結婚式の招待状が届き、当日を楽しみに待ちわびる一方で、ふと不安になるのが「ご祝儀袋」のマナーではないでしょうか。「筆ペンで名前をきれいに書ける自信がない」「中袋の金額は漢数字でどう書くんだっけ?」「お札の向きは表?裏?」など、細かい疑問に直面することは珍しくありません。
結婚式のご祝儀袋は、新郎新婦への祝福を表す最初の重要なステップです。ここでマナーを守れていれば、受付で堂々と渡すことができ、新郎新婦やそのご親族に対しても「しっかりした友人だ」という信頼感を与えることができます。逆に、些細な間違いが相手に失礼となったり、受付後の集計作業で迷惑をかけてしまったりすることもあります。
しかし、安心してください。「表書き・中袋の書き方」「お札の向きと包み方」「当日の渡し方」の3つのポイントさえ押さえれば、マナー違反の心配は一切ありません。本記事では、ブライダル業界で15年以上、数多くの結婚式を見届けてきた経験から、形式的なルールだけでなく、現場で本当に役立つ実践的なテクニックを網羅しました。
この記事でわかること
- 【図解解説】恥をかかない表書き・中袋の正しい書き方と「旧字体」リスト
- 意外と間違えやすい「お札の向き」と「上包みの折り順」の完全ルール
- 筆ペンが苦手でもきれいに書くためのプロ直伝テクニックと道具選び
これからご祝儀袋を準備するあなたが、迷わず自信を持って当日を迎えられるよう、手元を見ながら進められる完全ガイドとして執筆しました。ぜひ最後までお付き合いください。
ご祝儀袋を用意する前に:金額相場と袋の選び方
ご祝儀袋を用意する際、まず最初に確認すべきなのが「包む金額」と「ご祝儀袋の種類」のバランスです。実は、ご祝儀袋には「格」というものが存在します。中身の金額に対して袋が豪華すぎたり、逆に簡素すぎたりすると、ちぐはぐな印象を与えてしまいマナー違反となることがあります。
ここでは、あなたの立場や年齢に合わせた金額相場と、それに相応しいご祝儀袋の選び方を詳しく解説します。すでに購入済みの方も、手元の袋が適切かどうか、今一度確認してみましょう。
包む金額の相場(友人・同僚・親族別)
結婚式のご祝儀金額は、新郎新婦との関係性や、あなたの年齢によって相場が決まっています。基本的には「奇数」が良いとされていますが、これは「割り切れる=別れる」を連想させる偶数を避けるためです。ただし、近年では「2」は「ペア・夫婦」として、「8」は「末広がり」として許容されるケースも増えています。
関係性別の金額相場目安
- 友人・知人・同僚:3万円
最も一般的な金額です。20代〜30代のゲストであれば、ほぼこの金額で間違いありません。学生の場合や、会費制のパーティーなどの場合は1〜2万円となることもありますが、披露宴に出席する場合は3万円が基本ラインです。 - 上司・恩師:3万円〜5万円
主賓として招かれる場合や、新郎新婦よりも目上の立場として出席する場合は、5万円を包むこともあります。ただし、3万円でもマナー違反ではありません。 - 兄弟・姉妹・親族:5万円〜10万円
親族の場合は、友人よりも高額になるのが一般的です。夫婦で出席する場合は、二人分として5万円、または7万円、10万円を包みます。
注意したいのは「4(死)」や「9(苦)」が付く金額です。これらは縁起が悪い数字として、慶事では避けるのが鉄則です。
金額に見合ったご祝儀袋のデザインと「水引」の選び方
金額が決まったら、次はその金額に見合った「ご祝儀袋」を選びます。ご祝儀袋のパッケージには、通常「1万円〜3万円用」「3万円〜5万円用」といった目安が記載されていますが、デザインや水引の形からも判断することができます。
まず、結婚式で使う水引(みずひき)は、必ず「結び切り」または「あわじ結び」を選んでください。これらは「一度結んだらほどけない」形をしており、「二度と繰り返さない=結婚が一度きりであるように」という願いが込められています。蝶結び(花結び)は「何度あっても良いお祝い(出産や入学など)」用ですので、結婚式では絶対に使用してはいけません。
次に、袋の豪華さと金額のバランスについてです。以下の表を参考に、適切な袋を選びましょう。
| 包む金額 | ご祝儀袋の特徴・選び方 | 水引の色・本数 |
|---|---|---|
| 1万円〜2万円 | 水引が印刷されているタイプ、またはシンプルな実物水引がついているもの。過度な装飾がないものを選びます。 | 紅白・金銀 5本・7本 |
| 3万円〜5万円 | 最も一般的なタイプ。実物の水引がついており、高級和紙(檀紙など)が使われているもの。幅は標準的。 | 金銀・紅白 10本 |
| 5万円〜10万円以上 | 大判で厚みがあり、水引のデザインが鶴亀や松竹梅など立体的で豪華なもの。紙質も上質な檀紙が使われます。 | 金銀 10本以上 |
ウェディングコンシェルジュのアドバイス
「よくお見かけするのが、中身は3万円なのに、10万円以上包むような特大の豪華なご祝儀袋を持ってこられるケースです。『お祝いの気持ちを表したい』という意図はわかりますが、受け取った新郎新婦様が後で金額を確認した際に『あれ?』と拍子抜けさせてしまったり、逆に恐縮させてしまったりすることがあります。ご祝儀袋は、あくまで中身を包むための『外衣』です。中身と外見の『格』を揃えることが、奥ゆかしい大人のマナーと言えます。最近はカラフルでおしゃれなデザインのご祝儀袋も増えていますが、友人の結婚式であれば問題ありません。ただし、上司や格式高い式場の場では、伝統的な白地の袋を選ぶのが無難です。」
【画像で解説】ご祝儀袋の「表書き」と「中袋」の書き方
ご祝儀袋の準備で最も緊張するのが、筆ペンを使った「表書き(短冊)」と「中袋」の記入ではないでしょうか。普段、筆や筆ペンを使い慣れていない方にとって、失敗できない一発勝負は大きなプレッシャーです。
このセクションでは、字に自信がない方でも失敗せずに書ける道具選びから、具体的な書き方の手順、そして旧字体のリストまで、手元で確認しながら進められるように詳しく解説します。
必要な道具:筆ペン(濃墨)の選び方とボールペンNGの理由
まず大前提として、ご祝儀袋の表書きや中袋の金額は、「毛筆」または「筆ペン」で書くのが正式なマナーです。ボールペンや万年筆は、事務的な文字とみなされ、お祝いの席には不向きとされています。中袋の住所などの細かい部分であっても、できる限り筆ペンを使用しましょう。
筆ペンを選ぶ際の最重要ポイントは「濃墨(こずみ)」を選ぶことです。「薄墨(うすずみ)」は、涙で墨が薄まったことを意味し、お葬式などの香典袋に使われるものです。結婚式で薄墨を使うことは大変な失礼にあたりますので、購入時に必ずパッケージを確認してください。
書道師範のアドバイス
「字を書くのが苦手という方にこそおすすめしたいのが、『筆サインペン』や『筆文字サインペン』と呼ばれる硬筆タイプのペンです。本物の毛筆のような柔らかい穂先(毛筆タイプ)は、筆圧のコントロールが難しく、線が震えたり太くなりすぎたりしがちです。一方、ペン先が硬いサインペンタイプであれば、普段使い慣れているボールペンに近い感覚で書くことができ、それでいてトメ・ハネ・ハライといった筆文字の雰囲気を出しやすいのです。文具店やコンビニでも購入できますので、自信がない方は『硬め』のペン先を選んでみてください。それだけで、仕上がりのきれいさが格段に変わります。」
表書き(短冊)の書き方:名目と氏名のバランス
ご祝儀袋の表面にある短冊部分の書き方です。多くのご祝儀袋には「寿」や「御結婚御祝」と印刷された短冊が付属していますが、自分で書く場合も含めて解説します。
1. 名目(上段)
水引の結び目より上の中央に、「寿」「御祝」「御結婚御祝」などを書きます。4文字の「御結婚御祝」も一般的ですが、「四文字=死文字」と気にする方も稀にいらっしゃるため、「寿」や「御祝」などの奇数文字や2文字が無難かつ書きやすいのでおすすめです。
2. 氏名(下段)
水引の結び目より下の中央に、贈り主(あなた)の名前をフルネームで書きます。ここで重要なのは「名目の文字よりも少し小さめに書く」ことです。上段の「寿」などが一番大きく、自分の名前はそれより一回り小さく書くことで、謙虚さと全体のバランスの良さが生まれます。
[Image here|表書きの書き方見本(「寿」と氏名の配置バランス図解)]
(※ここでは、短冊の中心線上に「寿」と「氏名」が真っ直ぐ並び、氏名がやや小さめに書かれているバランスの良い配置図をイメージしてください。)
連名で書く場合は、地位や年齢が高い順に右から左へ書きます。友人で順位がない場合は五十音順にします。3名までは短冊に並べて書きますが、4名以上になる場合は、代表者の氏名を書き、その左側に「外一同」と書き添え、詳細は別紙(中袋の中など)に記載します。
中袋(表面)の書き方:金額は「旧字体(大字)」がマナー
中袋の表面中央には、包んだ金額を縦書きで記入します。この際、数字は「一、二、三」といった漢数字ではなく、「壱、弐、参」といった「旧字体(大字)」を使用するのが正式なマナーです。これは、画数の少ない漢数字だと「一」に線を足して「二」や「三」に改ざんできてしまうことを防ぐための、昔からの知恵です。
最近では略式の漢数字(一、二、三)や算用数字(1、2、3)を書く欄が設けられている中袋もありますが、特段の指定がない限り、旧字体で書くことで「丁寧さ」と「教養」を示すことができます。書き慣れない文字ですので、以下のリストを参考に、ゆっくりと丁寧に書いてみてください。
▼【コピー可】よく使う金額の旧字体(壱、弐、参…)リスト
金額の頭には「金」、末尾には「圓(円の旧字)」または「圓也」をつけます。
(例:3万円の場合 → 金 参萬圓 または 金 参萬圓也)
| 算用数字 | 漢数字 | 旧字体(大字)※推奨 |
|---|---|---|
| 1 | 一 | 壱 |
| 2 | 二 | 弐 |
| 3 | 三 | 参 |
| 5 | 五 | 伍 |
| 6 | 六 | 陸 |
| 7 | 七 | 漆 |
| 8 | 八 | 捌 |
| 10 | 十 | 拾 |
| 万 | 万 | 萬 |
| 円 | 円 | 圓 |
※「也(なり)」はつけてもつけなくても構いませんが、つけるとより改まった印象になります。
※「4(四)」や「9(九)」は忌み言葉となるため、通常のご祝儀金額では使用しません。
中袋(裏面)の書き方:住所と氏名を忘れずに
中袋の裏面には、必ずあなたの「住所」と「氏名」を左下に記入します。すでに表書きに名前を書いているから不要では?と思うかもしれませんが、これは大きな間違いです。
新郎新婦は結婚式後、いただいたご祝儀袋を開封して整理します。その際、上包み(表書きのある外袋)と中袋は別々に分けられてしまうことが多く、中袋に住所氏名がないと「誰からいくら頂いたか」が分からなくなってしまいます。また、後日お礼状(内祝い)を送る際にも、この中袋の住所が頼りになります。
郵便番号、住所、氏名を、読みやすい字ではっきりと書きましょう。ここでも筆ペンを使うのがベストですが、文字が小さくなり潰れてしまいそうな場合は、黒のペン(サインペンやボールペン)を使用しても、書かないよりはずっと親切です。
ウェディングコンシェルジュのアドバイス
「中袋の記入漏れは、実は新郎新婦様を最も困らせるトラブルの一つです。結婚式直後の新郎新婦様は多忙を極めます。その中で、住所が書かれていないために、わざわざ友人に連絡して住所を聞いたり、過去の年賀状をひっくり返して探したりといった作業が発生するのは大きな負担です。また、達筆すぎて読めない字も困りものです。中袋の裏面に関しては、『美しさ』よりも『正確に読めること』を最優先にしてください。楷書で、丁寧にはっきりと書くことが、最高のお祝いの心遣いとなります。」
お金の入れ方とご祝儀袋の包み方
表書きと中袋の記入が終わったら、次はお金を包む工程です。ここには、絶対に間違えてはいけない「お札の向き」と「上包みの折り順」という重要なルールが存在します。これらは逆にしてしまうと「不祝儀(お葬式)」の意味になってしまうため、細心の注意が必要です。
物理的な作業手順ですので、手元のお札と袋を確認しながら、一つずつ確実に進めていきましょう。
新札(ピン札)の用意と入手方法
結婚式のご祝儀には、必ず「新札(ピン札)」を使用します。これには「この日のために、前もって準備をして楽しみにしていました」という心遣いが込められています。使い古されたお札や折り目のついたお札は、「急いで用意した」「間に合わせ」という印象を与えてしまうため避けましょう。
新札は、平日の日中に銀行や郵便局の窓口、または両替機で入手できます。結婚式は土日に行われることが多いため、平日のうちに準備しておくのが鉄則です。もし当日までに用意できなかった場合は、結婚式場のフロントで両替してくれることもありますが、確実ではありません。どうしても手に入らない場合は、手持ちのお札の中で最もきれいなものを選び、アイロンを低温でかけてシワを伸ばすという裏技もありますが、あくまで最終手段と考えてください。
中袋へのお札の入れ方:肖像画は「表・上」が正解
お札を中袋に入れる際、お札の「表裏」と「上下」の向きを揃える必要があります。
正しい向きのルール
- お札の表(肖像画がある面)を、中袋の表(金額を書いた面)に合わせる。
- 肖像画が上(封筒の入り口側)に来るように入れる。
つまり、中袋からお札を取り出したときに、最初に肖像画の顔が見えるように入れるのが正解です。これは、お札の肖像画(偉人)が顔を出して挨拶をするようなイメージを持つと覚えやすいでしょう。複数枚入れる場合は、すべてのお札の向きを揃えてください。
[Image here|お札の向き・肖像画の位置を示すイラスト]
(※中袋の表面を手前に向け、お札の肖像画が手前かつ上側にある状態で差し込まれている図解。)
上包みの折り方:「天」と「地」どちらを上にする?
中袋を上包み(外袋)の中に戻し、裏側の折り返しを閉じる手順です。ここが最大の要注意ポイントです。上包みの裏側の折り返しは、「上側(天)」と「下側(地)」のどちらを外側(上)にするかで、慶事と弔事が分かれます。
結婚式(慶事)の正しい折り方
「下側の折り返し」を「上側の折り返し」の上に重ねます。
覚え方は「喜びは天を向く」「幸せを受け止める」です。下側を上に持ち上げることで、袋の背中がポケット状になり、そこに幸せが溜まる形になります。または、「万歳をして手を上げている」姿をイメージすると、下側が上に向かう形を連想しやすいでしょう。
逆に、上側を下に被せてしまうと、悲しみが流れるようにする「弔事(お葬式)」の包み方になってしまいます。結婚式でこれをやると大変なマナー違反になりますので、最後に必ず確認してください。
[Image here|上包みの折り順図解(「喜びを受け止める」上向き折り返しの拡大図)]
(※ご祝儀袋の裏面図。下の折り返しが上の折り返しに被さり、水引で留められている状態。「上向き=幸せを受け止める」という矢印や注釈付き。)
ウェディングコンシェルジュのアドバイス
「受付に立っていると、この折り方を間違えているご祝儀袋は一目で分かってしまいます。多くのゲストが正しく折っている中で、逆向きの折り方は非常に目立ち、『不祝儀』に見えてしまうため、見ていてハラハラします。市販のご祝儀袋は最初から折り癖がついているものが多いですが、中袋を入れる際に一度開くため、戻すときに無意識に逆にしてしまう方が多いようです。水引を通す前に、『下側を上にする!』と一度声に出して確認することをおすすめします。」
当日のマナー:袱紗(ふくさ)の包み方と受付での渡し方
ご祝儀袋の準備が完璧でも、当日の受付でポケットやバッグからご祝儀袋を裸で取り出すのはマナー違反です。ご祝儀袋は、汚れたり折れ曲がったりしないよう、「袱紗(ふくさ)」に包んで持参するのが大人の嗜みです。
ここでは、袱紗の正しい包み方と、受付でのスマートな渡し方について解説します。受付での所作は、新郎新婦側の親族や他のゲストからも見られる場面ですので、美しい立ち振る舞いを意識しましょう。
袱紗(ふくさ)の色と包み方(右開き)
袱紗にも、慶事用と弔事用があります。結婚式では、「赤・朱色・ピンク・紫」などの暖色系のものを使います。紫色は慶弔両用として使えるため、男性が一つ持っておくなら紫がおすすめです。寒色系(紺・緑・グレー)は弔事用ですので避けましょう。
袱紗の包み方(爪付きタイプや金封タイプでない、風呂敷タイプの場合)
- 袱紗をひし形に広げ、中央よりやや左にご祝儀袋を置く(表書きが読める向き)。
- 左側の角を中央に折る。
- 上側の角を中央に折る。
- 下側の角を中央に折る。
- 最後に右側の角を中央に折り込み、余った部分を裏へ折り返す。
ポイントは「右開き」になるように包むことです。開けるときに右側を最初に開く形、つまり「右側が一番上に来ている」状態が正解です。これも弔事とは逆(弔事は左開き)になりますので注意してください。
最近主流の「金封袱紗(ポケットタイプ)」の場合は、右開きになるように(右側のポケットにご祝儀袋を入れるように)使用します。
受付でのスマートな渡し方と挨拶の言葉
会場に到着し、受付の順番が回ってきたら、以下の手順でご祝儀を渡します。
1. 挨拶をする
まず受付係の方に「本日はおめでとうございます」と笑顔で挨拶し、一礼します。
2. 袱紗からご祝儀袋を取り出す
手元で袱紗を開き(またはポケットから抜き出し)、ご祝儀袋を取り出します。取り出した後の袱紗は、軽くたたんで受付台の脇などに置くか、素早くポケットやバッグにしまいます(台の上に袱紗ごと置くのは、受付台が狭くなるため避けたほうがスマートです)。
3. 向きを変えて渡す
取り出したご祝儀袋は、自分から見て正面(文字が読める向き)になっています。これを、時計回りに180度回転させ、相手(受付係)から見て正面になるように向きを変えます。
4. 両手で差し出す
「ささやかですが、お祝いのしるしです」や「心ばかりですが」などの言葉を添えて、必ず両手で差し出します。
[Step Illustration|受付での一連の流れ(袱紗から出す→向きを変える→渡す)]
(※1.袱紗を開く手元、2.ご祝儀袋を時計回りに回している動作、3.相手に文字を向けて両手で差し出している図の3コマ構成。)
ウェディングコンシェルジュのアドバイス
「『しまった、袱紗を忘れてしまった!』という緊急事態。会場に着いてから気づく方もいらっしゃいます。そんな時は、購入時の透明なビニール袋や、ハンカチで代用しましょう。ご祝儀袋を裸で持ち歩くよりは、きれいなハンカチ(アイロンのかかったもの)に包んでおき、受付の直前で解いて取り出す方が丁寧です。ただし、受付の方の前でハンカチを広げるのは少し不格好ですので、列に並んでいる間にこっそり準備しておき、渡す瞬間は裸の状態でも構いません。『汚さないように持ってきた』という配慮があれば大丈夫です。」
よくある失敗と疑問を解決(FAQ)
ここでは、ご祝儀袋の準備中に直面しがちな「こんな時どうする?」という疑問や、細かい失敗への対処法をQ&A形式でまとめました。
Q. 夫婦や連名で包む場合の書き方は?
A. 夫婦は併記、3名までは連記、4名以上は「代表者+外一同」です。
夫婦で出席する場合、夫の氏名を中央(または右側)に書き、その左側に妻の名前のみ(苗字なし)を書きます。バランスよく中央に揃えましょう。
友人数名で連名にする場合は、右から順に五十音順、または年齢順に書きます。3名までなら短冊に並べて書けますが、文字が小さくなりすぎるようなら、代表者の氏名を中央に書き、その左下にやや小さく「外一同」と書きます。その場合、全員の氏名と個別の金額を書いた別紙を中袋に入れます。
Q. 中袋に金額や住所を書く欄がない場合は?
A. 裏面の左側や余白に縦書きで記入しましょう。
中袋に印刷された記入欄がない場合でも、記入は必須です。表面の中央に金額を縦書きし、裏面の左下に住所と氏名を縦書きします。真っ白な封筒タイプの場合は、自分でバランスを見て配置してください。
Q. 書き損じてしまった!修正液は使っていい?
A. 修正液や修正テープの使用はNGです。
お祝い事において「修正する=間違いを直す」という行為は縁起が良くないとされています。また、見た目も美しくありません。書き損じた場合は、新しい短冊や中袋を用意して書き直すのがマナーです。予備の短冊が入っているご祝儀袋も多いですが、ない場合は似たような和紙や白い紙をカットして代用するか、文具店で短冊のみ購入することも可能です。
書道師範のアドバイス
「どうしても予備がなく、書き直す時間もない!という絶体絶命のピンチにおける最終手段をお教えします。それは『カッターの刃先で表面を薄く削る』という方法です。和紙のように厚みのある紙であれば、インクが染み込んでいる表面の繊維をカッターの刃先で優しく削り取ることで、誤字を薄く目立たなくできる場合があります。ただし、紙が毛羽立ちますし、完全に消えるわけではありません。あくまで緊急避難的な処置ですので、基本は『予備を用意してから書く』ことを心がけてください。」
Q. 金額が3万円の場合、「参萬円」と「三万円」どっち?
A. 「参萬円(旧字体)」が最も丁寧ですが、「三万円」でもマナー違反ではありません。
前述の通り、改ざん防止の観点から旧字体(参)が推奨されます。しかし、最近の市販のご祝儀袋には、中袋に横書きでアラビア数字(30,000円)を書く欄が設けられているものも増えています。その場合は、欄に従って記入して構いません。白紙の中袋であれば、やはり旧字体で書くのが最もスマートで格好良いでしょう。
まとめ:マナーを守ったご祝儀袋で心からの祝福を
結婚式のご祝儀袋は、単にお金を渡すための袋ではなく、あなたの「おめでとう」という気持ちを形にして伝える大切なツールです。筆ペンの使い方や旧字体の書き方、お札の向きや折り方など、細かいルールが多くて大変に感じたかもしれませんが、一つ一つの作法には「相手を敬い、幸せを願う」という意味が込められています。
最後に、家を出る前の最終確認ができるチェックリストを用意しました。これを確認すれば、もう不安はありません。自信を持って、晴れの日をお祝いしてきてください。
ご祝儀袋準備の最終チェックリスト
- 金額:相場に合った金額(奇数など)を用意しましたか?
- お札:新札(ピン札)を用意しましたか?
- 表書き:「寿」の下に、自分の氏名をフルネームで(上段よりやや小さく)書きましたか?
- 筆記用具:濃墨の筆ペンまたは筆サインペンを使いましたか?(薄墨・ボールペンはNG)
- 中袋(表):金額を旧字体(壱、弐、参…)で書きましたか?
- 中袋(裏):自分の住所と氏名を忘れずに書きましたか?
- お札の向き:肖像画が「表」かつ「上」に来るように入れましたか?
- 上包みの折り方:裏側の折り返しは、「下側」が一番上(外側)になっていますか?(喜びを受け止める向き)
- 袱紗(ふくさ):暖色系の袱紗に包みましたか?(またはハンカチの用意)
この準備が整っていれば、あなたは完璧なゲストです。新郎新婦の幸せな笑顔が見られる素晴らしい一日になりますように。
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