2025年の台風シーズンが終わり、改めてその爪痕の深さと気象パターンの変化に驚かされている方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げますと、2025年の台風は発生数こそ平年並みの「26個」でしたが、日本への「上陸数」は6個と平年の2倍に達し、さらに「勢力維持期間」が過去10年で最長を記録しました。特に、秋雨前線と台風が連動したことによる9月から10月にかけての豪雨被害は、都市部・地方部を問わず日本列島全体に甚大な影響を与え、私たちの防災意識を根底から覆すものとなりました。
本記事では、気象予報士としての専門的な視点から、以下の3点を中心に徹底解説します。
- 2025年の台風発生数・上陸数・接近数の正確な確定データと詳細な内訳
- なぜこれほどまでに被害が拡大したのか?気象予報士が読み解く「2025年特有の気象メカニズム」
- 昨年の痛ましい教訓から導き出す、2026年に向けて企業や家庭が今すぐ見直すべき具体的な防災対策
単なる過去の振り返りにとどまらず、2026年の台風シーズンを安全に乗り越えるための「生きた知恵」として、この記事を役立てていただければ幸いです。
【2025年総括】台風の発生数・上陸数・接近数データまとめ
まずは、2025年の台風シーズンがどのようなものだったのか、客観的な数字に基づいて全体像を把握しましょう。私たちの記憶に新しいたび重なる暴風警報や避難指示ですが、データとして見るとその特異性がより鮮明になります。ここでは、気象庁が発表した確定値を基に、発生数、上陸数、そして接近数の実態を整理します。
2025年の月別台風発生数と平年比
2025年の台風発生総数は26個でした。これは平年値(約25.1個)と比較してもほぼ平均的な数字と言えます。しかし、数字の内訳を見ると、発生時期に大きな偏りがあったことが分かります。通常、台風の発生は8月と9月にピークを迎えますが、2025年は10月に入ってからもコンスタントに発生し続け、シーズンの長期化が顕著でした。
以下の表は、2025年の月別発生数を平年値と比較したものです。
| 月 | 2025年発生数 | 平年値(約) | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 1月〜6月 | 4個 | 4.3個 | 平年並み |
| 7月 | 3個 | 3.7個 | やや少ない |
| 8月 | 6個 | 5.7個 | 平年並み |
| 9月 | 7個 | 5.0個 | 多い |
| 10月 | 4個 | 3.4個 | 多い |
| 11月〜12月 | 2個 | 3.0個 | やや少ない |
| 合計 | 26個 | 25.1個 | ほぼ平年並み |
このデータから読み取れるのは、「秋台風」の多発です。9月と10月だけで合計11個が発生しており、これが後述する秋雨前線との相乗効果による被害拡大の要因となりました。夏場だけでなく、秋の深まりとともにリスクが高まったのが2025年の特徴でした。
日本への上陸数・接近数とその内訳
発生数以上に衝撃的だったのが、日本本土への「上陸数」です。平年の上陸数は約3.0個ですが、2025年はその倍にあたる6個の台風が上陸しました。接近数(日本から300km以内に入った数)も15個を数え、日本列島は常に台風の脅威に晒され続ける半年間を過ごしました。
特に被害が大きかった主要な上陸・接近台風をリストアップします。
| 号数 | 発生月 | 最盛期勢力 | 上陸・接近地点 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| 台風7号 | 8月 | 非常に強い | 和歌山県潮岬付近に上陸 | 紀伊半島を中心に記録的豪雨 |
| 台風9号 | 8月 | 強い | 静岡県伊豆半島に上陸 | 首都圏の交通網が2日間にわたり麻痺 |
| 台風12号 | 9月 | 猛烈な | 沖縄本島通過後、九州西岸を北上 | 最大瞬間風速65m/sを観測 |
| 台風14号 | 9月 | 非常に強い | 高知県東部に上陸 | 四国・中国地方で線状降水帯が多発 |
| 台風19号 | 10月 | 強い | 千葉県房総半島に上陸 | 異例の「10月関東直撃」、停電が長期化 |
| 台風21号 | 10月 | 並 | 鹿児島県に上陸 | 収穫期の農作物に甚大な被害 |
このように、8月から10月にかけて、西日本から東日本まで広範囲に上陸が相次ぎました。特筆すべきは、上陸時の勢力が「強い」または「非常に強い」ランクを維持していたケースが多かった点です。通常であれば日本に近づくにつれて海水温の低下とともに勢力が衰えるはずが、2025年は勢力を保ったまま突っ込んでくるケースが目立ちました。
2025年台風シーズンの3つの大きな特徴
2025年のデータを俯瞰すると、以下の3つの特異な傾向が見えてきます。これらは単なる偶然ではなく、気候変動の影響を色濃く反映した結果と言えます。
- 発生位置の北上化: 従来よりも高緯度(フィリピンの東の海上など)で発生するケースが増え、発生から日本到達までのリードタイムが短くなりました。これにより、準備期間が十分に取れないまま災害対応を迫られる事態が頻発しました。
- 勢力の維持(スーパー台風の頻度): 日本近海まで「非常に強い」勢力を維持して北上する台風が増加しました。特に台風12号は、沖縄近海で中心気圧915hPaまで発達し、その猛威を保ったまま九州に接近するという、過去に見ない危険なパターンを辿りました。
- 寿命の長さと迷走: 太平洋高気圧の縁辺を回る単純なコースではなく、偏西風の影響を受けずに日本近海で停滞・迷走する「長寿台風」が見られました。これにより、同じ地域で長時間にわたって雨が降り続き、総雨量が記録的な数値に達しました。
【専門家解説】なぜ2025年は被害が拡大したのか?気象学的要因を分析
「なぜ、これほどまでに台風が日本を狙い撃ちにし、勢力が衰えなかったのか」。その疑問に答えるためには、2025年特有の気象条件を深く理解する必要があります。ここでは、単なる現象の羅列ではなく、複数の要因が複雑に絡み合ったメカニズムを解説します。
現役気象予報士のアドバイス
「2025年の台風被害を振り返る時、数字だけを見ていては本質を見誤ります。特に注目すべきは『海水温の異常な高さ』と『気圧配置の罠』です。これらが複合的に作用し、これまでの常識が通用しない台風を生み出したのです。」
記録的な海水温上昇と勢力維持のメカニズム
2025年の台風が「強いまま」日本に接近・上陸した最大の要因は、日本近海の記録的な海水温上昇です。台風は海面から蒸発する水蒸気をエネルギー源として発達します。通常、日本列島周辺の海水温は27度を下回ることが多く、台風の勢力を削ぐブレーキの役割を果たしてきました。
しかし、2025年は夏から秋にかけて、黒潮の流域だけでなく、日本海側や三陸沖に至るまで、海面水温が平年より2度〜4度も高い「海洋熱波」とも呼べる状態が続きました。特に9月下旬になっても本州南岸の海水温が28度以上をキープしていたことは、気象予報士の間でも衝撃を持って受け止められました。この「温かい海」が台風に絶えずエネルギーを供給し続けたため、上陸直前まで目がくっきりと開いた最盛期の状態で都市部を襲うことになったのです。
偏西風の蛇行と「迷走台風」の発生原因
次に挙げる要因は、上空の風の流れ、すなわち偏西風の蛇行です。通常、秋の台風は偏西風に乗って速度を上げ、日本列島をサッと駆け抜けていきます。しかし、2025年は偏西風が平年よりも北に大きく蛇行し、日本上空に「風の弱いエリア」が生まれました。
この影響をまともに受けたのが、10月に発生した台風19号でした。上空の誘導気流(ステアリングフロー)を失った台風19号は、関東の南東海上で複雑なループを描きながら停滞。その後、予報円の直径が500kmを超えるほど進路予測が困難な状況となり、結果として不意を突く形で房総半島に上陸しました。この「迷走」により、いつ暴風域に入るのか、いつ抜けるのかが読めず、鉄道の計画運休や企業の出社判断に大混乱をもたらしました。
線状降水帯との複合災害(マルチハザード)の増加
2025年の被害を語る上で欠かせないのが、台風本体と遠隔豪雨の複合災害です。台風がまだ沖縄やフィリピン付近にある段階で、本州に停滞していた秋雨前線に向かって台風から暖かく湿った空気(暖湿流)が大量に送り込まれました。
これにより、台風から遠く離れた地域で線状降水帯が多発しました。台風14号の事例では、台風本体が四国に上陸する2日前に、東海地方や北陸地方で線状降水帯が発生し、河川氾濫が起きました。「台風はまだ遠いから大丈夫」という油断が、避難の遅れに繋がったケースも散見されました。台風そのものの風雨だけでなく、前線を刺激して引き起こされる豪雨災害という「二重の脅威」が、2025年の被害規模を押し上げたのです。
記録に残る2025年の主要台風振り返り【ケーススタディ】
ここでは、2025年に特に社会に大きなインパクトを与えた3つの台風事例を振り返ります。それぞれの台風がどのような進路を辿り、どのような被害をもたらしたのかを詳細に検証することで、自分たちの地域で同様の事態が起きた際のシミュレーションとして役立ててください。
台風9号(8月):首都圏直撃の都市型災害
8月下旬に関東地方を襲った台風9号は、典型的な「都市型災害」の恐ろしさを浮き彫りにしました。静岡県伊豆半島に上陸後、神奈川県から東京都心を通過したこの台風は、最大瞬間風速45m/sの暴風を伴っていました。
最大の特徴は、平日の夕方という帰宅ラッシュの時間帯を直撃したことです。鉄道各社は計画運休を実施しましたが、アナウンスのタイミングと実施時間のズレにより、主要ターミナル駅では入場規制が行われ、数万人の帰宅困難者が発生しました。また、都心部の地下鉄駅構内への浸水や、タワーマンションにおける強風による揺れとエレベーター停止など、高密度な都市インフラの脆弱性が露呈しました。「会社に留まるべきか、無理して帰るべきか」の判断ミスが、多くのビジネスパーソンを危険に晒した事例です。
台風14号(9月):広域河川氾濫をもたらした雨台風
9月中旬に高知県に上陸し、中国地方から日本海へ抜けた台風14号は、風よりも「雨」の破壊力が際立った台風でした。台風の動きが時速15kmと自転車並みに遅かったため、四国山地や中国山地では24時間降水量が800mmを超える地点が続出しました。
この記録的な大雨により、一級河川を含む複数の河川で堤防が決壊。特に、上流のダムが緊急放流(異常洪水時防災操作)を余儀なくされた際、下流域住民への情報伝達にタイムラグが生じ、垂直避難が間に合わないケースがありました。広範囲にわたる床上浸水が発生し、水が引いた後の泥のかき出しや消毒作業など、復旧までに数ヶ月を要する甚大な被害となりました。ハザードマップの浸水想定区域外でも浸水被害が確認され、想定の見直しを迫られるきっかけとなりました。
台風19号(10月):異例の長寿命・複雑な進路
10月に入ってから発生した台風19号は、その「しぶとさ」で記憶されています。発生から消滅まで2週間以上という長寿命に加え、日本の南東海上で複雑な動きを見せました。当初の予報では海上に抜けると見られていましたが、偏西風の蛇行により進路を西に変え(逆走)、千葉県房総半島を直撃しました。
この台風の教訓は「長期化する避難生活」と「情報の混乱」です。進路が二転三転したため、自治体の避難指示の発令と解除が繰り返され、住民の間には「避難疲れ」や「オオカミ少年効果」による油断が生じました。また、強風による送電施設の倒壊で、千葉県や茨城県の一部では停電が1週間以上続き、通信障害も発生。情報が遮断された孤立集落での安否確認が難航し、インフラの強靭化と通信手段の多重化の必要性を痛感させられました。
2025年の被害データから見る「災害トレンド」の変化
2025年の台風被害データを分析すると、近年の災害の質的な変化、いわゆる「災害トレンド」のシフトが明確に見えてきます。これまでの経験則だけに頼る防災がいかに危険であるか、以下の3つの視点から解説します。
風害よりも「水害」リスクの顕在化
過去の台風被害といえば、瓦が飛ぶ、看板が落下するといった「風害」のイメージが強かったかもしれません。しかし、2025年の損害保険支払いデータや自治体の被害報告を見ると、家屋の浸水被害件数が風害による破損件数を大きく上回っていることが分かります。
これは、温暖化による大気中の水蒸気量の増加が直接的な原因です。短時間に猛烈な雨が降る頻度が増え、都市部の排水能力(内水氾濫リスク)や中小河川の治水能力を超えてしまう事例が常態化しています。「風さえ凌げば大丈夫」という考えを捨て、「水からどう逃げるか、どう守るか」に防災の主軸を移す必要があります。
停電・通信障害などインフラへの影響期間
もう一つの顕著なトレンドは、ライフライン復旧までの期間の長期化です。2025年の台風19号の事例では、平均復旧日数が電力で4.5日、通信(固定回線・基地局)で5.2日というデータが出ています。
倒木や土砂崩れによるアクセス道路の寸断が復旧作業を阻むケースが増えているほか、資材不足や作業員不足といった社会的な要因も絡んでいます。かつては「台風が過ぎれば翌日には元通り」でしたが、現在は「台風一過後も数日間はサバイバル生活が続く」ことを前提とした備えが求められます。特にスマートフォンの通信障害は、情報収集手段の喪失を意味し、命に関わるリスクとなります。
避難行動の遅れと「正常性バイアス」の現状
内閣府が実施した「2025年台風災害に関する住民意識調査」によると、避難指示(緊急)が発令された地域で実際に避難所や安全な場所へ移動した人の割合は、わずか35%にとどまりました。多くの人が「まだ大丈夫だと思った」「自宅の2階にいれば安全だと思った」と回答しており、正常性バイアス(自分だけは大丈夫と思い込む心理)の壁がいかに厚いかが浮き彫りになりました。
現役防災士のアドバイス
「2025年の事例で痛感したのは、『垂直避難』の判断基準の甘さです。多くの人が水が来てから2階に上がろうとしましたが、浸水スピードは想像以上に速く、階段まで水が押し寄せて孤立するケースが多発しました。明るいうちの『水平避難(立ち退き避難)』が原則ですが、逃げ遅れた場合は躊躇なく高所へ移動する、その判断のスピード感が命を分けました。」
【企業・組織向け】2025年の教訓を活かすBCP(事業継続計画)の見直し
ここからは、企業の総務・防災担当者様に向けて、2025年の混乱を繰り返さないためのBCP見直しポイントを解説します。従業員の安全確保と事業の早期復旧、この両立こそが企業の信頼性に直結します。
出社判断・帰宅困難者対策のタイムライン修正
2025年の台風9号では、多くの企業で「午後から帰宅指示」を出した結果、従業員が駅で立ち往生する事態となりました。この教訓から、タイムライン(防災行動計画)の前倒しが必須です。
具体的には、計画運休の可能性が発表された時点で「原則リモートワーク」へ切り替える、あるいは台風の接近が予想される前日の段階で出社禁止を決定するなど、勇気ある早期決断が求められます。「様子を見てから判断する」は、最悪の結果を招くことを肝に銘じましょう。また、オフィス内には最低3日分の水・食料に加え、簡易マットや毛布などの宿泊セットを備蓄し、無理に帰宅させずに社内で待機させる「一斉帰宅の抑制」も重要な戦略です。
サプライチェーン寸断リスクへの備え
物流の2024年問題に加え、2025年の台風による道路網寸断は、企業のサプライチェーンに深刻な打撃を与えました。特定の物流ルートや倉庫が被災しただけで、全国の工場が操業停止に追い込まれる事例がありました。
見直すべきは、在庫管理のあり方と調達ルートの多重化です。ジャストインタイム方式の効率性は重要ですが、台風シーズンにおいては、重要部品の在庫を一時的に積み増す、あるいは代替となる輸送ルートやサプライヤーを事前に確保しておく「冗長性」を持たせることが、結果として事業を守ります。
従業員の安否確認システムの形骸化を防ぐ
「システムを導入しているから安心」ではありません。2025年の災害時、安否確認メールの回答率が50%を下回った企業が相次ぎました。原因は、停電によるスマホのバッテリー切れや、通信障害、あるいは迷惑メールフィルタによる不達などです。
安否確認訓練は、平日の昼間だけでなく、「休日」や「夜間」を想定して実施してください。また、専用システムだけでなく、ビジネスチャットツールやSNS、緊急連絡網(アナログな電話連絡)など、通信手段を多重化(セカンダリ・オプショ)しておくことが重要です。
▼企業の防災担当者がチェックすべきBCP見直しリスト
以下の項目について、貴社の現状と照らし合わせて確認してください。
- [ ] ハザードマップの最新版確認: 事業所だけでなく、主要取引先や倉庫の立地リスクも把握しているか。
- [ ] 防災備蓄品の管理: 水・食料の賞味期限は切れていないか。女性従業員向けの生理用品や衛生用品は含まれているか。
- [ ] 通信手段のバックアップ: 携帯電話網がダウンした際の手段として、衛星電話やMCA無線の導入、またはWi-Fi環境の整備(ポータブル電源含む)ができているか。
- [ ] リモートワーク環境の強靭化: 自宅被災した従業員への業務フォロー体制や、VPNサーバーの冗長化はなされているか。
- [ ] 意思決定フローの明確化: 社長不在時に誰が「帰宅指示」や「操業停止」を判断するか、代行順位が決まっているか。
【家庭向け】2026年に向けて備えるべき最新防災グッズと対策
次に、一般のご家庭で今すぐ実践できる対策をご紹介します。2025年の被災者の声を反映した「本当に役立つ」アイテムと知恵を厳選しました。
現役防災士のアドバイス
「2025年に被災された方々から最も多く聞いた言葉は『モバイルバッテリーを持っていたが、すぐに使い切ってしまった』という後悔でした。また、『トイレ問題』も深刻でした。これからの備えは、電気と衛生面に重点を置くのがトレンドです。」
停電長期化に備える「ポータブル電源」と「通信確保」
スマートフォンの充電切れは、情報の遮断、すなわち「目隠し」された状態と同じです。小型のモバイルバッテリー(5,000〜10,000mAh)は日常用とし、災害用には大容量ポータブル電源(500Wh以上推奨)を一家に一台備えることを強く推奨します。これがあれば、スマホの充電だけでなく、扇風機や電気毛布、LEDランタンへの給電が可能になり、避難生活の質が劇的に向上します。ソーラーパネルとセットであれば、長期停電でも電気を自給自足できます。
水害対策:土嚢に代わる「止水板・水のう」の活用
都市部のマンションや戸建て住宅では、土嚢(どのう)を用意するのは保管場所や重さの面で現実的ではありません。そこで注目されているのが、軽量で設置が簡単な「止水板(防水板)」や、水を入れて使う「水のう」です。
特に、玄関や車庫の入り口に設置するタイプの簡易止水板は、2025年の浸水被害を最小限に食い止めた事例が多く報告されました。また、45リットルのゴミ袋を二重にして水を半分ほど入れ、トイレや浴室の排水口の上に置くことで、下水からの逆流を防ぐ「水のう」のテクニックは、費用をかけずにできる必須の対策です。
ローリングストックの見直しと「非常食」のトレンド
「非常食」と聞くと、乾パンや缶詰をイメージしがちですが、2025年の物流停止時には、普段食べ慣れていないものがストレスになるケースが見られました。そこで推奨されるのが「ローリングストック(日常備蓄)」の徹底です。
レトルトカレー、パスタソース、パックご飯、フリーズドライの味噌汁など、普段の食事で使うものを多めに買い置きし、古いものから食べて買い足す方法です。これなら賞味期限切れを防げるだけでなく、災害時でも「いつもの味」で精神的な安定を得られます。また、カセットコンロとガスボンベ(1週間分として1人あたり約6本目安)も忘れずに備蓄リストに加えてください。
2026年台風シーズン予測と今からできる準備スケジュール
最後に、2026年の台風シーズンをどのように迎えるべきか、気象庁の長期予報や世界の気象機関のデータを踏まえた展望と、時期ごとの準備スケジュールをお伝えします。
2026年はどうなる?エルニーニョ/ラニーニャの影響予測
現時点(2026年1月)での各国の気象機関の予測モデルを総合すると、2026年は「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いと見られています。ラニーニャ現象が発生すると、太平洋高気圧の勢力が強まり、日本付近への台風の接近数が増加する傾向があります。
さらに、地球温暖化の影響で海水温のベースラインが上がっているため、2025年と同様、あるいはそれ以上に「強い勢力」での上陸リスクが懸念されます。「今年は少ないだろう」という楽観視は禁物です。厳しいシーズンになることを前提に準備を進めましょう。
1月〜3月:ハザードマップ確認と保険の見直し
台風シーズン前のこの時期こそ、冷静に計画を立てるベストタイミングです。まず、自治体のホームページで最新のハザードマップを確認してください。2025年の被害を受けてマップが改訂されている地域もあります。自宅や職場が浸水想定区域に入っていないか、土砂災害警戒区域ではないかを再チェックしましょう。
また、火災保険の内容確認も重要です。「水災補償」が含まれているか、免責金額はいくらかを確認してください。マンションの高層階だからといって水災補償を外していると、エントランスや電気設備の被災による共同負担金に対応できない場合があります。
4月〜6月:家のメンテナンスと側溝掃除
梅雨入り前のこの時期は、ハード面の対策を行います。屋根の瓦にズレはないか、雨樋(あまどい)に落ち葉が詰まっていないか、外壁にひび割れはないかを点検し、必要であれば修理業者に依頼してください。台風直前では業者の予約が埋まってしまいます。
また、自宅周辺の側溝や排水溝(グレーチング)の掃除も重要です。ここが詰まっていると、少量の雨でも道路冠水や敷地内への浸水を招きます。地域での清掃活動にも積極的に参加し、「水はけの良い街」にしておくことが、最大の防御になります。
台風2025に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、2025年の台風について、よく検索されている疑問にQ&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 2025年で一番強かった台風は何号ですか?
A. 中心気圧の記録で見ると、9月に発生した台風12号が最も勢力が強く、最盛期には中心気圧915hPa、最大風速55m/s(最大瞬間風速75m/s)を記録しました。猛烈な勢力で沖縄近海を通過し、その後も勢力をあまり落とさずに九州へ接近したため、広範囲で記録的な暴風となりました。
Q. 2025年の台風の名前リストはどこで見れますか?
A. 台風の名前(アジア名)は、あらかじめ用意された140個のリストから順番に付けられます。2025年に発生した台風の名前やその意味、発生期間などの詳細なリストは、気象庁の公式サイト内にある「過去の台風資料」ページで確認することができます。
Q. 過去10年と比較して台風は増えていますか?
A. 発生数自体(26個)は過去10年の平均とほぼ変わりません。しかし、「強い勢力のまま日本に接近する割合」と「上陸数」は明らかに増加傾向にあります。数が増えているというよりも、一つひとつの台風の「質」が凶暴化し、日本への影響度が高まっていると捉えるべきです。
現役気象予報士のアドバイス
「『発生数』という数字だけに惑わされないでください。たとえ発生数が少なくても、たった一つの台風が自分の住む街を直撃すれば、それが100%の災害になります。数よりも『質』の変化、そして『進路の傾向』に注目することが重要です。」
まとめ:正しく恐れ、早めに備えることが命を守る
2025年の台風シーズンは、海水温の上昇や偏西風の蛇行といった気象条件が重なり、記録的な上陸数と甚大な被害をもたらしました。しかし、この経験は私たちに多くの教訓も残しました。「台風は弱まるもの」という常識を捨て、「強いまま来る」「雨と風の複合災害になる」という新しい前提で備える必要があります。
2026年も、ラニーニャ現象の影響などで予断を許さない状況が予想されます。しかし、恐れるだけでは身を守れません。ハザードマップを確認し、備蓄を整え、家族や同僚と避難計画を話し合う。こうした平時の地道な準備だけが、いざという時にあなたと大切な人の命を救う命綱となります。
最後に、この記事を読んだ今日、すぐに確認していただきたいポイントをリストにまとめました。一つでもチェックが入らない項目があれば、今すぐ行動に移してください。
2026年台風対策・要点チェックリスト
- [ ] 自宅・職場の最新ハザードマップを確認し、避難場所までのルートを実際に歩いてみたか
- [ ] 最低3日分(できれば1週間分)の水・食料をローリングストック法で備蓄しているか
- [ ] 家族や従業員と、通信手段が途絶えた際の「集合場所」や「連絡ルール」を決めているか
- [ ] スマートフォンを複数回充電できるモバイルバッテリーや、大容量ポータブル電源は準備できているか
- [ ] 窓ガラスの飛散防止フィルム施工や、止水板・水のうの準備など、家のハード面の対策は済んでいるか
- [ ] 気象庁のサイト(キキクル)や防災アプリなど、信頼できる情報源をスマホにインストールし、通知設定をONにしているか
災害は忘れた頃にやってくるのではなく、忘れずに備えている人の前だけを通り過ぎていくものです。2025年の教訓を胸に、2026年を安全に過ごしましょう。
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