かつて「パリダカの王者」として世界を席巻し、日本のRVブームを牽引した三菱パジェロ。2019年の国内生産終了から数年が経過した今もなお、その人気は衰えるどころか、中古車市場では一部のモデルで価格が高騰する異常事態となっています。「いつかはパジェロ」と憧れを抱き続けてきたあなたにとって、現在は非常に悩ましいタイミングではないでしょうか。
結論から申し上げます。もしあなたがパジェロの購入を検討しているなら、「状態の良いV98W(クリーンディーゼル)の中古」を今すぐ探すべきです。確かに新型パジェロ復活の噂は非常に有力であり、2026年頃の登場が囁かれています。しかし、昨今の自動車業界の情勢を鑑みると、新型は大幅な価格上昇と長期間の納期遅延が避けられないでしょう。
一方で、熟成の域に達した最終型(V80/90系)の信頼性は、長年現場で整備に携わってきた私から見ても「傑作」と呼べるレベルにあります。電子制御満載の現代車にはない、機械としてのアナログな強さと、整備士視点でのチェックポイントさえ押さえれば、パジェロは一生モノの相棒になり得ます。
本記事では、歴20年の4WD専門整備士である筆者が、以下の3点を中心に徹底解説します。
- 整備士が明かす「買ってはいけないパジェロ」の致命的な不具合箇所と見極め方
- 噂の「新型パジェロ」を待つべきか、今中古を買うべきかのプロの判断基準
- ディーゼル特有の「煤(スス)」問題と維持費のリアルな実態
ネット上の表面的なスペック比較ではなく、リフトアップして下回りを見続けてきた現場の人間だからこそ語れる「真実」をお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたの迷いは消え、最高のパジェロと出会うための具体的な行動が取れるようになっているはずです。
パジェロの中古市場高騰と「新型復活」の噂、その真相とは?
このセクションでは、現在パジェロを取り巻く市場環境と、多くのファンが固唾を飲んで見守っている「復活説」について、その信憑性と背景を整理します。なぜ生産終了した車がこれほどまでに注目され、価格が上昇しているのか。そのメカニズムを理解することは、賢い購入判断を下すための第一歩です。
生産終了から数年、なぜ今パジェロの中古相場が上がっているのか
2019年の国内向け生産終了(ファイナルエディションの発売)から時間が経過しましたが、中古車市場におけるパジェロの相場は、一般的な中古車の値落ち曲線とは全く異なる動きを見せています。通常、車は年式が古くなるにつれて価値が下がりますが、パジェロ、特に「V98W」と呼ばれる3.2Lクリーンディーゼル搭載のロングボディに関しては、横ばいか、個体によっては上昇傾向にあります。
この現象の背景には、大きく分けて3つの要因があります。
第一に、「ラダーフレームを持つ本格クロカン4WD」の選択肢が極端に少ないことです。現在、新車で購入できるこの手の車種は、トヨタのランドクルーザーシリーズやスズキのジムニー、ジープのラングラーなどごく一部に限られています。世界的なSUVブームの中で、モノコック構造のクロスオーバーSUV(都市型SUV)は数多く発売されていますが、悪路走破性と耐久性を極限まで追求した「本物」を求める層にとって、パジェロの代わりになる車が存在しないのです。
第二に、「最終型ディーゼルエンジンの完成度」が再評価されていることです。ポスト新長期規制をクリアした4M41型エンジンは、強大なトルクと実用的な燃費性能を両立しており、重量級のボディを軽々と加速させる実力を持っています。昨今の環境規制強化により、大排気量ディーゼルエンジンの新規開発が難しくなっている中、このエンジンの希少性は年々高まっています。
第三に、「輸出需要」の底堅さです。パジェロは海外、特に中東やアジア、オーストラリアなどで絶大な信頼を得ています。国内の中古車市場にある良質な個体は、海外バイヤーによって高値で買い付けられ、国外へ流出しています。これにより国内の流通台数が減少し、需給バランスが崩れることで相場が高止まりしているのです。
2026年復活説は本当か?メーカー動向とトライトンからの予測
パジェロファンにとって最も気になるのが、「新型パジェロは本当に復活するのか?」という点でしょう。公式な発表はまだありませんが、業界内の動向やメーカーの発言を分析すると、復活は「ほぼ確実」と言える状況になりつつあります。
その最大の根拠となるのが、三菱自動車が世界戦略車として展開するピックアップトラック「トライトン」のフルモデルチェンジです。新型トライトンは、新開発のラダーフレームを採用し、サスペンションやエンジンも刷新されました。歴史的に見ても、パジェロとトライトン(あるいはチャレンジャー/パジェロスポーツ)はプラットフォームを共有する兄弟関係にあります。つまり、新型トライトンの登場は、新型パジェロのベースとなる技術的な土台が完成したことを意味します。
予想される新型パジェロの姿は、以下のようなものです。
- プラットフォーム:新型トライトン譲りの高剛性ラダーフレームを採用。
- パワートレイン:改良型2.4Lクリーンディーゼルターボ、および電動化技術(PHEV)の搭載が濃厚。
- 登場時期:2026年から2027年頃と予測されています。
しかし、ここで冷静に考えるべきは「価格」と「入手難易度」です。新型トライトンの価格が500万円台からスタートしていることを考えると、上級SUVである新型パジェロは、最低でも600万円台、PHEVモデルや上級グレードになれば700万円〜800万円クラスになることは避けられません。また、ランドクルーザー250や70がそうであるように、発売直後は注文が殺到し、納期が数年単位になる可能性も極めて高いでしょう。
「新型を待つ」vs「今、中古を買う」メリット・デメリット整理
現状を踏まえ、新型を待つべきか、今中古車(V80/90系)を購入すべきかを比較検討します。
| 比較項目 | 今、中古車(V80/90系)を買う | 新型パジェロの復活を待つ |
|---|---|---|
| 価格・予算 | 250万〜500万円(現実的な範囲) | 600万〜800万円以上(高額化必至) |
| 納期 | 即納(1ヶ月程度) | 未定(発売後も1〜2年待ちの可能性大) |
| エンジン | 3.2L 直4ディーゼル(大排気量の余裕) | 2.4Lディーゼル or PHEV(ダウンサイジング) |
| 構造・乗り味 | ビルトインラダーフレーム(独自の剛性感) | 完全なラダーフレーム(トラックベースの堅牢さ) |
| リスク | 経年劣化、故障リスク、部品供給 | 初期不良、リコール、納期遅延 |
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「新型が出れば中古相場が下がる」と考えるのは早計です。過去の例を見ても、ランドクルーザー300が出た後も200系の相場が下がらないように、新型が高額化・長納期化すると、すぐに手に入る旧型の需要がかえって高まることがあります。また、V90系の3.2Lエンジンという『大排気量ならではのトルク感』は、ダウンサイジングが進む新型には期待できない可能性が高いです。純粋な内燃機関のパジェロを楽しみたいなら、『出会った時が買い時』は今の市場における鉄則です。
整備士が断言!今あえて「4代目パジェロ(V80/90系)」を選ぶべき技術的理由
多くのSUVが存在する中で、なぜ今あえて設計の古い4代目パジェロを選ぶ価値があるのか。それは、この車が持つ技術的特異性が、現代の車では決して味わえない独自の魅力を持っているからです。ここでは、整備士の視点からそのメカニズムの凄みを解説します。
唯一無二の「ビルトインラダーフレーム」がもたらす剛性と乗り心地
パジェロ(3代目・4代目)の最大の特徴は、一般的なクロカン4WDが採用する「ラダーフレーム構造」と、乗用車が採用する「モノコック構造」を融合させた「ラダーフレーム・ビルトイン・モノコックボディ」という独自の構造にあります。
ランドクルーザーやジムニーのような純粋なラダーフレーム車は、頑丈ですが重量がかさみ、ボディとフレームが別体であるため、走行時に独特の揺れ(ブルブル感)が発生しやすい傾向があります。一方、パジェロのビルトインラダーフレームは、モノコックボディの中に強靭なフレーム骨格を溶接して一体化させています。
これにより、従来のラダーフレーム車と同等のねじり剛性を確保しながら、低重心化と軽量化を実現しています。実際に運転してみるとわかりますが、パジェロは悪路では岩のような堅牢さを感じさせる一方、高速道路では乗用車のようにフラットで安定した走りを見せます。この「剛柔併せ持った乗り味」こそがパジェロの真骨頂であり、長距離移動の多いツーリング派に支持される理由です。
最強の駆動システム「スーパーセレクト4WD-II」の実力
三菱自動車が誇る技術の結晶、それが「スーパーセレクト4WD-II」です。このシステムは、パートタイム4WDの「燃費と直結時の走破性」と、フルタイム4WDの「あらゆる路面での旋回性能」を完璧に両立させています。
特筆すべきは、走行中でも100km/h以下ならレバー操作一つで2WD(2H)と4WD(4H)を切り替えられる利便性です。さらに、センターデフロック機構を備えているため、以下の4つのモードを状況に応じて使い分けることができます。
- 2H(後輪駆動):市街地や高速道路での燃費重視の走行。軽快なハンドリング。
- 4H(フルタイム4WD):雨天や濡れた路面、強風時の高速道路。トルク配分を自動調整し、安定した走行を実現。
- 4HLc(直結4WD):雪道や砂地。センターデフをロックし、前後輪に均等に駆動力を配分。
- 4LLc(ローギア直結4WD):岩場や深雪、急勾配の登坂。通常の約2倍の駆動力を発揮し、這うように進む。
多くの「なんちゃってSUV」が採用するオンデマンド式4WD(滑った時だけ4WDになる)とは異なり、ドライバーの意志で駆動方式を完全に固定できる点が、プロの現場で信頼される理由です。
熟成された「4M41」3.2Lクリーンディーゼルエンジンのトルク特性
パジェロに搭載されている「4M41」型3.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、三菱のエンジン技術の集大成とも言える名機です。特に2010年以降のポスト新長期規制対応モデルでは、大幅な改良が加えられています。
▼4M41エンジンのスペック詳細とトルクカーブ解説
| 項目 | スペック数値(最終型) |
|---|---|
| エンジン型式 | 4M41 |
| 総排気量 | 3,200cc |
| 最高出力 | 190ps / 3,500rpm |
| 最大トルク | 45.0kgf・m / 2,000rpm |
| 燃料供給装置 | コモンレール式燃料噴射システム |
このエンジンの最大の特徴は、わずか2,000回転で最大トルク45.0kgf・mを発生させる低速トルクの厚みです。これは4.5Lクラスのガソリンエンジンに匹敵する力強さです。信号待ちからの発進や、重い荷物を積んでの坂道発進でも、アクセルを軽く踏むだけで2トン超えの巨体がスッと前に出ます。高回転まで回す必要がないため、巡航時のエンジン音は意外なほど静かで、長距離運転でも疲労が蓄積しにくい特性を持っています。
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「最新のSUVは電子制御で『走らせてもらう』感覚ですが、パジェロはドライバーが機械を操る感覚が色濃く残っています。特にスーパーセレクト4WD-IIのトランスファーレバーを『ガコン』と操作し、機械的にデフロックが入る感触は、車好きにはたまりません。乾燥路から雪道まで、レバー操作一つで車の性格をガラリと変えられる万能性は、現場でも別格の信頼を得ています。」
【重要】購入前に絶対チェック!パジェロの「弱点」と不具合発生ポイント
どんな名車にも弱点はあります。特に中古車を購入する場合、その弱点を知らずに買うことは、後の高額な修理費に直結します。ここでは、整備士として数多くのパジェロを診てきた筆者が、購入前に必ずチェックすべき「パジェロの急所」を包み隠さず公開します。
ディーゼル車の宿命「DPF(微粒子捕集フィルター)」とインジェクター
クリーンディーゼル搭載車(V98W/V88W)を購入する際、最も警戒すべきは「DPFの煤(スス)詰まり」と「インジェクターの不調」です。
DPFとは、排気ガスに含まれる有害な微粒子(PM)をフィルターで捕集し、一定量溜まると自動的に燃焼(再生)させて除去する装置です。しかし、以下の条件で使用された車両は、煤が完全に燃えきらずにフィルター内に堆積し、最終的に詰まってしまうことがあります。
- 短距離走行(ちょい乗り)の繰り返し
- 長時間のアイドリング
- 低速走行のみの使用
DPFが完全に詰まると、エンジン警告灯が点灯し、出力制限がかかってまともに走れなくなります。洗浄で復活することもありますが、最悪の場合は交換が必要となり、部品代だけで20万円〜30万円コースとなります。
また、燃料を噴射する「インジェクター」も消耗品です。経年劣化で噴射ノズルが詰まったり、噴射量が不均一になると、黒煙の増加やアイドリングの振動、そしてDPFの寿命短縮につながります。インジェクター交換も全数交換(4本)で15万円〜20万円程度の費用がかかります。
見落とし厳禁!「燃料タンクの錆」と燃料ポンプトラブル
パジェロ(特にV90系)のウィークポイントとして知られているのが、燃料タンクの腐食です。タンクの上部に泥や塩分を含んだ水が溜まりやすい構造になっており、そこから錆が進行して穴が空き、燃料漏れを起こすケースがあります。
さらに深刻なのは、タンク内部の錆です。タンク内で発生した錆の粉が燃料ポンプに吸い込まれると、ポンプが故障したり、最悪の場合はインジェクターまで錆が回って燃料ライン全体が全滅することもあります。これはリコールやサービスキャンペーンの対象になっている年式もありますが、中古車購入時には必ず「タンクの交換歴」や「対策済みかどうか」を確認する必要があります。
定番の経年劣化箇所(ハブベアリング、ATF、ブレーキキャリパー)
重量級のパジェロは、足回りへの負担も大きいです。
- ハブベアリング:走行中に「ゴー」という異音が聞こえたら要注意。10万キロ前後で寿命を迎えることが多いです。
- ATF(オートマチックトランスミッションフルード):交換履歴がない過走行車はリスクが高いです。変速ショックが大きい個体は避けるのが無難です。
- ブレーキキャリパー:特にリアのキャリパーは固着しやすい傾向があります。ブレーキの引きずりや、パッドの偏摩耗がないか確認が必要です。
下回りの錆チェックは「リアフェンダー内側」を重点的に
クロカン4WDにとって大敵なのが「塩害」による錆です。特にパジェロは、リアエアコンの配管が通っている右リアタイヤハウスの内側や、リアフェンダー内部に錆が発生しやすいです。外装が綺麗でも、下回りを覗き込むとフレームが錆だらけ、という個体も少なくありません。販売店にお願いして、可能な限りリフトアップしてもらうか、地面に這いつくばってでも下回りを確認してください。
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「試乗時に確認すべき違和感として、アイドリング時の微振動や、加速時の『息継ぎ』には要注意です。これらはインジェクターやDPF系統の不調のサインであることが多く、購入後に数十万円の修理費がかかるケースがあります。必ず整備記録簿を見て、過去にインジェクターの洗浄や交換、DPFの強制再生履歴があるかを確認してください。記録がない10万キロ超えの車両は、購入費用とは別に30万円程度の『整備予備費』を見ておくべきです。」
[筆者の体験談:煤(スス)詰まりの修理事例]
先日、「坂道で全くスピードが出ない」と持ち込まれた走行11万キロのパジェロ。診断機を繋ぐとDPFの差圧異常が記録されていました。インテークマニホールド(吸気管)を取り外してみると、本来は拳が入るほどの空気の通り道が、コールタールのような粘度のある煤で指一本分まで狭まっていました。これではエンジンが窒息状態です。インテーク周りを徹底的に洗浄し、インジェクターをリビルト品に交換したところ、新車時のような強烈なトルクが蘇り、オーナー様も「別の車になったようだ」と驚愕されていました。ディーゼルパジェロにとって、吸気系のメンテナンスは生命線です。
失敗しないパジェロ選び:グレード・ボディタイプ・年式の最適解
パジェロには「ロング」と「ショート」、「ガソリン」と「ディーゼル」、そして複数のグレードが存在します。用途に合わないモデルを選んでしまうと、使い勝手の悪さに後悔することになります。ここでは、あなたのライフスタイルに最適な一台を見つけるための基準を提案します。
「ロング」vs「ショート」:積載性と取り回しの比較
パジェロ選びの最初の分岐点はボディサイズです。
- ロングボディ(5ドア・7人乗り):
全長4.9m級。圧倒的な積載量を誇り、キャンプ道具を満載にしても余裕があります。3列目シートは床下に収納できるため、広大なラゲッジスペースを確保可能です。ファミリーユースや車中泊、本格的なアウトドアを楽しむならロング一択です。 - ショートボディ(3ドア・5人乗り):
全長4.4m級。ホイールベースが短いため、小回りが利き、オフロードでの走破性(特に亀の子状態になりにくい)はロングを凌駕します。しかし、荷室は極端に狭く、後席への乗り降りも不便です。独身の方や、純粋にオフロード走行を楽しみたい玄人向けです。
「ディーゼル」vs「ガソリン」:維持費と走りの違い
- 3.2L クリーンディーゼル(V98W/V88W):
燃費は街乗り8〜9km/L、高速11〜13km/L程度。軽油の安さと燃費の良さで燃料代は抑えられますが、前述の通りDPFやインジェクターなどのメンテナンスコストがかかります。トルクフルな走りはパジェロのキャラクターに最もマッチしています。 - 3.0L / 3.8L ガソリン(V93W/V97Wなど):
燃費は街乗り5〜6km/L、高速8〜9km/L程度と悪く、ハイオク指定(3.8L)もあるため燃料代は嵩みます。しかし、構造がシンプルで故障リスクが低く、エンジン本体のトラブルは少ないです。年間走行距離が少ない人や、静粛性を求める人には狙い目です。中古相場もディーゼルより安価です。
狙い目の年式は?中期型(2010年9月〜)以降をおすすめする理由
パジェロ(V80/90系)は2006年から2019年まで販売されたロングセラーですが、購入するなら2010年9月以降の「中期型」以降を強く推奨します。
理由は、このタイミングでディーゼルエンジンが改良され、環境性能と出力が向上した「ポスト新長期規制対応」モデルになったからです。これ以前のモデルはDPFトラブルが比較的多く、ATも4速(後期は5速)であるなど、性能差が大きいです。予算が許せば、フロントバンパーのデザインが変更された2014年以降の「後期型」、さらに言えばCarPlay対応オーディオなどが装備された2018年以降のモデルが理想ですが、コストパフォーマンスが良いのは2012年〜2015年あたりです。
上級グレード「スーパーエクシード」と実用的な「エクシード」の違い
| グレード | 特徴・装備 | おすすめユーザー |
|---|---|---|
| SUPER EXCEED | 本革シート、木目調パネル、ロックフォード・フォズゲート・プレミアムサウンドシステム標準装備。最上級の質感。 | 豪華装備で快適に移動したい人。所有欲を満たしたい人。 |
| EXCEED | ファブリックシート(ハーフレザーもあり)、必要十分な装備。実用性重視。 | アウトドアで汚れを気にしたくない人。カスタムベースにする人。 |
| GR | ベーシックグレード。装備は簡素だが、4WD性能は同じ。 | 予算を抑えたい人。業務用途に近い使い方をする人。 |
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「キャンプやDIYを楽しむなら、迷わず『ロングボディのディーゼル車』をおすすめします。トルクフルな走りは満載時の移動を楽にしますし、長尺物の積載も容易です。グレードに関しては、本革シートは泥汚れの掃除は楽ですが、夏は蒸れやすく冬は冷たいというデメリットもあります。あえてファブリックシートの『エクシード』を選び、高品質なシートカバーで保護するというのも、長く乗るための賢い選択です。」
購入後のリアル:パジェロの維持費とメンテナンス計画
「パジェロは維持費が高いのではないか?」という不安を持つ方も多いでしょう。ここでは、購入後に慌てないためのリアルな維持費シミュレーションと、長く乗るためのメンテナンス計画を提示します。
自動車税・重量税・燃費から算出する年間維持費シミュレーション
3.2Lディーゼル(ロング)を例に、年間の固定費を算出します。(※地域や保険等級により異なります)
- 自動車税:58,000円(登録から13年経過で約15%重課される点に注意)
- 重量税:車検時に納付(2トン超〜2.5トン以下)。エコカー減税対象外の年式の場合、2年で41,000円〜50,000円程度。
- 燃料代:軽油150円/L、燃費9km/L、年間1万キロ走行と仮定。
10,000km ÷ 9km/L × 150円 ≒ 約167,000円 - 任意保険・車検整備費:約100,000円〜150,000円(年換算)
合計すると、年間約35万〜40万円(月々約3万円〜3.5万円)程度の維持費が必要です。これはミニバンクラスと比較しても極端に高いわけではありませんが、タイヤ交換(18インチや17インチの大径タイヤ)の際は10万円〜15万円の出費となるため、計画的な積み立てが必要です。
ディーゼル車に必須のメンテナンス(オイル選び、添加剤、燃料フィルター)
パジェロのディーゼルエンジンを好調に保つためには、以下の3点を徹底してください。
- エンジンオイル交換:
必ずメーカー指定の「DL-1」規格(JASO規格)のオイルを使用してください。規格外のオイルを入れるとDPFが詰まります。交換サイクルは5,000kmごと、または半年ごとを厳守してください。オイルフィルターは2回に1回交換です。 - 燃料フィルターの交換:
ディーゼル車は燃料フィルターが詰まりやすいです。メーカー推奨は数万キロですが、トラブル予防のためには2万〜3万キロごとの交換をおすすめします。 - ディーゼル添加剤の活用:
給油ごとに、インジェクターの汚れを除去する洗浄系添加剤(デポジットクリーナー)を定期的に使用することで、煤の発生を抑え、エンジンの調子を維持できます。
部品供給の現状と今後の見通し(純正部品・リビルト品)
生産終了から時間が経っていますが、三菱自動車は部品供給に比較的責任を持つメーカーです。消耗品や主要な機関部品については、新品が出ます。また、パジェロは販売台数が多いため、リビルト品(再生部品)や中古パーツも豊富に流通しています。当面の間、修理不能になるリスクは低いと考えて良いでしょう。
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「パジェロは頑丈ですが、決してメンテナンスフリーではありません。むしろ、こまめなメンテナンスに応えて寿命を延ばすタイプの車です。特にエンジンオイル代をケチると、後に数十万円のDPF交換費用として跳ね返ってきます。『オイルはパジェロの血液』と考え、良質なオイルを定期的に交換することが、結果的に一番の節約になります。」
ライバル車との比較:ランクルプラド・250・トライトンとの違い
パジェロを検討する際、必ず比較対象に挙がるのがトヨタのランドクルーザーシリーズです。ここでは、競合車種との比較を通じて、パジェロ独自の立ち位置を明確にします。
ランドクルーザープラド(150系)との比較:走りの質と相場
最大のライバルである150系プラド。リセールバリューやブランド力ではプラドが圧倒的ですが、中古車市場での価格も非常に高価です。
乗り味に関しては、プラドは伝統的なラダーフレーム構造のため、路面の凹凸でボディが揺すられる感覚(フレーム車特有の挙動)があります。対してパジェロは、四輪独立懸架サスペンションとビルトインラダーフレームにより、オンロードでの直進安定性とコーナリング性能で優れています。「高速道路での長距離移動が多い」なら、パジェロの方が疲労感は少ないでしょう。
新型ランドクルーザー250との比較:価格差と納期の壁
最新のランクル250は魅力的ですが、車両価格は500万円後半〜700万円台と高額で、何より納期が見通せません。また、車幅も広く(1980mm)、日本の狭い林道や駐車場では取り回しに苦労します。パジェロ(車幅1875mm)は、日本の道路環境で扱えるギリギリのサイズ感に収まっており、実用性という面では一日の長があります。
新型トライトンとの比較:ピックアップという選択肢はありか?
新型トライトンはパジェロの遺伝子を継ぐ素晴らしい車ですが、「ピックアップトラック」である以上、キャビンと荷台が分かれています。雨に濡らしたくない荷物を積むにはトノカバーが必要ですし、後席のリクライニング角度にも制限があります。また、1ナンバー登録となるため、高速道路料金が中型車扱い(割高)になる点や、車検が毎年になる点も考慮する必要があります。ファミリーカーとしての使い勝手は、SUVであるパジェロに軍配が上がります。
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「ランクル系はリセールバリューが異常に高いですが、中古車としての『割安感』と『オンロードでの快適性』のバランスではパジェロに軍配が上がります。特にパジェロの四輪独立懸架サスペンションは、悪路でタイヤが独立して動くため、接地性が高いだけでなく、舗装路での突き上げもマイルドです。『資産価値』で選ぶならランクルですが、『走る道具』として選ぶならパジェロは非常に賢い選択です。」
パジェロ購入検討者のよくある質問(FAQ)
最後に、店頭でお客様からよく聞かれる質問に、プロの視点でお答えします。
Q. 10万キロ超えの過走行車を買っても大丈夫ですか?
A. 整備履歴次第ですが、十分に検討余地があります。
パジェロの車体やエンジン本体は非常に堅牢で、20万キロ、30万キロは通過点です。重要なのは「どのように維持されてきたか」です。定期的なオイル交換、ATF交換、そしてインジェクターやタイミングチェーン(またはベルト)のメンテナンスが行われていれば、10万キロは折り返し地点に過ぎません。逆に、走行距離が少なくてもメンテナンスがおろそかな車は避けるべきです。
Q. ファイナルエディションは価格に見合う価値がありますか?
A. コレクターズアイテムとしての価値は高いですが、実用面では通常モデルと大差ありません。
ファイナルエディションは専用装備やシリアルナンバーがあり、所有満足度は高いです。しかし、機関系のスペックは最終型の通常グレードと同じです。「最後のパジェロ」という記念碑的な意味合いに価値を感じるなら買いですが、純粋に道具として使い倒すなら、高年式のエクシードなどを選ぶほうがコストパフォーマンスは高いです。
Q. ディーゼルの音や振動はうるさいですか?
A. 車外ではそれなりに聞こえますが、車内は快適です。
4M41エンジンはディーゼル特有のガラガラ音はありますが、遮音材がしっかり入っているため、窓を閉めていれば車内は会話に支障がないレベルです。むしろ、巡航時は回転数が低いため、ガソリン車より静かに感じることもあります。ただし、早朝の住宅街での暖機運転などは配慮が必要かもしれません。
Q. 雪道での走破性は本当に高いですか?
A. 世界トップクラスと言っても過言ではありません。
重量バランスの良さと、スーパーセレクト4WD-IIの制御により、雪道での安定感は抜群です。
[筆者の体験談:雪道スタック救出体験]
以前、豪雪地帯のスキー場に向かう途中、最新の電子制御SUVが新雪にはまって動けなくなっている現場に遭遇しました。私はパジェロのトランスファーを「4LLc(ローギア直結)」に入れ、牽引ロープを繋ぎました。アクセルをじわりと踏むと、タイヤは空転することなく雪を噛み、2トン近い相手の車をいとも簡単に引きずり出しました。電子制御が介入して出力を絞ってしまう最新車とは違い、ドライバーの操作通りに強大なトルクを伝え続けるパジェロの頼もしさに、改めて惚れ直した瞬間でした。
まとめ:パジェロは「消去法」ではなく「指名買い」すべき名車
ここまでパジェロの中古車事情、技術的魅力、そしてリスクについて解説してきました。新型パジェロの復活は確かに楽しみなニュースですが、価格や納期、そして「内燃機関らしさ」という観点から見ると、熟成されたV80/90系パジェロの中古車は、今こそ手に入れるべき「最後の本格派」と言えるでしょう。
パジェロは、単なる移動手段ではありません。あなたの行動範囲を劇的に広げ、見たことのない景色を見せてくれるパートナーです。故障リスクについては、正しい知識と信頼できる整備工場があれば、十分にコントロール可能です。
[歴20年の4WD専門整備士のアドバイス]
「購入を迷っているあなたへ。新型パジェロの登場は楽しみですが、V80/90系が持つ『アナログとデジタルの融合』による信頼感と操る喜びは、今の時代の車にはない独特の魅力です。適切なメンテナンスさえすれば、パジェロはあなたの人生の冒険を支える最高の相棒になります。良い個体は日々減っていきます。『これだ!』と思う一台に出会ったら、迷わず決断することをおすすめします。」
パジェロ中古車チェックリスト(現地確認用)
最後に、販売店へ実車を見に行く際に使えるチェックリストをまとめました。ぜひ活用してください。
- エンジン始動直後のアイドリングにバラつき(ハンチング)はないか
- エンジンルームを開け、インジェクター周辺からの燃料漏れや異臭はないか
- 下回り、特にリアフェンダー内側や燃料タンクガードに深刻な腐食穴はないか
- ATを「D」や「R」に入れた際、「ガツン」という大きなショックはないか
- トランスファーレバーを操作し、2H⇔4H⇔4HLcの切り替えがスムーズに行えるか(インジケーターの点滅が消えるか)
- 整備記録簿に定期的なオイル交換履歴(特に5,000km毎程度)が残っているか
- エアコン(特にリアエアコン)は冷えるか(配管腐食によるガス漏れチェック)
このリストをクリアする良質なパジェロと出会い、素晴らしい4WDライフをスタートできることを心から願っています。
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