔面の右半分まで金色の鎧に包まれた。
比良坂蓮爾の“黄金剣”と双璧を成す大我の必殺技が繰り出されそうになる様に、男子生徒たちが驚きに顔を歪める。
目の前で自身目がけて放たれそうなスキルに、透晴は涙を流して恐怖にガチガチと震えが止まらない。
大我は右腕を大きく振りかぶり、手にしていた石に力を込めて投げつけた。
ただの石がまるで流星のように光を纏いながら、一直線に透晴へと突き進む。
「ヂュイン‼」
透晴の右肩よりも僅かに上をかすめた石は、物凄い摩擦音を立ててそのまま背後の上空へと放たれていき、空に浮かぶ入道雲を「パァン‼」と消し飛ばしてしまった。
その凄まじい威力に、男子生徒たちは冷や汗をかきながらも思わず感嘆の声を上げる。
透晴は死にそうになった恐怖が頂点に達し、ボロボロと泣きながら失禁してしまう。
そんな透晴を見上げた大我は鼻で笑うと、あとは好きにしろ、殺しても良いと言ってその場を去った。
大我の言葉に始めは戸惑う男子生徒たちだが、再び先程のようにニヤつき透晴への虐めを再開する。
その後、散々にブロンズのプレイヤーである男子生徒たちに虐められた透晴は、着ていた制服を全てひん剝かれ、靴や教科書、眼鏡まで散らかされて全裸で地面へ打ち捨てられていた。
たまたま通りかかった男女の生徒がその姿を目撃し、女生徒の方は手にしていたスマホでその光景を写真に収める始末。
「やだ、何あれ」
「いつものイジメられっ子だろ。プレイヤーにやられたんだ」
「ダサ。弟さんとは大違いじゃん。私なら自殺しちゃ~う」
そんな女生徒の声が耳に届いてしまい、透晴は横たわったまま拳を握りしめた。
ゴールドプレイヤーの弟と虫ケラの兄
その日の夜、テレビのニュースでは本日の『異界の門』情報を放送しており、発生していた異界の門は大我が4ヶ所破壊したという内容を知らせている。
有明家では父親と母親、大我が豪勢な料理を囲んで大我をねぎらっていた。
父親は大我を誇らしいと称し、母親はまだ学生の身で両親を養っている大我を孝行息子と褒めている。
その上母親は父親に対して、「アンタが前の女と作った役立たずのガキとは違ってねェ」とあざけ笑う。
そんな父親も前妻との子である透晴に対して、「とんだ失敗作だな」と告げていた。
家族全員に蔑まれている透晴は家の中に居場所が無く、庭にぽつんと建てられた小さく狭苦しい小屋の中で生活している。
食事で炭酸水を飲んでいた大我が、手にしていたペットボトルの炭酸水がなくなってしまい、万札を数枚手にして庭先に出ると声を張り上げた。
「おい虫ケラァ‼」
「…なに?」
「炭酸水が切れたから買ってこい、ブランドを間違えるなよ」
そう言いながら手にした万札を掲げる。
しかし透晴は勉強中だったため断りたがったが、大我はそんなことをしても意味がないと口を挟む。
「だってお前は一生俺が飼うんだからな、その虫カゴで」
万札をクシャクシャと丸めながら、「逃げられるなんて思うなよ」と言い足すとそれを投げつけお使いを言い渡した。
逆らえない透晴はコンビニまで趣き、指定された炭酸水を数本購入して家路を急ぐが、先程の大我の発言を振り返る。
一生なんて膨大な時間を飼うなんてできっこない、と始めは思っていた透晴だが、自分を鋭く見つめる大我の瞳を思い出すと表情を凍り付かせた。
「(…本気か?もしかして本気で「残りの人生全部」ってことか?)」
夏は熱中症になるほど暑く、冬は凍えそうになるほど冷える“虫カゴ”の中で、透晴を「役立たず」と罵りながらこき使う両親と、虫ケラ呼ばわりする大我に応対する年老いた自分の姿が脳裏をよぎる。
想像するだけでもゾッとしてしまい、絶望的な気持ちになった透晴は両手で自分の顔を覆い、何故自分だけこんな目に遭うのか、もし人生がやり直せたなら、と考え込む。
「こんな人生なら…死んだ方がマシだ…‼」
2度目の「扉」
「こんばんわ、虫ケラちゃ~ん」
自分の今後に打ちひしがれていた透晴の背後に、自分を虐めていたブロンズプレイヤーの三人が姿を現す。
三人は門(ゲート)を壊滅させてきた帰りに、たまたま鉢合わせてしまったようだ。
日本刀を肩に担いでいた佐渡と呼ばれた男子は、異界生物の攻撃により顔をひどく負傷してしまっている。
プレイヤーとしての使命と傷の痛みでストレスが溜まっており、三人は透晴にストレス発散に付き合うよう告げながら刀の切っ先を突き付けた。
そう言われた透晴は慌てて立ち上がり、きびすを返してその場から逃げ出す。
逃げる透晴の姿と顔の傷の痛みで余計に苛立つ佐渡は、仲間が病院に行くか尋ねるもののそれを断り、透晴をいたぶって殺してしまおうと告げる。
弟の大我から許可が出ているからと、遠慮なく透晴を追いかけた。
必死に逃げていた透晴にあっさり追いつくと、頑張って逃げるようからかいながら刀で切りつける。
「(斬り付けてきた⁉こいつら…俺を殺す気か…⁉嫌だ…嫌だ‼)」
自分を虐めてきた時と同じ調子で追いかけてくる佐渡たちが、今度は本気で自分を殺そうとしていることに気付くと、恐怖で叫び声をあげる透晴。
「ゔわぁ゛あぁあ‼‼」
先程までは死んだ方がましだと考えていたのに、いざ殺されるとなるとこんなにも生きたいと感じてしまう自分に、透晴は情けなさと惨めさを感じていた。
逃げる透晴を追いかけている途中、佐渡は通りかかった薄暗い路地裏を見つけると、透晴を強く蹴り飛ばす。
唐突に横から蹴られた透晴は、そのまま路地裏の地面にザァッと倒れこむ。
三人は倒れこんだ透晴に近付くと、顔をひどく殴りつけたり何度も蹴りを繰り返す。
「ゴッ!ガッ、ゴッ!ベキッ!ガッ!ゴッ!」
「やめっ…やめて、ひィッ!痛っ…い…!」
痛がって暴力をやめてほしいと嘆願する透晴を無視して、何度も何度も殴る、蹴るを繰り返してやめようとしない。
このままでは死んでしまう、と脳裏に死がよぎる透晴は、ただ理不尽な暴力に耐え続けた。
顔面がぐちゃぐちゃになるほど暴力を振るわれると、佐渡が「もういいだろ、殺しちまおう」と告げる。
そして自身のスキル“爆裂の赤い薔薇(レッドローズ)”を発動させ、手に炎の球体を作り出す。
か細い声で助けを求める透晴を無視し、その炎を透晴へ放とうとしたその時、佐渡と透晴の間を遮るように『扉』が出現した。
「ズンッ‼」
「…は?…国崎?」
しかもその扉は、佐渡の仲間・国崎の体を縦に両断するように出現してしまったため、国崎は体を真っ二つにされて即死してしまう。
「うっ…うわァァァッ‼何だこの『扉』はァ‼」
「し…『試練の扉』⁉何でいまここに…」
「…銅…の…『扉』…?」
目の前で輝く扉に戸惑う透晴だが、扉はピシリとひび割れ音を立てて銀の扉に変化した。
その後も立て続けにパキィンと音を立てて割れた後、金色へと色を変えると物音を立ててひどく震え、扉の真ん中に亀裂が入り再び割れると虹色へと姿を変える。
「…に……じ…?」
透晴と共に色を変えた扉を見ていた佐渡たちは、金より上の扉なのではと考えると扉に入ろうと言い始めた。
しかしドアノブがないため焦るが、自分たちが扉の裏側に居ることに気付く。
傷だらけの透晴は、今度こそ人生をやり直そうと『虹の扉』のドアノブに手をかける。
「おい!あいつ『扉』に入ろうとしてるぞ!」
「ふざけんなよバカ野郎!殺せ!」
佐渡はスキルで透晴を攻撃し、炎の塊が直撃した透晴の両足は吹き飛ばされてしまい、意識が飛びそうになるほどの痛みに声にならない絶叫を上げる。
しかし脳裏に虐められた日々や、弟に虫ケラ扱いされてきたことを思い出すと我に返り、這いつくばって扉の向こうへ入っていく。
「(今度こそこの『扉』は俺のもの、死んでも誰にも渡さない‼)」
今まで逃してきた地位や名誉、金、透晴が手に入れるはずだったものを取り返そうという一心で、透晴が扉の中へ入りきると扉は自然と閉まる。
「…とり…もど…す…」
地面にうつ伏せになって意識がもうろうとしている透晴の頭上に、水色のホログラムが浮かび上がり、そこには「ようこそ有明透晴さま」と記されていた。
それに気づく余裕もない透晴の目の前に、鋭い爪と歯を持ちボロボロの布を身にまとった人型の生き物が立ちふさがる。
「『虹の試練』を開始します」と表記されたホログラムと、にたぁと笑みを浮かべた生き物が透晴の頭に手を伸ばした。
神血の救世主の2話感想と考察
今回は「神血の救世主」第2話のの内容をネタバレを交えてご紹介させていただきました。
第2話は透晴がプレイヤーになる前の生活や、その周囲の環境などについて描かれていましたね。
第1話からは想像もつかないほど、透晴の境遇や虹の扉に至るまでの生活は痛々しく辛いもので、筆者も読んでいてとてもショックでした。
不遇の主人公がひょんなきっかけで成り上がるという設定は、こういったコミックではよくある展開ではあります、
ですが透晴には、2話のラストで現れた怪しげな生き物と最高ランクである虹の扉の試練が待ち構えています。
虹の扉の現れ方もショッキングだったので、扉自体が異常な物のように感じてしまいそうな演出でしたね。
恐らく次話で明らかになるであろう虹の扉の試練は、こんなにボロボロになった透晴が立ち向かえるようなものなのでしょうか?
透晴が更に辛い目に遭うのではないかと、少々不安に感じてしまう展開だなと感じましたが、それでも続きは気になりますね。
心身の痛みに耐え、歯を食いしばって自分の未来を変えようともがく透晴を応援しながら、続きを楽しみにしましょう!
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