男性のヘアスタイルの中で、近年ひときわ強い存在感と色気を放っているのが「マンバン(Man Bun)」です。海外のアーティストやアスリートから人気に火がつき、日本でも感度の高いビジネスマンやクリエイターを中心に定着しつつあります。しかし、いざ挑戦しようと思ったとき、最大の壁となるのが「髪を伸ばす期間」です。
結論から申し上げますと、理想的なマンバンを作るために必要な髪の長さは最低でも25cm以上、ショートヘアの状態からスタートする場合、完成までには約1年〜1年半という長い期間を要します。この事実に「そんなに待てない」と心が折れそうになる方も多いでしょう。実際、私の理容室に来店されるお客様の中でも、魔の「伸ばしかけ期間」に耐えきれず、断念してバッサリ切ってしまう方が後を絶ちません。
しかし、適切な「メンテナンスカット」の頻度と、長さに応じた「セット方法」さえ知っていれば、伸ばしかけの期間も清潔感を保ちながら、オシャレなヘアスタイルとして楽しむことが可能です。マンバンは、ただ放置して伸ばすものではなく、計算されたプロセスを経て完成させる「育てるヘアスタイル」なのです。
この記事では、メンズスタイルに特化して15年の経験を持つ現役理容師である筆者が、挫折せずに理想のマンバンを手に入れるための全ロードマップを徹底解説します。あなたに似合うスタイルの条件診断から、最も辛い時期の乗り越え方、そしてバーバーでのオーダー方法まで、プロの視点で余すことなくお伝えします。
この記事でわかること
- マンバンが完成するまでの具体的な期間と、月ごとの髪の状態変化
- 「自分には似合わない」を回避する、顔型・髪質別の似合わせテクニック
- 最も辛い「伸ばしかけ期間」を乗り切るためのプロ直伝メンテナンス法とセット術
マンバン(Man Bun)とは?大人の色気を引き出すスタイルの種類と魅力
マンバン(Man Bun)という言葉を耳にする機会は増えましたが、具体的にどのようなスタイルを指すのか、その定義は意外と曖昧です。まずは、目指すべきゴールのイメージを明確にしましょう。マンバンとは、直訳すれば「男のお団子ヘア」のことですが、現代のメンズファッションにおいては、単に髪を結ぶだけでなく、デザインされた刈り上げ(フェード)やパーマと組み合わせることで、洗練された大人の色気を演出するスタイルとして確立されています。
なぜ今、これほどまでにマンバンが注目されているのでしょうか。それは、清潔感とワイルドさという、一見相反する要素を同時に表現できる稀有なスタイルだからです。スーツを着れば知的な印象を与え、カジュアルな服装ではラギッドな男らしさを際立たせる。この二面性こそが、多くの男性を惹きつける理由です。ここでは、マンバンの基本的な定義と、代表的なバリエーションについて詳しく解説します。
マンバンの定義とツーブロックとの関係
広義のマンバンは、長い髪を頭頂部や後頭部で一つにまとめたお団子スタイル全般を指します。しかし、現代のバーバースタイルにおけるマンバンは、「ツーブロック」をベースにしたスタイルが主流です。つまり、サイドと襟足(アンダーセクション)を短く刈り上げ、頭頂部(トップセクション)の髪だけを長く伸ばして結ぶ形式です。
この「刈り上げ」の存在が非常に重要です。髪全体を伸ばして結ぶ「フル・マンバン」もありますが、日本人の髪質は太くて硬く、量も多いため、すべて伸ばすと結び目が巨大になりすぎたり、サイドが膨らんで野暮ったく見えたりしがちです。サイドとバックをスッキリと刈り上げることで、清潔感を担保しつつ、トップの長さを強調するメリハリが生まれます。このコントラストこそが、マンバンを「ただの髪が長い人」ではなく「デザインされたヘアスタイル」に見せる鍵となります。
主なスタイル:フル・マンバンとトップ・ノット(サムライヘア)の違い
マンバンを目指す過程で、よく混同されるスタイルに「トップ・ノット(Top Knot)」があります。これらは似て非なるものであり、必要な髪の長さも大きく異なります。
フル・マンバン (Full Man Bun)
これは頭頂部だけでなく、後頭部の低い位置まで髪を使い、しっかりとしたお団子を作るスタイルです。結び目の位置は後頭部の中央付近になることが多く、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出します。これには前髪が顎下〜鎖骨付近まで届く長さが必要となり、最も育成期間を要します。
トップ・ノット (Top Knot)
いわゆる「サムライヘア」や「ちょんまげ」に近いスタイルです。刈り上げの位置を高めに設定し、頭のてっぺん(トップ)の髪だけを結びます。フル・マンバンよりも短い長さ(15cm〜20cm程度)で結ぶことが可能になるため、伸ばす過程の通過点としてこのスタイルを経由することが多いです。結び目が高いため、アクティブで若々しい印象を与えます。
どちらを目指すかによって、刈り上げの高さや最終的なゴール設定が変わってきます。理容室でオーダーする際は、自分が最終的に「低い位置で結びたいのか(フル・マンバン)」「高い位置で結びたいのか(トップ・ノット)」を伝えることが重要です。
フェードカット(刈り上げ)と組み合わせる「バーバースタイル」のトレンド
現在のマンバンスタイルの主流は、間違いなく「フェードカット」との組み合わせです。フェード(Fade)とは、0mm〜数mmの極めて短い長さから、徐々に長く濃くなっていくグラデーションのある刈り上げのことです。
一般的なツーブロックの刈り上げは、バリカンで一律の長さにすることが多いですが、フェードを取り入れることで、スタイルに圧倒的な奥行きと高級感が生まれます。特にマンバンの場合、結んだ時に露出するサイドと後頭部の面積が広いため、この刈り上げ部分の美しさがスタイルの完成度を左右します。
地肌が透けるような「スキンフェード」を合わせれば、より男らしくストリート感のある印象に。逆に少し長さを残した「シャドウフェード」なら、ビジネスシーンでも浮かない落ち着いた印象になります。マンバンは、上の長い髪(長髪)と下の短い髪(刈り上げ)の対比を楽しむスタイルですので、刈り上げのクオリティには徹底的にこだわるべきです。
[現役理容師のアドバイス:ビジネスシーンでの印象について]
「マンバンにしたいけれど、会社で許されるか不安」という相談をよく受けます。確かにワイルドな印象が強いスタイルですが、実はサイドと襟足をスッキリと刈り上げる「フェードスタイル」と組み合わせることで、スーツにも驚くほど似合う清潔感を演出できます。
IT系やクリエイティブ職、アパレル関係のお客様を中心に、近年は営業職の方などのビジネスマンのオーダーも急増しています。ビジネスで通用させるポイントは2つ。「結び目の位置」を低めに設定することと、「整髪料のツヤ感」で後れ毛を完璧に抑えることです。ボサボサしていなければ、むしろ「身だしなみに気を使っている人」というポジティブな評価を得られることも多いですよ。
日本人には似合わない?自分に似合うマンバンの条件と診断
「マンバン 似合わない」という検索ワードが多いように、多くの日本人男性が「彫りの深い欧米人だから似合うのであって、平たい顔の日本人には無理ではないか」という不安を抱えています。確かに、骨格や髪質の違いは存在します。しかし、結論から言えば、日本人にマンバンは似合います。
重要なのは、自分の顔型や骨格の特徴を理解し、それに合わせて刈り上げの高さや結ぶ位置を微調整することです。私たち理容師は、これを「似合わせ」と呼びます。単に雑誌のモデルの真似をするのではなく、あなたの骨格に合わせてカスタマイズすれば、コンプレックスをカバーしつつ、魅力を引き出すことが可能です。ここでは、顔型や髪質別の具体的な攻略法を解説します。
【顔型別】丸顔・面長・ベース型に似合わせる刈り上げの高さ設定
マンバンが似合うかどうかは、「顔の輪郭」と「ヘアスタイルのシルエット」のバランスで決まります。特に重要なのが、刈り上げの高さ(ウェイトライン)の設定です。
丸顔の方
丸顔の方は、横幅を強調しない工夫が必要です。刈り上げの位置を「高め」に設定し、サイドをタイトに引き締めることで、縦長のシルエットを作ります。また、トップの髪を結ぶ際も、少し高めの位置(ゴールデンポイント付近)にお団子を作ると、視線が上に誘導され、顔の丸みが目立ちにくくなります。
面長の方
面長の方が刈り上げを高くしすぎると、顔の長さが強調されてしまいます。刈り上げは「低め」に設定し、サイドに多少の厚みを残すようなグラデーションを作るとバランスが良くなります。結ぶ位置は後頭部の中心よりやや下にし、あえて少し緩く結んで横へのボリュームを出すのも効果的です。
ベース型(エラ張り)の方
男性らしい骨格のベース型は、実はマンバンが最も似合う顔型の一つです。エラの部分は隠すのではなく、潔く刈り上げて出した方が、男らしい色気が際立ちます。フェードカットとの相性が抜群で、シャープなラインを作ることで全体が引き締まって見えます。
| 顔型 | 刈り上げの高さ | 結ぶ位置(お団子) | 似合わせのポイント |
|---|---|---|---|
| 丸顔 | 高め (High Fade) | 高め (Top Knot気味) | 縦のラインを強調し、幼く見えないようにシャープさを出す。 |
| 面長 | 低め (Low Fade) | 低め (Low Bun) | サイドを削りすぎず、横のシルエットを残してバランスを取る。 |
| ベース型 | 中間〜高め | 中間 | エラや顎のラインを強調し、ワイルドさを前面に出す。 |
| 卵型 | 自由 | 自由 | 基本的にどんなスタイルも似合う。好みのファッションに合わせて調整。 |
【髪質別】直毛・剛毛・くせ毛それぞれのメリットと対処法
日本人の髪質は「太い・硬い・直毛」が多いのが特徴です。これはマンバンにする上で不利だと思われがちですが、実は大きなメリットもあります。
直毛・剛毛の方
メリットは、結んだ時の「お団子のボリューム」が出やすいことです。欧米人のような猫っ毛だと、お団子が小さく貧相になりがちですが、日本人の剛毛なら、迫力のあるカッコいいお団子が作れます。デメリットは、伸びる過程でサイドが横に張り出し、カッパのように広がることです。これに対処するには、サイドをこまめに刈り上げるか、「ダウンパーマ」や「緩めのスパイラルパーマ」をかけて、髪を扱いやすくするのが近道です。
くせ毛・天然パーマの方
マンバンに最も向いている髪質です。髪に自然な動きがあるため、ざっくりと手櫛でまとめるだけで、色気のある「こなれ感」が出ます。直毛の人がわざわざパーマをかけて求める質感を、生まれつき持っているのです。くせが強すぎてまとまらない場合は、ジェルやグリースなどの水溶性整髪料を多めに使い、ウェットな状態でタイトにまとめると、海外セレブのような仕上がりになります。
「おでこが広い」「ハチが張っている」コンプレックスはカバーできる?
マンバンはおでこを全開にするスタイルなので、おでこの広さや生え際の形を気にする方も多いでしょう。しかし、これも見せ方次第です。おでこが広いことは、欧米では「知性の象徴」としてポジティブに捉えられます。自信を持って出すことが一番ですが、どうしても気になる場合は、前髪の生え際を数ミリ残して短くカットし、産毛のように見せる「ベビーヘア」というバーバーテクニックもあります。
また、日本人に多い「ハチ張り(頭の横が出っ張っている骨格)」は、マンバンにする上で最大の敵です。ハチが張っていると、頭が四角く大きく見えてしまいます。これを解消するのが、理容師による「骨格補正カット」です。ハチの部分まで大胆に刈り上げるか、あるいはハチ上の毛量を根元から徹底的に調整することで、頭の形を卵型に近づけることができます。これこそが、セルフカットでは絶対に不可能な、プロの仕事です。
現役理容師のアドバイス
「日本人は彫りが浅いから似合わない」と諦める必要は全くありません。私たち理容師は、刈り上げの高さ(ウェイトライン)をお客様の骨格に合わせてミリ単位で調整することで、後頭部の絶壁をカバーし、横顔を立体的に見せる「骨格補正」を日常的に行っています。特に日本人の硬い髪質は、結んだ時のボリュームが出やすく、実はマンバンに向いている側面も強いのです。似合うかどうか悩む前に、まずはバーバーの椅子に座り、骨格診断を受けてみてください。
【期間別ロードマップ】完成までの長さと「伸ばしかけ」の乗り越え方
ここからが本記事の核心部分です。マンバンを目指す多くの男性が直面する、長く過酷な「伸ばしかけ期間」。この期間をどう乗り越えるかが、勝負の分かれ目となります。「いつになったら結べるのか?」「この中途半端な髪をどうすればいいのか?」という疑問に対し、時系列ごとのロードマップを示します。
まず前提として、髪は1ヶ月に約1cm〜1.2cm伸びます。これを基準に、各フェーズでの髪の状態と対策を見ていきましょう。
必要な長さは「前髪が口元に届く」約25cm以上
マンバンとして綺麗に結ぶために必要な長さの目安は、前髪を引っ張った時に「口元」または「顎先」に届く長さです。センチメートルに換算すると、生え際から約25cm以上が必要になります。なぜ前髪の長さが基準になるかというと、オールバックにして後頭部で結ぶ際、前髪が一番遠い距離を移動する必要があるからです。
もし現在、あなたの髪が眉毛にかかる程度のマッシュやショートヘア(約10cm)だとすると、あと15cm伸ばす必要があります。単純計算で15ヶ月、つまり1年以上かかる計算になります。この期間を3つのフェーズに分けて解説します。
[期間別・髪の長さとできるスタイルの推移グラフ]
| 期間 | 髪の長さ (前髪) | 状態・悩み | 対策スタイル |
|---|---|---|---|
| Start | 〜10cm (眉付近) | ショートヘア、マッシュ | 通常通り |
| 1〜3ヶ月 | 〜13cm (目の下) | 前髪が目に入り始める | センターパート、アップバング |
| 4〜8ヶ月 | 〜18cm (鼻先〜口) | 【魔の期間】耳にかからない、邪魔、広がる | 帽子、ヘアバンド、ピン留め、パーマ |
| 9〜12ヶ月 | 〜22cm (口〜顎) | ハーフアップが可能に | ハーフアップ、ちょんまげ |
| 12ヶ月〜 | 25cm〜 (顎下) | 【完成】フル・マンバン | マンバン |
スタート〜3ヶ月目:まずはサイドと襟足の刈り上げを維持する
伸ばし始めの最初の3ヶ月は、まだ比較的楽な期間です。前髪が目にかかり始めるので、センターパート(真ん中分け)や、ジェルでかき上げるアップバングスタイルで過ごすのがおすすめです。
この時期に最も重要なのは、「サイドと襟足の刈り上げ」をこまめにメンテナンスすることです。トップの髪は切らずに伸ばし続けますが、アンダー(刈り上げ部分)が伸びてくると、全体的にボサボサした印象になり、「ただ髪を切る暇がない人」に見えてしまいます。2〜3週間に一度はバーバーに行き、フェード部分だけを整えてもらいましょう。刈り上げがキリッとしているだけで、トップが多少伸びかけでも「スタイル」として成立します。
4ヶ月目〜8ヶ月目(魔の期間):中途半端な長さをごまかす「帽子」と「ピン留め」活用術
マンバン育成において、最大の難所がこの「4ヶ月目〜8ヶ月目」です。通称「魔の期間」と呼ばれます。前髪は鼻先まで伸びて常に視界を遮り、サイドの髪は耳にかかるかかからないかの微妙な長さで跳ね回ります。下ろしても決まらない、結ぶには長さが足りない、という八方塞がりな状態です。
この時期を乗り切るための具体的な戦術は以下の3つです。
- 帽子の活用
プライベートではキャップやニット帽、バケットハットを被り倒しましょう。物理的に髪を隠してしまうのが、ストレスを溜めない一番の方法です。 - ヘアバンドとピン留め
自宅や、カジュアルな職場であれば、ヘアバンドで前髪を上げてしまうのが快適です。また、結ぼうとしても落ちてくる短い毛は、アメピンで留めてハードスプレーで固めるという力技も必要になります。 - パーマをかける
この時期に「スパイラルパーマ」や「ツイストスパイラル」をかけるのが、実はプロとして最もおすすめの方法です。直毛だと邪魔なだけの長さが、パーマによるカールがつくと「色気のあるミディアムヘア」に変わります。毛先が動くので、中途半端な長さをごまかしやすく、結べる長さになるまでの期間をオシャレに楽しむことができます。
9ヶ月目〜1年目:ハーフアップが可能に!完成形への最終調整
苦しい時期を耐え抜き、9ヶ月を過ぎる頃には、前髪が口元付近まで到達します。ここまで来れば勝利は目前です。後ろの髪はまだ短くても、トップと前髪を合わせてゴムで結ぶ「ハーフアップ」や「トップ・ノット(ちょんまげ)」ができるようになります。
ようやく「結ぶ」という行為ができるようになるため、モチベーションが一気に回復します。この段階では、完成形のフル・マンバンに向けて、毛先の量を調整したり、刈り上げのラインを最終的な位置に設定し直したりといった微調整を行います。ここから先は、結んだ毛先のボリュームを育てていく楽しい期間に入ります。
現役理容師のアドバイス
「最も挫折しやすいのが、髪が耳にかかり始め、目に入る『4〜6ヶ月目』です。多くの人がここで『もう限界!』と切ってしまいます。この時期は『ただ放置して伸ばす』のではなく、1〜1.5ヶ月に一度バーバーに行き、伸ばす部分(トップ)の毛量調整と、刈り上げ部分(アンダー)のメンテナンスを行ってください。特に毛先を軽くするだけで、扱いやすさは劇的に変わります。清潔感を保つことが、モチベーション維持の最大の秘訣です。」
理容室・バーバーでの失敗しない頼み方とメンテナンス頻度
マンバンを成功させるには、自己流ではなく、プロの理容師と二人三脚で進めることが不可欠です。しかし、いざサロンに行っても「どう頼めばいいかわからない」「伸ばしていると言ったら、本当に何も切ってくれなかった」という失敗談をよく耳にします。ここでは、プロに意図を正確に伝え、最短ルートでマンバンに到達するためのオーダー方法を解説します。
「マンバンにしたい」だけでは不十分!伝えるべき3つのポイント
単に「マンバンにしたいので伸ばしています」と伝えると、理容師によっては「じゃあ、今日は切らないでおきましょう」と判断し、刈り上げのみで終わってしまうことがあります。これでは、扱いづらい髪のまま数ヶ月を過ごすことになります。以下の3点を明確に伝えてください。
- 最終的な結びたい位置(高め・低め)
「将来的に、後頭部のこの辺りで結びたい」と指で示してください。それによって、どこまで刈り上げていいのか(刈り上げの高さ)が決まります。 - 刈り上げの高さと濃さ(フェードのミリ数)
「横はスッキリさせたいのでスキンフェード(0mm〜)で」「仕事があるのであまり白くしすぎず、3mm〜6mmくらいで」など、刈り上げの色彩を指定します。わからなければ写真を見せるのが確実です。 - 現在の悩み(膨らむ、邪魔など)
「今は伸ばしている途中だが、横が膨らんで困っている」と伝えれば、長さは変えずに量だけを減らす「セニング(すきバサミ)」や「スライドカット」で、ボリューム調整をしてくれます。
メンテナンスカットの重要性:伸ばす部分と切る部分の境界線
「伸ばしているなら美容室に行かない方がいい」というのは大きな間違いです。髪は場所によって伸びる速度や毛量が異なるため、放置するとシルエットが崩れます。
特に重要なのが、「トップ(伸ばす部分)」と「アンダー(刈り上げる部分)」の境界線(ブロッキングライン)の設定です。このラインがガタガタだと、結んだ時に非常に見栄えが悪くなります。定期的にバーバーに通い、このラインを綺麗に取り直してもらうことが、美しいマンバンを作る基礎工事となります。
パーマをかけて伸ばしやすくする「マンバンパーマ」という選択肢
前のセクションでも触れましたが、伸ばしかけの期間にパーマをかけることは、非常に有効な戦略です。これを「マンバンパーマ」と呼ぶこともあります。パーマをかけると、髪がカールする分、見た目の長さは少し短くなりますが、まとまりやすさとセットのしやすさは格段に向上します。
また、完全に伸びきって結んだ時も、毛先にカールがかかっていると、お団子がふんわりと大きくなり、色気のある無造作感を出しやすくなります。直毛の方は、ある程度の長さ(10cm〜)になった段階で、一度パーマを相談してみることを強くお勧めします。
現役理容師のアドバイス
「マンバンを目指すなら、フェードカット(刈り上げ)の技術に長けた『理容室(バーバー)』をおすすめします。美容室が悪いわけではありませんが、バリカンを使った繊細なグラデーションや、男性特有の硬い髪質の扱いは、やはり理容師の専門領域です。特に伸ばしかけの期間は、刈り上げ部分がいかに綺麗かで、全体の『きちんとしている感』が大きく変わります。男性の髪質と骨格を熟知した理容師に相談するのが近道です。」
カッコよく決まる結び方とおすすめの整髪料(グリース・ジェル)
髪が十分に伸びたら、いよいよスタイリングの実践です。しかし、ただゴムで縛るだけでは、生活感あふれる「ひっつめ髪」になってしまいます。マンバンを「ヘアスタイル」として成立させるための、結び方のコツと整髪料の選び方を解説します。
崩れない・痛くない基本的なゴムの結び方(ループノット)
最も一般的で、崩れにくい結び方は「ループノット(輪っか結び)」です。
- 髪全体を後ろにかき上げ、結びたい位置で束ねます。
- ヘアゴムを通します。
- 2周目(または3周目)を通す際、毛先を完全に引き抜かず、途中で止めて「輪っか(お団子)」を作ります。
- 残った毛先をゴムの結び目に巻き付け、ピンで留めるか、もう一度ゴムの中に挟み込みます。
ポイントは、「きつく結びすぎない」ことです。ギュウギュウに引っ張ると、顔が引きつって見えますし、頭皮へのダメージも大きいです。結んだ後に、トップやサイドの髪を指先で少しつまんで引き出し、適度な緩み(ルーズ感)を作ると、今のトレンドに合ったこなれた印象になります。
後れ毛を色気に変える!グリースとジェルの使い分け
マンバンのセットに整髪料は必須です。何もつけないと、短い毛(アホ毛)がピンピンと飛び出し、疲れた印象を与えてしまいます。使用すべきは、ツヤの出る「グリース」か「ジェル」です。
グリース(水性ポマード)
マンバンに最も適した整髪料です。ジェルのようにガチガチに固まらず、再整髪が可能でありながら、強いセット力と濡れたようなツヤを与えます。手櫛を通せる柔軟性があるので、色気のある質感を作るのに最適です。
ジェル
絶対に崩したくない日や、髪が硬くて広がりやすい人向けです。カチッと固まるので、短い後れ毛を強力にホールドできます。ビジネスシーンなど、タイトに見せたい時におすすめです。
筆者愛用!マンバンにおすすめのスタイリング剤3選
具体的な商品名はここでは挙げませんが、選ぶべきスペックの基準をお伝えします。
- 水溶性であること
シャンプーで簡単に洗い流せることは、頭皮ケアの観点からも非常に重要です。油性ポマードは洗うのが大変なので、初心者にはおすすめしません。 - ハードなセット力があること
長い髪をまとめ上げるには、ある程度の粘度とホールド力が必要です。ソフトなワックスでは太刀打ちできません。 - 香りが良いこと
マンバンは「大人の男」のスタイルです。整髪料の香りもファッションの一部として楽しみましょう。
[現役理容師のアドバイス:結び方の注意点]
強く結びすぎると頭皮に負担がかかり、牽引性脱毛症の原因になります。結ぶ位置を決めたら、手櫛でざっくりと髪を集め、あえて少し緩みを持たせるのが「こなれ感」を出すコツです。また、整髪料は水溶性のグリースを使うと、シャンプーで落としやすく、ツヤが出て色気のある仕上がりになります。お風呂上がりではなく、朝、髪を少し水で濡らしてからグリースを馴染ませると、パーマのような動きが出やすくなりますよ。
マンバンに関するよくある質問(FAQ)
最後に、マンバンに挑戦するにあたって、多くの方が抱える不安や疑問に正直にお答えします。
Q. 毎日結んでいるとハゲる(牽引性脱毛症)って本当?
残念ながら、これは事実としてリスクがあります。長時間、強い力で髪を後ろに引っ張り続けると、生え際(特にM字部分)に負担がかかり、徐々に毛根が弱ってしまう「牽引性(けんいんせい)脱毛症」を引き起こす可能性があります。
しかし、過度に恐れる必要はありません。以下の対策を徹底することでリスクを最小限に抑えられます。
- 帰宅したらすぐにゴムを解く:頭皮を休ませる時間を長く確保します。
- 結ぶ位置を日によって変える:毎日同じ方向に引っ張らないようにします。
- 休日は下ろすスタイルを楽しむ:髪を結ばない日を作ります。
- 頭皮マッサージを行う:血行を促進し、頭皮を柔軟に保ちます。
現役理容師のアドバイス
「頭皮ケアはマンバンユーザーの義務と言っても過言ではありません。シャンプー時には指の腹でしっかりと頭皮を揉みほぐし、育毛トニックなどで保湿を行う習慣をつけてください。頭皮が硬くなると抜け毛のリスクが高まります。もし生え際が気になり始めたら、結び方を緩めるか、スタイルチェンジを検討する勇気も必要です。」
Q. マンバンの女子ウケは正直どうですか?
こればかりは好みが分かれますが、近年のトレンドとして「清潔感があればアリ」という女性が増えています。NGなのは「手入れされていない、不潔に見えるマンバン」です。ボサボサの後れ毛、フケ、脂ぎった髪は論外です。逆に、綺麗に刈り上げられたフェード、ツヤのある質感、整えられた眉毛やヒゲとセットであれば、「色気がある」「オシャレで個性的」と高く評価されることも多いです。マンバンにするなら、髪以外の身だしなみ(肌、ヒゲ、ファッション)にも気を配ることで、トータルの評価を上げることができます。
Q. 会社や学校で注意されないための対策は?
組織の規定によりますが、許容される範囲内で楽しむためのコツは「清潔感」と「タイトさ」です。ボサボサと広がっているとだらしなく見えますが、ジェルでピシッと撫で付け、低い位置でコンパクトに結べば、意外とフォーマルな印象になります。また、刈り上げ部分をあまりにも薄く(スキンフェードなど)しすぎず、色彩を少し残したフェードにすることで、威圧感を抑えることができます。
まとめ:辛い伸ばしかけ期間を乗り越え、理想のマンバンを手に入れよう
マンバンは、一朝一夕で手に入るスタイルではありません。最低でも1年という長い時間と、こまめなメンテナンスという努力を積み重ねた者だけが到達できる、特別なヘアスタイルです。だからこそ、完成した時の達成感はひとしおですし、周囲と被らない圧倒的な個性と色気を手に入れることができます。
「伸ばす期間」は確かに辛いですが、それは自分自身を変えるための準備期間でもあります。今回ご紹介したメンテナンス法やセット術を駆使して、その過程さえも楽しんでください。鏡の前で髪を結び、刈り上げとのコントラストが決まった瞬間の高揚感は、何物にも代えがたいものです。
最後に、マンバン育成をスタートさせるためのチェックリストを用意しました。今日から早速行動を開始しましょう。
マンバン育成スタートチェックリスト
- [ ] 鏡を見て、現在の前髪の長さを確認した(ゴールまであと何cmか把握する)
- [ ] フェードカットが得意な、信頼できるバーバー/理容室を見つけた
- [ ] 「伸ばしかけ期間」を乗り切るための帽子やヘアバンドを用意した
- [ ] 髪を綺麗に伸ばすための、頭皮ケア用シャンプーやトニックを準備した
- [ ] 次回のカット予約を入れた(放置せず、メンテナンスに行く日を決める)
あなたのマンバンライフが、最高にカッコいいものになることを応援しています。まずは近くのバーバーで、「マンバンにしたいから、一緒に育ててほしい」と相談することから始めてみてください。
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