新しい年の幕開けとともに、ビジネスパーソンとして最初に直面する課題が「新年の挨拶」です。「あけましておめでとうございます」という言葉は、一体いつまで使ってよいものなのでしょうか。特に関東と関西で異なる「松の内」のルールや、仕事始めが遅れた場合の対処法など、迷うポイントは数多く存在します。
結論から申し上げますと、「あけましておめでとうございます」という挨拶が許容されるのは、一般的に「松の内(関東は1月7日、関西は1月15日)」までとされています。この期間を過ぎた場合は、「寒中見舞い」として挨拶の内容を切り替える必要があります。
本記事では、ビジネスマナーの専門家としての視点から、以下の3点を中心に徹底解説します。
- 地域によって異なる「松の内」の正確な期間と、寒中見舞いへのスムーズな切り替えタイミング
- 【そのままコピペOK】上司・取引先・チャットツールなど、相手と状況に合わせた挨拶メール文例集
- 「A Happy New Year」は間違い?知らずに使うと恥をかく、新年のNGマナー5選
マナーは単なる形式ではなく、相手への敬意を表すためのコミュニケーションツールです。正しい知識と心のこもった挨拶で、新年のスタートダッシュを成功させましょう。
「あけましておめでとう」はいつまで言える?期間の境界線を徹底解説
新年の挨拶において、最も多くのビジネスパーソンが頭を悩ませるのが「いつまで『あけましておめでとう』と言っていいのか」という期間の境界線です。この判断を誤ると、「常識がない」「季節感がない」といったネガティブな印象を相手に与えかねません。ここでは、明確な基準となる「松の内」の定義と、地域による違い、そして挨拶を切り替えるべき具体的なタイミングについて、詳細に解説していきます。
まず、新年の挨拶期間を理解するための全体像を把握しましょう。挨拶の言葉選びは、カレンダーの日付によって明確に区分されます。
- 1月1日〜1月3日(三が日): 年賀状、メール、対面、電話など、あらゆる手段で「あけましておめでとうございます」と伝えて問題ありません。最も格式高い挨拶期間です。
- 1月7日(関東)/1月15日(関西)まで: この期間は「松の内(まつのうち)」と呼ばれます。門松を飾っておく期間を指し、この期間内であれば「あけましておめでとうございます」という挨拶が正当なマナーとして受け入れられます。
- 松の内明け〜2月3日(立春の前日)まで: 松の内が明けた翌日からは「寒中見舞い」の期間に入ります。ここからは「寒中お見舞い申し上げます」に切り替え、新年の祝賀ムードから季節の挨拶へとシフトします。
- 2月4日以降: 立春を過ぎてもまだ寒い時期は続きますが、暦の上では春となるため「余寒見舞い(よかんみまい)」として挨拶を行います。
地域で異なる「松の内」の定義(関東1/7・関西1/15)
「松の内」とは、正月の神様である「年神様(としがみさま)」が家に滞在している期間のことです。門松は年神様が降りてくるための目印(依代)であり、これを飾っている期間を松の内と呼びます。しかし、この期間には明確な地域差が存在するため、ビジネスにおいては相手の所在地に合わせた対応が求められます。
一般的に、関東地方(東京・神奈川・千葉・埼玉など)および東北・甲信越地方の一部では「1月7日まで」を松の内とします。これは江戸時代、幕府より「1月7日をもって飾り納めとする」というお触れが出されたことに由来すると言われています。
一方で、関西地方(大阪・京都・兵庫など)を中心とする西日本では、「1月15日まで(小正月)」を松の内とする習慣が根強く残っています。これは元々の日本の伝統的な期間であり、関東のように期間短縮の影響を強く受けなかったためとされています。
ビジネスの現場では、自分のオフィスが東京にあっても、取引先の本社が大阪にある場合など、どちらの基準に合わせるべきか迷う場面が多々あります。基本的には「相手の地域の習慣を尊重する」のが最も丁寧ですが、全国展開している企業や、地域が特定できないメールでの一斉送信などの場合は、早い方の「1月7日」を目安にするのが無難です。
1月8日(または16日)以降は「寒中見舞い」へ切り替える
松の内が明けた翌日(関東なら1月8日、関西なら1月16日)からは、新年の祝賀を表す「あけましておめでとうございます」や「謹賀新年」といった言葉は使用しません。代わりに、一年で最も寒い時期に相手の健康を気遣う「寒中見舞い」を送るのがマナーです。
寒中見舞いの期間は、二十四節気の「小寒(しょうかん)」から「立春(りっしゅん)」の前日(節分)までとされています。ビジネスシーンにおいては、松の内が明けてから立春前日(通常は2月3日頃)までの間に送る挨拶状やメールがこれに該当します。
切り替えのタイミングで注意すべき点は、メールの件名や本文の冒頭です。1月7日までは「新年のご挨拶」としていた件名を、1月8日以降は「寒中お見舞い申し上げます」や「季節のご挨拶」などに変更しましょう。本文中でも「寒さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか」といった季節の言葉から書き出すことで、スマートな印象を与えることができます。
迷った時の判断基準:相手の地域に合わせるべきか?
前述の通り、地域によって松の内の期間が異なるため、1月8日から1月15日の間は「グレーゾーン」とも言える期間になります。この期間に挨拶をする場合、どう判断すればよいのでしょうか。
判断の基準として推奨されるのは、「公的なビジネスメールでは標準的な1月7日区切りを採用し、親しい間柄や対面での会話では柔軟に対応する」というスタンスです。
例えば、1月10日に関西の取引先へ出張した場合、現地の習慣に合わせて「遅ればせながら、あけましておめでとうございます」と挨拶するのは、相手の文化を尊重する行為として好意的に受け取られます。しかし、全国各地に支店を持つ企業へ一斉メールを送る場合は、地域差による違和感を避けるため、「本年もよろしくお願いいたします」といった、時期を問わずに使える表現をメインに据えるのが賢明です。
【補足】松の内の地域差一覧リスト(北海道・九州などの傾向)
地域ごとの詳細な傾向は以下の通りです。ただし、近年は全国的な情報の均一化により、都市部を中心に「1月7日」へ統一される傾向も見られます。
| 地域 | 松の内期間 | 備考 |
| 北海道 | 1月7日まで | 一部地域では15日までの場合もあるが、札幌などの都市部は関東流が主流。 |
| 東北 | 1月7日まで | また、1月14日や15日に「どんと焼き」を行う地域が多い。 |
| 関東 | 1月7日まで | 1月7日の朝に七草粥を食べ、飾りを片付けるのが一般的。 |
| 中部(名古屋など) | 混在(7日or15日) | 地域や家庭によって異なるが、ビジネスでは7日区切りが多い。 |
| 関西 | 1月15日まで | 京都や大阪など伝統を重んじる地域では15日まで門松が見られる。 |
| 中国・四国 | 1月15日まで | 関西の影響を受け、15日までとする地域が多い。 |
| 九州 | 1月7日まで | 関西に近いが、意外にも7日までとする地域が多い(福岡など)。 |
| 沖縄 | 旧正月(旧暦) | 新暦の正月よりも旧正月を盛大に祝う文化がある。 |
現役ビジネスコミュニケーション講師のアドバイス
「地域差による失敗を防ぐコツとして、私が企業研修でよくお伝えしているのは『迷ったら早い方に合わせる』という原則です。関東の企業から関西の取引先へ連絡する場合など、地域をまたぐ際は『遅い方(15日)』に合わせても決して失礼にはなりませんが、ビジネスメールの世界では1月7日を過ぎたら『今年もよろしくお願いいたします』等の常套句メインに切り替えるのが無難かつスマートです。特にメールは転送されて様々な地域の人の目に触れる可能性があるため、誰が見ても違和感のない表現を選ぶリスク管理が重要です」
【コピペOK】状況別・新年の挨拶ビジネスメール文例集
新年の業務開始直後は、大量のメール対応に追われることになります。一通一通丁寧に文章を考える時間は惜しいものの、形式だけの冷たいコピペメールでは相手の心に響きませんし、最悪の場合「手抜き」と思われて信頼を損なうリスクもあります。
そこで、ここでは状況や相手との関係性に合わせた、そのまま使えるビジネスメールのテンプレートをご用意しました。これらをベースに、後述する「ワンポイント」を付け加えることで、効率と誠意を両立させたメールを作成することができます。
【社外・取引先】フォーマルな基本の挨拶メール
取引先への挨拶は、失礼がなく、かつ要件が明確であることが求められます。件名は、受信トレイの中で埋もれないよう、一目で「誰からの」「何の用件か」がわかるように記述します。
件名の書き方例:
【新年のご挨拶】株式会社〇〇 佐藤(貴社名を入れるとより丁寧)
【謹賀新年】本年もよろしくお願いいたします(株式会社〇〇 佐藤)
本文テンプレート(標準・丁寧):
株式会社〇〇
営業部 〇〇様謹んで新春のお慶びを申し上げます。
株式会社△△の佐藤でございます。旧年中は多大なるご尽力をいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、無事に新しい年を迎えることができました。本年は、貴社のさらなる発展に貢献できるよう、
弊社一同、より一層のサービス向上に努めてまいる所存です。なお、弊社は本日1月4日より通常営業を開始しております。
何かご不明な点やご要望がございましたら、いつでもお申し付けください。本年も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、
心よりお願い申し上げます。————————————————–
署名
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【社内・上司】礼儀正しさと抱負を伝えるメール
社内、特に上司への挨拶メールでは、形式的な挨拶に加えて「今年の抱負」や「仕事への意欲」を盛り込むことがポイントです。これにより、新年からの業務に対するポジティブな姿勢をアピールできます。
本文テンプレート(部署内一斉・直属の上司個別):
〇〇部長
あけましておめでとうございます。
営業部の佐藤です。旧年中は、〇〇プロジェクトをはじめ、
公私にわたり温かいご指導をいただき、心より感謝申し上げます。
部長のアドバイスのおかげで、多くのことを学ぶことができました。本年は、昨年培った経験を活かし、
チームの目標達成に向けてより一層尽力する所存です。
特に、△△の分野でのスキルアップを目指し、成果に貢献したいと考えております。本年も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、
何卒よろしくお願い申し上げます。————————————————–
署名
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【親しい関係】少し崩して距離を縮めるメール
何度も顔を合わせている親しい取引先や、付き合いの長いパートナーに対しては、あまりに堅苦しい定型文だと逆に「よそよそしい」と感じさせてしまうことがあります。基本的なマナーは守りつつ、少し柔らかい表現を取り入れることで、関係性をより深めることができます。
定型文+「個人的なエピソード」の組み合わせ方:
株式会社〇〇
〇〇様あけましておめでとうございます。
株式会社△△の佐藤です。旧年中は大変お世話になりました。
特に年末の〇〇案件では、〇〇様に助けていただき本当にありがとうございました。
おかげさまで、安心して新年を迎えることができました。年末年始はゆっくり休まれましたでしょうか。
私は実家でのんびりと過ごし、英気を養ってまいりました。本年も〇〇様とご一緒にお仕事ができることを楽しみにしております。
また近いうちに、ランチでもご一緒できれば幸いです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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署名
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現役ビジネスコミュニケーション講師のアドバイス
「コピペしただけのメールは、悲しいことに相手にすぐ伝わってしまいます。何通も同じようなメールを受け取る相手の立場に立てば、自分宛てだけに書かれた言葉がないメールは読み飛ばされてしまうでしょう。そこで私が推奨しているのが『魔法の一行』です。文末や中盤に『旧年中の〇〇プロジェクトでは、××様に助けられました』といった具体的な感謝や、『本年は〇〇の分野で貴社に貢献したく存じます』という具体的な抱負を一行加えるだけで、返信率と好感度が劇的に上がります。テンプレートはあくまで骨組みとし、必ず自分の言葉で肉付けを行ってください」
現代の常識!LINE・Slack・チャットツールでの新年の挨拶マナー
近年、ビジネスの現場ではメールだけでなく、Slack、Teams、Chatwork、LINE WORKSといったチャットツールの利用が急速に普及しています。これに伴い、「チャットで新年の挨拶をしても失礼ではないか?」「スタンプは許されるのか?」といった新たな疑問が生まれています。ここでは、教科書的なマナー本には載っていない、現代的なツール利用の是非とマナーについて解説します。
ビジネスチャット(Slack/Teams)での挨拶はどこまで許される?
社内の公式コミュニケーションツールとしてチャットが導入されている場合、新年の挨拶もチャットで行うことは基本的に問題ありません。むしろ、メールよりもスピーディーに情報共有ができるため、効率を重視するIT企業やスタートアップなどでは推奨される傾向にあります。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 「あけおめ」スタンプの是非: 社風に大きく左右されます。フランクな職場であればスタンプ一つで済ませることもありますが、基本的には「テキストでの挨拶+補足としての絵文字・スタンプ」程度に留めるのが無難です。スタンプ単体では「軽い」印象を与えかねません。
- グループチャットでの「挨拶ラッシュ」回避: 全社員が入っているチャンネルなどで、全員が「あけましておめでとうございます」と投稿すると、重要な業務連絡が流れてしまいます。上長や代表者が挨拶を投稿したら、それに対して「リアクション(スタンプ機能)」や「スレッド返信」で反応するのが、現代のビジネスマナーとしてスマートです。
LINEで上司・取引先に送る際のマナーと注意点
LINEなどの個人用メッセンジャーアプリで繋がっている上司や取引先への挨拶は、より慎重な配慮が必要です。プライベートな空間に踏み込むことになるため、親密度に応じた使い分けが求められます。
- 送信時間の配慮: メールと異なり、LINEは通知がスマートフォンに直接届くことが多いです。三が日であっても、早朝や深夜の送信は避けましょう。相手が家族と過ごしている可能性が高い時間帯を避ける気遣いが必要です。
- 一斉送信機能はNG: LINEには一斉送信機能がありますが、ビジネス関係の相手にこれを使うのは避けましょう。相手の名前が入っていない定型文は、ブロックや既読スルーの原因になります。必ず「〇〇さん、あけましておめでとうございます」と、個別に名前を入れて送ることが鉄則です。
現役ビジネスコミュニケーション講師のアドバイス
「テレワーク普及に伴い、チャットでの年始挨拶は簡素化の傾向にあります。私が多くの企業を見てきた中で感じるのは、長文の挨拶よりも、『始業時のレスポンスの早さ』で仕事モードへの切り替えを示す方が、現代のビジネスパーソンとしては信頼されるということです。チャットでの挨拶は簡潔に済ませ、すぐに業務の話題に入れる準備をしておくこと。これがチャット時代の『仕事始め』の空気感です」
知らないと恥をかく!新年の挨拶5つのNGマナーと正しい表記
新年の挨拶には、古くからの慣習に基づいた独自のルールやタブーが存在します。良かれと思って使った言葉が、実は相手に対して失礼にあたる場合もあります。ここでは、ビジネスパーソンとして絶対に避けるべき5つのNGマナーと、正しい表記について解説します。これらを知っておくことで、無用なリスクを回避しましょう。
漢字の誤用:「明けまして」が正解、「空けまして」は間違い
パソコンやスマホの変換機能に頼りすぎると起こりやすいのが、漢字の誤用です。「あけましておめでとう」を漢字にする場合、正しくは「明けましておめでとう」です。これは、夜が明けて朝になるように、新しい年が始まることを意味しています。
一方、「空けまして」や「開けまして」は間違いです。「空ける」は中身を空っぽにする、「開ける」は扉を開くといった意味になり、新年の挨拶には適しません。単純な変換ミスですが、知性や教養を疑われる原因となるため、送信前のチェックは必須です。
英語の誤用:「A Happy New Year」の “A” は不要
年賀状やメールのデザインとして英語を使う場合、よく見かけるのが「A Happy New Year」という表記です。しかし、挨拶として使う場合、冒頭の不定冠詞「A」は不要です。
- NG: A Happy New Year(よいお年を/年賀状の決まり文句としては不自然)
- OK: Happy New Year(あけましておめでとう)
「A Happy New Year」は、「I wish you a happy new year(あなたにとってよい年になりますように)」という文章の一部として使う場合には正しいですが、単体の挨拶としては「Happy New Year」が正解です。
賀詞のタブー:目上の人に「迎春」「賀正」(2文字)は失礼
年賀状やメールの件名で使われる「賀詞(がし)」にも明確なランクがあります。「迎春」「賀正」「初春」などの2文字の賀詞は、本来「相手を敬う言葉(謹んで、恭しくなど)」が含まれていないため、目下の人から目上の人へ送るのは失礼とされています。
上司や取引先に対しては、以下の4文字の賀詞、または文章形式を使うのがマナーです。
- OK(目上の人へ): 謹賀新年、恭賀新年、謹んで新春のお慶びを申し上げます
- NG(目上の人へ): 迎春、賀正、賀春
忌み言葉:去る、滅びる、切れるなどは「旧年中」「昨年」と言い換える
お祝いの場において、不幸や別れを連想させる言葉は「忌み言葉(いみことば)」として避けるのがマナーです。特によく使ってしまいがちなのが「去年」という言葉です。「去」には「去る(離れる、死ぬ)」という意味が含まれるため、新年の挨拶では使用しません。
代わりに「昨年(さくねん)」や「旧年(きゅうねん)」という言葉を使います。「旧年中はお世話になりました」とするのが定型です。他にも「切れる」「落ちる」「終わる」「衰える」などのネガティブな言葉は避け、ポジティブな表現に言い換えましょう。
句読点の扱い:本来、挨拶状には句読点(、。)を打たないのが正式
これは厳密なルールではありませんが、伝統的なマナーでは、年賀状や挨拶状には「、」や「。」などの句読点を打たないのが正式とされています。これは「おめでたいことや良い関係が途切れないように(区切りをつけない)」という願いが込められているためです。
ただし、ビジネスメールにおいては可読性(読みやすさ)が優先されるため、適度に句読点を使っても問題視されることは少なくなっています。紙の年賀状や、極めて格式高い相手への書状を送る際には意識しておくと、「よく勉強しているな」と評価されるかもしれません。
現役ビジネスコミュニケーション講師のアドバイス
「私自身の失敗談ですが、新人時代、取引先への年賀状でデザイン重視の『賀正』というスタンプを使ってしまい、後日やんわりと先方のベテラン担当者様からご指導いただいた経験があります。その時は顔から火が出る思いでした。それ以来、『謹賀新年』や『恭賀新年』などの4文字賀詞、あるいはシンプルに『あけましておめでとうございます』と文章にするのが、相手を選ばない最も安全な選択だとお伝えしています。マナーは『型』を知ることで、自分を守る鎧にもなるのです」
こんな時どうする?挨拶が遅れた・喪中の場合の対処法
ビジネスは予定通りに進まないことも多々あります。挨拶をするタイミングを逃してしまったり、予期せぬ喪中の知らせを受けたりといったイレギュラーな事態に直面した際、どのように振る舞うかがビジネスパーソンの真価を問われる瞬間です。
松の内を過ぎてしまった場合の「寒中見舞い」メール文例
業務が多忙で、気づけば松の内(1月7日または15日)を過ぎてしまっていた場合、そのまま放置するのは得策ではありません。「挨拶が遅れた」という事実を認め、お詫びの言葉を添えつつ、季節の挨拶として「寒中見舞い」を送ることで関係を維持できます。
寒中見舞いメール文例:
件名:寒中お見舞い申し上げます(株式会社〇〇 佐藤)
株式会社〇〇
〇〇様寒中お見舞い申し上げます。
株式会社△△の佐藤です。新年のご挨拶が遅れてしまい、大変失礼いたしました。
寒さが厳しき折、〇〇様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。(ここに通常の業務連絡や、前年の感謝などを記述)
本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
まだまだ寒い日が続きますが、どうぞご自愛くださいませ。
喪中の方へ誤って「あけましておめでとう」と言ってしまったら?
相手が喪中であることを知らずに、あるいは失念して「あけましておめでとうございます」とメールを送ってしまった場合、気づいた時点ですぐにお詫びの連絡を入れるのが誠意ある対応です。
リカバリーの手順:
- すぐに連絡する: 時間を置かず、メールまたは電話でお詫びを伝えます。
- 言い訳をしない: 「知らなかった」「忙しかった」などの言い訳はせず、素直に非礼を詫びます。
- 改めて寒中見舞いを送る: お詫びとは別に、時期を見て寒中見舞いとして挨拶し直すとより丁寧です。
喪中の相手への年始挨拶メール文例(寒中見舞い)
相手が喪中であることが事前にわかっている場合は、新年の挨拶(賀詞)は控え、松の内が明けてから寒中見舞いを送ります。文面では「おめでとう」という言葉を使わず、相手の寂しさに寄り添うような表現を心がけます。
喪中の方への挨拶メール文例:
件名:寒中お見舞い申し上げます(株式会社〇〇 佐藤)
株式会社〇〇
〇〇様寒中お見舞い申し上げます。
ご服喪中と存じ、新年のご挨拶は控えさせていただきました。旧年中は多大なるご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
寒さ厳しき折、皆様いかがお過ごしでしょうか。本年も変わらぬご交誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
時節柄、風邪など召されませぬようご自愛ください。
現役ビジネスコミュニケーション講師のアドバイス
「挨拶が遅れたからといって、『今さら送るのは気まずい』と連絡をしないのが一番の機会損失です。私の経験上、『ご挨拶が遅れ大変失礼いたしました』と一言添えて連絡することで、逆に『律儀な人だ』『言いにくいこともちゃんと伝える誠実な人だ』というポジティブな印象を与えることも可能です。形式にとらわれすぎず、1月中に一度は接点を持つことを最優先しましょう。ビジネスにおいて沈黙は金ではなく、忘れられる原因となります」
よくある質問(FAQ)
最後に、新年の挨拶に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。細かい疑問を解消し、自信を持って新年の業務に臨んでください。
Q. 1月4日の仕事始め、挨拶回りの手土産は必要?
A. 必須ではありませんが、あると好印象です。
近年は虚礼廃止の観点から挨拶回りの手土産を廃止する企業も増えていますが、重要な取引先や、特にお世話になった相手には「お年賀」としてタオルや菓子折り(1,000円〜2,000円程度)を持参すると、会話のきっかけにもなりスムーズです。ただし、相手企業のコンプライアンス規定(贈答品の受け取り禁止など)には注意しましょう。
Q. 「新年明けましておめでとう」は二重敬語で間違い?
A. 厳密には重複表現ですが、慣用句として定着しています。
「新年」と「明けまして」はどちらも「新しい年になった」という意味を含むため、言葉の意味としては重複しています。しかし、現在では一般的に広く使われており、間違いと目くじらを立てるほどではありません。より正しく美しい日本語を目指すなら、「新年おめでとうございます」または「明けましておめでとうございます」のどちらかに統一するのがスマートです。
Q. 返信不要と書かれた挨拶メールにも返信すべき?
A. 基本的には返信不要ですが、関係性によります。
一斉送信メールなどで「返信不要」と明記されている場合、相手の手間を減らすための配慮ですので、無理に返信する必要はありません。しかし、直属の上司や、今後重要な案件を控えている取引先であれば、「お気遣いありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします」と短く返信することで、丁寧な印象を残すことができます。
まとめ:正しいマナーと心のこもった挨拶で、新年から信頼を勝ち取ろう
新年の挨拶は、単なる季節の行事ではなく、ビジネスにおける信頼関係を再確認し、新たな一年の協力を仰ぐための重要な儀式です。期間や言葉遣いのルールは多々ありますが、最も大切なのは「相手への感謝と敬意」を伝えることです。
最後に、メール送信前に確認すべきポイントをチェックリストにまとめました。
Checklist|送信前最終チェックリスト
- [ ] 今は「松の内(1/7または1/15)」期間内か?(過ぎていれば寒中見舞いへ)
- [ ] 漢字は「明けまして」になっているか?(「空けまして」はNG)
- [ ] 目上の人に2文字の賀詞(迎春・賀正)を使っていないか?
- [ ] 件名は一目で用件と名前がわかるか?
- [ ] コピペ文面に「相手に合わせた一言(魔法の一行)」を追加したか?
このガイドを参考に、自信を持って新年の第一歩を踏み出してください。皆様の新しい一年が、飛躍の年となることを心よりお祈り申し上げます。
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