転職活動において、多くの求職者が最も頭を悩ませるのが「志望動機」です。「なぜその会社なのか」「入社して何がしたいのか」を問われていることは理解していても、いざ文章にしようとすると、ありきたりな表現になってしまったり、本音と建前の使い分けに苦戦したりする方は少なくありません。
結論から申し上げますと、受かる志望動機とは、採用担当者の視点に合わせて「熱意」と「貢献可能性」を具体的に翻訳したものです。どれほど素晴らしい経歴を持っていても、この翻訳が適切でなければ、書類選考を通過することは難しくなります。
この記事では、業界歴15年のキャリア採用コンサルタントである筆者が、採用現場のリアルな視点に基づき、書類選考を突破するための構成テクニックを徹底解説します。さらに、未経験職種への挑戦やキャリアアップなど、状況別にそのまま使える具体的な例文も豊富に用意しました。
この記事を読むことで、以下の3点が明確になります。
- 採用担当者が思わず「会ってみたい」と感じる志望動機の基本構成と必須の3要素
- 【未経験・経験者別】それぞれの状況に合わせてカスタマイズ可能な具体的例文と書き換えテクニック
- 「今の会社が嫌だ」という本音を、ポジティブで評価される志望理由に変換するプロの言い換え術
ぜひ、この記事を読みながらご自身の経験を振り返り、あなただけの「勝てる志望動機」を完成させてください。
採用担当者の心を掴む「受かる志望動機」の基本構成と3つの要素
志望動機を書く際、多くの人が陥りがちなミスは「いきなり文章を書き始めてしまうこと」です。しかし、家を建てるのに設計図が必要なように、説得力のある志望動機を作るには、まず「骨組み」を理解する必要があります。採用担当者は日々、何十、何百通もの応募書類に目を通しています。その中で目に留まるのは、美しい日本語で書かれた書類ではなく、論理構成が明確で、書き手の意図が瞬時に伝わる書類です。
ここでは、採用担当者が応募書類のどこを見ているのかという深層心理を紐解きながら、誰でも論理的な志望動機が書けるようになる「基本の型」を解説します。このセクションの内容を理解するだけで、あなたの志望動機は劇的に読みやすく、説得力のあるものへと変化するでしょう。
採用担当者が見ているのは「熱意」と「再現性」
採用担当者が志望動機を通じて確認したいことは、実は非常にシンプルです。それは「この人は本当に入社したいと思っているか(熱意)」と「入社後に活躍してくれるか(再現性)」の2点に集約されます。
まず「熱意」についてですが、これは単に「御社が第一志望です」と叫ぶことではありません。数ある企業の中で、なぜ自社を選んだのか、その必然性を論理的に説明できるかどうかが問われます。競合他社でも通用するような汎用的な理由では、採用担当者は「うちじゃなくてもいいのでは?」と判断し、熱意を感じ取ることはできません。その企業独自の強みや文化、事業内容と、あなた自身の価値観や目標がどのようにリンクしているかを示すことが、真の熱意を伝える鍵となります。
次に「再現性」です。これは、あなたが過去の経験で培ったスキルや成果が、新しい環境でも同様に発揮できるかという点です。中途採用においては、即戦力性が求められます。「勉強させてほしい」という姿勢ではなく、「私のこの経験が、御社のこの課題解決に役立ちます」という具体的な貢献イメージを提示する必要があります。採用担当者は、あなたの過去の実績というファクト(事実)を通して、未来の活躍を予測しようとしているのです。
志望動機に必須の3要素(Why This Company / Why This Job / Contribution)
説得力のある志望動機には、必ず以下の3つの要素が含まれています。これらが一つでも欠けていると、採用担当者に「何かが足りない」「納得感がない」という印象を与えてしまいます。
| 要素 | 内容 | 採用担当者のチェックポイント |
|---|---|---|
| 1. Why This Company (なぜこの会社か) |
業界の中でも、なぜその企業を選んだのかという独自の理由。企業理念、事業モデル、社風などへの共感。 | 「競合他社との違いを理解しているか?」「うちの会社でなければならない必然性があるか?」 |
| 2. Why This Job (なぜこの仕事か) |
その職種を選んだ理由。これまでのキャリアとの一貫性や、将来のキャリアビジョンとの接続。 | 「この職種の厳しさを理解しているか?」「キャリアパスに矛盾がないか?」 |
| 3. Contribution (どう貢献できるか) |
入社後に活かせるスキル、経験、強み。具体的な成果のイメージ。 | 「自社の課題を解決してくれる人材か?」「早期に戦力として計算できるか?」 |
これらの3要素は、それぞれが独立しているのではなく、密接に関連し合っています。「この仕事をしたい(Why This Job)」から始まり、「それを実現できるのはこの会社しかない(Why This Company)」と展開し、最後に「だからこそ、私のこの力が活きる(Contribution)」と結ぶことで、揺るぎないロジックが完成します。多くの不採用になる志望動機は、このうちの「貢献(Contribution)」が抜け落ちていたり、「なぜこの会社か(Why This Company)」が弱かったりするケースが大半です。
誰でも書けるようになる「基本の3段構成テンプレート」
前述の3要素を効果的に伝えるために推奨しているのが、以下の「基本の3段構成テンプレート」です。PREP法(Point, Reason, Example, Point)を志望動機用にアレンジしたもので、この型に当てはめていくだけで、論理的で読みやすい文章が完成します。
- 第1段落:結論(志望理由の概要)
「私が貴社を志望する理由は、〇〇という点に強く惹かれ、そこで私の××という経験を活かして貢献したいと考えたからです。」と、最初に結論を端的に述べます。 - 第2段落:根拠とエピソード(原体験)
なぜそう思ったのか、具体的なきっかけや過去の経験(原体験)を記述します。「前職では〇〇という課題に直面し、それを解決するために××を行いました。その経験から、貴社の△△という事業方針に共感しました。」といった形で、あなただけのエピソードを盛り込みます。 - 第3段落:入社後の貢献(結び)
「貴社に入社後は、前職で培った〇〇力を活かし、早期に××の成果を上げることで事業拡大に貢献したいと考えております。」と、入社への意欲と貢献イメージで締めくくります。
この構成の優れた点は、読み手がストレスなく内容を理解できることです。最初に結論が来るため、採用担当者は「何の話か」を把握した状態で読み進めることができます。また、真ん中に具体的なエピソードを挟むことで、他の応募者との差別化(オリジナリティ)を図ることができます。
詳細解説:志望動機構成のピラミッド図
志望動機の構成をピラミッド構造でイメージしてください。
- 頂点(結論):「貴社で〇〇を実現したい」
(最も伝えたいメッセージ) - 中段(根拠):「なぜなら、過去に△△という経験をしたから」
(説得力を生むファクト・原体験) - 土台(貢献):「だから、私のスキル××が役に立つ」
(企業にとってのメリット・採用する理由)
このピラミッドが崩れないように、各要素を一貫性を持って繋げることが重要です。土台(スキル)がないのに頂点(やりたいこと)ばかり語っても、それは単なる「願望」に過ぎず、ビジネスとしての提案にはなりません。
業界歴15年のキャリア採用コンサルタントのアドバイス
「採用現場では、ネットからコピペしたような『綺麗な文章』はすぐに見抜かれ、スルーされます。逆に、文章が多少拙くても、あなた自身の『原体験(なぜそう思ったかの具体的なきっかけ)』が含まれていると、採用担当者の記憶に残り、『会って話を聞いてみたい』と思わせることができます。あなたにしか語れないエピソードこそが、最強の武器になるのです。」
【状況・理由別】未経験でも説得力を出す志望動機例文とポイント
基本的な構成を理解したところで、次は具体的なシチュエーション別の書き方について解説します。特に「未経験の職種に挑戦したい」「今の会社が嫌で辞めたい」といった、少しハードルの高い状況にある方にとって、どのようにポジティブな志望動機に変換するかは死活問題です。
ここでは、多くの求職者が直面する典型的なパターンを挙げ、それぞれの状況において採用担当者を納得させるためのロジックと具体的な例文を紹介します。ご自身の状況に近いものを参考に、アレンジを加えてみてください。
未経験職種への転職(IT・Web業界などへの挑戦)
未経験職種への転職において最も重要なのは、「共通点(ポータブルスキル)」のアピールです。職種自体の経験はなくても、前職で培った「コミュニケーション能力」「課題解決力」「プロジェクト管理能力」などは、異業種・異職種でも通用するスキルです。これらを新しい職種でどう活かせるかを具体的に紐付けることが、説得力を生みます。
【例文:営業職から未経験のITエンジニアへ】
「私が貴社のエンジニア職を志望するのは、モノづくりを通じて顧客の課題を根本から解決したいと強く考えたからです。現職の法人営業では、顧客の要望をヒアリングし提案を行う中で、既存の商材では解決できない課題に直面し、技術の力でソリューションを生み出す重要性を痛感しました。(原体験)
現在は独学でJavaとPythonを半年間学習しており、簡単な在庫管理システムを自作するなど、基礎知識の習得に励んでおります。エンジニアとしての実務は未経験ですが、営業職で培った『顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力』と『粘り強く目標を達成する力』は、開発現場における要件定義やチームでの連携において必ず活かせると確信しております。(ポータブルスキルの転用)
貴社の『技術で社会の不便を解消する』という理念の下、いち早く戦力となり、顧客に価値を提供できるエンジニアとして貢献したいと考えております。(貢献・結び)」
同職種でのキャリアアップ・年収アップ狙い
同職種での転職の場合、即戦力としての期待値が高いため、より具体的な成果やスキルの提示が求められます。「なぜ今の会社ではダメなのか」「なぜその会社なら実現できるのか」という転職理由の正当性を、キャリアアップの文脈で語る必要があります。
【例文:中堅商社から大手メーカーの営業職へ】
「貴社を志望した理由は、圧倒的な商品力とグローバルな展開力を持つ環境で、より大規模なビジネスに挑戦したいと考えたからです。現職では専門商社の営業として4年間、新規開拓を中心に担当し、昨年度は部内トップの売上達成率120%を記録しました。(実績の提示)
しかし、商社という立場上、製品開発そのものに関与できないもどかしさを感じておりました。貴社は製造から販売まで一貫して行っており、顧客の声をダイレクトに製品に反映させる体制が整っています。そのような環境でこそ、私の強みである『顧客課題を製品価値に結びつける提案力』が最大限に発揮できると考えました。(転職の必然性)
入社後は、これまでの新規開拓で培った行動力と交渉力を活かし、貴社の主力製品のシェア拡大に貢献するとともに、新たな市場の開拓にも尽力したいと考えております。(貢献・結び)」
「今の会社が嫌」というネガティブな理由のポジティブ変換術
転職理由の本音が「残業が多い」「給料が安い」「人間関係が悪い」といったネガティブなものであることは珍しくありません。しかし、これをそのまま伝えてしまうと「不満ばかり言う人」「またすぐに辞めるのではないか」と敬遠されてしまいます。重要なのは、ネガティブな要因を「ポジティブな目的」に変換することです。
以下の表を参考に、あなたの本音を「採用担当者に響く言葉」に変換してみてください。
| 本音(ネガティブな理由) | 変換後のポジティブな理由(建前) | 解説 |
|---|---|---|
| 残業が多くて辛い、休みが取れない | 効率的に業務に取り組み、成果を出すことに集中したい。 メリハリをつけて働き、自己研鑽の時間も確保したい。 |
「楽がしたい」ではなく「生産性を高めたい」という意欲に変換する。 |
| 給料が安くて不満 | 成果が正当に評価される環境で、実力を試したい。 より高い目標に挑戦し、実績に見合った評価を得たい。 |
「お金が欲しい」ではなく「評価制度への意欲」として伝える。 |
| 人間関係が悪い、上司と合わない | チームワークを重視し、組織全体で目標達成を目指す環境で働きたい。 互いに切磋琢磨できる仲間と共に成長したい。 |
「人が嫌い」ではなく「チームで成果を出したい」という協調性をアピールする。 |
| 仕事がつまらない、ルーチンワークばかり | より幅広い業務に携わり、スキルアップしたい。 自ら提案し、改善を行える環境で主体的に働きたい。 |
「飽きた」ではなく「成長意欲」や「挑戦心」に置き換える。 |
このように変換することで、単なる不満の吐露が「より良い環境で成果を出したい」という前向きな意欲として伝わるようになります。志望動機の中では、前の会社の悪口は一切言わず、「実現したい未来」にフォーカスして語ることが鉄則です。
業界歴15年のキャリア採用コンサルタントのアドバイス
「未経験転職で『勉強させていただきます』や『学ばせていただきたい』という言葉は、受け身の姿勢と捉えられるため避けるべきNGワードの筆頭です。企業は学校ではありません。『現職の〇〇の経験を活かし、早期に戦力となれるよう自らキャッチアップします』といった、能動的な貢献意欲を示す表現に変えましょう。主体性こそが、未経験者に求められる最大の素養です。」
【職種別】プロが添削!そのまま使える志望動機例文集
ここでは、主要な職種別に特化した志望動機の例文を紹介します。職種ごとに採用担当者が重視するポイントやキーワードは異なります。ご自身の希望する職種に合わせて、アピールすべき能力を適切に盛り込むことが大切です。
営業職(法人営業・個人営業)
営業職の志望動機では、「数字へのコミットメント(目標達成意欲)」と「顧客課題解決力」が二大キーワードとなります。また、扱う商材や顧客層が変わる場合でも、営業としての基礎体力が高いことを示す必要があります。
【例文】
「貴社のソリューション営業職を志望いたします。私は現職でOA機器の法人営業を3年間経験し、単なる物売りではなく、顧客の業務効率化という課題解決に注力してきました。その結果、エリア内で2年連続売上1位を達成いたしました。
しかし、ハードウェアの提案だけでは解決できない顧客の経営課題に直面することも多く、より包括的なITソリューションを提供できる貴社に魅力を感じました。貴社の『顧客のビジネスを加速させる』というビジョンは、私が営業として目指す姿そのものです。
入社後は、持ち前のフットワークと、顧客の懐に入り込む関係構築力を活かし、貴社のサービスの拡販に貢献したいと考えております。まずは半年以内にトップセールスを目指し、貴社の事業成長の一翼を担う覚悟です。」
事務・管理系職種(一般事務・経理・人事)
事務・管理系職種では、「正確性」「業務効率化」「サポート力(ホスピタリティ)」が重視されます。単に作業をこなすだけでなく、周囲が働きやすい環境を能動的に作る姿勢をアピールしましょう。
【例文】
「私は、社員の方々が安心して業務に集中できる環境づくりを通じて、貴社の事業成長を支えたいと考え、一般事務職を志望いたしました。前職では営業事務として、受発注管理や資料作成を担当しておりました。
特に注力したのは業務フローの改善です。従来手入力で行っていた集計業務にマクロを導入し、月間20時間の作業時間短縮を実現しました。この経験から、事務職であっても工夫次第で組織の生産性に大きく貢献できることにやりがいを感じております。
貴社は少数精鋭でスピード感のある事業展開をされており、バックオフィスの柔軟な対応力が求められると認識しております。私の強みである『正確かつスピーディーな処理能力』と『改善提案力』を活かし、縁の下の力持ちとして貴社の発展に貢献したいと考えております。」
ITエンジニア・技術職(未経験・経験者)
エンジニア職では、「技術への探究心」「学習の継続性」「チーム開発への適応力」がポイントです。未経験の場合はポートフォリオや学習過程を、経験者の場合は具体的な技術スタックとプロジェクトでの役割を明記します。
【例文(経験者)】
「貴社の自社サービス開発に携わり、ユーザーの声をダイレクトに反映したプロダクト作りがしたいと考え、志望いたしました。現在はSIerにてJavaを用いた金融系システムの詳細設計から実装を担当しております。
堅牢なシステム構築の経験は積めましたが、仕様が決まったものを作るだけでなく、企画段階からサービスに関わりたいという思いが強くなりました。貴社の〇〇サービスは私自身もユーザーとして利用しており、UI/UXへのこだわりに感銘を受けております。
これまでの大規模開発で培った『品質を担保する設計力』と、プライベートで学習しているReactなどのモダンな技術知識を融合させ、貴社のサービスのユーザビリティ向上に貢献したいと考えております。」
接客・販売・サービス職
接客・販売職では、「顧客満足(CS)へのこだわり」「コミュニケーション能力」「ブランドへの愛着・理解」が鍵となります。具体的な接客エピソードを交え、どのような姿勢で顧客と向き合ってきたかを伝えます。
【例文】
「貴社のブランドが大切にしている『お客様の日常に彩りを添える』という接客スタイルに深く共感し、販売職を志望いたしました。私は現職のアパレル販売において、単に服を売るのではなく、お客様のライフスタイルに合わせたトータルコーディネートの提案を心がけてまいりました。
その結果、指名で来店されるお客様が月に20名を超え、店舗の顧客満足度アンケートでも個人賞をいただきました。しかし、より高価格帯で、長く愛用される商品を扱い、一人ひとりのお客様と深く向き合う接客がしたいと考え、貴社への転職を決意いたしました。
入社後は、これまで培った『傾聴力』と『提案力』をさらに磨き、貴社のファンを一人でも多く増やすことができるよう、質の高いサービスを提供していきたいと考えております。」
業界歴15年のキャリア採用コンサルタントのアドバイス
「職種ごとに採用担当者が好む『キーワード』を意識して使い分けることが重要です。営業なら『達成』『開拓』、事務なら『効率化』『正確』、エンジニアなら『技術選定』『ユーザー視点』、接客なら『ホスピタリティ』『顧客体験』など。これらの言葉を散りばめることで、その職種に対する適性とプロ意識をさりげなくアピールできます。」
書類選考で落ちるNG志望動機ワースト3と改善策
どれほど熱意があっても、書き方を一つ間違えるだけで「不採用」の箱に入れられてしまうのが書類選考の恐ろしさです。ここでは、多くの応募者が無意識に書いてしまいがちな「NG志望動機」のワースト3を紹介し、それをどう改善すればよいかを解説します。
NG例1:「御社の企業理念に共感しました」だけの抽象的な内容
【なぜNGなのか】
「理念への共感」は聞こえは良いですが、それだけでは「なぜ?」という部分が見えません。どの応募者も書ける内容であり、あなた自身の言葉になっていないため、採用担当者の印象に残りません。
【改善策】
「理念のどの部分に、なぜ共感したのか」を、自分の原体験とセットで語るようにしましょう。
×「貴社の『挑戦し続ける』という理念に共感しました。」
○「前職で新規事業の立ち上げに携わった際、失敗を恐れずに挑むことの重要性を学びました。そのため、貴社の『失敗を称賛し、挑戦し続ける』という理念に深く共感し、そのような環境でこそ私の行動力が活かせると考えました。」
NG例2:給与や福利厚生など「条件面」ばかり強調している
【なぜNGなのか】
「給料が良いから」「休みが多いから」「研修制度が充実しているから」といった理由は、求職者にとっては重要ですが、企業側にとっては「条件が悪くなったら辞める人」「会社を利用しようとしているだけの人」と映ります。
【改善策】
条件面はあくまで「結果」や「環境」として捉え、仕事内容や貢献意欲をメインに据えます。
×「貴社は年間休日が多く、福利厚生が充実しているため志望しました。」
○「貴社のように社員が長く健康的に働ける環境が整っている企業でこそ、腰を据えて業務に集中し、長期的に高いパフォーマンスを発揮できると考え志望しました。」
NG例3:どの会社でも通用する「使い回し」の文章
【なぜNGなのか】
社名を入れ替えれば他の会社でも通じるような志望動機は、企業研究不足の露呈です。「貴社の将来性に惹かれました」「業界のリーダーである点に魅力を感じました」といった表現は、具体性がなく、熱意が伝わりません。
【改善策】
その企業独自の固有名詞(具体的な商品名、サービス名、独自の制度名など)を盛り込みます。
×「貴社の業界トップクラスの技術力に魅力を感じました。」
○「貴社が開発された〇〇システムの、特に××という独自のアルゴリズム技術に衝撃を受けました。この技術を応用すれば、社会課題である△△の解決に貢献できると確信し、志望いたしました。」
詳細解説:NG例文 vs OK例文の比較添削
| 項目 | NG例文(Before) | OK例文(After) |
|---|---|---|
| 書き出し | 貴社の企業理念に共感し、また研修制度が充実している点に魅力を感じて応募しました。 | 貴社の「顧客第一主義」を徹底し、〇〇という革新的なサービスを展開されている点に強く惹かれ、志望いたしました。 |
| 内容 | 私は未経験ですが、やる気はあります。入社後は先輩方に学びながら、一生懸命頑張りたいと思います。 | 現職の販売職で培った「顧客ニーズを汲み取る力」は、貴社の営業職でも活かせると考えております。未経験ではありますが、現在〇〇の資格取得に向けて学習中です。 |
| 結び | 貴社で成長していきたいです。よろしくお願いいたします。 | 早期に戦力となり、貴社の売上拡大に貢献したいと考えております。 |
このように比較すると、OK例文の方が「具体的」で「能動的」であることがわかります。自分の書いた志望動機がNG例に近くなっていないか、必ずチェックしてください。
業界歴15年のキャリア採用コンサルタントのアドバイス
「採用担当者が『不採用』を即決する瞬間、それは『この志望動機、他の会社宛てに書いたものをそのまま使っているな』と直感した時です。コピペや使い回しは、あなたが思っている以上に簡単にバレます。少なくとも、その企業ならではの具体的なトピックを1つは盛り込み、『あなたのために書いたラブレター』であることを示してください。」
履歴書と面接での志望動機の使い分け・深掘り対策
書類選考を通過すると、次は面接が待っています。ここでよくある疑問が「履歴書に書いた志望動機と同じことを言っていいのか?」という点です。結論から言えば、軸は同じであるべきですが、伝え方の深さと量を変える必要があります。
履歴書(要約)と職務経歴書(詳細)の書き分け方
応募書類にはそれぞれ役割があります。履歴書の志望動機欄はスペースが限られているため(通常200〜300文字程度)、要点を絞って簡潔に伝える「要約版」となります。一方、職務経歴書や別紙で志望動機を提出する場合は、より詳細なエピソードや熱意を盛り込んだ「完全版」として作成します。
- 履歴書:「結論+主な理由1つ+簡潔な貢献」で構成。採用担当者がパッと見て概要を掴めるようにする。
- 職務経歴書:履歴書の内容をベースに、具体的な原体験のエピソード、入社後のキャリアプラン、スキルとの関連性などを詳細に記述する。
面接で「志望動機」を聞かれた際の話し方のコツ
面接で「志望動機を教えてください」と聞かれた際、履歴書を丸暗記して読み上げるのはNGです。面接官は、あなたの書類をすでに手元に持っています。同じ内容を一言一句違わずに聞かされると、「プレゼン能力がない」「応用が利かない」と判断されかねません。
面接では、書類に書いた内容をベースにしつつ、「感情」と「補足情報」を乗せて話すことがポイントです。「書類にも記載いたしましたが、最大の理由は〇〇です。これについて少し詳しくお話ししますと、実は前職で…」といったように、書類には書ききれなかった具体的なエピソードや、その時の感情の動きを口頭で補足することで、話に厚みと説得力が生まれます。
「なぜうちの会社なの?(競合他社ではダメなの?)」への切り返し方
これは面接での鉄板かつ最難関の質問です。これに答えるためには、徹底的な企業研究と比較分析が不可欠です。
回答のフレームワークとしては、「業界共通の魅力」ではなく「その会社独自の強み」+「自分の価値観との合致」で答えるのが正解です。
【回答例】
「確かに、同業界にはA社やB社もございます。しかし、A社は規模を追求する方針であるのに対し、御社は『顧客一人ひとりへのカスタマイズ性』を最優先されています。私は前職の経験から、質を重視したサービスこそが真の顧客満足に繋がると考えており、その点において私の価値観と合致し、私の強みであるきめ細やかな提案力が最も活かせるのは御社しかないと考えました。」
志望動機に関するよくある質問(FAQ)
最後に、志望動機作成においてよく寄せられる細かい疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 志望動機の文字数はどのくらいが適切ですか?
媒体によって異なりますが、目安は以下の通りです。
- 履歴書(手書き・Web入力):200〜300文字程度。枠の8割以上を埋めるのがマナーです。
- 職務経歴書・A4別紙:400〜600文字程度。詳細なエピソードを盛り込みます。
- 面接での回答:1分〜1分半程度。文字数に換算すると300〜450文字程度が聞き取りやすい長さです。
Q. 書き出しと締めくくりの定型文はありますか?
はい、王道のパターンがあります。
- 書き出し:「私が貴社を志望した理由は、〇〇に強く惹かれ、××として貢献したいと考えたからです。」
- 締めくくり:「これまでの経験を活かし、貴社の事業拡大に貢献できるよう尽力いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。」
奇をてらう必要はないので、最初と最後は礼儀正しく、ビシッと決めるのが好印象です。
Q. 志望動機がどうしても思いつかない時はどうすればいいですか?
志望動機が出てこない主な原因は、「企業を知らない」か「自分を知らない」かのどちらかです。まずは企業のホームページだけでなく、社長のインタビュー記事やSNS、利用者の口コミなどを広く調べてみてください。それでも出てこない場合は、「なぜ今の会社を辞めたいのか(転職のきっかけ)」を深掘りし、その不満を解消できる条件をリストアップしてみましょう。その条件を満たしている点が、そのまま志望動機の種になります。
まとめ:自分だけの「原体験」を武器に、選ばれる志望動機を完成させよう
ここまで、採用担当者の視点に基づいた志望動機の書き方と、具体的な例文について解説してきました。志望動機は、単なる応募の手続きではなく、企業への「ラブレター」であり、自分自身を売り込むための「プレゼンテーション資料」です。
重要なポイントを改めて整理します。
- 採用担当者はあなたの「熱意」と「再現性(貢献可能性)」を見ています。
- 「なぜその会社か」「なぜその仕事か」「どう貢献できるか」の3要素を必ず盛り込みましょう。
- ネットの例文をそのまま使うのではなく、必ずあなた自身の「原体験(エピソード)」を加えてオリジナリティを出してください。
- ネガティブな転職理由は、「未来への意欲」にポジティブ変換して伝えましょう。
完璧な文章を書こうとする必要はありません。多少不格好でも、あなたの本気の思いと、実体験に基づいた言葉が紡がれていれば、その熱意は必ず採用担当者に伝わります。この記事で紹介した構成や例文を参考に、ぜひあなただけの「選ばれる志望動機」を完成させ、理想のキャリアへの第一歩を踏み出してください。
業界歴15年のキャリア採用コンサルタントからのエール
「転職活動は、自分自身の人生を見つめ直す貴重な機会です。志望動機を書く苦しみは、そのまま『自分がどう生きたいか』を問うプロセスでもあります。あなたが心から納得できる志望動機が書けたとき、それは内定へのパスポートになるだけでなく、入社後のあなたを支える強い指針となるはずです。応援しています。」
最終確認:志望動機 完成度チェックリスト
提出前に、以下の項目をチェックして、万全の状態で応募しましょう。
- [ ] 結論ファーストになっているか
(「私が貴社を志望する理由は〜」から始まっているか) - [ ] その会社でなければならない理由(独自性)が含まれているか
(競合他社でも通じる内容になっていないか) - [ ] 入社後の活躍イメージ(貢献)が具体的か
(自分のスキルがどう役立つか明記されているか) - [ ] 「受け身」の表現になっていないか
(「勉強したい」「学ばせてほしい」を排除したか) - [ ] ネガティブな退職理由が入っていないか
(前の会社の悪口や不満を書いていないか) - [ ] 誤字脱字、敬語の誤りはないか
(「貴社(書き言葉)」と「御社(話し言葉)」の使い分け等)
ぜひ今日から、あなたの「原体験」を書き出すことから始めてみてください。それが、内定への最短ルートです。
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