「スーパーで白子を買ってみたけれど、生臭くて食べられなかった」
「お店のようなトロッと濃厚な白子ポン酢を家でも食べたいけれど、アニサキスが怖くて手が出せない」
冬の味覚の王様、白子。そのクリーミーな美味しさに魅了される一方で、家庭での調理には高いハードルを感じている方が多いのではないでしょうか。特に、独特のぬめりや血管の処理、そして何よりも食中毒への不安が、購入をためらわせる大きな要因となっています。
しかし、断言します。白子の美味しさは「下処理」で9割決まります。
たとえスーパーで半額シールが貼られた白子であっても、プロ直伝の「塩洗い」と「適切な湯通し」を行えば、臭みが完全に消え、安心かつ濃厚クリーミーな料亭の味へと劇的に変化させることができるのです。私は鮮魚店を営んで40年になりますが、これまで5万パック以上の白子をお客様にお届けしてきました。その経験から、家庭でも絶対に失敗しない「究極の下処理術」を余すことなくお伝えします。
この記事では、以下の3点を中心に、専門家の視点で徹底解説します。
- 鮮魚店店主が教える「臭みを完全に消す」下処理の全工程
- アニサキス食中毒を防ぐための正しい加熱時間と目視確認のコツ
- 定番のポン酢から、焼き・天ぷらまで絶品白子レシピ4選
読み終える頃には、あなたの白子に対する苦手意識は消え、「今夜は白子で一杯やろう」とスーパーへ走り出したくなるはずです。
白子料理は「選び方」から始まる!種類と鮮度の見極め方
美味しい白子料理を作るための最初のステップは、キッチンに立つ前、つまり「スーパーの鮮魚コーナー」から始まっています。どんなに優れた料理人が調理しても、素材そのものの鮮度が悪すぎては、そのポテンシャルを最大限に引き出すことはできません。
しかし、多くの人が「白子ならどれも同じ」と思って適当に選んでしまっています。ここでは、プロだけが知っている「種類の違い」と「鮮度を見極める目利きのポイント」を詳しく解説します。これを知っているだけで、食卓に並ぶ白子の質が格段に向上します。
「真鱈(マダラ)」と「助宗鱈(スケソウダラ)」の違い
スーパーに並ぶ白子には、大きく分けて「真鱈(マダラ)」と「助宗鱈(スケソウダラ)」の2種類が存在します。パッケージに単に「タラ白子」としか書かれていない場合もありますが、この2つは味も食感も、適した料理法も全く異なります。失敗しないためには、まずこの違いを理解しておくことが重要です。
1. 真鱈の白子(別名:雲子・きくこ)
一般的に「白子」として高級店で提供されるのは、この真鱈の白子です。
- 特徴: 房の一つ一つが大きく、ふっくらとしています。色は純白から淡いピンク色で、見るからに濃厚そうです。
- 味わい: 非常にクリーミーで、口の中でとろけるような食感が特徴です。コクがあり、まさに「海のミルク」と呼ぶにふさわしい味わいです。
- 適した料理: その濃厚さをダイレクトに楽しむ「白子ポン酢」や、外はカリッ中はトロッとした食感を楽しむ「焼き白子」「天ぷら」に最適です。
- 価格: 助宗鱈に比べると高価ですが、その価値は十分にあります。
2. 助宗鱈(スケソウダラ)の白子
比較的安価で手に入りやすいのが助宗鱈の白子です。
- 特徴: 真鱈に比べて房が細かく、全体的に細長い形状をしています。水分が多く、少し水っぽい印象を受けるかもしれません。
- 味わい: 真鱈ほどの濃厚さはなく、あっさりとしています。クセが少ない分、食べやすいとも言えますが、ポン酢で食べると少々物足りなさを感じることもあります。
- 適した料理: 加熱しても固くなりにくいため、「味噌汁」や「鍋の具材」、「卵とじ」など、汁気のある料理に向いています。出汁の旨味を吸わせるような調理法がおすすめです。
- 価格: 非常にリーズナブルで、日常の食卓に取り入れやすい食材です。
3. 鮭の白子
タラ以外にも、秋口には鮭の白子が出回ります。こちらはタラに比べてしっかりとした食感があり、安価で栄養価も高いです。クセが少ないので、フライや煮付けに向いています。
鮮度抜群の白子を見分ける3つのチェックポイント
種類を決めたら、次は個体選びです。同じ売り場に並んでいるパックでも、鮮度には個体差があります。以下の3つのポイントをチェックして、最も新鮮なものをカゴに入れてください。
1. 色:透明感のある乳白色かピンク色
新鮮な白子は、輝くような乳白色、あるいはうっすらとピンクがかった色をしています。これは血管の血が新鮮である証拠でもあります。逆に、全体的に黄色っぽく変色しているものや、灰色がかってくすんでいるものは、時間が経過して酸化が進んでいるサインです。また、透明感がなく白く濁りすぎているものも、鮮度が落ちている可能性があります。
2. 張り:房の輪郭がプリッとしている
パックの上からでも、白子の「張り」を確認してください。新鮮な白子は、房の溝が深く、一つ一つの輪郭がくっきりと盛り上がっています。まるで赤ちゃんの肌のような弾力を感じさせるものがベストです。一方で、全体的にデローンと溶けたようになっているものや、房の形が崩れて平べったくなっているものは、鮮度劣化により身が緩んでいます。こうした白子は加熱するとボロボロになりやすく、臭みも強い傾向があります。
3. ドリップ:トレーの中に赤い汁が出ていない
これが最も分かりやすい判断基準です。魚介類は時間が経つと、細胞が壊れて体液や血水(ドリップ)が流れ出します。
創業40年 鮮魚専門店店主のアドバイス:パック入りの白子を買う時の注意点
「スーパーで買う時は、必ずパックを少し傾けてドリップを確認してください。トレーの隅に、白く濁った水や、赤い血水が溜まっているものは避けた方が無難です。ドリップが出ているということは、それだけ時間が経っており、その水分の中で雑菌が繁殖して臭みの原因になっている可能性が高いからです。多少値段が高くても、『張り』があってドリップが少ないものを選ぶのが、結果的に一番美味しく、安物買いの銭失いにならない秘訣ですよ。」
【工程1】臭みの元凶「血管」と「筋」を取り除く下処理
ここからがいよいよ、記事の核となる「下処理」の実践編です。多くのレシピサイトでは「さっと洗って茹でる」と簡単に書かれていますが、プロから言わせればそれでは不十分です。白子独特の生臭さの正体は、表面のぬめりと、内部に残った血液です。
特に「血管」と「筋」の処理を怠ると、食べた時に口の中に不快な膜が残ったり、噛んだ瞬間に生臭い血の味が広がったりして、せっかくの料理が台無しになります。ここでは、鮮魚店で実際に行っている処理方法を、家庭でも実践しやすいようにアレンジして解説します。
準備するもの(キッチンバサミが便利)
特別な道具は必要ありませんが、包丁よりも「キッチンバサミ」を用意することを強くおすすめします。白子は非常に柔らかく滑りやすいため、包丁で切ろうとすると身を押し潰してしまうことがあるからです。
- ボウルとザル: 洗いと水切りに使用します。
- 塩: ぬめり取りに必須です。普通の食卓塩で構いません。
- 酒(料理酒): 臭み消しと風味づけに使います。
- キッチンバサミ: 細かい血管や筋を切るのに最適です。先が細いものが使いやすいです。
手順①:水洗いで表面の汚れを落とす
まずは、買ってきた白子をパックから出し、ザルに移します。そして、たっぷりの流水で優しく表面を洗い流します。この段階では、まだゴシゴシ洗う必要はありません。表面についている大きな汚れや、パックの中に溜まっていたドリップをさっと流すイメージです。
冷たい水を使うのがポイントです。お湯を使うと、この時点で表面が変質してしまうので注意してください。洗い終わったら、水気を軽く切ってボウルに入れます。
手順②:太い血管と筋を切り分ける
ここが最も根気のいる作業ですが、仕上がりに雲泥の差が出ます。白子の房をつなぎ合わせている黒っぽい筋や、房の表面を走っている赤い血管を取り除いていきます。
具体的な作業手順:
- 白子を手に取り、房と房のつなぎ目を探します。ここには太い筋が通っています。
- キッチンバサミの刃先を使い、この筋を断ち切るようにして、白子を一口大の大きさに切り分けていきます。小さくすることで、この後の塩洗いや湯通しが均一に行えるようになります。
- 切り分けた房の表面に、目立つ赤い血管や黒い筋が残っている場合、ハサミの先でつまむようにして切り取ります。
- また、黄色っぽく変色している部分があれば、そこは胆汁などが付着して苦味の原因になることがあるので、思い切って切り捨てましょう。
完全に全ての毛細血管を取り除くのは不可能ですが、目につく太いものを取り除くだけで、見た目の美しさと食感が劇的に向上します。「赤い筋は臭みのハイウェイ」だと思って、丁寧に取り除いてください。
詳細解説:なぜ包丁ではなくハサミなのか?
プロの料理人は包丁を使いますが、それは切れ味が抜群に鋭いからです。家庭の包丁、特に少し切れ味が落ちた包丁で柔らかい白子の筋を切ろうとすると、どうしても力が入り、まな板に白子を押し付ける形になります。すると、繊細な白子の膜が破れ、中のクリーム状の中身(精巣)が流れ出してしまいます。
一方、キッチンバサミなら、白子を空中で持ったまま、狙った筋だけを「チョキン」と切ることができます。身を潰すことなく、形をきれいに保ったまま処理ができるため、家庭ではハサミが最強のツールなのです。
【工程2】プロの秘技「塩揉み」でぬめりと臭みを完全除去
血管を取り除いたら、次は「ぬめり」と「臭み」を根こそぎ取り除く工程です。ここで行う「塩揉み」こそが、スーパーの白子を高級料亭の味に変える魔法のステップです。面倒くさがらずに必ず行ってください。
なぜ「塩」が必要なのか?(浸透圧の魔法)
真水で何度洗っても、白子の表面にある独特のぬめりはなかなか取れません。また、白子の内部に含まれる余分な水分には、生臭さの成分が含まれています。
ここで塩を使うと、「浸透圧」の働きが生まれます。塩分濃度の違いにより、白子の内部から水分が外へ引き出されます。この時、水分と一緒に生臭さや汚れ、ぬめりが浮き上がってくるのです。つまり、塩は単なる味付けではなく、「汚れを吸い出す掃除機」の役割を果たしているのです。
手順③:塩を振って優しく揉み込む
1. 塩を振る
ボウルに入れた白子(一口大に切ったもの)に、塩を振ります。分量の目安は、白子100gに対して塩小さじ1(約5g)です。「ちょっと多いかな?」と思うくらいの量で構いません。
2. 優しく揉み込む
手で優しく、白子全体に塩を行き渡らせるように混ぜ合わせます。ここで重要なのは「揉む」という言葉のイメージに惑わされず、「撫でる」ように扱うことです。
10秒〜20秒ほど優しくかき混ぜていると、次第に透明だった塩が馴染み、白子から驚くほど粘り気のある、白濁した水分が出てきます。これこそが臭みの正体です。泡立つようなぬめりが出てきたら、汚れが浮き上がったサインです。
手順④:酒水で洗い流してコーティング
浮き出た汚れを洗い流しますが、ここで真水を使うのはもったいないです。プロは「酒水(さかみず)」を使います。
1. 酒水の準備
別のボウルに、水と酒を「水3:酒1」くらいの割合で混ぜたものを用意します。酒を混ぜることで、アルコールの効果で生臭さをさらに消し去り、同時に魚の旨味を逃さないようにコーティングする効果があります。
2. 洗い流す
塩揉みした白子をザルごと酒水のボウルに入れ、優しく揺すり洗いします。白濁したぬめりが取れ、白子がキュッと引き締まるのを感じるはずです。汚れがひどい場合は、水を替えて2回行っても良いでしょう。
洗い終わったら、ザルに上げてしっかりと水気を切ります。この時点で、処理前とは比べ物にならないほど、白く輝く美しい白子になっているはずです。
創業40年 鮮魚専門店店主のアドバイス:洗いの力加減について
「『白子は赤ちゃんの肌』だと思って扱ってください。力を入れてゴシゴシ洗うと、薄い皮が破れて中のエキスが出てしまい、茹でた時に旨味が逃げてしまいます。指の腹を使って、優しく優しく撫でるように汚れを落とすのがコツです。このひと手間を愛おしむように行うことで、仕上がりの色が驚くほど白く、透き通った美しさになりますよ。」
アニサキス対策の要!安全で美味しい「湯通し(ボイル)」の極意
下処理で臭みは消えましたが、まだ安心はできません。白子を食べる上で最大の懸念事項、それは寄生虫「アニサキス」です。特に生食に近い状態で食べる場合、適切な加熱処理は避けて通れません。
ここでは、厚生労働省の基準に基づいた科学的に正しい加熱条件と、それでも「プリプリ・トロトロ」の食感を損なわないプロの茹で方を伝授します。
アニサキス食中毒を防ぐ加熱条件とは
アニサキスは、魚の内臓に寄生していることが多く、鮮度が落ちると内臓から筋肉(身)へと移動します。白子は内臓そのものですから、リスクは常に存在すると考えるべきです。
アニサキスを死滅させるための条件は以下の通りです(厚生労働省推奨)。
- 加熱する場合: 60℃で1分以上の加熱、または70℃以上であれば瞬時に死滅。
- 冷凍する場合: -20℃以下で24時間以上の冷凍。
「酢で締めれば死ぬ」「よく噛めば大丈夫」「わさびや醤油で死ぬ」というのは全て迷信です。アニサキスは酸にも強く、わさび程度ではびくともしません。確実なのは「熱」か「冷凍」のみです。家庭で美味しく食べるなら、適切な「熱処理(湯通し)」が最も現実的で安全な方法です。
手順⑤:たっぷりのお湯で茹でる(秒数の目安)
では、実際に茹でていきましょう。安全性を確保しつつ、火を通しすぎてパサパサにならないギリギリのラインを狙います。
1. お湯を沸かす
鍋にたっぷりの水を入れ、沸騰させます。お湯の量が少ないと、白子を入れた瞬間に温度が下がってしまい、加熱不足の原因になります。また、臭み消しのために、ここでも酒を大さじ1〜2杯入れるとより効果的です。
2. 白子を投入する
沸騰したお湯に、下処理済みの白子を入れます。一度に大量に入れると温度が下がるので、量が多い場合は数回に分けてください。
3. 加熱時間の目安
白子を入れるとお湯の温度が下がります。再び沸騰し始めてからの時間を計測します。
- 小さめの房: 再沸騰から約30秒〜40秒
- 大きめの房: 再沸騰から約50秒〜1分
表面が白く不透明になり、身がキュッと締まってプリッとした弾力が出てきたら引き上げの合図です。
手順⑥:氷水で一気に締める
茹で上がったら、すぐに網杓子ですくい、あらかじめ用意しておいた「氷水」のボウルにドボンと落とします。
これは単に冷ますだけではありません。急激な温度差を与えることで、表面の膜を引き締め、内部の濃厚なクリーム状の部分を閉じ込める効果があります。また、予熱で火が通り過ぎてボソボソになるのを防ぐためでもあります。白子が完全に冷えるまで、1〜2分ほど氷水に浸しておきましょう。
最終確認:アニサキスの目視チェック
氷水から引き上げ、水気を切った後、最後の安全確認を行います。アニサキスは半透明の白い糸のような姿(長さ2〜3cm、太さ0.5〜1mm程度)をしています。
加熱処理をしていれば死滅しているはずですが、死骸であっても食べるのは気持ちの良いものではありません。白子の表面や、房の間に白い糸状のものがないか、明るい場所で目視確認してください。もし見つけたら、ピンセットや箸で取り除けば問題ありません。
創業40年 鮮魚専門店店主のアドバイス:加熱不足が不安な方へ
「『中まで火が通っているか心配で、ついつい茹で過ぎてしまう』という声をよく聞きます。不安な方は、茹でた後に一番大きな房を一つ選んで、包丁で半分に割ってみてください。断面の中心が透明すぎず、うっすらと白濁していれば、十分に熱が通っています。逆に、完全に真っ白で固くなっている場合は茹で過ぎです。心配しすぎて茹で続けると、白子特有のとろける食感が失われてしまうので、予熱も計算に入れて『少し早いかな?』くらいで引き上げ、氷水で締めるのがプロのコツです。」
下処理済み白子で作る!絶品レシピ4選
完璧な下処理を終えた白子は、臭みが全くなく、濃厚な旨味の塊です。定番のポン酢だけでなく、加熱することでさらに甘みが増す白子の魅力を、様々な料理で楽しんでみましょう。
【王道】濃厚とろける「白子ポン酢」
やはり外せないのが王道のポン酢。下処理の良し悪しが最もダイレクトに出る食べ方です。
- 材料: 下処理済み白子、ポン酢、薬味(もみじおろし、小ネギ、すだち、ゆずなど)。
- 作り方:
- 氷水で締めた白子の水気を、キッチンペーパーで徹底的に拭き取ります。ここに水分が残っていると、ポン酢が薄まり水っぽくなってしまいます。
- 器に盛り付け、食べる直前にポン酢をかけます。
- たっぷりの薬味を添えて完成。
- 美味しさのコツ: ポン酢は「かける」のではなく、小皿に入れて「つけながら」食べると、白子の甘みをより強く感じられます。
【香ばしい】外はカリッ、中はトロッ「焼き白子」
焼くことで水分が飛び、味が凝縮されます。香ばしい焦げ目が食欲をそそる一品です。
- 材料: 下処理済み白子、醤油、バター(またはオリーブオイル)、七味唐辛子、アルミホイル。
- 作り方:
- アルミホイルに油を薄く塗り、水気を切った白子を並べます。
- トースターまたは魚焼きグリルで、表面に軽く焦げ目がつくまで5〜8分ほど焼きます。
- 仕上げに醤油を数滴垂らし、バターを乗せて余熱で溶かします。
- 美味しさのコツ: 焼きすぎると破裂することがあるので、目を離さないようにしましょう。柚子胡椒を添えても絶品です。
【サクサク】お店の味「白子の天ぷら」
「白子は天ぷらが一番旨い」と言う料理人も多いです。サクサクの衣と、熱で溶けたクリーム状の白子のコントラストは筆舌に尽くしがたい美味しさです。
- 材料: 下処理済み白子、天ぷら粉、揚げ油、塩(抹茶塩や岩塩がおすすめ)。
- 作り方:
- 白子の水気をしっかり拭き取り、茶こしなどで小麦粉を薄くはたきます(これが衣剥がれと油ハネを防ぐ重要ポイント!)。
- 少し固めに溶いた天ぷら衣にくぐらせます。
- 180℃の高温の油で、衣がカラッとするまで短時間(1分〜1分半)揚げます。中はすでに下処理で火が通っているので、衣が揚がればOKです。
- 美味しさのコツ: 天つゆよりも、シンプルに「塩」で食べるのがおすすめ。白子の甘みが引き立ちます。
【温まる】出汁が染み渡る「白子の卵とじ吸い物」
少し形が崩れてしまった白子や、安価な助宗鱈の白子におすすめのレシピです。
- 材料: 下処理済み白子、出し汁(白だしでも可)、卵、三つ葉。
- 作り方:
- 鍋に出し汁を沸かし、醤油・酒・塩で味を調えます。
- 白子を入れて弱火で温めます(煮立たせないように)。
- 溶き卵を回し入れ、ふんわりと固まったら火を止めます。
- 美味しさのコツ: 最後に生姜の絞り汁を少し加えると、体が芯から温まる上品な味わいになります。
創業40年 鮮魚専門店店主のアドバイス:一番美味しい食べ方は?
「個人的に、日本酒好きの方にぜひ試していただきたいのが『昆布焼き』です。水で戻した昆布をアルミホイルに敷き、その上に白子を乗せてトースターで焼くだけ。昆布の旨味成分(グルタミン酸)が加熱されることで白子に移り、調味料なしでも驚くほど深い味わいになります。焼き上がった熱々の白子を昆布ごと皿に乗せ、ちびちびとつまむ。これ以上の贅沢はありませんよ。」
白子の保存方法と日持ち(冷蔵・冷凍)
「安かったからたくさん買ってしまった」「料理に使ったけれど少し余ってしまった」という場合の保存方法について解説します。白子は非常に足が早い食材ですが、正しく保存すれば数日は楽しめます。
冷蔵保存の場合(消費期限の目安)
生のまま保存するのは避け、必ず「下処理(ボイル)」をしてから保存してください。
- 方法: タッパーなどの保存容器に白子を入れ、白子が完全に浸かるくらいの水を張ります。冷蔵庫のチルド室などの低温の場所で保存します。
- 日持ち: 約2〜3日。
- 注意点: 保存用の水は、毎日必ず新しい冷水に取り替えてください。水が濁ってきたら痛みのサインですので、食べるのは控えましょう。
冷凍保存の場合(解凍後の使い道)
長期保存したい場合は冷凍も可能です。
- 方法: 下処理(ボイル)し、水気をキッチンペーパーで完全に拭き取ります。一回分ずつラップでぴったりと包み、冷凍用保存袋(ジップロック等)に入れて空気を抜いて冷凍します。
- 日持ち: 約1ヶ月。
- 解凍方法: 食べる前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、袋のまま流水解凍します。
- 注意点: 冷凍すると、どうしても細胞が壊れて「とろける食感」が少し損なわれ、若干ボソボソとした食感になります。そのため、解凍後はポン酢などの生食(刺身感覚)ではなく、味噌汁、鍋物、グラタン、ホイル焼きなど、再度加熱する料理に使うのが美味しく食べるコツです。
白子に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、店頭でお客様からよく聞かれる質問をまとめました。疑問を解消して、安心して白子料理を楽しんでください。
Q. スーパーの白子は生で食べられますか?
A. 基本的には「加熱」をおすすめします。
スーパーで売られている白子の多くは「加熱用」と表示されています。これは鮮度の問題だけでなく、アニサキス対策の観点からも加熱が前提となっているからです。稀に「刺身用」「生食用」と明記された高鮮度のものも販売されていますが、それでも家庭で食べる場合は、サッと湯通し(湯引き)をした方が、表面の雑菌や臭みが取れ、より安全かつ美味しくいただけます。
Q. 白子を食べ過ぎると痛風になりますか?
A. 食べ過ぎには注意が必要です。
白子は非常に美味しいですが、細胞の塊であるため「プリン体」を多く含みます。100gあたりのプリン体含有量は約300mgと言われており、これは鶏レバーやアンコウの肝に匹敵する数値です。尿酸値が気になる方は、1回の食事で食べる量を50g〜100g程度(小鉢1杯分)に留め、毎日続けて食べるのは控えるのが賢明です。美味しいものは「適量」を楽しむのが、長く味わう秘訣です。
Q. 茹でても臭みが取れない場合は?
A. 下処理不足か、鮮度限界の可能性があります。
茹でた後でも生臭い場合、考えられる原因は2つです。一つは「塩揉み」が足りず、ぬめりや血管内の血が残っていたこと。もう一つは、購入時点で鮮度が落ちすぎていたことです。
もし臭みが残ってしまった場合は、無理にポン酢で食べようとせず、味の濃い料理にリメイクしましょう。ニンニクとバターで炒めたり、カレー粉をまぶして唐揚げにしたり、濃いめの味噌鍋に入れたりすることで、臭みをマスキングして美味しく食べることができます。
まとめ:正しい下処理で、お家で極上の白子を味わおう
ここまで、プロ直伝の白子の下処理方法と食べ方について解説してきました。工程が多く感じるかもしれませんが、慣れてしまえば一連の作業は5分〜10分程度で終わります。
重要なポイントを振り返りましょう。
- 白子の味は「下処理」で決まる。 血管を取り、塩で揉んでぬめりを出すことが最重要。
- アニサキス対策は「加熱」が基本。 沸騰したお湯で30秒〜1分茹でれば、安全かつ食感も良くなる。
- 優しく扱う。 洗う時も茹でる時も、赤ちゃんの肌のように優しく扱うことで、美しい仕上がりになる。
スーパーで売っている数百円の白子パックも、あなたの手で正しく磨き上げれば、高級料亭で出てくる一皿に負けない輝きを放ちます。「臭い」「怖い」というイメージを払拭し、濃厚でクリーミーな冬の味覚を、ぜひご家庭の食卓で楽しんでください。
創業40年 鮮魚専門店店主からの最後のエール
「最初は面倒に感じるかもしれませんが、自分で丁寧に下処理をした真っ白でツヤツヤの白子を見たら、その美しさにきっと感動するはずです。そして一口食べた瞬間、『これが家で食べられるの!?』と驚くことでしょう。一度この味を知ってしまったら、もうパックのまま調理したものには戻れませんよ。今夜の晩酌が最高のものになるよう、ぜひ挑戦してみてください。」
白子の下処理 3ステップ要点チェックリスト
最後に、調理中の確認用としてご活用ください。
- 血管除去: 赤い血管と筋をハサミで丁寧に取り除きましたか?
- 塩揉み・洗浄: 塩揉みをして粘り気のあるぬめりを出し、酒水で優しく洗い流しましたか?
- 加熱・冷却: 沸騰したお湯で30秒〜1分茹で、すぐに氷水で締めましたか?
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