API開発を進める中で、ブラウザでは問題なくアクセスできる「localhost:8080」が、なぜかPostmanからだけ繋がらないという現象に遭遇したことはありませんか?「Could not get any response」や「Error: connect ECONNREFUSED」といった無機質なエラーメッセージが表示され、開発の手が止まってしまうのは、多くのバックエンドエンジニアが一度は通る道です。
結論から申し上げますと、Postmanからローカルサーバー(ポート8080など)に接続できない主な原因は、「SSL証明書設定」「プロキシ設定」「Web版の制約」の3つに集約されます。これらはPostman特有のセキュリティ仕様やネットワーク挙動に起因するものであり、サーバー側のコードに問題がないケースが大半です。つまり、Postmanの設定を1つ変更するだけで、嘘のように解決することがほとんどなのです。
この記事では、APIインフラ構築の現場で数多くのトラブルシューティングを行ってきた筆者が、以下の3点を中心に徹底解説します。
- 「Could not get any response」等のエラーを解消する最短手順
- DockerやWeb版Postmanなど、環境別の正しい接続設定
- ポート競合やファイアウォールなど、サーバー側の確認方法
この記事を読み終える頃には、あなたのPostmanは正常にlocalhostと通信できるようになり、快適なAPI開発環境を取り戻しているはずです。それでは、まずは最も解決率の高い対処法から順に見ていきましょう。
【最優先】まず試すべき3つのクイックフィックス
開発中のAPIテストにおいて、エラーで作業が中断されることほどストレスフルなことはありません。ここでは、理論的な解説よりも先に、経験上8割以上のケースで接続トラブルを解消できる「3つのクイックフィックス(即効性のある修正)」を提示します。
もしあなたが今、「とにかく急いで繋がるようにしたい」と考えているなら、以下の手順を上から順に試してください。多くの場合、これだけで問題は解決します。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「私が新人の頃、この接続エラーの原因をコードのバグだと思い込み、半日以上デバッグしてしまった経験があります。しかし、実際にはPostman側の『過剰なセキュリティ設定』が邪魔をしているだけでした。開発環境(localhost)においては、セキュリティよりも『疎通』を優先する設定が必要です。まずはツール側の設定を疑うことから始めましょう」
解決策1:SSL証明書の検証(SSL certificate verification)をOFFにする
最も頻繁に発生する原因の一つが、SSL証明書の検証エラーです。特に、ローカル環境で自己署名証明書(オレオレ証明書)を使用してHTTPS通信をテストしている場合や、HTTPで通信すべきところをHTTPSとしてリクエストしている場合に発生します。
Postmanはデフォルトで、接続先のSSL証明書が正当な認証局(CA)によって署名されているかを厳格にチェックします。しかし、localhostでの開発環境において、正規のSSL証明書を用意することは稀です。そのため、Postmanはこの接続を「信頼できない」と判断し、通信をブロックしてしまうのです。
この問題を解決するには、以下の手順でSSL証明書の検証機能を無効化します。
- Postmanの画面右上にある歯車アイコン(Settings)をクリックし、メニューから「Settings」を選択します。
- 設定ウィンドウが開いたら、「General」タブが選択されていることを確認します。
- 一覧の中に「SSL certificate verification」という項目があります。このスイッチが「ON(緑色)」になっている場合、クリックして「OFF(灰色)」に切り替えます。
- 設定ウィンドウを閉じ、再度リクエストを送信してみてください。
これでエラーが消え、レスポンスが返ってくるようになれば、原因はSSL検証にありました。開発環境においては、この設定をOFFのままにしておいて問題ありません。
解決策2:システムプロキシ(System Proxy)をOFFにする
次に多い原因が、プロキシ設定の干渉です。企業内のネットワークやVPNを使用している場合、OS側でプロキシサーバーが設定されていることがあります。Postmanはデフォルトでこのシステムプロキシ設定を読み込み、すべての通信をプロキシ経由で行おうとします。
しかし、localhost(自分自身のPC)への通信までプロキシサーバーを経由しようとすると、プロキシサーバー側が「localhostなんて知らない(またはアクセスできない)」と判断し、接続を拒否することがあります。これが接続エラーの正体です。
以下の手順で、Postmanがプロキシを使用しないように設定を変更します。
- 先ほどと同様に、画面右上の歯車アイコンから「Settings」を開きます。
- 設定ウィンドウの上部タブから「Proxy」を選択します。
- 「Use System Proxy」という項目のチェックボックス、またはスイッチを確認します。これがONになっている場合、OFFにします。
- 念のため、その下にある「Global Proxy Configuration」もOFFになっていることを確認してください。
- 設定変更後、再度リクエストを送信して確認します。
これにより、Postmanはプロキシサーバーを介さずに、直接ローカルサーバーへアクセスを試みるようになります。特に社内LAN環境で開発しているエンジニアにとって、これは非常に有効な解決策です。
解決策3:URLを localhost から 127.0.0.1 に書き換える
設定を変更しても繋がらない場合、リクエストURLそのものを見直してみましょう。具体的には、URL欄に入力している http://localhost:8080/... の localhost 部分を、IPアドレスである 127.0.0.1 に書き換えて http://127.0.0.1:8080/... として送信してみてください。
「同じ意味ではないのか?」と思われるかもしれませんが、OSやネットワークスタックの内部処理において、これらは明確に区別されることがあります。特にWindows環境や一部のNode.jsバージョンにおいて、localhost の名前解決が意図した通りに行われないケースが散見されます。
▼なぜ127.0.0.1だと繋がることがあるのか?(クリックで展開)
通常、OSのhostsファイルには 127.0.0.1 localhost という定義があり、localhostは127.0.0.1(IPv4のループバックアドレス)に変換されます。しかし、近年ではIPv6の普及に伴い、localhostが ::1(IPv6のループバックアドレス)として解決されるケースが増えています。
もしあなたの起動しているサーバーアプリケーションがIPv4(0.0.0.0または127.0.0.1)でのみ待ち受けを行っており、IPv6に対応していない場合、PostmanがIPv6で接続を試みると「接続拒否」となります。127.0.0.1 とIPアドレスを直接指定することで、強制的にIPv4を使用させることができ、名前解決やプロトコルバージョンの不一致によるトラブルを回避できるのです。これは最も手っ取り早く、かつ確実性の高い回避策の一つです。
エラーメッセージ別・原因切り分けフローチャート
クイックフィックスで解決しなかった場合、次にすべきことは「エラーメッセージを正しく読む」ことです。Postmanは接続に失敗した際、画面下部のレスポンスエリアあるいはコンソールに具体的なエラー内容を表示しています。
ここでは、代表的なエラーメッセージごとの原因と対策を解説します。あなたの画面に出ているエラーと照らし合わせてみてください。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「エラーログは、システムからの『助けて』というメッセージです。多くのエンジニアが赤い文字を見た瞬間に思考停止してしまいますが、実はそこに答えが書いてあります。例えば『Refused』なら相手がいるけれど拒否された状態、『Timeout』なら相手がどこにいるかわからない状態、と区別できます。この違いを理解することが、トラブルシューティングの達人への第一歩です」
「Error: connect ECONNREFUSED 127.0.0.1:8080」の場合
このエラーは、「指定されたIPアドレスとポート番号に接続を試みたが、相手側(サーバー)から明確に拒否された」ことを意味します。
- 主な原因:
- サーバーアプリケーションが起動していない。
- サーバーが起動しているポート番号が8080ではない(8000や3000など別のポートになっている)。
- サーバーがクラッシュして落ちている。
- 対処法:
- ターミナルやIDEのコンソールを確認し、サーバーが正常にRunning状態か確認してください。
- 起動ログを見て、
Listening on port XXXXの数字がPostmanに入力したポートと一致しているか確認してください。
「Could not get any response」の場合
これはPostmanが「リクエストを送信しようとしたが、何らかの理由でレスポンスを一切受け取れなかった」という包括的なエラーです。原因が多岐にわたるため、最も厄介なエラーの一つです。
- 主な原因:
- SSL証明書の検証エラー(自己署名証明書の使用)。
- プロキシ設定の誤り。
- リクエストURLのスキーム間違い(http:// なのに https:// と打っている、またはその逆)。
- DNS解決の失敗。
- 対処法:
- 前述の「クイックフィックス」にあるSSL検証OFF、プロキシOFFを再度確認してください。
- URLの先頭が
http://かhttps://か、サーバーの設定に合わせて正しく入力されているか確認してください。
「404 Not Found」や「403 Forbidden」が返る場合
これらは厳密には接続エラーではありません。「サーバーには繋がったが、リクエスト内容に問題がある」状態です。つまり、Postmanとlocalhostの通信経路自体は確立されています。
- 主な原因 (404):
- エンドポイントのパス(URLの末尾)が間違っている(例:
/api/usersなのに/api/userと打っている)。 - HTTPメソッドが間違っている(GETでアクセスすべきところをPOSTしている)。
- エンドポイントのパス(URLの末尾)が間違っている(例:
- 主な原因 (403):
- 認証トークンが必要なAPIに、トークンなしでアクセスしている。
- APIキーが無効、または権限が不足している。
- 対処法:
- サーバー側のルーティング定義(Controllerなど)を確認し、パスとメソッドが完全に一致しているか確認してください。
- 認証ヘッダー(Authorization)の設定を見直してください。
Web版Postmanを使っている場合の特有エラー(CORS等)
ブラウザで動作するWeb版のPostmanを使用している場合、デスクトップアプリ版とは異なる制約があります。特に「Network Error」や何も反応がない場合、CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の制限に引っかかっている可能性が高いです。
ブラウザはセキュリティ上の理由から、Webページ(この場合はPostmanのWebサイト)からローカルネットワーク(localhost)への直接的な通信を制限しています。これを回避するには、後述する「Desktop Agent」の導入が必須となります。
【設定詳細】Postmanの設定ミスを徹底的に潰す
クイックフィックスで解決しなかった方のために、設定画面のより深い階層まで踏み込んで解説します。「設定したつもり」になっていても、実は適用されていなかったり、別の設定が優先されていたりするケースがあります。
ここでは、Postmanの設定画面(Settings)の各項目について、推奨される設定状態を詳細に定義します。ご自身の設定画面を開きながら、一つずつチェックしていってください。
Settings > General:SSL設定の正しい状態
まずは基本のSSL設定です。Settingsウィンドウの「General」タブには多くのスイッチが並んでいますが、ローカル開発において最も重要なのは以下の項目です。
- SSL certificate verification: 必ず OFF にしてください。
この設定はリクエストごとの設定ではなく、Postman全体に適用されるグローバル設定です。ここがONになっていると、どんなに正しいURLを叩いても、自己署名証明書の環境では接続が遮断されます。
Settings > Proxy:Global ProxyとSystem Proxyの違いと推奨設定
「Proxy」タブの設定は誤解を招きやすく、多くのエンジニアが躓くポイントです。ここには大きく分けて2つのセクションがあります。
- Global Proxy Configuration:
- これはPostman独自のカスタムプロキシ設定です。ここにチェックが入っていると、OSの設定に関わらず、指定されたIPアドレスとポートへ通信を転送しようとします。
- 推奨設定: 特段の理由がない限り、すべてのチェックを外し、スイッチを OFF にしてください。
- System Proxy:
- これはOS(WindowsやmacOS)のネットワーク設定を参照する機能です。
- 推奨設定: localhostへの接続トラブル時は、ここも OFF にすることを強く推奨します。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「恥ずかしながら告白しますが、過去に『Global Proxy Configuration』の設定がONになったまま忘れており、半日悩んだ経験があります。以前のプロジェクトでデバッグ用プロキシを通すために設定したものが残っていたのです。エラーが出たときは、まずこの画面を開き、すべてのスイッチがOFFになっているか確認する癖をつけましょう。それだけで、無駄なトラブルシューティング時間を大幅に削減できます」
Request Timeout(タイムアウト)設定の確認
Settings > General の中に、「Request Timeout in ms」という項目があります。これは、リクエストを送信してからレスポンスが返ってくるまで待機する最大時間をミリ秒単位で指定するものです。
デフォルトでは 0(無限大、つまりタイムアウトしない)になっていることが多いですが、もしここに短い時間(例: 100 や 1000)が設定されていると、処理の重いAPIやデバッグ実行中でブレークポイントで止まっているAPIからのレスポンスを待たずに、Postman側で接続を切断してしまいます。
- 確認事項: 「Request Timeout in ms」が
0になっているか確認してください。もし数値が入っている場合は、十分大きな値にするか、0に戻してください。
【環境別】Docker・Web版・WSL2特有の接続トラブル
近年、開発環境は多様化しており、単にPC上でサーバーを起動するだけでなく、DockerコンテナやWSL2(Windows Subsystem for Linux 2)、あるいはブラウザ版Postmanを利用するケースが増えています。これらの環境では、ネットワークの仕組みが複雑になるため、単純な localhost では繋がらないことが多々あります。
ここでは、環境別に特有の接続トラブルとその解決策を解説します。ご自身の環境に該当するセクションを重点的に確認してください。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「DockerやWSL2を使う場合、『localhost』という言葉が指す場所が変わることを意識してください。コンテナの中から見たlocalhostはコンテナ自身であり、あなたのPCではありません。この『視点の違い』を埋めるための特別なアドレスが用意されています。それを知っているかどうかが、解決の鍵となります」
Dockerコンテナ上のアプリに接続する場合
Dockerコンテナ内でアプリケーションを起動している場合、最も注意すべきはポートフォワーディングの設定と、ホスト名の指定です。
1. ポートフォワーディングの確認
Dockerコンテナ内のポート8080は、明示的にホストPCのポートに紐付け(公開)しない限り、外部(Postman)からはアクセスできません。docker-compose.yml や docker run コマンドの設定を確認してください。
- docker-compose.yml の例:
ports: - "8080:8080" # ホスト側:コンテナ側
この設定がないと、いくら localhost:8080 を叩いても繋がりません。docker ps コマンドを実行し、PORTS 列に 0.0.0.0:8080->8080/tcp のような表示があるか確認しましょう。
2. host.docker.internal の活用
逆に、Dockerコンテナの中からホストPC上で動いている別のサービス(例: ローカルのDBなど)にアクセスしたい場合や、コンテナ間の通信を行う場合、localhost は使えません。代わりに、Dockerが提供する特別なDNS名 host.docker.internal を使用します。
もしPostman自体をDockerコンテナとして動かしている場合などは、接続先を http://host.docker.internal:8080 とすることで解決する場合があります。
Web版Postmanを使用している場合(Desktop Agentの必須性)
ブラウザでURLを開いて使う「Web版Postman」は便利ですが、前述の通りブラウザのセキュリティ制約(CORS)により、あなたのPC内のローカルサーバー(localhost)へ直接リクエストを送ることができません。
これを解決するために、Postman社は「Postman Desktop Agent」という補助ツールを提供しています。これは、ブラウザとローカルネットワークの間の「中継役」を果たす小さなアプリケーションです。
- インストール: Postmanの画面下部に「Agent」を選択するメニューがあります。ここから「Desktop Agent」を選択し、未インストールの場合は案内に従ってダウンロード・インストールしてください。
- 起動確認: インストール後、Desktop Agentを起動します。タスクトレイやメニューバーにアイコンが表示されます。
- 接続確認: Web版Postmanの画面右下にあるAgentステータスが「Desktop Agent」になり、緑色のインジケーターが点灯していることを確認します。
このAgentが正常に稼働していれば、ブラウザからでもlocalhostへのリクエストが可能になります。Web版を使用しているユーザーにとって、これは必須の設定です。
Windows (WSL2) で開発している場合の注意点
WSL2上でサーバーを起動している場合、基本的にはWindows側(localhost)からもアクセスできるようにマイクロソフトが自動で調整を行っています。しかし、環境によってはこの自動転送がうまくいかないことがあります。
その場合、WSL2側のIPアドレスを直接指定する必要があります。
- WSL2のターミナルで
ip addrコマンドを実行します。 eth0のinetの後に続くIPアドレス(例:172.x.x.x)をメモします。- Postmanから
http://172.x.x.x:8080に対してリクエストを送ってみてください。
これで繋がる場合、WSL2とWindows間のネットワークブリッジに一時的な問題がある可能性がありますが、開発を進める上ではこのIPアドレス直打ちで回避可能です。
サーバーサイド(PC側)の問題を確認する
ここまでPostman側の設定を確認してきましたが、それでも繋がらない場合は、サーバー側(あなたのPC環境そのもの)に問題がある可能性が高まります。「そもそもポート8080は本当に開いているのか?」「別のアプリが邪魔をしていないか?」を確認しましょう。
ここでは、黒い画面(ターミナル/コマンドプロンプト)を使って、真実を突き止める方法を紹介します。
ポート8080が本当に使われているか確認するコマンド
まず、サーバーアプリが正しくポート8080を使用しているか、OSの視点から確認します。以下のコマンドをターミナルで実行してください。
▼コピペ用:ポート使用状況確認コマンド(クリックで展開)
Mac / Linux (Terminal)
lsof -i :8080
Windows (Command Prompt / PowerShell)
netstat -ano | findstr :8080
コマンド実行結果の見方:
- 何も表示されない場合: ポート8080を使用しているプロセスは存在しません。つまり、サーバーアプリが起動していないか、起動に失敗して落ちています。アプリの起動ログを再確認してください。
- 行が表示された場合:
LISTENというステータスが表示されていれば、そのポートは接続待ち受け状態です。ここに表示されているプロセスID(PID)が、あなたが起動したアプリのものか確認します。
ポートの競合(Conflict)を解消する方法
よくあるトラブルとして、「以前起動したサーバーが正しく終了されず、裏で動き続けてポートを占有している(ゾンビプロセス)」というケースがあります。新しいサーバーを起動しようとしても「Port already in use」というエラーが出ているはずですが、これに気づかずに「Postmanが繋がらない」と勘違いすることがあります。
もし意図しないプロセスがポート8080を使っている場合、そのプロセスを強制終了(Kill)する必要があります。
- Mac / Linux:
kill -9 [PID](PIDはlsofコマンドで確認した数字) - Windows: タスクマネージャーの詳細タブから該当するPIDを探して終了するか、
taskkill /PID [PID] /Fコマンドを実行。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「プロセスを強制終了する際は慎重に。PIDを確認せずに適当にkillコマンドを打つと、重要なシステムプロセスを落としてしまい、PCがフリーズすることもあります。必ず『どのプロセスがポートを掴んでいるか』をコマンドで確認してから実行してください。これがプロの流儀です」
ファイアウォールとセキュリティソフトの一時停止確認
企業貸与のPCなどでは、強力なセキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)やファイアウォールがインストールされており、これが「不審な通信」としてlocalhostへのアクセスさえもブロックすることが稀にあります。
原因の切り分けとして、一時的にファイアウォールやセキュリティソフトを無効化し、その状態でPostmanから接続できるか試してみてください。もしこれで繋がる場合は、セキュリティソフトの設定で、Postmanおよび使用しているポート(8080)を「許可リスト(ホワイトリスト)」に追加する必要があります。
なぜ「localhost」で繋がらないことがあるのか?(技術的背景)
トラブルシューティングとしては以上ですが、エンジニアとしてレベルアップするために、「なぜこのような現象が起きるのか」という技術的背景を少しだけ深掘りしておきましょう。この仕組みを理解しておけば、将来別のツールで同様の問題に直面した際も、自力で解決できるようになります。
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「『動けばいい』で終わらせず、『なぜ動いたのか』『なぜ動かなかったのか』を一歩踏み込んで理解すること。それが、シニアエンジニアとそうでないエンジニアを分ける決定的な差です。ネットワークの基礎知識は、どんな言語やフレームワークを使うようになっても一生使える武器になります」
localhost と 127.0.0.1 と 0.0.0.0 の違い
普段何気なく使っているこれらの言葉ですが、ネットワーク的には明確な違いがあります。
- localhost: ホスト名(ドメイン名のようなもの)です。OSはこれをIPアドレスに変換(名前解決)してから通信します。設定により
127.0.0.1になることもあれば、::1になることもあります。 - 127.0.0.1: IPv4におけるループバックアドレスです。自分自身を指す絶対的な住所です。名前解決のプロセスを経ないため、最も確実に自分自身にアクセスできます。
- 0.0.0.0: これは「すべてのネットワークインターフェース」を意味します。サーバーを起動する際、Listenアドレスを
0.0.0.0に設定すると、localhostからも、LAN内の他のPCからもアクセスできるようになります。逆に127.0.0.1で起動すると、外部からはアクセスできず、自分自身からしかアクセスできないセキュアな状態になります。
Postmanで繋がらない問題の多くは、この「名前解決の不一致」や「Listenアドレスの制限」に起因しています。
IPv6 (::1) が優先されることによる接続エラー
現代のOS(Windows 10/11, macOS, Linux)は、基本的にIPv6を優先して使用するように設計されています。localhost という名前解決を行った際、OSはまずIPv6のアドレスである ::1 を返そうとします。
しかし、多くのレガシーな開発サーバーや、特定の設定をしていないNode.js/Javaアプリケーションは、IPv4(127.0.0.1)でのみ待ち受けを行っています。この「PostmanはIPv6でノックしているのに、サーバーはIPv4のドアしか開けていない」というすれ違いが、接続拒否(ECONNREFUSED)の正体であることが非常に多いのです。
今後のために:環境変数(Environment)を活用したURL管理
最後に、よりスマートな開発フローのためのTipsです。Postmanには「Environments(環境変数)」という機能があります。
URLを直接 http://localhost:8080/api/users と書き込むのではなく、{{base_url}}/api/users のように変数化しておきましょう。そして、環境変数 base_url の値を、ローカル開発時は http://127.0.0.1:8080、本番環境確認時は https://api.production.com と切り替えるようにします。
こうすることで、接続トラブルが起きた際も、変数の値を一箇所修正するだけで全てのリクエストに対応でき、URLの書き換えミスも防ぐことができます。
よくある質問(FAQ)
最後に、本記事の解説だけではカバーしきれなかった細かい疑問や、特殊なケースについてQ&A形式で回答します。
Q. HTTPS(SSL)化されたローカルサーバー(https://localhost:8443)に繋がりません
A. SSL VerificationをOFFにしてください。
ローカル環境でHTTPSを使う場合、ほぼ間違いなく自己署名証明書が使われています。本記事の「解決策1」で紹介した通り、SettingsからSSL certificate verificationをOFFにすることで接続できるようになります。これはセキュリティリスクではなく、開発環境における標準的な運用です。
Q. Postmanの設定をリセット(初期化)する方法は?
A. 設定ファイルの削除が必要になる場合があります。
設定をいじりすぎて訳がわからなくなった場合、Settings画面下部にある項目を確認するか、Postmanを一度アンインストールし、設定フォルダ(ユーザーディレクトリ内の .postman や AppData/Roaming/Postman など)を削除してから再インストールすることで、完全な初期状態に戻すことができます。
Q. チームメンバーは繋がるのに自分だけ繋がりません
A. ポート競合かセキュリティソフトの可能性が高いです。
コードが同じ(Gitで同期されている)であれば、原因は個人の環境にあります。特に「他のアプリがポート8080を使っている(Skypeや他のWebサーバーなど)」ケースや、セキュリティソフトの設定差異を疑ってください。lsof や netstat コマンドでの確認を徹底しましょう。
まとめ:正しい設定で快適なAPI開発環境を取り戻そう
Postmanでlocalhostに繋がらない問題は、非常にストレスフルですが、原因さえ分かれば決して怖いものではありません。最後に、今回のトラブルシューティングの要点をチェックリストとしてまとめました。次回エラーが出た際は、このリストを上から順に確認してください。
localhost接続トラブル最終チェックリスト
- [ ] SSL Verification はOFFになっているか?(Settings > General)
- [ ] System Proxy および Global Proxy はOFFになっているか?(Settings > Proxy)
- [ ] URLの
localhostを127.0.0.1に書き換えてみたか? - [ ] サーバーアプリは正しく起動しており、ポート番号は合っているか?(ログ確認)
- [ ] ポート8080を他のプロセスが占有していないか?(
lsof/netstatコマンド) - [ ] Web版Postmanの場合、Desktop Agent は起動しているか?
APIインフラ構築専門・シニアバックエンドエンジニアのアドバイス
「API開発において、ツールはあくまで『手段』です。ツールの設定に時間を取られすぎず、本来の目的である『価値あるアプリケーションの開発』に集中できるよう、環境周りの知識を固めておきましょう。一度正しい設定を行えば、Postmanはあなたの最強のパートナーになってくれるはずです。ぜひ今日から、環境変数の活用なども意識して、より効率的な開発ライフを送ってください」
これで、あなたのPostmanは正常に動作し、API開発をスムーズに進められる状態になったはずです。もしチームメンバーが同じ問題で困っていたら、ぜひこの記事の内容を教えてあげてください。
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