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【専門家解説】宮崎地震と南海トラフの今後|命を守るためのリスク評価と具体的対策

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2024年8月、宮崎県を襲った最大震度6弱の地震は、多くの県民にとって忘れられない記憶となりました。突然の激しい揺れ、鳴り響く緊急地震速報、そして初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」。スーパーから水や米が消え、ガソリンスタンドに長蛇の列ができた光景を前に、「これからどうなるのだろう」と不安な夜を過ごされた方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、宮崎県民である私たちは、この地震をきっかけに「南海トラフ地震」を遠い未来の話ではなく、「今、ここにある現実的な脅威」として捉え直す必要があります。しかし、それは闇雲に恐れ、生活を犠牲にすることではありません。必要なのは、過度な不安を取り除き、「正しく恐れる」ための正確な知識と、宮崎特有の地理や生活事情に合わせた具体的な備えです。

本記事では、元自治体防災担当としての実務経験と、2024年の現場対応で得た教訓を基に、以下の3点を中心に徹底解説します。

  • 元自治体防災担当が教える「日向灘地震」と「南海トラフ」の本当のリスク
  • 「巨大地震注意」が再び出た時にとるべき具体的な行動と準備期間
  • 車社会・宮崎における現実的な避難方法と備蓄リスト

「注意の呼びかけ」が終了した今こそ、冷静に備えを見直す絶好の機会です。あなたと大切な家族の命を守るための「防災の再構築」を、一緒に始めていきましょう。

  1. 宮崎地震(日向灘地震)の現状と南海トラフとの関連性
    1. 2024年8月の地震は何だったのか?専門家によるリスク評価
    2. 「南海トラフ地震臨時情報」発表の経緯と現在の状況
    3. 日向灘の「プレート割れ残り」とは?今後の発生確率を正しく理解する
  2. なぜ宮崎は危険なのか?日向灘地震の3つの特徴
    1. 特徴1:揺れから津波到達までの時間が極めて短い(最短十数分)
    2. 特徴2:沿岸部の平野に人口が集中している地理的リスク
    3. 特徴3:長周期地震動による高層ビル・マンションへの影響
  3. 「巨大地震注意」が出たらどうする?1週間の行動シミュレーション
    1. 臨時情報(巨大地震注意)が発表される条件とタイミング
    2. 【発表直後】買い占めに走らず、まず確認すべき3つのこと
    3. 【1週間】日常生活を送りながら「いつでも逃げられる」体制を作る
    4. 【解除後】警戒レベルを下げつつ、防災意識を維持する方法
  4. 宮崎県民のための「現実的な避難」ルールを作る
    1. 徒歩避難が原則だが…「車避難」が必要なケースと絶対ルール
    2. ハザードマップで確認!自宅・職場からの「垂直避難」と「水平避難」
    3. 渋滞発生!その時どう動く?過去の教訓から学ぶ回避策
    4. 夜間・悪天候時の避難で命を守るポイント
  5. 明日からできる!宮崎の生活スタイルに合った備蓄と防災対策
    1. ローリングストックの基本:普段食べているものを「宮崎のスーパー」で買い足す
    2. 断水対策:給水車を待たずに済む「簡易トイレ」と「水」の確保量
    3. 車載防災セットのすすめ:車移動が多い宮崎県民の必須アイテム
    4. 寝室の安全確保:2024年地震の教訓「靴と懐中電灯」の配置
  6. 家族を守るための防災会議と連絡手段
    1. 災害用伝言ダイヤル(171)とSNSの活用法
    2. 子供と決めておく「学校にいる時」「登下校中」のルール
    3. 遠方の親戚との連携:県外への「疎開」も選択肢に入れるか
  7. 宮崎地震・南海トラフに関するよくある質問(FAQ)
    1. Q. 南海トラフ地震はいつ来る確率が高いですか?
    2. Q. マンションの高層階に住んでいますが、避難は必要ですか?
    3. Q. 地震保険には入っておくべきですか?
  8. まとめ:正しく恐れて備えれば、宮崎での暮らしは守れる
    1. 我が家の防災対策・最終チェックリスト

宮崎地震(日向灘地震)の現状と南海トラフとの関連性

2024年8月に発生した日向灘を震源とする地震は、私たちに多くの課題と教訓を残しました。その後、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表され、一週間程度の注意が呼びかけられましたが、現在はその呼びかけ期間も終了しています。しかし、多くの宮崎県民の方々から「結局、危険は去ったのか?」「あの地震は何だったのか?」という疑問の声が私のもとにも届いています。

このセクションでは、まず2024年の地震が科学的にどのような意味を持っていたのか、そして南海トラフ巨大地震との関連性について、専門的な知見を噛み砕いて解説します。現状を正しく理解することが、適切な対策の第一歩となります。

2024年8月の地震は何だったのか?専門家によるリスク評価

2024年8月8日に発生した日向灘地震は、マグニチュード7.1を記録し、宮崎県内で最大震度6弱を観測しました。この地震は、フィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込む境界付近で発生した「プレート境界地震」です。日向灘は歴史的にもマグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生している場所であり、今回の地震もその活動サイクルの一つと考えられます。

重要なのは、この地震が南海トラフ巨大地震の想定震源域の西端で発生したという点です。日向灘での大規模な地震は、隣接する南海トラフ全体の状態に影響を与える可能性があります。専門家の間では、今回の地震によってプレート境界の一部が滑ったことで、残りの固着している部分(割れ残り)への歪みがどのように変化したかが慎重に分析されています。

決して「ガス抜きができたから安心」というわけではありません。むしろ、プレート境界での活動が活発化している証拠とも捉えられます。私たちが認識すべきリスク評価としては、今回の地震は「巨大地震発生のカウントダウンが進んでいることを告げるアラーム」であった可能性を否定できない、という現実的な視点を持つことが重要です。

「南海トラフ地震臨時情報」発表の経緯と現在の状況

この地震を受けて、気象庁は運用開始以来初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。これは、「南海トラフ地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっている」と評価された場合に出される情報です。具体的には、想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合などに検討されます。

発表の背景には、過去の事例として、世界各地で大規模地震の発生後に、隣接する領域でさらに大きな地震が連動して発生したケースがあることが挙げられます。今回の臨時情報は、直ちに巨大地震が来ると断定するものではありませんでしたが、「いつ起きてもおかしくない」というレベルまで警戒度を引き上げるためのシグナルでした。

現在は、政府による「特別な注意の呼びかけ」は終了しています。しかし、これは「地震が発生しなくなった」ことを意味する安全宣言ではありません。「発生確率が『特段に高い状態』から『平常時の高い状態』に戻った」に過ぎないのです。南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70〜80%とされており、この数値自体が変わったわけではないことを肝に銘じておく必要があります。

日向灘の「プレート割れ残り」とは?今後の発生確率を正しく理解する

日向灘地震のリスクを語る上で欠かせないキーワードが「割れ残り」です。南海トラフ地震の想定震源域は、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘まで広範囲に及びます。歴史を振り返ると、これらの領域が一度にすべて動くケース(全割れ)と、時間差で動くケース(半割れ等)がありました。

今回の日向灘地震(M7.1)では、想定される震源域の一部が破壊されましたが、エネルギーを完全に放出しきったわけではありません。特に、より深い領域や、隣接する四国沖などの領域には、依然として強い固着(ひずみ)が蓄積されたままの状態、いわゆる「割れ残り」が存在している可能性があります。

この「割れ残り」部分が、次のきっかけで破壊されると、M8クラス、あるいはM9クラスの巨大地震につながる恐れがあります。今後の発生確率を考える際、単なる年数だけでなく、このような物理的なメカニズムを知っておくことで、なぜ「日常的な備え」が必要なのかが腹落ちするはずです。私たちは、不安定なプレートの上に暮らしているという事実を直視しなければなりません。

防災危機管理アドバイザーのアドバイス
「多くの方が誤解されていますが、臨時情報の『呼びかけ終了』は『安全宣言』とは全く異なります。これは『厳戒態勢』から『日常的な警戒態勢』に戻っただけであり、巨大地震のリスク自体は1ミリも減っていません。むしろ、一度大きな揺れを経験した地盤や建物はダメージを受けている可能性があります。この期間を『喉元過ぎれば熱さを忘れる』期間にするのではなく、『猶予期間』と捉えて、家具の固定や備蓄の再確認を行うことが、あなたと家族の命を繋ぎ止める鍵となります」

なぜ宮崎は危険なのか?日向灘地震の3つの特徴

「地震なんて日本中どこでも起きるでしょう?」そう考える方もいるかもしれません。しかし、宮崎県における地震リスクには、他県とは明らかに異なる特有の「危険性」が存在します。このセクションでは、一般的な地震対策論ではなく、宮崎県の地理的条件や都市構造に基づいた、私たちが直面しているリアルな脅威について解説します。

宮崎特有のリスクを知ることは、恐怖を煽るためではありません。敵(災害)の特徴を正しく知ることで、初めて効果的な防御策(避難計画)を立てることができるからです。特に以下の3つの特徴は、宮崎で暮らす上で絶対に無視できない要素です。

特徴1:揺れから津波到達までの時間が極めて短い(最短十数分)

宮崎県沿岸部にとって最大のリスク要因は、震源域である日向灘が陸地に極めて近いことです。南海トラフ地震が発生した場合、あるいは日向灘を震源とする大規模地震が発生した場合、津波が到達するまでの時間は極めて短くなります。地域によっては、地震発生からわずか十数分、早いところでは数分後に第一波が到達すると想定されています。

これは何を意味するでしょうか。それは、「揺れが収まってからテレビをつけて情報を確認し、家族と相談してから避難する」という余裕は一切ないということです。東日本大震災では、地震発生から津波到達まで30分以上の猶予があった地域も多かったですが、宮崎ではその半分以下の時間で生死が決まる可能性があります。

「揺れたらすぐ逃げる」。この単純な原則が、宮崎においては文字通り生死を分ける鉄則となります。警報を待つのではなく、揺れそのものを避難の合図にしなければなりません。この「時間との戦い」こそが、宮崎の防災における最重要課題なのです。

特徴2:沿岸部の平野に人口が集中している地理的リスク

宮崎県の地形を地図で見ると、日向灘に面した南北に長い海岸線に沿って、宮崎平野などの平地が広がっていることがわかります。そして、宮崎市、日向市、延岡市といった主要な都市機能や人口の多くが、この沿岸部の平野に集中しています。これは、津波災害に対して非常に脆弱な都市構造であると言わざるを得ません。

特に宮崎市中心部は、海抜が低い地域が多く、大淀川などの大きな河川が流れています。津波は海からだけでなく、河川を遡上して内陸深くまで浸水被害をもたらす可能性があります。また、空港や主要道路、鉄道網も沿岸部に位置しているため、発災直後に交通インフラが麻痺し、陸の孤島となるリスクも高いのです。

多くの県民が「生活圏=浸水想定区域」という状況で暮らしています。自宅が海から離れていても、職場や学校、買い物先が浸水区域内である可能性は非常に高いでしょう。どこにいても「今地震が起きたら、どこが高台か?」を意識しなければならない環境、それが宮崎の現状です。

特徴3:長周期地震動による高層ビル・マンションへの影響

近年、宮崎市内を中心に高層マンションの建設が進んでいますが、ここで注意したいのが「長周期地震動」です。南海トラフ地震のような巨大地震では、ゆっくりとした大きな揺れ(長周期地震動)が長く続く特徴があります。この揺れは、遠くまで減衰せずに伝わり、特に高層ビルやマンションの上層階を大きく揺らします。

地上の震度がそれほど大きくなくても、マンションの高層階では立っていられないほどの揺れが数分間続くことがあります。これにより、固定していない家具や家電がミサイルのように飛び交い、室内が凶器と化す危険性があります。また、エレベーターの停止による閉じ込めや、長期間の階段避難生活(高層難民)も現実的なリスクとして想定されます。

「マンションだから津波は大丈夫」と安心していると、この揺れによる被害で命を落とす、あるいは生活が破綻することになりかねません。戸建てとは異なる、マンション特有の対策が求められています。

元自治体防災担当のアドバイス
「私が現役時代、最も危惧していたのは『逃げ遅れ』のパターンです。特に宮崎の方は『まだ大丈夫だろう』『周りも逃げていないし』という正常性バイアスがかかりやすい傾向にあります。しかし、日向灘地震の津波は、あなたが迷っている間にも猛スピードで迫ってきます。ハザードマップを見てください。あなたの家が浸水区域に入っていなくても、避難路が浸水すれば孤立します。沿岸部で揺れを感じたら、理屈抜きで『まず高台へ移動する』習慣を、今日から家族のルールにしてください」

「巨大地震注意」が出たらどうする?1週間の行動シミュレーション

2024年8月、初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」。多くの人が戸惑い、何をすべきか分からず混乱しました。次に同じ情報が出た時、私たちは冷静に行動できるでしょうか?このセクションでは、臨時情報が発表された際の具体的な行動を、時系列でシミュレーションします。

「巨大地震注意」は、決してパニックになるための情報ではありません。「準備をして、いつでも逃げられる状態で日常生活を送る」ための期間です。この意味を正しく理解し、適切な行動をとることで、社会的な混乱を防ぎ、自分たちの生活を守ることができます。

臨時情報(巨大地震注意)が発表される条件とタイミング

まず、どのような時にこの情報が出るのかをおさらいしましょう。気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域内で、マグニチュード6.8以上の地震が発生した場合などに「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表します。その後、専門家による評価検討会が開かれ、最短で2時間程度で「巨大地震注意」や「巨大地震警戒」といった具体的な種別が発表されます。

「巨大地震注意」は、モーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したが、まだ巨大地震(M8クラス以上)には至っていないケースなどで出されます。この情報は、後発地震の発生可能性が高まっていることを知らせるもので、防災対応を呼びかける期間は原則として「1週間」とされています。ただし、科学的な危険性が1週間でゼロになるわけではない点には注意が必要です。

【発表直後】買い占めに走らず、まず確認すべき3つのこと

情報が発表された直後、最も避けるべきは「パニック買い」です。2024年の事例でも見られましたが、皆が一斉にスーパーに殺到すれば、本当に必要な人に物資が届かなくなり、物流の混乱を招きます。発表直後にまず行うべきは、以下の3つの確認です。

  • 情報の正確な把握: テレビやラジオ、行政の公式サイトで、現在の状況と具体的な呼びかけ内容を確認してください。SNS上のデマには十分注意しましょう。
  • 家族の安否と所在確認: 家族がどこにいるかを確認し、今後の行動(帰宅するか、その場に留まるか)を共有します。
  • 備蓄品の在庫チェック: 家にある水や食料の量を確認します。慌てて買い足す前に、まずは家にあるもので数日間過ごせるかを冷静に判断してください。

【1週間】日常生活を送りながら「いつでも逃げられる」体制を作る

「巨大地震注意」の期間中は、事前の避難(高齢者などを除く)までは求められませんが、日頃の備えを再確認し、すぐに避難できる態勢を整えることが求められます。これを「事前避難」ではなく「日常生活の中での警戒強化」と呼びます。

具体的には、以下のような行動を心がけましょう。

  • 就寝時の環境整備: 枕元に靴、懐中電灯、ヘルメット、スマホ、持病の薬を置いて寝る。すぐに飛び起きられる服装にする。
  • 家具の固定再確認: タンスや本棚が倒れてこないか、避難経路を塞がないかを確認し、必要なら突っ張り棒などで補強する。
  • 家族との連絡体制: 常にスマホの充電を満タンにしておく。モバイルバッテリーを持ち歩く。
  • 屋内での危険回避: なるべく高い家具から離れた場所や、家の2階など、より安全な場所で過ごす時間を増やす。

【解除後】警戒レベルを下げつつ、防災意識を維持する方法

1週間大きな地震が発生しなかった場合、政府からの「特別な注意の呼びかけ」は終了します。しかし、これは「もう地震は来ない」という意味ではありません。あくまで「普段通りの生活に戻りつつ、引き続き地震への備えは続けてください」という移行期間に入ったことを意味します。

解除後は、張り詰めていた緊張を少し解きつつも、今回準備した防災グッズを片付け込んでしまわないようにしましょう。玄関に置いた避難リュックはそのままにし、備蓄した水や食料はローリングストックとして消費・補充のサイクルに組み込みます。「喉元過ぎれば」で終わらせず、一段階レベルアップした防災体制を日常のスタンダードにすることが大切です。

▼詳細解説:臨時情報発表時の企業・学校の対応ガイドライン例

臨時情報が発表された際、社会活動を止める必要はありませんが、企業や学校では事前の取り決めに従った対応が求められます。以下は一般的なガイドラインの例です。

区分 主な対応例
企業の対応
  • BCP(事業継続計画)の発動判断。
  • 従業員の安否確認と、帰宅困難者発生に備えた社内待機ルールの確認。
  • 在庫管理の徹底(過剰発注の抑制と、必要物資の確保)。
  • 沿岸部の事業所では、津波避難ビルへの移動経路の再確認。
学校の対応
  • 文部科学省や教育委員会の指針に基づき、休校にするかどうかの判断(「警戒」レベルでは休校、「注意」レベルでは通常授業だが引き渡し訓練実施など、自治体により異なる)。
  • 保護者への確実な引き渡しルールの徹底。
  • 通学路の危険箇所(ブロック塀など)の回避指導。

※お住まいの地域や所属する組織によってルールは異なります。必ず事前に勤務先や学校の最新のマニュアルを確認してください。

防災危機管理アドバイザーのアドバイス
「スーパーから物が消えた時、最も大切なのは『代用品を探す』柔軟性と『少し待つ』冷静さです。水がなければお茶やジュースでも水分補給はできます。米がなければ麺類やパン、餅があります。物流は必ず回復します。焦って行列に並ぶ時間は、むしろ家族との話し合いや家の安全対策に使ってください。パニックこそが、災害時の二次被害を生む最大の原因なのです」

宮崎県民のための「現実的な避難」ルールを作る

防災マニュアルにはよく「避難は原則徒歩で」と書かれています。しかし、車社会である宮崎県において、これをそのまま適用することが現実的ではないケースも多々あります。高齢者がいる家庭、小さな子供を抱える家庭、そして避難場所まで数キロある地域。これらを無視した「建前論」では、命を守ることはできません。

ここでは、宮崎の実情に即した「現実的な避難ルール」を提案します。車を使うリスクを正しく理解した上で、それでも車を使わざるを得ない場合の「絶対ルール」を設けましょう。

徒歩避難が原則だが…「車避難」が必要なケースと絶対ルール

大原則として、津波避難は徒歩(または自転車・バイク)が推奨されます。地震直後は道路が液状化したり、建物が倒壊して塞がれたり、信号が停止したりして、車が動けなくなる可能性が高いからです。車の中に閉じ込められたまま津波に飲まれる悲劇は、過去の震災で何度も繰り返されてきました。

しかし、宮崎の地方部では、高台まで徒歩で30分以上かかる地域や、歩行困難な高齢者を抱える家庭も少なくありません。このような場合、「車避難」も選択肢に入れざるを得ません。ただし、車で避難する場合は以下の「絶対ルール」を家族で共有してください。

  • 「揺れたら即出発」: 近所の人を待ったり、荷物を積んだりする時間はありません。渋滞が始まる前の数分が勝負です。
  • 「乗り合わせの徹底」: 1人1台ではなく、近所で声を掛け合って1台に乗り合わせることで、道路上の車両数を減らします。
  • 「途中で捨てる覚悟」: 渋滞に巻き込まれたり、道路が通れなくなったりしたら、迷わず車を乗り捨てて徒歩で高台を目指す覚悟を決めておくこと。キーは付けたままにするのがマナーです。

ハザードマップで確認!自宅・職場からの「垂直避難」と「水平避難」

避難には大きく分けて2つの方法があります。安全な場所(高台など)へ移動する「水平避難」と、その場の建物の上層階へ移動する「垂直避難」です。

宮崎の沿岸部で、津波到達までの時間が極めて短い場合、遠くの高台へ逃げる(水平避難)時間が足りないことがあります。その際は、近くの頑丈なビルやマンションの3階以上(想定津波高さによる)へ逃げる「垂直避難」が有効です。これを「津波避難ビル」と呼びます。

まずはハザードマップで、自宅や職場周辺の津波浸水想定を確認してください。そして、「基本は高台への水平避難だが、間に合わない場合や揺れが大きすぎる場合は、あのビルの屋上へ行く」というように、第二、第三の選択肢を持っておくことが重要です。

渋滞発生!その時どう動く?過去の教訓から学ぶ回避策

2024年の地震直後も、宮崎市内の主要道路では渋滞が発生しました。もしこれが巨大地震の津波避難時であれば、渋滞は「死の列」となりかねません。渋滞を回避、あるいは巻き込まれた際のリスクを減らすためには、事前のルート選定が鍵となります。

幹線道路(国道など)は、避難車両だけでなく緊急車両も通るため、最も混雑します。普段から、裏道や高台へ直結する細い道を把握しておきましょう。ただし、ブロック塀が多い狭い路地は倒壊の危険があるため避ける必要があります。実際に休日に家族で「避難ドライブ」をして、複数のルートを検証しておくことを強くお勧めします。

夜間・悪天候時の避難で命を守るポイント

地震は晴れた昼間に起きるとは限りません。夜間、停電で真っ暗な中、あるいは台風シーズンの豪雨の中で避難しなければならない可能性もあります。宮崎は台風の通り道でもあるため、複合災害のリスクも考慮すべきです。

夜間の避難に備え、ヘッドライト(両手が空くもの)は人数分用意しましょう。また、雨天時は足元が悪くなるため、長靴ではなく履き慣れたスニーカーが鉄則です。視界が悪い中での車避難は特に危険(路肩への脱輪など)が増すため、夜間や悪天候時は「自宅の2階以上への垂直避難」の方が安全なケースもあります。これもハザードマップの浸水深と照らし合わせて判断してください。

元自治体防災担当のアドバイス
「防災訓練の現場で何度も目にしてきたのは、『車で逃げようとして、出口に殺到し、結局校庭から一歩も出られない』という光景です。これは訓練ですが、本番ならパニックが加わります。車避難を選択するなら、『渋滞したら車を捨てる』という決断のポイントを事前に決めておいてください。例えば『〇〇交差点が動いていなければ、そこで降りて走る』といった具体的なトリガーを決めておくことが、迷いを断ち切り、命を救います」

明日からできる!宮崎の生活スタイルに合った備蓄と防災対策

「防災対策」と聞くと、高価な防災セットを買わなければならないと思っていませんか?実は、宮崎での生活スタイルに合わせた、もっと手軽で実践的な備蓄方法があります。主婦の視点も取り入れながら、無理なく続けられる「生活防衛」の具体策を紹介します。

ローリングストックの基本:普段食べているものを「宮崎のスーパー」で買い足す

特別な非常食は、賞味期限切れで捨ててしまったり、いざという時に口に合わなかったりすることがあります。そこでおすすめなのが「ローリングストック」です。これは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、古いものから順に食べて、食べた分を買い足すという方法です。

宮崎のスーパーで手に入るもので十分です。例えば、レトルトカレー、パックご飯、カップ麺、缶詰(サバ缶や焼き鳥など)、そして宮崎県民おなじみの「冷や汁」の素なども立派な保存食になります。また、カセットコンロとガスボンベは必須です。これがあれば、停電時でも温かい食事がとれ、不安な心のケアにもつながります。「買い物に行くたびに、何か1つ余分にカゴに入れる」。これだけで立派な備蓄になります。

断水対策:給水車を待たずに済む「簡易トイレ」と「水」の確保量

地震後の生活で最も困るのが「トイレ」です。断水すれば水洗トイレは使えませんし、下水管が壊れていれば流すこと自体が禁止されます。食事は我慢できても、トイレは我慢できません。そして、給水車が来るまでには数日かかることもあります。

家族4人の場合、1日あたり約20〜30回分のトイレ処理が必要です。最低でも1週間分、つまり約150〜200回分の「簡易トイレ(凝固剤と袋のセット)」を備蓄してください。これはホームセンターやネット通販で購入できます。また、飲料水は「1人1日3リットル」が目安ですが、生活用水(手洗いなど)も含めるともっと必要です。空いたペットボトルに水道水を入れておくだけでも(飲用でなくても)トイレを流す水などに使えます。

車載防災セットのすすめ:車移動が多い宮崎県民の必須アイテム

宮崎では車での移動時間が長いため、運転中に被災する可能性も高いです。また、被災後の車中泊避難も想定されます。そこで、「車載防災セット」をトランクに常備しておくことを強く推奨します。

入れておくべきアイテムは以下の通りです。

  • 携帯トイレ: 渋滞で動けない時のためにも必須。
  • 水・非常食: 高温になる車内でも保存可能なクッキーや保存水。
  • 防寒・保温シート: 冬場の車内は極寒になります。
  • スニーカー: ヒールやサンダルで運転している時のため。
  • 脱出用ハンマー: 津波や浸水でドアが開かなくなった時に窓を割る道具。運転席から手の届く場所に固定してください。

寝室の安全確保:2024年地震の教訓「靴と懐中電灯」の配置

2024年の地震は夜間ではありませんでしたが、もし就寝中だったらどうなっていたでしょうか。暗闇の中で割れたガラスや倒れた家具が散乱する床を、裸足で歩くのは自殺行為です。怪我をすれば、避難のスピードが落ちるだけでなく、感染症のリスクも高まります。

今日からできる対策として、寝室の枕元に「スニーカー(履き古したものでOK)」と「懐中電灯」を置いてください。これだけで、初動の安全性が劇的に向上します。また、寝室には背の高い家具を置かない、あるいはL字金具で壁に直接固定するなど、寝ている無防備な自分を守る環境作りを優先しましょう。

防災危機管理アドバイザーのアドバイス
「高額な防災リュックセットを買う前に、まずは100円ショップに行ってください。アルミブランケット、給水タンク、軍手、ウェットティッシュ、乾電池、これらはすべて100均で揃います。特にウェットティッシュは、断水時にお風呂に入れない時の体拭きや食器拭きとして大量に消費します。高価なものを一つ買うより、安価な消耗品を大量にストックする方が、実際の避難生活では役に立ちます」

家族を守るための防災会議と連絡手段

物理的な備えと同じくらい大切なのが、家族間のルール作り(ソフト面の対策)です。災害時、家族が一緒にいるとは限りません。携帯電話が繋がらない状況で、どうやって連絡を取り、どこで落ち合うのか。平時のうちに「家族防災会議」を開いて決めておく必要があります。

災害用伝言ダイヤル(171)とSNSの活用法

大規模災害時は、通話規制により電話はほとんど繋がりません。その際有効なのが「災害用伝言ダイヤル(171)」です。「171」にダイヤルし、自宅の電話番号などをキーにして伝言を録音・再生するシステムです。毎月1日と15日は体験利用ができるので、一度家族で練習してみてください。

また、LINEなどのSNSや、通信各社が提供する「災害用伝言板」もデータ通信回線を使うため、音声通話よりは繋がりやすい傾向にあります。家族グループLINEを作っておく、Twitter(X)やFacebookで安否を発信するなど、複数の手段を共有しておきましょう。「電話は繋がらないもの」という前提で動くことが大切です。

子供と決めておく「学校にいる時」「登下校中」のルール

お子さんが学校にいる時に地震が起きた場合、基本的には学校が保護し、保護者への引き渡しとなります。しかし、登下校中は最も無防備な時間帯です。通学路のどこに危険なブロック塀があるか、どこに逃げ込める場所(コンビニや公共施設)があるかを、実際に一緒に歩いて確認してください。

「地震が起きたら、まずは自分の頭を守る」「揺れが収まったら、広い場所に移動する」「家に帰るより学校に戻った方が近い場合は戻る」など、具体的な行動基準を子供に伝えておくことが、親がそばにいない時の子供の命を守ります。

遠方の親戚との連携:県外への「疎開」も選択肢に入れるか

南海トラフ地震のような広域災害では、宮崎県内のインフラが長期間麻痺する可能性があります。その際、県外(九州の他県や親戚の家など)へ一時的に避難する「疎開」も現実的な選択肢となります。

事前に県外の親戚や友人と話し合い、「もしもの時はお互いに身を寄せる」という約束をしておくだけでも、心の余裕が違います。これを「広域避難」や「縁故避難」と言います。避難所生活は過酷です。特に高齢者や乳幼児がいる家庭は、早めに県外へ脱出するルートや滞在先をシミュレーションしておくことをお勧めします。

元自治体防災担当のアドバイス
「お子さんには、ランドセルの中に『防災ポーチ』を持たせてください。中身は、家族の連絡先を書いたメモ、小銭(公衆電話用)、小さなライト、笛(ホイッスル)、少しのお菓子、絆創膏などです。特にホイッスルは、建物に閉じ込められた時に自分の居場所を知らせる命綱になります。『これはお守りだよ』と言って持たせることで、子供自身の防災意識も育ちます」

宮崎地震・南海トラフに関するよくある質問(FAQ)

最後に、私が防災セミナーなどでよく受ける質問とその回答をまとめました。多くの人が抱える「素朴な疑問」を解消しておきましょう。

Q. 南海トラフ地震はいつ来る確率が高いですか?

政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震の発生確率を「30年以内に70〜80%」と発表しています。また、40年以内では90%程度まで上昇します。これは「いつ起きてもおかしくない」という数字です。明日の可能性もあれば、10年後の可能性もあります。「〇年後」という予測にとらわれず、「今夜起きても大丈夫か?」という視点で備えることが正解です。

Q. マンションの高層階に住んでいますが、避難は必要ですか?

マンションの耐震性や立地によります。新耐震基準で建てられたマンションであれば倒壊のリスクは低いですが、津波浸水深がマンションの入り口を超える場合は孤立します。また、長周期地震動で室内がめちゃくちゃになる可能性もあります。津波の心配がない高さであれば「在宅避難」が可能ですが、そのためには電気・水・ガスが止まっても生活できる十分な備蓄が必要です。エレベーターが止まることを前提に判断してください。

Q. 地震保険には入っておくべきですか?

強く推奨します。地震による火災や倒壊、津波被害は、通常の火災保険では補償されません。被災後の生活再建には多額の資金が必要です。公的支援(被災者生活再建支援金など)だけでは、家の建て直しや修繕には到底足りないのが現実です。地震保険は「家を建て直すため」だけでなく、「生活を立て直すための当座の資金」として非常に重要です。

防災危機管理アドバイザーのアドバイス
「確率の数字(70%や80%)に一喜一憂しないでください。確率はあくまで過去の統計に基づく予測に過ぎません。重要なのは『確率はコントロールできないが、備えはコントロールできる』ということです。明日地震が来る確率は誰にもわかりませんが、明日備蓄を買い足すことは100%あなたの意思で実行できます。変えられない未来を憂うより、変えられる今の行動に集中しましょう」

まとめ:正しく恐れて備えれば、宮崎での暮らしは守れる

ここまで、宮崎地震と南海トラフ地震のリスク、そして具体的な対策について解説してきました。2024年の地震と臨時情報は、私たちに「猶予」を与えてくれた警告だったのかもしれません。この猶予期間をどう使うかで、未来は大きく変わります。

南海トラフ地震は確かに恐ろしい災害ですが、決して「絶望的な未来」ではありません。適切なタイミングで避難し、十分な備えがあれば、命を守り、その後の生活を繋ぐことは十分に可能です。宮崎の美しい海や自然と共に生きていくためには、このリスクと向き合い、共存していく覚悟と準備が必要です。

最後に、この記事を読み終えたあなたが、今日からすぐに取り組める「最初のアクション」をチェックリストにしました。一つでも多くチェックが入るよう、行動を開始してください。

防災危機管理アドバイザーのアドバイス
「防災対策において、0点か100点かはありません。何もしなければ0点ですが、水を1本買うだけで1点になります。その1点の積み重ねが、いざという時にあなたを助けます。完璧を目指さなくていいのです。『今日はこれをやった』という小さな達成感を大切に、無理なく続けてください。さあ、まずはスマホの充電と、寝室の靴の準備から始めましょう」

我が家の防災対策・最終チェックリスト

  • ハザードマップで自宅・職場・学校の「津波リスク」と「避難場所」を確認した
  • 家族で「地震が起きたらどこで落ち合うか」を話し合った
  • 寝室の枕元に「靴」「懐中電灯」「スマホ」を置いた
  • 家の中の家具(特に寝室)の固定状況を確認した
  • 最低3日分(推奨1週間分)の水と食料を確保した(ローリングストック開始)
  • 簡易トイレ(非常用トイレ)を人数分×1週間分購入した
  • 車のガソリンは常に半分以上入っている状態(満タン&ハーフ)をキープしている
  • 車の中に「携帯トイレ」「水」「脱出用ハンマー」を積んだ
  • 現金(小銭含む)を手元に少し多めに用意した
  • 地震保険の加入状況・補償内容を確認した

備えあれば憂いなし。宮崎での穏やかな日常を守るために、今日からできることを一つずつ実践していきましょう。

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