「設計が古い車を、今さら新車で買っても良いのだろうか?」
現在、マツダ2(MAZDA2)の購入を検討されている方の多くが、この疑問を抱いているのではないでしょうか。2014年に「デミオ」として登場してから長い年月が経過し、ライバルであるトヨタ・ヤリスやホンダ・フィットがフルモデルチェンジで世代交代を果たす中、マツダ2は度重なる改良を重ねながら現役を続けています。
結論から申し上げます。マツダ2は設計年次こそ古いものの、度重なる年次改良(商品改良)によって「熟成の極み」に達しており、「運転の質」と「内装の質感」を重視するなら、今でもクラス唯一無二の、極めて満足度の高い選択肢です。一方で、後席の広さや最新のデジタルデバイス、高度な運転支援機能を最優先する場合は、他車を検討すべきというのもまた事実です。
この記事では、元ディーラー整備士であり、数多のコンパクトカーを乗り比べてきた現役テクニカルライターである筆者が、カタログスペックには表れないマツダ2の真価を徹底解剖します。
この記事でわかること
- 元整備士が教える「数値に出ない」マツダ2の本当のメリット・デメリット
- 永遠のテーマ「ガソリン vs ディーゼル」の損益分岐点と煤(すす)問題の真実
- 複雑化したグレード(BD・Sport・Sunlit Citrus)の中からあなたにベストな1台を選ぶ方法
単なる機能紹介ではなく、あなたがマツダ2を選んで「後悔しないか」、あるいは「最高の相棒になるか」を判断するための決定的な材料を提供します。
「今さら」ではない、「今だからこそ」のマツダ2。モデル末期の真価を問う
自動車業界において「モデル末期」という言葉は、しばしばネガティブな意味合いで使われます。「もうすぐ新型が出る」「技術が古い」といったイメージが先行するからです。しかし、機械としての自動車を専門的な視点で見ると、モデル末期には「熟成」という極めて大きなメリットが存在します。特にマツダというメーカーは、フルモデルチェンジを待たずに毎年細かな改良(年次改良)を行うことで知られており、初期型と現行型では「別の車」と言えるほど中身が進化しています。
ここでは、マツダ2が歩んできた進化の過程を振り返りつつ、なぜ今あえてこのモデルを選ぶ価値があるのか、そして次期型の動向はどうなっているのかについて、プロの視点で解説します。
2014年の登場から現在までの進化の系譜(デミオからの改名と大幅改良)
現行モデルの基本設計は2014年に登場した4代目「デミオ」に遡ります。当時、マツダが掲げる「魂動(こどう)デザイン」と「SKYACTIV TECHNOLOGY」を全面的に採用し、コンパクトカーの常識を覆す質感と走りで大きな話題となりました。その後、2019年の大幅商品改良のタイミングで、世界統一名称である「MAZDA2(マツダ2)」へと車名を変更しました。
この車名変更は単なるバッジの付け替えではありませんでした。サスペンションの設定見直し、シート構造の刷新、静粛性の向上など、目に見えない部分に多大なコストがかけられました。さらに2023年には、フロントフェイスのデザインを一新する再びの大幅改良を実施。「BD(Blank Deck)」という新しいデザインコンセプトを導入し、198通りものカラーコーディネートが可能になるなど、若々しいイメージへの転換を図っています。
このように、マツダ2はひとつのモデルライフの中で異例とも言える回数の改良を受けています。エンジン制御プログラムの書き換えや、足回りのダンパー減衰力の最適化など、カタログには載らないレベルの微調整が繰り返されており、走りの質感は登場時とは比べ物にならないほど洗練されています。
「枯れた技術」こそ信頼の証。初期不良のリスクと熟成度合い
工業製品において「枯れた技術」とは、使い古されたという意味ではなく、「不具合が出尽くし、信頼性が確立された技術」を指す褒め言葉です。新型車、特にフルモデルチェンジ直後の車は、最新技術が搭載されている反面、市場に出て初めて発覚する初期トラブルのリスクを抱えています。電子制御のバグや、部品の組み付け精度のばらつきなどがそれに当たります。
対して、現在のマツダ2は製造ラインの習熟度がピークに達しています。エンジン、トランスミッション、電装系など、主要なコンポーネントにおける弱点は過去の改良で対策済みであり、機械としての信頼性は極めて高い状態にあります。長く乗り続けたいと考えるユーザーにとって、この「壊れにくさ」と「品質の安定感」は、最新機能以上に重要な価値となります。
▼詳細:マツダ2(デミオ)の主な年次改良・進化タイムライン(クリックで展開)
| 年次 | 主な改良内容 |
|---|---|
| 2014年 | 4代目デミオとして登場。1.5Lディーゼルターボ搭載が話題に。 |
| 2016年 | 「G-ベクタリング コントロール(GVC)」を初採用。操縦安定性が向上。 |
| 2018年 | ガソリンエンジンを1.3Lから1.5Lへ拡大。余裕のある走りを実現。 |
| 2019年 | 車名を「MAZDA2」へ変更。フロントデザイン刷新、サスペンション設定変更、静粛性向上。GVCが「GVC Plus」へ進化。 |
| 2021年 | 高圧縮ガソリンエンジン搭載、ワイヤレスCarPlay対応、特別仕様車「Sunlit Citrus」追加。 |
| 2023年 | 大幅商品改良。フロントフェイス変更(BD/Sportで差別化)、ルーフフィルム採用、新色追加。 |
| 2024年 | マツダコネクトの世代交代(8.8インチ化)が行われた(※一部グレード)。 |
次期型(フルモデルチェンジ)を待つべきか?現状のスクープ情報と予測
購入検討者にとって最大の悩みは「買った直後にフルモデルチェンジしたらどうしよう」という点でしょう。現状の業界情報やマツダの公式発表を分析すると、マツダ2の次期型についてはいくつかの可能性が示唆されていますが、直近(半年〜1年以内)での完全なフルモデルチェンジの可能性は低いと予測されます。
マツダは現在、ラージ商品群(CX-60など)への投資を優先しており、コンパクトカーのプラットフォーム刷新には慎重です。一部では、トヨタ・ヤリスのOEM(ハイブリッドモデル)になるという噂や、ロータリーエンジンを発電機として搭載するEVモデルの可能性なども報じられていますが、これらが実現するとしても、「現行のような純粋なマツダ製ディーゼルやガソリンエンジンを楽しめるコンパクトカー」ではなくなる可能性が高いです。
つまり、「マツダが自社開発したコンパクトカー」に乗りたいのであれば、現行型はラストチャンスになるかもしれません。次期型を待つことは、内燃機関の良さを味わえる機会を失うリスクと隣り合わせでもあるのです。
現役自動車テクニカルライターのアドバイス
「新型車は魅力的ですが、初期トラブルのリスクもゼロではありません。対してモデル末期の車は、製造ラインの習熟度が上がり、部品の精度も安定しているため、機械としての信頼性は最も高い状態にあります。『完成された道具』を長く使いたい方には、むしろ賢い選択と言えます。特にマツダ2の場合、現行モデルの完成度はBセグメントにおいて突出しており、これを逃すのは惜しいと言えるでしょう」
カタログ数値には表れない「マツダ2」だけの3つの価値
スペック表の数字だけを比較すれば、マツダ2は燃費でヤリスに劣り、室内空間でフィットに劣ります。それでもなお、多くの車好きやプロの評論家がマツダ2を推す理由はどこにあるのでしょうか。それは、数値化できない「感性性能」の高さにあります。
ペルソナであるあなたが「安かろう悪かろう」を嫌い、モノ選びにこだわりを持つタイプであれば、このセクションで解説する3つのポイントは、購入の決め手となるはずです。これらは他メーカーがコストダウンのために切り捨てがちな部分ですが、マツダはこのクラスでも一切の妥協を許していません。
【ドライビングポジション】クラス唯一の「オルガン式ペダル」がもたらす疲労軽減効果
マツダ2の運転席に座って足元を見ると、アクセルペダルが床から生えていることに気づくはずです。これが「オルガン式ペダル」です。多くのコンパクトカー(ヤリスやフィット含む)は、上から吊り下げられた「吊り下げ式ペダル」を採用しています。なぜマツダだけが、コストのかかるオルガン式を採用しているのでしょうか。
理由は明確で、「人間中心の設計」を貫いているからです。人間の足は、踵(かかと)を支点にして円弧を描くように動きます。オルガン式ペダルは、この足の動きとペダルの軌跡が一致するため、踏み込む際に足首にかかる負担が極めて少なくなります。また、踵の位置がずれにくいため、微細なアクセルコントロールがしやすく、長距離運転でも右足の前脛骨(すね)の筋肉が疲れにくいという医学的なメリットがあります。
さらに、マツダ2は前輪を可能な限り前方に配置することで、ホイールハウス(タイヤの収納スペース)が運転席の足元に干渉しないように設計されています。これにより、ペダルを自然に足を伸ばした位置に配置でき、体を捻ることなく真っ直ぐな姿勢で運転できます。これは高級車では当たり前ですが、コンパクトカーで実現しているのは驚異的です。
▼詳細:なぜ吊り下げ式ではなくオルガン式が良いのか?(クリックで展開)
吊り下げ式のデメリット:
ペダルが上から降りてくるため、踏み込む際に足裏とペダル表面がスライドしやすく、微妙なコントロールには不向きです。また、踵を浮かせたり、足首を不自然に曲げたりする必要がある場合があり、長時間運転で「すね」が張る原因になります。
オルガン式のメリット:
足の裏全体でペダルを踏めるため、安心感があります。足の軌跡とペダルの動きが一致するため、長時間の運転でも足首への負担が少なく、繊細なアクセルワークが可能になります。通常は高級車に採用される機構ですが、マツダは「人間中心の設計」を掲げ、このクラスでも妥協せずに採用しています。
【シート構造】骨盤を立てて座る「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」の恩恵
「マツダのシートは硬い」という感想を持つ人がいますが、それは誤解です。正確には「コシがあり、体を正しく支える」シートです。マツダ2(特に2019年以降のモデル)には、上位車種と同じ「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」の考え方を取り入れたシートが採用されています。
このシートの最大の特徴は、「骨盤を立てて座らせる」ことに主眼を置いている点です。人間は歩行時、骨盤を立ててバランスを取ることで、頭部の揺れを最小限に抑えています。マツダはこのメカニズムをシートに応用し、骨盤をしっかりと支持することで、車が揺れても乗員の頭が揺れにくい状態を作り出しています。
結果として、カーブを曲がる際や路面の凹凸を通過する際でも、乗員は無意識にバランスを取る必要がなくなり、疲労が蓄積しにくくなります。柔らかいソファのようなシートは一見快適そうですが、長時間のドライブでは姿勢が崩れやすく、腰痛の原因になりがちです。マツダ2のシートは、座った瞬間のふんわり感よりも、2時間運転した後の「あれ?疲れていない」という感覚を重視して作られています。
【内装質感】プラスチック感を感じさせない、クラスを超えた上質な空間作り
ドアを開けて運転席に座った瞬間、多くの人が「これ、本当にコンパクトカー?」と驚くのがマツダ2の内装です。ダッシュボードやドアトリムには、ステッチ入りのソフトパッドや合成皮革が惜しみなく使われており、プラスチックの安っぽいテカリは徹底的に抑えられています。
特に注目すべきは、スイッチ類の操作感です。エアコンのダイヤルを回す時の「カチッ、カチッ」というクリック感や、ウインカーレバーの操作荷重に至るまで、マツダは人間工学に基づいて統一感を持たせています。視覚的な高級感だけでなく、触覚に訴える質感が、所有する喜び(オーナーシップ)を満たしてくれます。
ライバル車がコストダウンのためにハードプラスチックを多用する中、マツダ2は「小さな高級車」としての立ち位置を崩していません。この空間の居心地の良さは、毎日の通勤や週末のドライブを豊かな時間に変えてくれるでしょう。
筆者の体験談:片道500kmの高速移動で感じた「疲れにくさ」の実証
「以前、取材のためにマツダ2(ディーゼルモデル)で東京-大阪間を往復しました。同クラスのライバル車では腰やお尻に痛みを感じることが多い距離ですが、マツダ2はシートのホールド性と適切なペダル配置のおかげで、驚くほど疲労感が少なかったです。到着後すぐに取材活動に移れたのは、この車の『疲れにくさ』のおかげです。これは数値スペックには現れない、マツダ2最大の美点です」
買ってから後悔しないために。マツダ2の明確な「弱点」とライバル比較
ここまでマツダ2の魅力を語ってきましたが、公平な判断のためにはデメリットもしっかりと把握しておく必要があります。特に設計年次の古さに起因する弱点は明確に存在します。これらをあなたが「許容できる」かどうかが、購入の分かれ目となります。
後席とラゲッジスペースの狭さは「割り切り」が必要
マツダ2最大の弱点は、間違いなく「後席と荷室の狭さ」です。デザイン優先のスタイリングと、運転席の足元スペースを確保するために前輪を前に出した結果、そのしわ寄せが後席にいっています。
身長175cmの大人が運転席に合わせてポジションをとると、後席の膝前スペースは拳1つ分程度しか残りません。また、ルーフが後方に向かって下がっているため、ヘッドクリアランス(頭上の余裕)もミニマムです。短時間の移動なら問題ありませんが、大人4人での長距離旅行は窮屈さを感じるでしょう。
ラゲッジスペースに関しても、容量は280Lとクラス平均レベルですが、開口部の位置が高く、重い荷物の出し入れには少し力が必要です。ベビーカーやキャンプ道具を頻繁に積むような用途には不向きです。
マツダコネクト(初代)の古さとスマホ連携(CarPlay/Android Auto)での解決策
インフォテインメントシステム「マツダコネクト」も、基本設計の古さが否めません。モニターサイズは多くのグレードで7インチまたは8インチにとどまり、最新の車が採用する10インチ以上の大型ディスプレイと比較すると、地図の見やすさや迫力で見劣りします。また、起動速度や画質も一世代前の水準です。
ただし、Apple CarPlay(一部グレードでワイヤレス対応)とAndroid Autoに対応しているため、ナビ機能に関してはスマートフォンのアプリを画面に映し出して使うことで、地図データの古さや検索性の悪さをカバーできます。オーディオ音質に関しては、純正でも比較的良好な部類に入ります。
先進安全装備(ADAS)の世代差について(ヤリス・フィットとの比較)
安全装備に関しても、ヤリスやフィットといった最新モデルと比較すると、機能の幅に差があります。例えば、高速道路で渋滞時にハンズオフ(手放し)支援を行うような高度な機能はマツダ2にはありません。また、自転車や夜間の歩行者検知能力についても、最新のセンサーを搭載するライバル車の方がスペック上は有利です。
とはいえ、自動ブレーキ(アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート)や、AT誤発進抑制制御、ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)といった、日常の安全を守るための基本機能は全グレードで標準、またはオプションでしっかりと用意されています。「最新ではないが、必要十分な機能は揃っている」という認識で良いでしょう。
| 車種 | 強み(メリット) | 弱点(デメリット) |
|---|---|---|
| マツダ2 | 内装質感、ドラポジ、ディーゼルのトルク、静粛性 | 後席の狭さ、ナビ画面の小ささ、設計の古さ |
| トヨタ ヤリス | 圧倒的な燃費、最新の安全装備、軽快なハンドリング | 後席・荷室の狭さ(マツダ2同様)、内装のプラスチック感 |
| ホンダ フィット | 圧倒的な室内広さ、視界の良さ、シートアレンジ | 価格がやや高め、デザインの好みが分かれる |
| スズキ スイフト | コストパフォーマンス、軽量ボディによる走り | 内装の質感、安全装備の機能差 |
元ディーラー整備士のアドバイス
「ファミリーユースでの注意点として、チャイルドシートを装着する場合、マツダ2の後席はかなり手狭になります。特に後ろ向きに装着すると、前席のスライド量が制限され、助手席の人が窮屈になる可能性があります。小さなお子様がいる、あるいは頻繁に後席に大人を乗せる予定がある場合は、必ず実車でスペースを確認するか、フィットなどの広さを売りにした車種を検討することをお勧めします」
究極の選択。ガソリン(15C/15BD) vs ディーゼル(XD) どっちを選ぶ?
マツダ2を選ぶ上で避けて通れないのが、「ガソリンエンジン(SKYACTIV-G 1.5)」にするか、「クリーンディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.5)」にするかという選択です。コンパクトカークラスでディーゼルを選べるのは、国産車ではマツダ2だけです。
多くの人が「ディーゼル=燃費が良い=お得」と考えがちですが、車両本体価格の差やメンテナンスコストを考慮すると、必ずしも全員にとってディーゼルが正解とは限りません。
【コスト比較】車両価格差と燃料代で元は取れるのか?損益分岐点の試算
まず、経済性の観点から検証します。同等の装備内容で比較すると、ディーゼル車はガソリン車よりも約30万円〜35万円高く設定されています。軽油はレギュラーガソリンよりも1リットルあたり約20円安く、燃費もディーゼルの方が優れていますが、この車両価格差を燃料代だけで埋めるには相当な距離を走る必要があります。
概算ですが、年間走行距離が10,000kmの場合、車両価格差を回収するのに約10年以上かかります。年間20,000km走るヘビーユーザーであれば5〜6年で元が取れる計算になります。つまり、「経済性だけでディーゼルを選ぶ」のは、一般的な走行距離(年間1万キロ以下)のユーザーにとっては合理的ではありません。
しかし、リセールバリュー(売却時の価格)はディーゼルの方が高値が付く傾向にあるため、売却時まで含めたトータルコストで考えれば、差額はもう少し縮まります。
【走りの質】軽快なガソリンと、トルクフルで余裕のあるディーゼル
コスト以上に重要なのが「走りの質」の違いです。
ガソリンモデル(15 BD / 15 SPORT等)
高圧縮比エンジン特有の軽快な吹け上がりが特徴です。鼻先が軽いためハンドリングが素直で、街中をキビキビと走るのに向いています。「SPORT」グレードでは専用のチューニングが施され、意のままに操る楽しさを味わえます。
ディーゼルモデル(XD BD / XD SPORT+等)
最大の特徴は、2.5Lガソリンエンジン並みの太いトルクです。アクセルを軽く踏むだけでグイグイと車体を前に押し出す力強さは、高速道路の合流や追い越し、急な坂道で圧倒的な余裕を生みます。長距離移動が多い方にとって、この「余裕」は疲労軽減に直結します。
ディーゼルの懸念点「煤(すす)詰まり」は本当か?DPF再生の仕組みと対策
ディーゼル車を検討する際によく耳にするのが「煤(すす)が詰まる」というトラブルです。これは、排気ガス中のPM(粒子状物質)を捕集するフィルター「DPF」に煤が堆積することを指します。
マツダのディーゼルエンジンは、一定量煤が溜まると自動的にエンジン制御で排気温度を上げ、煤を焼き払う「DPF再生」を行います。しかし、エンジンが温まりきらない短距離走行(チョイ乗り)ばかりを繰り返していると、この再生処理が完了せず、フィルターが詰まってしまうリスクが高まります。
対策としては、週に一度程度はエンジンを完全に暖気し、30分程度スムーズに走行する(郊外路やバイパスなど)ことが推奨されます。これを意識できるかどうかが、ディーゼル車と上手く付き合えるかの分かれ道です。
元ディーラー整備士のアドバイス
「『近所のスーパーへの買い物(片道10分以内)』がメインの用途である場合、ディーゼル車はおすすめしません。エンジンが温まりきらない短距離走行の繰り返しは、DPF(煤捕集フィルター)の詰まりを引き起こす原因となりますし、煤を除去するために余計な燃料を消費して燃費も悪化します。週末に30分以上郊外を走るような使い方をする方にこそ、ディーゼルのメリットは最大限に発揮されます」
198通りの「BD」か、走りの「Sport」か。複雑化したグレード選びの正解
現在のマツダ2は、グレード体系が大きく再編され、少し複雑になっています。ここでは主な3つのキャラクターラインに分けて、それぞれの特徴とおすすめのユーザー像を整理します。
カジュアルに楽しむ「15 BD / XD BD」の特徴とカラーコーディネート
「BD」はBlank Deck(スケートボードの無地デッキ)の略で、「自分色に染める」という意味が込められています。このグレードの最大の特徴は、198通りにも及ぶカラーコーディネートです。ルーフフィルム、ドアミラー、ホイールキャップ、そしてインパネのカラーパネルを自由に組み合わせることができます。
価格も手頃に設定されており、街乗りメインでファッション感覚で車を選びたい人、他人と被らない個性的な一台を作りたい人に最適です。
走りを愛する大人へ。「15 SPORT / XD SPORT+」の専用装備と魅力
かつての「スポルト」の名を冠したこのグレードは、走りにこだわるユーザー向けです。専用のメッシュグリルやブラック塗装のアルミホイールで精悍な外観を持ち、内装も黒を基調としたスポーティな仕立てになっています。
特にガソリンの「15 SPORT」には、MT(マニュアルトランスミッション)の設定があり、車を操る楽しさを追求できます。ディーゼルの「XD SPORT+」は、装備が充実した最上級グレードという位置付けでもあり、所有満足度を求める方におすすめです。
隠れた名グレード「Sunlit Citrus」の上質な世界観
「Sunlit Citrus(サンリットシトラス)」は、南国の旅をイメージした特別仕様車です。内装にはグレージュのスエード調人工皮革とシトラス色のアクセントが使われており、車内が非常に明るく開放的な雰囲気になります。
本革巻きのステアリングやシフトノブ、360°ビューモニターなどが標準装備されており、コストパフォーマンスが非常に高いのも特徴です。「スポーティさよりも、上質でリラックスできる空間が欲しい」という女性や大人のユーザーから隠れた人気を誇ります。
結論:あなたにおすすめのグレードはこれだ
- コスト重視&街乗りメイン → 15 BD(ガソリン)
- 長距離通勤&高速道路利用が多い → XD SPORT+(ディーゼル)
- MTで運転を楽しみたい → 15 SPORT(ガソリン)
- 内装の質感とコスパを両立したい → 15 Sunlit Citrus(ガソリン)
マツダ2に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、マツダ2を検討中の方からよく寄せられる質問に、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. マニュアル(MT)設定があるグレードは?
現在、MTが選べるのはガソリンモデルの「15 SPORT」のみとなっています。ディーゼルモデルやBDグレードではMTを選択できませんのでご注意ください。このMTはシフトフィールが良く、小気味よい変速が楽しめるため、運転好きにはたまらない仕様です。
Q. マツダ2の維持費は他のコンパクトカーより高い?
ガソリン車に関しては、税金やメンテナンス費用はヤリスやフィットとほぼ同等です。ディーゼル車の場合、エンジンオイル交換の単価が少し高くなる傾向がありますが、燃料代(軽油)の安さで相殺できる範囲です。ただし、故障時の部品代(特にディーゼル特有の部品)は高額になる可能性があるため、新車保証の延長プラン加入をお勧めします。
Q. 4WDの性能はどう?雪道でも安心?
マツダ2の4WDシステム「i-ACTIV AWD」は、簡易的な生活四駆とは一線を画す高性能なシステムです。
現役自動車テクニカルライターのアドバイス
「マツダの4WDシステム『i-ACTIV AWD』は、ワイパーの作動状況や外気温、ステアリングの舵角などから路面状況を予測し、前輪が滑る予兆を検知して瞬時に後輪へトルクを配分する非常に賢いシステムです。スタックしやすい雪道や凍結路面での発進性能はもちろん、雨の日の高速道路での安定性も高まります。降雪地域の方には自信を持っておすすめできます」
まとめ:マツダ2は「愛着」を持って長く付き合える相棒になる
マツダ2は、最新のスペック競争からは一歩引いた立ち位置にありますが、その分、自動車としての本質的な「質の高さ」を追求し続けてきた稀有な存在です。
「後席の広さ」や「燃費の数値」を最優先するなら、正直に言って他車の方が優れています。しかし、ドアを閉めた時の重厚な音、体に吸い付くようなシート、意のままに操れるハンドリング、そして所有欲を満たす美しいデザイン。こうした「感性価値」に重きを置くあなたにとって、マツダ2はモデル末期の今だからこそ、最高の選択肢となるでしょう。
ぜひ一度、お近くのディーラーで試乗してみてください。その際は、ただ走るだけでなく、オルガン式ペダルの踏み心地や、シートに深く座った時のフィット感を確かめてみてください。きっと、カタログの数字以上の魅力を感じ取れるはずです。
マツダ2購入前の最終チェックリスト
- 後席の使用頻度は週1回以下、または短距離移動がメインですか?
- ナビ画面の小ささ(7インチ/8インチ)は許容できますか?
- 車に対して「道具としての便利さ」より、「運転の楽しさ・質感」を求めていますか?
- (ディーゼル検討の場合)週末に30分以上、信号の少ない道をドライブする機会がありますか?
これらのチェックリストに「YES」と答えられるなら、マツダ2はあなたの生活を豊かにする最高の相棒になってくれるはずです。
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