スキンフェードは、清潔感と男らしさを高い次元で両立できる最高のヘアスタイルですが、「刈り上げの高さ」の設定を一つ間違えると、ビジネスシーンで浮いてしまったり、威圧感を与えてしまったりするリスクがあります。
特に初めて挑戦する方にとって、「どこまで刈り上げるのが正解なのか」「会社で怒られないか」という不安はつきものです。この記事では、月間200名以上のフェードカットを担当する現役理容師の視点から、日本人の骨格に似合い、かつ会社でも好印象を持たれるスタイルの選び方と、失敗しないオーダー方法を完全解説します。
この記事でわかること
- ビジネスで許容される「Low・Mid・High」の高さ基準とそれぞれの印象の違い
- 絶壁やハチ張りをカバーする、日本人のための骨格補正フェード理論
- 「写真を見せるだけ」では失敗する?理容室での具体的な頼み方ガイド
スキンフェードとは?普通の刈り上げ・ツーブロックとの決定的な違い
近年、街中で見かけることが増えた「スキンフェード」。しかし、実際に普通の刈り上げやツーブロックと何が違うのか、正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。まずは、このスタイルの定義と、なぜこれほどまでに大人の男性を魅了するのか、その本質的な魅力について解説します。
結論から言えば、スキンフェードとは「0mm(スキン=肌)」から始まり、トップに向かって徐々に髪が長くなっていくグラデーションのある刈り上げスタイルのことです。一般的な刈り上げが3mmや6mmといったバリカンを使用するのに対し、スキンフェードは専用のシェーバーやカミソリを使用して、生え際を剃り上げるレベルまで短くするのが最大の特徴です。
現役理容師オーナーのアドバイス
「美容室と理容室(バーバー)では、提供できるフェードの質に決定的な違いがあります。美容師法ではカミソリの使用が制限されていることが多いため、美容室でのフェードは一番短くても0.8mm程度のバリカン仕上げになることが一般的です。一方、理容室ではカミソリや専用シェーバーを使って完全な0mmを作れるため、地肌の白から髪の黒へと移り変わるグラデーションの美しさが段違いです。この『色彩』こそが、清潔感の源泉なのです」
「0mm」の世界観!地肌からグラデーションを作る色彩の美しさ
スキンフェードの最大の魅力は、その名の通り「スキン(肌)」が見える0mmからスタートする点にあります。裾周りの髪を剃り上げることで、地肌の色(白)が完全に見える状態を作り、そこから徐々に髪の密度を上げて黒くしていくことで、美しいグラデーション(ぼかし)が生まれます。
この「白・グレー・黒」の色彩のコントラストは、単なる髪型を超えて一種のアートのような美しさを持ちます。一般的な刈り上げは全体的にグレーっぽく見えますが、スキンフェードは根本が白いため、輪郭が非常にシャープに見え、首回りが引き締まって見える効果があります。このメリハリこそが、他のスタイルでは出せない洗練された印象を作り出すのです。
なぜ今、ビジネスマンに選ばれるのか?清潔感と男らしさの両立
かつては「いかつい」「怖い」というイメージを持たれがちだったスキンフェードですが、現在は優秀なビジネスマンこそ積極的に取り入れるスタイルへと変化しています。その理由は、圧倒的な「清潔感」にあります。
ビジネスシーンにおいて、耳周りや襟足がもたついているのはマイナス評価に繋がります。スキンフェードは、耳周りと襟足を極限まで短くするため、物理的に髪が耳にかかることがなく、常にスッキリとした状態をキープできます。スーツの襟に髪がかからないため、シャツの白さと相まって非常にクリーンな印象を相手に与えることができるのです。
また、昨今のバーバーブームにより、クラシックな七三分けやオールバックスタイルと組み合わせることで、「誠実さ」や「デキる男」の雰囲気を演出できる点も、30代〜40代のビジネスマンに支持されている大きな理由です。
バリカンだけじゃない?専用シェーバーとカミソリが生む究極の肌触り
スキンフェードを作る工程は、通常のカットとは全く異なります。まずバリカン(クリッパー)で大まかな長さを整えた後、0.1mm単位で調整できるトリマーを使い、最終的な仕上げには「フォイルシェーバー」と呼ばれるスキンフェード専用の電気シェーバーや、理容師ならではの「カミソリ(レザー)」を使用します。
このシェーバーやカミソリの工程により、産毛まで綺麗に剃り落とされた肌は、触るとツルツルとした究極の肌触りになります。この感触は一度体験すると病みつきになる方が多く、ジョリジョリとした感触が戻ってくると「そろそろ切りに行かなければ」と感じるようになるほどです。見た目の美しさだけでなく、自分自身のスイッチを入れる儀式としてスキンフェードを愛好する男性も少なくありません。
【最重要】印象は「高さ」で決まる!Low・Mid・Highの選び方徹底比較
スキンフェードをオーダーする際に最も重要なのが、フェード(刈り上げ)の「高さ」の設定です。この高さをどこに設定するかによって、仕上がりの印象は「真面目なビジネスマン」から「ストリート系のワイルドなスタイル」まで劇的に変化します。
多くのビジネスマンが抱える「会社で怒られないか心配」「怖く見られたくない」という懸念は、この高さ設定を適切に行うことでほぼ解決できます。ここでは、主な3つの高さ基準であるLow(ロー)、Mid(ミッド)、High(ハイ)について、それぞれの特徴とビジネスでの許容度を徹底解説します。
Low Fade(ローフェード):初心者・厳格な職場向け
特徴
Lowフェードは、その名の通り低い位置にスキン(0mm)の部分を設定するスタイルです。具体的には、もみあげの下部と襟足の際(きわ)の1〜2cm程度のみを0mmにし、耳の上あたりですぐに濃い色彩(髪の長さがある状態)につなげていきます。
印象
パッと見は通常の刈り上げと大きく変わらないため、非常に落ち着いた印象を与えます。しかし、襟足やもみあげの際が肌と一体化しているため、通常の刈り上げよりも首元がスッキリとして見え、さりげないこだわりと清潔感を演出できます。「真面目」「誠実」「穏やか」といった印象を崩さずに、フェードの良さを取り入れることができます。
ビジネス許容度:◎(ほぼ全ての職場でOK)
金融機関、公務員、堅めの営業職など、身だしなみの規定が厳しい職場でも問題なく受け入れられることがほとんどです。「初めてスキンフェードにするけれど、失敗したくない」という方は、まずこのLowフェードからスタートすることを強くおすすめします。
Mid Fade(ミッドフェード):バランス重視の王道スタイル
特徴
Midフェードは、こめかみや耳上のラインあたりまでフェード(グラデーション)を入れる、最もスタンダードなスタイルです。Lowよりも白い部分(地肌が見える部分)の面積が増えますが、Highほど極端には刈り上げません。
印象
Lowフェードよりもグラデーションの幅が広くなるため、色彩の美しさがより際立ちます。「活動的」「爽やか」「トレンド感」といった印象を与えやすく、スーツスタイルにもカジュアルウェアにも抜群にマッチします。日本人の頭の形(絶壁など)を補正する上でも、最もバランスが取りやすい高さと言えます。
ビジネス許容度:○(営業職でも一般的には許容範囲)
一般的な企業の営業職やオフィスワークであれば、Midフェードまでは許容されるケースが多いです。清潔感が強調されるため、むしろ好印象を持たれることも少なくありません。ただし、上司や取引先の年齢層が高い場合は、トップの髪を七三分けできっちりセットするなどして、バランスを取ると良いでしょう。
High Fade(ハイフェード):個性を出す男らしいスタイル
特徴
Highフェードは、ハチ(頭の角)付近まで高く刈り上げるスタイルです。サイドとバックの大部分が0mmに近い状態となり、トップの髪だけが残るようなシルエットになります。
印象
非常にワイルドで男らしい、力強い印象を与えます。「いかつい」「ストリート」「攻撃的」といったイメージも強くなるため、個性を前面に出したい方や、海外のバーバースタイルを好む方には最適です。顔周りが完全に露出するため、表情がはっきりと見え、自信に満ちた雰囲気を醸し出します。
ビジネス許容度:△(業界や職種を選ぶ)
アパレル、美容関係、ITベンチャー、あるいは自営業など、個人のスタイルが尊重される職場であれば問題ありませんが、一般的なビジネスシーンでは「威圧感がある」と判断されるリスクがあります。スーツを着た際に、頭皮の露出面積が広すぎてバランスが悪く見えることもあるため、TPOを慎重に考慮する必要があります。
現役理容師オーナーのアドバイス
「失敗しない高さの選び方の鉄則は、最初はLowかMidから始めて、徐々に高くしていくことです。お客様の中には、SNSのかっこいい外国人モデルの写真を見ていきなりHighフェードを注文される方もいますが、日本人の髪質(黒くて太い)と肌色(黄色)のコントラストは欧米人よりも強いため、想像以上に『刈り上げた感』が出ます。まずはLowで様子を見て、周囲の反応が良ければ次回Midに挑戦する、というステップを踏むのが最も安全で確実です」
日本人の骨格を攻略せよ!絶壁・ハチ張りをカバーする「補正フェード」理論
「スキンフェードは頭の形が良くないと似合わない」と諦めていませんか?実はそれは大きな誤解です。むしろ、フェードカットこそが、日本人特有の骨格の悩みである「絶壁」や「ハチ張り」を視覚的に補正し、理想的な頭の形に見せるための最強のツールなのです。
私たち理容師は、単に髪を短くしているのではなく、骨格に合わせてミリ単位で長さと色彩を調整し、影を作ることで「擬似的な骨格」を作り出しています。ここでは、コンプレックスを解消する骨格補正の理論を解説します。
「絶壁」はグラデーションの角度で隠せる!後頭部に丸みを出す技術
日本人の多くが悩む「絶壁」。後頭部が平らだと、横顔のシルエットが貧弱に見えてしまいがちです。しかし、スキンフェードのグラデーション技術を使えば、驚くほど立体的な後頭部を作り出すことができます。
ポイントは、後頭部の「盆の窪(ぼんのくぼ)」周辺に重さ(黒さ)を残すことです。襟足の低い位置から急角度でフェードを入れ、後頭部の出っ張らせたい部分に髪の密度を残します。すると、下の白い部分(0mm)と上の黒い部分のコントラストにより、視覚的な錯覚で後頭部がグッと持ち上がって見えます。
詳しい解説:色彩の濃淡で奥行きを作るトリック
人間の目は、明るい色(膨張色)よりも暗い色(収縮色)を奥にあるように、あるいは重く認識する性質があります。絶壁補正フェードでは、首元を限りなく白く(0mm)して引き締め、後頭部のボリュームを出したいポイントに向けて急激に黒くグラデーションをかけます。
この「白から黒への急激な変化」が影となり、実際には平らな後頭部であっても、あたかも奥行きがあるような丸みを帯びたシルエットに見せることができるのです。これは、髪を長く残して隠すよりも、むしろ短く刈り込んで色彩を操作する方が、より効果的に絶壁をカバーできます。
「ハチ張り」を目立たなくするサイドのつなぎ方
頭のハチ(サイドの角)が張っていると、頭が四角く大きく見えてしまい、スタイリッシュさが損なわれます。ハチ張りの場合、サイドのフェードを直角に刈り上げすぎると、ハチの角が強調されて「カッパ」のようなシルエットになってしまうリスクがあります。
これを防ぐために、理容師はサイドの刈り上げを垂直ではなく、やや内側に向かってラウンドさせるようにカットしたり、ハチ部分の角(コーナー)をあえて削り落としたりする技術を使います。また、フェードの高さをMid〜Highに設定し、ハチ下のボリュームを極限まで削ることで、相対的にハチの出っ張りが気にならないように馴染ませることが可能です。
面長・丸顔に似合わせるトップのボリューム調整法
フェードカットはサイドとバックを短くするため、顔の輪郭がはっきりと出ます。そのため、トップの髪の残し方で顔型のバランスを取ることが重要です。
- 面長の方:トップを高くしすぎると顔の長さが強調されてしまいます。トップは寝かせる「クロップスタイル」や、サイドに流すスタイルで高さを抑え、横のラインを意識したシルエットを作るとバランスが良くなります。
- 丸顔の方:縦のラインを強調する必要があります。トップに高さを出す「ポンパドール」や「アップバング」スタイルにし、サイドのフェードをタイトに(高めに)入れることで、顔全体をシャープで縦長な印象に見せることができます。
スーツに似合う!ビジネスマンにおすすめのスキンフェードスタイル5選
理論がわかったところで、実際にビジネスマンにおすすめの具体的なスタイルを紹介します。奇抜すぎるスタイルは除外し、スーツとの相性が良く、朝のスタイリングも楽な実用的な5選をピックアップしました。
七三分け(サイドパート)× スキンフェード:誠実さNo.1のクラシックスタイル
特徴
きっちりと分け目を作って髪をとかしつける、バーバースタイルの王道です。フェードの高さはLow〜Midがおすすめ。
ビジネス相性
最もフォーマルで誠実な印象を与えます。昭和の七三分けとは異なり、フェード部分の色彩とウェットな質感のセットにより、モダンで洗練された雰囲気に仕上がります。重要な商談やプレゼンの場でも信頼感を勝ち取れるスタイルです。
クロップスタイル × Lowフェード:前髪を抑えた都会的な印象
特徴
前髪を短く切り揃え、全体を前に向かって寝かせるスタイルです。海外で爆発的な人気を誇り、日本でも定着しつつあります。
ビジネス相性
おでこを出すスタイルではありませんが、前髪が短く眉毛が見えるため、暗い印象にはなりません。何よりセットが非常に楽で、ドライヤーで前に乾かすだけで形になります。クリエイティブ職や、少しモードな雰囲気を好むビジネスマンにおすすめです。
ポンパドール(アップバング)× Midフェード:営業職に最適なおでこ出しスタイル
特徴
前髪を大きく立ち上げて後ろに流し、ボリュームを持たせるスタイルです。サイドのフェードとのメリハリが強く出ます。
ビジネス相性
おでこを完全に出すことで、明るく自信に満ちた表情に見せることができます。営業職や接客業など、人と対面する機会が多い職種の方に最適です。ハチ張りの方でも、トップに高さを出すことでバランスが取りやすいスタイルです。
バーバー風ソフトモヒカン(ジェットモヒカン):スポーティで若々しい
特徴
トップの中央に髪を集め、前髪を反り立つようにセットするスタイルです。従来のソフトモヒカンにフェードを合わせることで、より鋭角でスポーティな印象になります。
ビジネス相性
若々しくアクティブな印象を与えます。特にスポーツをしている方や、ガッチリした体型の方に似合います。ただし、ツンツンさせすぎると子供っぽくなる可能性があるため、艶のある整髪料で大人っぽくまとめるのがコツです。
濡れパン(アイロンパーマ)× フェード:直毛の悩みを解消しセットを時短
特徴
日本人の硬い直毛に、理容室特有の「アイロンパーマ」をかけてカールを作るスタイルです。「パンチパーマ」の現代版アレンジであり、濡れたような質感で仕上げることから「濡れパン」と呼ばれます。
ビジネス相性
実はビジネスマンにこそ最強の組み合わせです。直毛で横に広がりやすい髪を強制的に寝かせたり流したりできるため、朝のセット時間が劇的に短縮されます。カールの強さは調整できるため、緩めにかければ自然な癖毛風になり、ビジネスでも違和感がありません。
現役理容師オーナーのアドバイス
「日本人の男性の多くは、髪が硬くて太く、横に広がる直毛剛毛です。フェードにすると、伸びてきたサイドの髪が『カッパ』のように浮いてしまうのが悩みどころ。そんな方にこそ、フェードと合わせて『緩パン(緩いアイロンパーマ)』をおすすめしています。形状記憶パーマなので、ドライヤーで乾かすだけで理想のシルエットになり、朝のセットが嘘のように楽になりますよ」
理容室で緊張しない!失敗ゼロのオーダーマニュアル
「スキンフェードにしたいけれど、理容室でどう頼めばいいかわからない」「専門用語がわからなくて不安」という方のために、失敗しない具体的なオーダー手順を解説します。
写真を見せる時のポイント:「高さ」と「色の濃さ」を指定する
最も確実なのは、なりたいイメージの写真を見せることですが、ただ見せるだけでは不十分な場合があります。写真を見せながら、以下の2点を具体的に伝えてください。
- 刈り上げの高さ(Low/Mid/High):「この写真くらいの高さで」と指差して伝えつつ、「仕事があるのであまり高くしすぎないでほしい」などの要望を付け加えます。
- 色の濃さ(白さ):「真っ白(0mm)からガッツリいきたい」のか、「0mmだけど、あまり白くなりすぎないように低めからぼかしてほしい」のか。地肌の見え方の好みを伝えます。
「何ミリにしますか?」と聞かれた時の正解回答
席に座ると必ず聞かれるのが「周りは何ミリにしますか?」という質問です。スキンフェードを希望する場合の正解回答は以下の通りです。
- 基本の回答:「スキンフェードでお願いします。一番下は0mm(剃る)で、グラデーションにしてください」
- トップの長さ:「トップは七三に分けられる長さを残してください」や「短くして前に流したいです」など、上の髪の扱いもセットで伝えます。
- バリカンの有無:もし0mm(カミソリ)に抵抗がある場合は、「一番下は0.8mmや1mmくらいで、スキンフェードっぽく見せてください」と頼むのもアリです。これを「フェードカット」と呼び分ける店もあります。
失敗オーダー回避!NGワードと伝わりにくい頼み方
逆に、理容師を困らせてしまったり、イメージと違う仕上がりになったりしやすいNGオーダーもあります。
- 「普通に短く」:人によって「普通」の基準が違います。理容師にとってのフェードの普通はかなり短い可能性があります。
- 「ツーブロックで」:フェードとツーブロックは構造が違います。ツーブロックは「段差」がありますが、フェードは「段差のないグラデーション」です。これを混同すると、被さる髪が残ってしまい、希望のフェードスタイルにならないことがあります。
【実録】筆者が目撃した失敗オーダー事例
以前、初めて来店されたお客様が「とりあえずガッツリ短く、スキンフェードで!」とだけオーダーされました。お客様の意図としては「サッパリしたい」程度だったのですが、担当したスタッフが言葉通りにHighフェードの0mmで仕上げたところ、「こんなに白くなるとは思わなかった…明日会社に行けない」と青ざめてしまったことがありました。
この失敗の原因は、お客様が「スキンフェード=かなり白い」という認識を持っていなかったことと、理容師側がライフスタイル(職場環境)を確認しなかったことにあります。必ず「仕事で髪型の規定はありますか?」という質問には正直に答え、不安な場合は「最初は控えめに」と伝える勇気が大切です。
ぶっちゃけメンテナンスは大変?頻度とコストの現実
スキンフェードは維持するのが大変、という噂を聞いたことがあるかもしれません。ここでは、メリットだけでなく、維持にかかる手間やコストという現実的な側面(デメリット)についても正直にお伝えします。
「賞味期限」は2週間?ベストな状態を保つ来店頻度
残念ながら、スキンフェードの「賞味期限」は非常に短いです。一般的に、最も美しい状態を保てるのはカットしてから1週間〜10日程度です。
人間の髪は1日に約0.3mm〜0.4mm伸びます。10日で3mm〜4mm伸びる計算になります。0mmだった部分が3mmになると、もはや「スキン(肌)」ではなくなり、ただの「短い刈り上げ」に見えてしまいます。あの美しいグラデーションと清潔感を完璧にキープしようとすると、2週間に1回の来店が理想的です。
伸びかけの「青ジョリ」問題とセルフケアの限界
2週間を過ぎると、耳周りや襟足の生え際が伸びてきて、輪郭がぼやけてきます。また、黒髪の日本人の場合、伸びかけの短い髪が密集すると「青ジョリ」状態になりやすく、清潔感が急速に低下します。
「バリカンを買って自分でやればいいのでは?」と考える方もいますが、セルフでのスキンフェードは極めて難易度が高いです。後ろが見えない状態でグラデーションを作るのは至難の業で、失敗して穴を開けてしまったり、ラインがガタガタになったりするリスクが高いです。プロとしては、セルフケアは襟足の産毛をシェーバーで剃る程度に留め、グラデーション部分は触らないことを強くおすすめします。
コストを抑えるための「メンテナンスカット」活用術
2週間に1回フルコースのカット料金(4,000円〜6,000円程度)を払うのは、経済的に厳しいという方も多いでしょう。そこで活用したいのが、多くのバーバーが導入している「メンテナンスカット(周りのみカット)」というメニューです。
これは、トップの長さは変えず、伸びてしまったフェード部分(刈り上げ部分)だけをメンテナンスするメニューで、通常のカットよりも安価(2,000円〜3,000円程度)かつ短時間で提供されています。
現役理容師オーナーのアドバイス
「賢い通い方は、『月1回のフルカット』の間に『メンテナンスカット』を1回挟むことです。例えば、1週目にフルカット、3週目にメンテナンス、5週目にフルカット…というサイクルなら、常に清潔感を保ちつつ、コストも抑えられます。予約時に『メンテナンスコースはありますか?』と確認してみることをお勧めします」
翌日から自分でキマる!セット方法と必須アイテム
理容室でセットしてもらった時はかっこよかったのに、翌朝自分でやるとうまくいかない。そんな悩みを解消するために、スキンフェードに特化したセット方法と必須アイテムを紹介します。
フェードスタイルには「ポマード」か「ジェル」が必須な理由
スキンフェードのセットに、ふんわりさせるタイプのワックスは不向きです。フェードスタイルの魅力は「艶(ツヤ)」と「タイトなシルエット」にあるため、水分量が多く、セット力の高い「グリース(水性ポマード)」または「ジェル」が必須アイテムとなります。
これらの整髪料は、髪に濡れたような艶を与え、黒髪の美しさを引き立てます。また、短い髪もしっかりと抑え込んでくれるため、一日中崩れないスタイルをキープできます。特に水性ポマードは、ジェルのようにパリパリに固まりすぎず、後から手櫛で修正ができるため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
【動画解説あり】3分で終わる!朝の時短セット手順
ここでは、最も一般的な「七三分け×フェード」のセット手順を文字で解説します。慣れれば3分で終わります。
- 全体を濡らす:寝癖をリセットするため、一度髪を濡らします。
- ドライヤーで形を作る(重要):ここが8割です。分けたい位置で髪を分け、根元に風を当ててボリュームを出したい部分は立ち上げ、サイドの張りやすい部分は上から風を当てて抑え込みます。ある程度乾くまで形を作ります。
- ポマードを馴染ませる:ポマードを指第一関節分くらい取り、手のひら全体に透明になるまで伸ばします。
- 全体に塗布:バック→サイド→トップ→前髪の順に、シャンプーをするようにガシャガシャと全体に均一に付けます。
- コーミング(櫛を通す):メッシュコーム(目の粗い櫛)を使い、毛流れを整えます。前髪をグッと立ち上げて完成です。
プロが愛用するおすすめスタイリング剤
市販のワックスではなく、バーバーで取り扱っているプロ仕様のポマードを使うことが、クオリティアップへの近道です。
| 製品名 | 特徴 | おすすめの髪質・スタイル |
|---|---|---|
| BROSH POMADE (ブロッシュ) | 日本人の硬い髪質に合わせて開発された純国産ポマード。強力なセット力と伸びの良さが特徴。 | 剛毛、多毛の方。七三分けやクロップスタイルに最適。 |
| REUZEL BLUE (ルーゾー ブルー) | 世界一売れているオランダ発のポマード。甘いバニラの香りと、水性ならではの洗い流しやすさが魅力。 | ツヤを強く出したい方。オールバックやポンパドールに。 |
| クールグリース G | ドラッグストアでも手に入る入門用グリース。コスパ最強。 | 初めてグリースを使う方。セット力は中程度。 |
スキンフェードのよくある質問(FAQ)
最後に、お客様からカウンセリング時によくいただく質問にまとめてお答えします。
Q. バリカンで肌荒れしたりしませんか?
現役理容師オーナーの回答
「プロは肌への負担が少ない高級バリカン(WAHLなど)と、肌に優しい専用シェーバーを使用し、施術後には必ずアフターシェーブローションやトニックでケアを行うため、基本的には大丈夫です。ただし、極度の敏感肌の方や、カミソリ負けしやすい方は、事前に『肌が弱いのでシェーバーは優しめにお願いします』とお伝えいただければ、0mmにはせず0.4mm程度で止めるなど調整が可能です」
Q. 頭の形が悪くても似合いますか?
はい、似合います。記事内でも解説しましたが、スキンフェードは色彩の濃淡(グラデーション)によって、頭の形をきれいに見せる補正効果があります。むしろ、頭の形にコンプレックスがある方こそ、一度プロの理容師に相談して、骨格補正フェードを体験していただきたいです。
Q. 冬は寒くないですか?
正直に申し上げますと、寒いです。特に刈りたての数日間は、首元や耳周りがスースーします。冬場にスキンフェードにする場合は、マフラーやネックウォーマーが必須アイテムになるとお考えください。しかし、タートルネックや厚手のアウターを着た時に、襟足がスッキリしていると非常にバランスが良く見えるというメリットもあります。
Q. 薄毛でもスキンフェードはできますか?
回答詳細
むしろ薄毛の方にこそ推奨します。トップの毛量が少なくなってきた時、サイドやバックの髪が長いままだと、その対比でトップの薄さが余計に目立ってしまいます。
スキンフェードでサイドを極限まで短くし、色彩を白くすることで、トップとの濃淡の差を縮めることができます。これにより、薄毛が目立ちにくくなり、かつ「隠している」感じがなくなり、清潔感のある堂々とした印象に変わります。多くの薄毛の悩みを持つお客様が、スキンフェードにして自信を取り戻しています。
まとめ:自分に似合うスキンフェードで「デキる男」の清潔感を
スキンフェードは、単なる流行の髪型ではなく、ビジネスマンにとって「清潔感」と「自信」を手に入れるための最強の武器です。「高さ選び(Low/Mid)」と「骨格補正」さえ間違えなければ、会社でも好印象を与え、スーツ姿を格上げしてくれます。
最後に、あなたが明日から理想のスタイルを手に入れるためのチェックリストを用意しました。これを確認して、ぜひ信頼できるバーバーの扉を叩いてみてください。
スキンフェード挑戦前の最終チェックリスト
- 会社の髪型規定(ツーブロックや刈り上げの高さ制限)を確認したか?
- 自分の頭の形(絶壁・ハチ張り)の特徴を把握したか?
- なりたいスタイルの画像(特に横と後ろのアングル)をスマホに保存したか?
- 常に清潔感を保つために、2〜3週間に1回通える予算と時間は確保できるか?
まずはリスクの少ない「Lowフェード」から挑戦し、徐々に自分に似合う高さやスタイルを見つけていくのが成功への近道です。毎朝鏡を見るのが楽しみになるような、あなただけのスキンフェードスタイルが見つかることを応援しています。
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