トヨタが誇るフルサイズワゴン「グランエース」。「アルファードよりも大きく、ハイエースよりも豪華」という独自の立ち位置を持つこの車は、送迎ビジネスや大家族の移動手段として注目を集めています。しかし、その巨大なボディサイズや商用車ベースという出自から、購入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、グランエースは「圧倒的な居住性」と「意外な小回り」を両立した送迎の最適解ですが、駐車場の制約と独特の乗り味には注意が必要です。アルファードからの乗り換えを検討する経営者やドライバーの方々に向け、カタログスペックだけでは見えてこない実用面でのメリット・デメリットを徹底解説します。
この記事では、以下の3つのポイントを深掘りします。
- アルファードと比較したグランエースの決定的な強みと弱み
- 「デカすぎて運転できない?」を解決する取り回しの実態と駐車場事情
- 3列目まで大人が快適に過ごせる「動く応接室」の真価とグレード選び
長年、VIP送迎の現場でステアリングを握り、数々の高級車を乗り継いできた経験から、皆様の「後悔しない車選び」をサポートします。
グランエースとは?アルファードと異なる「送迎特化型」のコンセプト
まず、グランエースという車がどのようなコンセプトで開発され、市場においてどのような立ち位置にあるのかを明確にしておきましょう。多くの人が抱く「ハイエースの豪華版でしょ?」という認識は、半分正解で半分間違いです。この車は、単なる荷物を運ぶためのバンの派生ではなく、最初から「人を快適に運ぶこと」を主眼に置いた、全く新しいプラットフォームから生まれています。
アルファードやヴェルファイアが日本の一般家庭から企業の役員車まで幅広くカバーする「高級ミニバンの王道」であるのに対し、グランエースはより明確に「送迎」「多人数乗車」に特化したスペシャリティカーです。その設計思想の違いを理解することが、正しい選択の第一歩となります。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「よくお客様から『これは大きなアルファードですか?』と聞かれますが、私はこう答えています。『アルファードが高級乗用車なら、グランエースは陸のファーストクラスです』と。運転席の感覚よりも、後席に乗るゲストがいかに外界から遮断され、ゆったりと過ごせるかに全精力を注いだ車、それがグランエースなのです。」
ハイエースベースではない?専用プラットフォームとFRレイアウトの恩恵
グランエースを語る上で避けて通れないのが、そのベース車両についての議論です。海外では「ハイエース(300系)」として販売されているモデルと基本骨格を共有していますが、日本国内で走っている「ハイエース(200系)」とは全くの別物です。最大の構造的特徴は、エンジンの搭載位置と駆動方式にあります。
従来のハイエース(キャブオーバー型)は、運転席の下にエンジンがありましたが、グランエースはエンジンの位置を前方に移動させた「セミボンネット」形状を採用しています。これにより、衝突安全性が飛躍的に向上しただけでなく、静粛性や振動の抑制にも大きな効果をもたらしました。運転席の下からエンジンの熱や音が上がってくるあの感覚は、グランエースには皆無です。
また、駆動方式にはFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトを採用しています。アルファードがFF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースであるのに対し、FRレイアウトは前輪が操舵、後輪が駆動と役割分担ができるため、ハンドリングが素直で、大柄なボディからは想像できないほど自然な運転感覚を実現しています。このFRレイアウトこそが、後述する驚異的な小回りの良さを生み出す源泉となっているのです。
ボディサイズ比較:アルファード・ヴェルファイアとの決定的な違い
グランエースの購入を検討する際、最も比較対象となるのがトヨタのアルファード、そして輸入車ではメルセデス・ベンツのVクラスでしょう。それぞれのサイズ感を数値で比較すると、グランエースの特異性が浮き彫りになります。
以下の表は、それぞれの代表的なグレードのスペックを比較したものです。
▼ サイズ・スペック比較表(グランエース vs アルファード vs メルセデス・ベンツ Vクラス)
| 車種 | グランエース (Premium) |
アルファード (Executive Lounge) |
メルセデス・ベンツ V220d (ロング) |
|---|---|---|---|
| 全長 | 5,300 mm | 4,995 mm | 5,150 mm |
| 全幅 | 1,970 mm | 1,850 mm | 1,930 mm |
| 全高 | 1,990 mm | 1,935 mm | 1,930 mm |
| ホイールベース | 3,210 mm | 3,000 mm | 3,200 mm |
| 最小回転半径 | 5.6 m | 5.9 m | 6.0 m (参考値) |
| エンジン | 2.8L ディーゼル | 2.5L ハイブリッド | 2.0L ディーゼル |
ご覧の通り、グランエースは全長でアルファードより約30cm長く、全幅では12cmもワイドです。このサイズ差は、車内空間の余裕に直結しています。特に全幅1,970mmという数値は、国産乗用車としては最大級であり、室内における隣の席との距離感(カップルディスタンス)に圧倒的なゆとりをもたらします。
一方で、このサイズは日本の道路事情、特に駐車場選びにおいて大きな制約となることも事実です。しかし、表の中で注目すべきは「最小回転半径」です。これだけ巨大なボディを持ちながら、アルファードよりも小さい5.6mという数値を叩き出している点は、特筆すべきエンジニアリングの勝利と言えるでしょう。
価格とグレード構成:Premium(6人乗り)とG(8人乗り)のターゲット層
グランエースのグレード構成は非常にシンプルです。3列シート6人乗りの「Premium」と、4列シート8人乗りの「G」の2種類のみです。パワートレインや外装デザインに違いはなく、純粋にシート配列と用途で選ぶことになります。
Premium(6人乗り)は、2列目だけでなく3列目にも「エグゼクティブパワーシート」を採用しています。これはアルファードの最上級グレードに匹敵する豪華なシートで、全ての乗員がVIP待遇を受けられる仕様です。企業の役員送迎や、少人数でのラグジュアリーな移動を目的とする場合に最適です。
G(8人乗り)は、4列目にチップアップ式のベンチシートを備え、最大8名乗車を可能にしています。2列目はエグゼクティブパワーシートですが、3列目はマニュアルシートとなります。こちらはホテルや旅館の送迎バス代わり、あるいは大家族での移動など、一度に多くの人を効率よく運びたいニーズに応える仕様です。
最大の懸念「ボディサイズ」と「取り回し」を徹底検証
グランエース購入の最大の障壁となるのが、「こんなに大きな車、日本の狭い道で運転できるのか?」という不安でしょう。カタログ数値を見ただけで諦めてしまう方もいますが、実際にステアリングを握って街中を走ってみると、その印象は大きく変わります。ここでは、数値だけでは伝わらない「体感的な取り回しやすさ」と、プロドライバーが直面するリアルな道路環境での注意点を解説します。
全長5.3m・全幅1.97mは日本の道路で実用的か?
全長5.3mという長さは、一般的な駐車枠(長さ5m)からはみ出すサイズです。そのため、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの駐車場では、前方が通路にはみ出してしまうことが多々あります。また、全幅1.97mは、古い規格のコインパーキングや立体駐車場のパレットには物理的に入らないケースが多いです。
しかし、走行中に関して言えば、このサイズが致命的な問題になることは意外と少ないのです。日本の主要幹線道路の車線幅は3.0m〜3.5mあり、大型トラックやバスも通行しています。グランエースの全幅はそれらよりも狭いため、センターラインのある道路であれば、すれ違いに恐怖を感じることはありません。問題になるのは、住宅街の路地や、対向車とのすれ違いが困難な狭隘路(きょうあいろ)です。こうした道では、ボディの四隅の感覚を正確に把握する技術が求められます。
驚異の「最小回転半径5.6m」!アルファードより小回りが利くカラクリ
先ほどの比較表でも触れましたが、グランエースの最小回転半径は5.6mです。これはトヨタのノアやヴォクシーといったミドルサイズミニバン(5.5m前後)とほぼ同等の数値であり、アルファードの5.9mよりも明確に小さいのです。なぜこれほど巨大な車が、これほど小回りが利くのでしょうか。
その秘密は、FR(後輪駆動)レイアウトにあります。前輪に駆動装置(ドライブシャフト等)がないため、タイヤの切れ角を大きく取ることができるのです。具体的には、タイヤが驚くほど内側に切れ込みます。このおかげで、Uターンや狭い交差点での右左折、駐車場での切り返しが驚くほどスムーズに行えます。
実際に運転してみると、内輪差(後輪が内側を通る現象)には注意が必要ですが、ハンドルの切れ角が深いため、頭さえ入ってしまえば意外なほどクルリと回ることができます。「この道幅でUターンできるのか?」と思うような場面でも、一発で転回できた時の感動は、グランエースオーナーだけが味わえる特権です。
【実体験】都内の駐車場・コインパーキング・ホテル寄せでのリアルな苦労
小回りが利くとはいえ、物理的なサイズはどうしようもありません。私がVIP送迎の業務で実際に直面した「ヒヤリとした瞬間」や「諦めた場所」について、包み隠さずお話しします。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「都内の高級ホテルなら大丈夫だと思っていませんか?実は、歴史ある老舗ホテルの地下駐車場などは要注意です。以前、あるホテルの地下へ向かうスロープで、高さ制限は2.3mでクリアしていたのですが、カーブの曲率がきつく、壁にボディ側面を擦りそうになり冷や汗をかきました。
また、コインパーキングでは『ロック板式』は避けるのが無難です。車幅がありすぎてホイールをガリッとやるリスクが高いですし、隣の車との間隔が狭すぎてドアが開けられなくなります。私は常に、事前にGoogleマップの航空写真で『平置き』かつ『端っこ』のスペースがある駐車場を探してから向かうようにしています。」
特に注意が必要なのは「高さ」ではなく「幅」と「長さ」による制約です。最近の商業施設は高さ2.1m制限が多く、グランエース(1.99m)はギリギリセーフですが、ゲートの発券機に幅寄せしすぎるとミラーをぶつけるリスクがあります。常に余裕を持ったアプローチラインを意識する必要があります。
運転席からの視界と車両感覚の掴みやすさ(セミボンネットのメリット)
運転のしやすさを支えているもう一つの要素が、視界の良さです。グランエースのアイポイント(運転席からの目線の高さ)は非常に高く、大型バスの運転手のような見晴らしの良さがあります。これにより、数台先の交通状況まで把握でき、余裕を持った運転が可能になります。
また、セミボンネット形状のおかげで、運転席から短いボンネットの先端がわずかに見えます。これが車両感覚を掴むための良いガイドになります。アルファードのようにフロントガラスの先がすぐ崖になっている形状よりも、ボンネットがある方が「車の鼻先」を意識しやすく、狭い場所での寸止めがやりやすいのです。
さらに、デジタルインナーミラーやパノラミックビューモニター(全周囲カメラ)が標準装備されているため、死角は最小限に抑えられています。カメラの解像度も高く、夜間でも周囲の状況を鮮明に確認できるため、巨体を操るストレスは大幅に軽減されています。
「商用車ベース」は本当か?乗り心地と静粛性の真実
「グランエースは商用車ベースだから、乗り心地がトラックみたいなのではないか?」という懸念もよく耳にします。確かに、ベースとなる骨格は耐久性を重視したものですが、トヨタは乗用ユースに合わせて徹底的なチューニングを行っています。ここでは、プロの官能評価として、その乗り味を厳しくジャッジします。
リアサスペンションの構造解説:リーフ式ではなく「トレーリングリンク車軸式」の実力
商用車のハイエースは、リアサスペンションに「リーフスプリング(板バネ)」を採用しています。これは重い荷物を積むのには適していますが、乗り心地は跳ねるような硬さがあり、乗用には不向きです。しかし、グランエースのリアサスペンションは、新開発の「トレーリングリンク車軸式」に変更されています。バネもコイルスプリングを採用しており、構造的には高級乗用車に近づいています。
実際に走行してみると、路面の継ぎ目やマンホールの段差を越えた際の「突き上げ感」は、見事に角が取れています。アルファードの「ダブルウィッシュボーン式」のような、路面を舐めるようなしなやかさとは少し質が異なりますが、重厚なボディがドシリと安定し、揺れが一発で収まる感覚です。フワフワとした揺れが苦手な方にとっては、むしろグランエースの「芯のある乗り心地」の方が好ましく感じるかもしれません。
ディーゼルエンジンの音と振動:アイドリング時と巡航時の車内ノイズ検証
搭載されるエンジンは「1GD-FTV型」2.8L直列4気筒クリーンディーゼルターボです。ランドクルーザープラドやハイエースにも搭載されている信頼性の高いユニットですが、グランエース用には専用の遮音対策が施されています。
車外で聞くと、確かに「ガラガラ」というディーゼル特有の音が聞こえます。しかし、ドアを閉めて車内に入ると、その音は驚くほど遠くになります。特に感心するのは、フロア(床)からの振動がほとんど伝わってこない点です。サンドイッチ鋼板などの制振材がふんだんに使われている証拠です。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「アイドリングストップからの復帰時には、ブルンという身震いがわずかに伝わります。VIPをお乗せしている時は、あえてアイドリングストップをOFFにすることもありました。しかし、一度走り出してしまえば、ディーゼルの太いトルクのおかげでエンジン回転数が低く抑えられ、ロードノイズの方が大きいくらい静かです。高速巡航中の会話明瞭度は、アルファードと遜色ありません。」
高速道路での直進安定性と長距離移動の疲労度
グランエースが本領を発揮するのは、やはり高速道路です。車両重量が約2.8トンもあるため、横風に対する強さは圧倒的です。アルファードなどの背の高いミニバンが風に煽られてふらつくような強風下でも、グランエースは矢のように直進します。
また、ロングホイールベース(前輪と後輪の間隔が長い)の恩恵で、ピッチング(前後の揺れ)が非常に少なく、船に乗っているようなゆったりとした挙動を示します。東京から大阪までの長距離移動でも、ドライバーも同乗者も疲労感が少ないのは、この直進安定性と重厚な乗り味のおかげです。
2.8Lディーゼルターボの加速感:重量級ボディをストレスなく運べるか?
約2.8トンの巨体を、2.8Lのエンジンで動かすことに不安を感じるかもしれません。しかし、ディーゼルエンジンの特性である「低回転からの大トルク」がここで活きてきます。アクセルを軽く踏み込むだけで、グワッと車体が前に押し出されます。信号待ちからの発進や、高速道路での合流でパワー不足を感じることはまずありません。
トランスミッションは6速ATを採用しています。最新の多段ATに比べると段数は少なめですが、トルクバンドの広いディーゼルエンジンとの相性は良く、変速ショックも滑らかです。スポーツカーのようなキビキビした加速は望めませんが、黒塗りの送迎車にふさわしい、息の長い加速感を提供してくれます。
「動く応接室」の真骨頂!内装・シートアレンジと居住性評価
グランエースを選ぶ最大の理由、それはやはり内装の豪華さと居住性でしょう。特に後席の快適性は、移動そのものを目的にしたくなるほどのレベルです。
エグゼクティブパワーシートの座り心地と機能(オットマン・ヒーター)
グランエースの2列目(Premiumでは3列目も)に装備される「エグゼクティブパワーシート」は、まさにファーストクラスの座り心地です。本革の質感はしっとりとしており、身体全体を包み込むような大きさがあります。電動オットマンを展開し、背もたれを倒せば、そこは極上の仮眠スペースへと変わります。
シートヒーターはもちろん装備されていますが、ベンチレーション(通気機能)がない点は惜しいところです。しかし、大型のヘッドレストやアームレストの作り込みは素晴らしく、長時間座っていても腰やお尻が痛くなることはありません。
【6人乗り Premium】3列目こそが特等席?足元空間とプライベート感の評価
6人乗りのPremiumグレードにおいて、特筆すべきは3列目の居住性です。通常のミニバンでは3列目は「補助席」扱いか、あるいはシートが良くても足元が狭いことが多いのですが、グランエースは違います。3列目にも2列目と同じエグゼクティブパワーシートが備わっているのです。
しかも、ボディ全長が長いため、3列目を最後端までスライドさせても、2列目との間に広大な足元空間が確保されます。身長180cmの男性が足を組んでも全く前席に触れません。さらに、3列目は運転席から最も遠い位置にあるため、プライベート感が高く、静粛性も最も高い位置にあります。まさに「隠れ家」のような特等席と言えるでしょう。
【8人乗り G】4列目は実用的か?大家族やホテル送迎での活用シミュレーション
8人乗りのGグレードに存在する4列目シート。これはチップアップ(座面跳ね上げ)が可能なベンチシートです。正直に申し上げますと、この4列目の座り心地は2列目・3列目に比べると劣ります。背もたれも低く、クッションも薄めです。大人が長距離移動するには少々厳しい環境です。
しかし、短距離の送迎や、子供が座る分には十分なスペースがあります。何より、普段は4列目を跳ね上げておけば、巨大なラゲッジスペースが出現します。スーツケースを6個以上積載しながら、6名がゆったり乗車できるという使い方は、アルファードでは不可能です。空港送迎やゴルフ送迎において、この積載能力は最強の武器となります。
乗降性とスライドドアの開口幅:VIPや高齢者をエスコートする際のポイント
スライドドアの開口幅は1,000mmと非常に広く、乗り降りはスムーズです。ステップ(階段)が存在しますが、一段目は低く設定されており、しっかりとしたグリップ(手すり)も装備されているため、高齢者の方でも比較的楽に乗車できます。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「後席でパソコン作業をされるお客様にとって、グランエースは最高のオフィスです。サスペンションがしっかりしているため、アルファードのようなフワフワした揺れで画面酔いすることが少ないのです。また、夜間にはアンビエントライト(間接照明)が足元や天井を優しく照らし、非常にムーディーな空間を演出します。商談の成功率が上がる車、と言っても過言ではありません。」
ライバル車種との徹底比較!あなたに合うのはどっち?
グランエースは魅力的な車ですが、全ての人にとってベストな選択とは限りません。競合となる車種と比較することで、ご自身のニーズに合致しているかを見極めましょう。
vs トヨタ アルファード/ヴェルファイア:リセール、乗り心地、ブランド力の比較
アルファードを選ぶべき人:
- リセールバリュー(売却価格)を最優先する人
- 立体駐車場(高さ1.9m制限など)を利用する機会が多い人
- ハイブリッドによる燃費性能と静かさを求める人
- 家族が運転する機会がある人
グランエースを選ぶべき人:
- 「アルファードだらけ」の現状に飽き、差別化を図りたい人
- 6名全員が大人の場合でも、窮屈な思いをさせたくない人
- ゴルフバッグやスーツケースを多載する機会が多い人
- 送迎車としての威厳や押し出し感を重視する人
アルファードは「完成された優等生」ですが、街中に溢れすぎています。グランエースには「知る人ぞ知る特別な車」というオーラがあります。
vs メルセデス・ベンツ Vクラス:ブランドステータス、走行性能、故障リスクの比較
Vクラスは、ドイツのアウトバーンで鍛えられた高速安定性と、メルセデスという圧倒的なブランド力が魅力です。しかし、ディーゼルエンジンの音や振動はグランエースよりも大きく感じる場面があり、内装の豪華さ(特にシートの座り心地)では、日本のおもてなし精神が詰まったグランエースに軍配が上がります。
また、故障リスクやメンテナンスコスト、ディーラー網の充実度を考えると、ビジネスユースで「止まっては困る」車としては、トヨタ車であるグランエースの方が安心感があります。
グランエースを選ぶべき人、選んではいけない人の条件
選んではいけない人:
- 自宅周辺の道路幅が4m未満の人
- 日常の買い物で狭いスーパーの駐車場を頻繁に利用する人
- 燃費リッター15km以上を期待する人
選ぶべき人:
- 企業の役員車・送迎車担当者
- 3世代家族で旅行に行く機会が多い人
- 地方在住で駐車スペースに余裕がある人
維持費・燃費とリセールバリューの現実
法人購入や個人事業主の方にとって、ランニングコストは重要な検討材料です。
実燃費データ公開:街乗り・高速での軽油コストとAdBlue(アドブルー)補充頻度
カタログ燃費(WLTCモード)は10.0km/Lですが、実燃費は以下の通りです。
- 街乗り(渋滞含む): 7〜9 km/L
- 高速道路巡航: 11〜13 km/L
2.8トンの巨体としては優秀な数値です。しかも燃料は安価な「軽油」であるため、ハイオク仕様のアルファード(V6モデル等)と比較すると、燃料代は6〜7割程度に抑えられます。
注意点として、ディーゼルエンジンの排ガス浄化のために「AdBlue(尿素水)」の補充が必要です。概ね1,000km走行で1リットル消費するイメージで、タンク容量がなくなるとエンジンが始動できなくなります。オイル交換2回に1回程度のペースで補充する必要がありますが、ガソリンスタンドで簡単に補充可能です。
自動車税・重量税とメンテナンス費用(商用車登録ではない点に注意)
グランエースは3ナンバー(乗用車)登録です。1ナンバー(商用車)ではないため、車検は初回3年、以降2年ごとです。高速道路料金も普通車区分で利用できます。
自動車税は2.5L〜3.0L区分の51,000円(年額)、重量税は車両重量が重いため高めになりますが、エコカー減税の対象となる場合があります。メンテナンスに関しては、タイヤサイズが特殊で大きいため、交換費用が一般的なミニバンよりも高額になる点に注意が必要です。
リセールバリューの傾向:海外需要と中古車相場の動き
アルファードほどの異常な高騰(新車価格超え)は期待できませんが、グランエースのリセールバリューは堅調です。理由は「海外需要」です。アジア圏や中東において、この手の大型ラグジュアリーMPVは非常に人気があり、輸出需要が下支えしています。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「法人で償却期間を終えて手放す際も、大きく値崩れすることは考えにくいでしょう。ただし、内装の汚れ、特に淡い色の本革シートの黒ずみは査定に響きます。長く乗るつもりなら、シートコーティングを施工しておくことを強くお勧めします。」
オーナーが語る「ここが残念」!購入前に知っておくべき注意点
良い点ばかりではありません。購入後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、ネガティブな要素も正直にお伝えします。
バックドアが巨大すぎて開けられない問題
グランエースのリアゲート(バックドア)は、跳ね上げ式で非常に巨大です。開けるためには、車両後方に約1.2m以上のスペースが必要です。コインパーキングなどで後ろに壁や他の車がある場合、バックドアを開けることはほぼ不可能です。リアガラスだけを開閉する機能もないため、狭い場所での荷物の出し入れには苦労します。
ウォークスルー不可?運転席から後席への移動制限
運転席と助手席の間には、巨大なセンターコンソールが鎮座しています。そのため、運転席から後席へ車内を通って移動する「ウォークスルー」はできません。雨の日に、外に出ずに後席の子供の世話をしたい、といったシチュエーションでは不便を感じるでしょう。
ナビ画面のサイズとインフォテインメントシステムの古さ
標準装備されるディスプレイオーディオは8インチです。ボディサイズに対して画面が小さく感じられます。最近の軽自動車でも9インチや10インチが当たり前の時代において、このサイズ感は少々古さを感じさせます。また、最新のコネクティッドナビに対応していない部分もあり、ガジェット好きには物足りないかもしれません。
助手席・運転席の乗降グリップ位置と足元の狭さ
運転席・助手席に乗り込む際、Aピラーにあるグリップの位置が少々遠く、小柄な方は乗り込みにくいと感じるかもしれません。また、エンジンの位置関係上、助手席の足元左側が少し出っ張っており、足を伸ばすスペースが若干狭くなっています。
グランエースに関するよくある質問(FAQ)
Q. 普通免許で運転できますか?
はい、可能です。車両総重量は3.5トン未満に収まっているため、現在の普通免許(AT限定含む)で問題なく運転できます。いわゆる「準中型免許」などの心配は不要です。
Q. 立体駐車場には絶対に入れませんか?
「絶対」ではありませんが、かなり厳しいのが現実です。多くの自走式立体駐車場は高さ2.1m制限ですが、グランエースは1.99mなので高さはクリアします。しかし、スロープの幅や回転半径の制約で、ホイールを擦るリスクが高いです。機械式駐車場は、大型対応のハイルーフ用であっても、全幅1.85m制限の場所が多く、1.97mのグランエースはまず入庫できません。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「出先で駐車場を探す際は、アプリで『平置き』のアイコンがある場所を優先し、さらにGoogleストリートビューで入り口の広さを確認するのがプロの鉄則です。無理して立体に入ろうとせず、少し歩くことになっても広い平面駐車場を選ぶのが、結果として一番早くて安全です。」
Q. 4WDの設定はありますか?雪道の走破性は?
残念ながら、グランエースには4WDの設定がありません。FR(後輪駆動)のみです。重量バランスが良いため、スタッドレスタイヤを履けば多少の雪道は走れますが、急な坂道や深い雪ではFR特有の弱さが出ます。豪雪地帯での使用や、冬のスキー場への送迎をメインに考える場合は、慎重な検討が必要です。
Q. 納期はどのくらいかかりますか?(最新情報)
生産台数がアルファードほど多くないため、時期によって変動しますが、比較的安定しています。一時期のような長納期化は解消傾向にありますが、詳細な納期は販売店に確認してください。アルファードのように「受注停止」になることは稀ですので、計画的に導入しやすい車種と言えます。
まとめ:グランエースは「目的が明確な人」には最高のパートナー
グランエースは、アルファードのように「誰にでも勧められる万能な車」ではありません。しかし、「誰かを快適に送迎する」「大人数でゆったり移動する」という明確な目的を持つ人にとっては、アルファードをも凌駕する最高のパートナーとなります。
最後に、導入を検討されている方へのチェックリストを用意しました。
- □ 自宅および職場の駐車場に、幅2.5m×長さ5.5m以上のスペースがある
- □ 主な用途は、3人以上での移動やVIP送迎である
- □ 狭い路地裏よりも、幹線道路や高速道路を使うことが多い
- □ アルファードの「ありきたり感」から脱却したい
- □ ディーゼルの経済性とトルクフルな走りに魅力を感じる
これらに3つ以上当てはまるなら、グランエースはあなたの期待を裏切りません。
元VIP専属ドライバーのアドバイス
「最終的な決断を下す前に、必ずディーラーで試乗を行ってください。その際、運転席だけでなく、必ず『2列目』と『3列目』に座って、誰かに運転してもらい街中を走ってみてください。後席で感じる景色と安心感こそが、この車の真価です。その体験に価値を感じられるなら、駐車場の苦労など些細な問題に思えるはずです。」
ぜひ、あなたも「陸のファーストクラス」のオーナーとなり、大切なゲストや家族に最高の移動体験を提供してください。
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