「風邪を引いてから、もう2週間以上も咳が止まらない」
「階段を上るだけで、以前よりも息切れがするようになった」
「夜になると咳き込んでしまい、十分に眠れない」
もしあなたがこのような症状に悩まされているなら、それは単なる「風邪の治りかけ」や「年齢のせい」ではないかもしれません。咳や息切れといったありふれた症状の裏には、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、あるいはもっと重篤な呼吸器疾患が隠れている可能性があります。
結論から申し上げますと、咳が2週間以上続く場合や、安静時・労作時に息苦しさを感じる場合は、一般内科ではなく「呼吸器内科」を受診することが、早期治癒への確実な近道です。
呼吸器内科は、肺や気管支など「呼吸」に関わる臓器を専門的に診る診療科です。しかし、「近所の内科と何が違うの?」「どんな検査をするのか不安」と感じて、受診をためらっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、現役の呼吸器専門医である筆者が、以下の3点を中心に分かりやすく解説します。
- 呼吸器内科を受診すべき具体的な症状チェックリスト(危険なサイン)
- 一般内科や耳鼻咽喉科との決定的な違いと、専門医にかかるメリット
- 初診時の検査内容や費用の目安、信頼できるクリニックの選び方
正しい知識を持ち、適切なタイミングで専門医の診断を受けることが、あなたの肺の健康を守り、苦しい症状から解放される第一歩となります。ぜひ最後までお読みいただき、受診の参考にしてください。
呼吸器内科とは?受診を検討すべき「危険なサイン」
呼吸器内科とは、文字通り「呼吸」に関係する臓器、主に気管(空気の通り道)、気管支、肺、胸膜(肺を包む膜)などの病気を専門に扱う診療科です。人間は1日に約2万回もの呼吸を行っています。この生命維持に不可欠なシステムに異常が生じたとき、専門的な知識と技術で診断・治療を行うのが呼吸器内科医の役割です。
多くの患者さんが「どの程度の症状で病院に行っていいのか分からない」と迷われています。しかし、呼吸器の病気は進行性のものが多く、早期発見が予後を大きく左右します。以下に、受診を検討すべき具体的な判断基準を示します。
受診判断フローチャート(セルフチェック)
ご自身の症状と照らし合わせてみてください。以下の項目のうち、ひとつでも当てはまる場合は、呼吸器内科への受診を強くお勧めします。
| 症状のカテゴリー | チェック項目(Yesなら受診推奨) |
|---|---|
| 咳(せき) |
|
| 痰(たん) |
|
| 呼吸・胸部 |
|
「ただの風邪」ではない?2週間以上続く咳は要注意
最も受診のきっかけとして多いのが「長引く咳」です。通常、ウイルス性の風邪による咳であれば、長くても2週間程度で治まります。しかし、3週間以上、あるいは8週間以上続く咳は、医学的に「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」や「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれ、単なる風邪とは区別して扱われます。
なぜ2週間が目安になるのでしょうか。それは、この期間を超えると、感染症(ウイルスや細菌)以外の原因、例えば咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、あるいは結核や肺がんといった病気の可能性が高まってくるからです。
特に多いのが「咳喘息」です。これは気管支喘息の一歩手前の状態で、風邪をきっかけに気道が過敏になり、わずかな刺激で咳が止まらなくなる病気です。咳喘息は、一般的な咳止め薬や抗生物質では治りません。気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」など、特異的な治療が必要です。「風邪がこじれただけ」と放置していると、約3割が本格的な気管支喘息へ移行すると言われています。
痰(たん)、息切れ、胸の痛み…見逃してはいけない症状リスト
咳以外にも、肺からのSOSサインはいくつかあります。それぞれの症状が示唆する病気について詳しく見ていきましょう。
1. 痰(たん)の色と性状
健康な状態でも痰は作られますが、無意識に飲み込まれるため気づきません。痰が気になって吐き出す時点で何らかの異常があります。
黄色や緑色の痰は、細菌感染(気管支炎、肺炎、副鼻腔炎など)の強い疑いがあります。白血球が細菌と戦った死骸が含まれるため色がつきます。一方、サラサラした透明な痰や泡状の痰は、ウイルス感染やアレルギー、あるいは肺水腫や肺胞上皮がんなどの初期症状であることもあります。最も注意すべきは血痰です。激しい咳で喉が切れただけのこともありますが、肺がんや結核、非結核性抗酸菌症などの重大な疾患のサインである可能性も否定できません。
2. 息切れ(呼吸困難)
「年のせい」と見過ごされがちなのが息切れです。しかし、同年代の人と同じペースで歩けない、階段の途中で休んでしまうといった場合は、肺の機能が低下している可能性があります。特にタバコを吸う(吸っていた)方の息切れは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎の初期症状であることが極めて多いです。これらは進行すると酸素吸入が必要になる病気ですので、早期発見が重要です。
3. 胸の痛み
肺そのものには痛みを感じる神経がありません。したがって、胸が痛いと感じる場合、肺を包む「胸膜」に炎症が起きている(胸膜炎)、肺に穴が開いて空気が漏れている(気胸)、あるいは心臓や肋骨、筋肉の問題などが考えられます。呼吸に合わせて痛む場合は、呼吸器系の異常の可能性が高いです。
喫煙者やアレルギー体質の人が特に注意すべき理由
呼吸器疾患のリスクファクターとして、「喫煙歴」と「アレルギー体質」の2つは非常に重要です。
タバコは「肺の毒」そのものです。喫煙者の肺は、慢性的な炎症状態にあり、細胞が傷ついています。これにより、COPDや肺がんのリスクが非喫煙者に比べて格段に高くなります。また、現在は禁煙していても、過去の喫煙の影響(蓄積されたダメージ)は数十年残ることがあります。「今は吸っていないから大丈夫」と過信せず、過去に喫煙歴がある方は、少しの症状でも受診をお勧めします。
また、花粉症やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどをお持ちの方は、気道も過敏である傾向があります(アレルギーマーチ)。「花粉の時期になると咳が出る」「台風が来ると息苦しい」といった症状は、アレルギー性の気道炎症が関与している可能性が高く、呼吸器内科での専門的なアレルギー治療が奏功します。
現役呼吸器内科医のアドバイス
「『市販の強力な咳止めを飲めば治るだろう』と自己判断で対処し、1ヶ月以上も咳を我慢してから来院される患者さんが後を絶ちません。しかし、咳止め薬(鎮咳薬)は、あくまで脳の中枢に働きかけて『咳をするな』という指令を出すだけで、咳の原因(炎症や細菌)そのものを治すわけではありません。
原因がわからないまま咳を無理やり止めると、痰を出し切れずに肺炎を悪化させたり、喘息の発見が遅れて気道が硬くなってしまったり(リモデリング)するリスクがあります。『咳止めで誤魔化す』のではなく、『なぜ咳が出るのか』を突き止めるために、早めに私たち専門医を頼ってください」
「一般内科」や「耳鼻咽喉科」と何が違うのか?
「風邪なら近くの内科でいいのでは?」「喉が痛いから耳鼻科に行こうか?」
このように、どの科を受診すべきか迷うことはよくあります。それぞれの診療科には得意分野があり、適切な使い分けが重要です。ここでは、呼吸器内科の専門性がどこにあるのか、一般内科や耳鼻咽喉科と比較しながら解説します。
専門とする臓器の範囲と診断のアプローチ
一般内科は、体全体の不調を幅広く診る「総合窓口」のような役割を果たします。風邪、腹痛、高血圧、糖尿病など、多岐にわたる疾患に対応します。もちろん、一般的な風邪や気管支炎であれば、一般内科でも十分に対応可能です。
しかし、診断が難しい「長引く咳」や「原因不明の息切れ」、あるいは専門的な管理が必要な「喘息」「COPD」となると、より深い専門知識が必要になります。
呼吸器内科は、肺と気管支のエキスパートです。私たちは、患者さんの呼吸音ひとつ、胸の動きひとつから、肺の中で何が起きているかを推測します。例えば、同じ「咳」でも、それが気道の収縮によるものか、肺の奥の炎症によるものか、あるいは後鼻漏(鼻水が喉に落ちる現象)によるものかを、詳細な問診と検査で鑑別します。
聴診の技術と専門的な検査機器(CT・スパイロメトリー)の有無
最大の違いは、「聴診の解像度」と「検査設備の充実度」にあります。
医師が胸に当てる聴診器。私たちはここから聞こえる「副雑音(ラ音)」を聞き分けています。「ヒューヒュー(笛音)」なら気道の狭窄、「グーグー(いびき音)」なら痰の貯留、「バリバリ(捻髪音)」なら間質性肺炎の疑い、といった具合です。この微妙な音の違いを聞き分けるトレーニングを積んでいるのが呼吸器専門医です。
また、設備面でも大きな違いがあります。
- 胸部CT検査: レントゲンでは映らない、心臓の裏側や骨と重なった部分の微細な病変(初期の肺がんや小さな肺炎)を発見できます。呼吸器内科を標榜するクリニックの多くはCTを完備しています。
- スパイロメトリー(呼吸機能検査): 息を思い切り吸ったり吐いたりして、肺活量や空気の通りやすさを数値化する検査です。喘息やCOPDの診断には必須ですが、一般内科では実施していないこともあります。
- 呼気NO(一酸化窒素)検査: 吐く息に含まれるNOの濃度を測定し、気道の炎症レベル(アレルギー性喘息の程度)を数値化します。
耳鼻科との使い分け:喉の痛みや鼻水が主なら耳鼻科、咳・息切れなら呼吸器内科
耳鼻咽喉科は、鎖骨から上の臓器(耳、鼻、喉)の専門家です。気管より手前の領域を直接ファイバースコープなどで観察し、処置することに長けています。
耳鼻咽喉科が適している場合:
鼻水、鼻づまり、副鼻腔炎(蓄膿症)、喉の激しい痛み、声がれ、耳の痛みなどが主症状の場合。
呼吸器内科が適している場合:
咳がメイン、痰が絡む、息切れがする、胸がゼーゼーする、胸痛があるなど、気管から肺にかけての症状がある場合。
ただし、鼻炎が原因で咳が出る(咳喘息の誘因や後鼻漏)ケースも多いため、両方の科が連携することもよくあります。迷った場合は、「咳や息苦しさが一番辛いなら呼吸器内科」と判断していただくと良いでしょう。
▼【比較表】内科・耳鼻科・呼吸器内科の得意分野
| 診療科 | 得意とする主な症状・疾患 | 検査・処置の特徴 |
|---|---|---|
| 呼吸器内科 | 長引く咳、痰、息切れ、喘息、COPD、肺炎、肺がん疑い | 聴診、胸部CT、呼吸機能検査、吸入薬の処方・指導 |
| 一般内科 | 発熱、倦怠感、腹痛、生活習慣病(高血圧・糖尿病) | 血液検査、心電図、一般的な投薬、幅広い初期診療 |
| 耳鼻咽喉科 | 鼻水、鼻づまり、喉の痛み、声がれ、めまい、中耳炎 | 内視鏡(ファイバー)による直接観察、鼻や喉の処置・吸入 |
現役呼吸器内科医のアドバイス
「以前、『近所の内科で3ヶ月間風邪薬を貰っていたが、咳が全く止まらない』という患者さんが来院されました。聴診するとかすかに『ヒュー』という音が聞こえ、呼気NO検査を行うと数値が非常に高くなっていました。診断は『咳喘息』。すぐに吸入ステロイド薬を処方したところ、その日の夜から咳がピタリと止まりました。
これは内科の先生が悪いわけではありません。喘息の診断には専門的な検査が必要な場合が多いのです。『治らないな』と思ったら、セカンドオピニオンとして呼吸器内科を活用するのは非常に賢い選択です」
呼吸器内科で扱う代表的な病気とその特徴
呼吸器内科では多種多様な疾患を扱いますが、ここでは外来で特によく遭遇する代表的な病気について解説します。「自分もこれかもしれない」という視点でご覧ください。
気管支喘息・咳喘息:大人の発症も急増中
「喘息は子供の病気」と思っていませんか? 実は、大人になってから初めて発症する「成人喘息」が急増しています。成人の喘息はアレルギーだけでなく、ストレス、過労、タバコ、感染症などが複雑に絡み合って発症し、一度発症すると治りにくい(慢性化しやすい)のが特徴です。
典型的な症状は、発作的な激しい咳、呼吸困難、喘鳴(ゼーゼー)ですが、咳だけが唯一の症状である「咳喘息」も非常に増えています。咳喘息を放置すると約30~40%が典型的な気管支喘息へ移行するため、早期の吸入ステロイド治療による介入が重要です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患):別名「タバコ病」の恐ろしさ
COPDは、長年の喫煙習慣によって肺が破壊され、空気の出し入れがうまくいかなくなる病気です。以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていました。最大の特徴は、一度壊れた肺胞(酸素を取り込む組織)は二度と元に戻らないということです。
初期症状は「咳、痰、坂道での息切れ」ですが、年のせいだと思って放置されがちです。進行すると、着替えや入浴といった日常動作でも息が上がるようになり、最終的には24時間の酸素吸入が必要になります。治療の基本は「禁煙」と「気管支拡張薬の吸入」です。早期に見つけて進行を食い止めることが、将来の生活の質(QOL)を守る唯一の方法です。
肺炎・気管支炎:風邪の悪化や細菌感染による炎症
風邪(上気道炎)のウイルスや細菌が、さらに奥の気管支や肺にまで侵入すると、気管支炎や肺炎を引き起こします。特に高齢者や基礎疾患のある方にとって、肺炎は命に関わる重大な病気です。
呼吸器内科では、レントゲンやCT、血液検査で炎症の程度や原因菌を特定し、適切な抗生物質を選択して治療します。「熱が下がらない」「黄色い痰が出る」場合は、早急な受診が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS):いびきや日中の眠気
寝ている間に何度も呼吸が止まり、体内の酸素濃度が低下する病気です。大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛などが特徴です。単に眠いだけでなく、酸素不足によって心臓や血管に負担がかかり、高血圧、脳卒中、心筋梗塞のリスクを数倍に跳ね上げます。
呼吸器内科では、簡易検査や精密検査(PSG)を行い、必要に応じてCPAP(シーパップ)というマスク型の治療器を用いた治療を行います。
▼その他の対応疾患(肺がん、間質性肺炎など)
上記以外にも、呼吸器内科では以下のような専門性の高い疾患に対応しています。
- 肺がん: 日本人の死因上位のがんです。早期発見のための検診や、疑わしい影の精密検査を行います。
- 間質性肺炎: 肺が硬くなり縮んでしまう難病です。空咳や息切れが特徴で、専門医による詳細な診断と管理が必要です。
- 非結核性抗酸菌症(NTM): 中高年の女性に増えている慢性感染症です。数年単位の長い治療が必要になります。
- 過敏性肺炎: カビや鳥のフンなどを吸い込むことで起きるアレルギー性の肺炎です。
現役呼吸器内科医のアドバイス
「70代の男性患者さんで、『最近、孫と遊ぶとすぐに息が切れる。もう年かな』と仰る方がいました。喫煙歴が長かったため検査をしたところ、中等症のCOPDと診断されました。すぐに禁煙指導と吸入薬を開始したところ、2ヶ月後には『孫とかけっこができるようになった』と大変喜ばれました。
肺の機能は、治療によって『若返る』ことはありませんが、適切な治療で『呼吸を楽にする』ことは十分に可能です。息切れを年齢のせいにせず、ぜひ一度ご相談ください」
初診では何をする?検査内容と費用の目安
「呼吸器内科に行くと、どんな検査をされるの?」「痛い検査はある?」「費用はどれくらい?」
初めての受診には不安がつきものです。ここでは、一般的な初診時の流れと検査内容、費用の目安について具体的に解説します。基本的に、痛みを伴うような怖い検査はありませんのでご安心ください。
問診と聴診:医師はここを見ている
まず最初に行うのが問診です。いつから症状があるか、どんな時に悪化するか、痰の色、喫煙歴、ペットの飼育歴、職業歴(粉塵を吸う環境か)などを詳しく伺います。
続いて聴診です。背中や胸に聴診器を当て、呼吸の音を聞きます。服の上からでは微細な音が聞こえないため、肌着になっていただくか、直接当てさせていただくことが一般的です。この時点で、喘息特有の音や肺炎の音が聞こえれば、ある程度の診断がつきます。
画像検査(レントゲン・CT):肺の状態を可視化する
胸部レントゲン検査は、肺全体の影を見る基本的な検査です。肺炎や大きな腫瘍、気胸などをチェックします。
必要に応じて胸部CT検査を行います。CTは体を輪切りにした断面図を撮影できるため、レントゲンでは骨や心臓に隠れて見えない小さな病変や、気管支の細かな拡張、肺気腫の広がりなどを鮮明に映し出すことができます。呼吸器疾患の確定診断には欠かせない検査です。
呼吸機能検査(スパイロメトリー・呼気NO検査):肺年齢や炎症レベルを数値化
呼吸器内科ならではの検査です。
- スパイロメトリー: マウスピースをくわえ、鼻をつまんだ状態で、「吸ってー、吐いてー!もっともっと!」と技師の掛け声に合わせて息を出し切ります。肺活量や、1秒間に吐ける息の量(1秒量)を測定し、肺年齢やCOPDの有無を診断します。少し苦しいですが、痛みはありません。
- 呼気NO(一酸化窒素)検査: 10秒ほど一定の強さで息を吹き込むだけの簡単な検査です。気道の好酸球性炎症(アレルギー反応)の程度を測定し、喘息の診断や治療効果の判定に用います。
診察から会計までの所要時間と費用相場(保険適用)
クリニックの混雑状況にもよりますが、受付から会計までの所要時間は、検査を含めて1時間〜1時間半程度を見ておくと良いでしょう。
費用の目安(3割負担の場合)は以下の通りです。
- 初診料+問診+レントゲン+処方箋: 2,000円〜3,000円程度
- 上記+呼吸機能検査+血液検査: 4,000円〜5,000円程度
- 上記+胸部CT検査: 6,000円〜10,000円程度
※CT検査を行うと費用は上がりますが、その分得られる情報量は格段に増えます。お薬代は別途薬局でかかります。吸入薬は一般的な内服薬に比べてやや高価(1本数千円程度)な傾向がありますが、1本で1ヶ月使えるものが大半です。
現役呼吸器内科医のアドバイス
「受診時に医師に伝えていただきたいポイントは3つです。
1. 『いつから』症状があるか(2週間前、3日前など具体的に)
2. 『どんな時に』悪化するか(夜寝る時、走った時、タバコの煙を吸った時など)
3. 『喫煙歴』はあるか(過去も含めて正直にお話しください)
これらをメモにまとめてお持ちいただくと、診察が非常にスムーズに進み、より正確な診断につながります」
信頼できる呼吸器内科クリニックの選び方 5つのポイント
いざ受診しようと思っても、検索するとたくさんのクリニックが出てきて迷ってしまうかもしれません。呼吸器の病気は長く付き合うことも多いため、信頼できる「かかりつけ医」を見つけることが大切です。ここでは、プロの視点からクリニック選びのポイントを5つ紹介します。
1. 「呼吸器専門医・指導医」の資格を持つ医師がいるか
最も重要な基準です。ホームページの「医師紹介」や「院長プロフィール」を確認してください。「日本呼吸器学会 呼吸器専門医」という資格は、所定の研修を受け、試験に合格し、更新を続けている医師にのみ与えられます。呼吸器診療のスペシャリストである証ですので、この資格を持つ医師が在籍しているクリニックを選びましょう。
2. 呼吸機能検査機器やCT設備が整っているか
前述の通り、正確な診断にはスパイロメトリーや呼気NO検査、CT検査が不可欠な場合があります。特に「長引く咳」の原因特定にはCTが威力を発揮します。「設備紹介」のページで、これらの機器(特にCT)が導入されているかを確認することをお勧めします。
3. 禁煙外来など生活習慣の改善もサポートしてくれるか
呼吸器疾患の治療は、薬だけでなく生活習慣の改善が重要です。特に喫煙者にとっては、禁煙が治療の第一歩です。禁煙外来を設けているクリニックは、患者さんの生活全体を見て健康をサポートしようという姿勢の表れと言えます。
4. 説明が丁寧で、吸入薬の指導(吸入指導)を行っているか
喘息やCOPDの治療の主役は「吸入薬」です。しかし、吸入薬は正しく使わないと薬が肺まで届かず、効果が全く出ません。医師だけでなく、看護師や薬剤師が丁寧に吸入方法を指導してくれる体制が整っているかどうかも、治療成功の鍵を握ります。口コミなどで「説明が丁寧」「吸入練習をしてくれた」といった声があるかチェックしてみましょう。
5. 通いやすい立地と予約システム(Web予約など)
喘息やCOPDは、高血圧などのように定期的な通院が必要になることが多いです。自宅や職場から通いやすい場所にあること、また、待ち時間を短縮できるWeb予約システムがあるかどうかも、通院を継続する上で重要な要素です。
現役呼吸器内科医のアドバイス
「ホームページの院長挨拶や経歴欄は、そのクリニックの『色』を知るのに役立ちます。例えば、大学病院で長く肺がんや喘息の研究・診療をしていた医師なら、最新の知見に基づいた治療が期待できます。また、『患者さんと共に歩む』といった理念が書かれていれば、話しやすい雰囲気かもしれません。資格だけでなく、文章から伝わる人柄も参考にしてみてください」
呼吸器内科に関するよくある質問(FAQ)
最後に、診療の現場で患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 喫煙者ですが、医師に怒られたりしませんか?
A. ご安心ください。怒ることは決してありません。
私たちは、喫煙が「ニコチン依存症」という病気であることを理解しています。患者さんの健康を守るパートナーとして、どうすれば無理なく禁煙できるか、どうすれば今の症状を楽にできるかを一緒に考えます。怒られることを恐れて受診を遅らせることの方が、健康にとってはリスクです。ありのままの状態をご相談ください。
Q. 紹介状がなくても受診できますか?
A. 一般的なクリニック(診療所)であれば、紹介状なしで受診可能です。
ただし、大学病院や大規模な総合病院の場合は、紹介状がないと「選定療養費」として別途費用(5,000円〜7,000円程度)がかかる場合や、受診できない場合があります。まずは地域の呼吸器内科クリニックを受診し、より高度な検査や入院が必要と判断された場合に、紹介状を持って大病院へ行くのがスムーズな流れです。
Q. 予約は必要ですか?待ち時間は長いですか?
A. 予約優先制のクリニックが増えています。
呼吸器内科は、季節(花粉症の時期や冬場)によって非常に混雑することがあります。また、感染症対策の観点からも、事前にWebや電話で予約を取ることを強くお勧めします。予約なしで直接行くと、長時間待つことになったり、発熱外来の時間枠まで受診できないこともありますので、事前に公式サイト等で確認しましょう。
まとめ:長引く咳は我慢せず、早めに呼吸器内科へ
ここまで、呼吸器内科の役割や受診の目安について解説してきました。記事のポイントをまとめます。
- 2週間以上続く咳、色のついた痰、息切れ、胸の痛みは「呼吸器内科」へ。
- 呼吸器内科は「肺の専門家」。聴診やCT、呼吸機能検査で原因を突き止める。
- 喘息やCOPDは早期発見・早期治療がカギ。放置すると治りにくくなる。
- 痛い検査はほとんどない。費用は初診で3,000円〜10,000円程度(検査内容による)。
- 「呼吸器専門医」が在籍し、説明が丁寧なクリニックを選ぼう。
咳や息切れは、あなたの身体が発している「助けて」というSOSサインです。「たかが咳」と侮らず、また「怖い病気だったらどうしよう」と恐れすぎず、専門家の力を借りてください。
適切な診断と治療を受ければ、嘘のように咳が止まり、夜ぐっすり眠れるようになったり、息切れを気にせず旅行や趣味を楽しめるようになったりする方はたくさんいらっしゃいます。
自己判断で市販薬を飲み続けたり、我慢して症状を悪化させてしまう前に、ぜひお近くの「呼吸器専門医」を探して相談してみてください。今日のアクションが、あなたの未来の健康な呼吸を守ります。
【呼吸器内科受診前のセルフチェックリスト】
受診の際は、以下の項目をメモして医師に伝えるとスムーズです。
- [ ] 咳がいつから続いているか(例:3週間前から)
- [ ] 1日のうち、いつ咳き込むか(例:夜寝る時、明け方)
- [ ] 痰の色や状態(例:黄色い、ネバネバしている)
- [ ] 息切れはあるか(例:階段を登ると苦しい)
- [ ] 呼吸音に変化はあるか(例:ゼーゼー、ヒューヒューする)
- [ ] 喫煙歴はあるか(例:1日1箱を20年間、現在はiQOS)
- [ ] アレルギーの有無(例:花粉症、ハウスダスト)
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