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【循環器専門医監修】動悸がする・止まらない原因は?危険なサインと緊急度チェック、正しい対処法

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「急に心臓がドクンと大きく跳ねて、怖くて眠れない」

「安静にしているのに、脈が速くなって息苦しさを感じる」

あなたは今、このような症状に不安を感じて、スマートフォンを手に取っているのではないでしょうか。心臓は生命のエンジンであり、そのリズムが乱れることは、誰にとっても大きな恐怖です。「もしかして、心臓が止まってしまうのではないか」「このまま倒れてしまうのではないか」という漠然とした不安は、さらなるストレスを生み、症状を悪化させる悪循環を招くこともあります。

結論から申し上げますと、動悸の多くはストレスや過労、自律神経の乱れによるものであり、直ちに命に関わるケースばかりではありません。しかし、その中には心筋梗塞や心不全、危険な不整脈といった、一刻を争う心臓病のサインが確実に隠れています。「脈が飛ぶ」「胸が痛い」「めまいがする」などの症状を伴う場合は、決して自己判断せず、専門医による適切な診断を受けることが重要です。

この記事では、20年以上にわたり心臓病治療の最前線に立ってきた循環器専門医である私が、医学的な根拠に基づき、危険な動悸の見分け方と正しい対処法を徹底解説します。ネット上の不確かな情報に惑わされず、正しい知識を持つことで、あなたの不安を解消し、適切な行動を取るための手助けとなれば幸いです。

この記事でわかること

  • 救急車を呼ぶべき?「危険な動悸」の緊急度セルフチェック
  • ストレス・更年期・心臓病…動悸の主な原因と見分け方
  • 循環器内科医が教える、発作時の正しい対処法と病院の選び方

  1. 【まず確認】その動悸、救急車が必要?緊急度セルフチェック
    1. 直ちに救急車を呼ぶべき「危険な症状」3選
    2. 翌日には必ず受診すべき「要注意な症状」
    3. 一旦様子を見ても良い「緊急性の低い症状」の特徴
  2. なぜ動悸が起こるのか?3つの主要な原因パターン
    1. パターン1:心臓そのものに原因がある場合(不整脈など)
    2. パターン2:心臓以外の病気が原因の場合(甲状腺・貧血など)
    3. パターン3:精神的・自律神経の乱れが原因の場合(ストレス・更年期)
  3. 「心臓の病気」による動悸:見逃してはいけない不整脈の種類
    1. 脈が飛ぶ・結滞する「期外収縮」:多くの場合は良性だが注意も必要
    2. 脈がバラバラに打つ「心房細動」:脳梗塞のリスクに注意
    3. 突然脈が速くなる「頻脈性不整脈」:めまいや失神を伴うことも
  4. 40代〜50代に多い「心臓以外」の原因と対策
    1. 女性ホルモンの減少と「更年期障害」による動悸
    2. ストレス過多による「自律神経失調症」と「パニック障害」
    3. 隠れた病気かも?「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」や「貧血」
  5. 動悸が起きたらどうする?専門医が教える対処法と予防習慣
    1. 【発作時】動悸を落ち着かせるための応急処置(呼吸法・体勢)
    2. 【生活習慣】カフェイン・アルコール・睡眠不足との付き合い方
    3. 【メンタルケア】ストレスを溜め込まないためのリラックス法
  6. 病院へ行くなら何科?受診時のポイントと検査内容
    1. 「循環器内科」と「心療内科」どちらに行くべき?
    2. 医師に伝えるべき5つの情報
    3. 病院で行われる主な検査
  7. 動悸に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q. 夜寝る時にドクンと心臓が跳ねて眠れません。大丈夫でしょうか?
    2. Q. 食後に動悸が激しくなるのはなぜですか?
    3. Q. コーヒーやエナジードリンクは控えたほうがいいですか?
    4. Q. スマートウォッチの心拍数異常通知は信頼できますか?
  8. まとめ:動悸は体からのSOS。不安な時は迷わず専門医へ

【まず確認】その動悸、救急車が必要?緊急度セルフチェック

動悸を感じたとき、最も重要なのは「今すぐ病院へ行くべきか(救急車を呼ぶべきか)」、それとも「明日まで様子を見ても良いか」を瞬時に判断することです。これを医療現場では「トリアージ(緊急度判定)」と呼びます。一般の方がご自身やご家族の症状を判断するために、循環器専門医の視点で作成した緊急度チェックリストを提示します。

以下のリストを確認し、ご自身の症状と照らし合わせてください。一つでも当てはまる項目があれば、それは心臓からの「緊急SOS」である可能性があります。迷わず行動してください。

直ちに救急車を呼ぶべき「危険な症状」3選

もし、動悸とともに以下の症状が一つでも現れている場合は、ためらわずに救急車(119番)を要請してください。これらは、心臓が全身に十分な血液を送れていない状態(循環不全)や、致死的な不整脈が起きている可能性を強く示唆しています。

1. 意識が遠のく、失神する(目の前が真っ暗になる)
動悸がした直後に気が遠くなったり、実際に失神してしまったりする場合は極めて危険です。これは、心室頻拍や心室細動といった危険な不整脈により、脳への血流が一時的に遮断されたことを意味します。たとえ数秒で意識が戻ったとしても、再発して心停止に至るリスクがあります。

2. 激しい胸痛、胸の圧迫感(冷や汗を伴う)
「胸が締め付けられるように痛い」「焼けつくような痛みがある」と感じ、同時に脂汗(冷や汗)が出る場合は、狭心症や心筋梗塞の疑いがあります。特に、痛みが左肩や顎、背中に放散する場合や、15分以上続く場合は緊急性が高い状態です。動悸は、心臓の筋肉が酸欠状態になり、必死に働こうとしているサインかもしれません。

3. 強い息切れ、呼吸困難(横になれない)
動悸とともに、「ゼーゼーして息が吸えない」「横になると息苦しくて座らざるを得ない(起座呼吸)」という症状がある場合、急性心不全の可能性があります。心臓のポンプ機能が低下し、肺に水が溜まってしまっている状態です。これは急速に悪化し、命に関わる危険性があります。

翌日には必ず受診すべき「要注意な症状」

救急車を呼ぶほどではないものの、放置するのは危険なサインです。以下の症状がある場合は、翌日の午前中、あるいは可能な限り早い段階で循環器内科を受診してください。

  • 脈のリズムが明らかにバラバラである
    手首で脈を取ったとき、リズムが完全に不規則で、強くなったり弱くなったりする場合、「心房細動」という不整脈の可能性があります。これ自体で即死することは稀ですが、心臓の中に血栓(血の塊)ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。
  • 動悸が長時間(30分以上)続く
    きっかけなく突然脈が速くなり、安静にしていても30分以上治まらない場合は、治療が必要な頻脈性不整脈の可能性があります。
  • 階段や坂道で動悸・息切れが強くなる
    以前は平気だった階段や坂道で、最近急に動悸や息切れを感じて休むようになった場合、心機能の低下や弁膜症、あるいは貧血が進行している可能性があります。
  • 足のむくみがひどくなった
    動悸に加えて、足の甲やすねを指で押すと跡が残るようなむくみ(浮腫)がある場合、心不全の初期症状である可能性があります。

一旦様子を見ても良い「緊急性の低い症状」の特徴

以下の特徴に当てはまる場合、緊急性は比較的低いと考えられます。ただし、「病気ではない」と断定できるわけではありませんので、症状が繰り返す場合は、後日時間を作って受診することをお勧めします。

  • 一瞬だけ「ドクン」とする
    「一瞬だけ脈が飛んだ気がする」「喉の奥が一瞬詰まる感じがした」という症状で、その後すぐに普段通りの脈に戻る場合は、「期外収縮」という良性の不整脈であることが多いです。
  • 興奮や緊張、運動後に起こり、休むと治まる
    プレゼンテーションの前、激しい運動の後、驚いた時などに脈が速くなるのは、生理的な反応(洞性頻脈)です。安静にして数分〜十数分で落ち着くなら、心臓の正常な機能です。
  • カフェインやアルコール摂取後の動悸
    コーヒーを飲みすぎたり、お酒を飲んだりした後にドキドキするのは、交感神経が刺激されたことによる一時的な反応であることが大半です。

循環器専門医のアドバイス
「救急現場で働いていると、『こんな症状で救急車を呼んでいいのか迷った』とおっしゃる患者さんに多く出会います。しかし、心臓の病気は時間との勝負です。特に『冷や汗が出るほどの苦しさ』や『意識が遠のく感覚』は、体が発している最大級の警告です。迷った時は、最悪の事態を避けるために、勇気を持って助けを求めてください。逆に、夜間に不安で眠れない程度の動悸であれば、まずは深呼吸をして朝まで様子を見ても、医学的には大きな問題にならないことが多いです。」

なぜ動悸が起こるのか?3つの主要な原因パターン

「動悸」と一言で言っても、その原因は多岐にわたります。心臓そのものが悪いのか、それとも別の病気が影響しているのか、あるいは心の問題なのか。原因を大きく3つのパターンに分類することで、ご自身の症状がどこに当てはまるか当たりをつけることができます。

パターン1:心臓そのものに原因がある場合(不整脈など)

最も注意が必要なパターンです。心臓の電気系統に異常が生じ、脈のリズムや速さが乱れる「不整脈」や、心臓のポンプ機能に障害がある「心不全」「弁膜症」などが含まれます。

このタイプの特徴は、「唐突な始まりと終わり」です。何の前触れもなく突然スイッチが入ったように脈が速くなり、また突然止まる、あるいは脈が飛ぶ感覚が明確にある場合、心臓性の原因を疑います。また、運動中や労作時に症状が悪化するのも、心臓に原因がある場合の特徴的なサインです。

パターン2:心臓以外の病気が原因の場合(甲状腺・貧血など)

心臓は正常でも、全身の状態に反応して、結果として心臓が頑張りすぎてしまっているパターンです。代表的なものに「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」や「貧血」、「低血糖」、「発熱」、「脱水」などがあります。

例えば、貧血になると血液中の酸素が不足するため、心臓は全身に酸素を届けようと必死に回数を増やしてポンプします。その結果、動悸として自覚されます。このタイプの特徴は、「持続的で、徐々に変化する」ことです。特定の瞬間だけでなく、一日中なんとなく脈が速い、少し動くだけですぐにドキドキするといった症状が見られます。

パターン3:精神的・自律神経の乱れが原因の場合(ストレス・更年期)

現代人に非常に多いのがこのパターンです。過度なストレス、疲労、睡眠不足、あるいは更年期障害によるホルモンバランスの乱れが、心臓をコントロールしている「自律神経(交感神経と副交感神経)」のバランスを崩します。

交感神経が過剰に興奮すると、心臓に「もっと働け」という指令が出続けるため、安静にしていても動悸を感じます。このタイプの特徴は、「安静時やリラックスしようとした時に感じやすい」ことです。仕事中は気が張っていて気にならないのに、夜布団に入った途端に心臓の音が気になるといったケースが典型的です。また、喉の詰まり感や手足の冷え、イライラなど、心臓以外の不定愁訴を伴うことが多いのも特徴です。

▼詳細データ:動悸の原因別・特徴的な症状比較表
原因パターン 脈のリズム 持続時間 特徴的な随伴症状
心臓の病気
(不整脈など)
突然速くなる
バラバラ
一瞬飛ぶ
数秒〜数時間
(突然始まり突然終わる)
胸痛、失神、めまい、息切れ
心臓以外の病気
(貧血・甲状腺)
常に速め
規則的
一日中続く
(労作時に悪化)
顔面蒼白、体重減少、手の震え、発汗
精神・自律神経
(ストレス・更年期)
やや速い
規則的だが強く感じる
状況による
(安静時に気になる)
喉の違和感、不眠、イライラ、ほてり

※この表はあくまで目安です。正確な診断には医療機関での検査が必要です。

循環器専門医のアドバイス
「病院で心電図や血液検査を受けて『異常なし』と言われたのに、動悸が治まらない。そう訴える患者さんは非常に多いです。これは『心臓という臓器に、目に見える傷や故障はない』という意味であり、『あなたが感じている苦痛が嘘である』という意味ではありません。検査で異常がない場合、上記のパターン3(自律神経やストレス)が原因である可能性が高くなります。心臓病ではないと保証されたことをまずは安心材料とし、生活習慣やストレスケアに目を向けることが、症状改善への第一歩となります。」

「心臓の病気」による動悸:見逃してはいけない不整脈の種類

ここでは、ペルソナであるあなたが最も恐れているであろう「心臓の病気」、特に「不整脈」について、専門的な視点から噛み砕いて解説します。不整脈には「放置しても良いもの」と「治療が必要なもの」があり、その区別をつけることが重要です。

脈が飛ぶ・結滞する「期外収縮」:多くの場合は良性だが注意も必要

「ドクン」と大きく脈打ったり、「脈が一拍抜けた」ように感じたりするのが期外収縮です。これは、本来のタイミングではない時に、心臓の別の場所から電気信号が発生して収縮してしまう現象です。

実は、期外収縮は健康な人でも毎日数百回程度は起きており、ほとんどの人は気づいていません。加齢や疲労、カフェイン摂取などで回数が増えると、自覚症状として現れます。基本的には良性の不整脈であり、心臓の機能に問題がなければ、薬による治療は不要で、経過観察となることが大半です。しかし、一日に数千回〜数万回も起きる場合や、連発する場合(ショートラン)は、心機能低下を招く恐れがあるため、詳しく調べる必要があります。

脈がバラバラに打つ「心房細動」:脳梗塞のリスクに注意

高齢化とともに急増しているのが心房細動です。心臓の上部にある「心房」が細かく震え、痙攣したような状態になります。脈を取ると、リズムが完全に不規則で、速くなったり遅くなったり、強かったり弱かったりするのが特徴です。

心房細動の最大のリスクは、心臓内で血液がよどみ、血栓(血の塊)ができやすくなることです。この血栓が血流に乗って脳に飛ぶと、太い血管を詰まらせ、広範囲の脳梗塞(心原性脳塞栓症)を引き起こします。動悸そのものの苦しさだけでなく、将来の脳梗塞を防ぐために、抗凝固療法(血液をサラサラにする薬)などの適切な治療が不可欠です。

突然脈が速くなる「頻脈性不整脈」:めまいや失神を伴うことも

発作性上室性頻拍や心室頻拍などがこれに当たります。突然、スイッチが入ったように脈拍が1分間に150回〜200回以上になり、また突然止まるのが特徴です。全力疾走した直後のような激しい動悸が、安静時に突然襲ってきます。

脈が速すぎると、心臓は血液を十分に溜め込む前に収縮しなければならず、結果として全身に送り出す血液量が激減します。これにより、脳への血流が不足してめまい失神を起こしたり、血圧が急低下してショック状態になったりすることがあります。特に「心室頻拍」は、そのまま心停止(心室細動)に移行するリスクがある危険な不整脈です。

循環器専門医のアドバイス
「『不整脈』と診断されるとショックを受ける方がいますが、不整脈は病名というよりは『状態』を表す言葉です。誰にでも起こりうる生理現象に近いものから、即座に処置が必要なものまで幅広いです。私たちが治療を検討するラインは、『命に関わるか』『脳梗塞などの合併症を起こすか』『症状が強くて日常生活に支障があるか』の3点です。もし診断名がついたとしても、医師が『様子を見ましょう』と言うのであれば、それは差し迫った危険がないという専門的な判断ですので、過度に恐れる必要はありません。」

40代〜50代に多い「心臓以外」の原因と対策

40代後半から50代にかけての時期は、体の曲がり角とも言える時期です。この年代で動悸を訴える方は非常に多いのですが、その原因を探ると、心臓そのものではなく、体の変化や環境要因が大きく関わっているケースが目立ちます。特に女性の場合、ホルモンバランスの変化は見逃せない要因です。

女性ホルモンの減少と「更年期障害」による動悸

閉経前後の約10年間を指す更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下します。エストロゲンには、自律神経を安定させる働きがあるため、これが減少することで自律神経のバランスが乱れやすくなります。

更年期の動悸の特徴は、「ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)」や「発汗」を伴うことです。急にカーッと熱くなり、同時にドキドキし始めるといった症状が見られます。これは血管運動神経症状とも呼ばれ、血管の収縮・拡張のコントロールがうまくいかなくなることで生じます。婦人科でのホルモン補充療法(HRT)や漢方薬によって、劇的に改善することもあります。

ストレス過多による「自律神経失調症」と「パニック障害」

40代〜50代は、職場での責任ある立場、子育ての悩み、親の介護など、精神的な重圧が重なる時期でもあります。長期間のストレスに晒され続けると、交感神経が常に興奮状態となり、心拍数が上がりやすくなります。

また、過去に強い動悸を経験した恐怖から、「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安が強まり、それが引き金となって動悸や過呼吸を引き起こすパニック障害を発症することもあります。パニック発作は「死ぬかもしれない」と思うほどの恐怖を感じますが、身体的な死に至ることはありません。心療内科でのカウンセリングや抗不安薬による治療が有効です。

隠れた病気かも?「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」や「貧血」

「更年期のせいだ」と思い込んで放置していたら、実は別の病気だったというケースも少なくありません。特に注意したいのが甲状腺機能亢進症(バセドウ病)です。甲状腺ホルモンが過剰に出ることで、全身の代謝が異常に高まり、常にマラソンをしているような状態になります。動悸のほかに、手が震える、食べているのに痩せる、暑がりになる、といった症状があれば要注意です。

また、子宮筋腫などによる過多月経がある場合、慢性的な鉄欠乏性貧血になっていることがあります。血液中のヘモグロビンが減ると、酸素を運ぶ能力が落ちるため、心臓はそれをカバーしようと拍動を速めます。階段を上がった時の息切れや動悸が顕著な場合は、貧血の検査も必要です。

循環器専門医のアドバイス
「更年期の動悸と心臓病の動悸を、患者さん自身が完全に見分けることは難しいのが現実です。しかし、一つの目安として『動悸が起きるタイミング』があります。更年期の動悸は、リラックスしている時や就寝前など、予測できないタイミングで、ほてりと共に起きることが多いです。一方、狭心症などの心臓病は、階段を登る、重い荷物を持つなど、体に負荷がかかった時に再現性を持って現れる傾向があります。とはいえ、素人判断は危険ですので、まずは内科やかかりつけ医で血液検査(甲状腺ホルモンや貧血チェック)と心電図を受けることを強くお勧めします。」

動悸が起きたらどうする?専門医が教える対処法と予防習慣

実際に動悸が起きてしまった時、パニックにならずに落ち着いて対処することで、症状が早く治まることがあります。また、日頃の生活習慣を見直すことで、動悸の頻度を減らすことも可能です。ここでは、薬に頼る前にできる実践的なセルフケアを紹介します。

【発作時】動悸を落ち着かせるための応急処置(呼吸法・体勢)

動悸を感じたら、まずはその場で動作を中断し、楽な姿勢を取ってください。衣服の締め付け(ネクタイ、ベルト、ブラジャーなど)を緩め、椅子に座るか、可能であれば横になります。

最も効果的で安全な方法は「深呼吸」です。動悸がすると、不安から呼吸が浅く速くなりがちですが、これは逆効果です。意識的に呼吸をゆっくりにすることで、副交感神経を優位にし、心拍数を下げる効果が期待できます。

  • 4-7-8呼吸法:
    1. 口を閉じて、鼻から4秒かけて静かに息を吸います。
    2. 7秒間息を止めます(無理のない範囲で)。
    3. 8秒かけて口から「フーッ」と音を立てるようにゆっくり息を吐き切ります。

    これを数回繰り返してください。息を吐く時間を長くすることがポイントです。

※注意:インターネット上には「冷たい水を飲む」「眼球を圧迫する」「息ごらえをする(バルサルバ法)」などの方法が紹介されていることがありますが、これらは場合によっては不整脈を悪化させたり、網膜剥離などの合併症を引き起こしたりするリスクがあるため、医師の指導なしに行うことは推奨しません。

【生活習慣】カフェイン・アルコール・睡眠不足との付き合い方

心臓は刺激物に敏感です。動悸が気になる時期は、以下の嗜好品を控えることを検討してください。

  • カフェイン: コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインは交感神経を刺激し、心拍数を上げます。特に午後の摂取は睡眠の質も下げるため、デカフェ(カフェインレス)に切り替えてみましょう。
  • アルコール: アルコールは分解される過程でアセトアルデヒドという物質になり、これが血管を拡張させ、反射的に心拍数を増加させます。「寝酒」は睡眠を浅くし、夜間の動悸や心房細動の誘因となるため、休肝日を設けることが大切です。
  • 睡眠不足: 睡眠不足は自律神経のバランスを崩す最大の要因です。質の良い睡眠をとることで、心臓もしっかりと休息を取ることができます。

【メンタルケア】ストレスを溜め込まないためのリラックス法

ストレスは心臓にとって見えない敵です。真面目な人ほどストレスを溜め込みがちですが、意識的に「心臓を休ませる時間」を作ることが重要です。ぬるめのお湯(38〜40度)にゆっくり浸かる入浴や、軽いウォーキング、アロマテラピーなど、自分が心地よいと感じる方法を取り入れましょう。

▼詳細:動悸を抑えるツボ「内関(ないかん)」の場所と押し方

東洋医学では、動悸や胸の不快感、吐き気に効くツボとして「内関」が知られています。発作時のお守りとして覚えておくと安心です。

場所: 手のひらを上に向けた状態で、手首のシワ(一番手のひら側のシワ)から、指3本分(人差し指、中指、薬指)肘側に下がったところ。手首の中央にある2本の筋の間にあります。

押し方: 反対側の親指の腹を当て、少し痛みを感じるくらいの強さで、ゆっくりと垂直に押します。5秒押して、5秒離す、を数分間繰り返します。深呼吸をしながら行うとより効果的です。

循環器専門医のアドバイス
「『救心』などの市販の生薬製剤を使用されている患者さんもいらっしゃいます。これらは気付け薬としての効果があり、軽い動悸や気分の不調には有効な場合があります。しかし、これらはあくまで対症療法であり、根本的な心臓病を治すものではありません。市販薬を数日飲んでも症状が改善しない場合や、症状が悪化している場合は、薬で誤魔化さずに必ず受診してください。また、病院で処方されている薬(特に強心薬や不整脈の薬)との飲み合わせには注意が必要ですので、主治医に相談することをお勧めします。」

病院へ行くなら何科?受診時のポイントと検査内容

「病院に行こう」と決心しても、何科に行けばいいのか、どんな検査をされるのか分からず、足が遠のいてしまうことがあります。スムーズに適切な診断を受けるためのガイドラインをお伝えします。

「循環器内科」と「心療内科」どちらに行くべき?

動悸がする場合、最初の窓口としては「循環器内科」を強くお勧めします。まずは、命に関わる心臓の病気(不整脈、心不全、狭心症など)がないことを医学的に確認(除外診断)する必要があるからです。

循環器内科で検査を受け、「心臓には異常がありません」と診断された上で、それでも動悸や不安感が続く場合に初めて、「心療内科」「精神科」の受診を検討するのが正しい順序です。最初から「どうせストレスだろう」と決めつけて心療内科に行くと、隠れていた心臓病を見逃してしまうリスクがあります。

医師に伝えるべき5つの情報

診察室では緊張してしまい、うまく症状を伝えられないことがあります。以下の5つのポイントを事前に整理しておくと、医師は診断の助けになります。

  1. いつから始まったか: 何日前、何ヶ月前からか。頻度は増えているか。
  2. どんな状況で起きるか: 安静時か、運動時か、食後か、就寝時か。
  3. 脈の特徴はどうか: 突然始まるか、徐々に速くなるか。リズムは規則的か、バラバラか。脈拍数はどれくらいか(測れていれば)。
  4. 持続時間はどれくらいか: 数秒で終わるのか、数十分続くのか。
  5. 他の症状はあるか: 胸の痛み、めまい、息切れ、冷や汗、吐き気など。

病院で行われる主な検査

循環器内科では、主に以下のような検査が行われます。痛みや苦痛を伴う検査はほとんどありません。

  • 12誘導心電図: ベッドに横になり、胸と手足に電極をつけて心臓の電気信号を記録します。基本中の基本の検査ですが、不整脈が起きていない時の記録は正常になることが多いです。
  • ホルター心電図(24時間心電図): 小型心電計を装着して帰宅し、24時間の心電図を記録します。夜間や明け方、日常活動中の動悸を捉えるのに非常に有効です。
  • 心臓超音波検査(心エコー): 超音波で心臓の動きや形、弁の状態をリアルタイムで観察します。心不全や弁膜症の診断に必須です。
  • 血液検査: 貧血、甲状腺ホルモン、電解質異常、心不全マーカー(BNP)などを調べます。

循環器専門医のアドバイス
「正確な診断のために最も役立つのは、患者さんご自身による『症状メモ』です。動悸が起きた日時、その時の活動内容、持続時間、脈拍数などを簡単な日記にして持参していただけると、原因特定の手がかりになります。最近では、Apple Watchなどのスマートウォッチで記録された心電図データを見せてくださる患者さんも増えており、診断の強力な武器になっています。もし記録があれば、ぜひ医師に見せてください。」

動悸に関するよくある質問(FAQ)

最後に、診察室でよく患者さんから質問される疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q. 夜寝る時にドクンと心臓が跳ねて眠れません。大丈夫でしょうか?

A. 多くの場合は「期外収縮」によるもので、過度な心配は不要です。夜間は周囲が静かで、意識が体に向きやすいため、昼間は気づかない程度の脈の飛びを敏感に感じ取ってしまいます。横向き(特に右側を下)にして寝ると、心臓の圧迫感が減り、気になりにくくなることがあります。ただし、呼吸が苦しくて目が覚める場合は心不全の可能性があるため受診が必要です。

Q. 食後に動悸が激しくなるのはなぜですか?

A. 食後は消化のために胃腸に血液が集中します。その分、心臓は全身の血流を維持しようとして、いつもより多く働かなければなりません。また、血糖値の急激な変動(食後高血糖や反応性低血糖)が交感神経を刺激することもあります。過食を避け、ゆっくり食べることで症状が緩和されることが多いです。

Q. コーヒーやエナジードリンクは控えたほうがいいですか?

A. 動悸の自覚症状がある時期は、控えたほうが賢明です。カフェインに対する感受性は個人差が大きいですが、交感神経を刺激して不整脈を誘発しやすくします。症状が落ち着いている時なら、1日1〜2杯程度であれば問題ないことが多いですが、自分の体調と相談しながら調整してください。

Q. スマートウォッチの心拍数異常通知は信頼できますか?

A. 最近のウェアラブルデバイスの精度は非常に高くなっています。特に「心房細動の疑い」という通知は、高い確率で実際の不整脈を捉えていることがあります。ただし、接触不良などで誤作動することもありますので、通知が出たからといって即座に危険というわけではありません。「医師に見せるための貴重なデータが取れた」と前向きに捉え、そのデータを保存して受診時に提示してください。

循環器専門医のアドバイス
「スマートウォッチやパルスオキシメーターで常に数値をチェックしすぎて、逆に不安を募らせてしまう『数値ノイローゼ』のような状態になる方がいらっしゃいます。デバイスはあくまで健康管理の補助ツールです。数値の多少の変動に一喜一憂せず、体調が良いか悪いかというご自身の感覚も大切にしてください。」

まとめ:動悸は体からのSOS。不安な時は迷わず専門医へ

動悸は、心臓からの、あるいは体全体からの「少し無理をしていませんか?」「バランスが崩れていますよ」というサインです。その多くは、適切な休息や生活習慣の改善で和らぐものですが、中には専門的な治療が必要な病気が隠れていることも事実です。

あなたが今感じている不安を解消する一番の近道は、インターネットで検索し続けることではなく、一度専門医によるチェックを受けることです。「大したことないのに病院に行っていいのかな」と遠慮する必要は全くありません。私たち医師は、検査をして「心臓は大丈夫ですよ」と太鼓判を押すことで、患者さんに安心を持ち帰っていただくことも大切な仕事だと考えています。

最後に、受診前に準備しておくと良いことをリストにまとめました。これらを参考に、ぜひ最初の一歩を踏み出してください。あなたの心臓が、これからも健やかにリズムを刻み続けることを願っています。

受診前に準備することチェックリスト

  • 症状の記録: いつ、どんな時に、どのような動悸が起きたかメモする。
  • 既往歴の確認: 過去にかかった病気や、現在飲んでいる薬(お薬手帳)を用意する。
  • 家族歴の確認: 両親や兄弟に心臓病や不整脈、突然死された方がいないか確認する。
  • 健康診断結果: 過去の心電図や血液検査の結果があれば持参する。
  • スマートウォッチのデータ: もし記録があれば、スマホと連携させておくかプリントアウトする。

循環器専門医のアドバイス
「心臓の不安は、一人で抱え込むほど大きく膨らんでしまいます。今日、この記事を読んだことが、あなたの健康を守るための行動につながることを信じています。どうぞお大事になさってください。」

この記事を書いた人

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