「レシピ通りに作ったはずなのに、焼き上がった米粉パンがカチカチのお餅のようになってしまった……」
「米粉は扱いが難しいから、やっぱり小麦粉に戻そうかな」
そんな経験はありませんか?実は、米粉料理の失敗の9割は、あなたの腕ではなく「粉の選び方」に原因があります。スーパーで手に入る米粉には、実は目に見えない「適正用途」があり、パンに向かない米粉でパンを焼こうとすると、プロでも失敗してしまうのです。
逆に言えば、用途に合った正しい米粉を選び、ほんの少しの科学的なコツさえ掴めば、誰でも簡単に「外はカリッ、中はモチッ」とした極上の食感を実現できます。小麦粉のような「こねる」作業も不要で、発酵時間も短い米粉は、実は忙しい現代人の最強の味方なのです。
この記事では、米粉マイスターとして5,000回以上の試作を重ねてきた筆者が、以下の3点を中心に徹底解説します。
- パン用・菓子用・料理用など、パッケージ裏を見るだけで分かる「失敗しない米粉の選び方」
- 「餅になる」「膨らまない」を未然に防ぐ、米粉パン成功のための科学的アプローチ
- いつもの唐揚げやシチューが劇的に美味しくなる、余った米粉の活用テクニック
この記事を読み終える頃には、「米粉は難しい」という苦手意識が消え、今すぐキッチンでふわふわのパンを焼きたくなるはずです。それでは、奥深い米粉の世界へご案内しましょう。
米粉とは?小麦粉にはない3つのメリットと基礎知識
近年、健康志向の高まりや小麦価格の高騰を受けて、急速に注目を集めている「米粉」。かつては和菓子(団子や餅)の材料というイメージが強かった米粉ですが、製粉技術の劇的な進化により、今ではパン、ケーキ、麺、揚げ物など、あらゆる料理に使える万能食材へと進化を遂げました。
多くの人が「なんとなく体に良さそう」というイメージを持っていますが、具体的に小麦粉と比べてどのような機能的メリットがあるのでしょうか。ここでは、単なる健康ブームに留まらない、米粉の実用的な3つのメリットを深掘りします。
グルテンフリーで身体に優しい(アレルギー対応と消化の良さ)
米粉の最大の特徴は、小麦に含まれるタンパク質の一種「グルテン」を含まないことです。グルテンはパンの骨格を作る重要な成分ですが、一方で体質によっては消化不良やアレルギー反応を引き起こす原因となることがあります。
米粉はグルテンフリーであるため、小麦アレルギーを持つお子様でも安心して食べることができます。また、グルテンは消化されにくい性質を持っていますが、米粉のアミノ酸スコアは小麦粉よりも高く(米:65、小麦:41)、消化吸収が良いのが特徴です。「パンやパスタを食べると食後にお腹が張る」「体が重くなる」と感じている方が、主食を米粉パンや米粉麺に切り替えたところ、食後の眠気や不快感が軽減されたという声は、私の教室でも頻繁に耳にします。
日本人の腸に馴染み深い「お米」を粉にして食べることは、遺伝子的にも理にかなった食事法と言えるでしょう。現代人の疲れた胃腸を休ませるという意味でも、米粉生活は非常に有効な選択肢です。
【吸油率比較】揚げ物が圧倒的にヘルシーでサクサクになる理由
料理をする方にぜひ知っていただきたい米粉の最強のメリット、それは「油の吸収率(吸油率)の低さ」です。揚げ物をする際、小麦粉を衣に使うと多くの油を吸ってしまいますが、米粉は小麦粉に比べて油を吸いにくい性質を持っています。
具体的な吸油率の違いを以下の表にまとめました。鶏の唐揚げを作った場合の比較データです。
▼ 小麦粉と米粉の吸油率比較データを見る
| 衣の種類 | 吸油率(目安) | 食感の特徴 | カロリーへの影響 |
|---|---|---|---|
| 小麦粉 | 約 35% 〜 40% | しっとり、時間が経つとベタつく | 油を多く吸うため高くなる |
| 米粉 | 約 20% 〜 25% | 薄付きでサクサク、冷めてもカリカリ | 油切れが良くヘルシー |
※一般的な調理条件下での目安値です。
このデータが示す通り、米粉を使うだけで揚げ物のカロリーを大幅にカットすることが可能です。さらに重要なのは「食感」です。米粉は水分保持能力が高く、油を吸いすぎないため、揚げたては「カリッ」「サクッ」とした軽い食感になります。
特筆すべきは「冷めた後の美味しさ」です。小麦粉の衣は時間が経つと空気中の水分と油が馴染んでベチャッとなりがちですが、米粉の衣は時間が経ってもカリカリ感が持続します。そのため、お弁当のおかずや作り置きに最適なのです。「揚げ物は油っこくて胃もたれするから苦手」という方こそ、ぜひ米粉での揚げ物を試してみてください。
「ダマにならない」からふるい不要!調理と後片付けの時短革命
毎日の料理で地味にストレスなのが、「粉をふるう」作業と「調理器具の洗い物」ではないでしょうか。小麦粉を使ってホワイトソースやパンケーキを作る際、ダマを防ぐために粉ふるいは必須工程ですが、米粉にはその常識が通用しません。
米粉はサラサラとしていて粒子が細かいため、液体に加えてもダマになりにくい性質があります。ホワイトソースを作る際も、冷たい牛乳に米粉を直接入れて混ぜてから火にかけるだけで、失敗なく滑らかなとろみがつきます。粉をふるう手間が省けるだけで、調理時間は大幅に短縮されます。
さらに、後片付けの楽さは感動的です。グルテン(粘り成分)がないため、ボウルや泡立て器についた生地が、水で流すだけで「さらっ」と落ちます。スポンジに粘りついた生地をゴシゴシ洗うあのストレスから解放されるのです。
小麦粉価格高騰の中で注目される「国産米粉」の経済性
昨今の国際情勢の影響により、輸入小麦の価格は高騰傾向にあります。一方で、国内の米の価格は比較的安定しており、食料自給率向上の観点からも、国産米粉の活用は国を挙げて推進されています。
かつては「米粉は高い」というイメージがありましたが、小麦粉の値上がりにより、その価格差は縮まりつつあります。また、米粉は水分を多く含むことができるため、同じ粉の量でも小麦粉より腹持ちが良く、満足感が高い料理が作れます。結果として、家計にとっても優しい選択肢となりつつあるのです。
米粉マイスターのアドバイス
「洗い物が楽になる意外なメリットについて、もう少し補足させてください。特に離乳食作りやお菓子作りの場面で、この恩恵は絶大です。小麦粉の生地がこびりついたボウルを洗う際、お湯を使うとグルテンが固まって余計に取れにくくなりますが、米粉なら水だけで驚くほど綺麗に落ちます。毎日のことだからこそ、この『洗い物のストレス激減』は、米粉を使い続ける大きな動機になりますよ。」
【最重要】スーパーで買う前に!失敗しない「米粉の種類と選び方」
ここからが本記事の核心部分です。もしあなたが「米粉パンを作って失敗したことがある」なら、その原因のほぼ全てはこのセクションにあります。
結論から申し上げます。「米粉」と一言で言っても、その性質は千差万別であり、「パン用」として設計されていない米粉でパンを焼くことは、プロであっても至難の業です。スーパーの棚に並ぶ米粉を適当にカゴに入れる前に、必ず以下の基準を確認してください。
なぜ「米粉なら何でもいい」は間違いなのか?(粒子の細かさと損傷デンプン)
米粉の品質を決定づける要素に、「粒子の細かさ(メッシュ)」と「損傷デンプン(スターチダメージ)の割合」があります。
パンを膨らませるためには、きめ細かい粒子が必要です。しかし、お米は非常に硬い穀物であるため、細かく粉砕しようとすると摩擦熱が発生し、デンプンが傷ついてしまいます(これが損傷デンプンです)。損傷デンプンが多い米粉は水を異常に吸ってしまい、生地がベタついて膨らみません。その結果、焼くと「ういろう」のような固い塊になってしまうのです。
一方、クッキーや天ぷらなどの料理用には、そこまで厳密なスペックは求められません。つまり、「パン作り」こそが最も米粉の品質にシビアな用途なのです。「料理用」と書かれた安価な米粉でパンを作ると失敗するのは、このためです。
パッケージで見分ける!農林水産省「用途別基準(1番・2番・3番)」の見方
消費者が迷わないよう、農林水産省と日本米粉協会は米粉の「用途別基準」を定めています。パッケージに「1番」「2番」「3番」という表記がある場合、それは以下の基準に基づいています。
▼ 用途別基準対応表(失敗しない選び方)を開く
| 用途分類 | 推奨用途 | 特徴・選び方のポイント |
|---|---|---|
| 1番 | 菓子・料理用 | 一般的な料理、天ぷら、クッキー、ケーキなどに最適。粒子は細かいが、パンほどの膨らみは期待できない。 |
| 2番 | パン用 | 【最重要】パンを焼くならこれ一択。損傷デンプンが10%以下に抑えられており、十分に膨らむ設計になっている。 |
| 3番 | 麺用 | うどんやパスタなど、コシが必要な用途向け。アミロース含有量などが調整されている。 |
最近ではパッケージの裏面や側面に、この番号や「パン用」「製菓用」といった用途が明記されています。パンを作りたい場合は、必ず「パン用」または「2番」と記載されたものを選んでください。
「上新粉」「白玉粉」「もち粉」と一般的な「米粉」の違い
スーパーの粉コーナーには、米粉以外にも「上新粉」「白玉粉」などが並んでいますが、これらは原料や製法が異なります。
- 上新粉: うるち米を洗って乾燥させ、粉にしたもの。粒子が粗く、柏餅や団子などの和菓子に使われます。パン作りには粒子が粗すぎて不向きです。
- 白玉粉・もち粉: もち米を原料としています。冷めても柔らかいのが特徴ですが、パン作りの主原料にすると、ドロドロに溶けてしまい形になりません(一部、食感改良のために少量混ぜるテクニックはあります)。
パンや洋菓子を作る際の「米粉」とは、一般的に「うるち米」を微細に製粉したものを指します。上新粉で代用することはできませんので注意しましょう。
パン作りなら「ミズホチカラ」一択?品種による仕上がりの決定的差
米粉パン作りにおいて、もはや常識となりつつあるのが「ミズホチカラ」という品種の存在です。
ミズホチカラは、元々は飼料用米として開発された品種ですが、一般的な食用米(コシヒカリなど)に比べて「アミロース」という成分が多く、製粉した際の損傷デンプンが極めて少ないという特徴を持っています。これがパン作りに奇跡的な適性を示しました。
コシヒカリなどの美味しい食べるお米で作った米粉は、粘りが強すぎてパンが膨らみにくい傾向があります。対してミズホチカラで作ったパンは、小麦粉パンに匹敵するほどの高さと、ふんわりとした口溶けを実現します。
もしあなたが、どの米粉を買えばいいか迷っているなら、パッケージに「品種:ミズホチカラ」と書かれたものを選んでください。これだけで、失敗のリスクは8割減らせると言っても過言ではありません。
米粉マイスターのアドバイス
「スーパーで安価に売られている『料理用』や『製菓用』の米粉でパンを作ってはいけない理由、お分かりいただけたでしょうか。かつて私も、スーパーの適当な米粉でパンを焼き、カチカチの『漬物石』のような物体を生み出して絶望した経験があります。パンを焼きたいなら、必ず『パン用』の表記か、『ミズホチカラ』を確認してください。これが成功への最短ルートであり、唯一の近道です。」
「パンが膨らまない・餅になる」を卒業!米粉パン成功の科学的コツ
適切な米粉(ミズホチカラ等のパン用米粉)を手に入れたら、次は「作り方」のコツです。しかし、ここで小麦粉パンの常識を持ち込むと失敗します。米粉にはグルテンがないため、製パン理論が根本から異なるからです。
ここでは、レシピ本にはあまり書かれていない、しかし成功のために不可欠な「科学的なコツ」を解説します。
小麦粉パンとは別物!「こねない」「一次発酵のみ」の時短プロセス
小麦粉のパン作りでは、一生懸命生地をこねてグルテン膜を作り、一次発酵、ベンチタイム、二次発酵……と長い時間をかけます。しかし、米粉にはグルテンがないため、「こねる」必要が全くありません。
むしろ、こねすぎると空気が抜けてしまったり、過剰な水分蒸発を招いたりします。米粉パンの工程は「混ぜる」→「型に流す」→「発酵(1回のみ)」→「焼く」という非常にシンプルなものです。慣れれば計量から焼き上がりまで1時間ちょっとで完成します。この手軽さこそが米粉パンの魅力です。
失敗原因No.1「水分量」の調整法(生地の固さはリボン状が正解)
米粉パン最大の失敗要因は「水分量」です。米粉は湿度や乾燥具合によって、日によって吸水量が微妙に変化します。レシピ通りの水を入れても、その日の粉の状態によっては水不足だったり、多すぎたりするのです。
正解を見極めるポイントは、生地の見た目と重さです。全ての材料を混ぜ合わせた後、ゴムベラや泡立て器ですくってみてください。
- OKな状態: 生地が途切れずにトロトロと流れ落ち、落ちた跡がリボンのように重なって、3秒ほど残ってから消える固さ。
- NG(水不足): ボトッ、ボトッと塊で落ちる。跡がずっと残る。 → 水を小さじ1ずつ足して調整してください。
- NG(水過多): シャバシャバと水のように落ち、跡がすぐに消える。 → 膨らみが悪く、キメが粗くなります。
この「リボン状」の見極めができるようになれば、どんな米粉を使っても失敗しなくなります。
乾燥は大敵!発酵中と焼成前の「保湿・油分」の重要性
米粉の生地は非常に乾燥しやすい特徴があります。発酵中に表面が乾いてしまうと、焼いたときにひび割れの原因となり、そこからガスが抜けて膨らまなくなります。
発酵させる際は、必ずラップや濡れ布巾をかけ、湿度を保ってください。また、オーブンに入れる直前に、生地の表面に霧吹きで水をかけたり、刷毛で油を薄く塗ったりすることで、乾燥を防ぎ、綺麗な焼き色をつけることができます。
過発酵に注意!小麦粉よりもデリケートな発酵見極めポイント
グルテンの膜でガスを保持する小麦粉パンと違い、米粉パンはデンプンの粘りでガスを保持しています。この力はグルテンより弱いため、発酵させすぎると(過発酵)、ガスを抱えきれずに生地が陥没してしまいます。
発酵の見極めは「元の生地の高さの約1.5倍〜1.8倍」になったタイミングです。小麦粉パンのように「2倍」まで待ってしまうと、焼成中に骨格が耐えきれずに潰れてしまいます。「まだもう少し膨らむかな?」と思う一歩手前でオーブンに入れるのが、高く綺麗な山型パンを焼くコツです。
翌日固くなったら?ふわふわを復活させる温め直しの裏技
米粉パンは「ご飯」と同じです。炊きたてのご飯は美味しいですが、冷蔵庫に入れたり冷めたりするとデンプンが老化(β化)してボソボソになります。米粉パンも同様に、翌日には固くなるのが自然な現象です。
しかし、温め直すことでデンプンは再びα化し、モチモチ感が復活します。食べる直前に以下の方法を試してください。
- 電子レンジ: 600Wで20〜30秒温める。水分が振動して、蒸しパンのようなもっちり食感になります。
- トースター: 表面に軽く霧吹きをしてから焼く。外はカリッ、中はふわっとした焼きたての食感が戻ります。
米粉マイスターのアドバイス
「もし失敗して『ういろう』のように固いパンになってしまっても、絶対に捨てないでください。薄くスライスしてカリカリにトーストしてラスクにするか、卵液に一晩浸してフレンチトーストにすると、モチモチ感が活きて絶品スイーツに生まれ変わります。失敗作こそが、最高のおやつになる可能性を秘めているんですよ。」
余った米粉を使い切る!いつもの料理がランクアップする活用レシピ
「パンを作るために米粉を買ったけど、1kgも使い切れない……」そんな悩みをお持ちではありませんか?米粉はパンやお菓子専用ではありません。むしろ、普段の料理にこそ積極的に使うべき「魔法の粉」です。
ここでは、余った米粉を消費するためではなく、あえて米粉を使いたくなるような、料理のランクアップ術をご紹介します。
【唐揚げ・天ぷら】冷めてもカリカリ!小麦粉と混ぜるハイブリッド使いも
前述の通り、米粉を揚げ衣に使うと吸油率が低く、カリカリに仕上がります。唐揚げの場合、小麦粉と片栗粉の代わりに米粉をまぶすだけです。薄付きで白っぽく上品に揚がり、冷めてもベチャッとしません。
天ぷらの場合は、米粉と水を混ぜるだけで衣が作れます。卵は不要です。グルテンが出ないので、混ぜすぎても粘りが出ず、誰が揚げてもサクサクの「お店の天ぷら」になります。慣れないうちは、小麦粉と米粉を半々で混ぜる「ハイブリッド使い」もおすすめです。小麦粉の風味と米粉の食感のいいとこ取りができます。
【シチュー・カレー】ダマ知らずで溶かすだけ!失敗なしのとろみ付け
シチューやカレーのとろみ付け、あるいは中華料理のあんかけを作る際、片栗粉や小麦粉を水で溶くのが面倒だと感じたことはありませんか?
米粉なら、仕上げの鍋に直接振り入れて混ぜるだけでとろみがつきます(※大量に入れる場合は水で溶いた方が無難ですが、少量なら直接でOK)。ダマになりにくく、非常になめらかな口当たりのとろみになります。バターを使わずに、豆乳と米粉だけで作るホワイトシチューは、あっさりとしていて胃にも優しいおすすめメニューです。
【ハンバーグ・つくね】パン粉の代わりに!肉汁を閉じ込めるつなぎ活用
ハンバーグのつなぎとしてパン粉の代わりに米粉を使うと、肉汁の流出を防ぐ効果が高まります。米粉の細かい粒子が肉の脂と水分をしっかり抱き込むため、焼き上がりがふっくらジューシーになります。
分量は、ひき肉300gに対して大さじ1〜2杯程度が目安です。パン粉がない時の代用としてだけでなく、肉汁あふれるハンバーグを作りたい時の隠し味として常備しておくと便利です。
【お好み焼き・チヂミ】長芋なしでもモチモチ食感に仕上がる魔法
お好み焼きを米粉で作ると、長芋を入れなくても生地自体がモチモチとした食感になります。外側はカリッと香ばしく、中は重厚感のあるモチモチ生地になり、食べ応えも抜群です。
ニラや海鮮を混ぜたチヂミにすると、米粉の特徴がさらによく活きます。薄く焼いても破れにくく、タレとの絡みも良いため、野菜嫌いのお子様でもパクパク食べてくれる人気メニューになります。
米粉マイスターのアドバイス
「米粉は湿気を吸いにくく、小麦粉より賞味期限や保存管理が楽です。私はコンロ横に小さな容器に入れて常備して、肉や魚を焼く前の『打ち粉』として多用しています。薄く均一につくので、ムニエルや生姜焼きがプロ級の仕上がりになりますよ。ぜひキッチンのスタメン調味料として迎えてあげてください。」
初心者でも簡単!混ぜて焼くだけの米粉スイーツ&おやつ
パン作りは発酵の見極めなど少しコツがいりますが、米粉スイーツは「混ぜて焼くだけ」のものが多く、初心者でも失敗知らずです。お菓子作りにおける米粉のメリットは、振るわなくていいこと、そして混ぜすぎても固くならないことです。
バターなしでもしっとり!米粉のマフィン・パウンドケーキ
米粉は油との相性が良いため、バターの代わりに植物油(米油や太白ごま油)を使ったレシピが豊富です。バターを室温に戻して練る手間がなく、ボウルに材料を次々に入れて混ぜるだけで生地が完成します。
焼き上がりはキメが細かく、しっとりとした食感。時間が経ってもパサつきにくいのが特徴です。バナナやカボチャなどの水分が多い食材を練り込んでも、生焼けになりにくく、素材の甘みを引き立ててくれます。
ホロホロ食感がやみつき!米粉のスノーボールクッキー
米粉で作るクッキーは、小麦粉のような「サクサク」感とは少し違い、「ホロホロ」と口の中で崩れる繊細な食感になります。特にスノーボールクッキー(ブールドネージュ)は米粉との相性が抜群。
アーモンドプードルと米粉、油、砂糖を混ぜて丸めて焼くだけ。卵を使わないので、卵アレルギーのお子様のおやつにも最適です。
アレルギーっ子も安心!卵・乳製品不使用の米粉蒸しパン
フライパンや電子レンジで作れる蒸しパンは、米粉のモチモチ感が最大限に活きるスイーツです。卵や牛乳を使わず、水(または豆乳)と油、砂糖、ベーキングパウダーだけで作れるため、特定原材料7品目不使用のおやつが簡単に作れます。
ほうれん草パウダーやココアを混ぜたり、さつまいもをトッピングしたりとアレンジも自在。朝ごはんの代わりにもなります。
離乳食にも最適!野菜パウダー×米粉のパンケーキ
離乳食後期(9ヶ月頃〜)の手づかみ食べメニューとして、米粉のパンケーキは非常に優秀です。小麦粉よりも消化が良く、砂糖を控えめにしてもお米本来の甘みで美味しく食べられます。
すりおろした人参やほうれん草ペーストを混ぜ込めば、野菜不足も解消。冷凍保存も可能なので、週末にまとめて焼いておくと忙しい朝に重宝します。
▼ 簡単レシピ:米粉の3分マグカップケーキ
【材料】
- 米粉(製菓用):大さじ4
- 砂糖:大さじ1〜2
- ベーキングパウダー:小さじ1/2
- 牛乳(または豆乳):大さじ3
- 植物油:小さじ1
【作り方】
- マグカップに全ての材料を入れ、粉っぽさがなくなるまでスプーンでよく混ぜる。
- 電子レンジ(600W)で1分30秒〜2分加熱する。
- 竹串を刺して生地がついてこなければ完成!
※加熱しすぎると固くなるので様子を見ながら調整してください。
米粉に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、米粉を使い始めるときに多くの人が抱く疑問について、専門家の視点からお答えします。
Q. 米粉にグルテンを添加すれば小麦粉と同じように使えますか?
市販の「グルテンパウダー」を米粉に添加すれば、小麦粉に近い膨らみを持たせることは可能です。これを「グルテン入り米粉パン」と呼びます。しかし、これではグルテンフリーのメリット(アレルギー対応や消化の良さ)は失われてしまいます。「小麦粉のようなパン」を目指すなら、グルテンを足すよりも、ミズホチカラのようなパン用米粉を使い、米粉特有のモチモチ感を活かしたレシピで作ることをおすすめします。
Q. 開封後の米粉の保存方法と賞味期限は?
米粉は乾燥しており水分活性が低いため、常温保存が可能です。ただし、湿気とニオイ移りには弱いため、開封後は密閉容器(タッパーやジッパー付き袋)に入れ、直射日光の当たらない涼しい場所で保管してください。冷蔵庫に入れると結露してカビの原因になることがあるため、夏場以外は冷暗所(パントリーなど)で大丈夫です。賞味期限は商品によりますが、開封後は1〜2ヶ月を目安に使い切ると風味が落ちません。
Q. 糖尿病ですが、米粉は小麦粉より血糖値が上がりにくいですか?(GI値について)
ここには注意が必要です。「米粉=ヘルシー=低GI」と思われがちですが、実はお米(白米)を粉にしたものなので、糖質量やGI値(血糖値の上昇度合い)は小麦粉と大きく変わりません、あるいは高い場合もあります。
米粉マイスターのアドバイス
「米粉パンはごはん(白米)と同様に高GI食品になりがちです。ダイエットや血糖値コントロールが目的の場合は、玄米を粉にした『玄米粉』を選んだり、食物繊維を含む野菜や、タンパク質(卵・肉・大豆製品)と一緒に食べることで血糖値の上昇を緩やかにする『食べ合わせ』の工夫が必要です。単体で食べるよりも、バランスの良い食事の一部として米粉を取り入れましょう。」
Q. 赤ちゃんにはいつから米粉を与えて大丈夫ですか?
米粉の原料はお米ですので、10倍粥(お米)に慣れてきた離乳食初期(5〜6ヶ月頃)から使用可能です。最初はスープのとろみ付けとして少量から始め、慣れてきたらパン粥や蒸しパンなどにステップアップしていくと良いでしょう。小麦アレルギーの心配がある場合、まずは米粉から粉ものに慣れさせるのが一般的です。
まとめ:正しい米粉選びで、美味しくヘルシーな「脱小麦」ライフを
ここまで、米粉のメリットから失敗しない選び方、活用レシピまで解説してきました。米粉は決して「扱いにくい粉」ではありません。「用途に合った粉」を選んでいないだけなのです。
最後に、失敗しないためのポイントをチェックリストにまとめました。
- パンを焼くなら、必ず「パン用(2番)」または「ミズホチカラ」を選ぶ。
- パン生地の水分量は、レシピを過信せず「リボン状」を目視で確認する。
- 料理やお菓子には「製菓・料理用(1番)」を使い、ダマなし・ふるいなしの快適さを享受する。
- 余った米粉は、唐揚げやとろみ付けに使い、酸化した油や洗い物のストレスを減らす。
今日からスーパーの粉コーナーを見る目が変わるはずです。正しい知識と適切な米粉があれば、あなたの食卓はもっと豊かで、健康的で、美味しいものになります。
ぜひ、まずは一袋、用途に合った米粉を手に取ってみてください。その一袋が、あなたとご家族の食生活を、より心地よいものに変える第一歩になることをお約束します。
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