インターネット通販で洋服を購入する際、最も失敗しやすいのが「サイズ感」です。特に「届いた服を着てみたら、思ったよりも丈が短くて背中が見えてしまった」「モデルさんの着用画像とイメージが全然違う」といった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
結論から申し上げます。「着丈(きたけ)」とは、背面の首の付け根(バックネックポイント)から裾(すそ)までの長さのことです。ここで最も重要な注意点は、「襟(えり)やフードの高さは一切含まない」ということです。この定義を誤解していると、数センチメートルの誤差が生まれ、サイズ選びの失敗に直結します。
この記事では、アパレル業界で15年以上、衣服の設計図である「パターン(型紙)」を引き続けてきた元パタンナーの筆者が、以下の3点を中心に徹底解説します。
- イラストがなくても直感的に理解できる「着丈」と「身丈」の決定的な違い
- 1mmの誤差も許さないプロの現場で実践されている、正確な計測テクニック
- 身長150cm〜170cmまで、身長別に失敗しない着丈の長さ目安チャート
正しい知識を身につけ、メジャーを正しく使えるようになれば、試着のできない通販ショッピングでも、まるでオーダーメイドのように自分にぴったりの服を選べるようになります。ぜひ最後までお読みいただき、サイズ選びの不安を解消してください。
1分で解決!「着丈」の正しい定義と「身丈」との決定的な違い
このセクションでは、通販サイトのサイズ表を見る上で最も基本的かつ重要な「着丈」の定義と、よく混同される「身丈(みたけ)」との違いについて、専門的な視点を交えて詳細に解説します。ここを理解するだけで、サイズ選びの失敗率は劇的に低下します。
着丈(きたけ)とは:襟を含まない「背中の中心」の長さ
「着丈」という言葉は、JIS規格(日本産業規格)やアパレル業界の慣習において厳密に定義されています。具体的には、「バックネックポイント(BNP)」から「ヘムライン(裾線)」までの、背中の中心を通る垂直な直線の長さを指します。
ここで専門用語が出てきましたが、難しく考える必要はありません。「バックネックポイント」とは、首を前に傾けたときに首の後ろにポコッと出る骨(第七頸椎)のあたりにある、「首の付け根」のことです。洋服で言えば、後ろ襟ぐりの中央部分にあたります。
最も強調しておきたいポイントは、「襟(カラー)、リブ、フードの高さは着丈に含まれない」という事実です。例えば、タートルネックのセーターや、襟の立ったシャツ、フード付きのパーカーを想像してください。これらのアイテムの「着丈」を測る際、襟のてっぺんから裾までを測ってしまうと、実際の着丈よりも5cm〜15cmも長い数値になってしまいます。
通販サイトで「着丈60cm」と記載されている場合、それは「襟の付け根から裾まで」が60cmであることを意味します。もし襟を含んで測ってしまうと、「60cmあるはずなのに、着てみたらおへそが見えるくらい短い」という事態に陥ります。パタンナーが型紙を作成する際も、着丈は必ず「後ろ中心の襟付け線」を基準(ゼロ地点)として設定します。この「襟を含まない」というルールこそが、着丈を理解する上での最重要事項です。
身丈(みたけ)とは:肩の頂点から裾までの「全体の」長さ
一方、「身丈(みたけ)」とは、「サイドネックポイント(SNP)」から裾までの全体の長さを指します。「サイドネックポイント」とは、首の横の付け根、つまり「肩のラインと首のラインが交わる点(肩の頂点)」のことです。
身丈は、洋服をハンガーにかけた状態や、人が着用した状態での「服の最も高い位置」から裾までを測ります。そのため、背中側ではなく、体の前面(または側面)を通して測ることが一般的です。Tシャツやカットソー、トレーナーなどのニット製品では、この「身丈」がサイズ表記として採用されるケースが多く見られます。
着丈と身丈の決定的な違いは、「計測の始点がどこか」という点にあります。
- 着丈:首の後ろ(背中側)が始点。襟は含まない。
- 身丈:肩の頂点(首の横)が始点。服の全長に近い。
構造上、人の体は首の付け根(着丈の始点)よりも、肩の厚みがある分だけサイドネックポイント(身丈の始点)の方が高い位置にあります。そのため、同じ服を測った場合、通常は「身丈の方が着丈よりも2cm〜4cm程度長くなる」という特徴があります。この差を知らずに「身丈65cm」のTシャツと「着丈65cm」のブラウスを同じ長さだと思って購入すると、着用感にズレが生じる原因となります。
なぜ混同しやすい?通販サイトによる表記の違いと注意点
なぜこれほどまでに「着丈」と「身丈」は混同されやすいのでしょうか。その最大の原因は、通販サイトやブランドによって採用している基準が統一されていないことにあります。
一般的に、布帛(ふはく)と呼ばれる伸びにくい生地で作られるシャツ、ブラウス、ジャケット、コートなどは、背中の中心を基準とする「着丈」で表記されることが標準です。これは、ジャケットなどのテーラードアイテムが、背骨に沿って美しくフィットするように設計(製図)されるためです。
対して、Tシャツ、ポロシャツ、スウェットなどのニット(編み物)製品は、「身丈」で表記されることが多々あります。カットソー類は前身頃と後身頃を肩で縫い合わせるシンプルな構造が多く、肩の頂点から裾までを測る方が、縫製上の誤差を確認しやすいという生産側の事情も関係しています。
さらに厄介なのが、一部のECモールや海外ブランドでは、これらを厳密に区別せず、すべて「Length(長さ)」としてひとまとめにしているケースや、Tシャツでも「着丈」と書いておきながら実際は「身丈」を測っているケースが稀に存在することです。消費者は、単に数字を見るだけでなく、「このサイトの『着丈』はどこからどこまでを指しているのか?」をガイドページで確認するリテラシーが求められています。
以下の表に、主な違いを整理しました。
| 項目 | 着丈 (Body Length Back) | 身丈 (Body Length Front/Total) |
|---|---|---|
| 計測の始点 | バックネックポイント(背中心の襟の付け根) | サイドネックポイント(肩の頂点・首の横) |
| 計測ライン | 背骨に沿った背中の中心線 | 前身頃の胸を通る垂直線 |
| 襟・リブ | 含まない | リブ部分は含む(襟の横から測るため) |
| 主なアイテム | シャツ、ブラウス、ジャケット、コート | Tシャツ、カットソー、ニット、スウェット |
| 数値の傾向 | 身丈より2〜4cm短い | 着丈より2〜4cm長い |
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「私たちプロが仕様書(設計図)を作成する際、着丈と身丈は明確に使い分けています。特に注意していただきたいのは、襟ぐりが深く開いた服の場合です。背中が大きく開いたデザインや、ボートネックのような服では、バックネックポイント(着丈の始点)が生地の上に存在しない(空間になっている)ことがあります。このような場合、仕様書上では『仮想のバックネックポイント』を設定して着丈を算出しますが、通販サイトの簡易的な採寸では、生地がある一番上の端から測っていることもあります。変形デザインの服を買うときは、着丈の数字を過信せず、必ず『総丈』やモデルさんの着用画像を併せて確認することを強くおすすめします」
誰でもプロ並みに測れる!正確な「着丈」の測り方4ステップ
「自分の持っている服のサイズを測ってみよう」と思ったものの、測るたびに数字が変わってしまったり、サイトの表記と全然違う数字になってしまったりしたことはありませんか?それは、測り方の「手順」や「環境」に小さなズレがあるからです。
パタンナーや検品担当者は、0.5cm単位の誤差を見逃さないよう、厳格なルールの下で計測を行っています。ここでは、特別な道具を使わずに、家庭で誰でもプロ並みの精度で着丈を測ることができる4つのステップを伝授します。手持ちのお気に入りの服を用意して、実践してみてください。
ステップ1:準備 必ず「平らな場所」で「平置き」にする
まず大前提として、洋服は必ず硬くて平らな場所(テーブルやフローリングの床)に置いて測ってください。ベッドの上やソファのような柔らかい場所、あるいは膝の上などで測るのは厳禁です。柔らかい場所では服が沈み込み、生地が歪んでしまうため、正確な直線距離を測ることができません。
また、ハンガーに吊るした状態で測るのも避けてください。自重で生地が伸びてしまい、本来の着丈よりも長く計測されてしまいます。特にニットやレーヨン素材の服は、吊るすと数センチ単位で伸びてしまいます。
服を置いたら、手アイロン(手のひらで優しく撫でる動作)でシワを伸ばし、自然な形に整えます。このとき、無理に引っ張って伸ばしすぎてはいけません。「自然に置いた状態」を作ることが、正確な計測の第一歩です。
ステップ2:始点を探す 首の後ろのグリグリ(バックネックポイント)を見つける
次に、計測のスタート地点となる「バックネックポイント」を特定します。服を背中側が上になるように裏返して置いてください。襟(えり)がついている服であれば、襟と身頃(背中の生地)が縫い合わされている縫い目の中央が始点です。
Tシャツやトレーナーのように、首元にリブ(伸縮性のある縁取り)がついている場合は、リブと身頃の境目の縫い目が始点になります。リブの上端(首に触れる部分)から測ってはいけません。あくまで「身頃のスタート地点」を探すのがポイントです。
フード付きのパーカーの場合も同様です。フードと背中の生地の接合部分、その中央を始点とします。ここにメジャーの「0cm」の目盛りを正確に当ててください。
ステップ3:計測 メジャーを垂直に下ろして「裾(すそ)」まで測る
始点(バックネックポイント)にメジャーの0cmを固定したら、そのまま背骨のラインに沿って、真っ直ぐ垂直にメジャーを下ろしていきます。そして、服の一番下の端である「裾(すそ)」までの長さを読み取ります。
このとき重要なのは、「最短距離を測る」ということです。メジャーが斜めになってしまうと、実際の着丈よりも長い数値が出てしまいます。服の脇線(サイドの縫い目)と平行になるように意識して、メジャーを真っ直ぐ配置してください。
もし、裾がカーブしているデザイン(シャツテールなど)の場合は、カーブの一番飛び出している先端(通常は背中心の延長線上)までを測ります。
ステップ4:注意点 シワを伸ばし、メジャーを浮かせないコツ
最後に、計測時の細かな注意点です。メジャーはピンと張る必要がありますが、服を押し潰したり、逆に浮かせたりしてはいけません。特に、厚手のダウンジャケットやウールのコートを測る場合、服の厚みでメジャーが浮いてしまい、正確な長さが測りにくいことがあります。
プロの現場では、金属製の定規や、適度な重みのあるグラスファイバー製のメジャーを使用しますが、家庭用の柔らかいメジャーを使う場合は、メジャーが蛇行しないように数箇所を指で押さえながら測ると良いでしょう。
また、背中にタック(ひだ)やギャザーが入っている服の場合は、そのタックを自然に閉じた状態で測るのか、広げて測るのかで数値が変わりますが、基本的には「タックを自然に閉じて、床に平らに置いた状態」で測るのが正解です。
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「1cmの誤差も防ぐためには、メジャーの選び方と扱い方も重要です。100円ショップのメジャーでも構いませんが、使い古して伸びきったメジャーや、折り癖が強くついたメジャーは誤差の元です。私が推奨するのは、目盛りが読みやすく、伸縮の少ない『グラスファイバー入り』のメジャーです。また、測る際はメジャーの0cm部分を左手の人差し指でしっかりと『始点』に押し当て、右手でメジャーを軽く引っ張りながら裾へ持っていくと、ブレずに測ることができますよ」
【身長別ガイド】着丈〇cmはどのくらい?失敗しない長さの目安
「着丈60cm」と数字で言われても、それが自分の体でどのくらいの位置に来るのか、パッとイメージするのは難しいものです。着丈は身長によって「見え方」が全く異なります。身長150cmの方にとっての「ロング丈」が、身長170cmの方にとっては「ミドル丈」になってしまうことも珍しくありません。
このセクションでは、身長別に着丈の数値が具体的に体のどの位置に来るのか、目安となるガイドをご紹介します。通販で服を選ぶ際、スマホでこの画面を見ながらシミュレーションしてみてください。
ショート丈・ミドル丈・ロング丈の定義
まず、一般的なトップスの丈感の分類を整理しておきましょう。トレンドによって多少前後しますが、基本的な定義は以下の通りです。
- ショート丈(クロップド丈):ウエストライン(くびれ)前後。手を上げるとお腹がチラリと見える可能性がある長さ。脚長効果が高い。
- ミドル丈(スタンダード丈):腰骨(骨盤)が隠れる程度。最もベーシックで、どんなボトムスとも合わせやすい長さ。
- ロング丈(チュニック丈):お尻がすっぽり隠れる、または太ももにかかる長さ。体型カバーに適している。
身長150cm・160cm・170cm別の着丈イメージ早見表
以下の表は、身長別に「着丈〇cm」が体のどの位置に来るかを示したマトリクスです。ご自身の身長に近い列を参考にしてください。(※一般的な日本人女性の体型バランスを基準としています)
| 着丈(cm) | 身長150cm (小柄さん) | 身長160cm (平均身長) | 身長170cm (高身長さん) |
|---|---|---|---|
| 45cm | 腰骨の上 (ジャストサイズ) |
おへそが隠れる程度 (ショート丈) |
おへそが見えるかも (ベリーショート) |
| 50cm | 腰骨が隠れる | 腰骨にかかる | ウエスト位置 (クロップド風) |
| 55cm | お尻の上部にかかる | 腰骨が隠れる (標準的な長さ) |
腰骨の上 |
| 60cm | お尻が半分隠れる | お尻の上部にかかる | 腰骨が隠れる (標準的な長さ) |
| 65cm | お尻がほぼ隠れる | お尻が半分隠れる | お尻の上部にかかる |
| 70cm | お尻が完全に隠れる (チュニック風) |
お尻がほぼ隠れる | お尻が半分隠れる |
| 75cm | 太ももの付け根下 | お尻が完全に隠れる | お尻がほぼ隠れる |
ポイント:
身長が10cm違うと、同じ着丈でも着用感は約1段階(約5cm分)ズレてきます。例えば、身長160cmの人が「着丈60cm(標準)」の感覚で服を探す場合、身長150cmの人は「着丈55cm」、身長170cmの人は「着丈65cm」を選ぶと、似たようなバランスで着こなすことができます。
「お尻が隠れる長さ」を知りたい時の計算式
多くの女性が気にする「お尻が隠れる長さ」ですが、これを簡易的に算出する計算式があります。あくまで目安ですが、試着できない時の判断材料として役立ちます。
【お尻が隠れる着丈の目安 = 身長 × 0.42 〜 0.44】
例えば、身長158cmの方の場合:
158 × 0.42 = 66.36cm
つまり、着丈が約66cm〜67cmあれば、お尻がきれいに隠れる可能性が高いと言えます。逆に、完全に隠したくない、スッキリ見せたい場合は、この数値からマイナス5cm程度(約61cm)を目安にすると良いでしょう。
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「数値だけで判断する際に忘れがちなのが、体の『厚み』と『骨格』による『持ち上がり分』です。上記のマトリクスは平面的に考えた目安ですが、実際にはバストの高さや背中の丸み、ヒップのボリュームによって、服は物理的に持ち上げられます。特にバストが大きい方や、骨格ストレートタイプで体に厚みがある方は、計算上の数値よりも前身頃が2〜3cm短く感じることがあります。心配な場合は、目安の数値にプラス2〜3cmの余裕を持たせて選ぶのが、失敗しないプロのコツです」
アイテム別で少し違う?種類ごとの計測ポイントと注意点
ここまで基本的な「着丈」の測り方を解説してきましたが、洋服の種類(アイテム)によっては、構造上の理由から少し特殊な測り方をする場合や、注意すべきポイントが異なります。ここでは、代表的な5つのアイテムカテゴリー別に、計測の勘所を解説します。
Tシャツ・カットソー:リブの扱いに注意
Tシャツやスウェットなどのカットソー類で最も注意すべきは、やはり「首元のリブ(フライス)」です。前述の通り、着丈にはリブを含みませんが、身丈表記の場合はリブを含むことがあります。
また、Tシャツは洗濯による「縮み」が起きやすいアイテムです。綿100%のTシャツの場合、洗濯後に縦方向に2〜3cm縮むことも珍しくありません。通販で購入する際は、ジャストサイズよりも「気持ち長め」を選ぶか、素材説明欄で「防縮加工(ワンウォッシュ)」の有無を確認すると安心です。
シャツ・ブラウス:後ろ襟の高さは含めない
ワイシャツやブラウスには「台襟(だいえり)」と呼ばれる、襟を立たせるための土台パーツが付いていることが多いです。計測の際は、この台襟も「襟の一部」とみなします。したがって、台襟と身頃の縫い合わせ線から裾までを測ります。
シャツ類は裾がラウンドカット(丸くカーブしている)になっているデザインが主流です。この場合、脇の縫い目の長さではなく、必ず「背中心の最も長い部分」を測るようにしてください。脇丈(サイドの長さ)だけを見て購入すると、お尻が隠れると思っていたのに、サイドがえぐれていて腰が見えてしまうという失敗につながります。
ジャケット・コート:ベンツ(スリット)がある場合の測り方
ジャケットやコートなどのアウター類には、背中の裾に「ベンツ(スリット)」が入っていることがあります。ベンツが重なっているデザインの場合、測り方に迷うかもしれませんが、基本は「閉じた状態」で、上から被さっている側の生地の端までを測ります。
また、ダウンジャケットのようなボリュームのあるアウターは、外側から測った「外寸」と、実際に着た時の「内寸」に大きな差が出ます。ダウンの厚みが数センチあるため、表記サイズ通りの着丈でも、着てみると圧迫感で短く感じることがあります。アウターに関しては、表記サイズよりも「着用感は少し小さくなる(短くなる)」と想定しておくのが鉄則です。
ワンピース:ウエスト切り替えがある場合の注意点
ワンピースの場合、ウエスト部分にゴムや切り替えが入っているデザインに注意が必要です。ハンガーにかけた状態や平置きの状態では着丈120cmあっても、実際に着るとウエストのゴムが腰で止まり、上半身の生地がブラウジング(ふんわりとたるむ)されることで、実際の着丈(総丈)が5〜10cmも短くなることがあります。
通販サイトの表記が「着丈」なのか「総丈」なのかを確認すると同時に、ウエストにゴムが入っている場合は「着た時に丈が上がる」ことを見越して、長めのサイズを選ぶことを推奨します。
スカート・パンツ:着丈ではなく「総丈」を確認しよう
ボトムスの場合、「着丈」という言葉はあまり使われず、「総丈(そうたけ)」や「パンツ丈」という言葉が一般的です。スカートの総丈は、ウエストベルトの上端から裾までを測ります(ここではベルト部分を含みます)。
パンツの場合は「股下(またした)」が重視されがちですが、ハイウエストのパンツなどでは「総丈(ウエスト上端から裾まで)」も重要です。股上が深いパンツの場合、股下の長さだけで判断すると、全体のバランスを見誤ることがあるためです。
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「ダウンジャケットや厚手のコートを測る時の裏技をお教えします。厚みのある服を平置きしてメジャーを上から当てると、どうしてもメジャーが浮いてしまい正確に測れません。そんな時は、服の中に硬い定規や段ボールの板を差し込み、背中心の内側から長さを測るか、あるいは服を裏返して『裏地側』から測ると、ダウンの膨らみに邪魔されずに直線距離を測りやすくなります。これは私たちパタンナーがサンプル検品をする際にも使うテクニックです」
通販サイトで「サイズが分からない」時の対処法とチェックリスト
どんなに知識を身につけても、通販サイトによっては「サイズ表が不親切」「情報が足りない」というケースに遭遇します。しかし、そこで諦めて「えいや!」でポチってしまうのは危険です。ここでは、情報が不十分な状況でも、失敗のリスクを最小限に抑えるための対処法と、購入前の最終チェックリストをご紹介します。
「前着丈」と「後着丈」に差があるデザインの場合
最近のトレンドとして、後ろの裾が長い「前後差(フィッシュテール)」のあるデザインが増えています。サイトによっては単に「着丈」としか書かれておらず、それが前の長さなのか後ろの長さなのか判別できないことがあります。
一般的に、単に「着丈」とだけ書かれている場合は「後ろ着丈(長い方)」を指すことが大半です。しかし、念のため「前着丈」の記載がないか探してみましょう。もし記載がない場合、モデルさんの横向きの着用画像を見て、前後の差がどれくらいあるかを目視で確認します。手のひらの幅(約8〜10cm)などを基準に、画像上で比率を推測するのも一つの手です。
海外通販(韓国ファッション等)でよくある表記トラブル
韓国ファッションなどの海外通販サイトでは、翻訳の都合上、用語が不正確な場合があります。「総丈」と書いてあるのに実際は「身丈」だったり、「着丈」の計測位置がブランドによってバラバラだったりします。
海外サイトを利用する場合の自衛策は、「数字を鵜呑みにしない」ことです。可能であれば、同じ商品のレビュー欄を探し、「160cmで膝上でした」といった購入者の生の声を参考にしましょう。また、海外製品は日本製に比べて個体差(同じサイズでも数センチ違う)が大きい傾向があるため、サイズには余裕を持って選ぶのが無難です。
どうしてもサイズ表がない時は「モデル身長」から逆算する
フリマアプリや一部のサイトでは、詳細なサイズ表がない場合があります。その際、唯一の手がかりとなるのが「モデル着用画像」です。モデルの身長がわかれば、ある程度の着丈を逆算して推測することが可能です。
▼【応用】モデル画像から着丈を推測する簡易テクニック(クリックで展開)
モデルの身長と、写真に写っている「服の裾の位置」から、おおよその着丈を計算する方法です。
手順:
1. モデルの身長を確認する(例:165cm)。
2. 人体の比率として、身長の約半分が「股下」の始まり(恥骨位置)であると仮定します(165cm ÷ 2 ≒ 82.5cm)。
3. 股下の位置から、首の付け根までは、身長の約30〜35%程度です(165cm × 0.35 ≒ 57.75cm)。
4. 写真を見て、服の裾が「股下(股の分かれ目)」と同じくらいの位置にあれば、着丈は約60cm〜65cm前後と推測できます。
5. 裾が膝上10cmくらいであれば、そこからさらに長さを足して推測します。
※あくまで概算ですが、全く情報がない状態よりは遥かに精度の高い判断ができます。
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「失敗率を極限まで下げるための最強のメソッドは、『手持ちの服』との比較です。欲しい服のサイズ表を見る前に、クローゼットから『自分が理想とする丈感の服』を1着取り出し、今回ご紹介した方法で実際に測ってメモしてください。その『マイ・ベスト着丈』という基準値を持ってサイズ表を見れば、『これは今の服より3cm長いから、お尻が隠れるな』といった具体的なイメージが湧きます。自分の感覚ではなく、手元の実寸値を信じることが、通販の成功への近道です」
着丈に関するよくある質問(FAQ)
最後に、着丈に関して検索されることの多い疑問や、細かすぎて聞きにくい質問に対して、プロの視点から一問一答形式でお答えします。
Q. 襟(エリ)やフードの長さは着丈に含みますか?
A. 含みません。
これが最も多い勘違いです。着丈はあくまで「襟の付け根(バックネックポイント)」から下を測ります。襟の高さ(スタンドカラーなど)やフードの長さを含めて測ってしまうと、サイズ選びで大きな失敗をします。ただし、「総丈」と表記されている場合は、襟の高さを含む場合もあるため、サイトごとの定義を確認してください。
Q. 「総丈」と「着丈」は何が違うのですか?
A. 「総丈」は服の最上部から最下部まで、「着丈」は背中心の長さです。
キャミソールワンピースやサロペットなど、肩紐があるアイテムは「着丈」という概念が適用しにくいため、肩紐のてっぺんから裾までを「総丈」として表記します。スカートやパンツも同様に「総丈」を使います。トップスの場合、「総丈」と書かれていれば、襟の高さを含む全体の長さを指すことが多いですが、定義が曖昧な場合もあるので注意が必要です。
Q. ハンガーに掛けたまま測ってもいいですか?
A. おすすめしません。必ず平置きで測ってください。
ハンガーに掛けると、服自体の重みで生地が縦に伸びてしまいます。特にニット、レーヨン、ジャージー素材などの伸縮性のある生地は、ハンガー計測と平置き計測で3〜5cmも差が出ることがあります。通販サイトのサイズ表は基本的に「平置き」での数値を記載していますので、比較するためにも平置きで測るのが鉄則です。
アパレル歴15年の元パタンナーのアドバイス
「ニット製品など『伸びやすい服』の保管と計測についての補足です。ニットは着ているだけでも重力で徐々に着丈が伸びていくものです。購入時は着丈60cmだったセーターが、ワンシーズン着たら63cmになっていた、なんてことはザラにあります。お気に入りのニットの着丈をキープしたい場合は、ハンガーに吊るさず、畳んで保管することをおすすめします。また、中古品や古着を購入する際は、新品時のスペックよりも『実寸』がどうなっているかを必ず確認してください。前の持ち主の保管方法によって、サイズが大きく変わっている可能性があるからです」
まとめ:正しい着丈を知れば、通販ショッピングはもっと楽しくなる
ここまで、着丈の正しい定義から測り方、身長別の目安までを詳しく解説してきました。最後に、今回の記事の要点をもう一度おさらいしましょう。
- 着丈の定義:背中の首の付け根(バックネックポイント)から裾までの長さ。
- 最大の注意点:襟、リブ、フードの高さは絶対に含まない。
- 身丈との違い:身丈は「肩の頂点」から測るため、着丈よりも2〜4cm長くなるのが一般的。
- 測り方のコツ:必ず平らな場所で平置きし、メジャーを垂直に下ろす。
通販でのサイズ選びは、ギャンブルではありません。正しい知識と計測方法さえ知っていれば、画面越しの服でも、まるで試着室にいるかのようにサイズ感を把握することができます。
まずは今日、あなたのクローゼットにある「一番お気に入りの長さの服」を1着取り出して、着丈を測ってみてください。そして、その数値をスマホのメモ帳に「マイ・ベスト着丈」として記録しておきましょう。次回のショッピングからは、そのメモがあなたの強力なパートナーとなり、失敗のない、満足度の高いお買い物を約束してくれるはずです。
ぜひ、今日から「サイズ表を読み解く楽しさ」を実感してください。
通販サイズ選び最終チェックリスト
- 欲しい服の表記が「着丈」なのか「身丈」なのかを確認しましたか?
- サイトのガイドページで、計測位置(襟を含まないか)を確認しましたか?
- 手持ちの似たアイテムを「平置き」で計測し、数値を比較しましたか?
- 素材による伸縮性や、ダウンなどの厚みを考慮して余裕を持たせましたか?
- 海外サイトの場合、数字だけでなくレビューや着用画像を参考にしましたか?
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