「ホヤって、ガソリンみたいな臭いがして苦手なんだよね……」
もしあなたがそう感じているのなら、それはホヤそのものの味ではなく、鮮度が落ちて劣化した「悲しいホヤ」に出会ってしまっただけかもしれません。あるいは、さばき方の過程で、本来の旨味を洗い流してしまっている可能性があります。
結論から申し上げます。新鮮なホヤは、フルーツのように甘く、爽やかで、臭みなど一切ありません。
私は三陸の港町で25年以上、毎朝市場に立ち、何万個というホヤを目利きしてきた水産仲買人です。かつて、私の取引先である都内のシェフも「ホヤは使いにくい」と敬遠していましたが、私が現地で選んだ朝獲れの個体をその場でさばいて差し上げたところ、「これが本当に同じ食材か?」と衝撃を受け、今では看板メニューとして扱ってくれています。
この記事では、現場を知り尽くした仲買人である私が、スーパーでも絶対に失敗しない「パンパンに張った」個体の選び方と、旨味成分たっぷりの「ホヤ水」を活かした正しいさばき方を伝授します。これを読めば、あなたの食卓で料亭級の珍味が楽しめるようになります。
この記事でわかること
- 仲買人が教える「鮮度抜群のホヤ」を見分ける3つのチェックポイント
- 旨味を逃さない!「ホヤ水」を使ったプロ流の正しいさばき方(図解解説付き)
- 刺身だけじゃない!ホヤの魅力を引き出す絶品レシピと日本酒ペアリング
ホヤ(海鞘)とは?「臭い」と言われる理由と本当の味
まず、ホヤという生き物に対する誤解を解くところから始めましょう。多くの人が抱く「ホヤ=臭い」というイメージは、実は本来の姿ではありません。なぜそのような誤解が広まったのか、そして本当のホヤとはどのような味なのか、仲買人の視点から深く掘り下げて解説します。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「私たちが市場で扱う獲れたてのホヤには、あの独特の薬品のような臭いは全くありません。皆さんが感じるいわゆる『金属臭』や『ガソリン臭』は、水揚げから時間が経過し、鮮度が劣化したサインなのです。つまり、臭いホヤを食べてしまった経験は、ホヤが悪いのではなく、流通や管理の状態が悪かった証拠と言えます」
5つの味覚を持つ「海のパイナップル」の正体
ホヤはその見た目の形状と、鮮やかなオレンジ色の果肉から「海のパイナップル」と呼ばれていますが、特筆すべきはその味の複雑さにあります。人間の味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つの基本味がありますが、ホヤはこの5つの味覚すべてを一度に感じることができる、世界でも稀有な食材です。
口に入れた瞬間、まず広がるのは海水の心地よい「塩味」と、貝類特有の濃厚な「旨味」です。噛み締めると、グリコーゲン由来の濃厚な「甘味」と、爽やかな「酸味」が追いかけてきます。そして最後に、喉の奥でわずかに感じる大人の「苦味」が全体を引き締めます。この複雑なハーモニーこそがホヤの真骨頂であり、他の魚介類では代替できない魅力なのです。
さらに興味深いのは、ホヤを食べた後に水を飲むと、水が甘く感じるという現象です。これはホヤに含まれる旨味成分や特殊なアミノ酸の作用によるもので、食通の間ではこの余韻を楽しむことこそがホヤの醍醐味とされています。単なる珍味ではなく、味覚の冒険を楽しめる食材、それがホヤなのです。
なぜ「ホヤは臭い」と誤解されるのか?鮮度と味の関係
では、なぜこれほど美味しい食材が「臭い」と言われてしまうのでしょうか。その原因は、ホヤの非常にデリケートな性質にあります。ホヤは水揚げされた瞬間から、自己消化酵素の働きによって鮮度の低下が始まります。特に、体内に含んでいる海水や排泄物が長時間留まることで、独特のアンモニア臭や金属的な異臭が発生しやすくなるのです。
昭和の時代や流通網が未発達だった頃は、産地である三陸から首都圏へ運ぶのに時間がかかり、消費者の口に入る頃にはどうしても味が落ちてしまっていました。この時期に質の悪いホヤを食べてしまった世代の方々が、「ホヤは臭いものだ」という固定観念を持ってしまった側面があります。
しかし、現在は冷凍技術や輸送技術が飛躍的に向上しています。産地で水揚げ直後に適切な処理を施したり、活きたまま高鮮度で輸送したりすることが可能になりました。スーパーで売られているものでも、後述する「目利き」さえしっかり行えば、産地で食べるのと遜色ない甘く爽やかなホヤに出会うことができるのです。「臭い」は過去の話、あるいは選び方のミスによるものだと認識を改めてください。
栄養満点!亜鉛や鉄分など疲労回復に効く成分
味だけでなく、栄養面でもホヤは非常に優秀な食材です。夏バテ防止に効果的と言われるのには、しっかりとした科学的根拠があります。
まず注目すべきは、豊富なミネラル分です。特に亜鉛の含有量は魚介類の中でもトップクラスで、免疫力の向上や味覚の正常化に役立ちます。また、鉄分やビタミンB12も豊富に含まれており、貧血気味の方やエネルギー不足を感じている方にはうってつけの食材です。
さらに、ホヤにはタウリンやグリコーゲンがたっぷりと含まれています。これらは疲労回復を助け、肝機能をサポートする働きがあるため、お酒のおつまみとしてホヤを食べることは、理にかなった最高の組み合わせと言えるでしょう。その他にも、抗酸化作用のあるビタミンEや、細胞の再生を助ける成分も含まれており、まさに「食べるサプリメント」と呼ぶにふさわしい栄養価を誇ります。
美味しいだけでなく、体にも良い。この事実を知れば、ホヤを食卓に取り入れない手はありません。
【仲買人監修】スーパーで失敗しない!美味しいホヤの選び方(目利き)
「スーパーでホヤを見かけるけれど、どれを選べばいいのかわからない」「以前買って失敗したから怖い」という声をよく耳にします。ここからは、私が市場で競りに参加する際に見ているポイントを、一般の方でも分かりやすい形に落とし込んで解説します。この章を読み終わる頃には、あなたも鮮魚コーナーで自信を持って「最高の一個」を選び抜くことができるようになっているはずです。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「私が新人の頃、親方に『ホヤは顔色と張りを見ろ!』とよく怒鳴られました。人間と同じで、元気なホヤは肌つやが良く、パンパンにエネルギーが満ちています。逆にしぼんで元気のない個体は、味も香りも落ちています。遠慮せずに、パックの上からじっくり観察してください」
まずは、以下のチェックリストを参考にしてください。これらが揃っているものが「買い」のホヤです。
Checklist here|鮮度チェックリスト(張り・色・重さ)
- 【張り】 殻がパンパンに膨らんでおり、凹みやシワがないこと
- 【色】 鮮やかなオレンジ色や赤色をしており、黒ずんでいないこと
- 【重さ】 手に持った時にずっしりとした水分と重量感があること
- 【突起】 表面の突起がしっかり立ち上がっており、潰れていないこと
【外見】殻の「張り」と「色」で見極める
最も重要なのは、殻(被嚢)の「張り」です。新鮮なホヤは、内部に海水をたっぷりと含んでおり、風船のようにパンパンに膨らんでいます。指で軽く押したときに押し返してくるような弾力があるものがベストです。逆に、皮がシワシワになっていたり、全体的にしぼんでペタンコになっているものは、水揚げから時間が経って中の水分が抜けてしまっている証拠です。このような個体は身も痩せており、独特の臭みが出ている可能性が高いので避けましょう。
次に「色」です。ホヤの種類(マボヤやアカボヤ)にもよりますが、基本的には鮮やかでツヤのある暖色系のものを選んでください。時間が経つと、鮮やかさが失われ、茶色っぽく変色したり、黒ずんだ斑点が出てきたりします。特に突起の先端部分が黒く変色しているものは鮮度が落ちているサインですので注意が必要です。
【触感】持った時の「重み」と「硬さ」が命
もしパックに入っていないバラ売りのホヤを選ぶ機会があれば、ぜひ手に取ってみてください。見た目以上に「ずっしり」と重たいものが良品です。この重みは、ホヤが生きている証拠であり、体内に新鮮な海水を保持していることを示しています。軽いものは、すでに死んでしまって中の水が抜け、身が縮んでいる可能性があります。
また、殻の「硬さ」もポイントです。新鮮なうちは殻にハリがあり、硬さを感じますが、鮮度が落ちるとブヨブヨと柔らかくなります。ゴムボールのような弾力があるものを選びましょう。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「売り場でこっそり確認してほしいのが『根っこ』の状態です。ホヤの下部にある岩場に付着していた根っこの部分が、腐ったり溶けたりしていないか見てください。ここがしっかりしていて、磯の香りがするものは新鮮です。逆にここから異臭がしたり、ドロドロしているものは絶対に避けてください」
【時期】最も味が乗る「旬」は5月〜8月
どんなに目利きが良くても、時期外れのホヤは本領を発揮できません。ホヤの旬は、産地である三陸地方では一般的に5月から8月の初夏から夏にかけてです。この時期のホヤは、産卵に向けて栄養をたっぷりと蓄えており、身が厚く、甘みが最強になります。
冬場や春先にも出回ることがありますが、身が薄かったり、味が淡白だったりすることがあります。初めてホヤに挑戦する方や、過去に失敗した経験がある方は、ぜひこの「5月〜8月」のトップシーズンのものを狙ってください。特に6月、7月のホヤは「肉厚でクリーミー」という表現がぴったりの絶品です。
動画より分かりやすい!プロ直伝「ホヤのさばき方」完全マニュアル
新鮮なホヤを手に入れたら、次は「さばき方」です。ここで多くの人がやってしまう致命的なミスが、「真水でジャブジャブ洗ってしまう」ことです。これをやってしまうと、せっかくのホヤの旨味が全て流れ出し、水っぽくて味気ない物体になってしまいます。
ここでは、仲買人が実践している「旨味を逃さない」プロ流のさばき方を、ステップバイステップで解説します。この手順通りに行えば、キッチンが汚れることも少なく、最高の状態で食卓に出すことができます。
準備するもの(包丁・キッチンバサミ・ボウル・ザル)
特別な道具は必要ありませんが、以下のものを用意するとスムーズです。
- 包丁:切れ味の良いものが望ましいですが、家庭用のもので十分です。
- キッチンバサミ:殻を切る際に、包丁よりも安全で簡単に作業できます。初心者には特におすすめです。
- ボウルとザル:身を洗うためではなく、「ホヤ水」を受けるために使います。
- キッチンペーパー:仕上げの水気取りに使用します。
手順①:プラス(+)とマイナス(−)の突起を見分ける
ホヤの上部には、2つの突起があります。よく見ると、先端が「+(プラス)」の形になっているものと、「−(マイナス)」の形になっているものがあります。
- プラス(+):入水孔。海水を吸い込む口です。
- マイナス(−):出水孔。海水や排泄物を吐き出す口です。
まず、この2つの突起を包丁またはキッチンバサミで切り落とします。この時、中から勢いよく水が飛び出すことがあるので注意してください。
手順②:【重要】「ホヤ水」を捨てずに確保するテクニック
突起を切り落とすと、中からたっぷりの水分が出てきます。これを絶対に捨てないでください! この液体は「ホヤ水(ほやすい)」と呼ばれ、ホヤの旨味成分が凝縮された最高のエキスです。
ボウルの上にザルを置き、切り口を下にしてホヤ水をすべて受け止めます。このホヤ水を使って後で身を洗うことで、風味を損なわずに汚れだけを落とすことができるのです。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「真水で洗うのは絶対にNGです!ホヤの体液と真水では浸透圧が違うため、真水に触れた瞬間に身が水を吸って膨張し、旨味が溶け出してしまいます。さらに、真水中の塩素などがホヤの繊細な香りを壊してしまいます。必ず、確保した『ホヤ水』か、足りない場合は3%程度の塩水を使って洗ってください」
手順③:殻から身を外し、内臓(黒い部分)を取り除く
ホヤ水が出きったら、プラスとマイナスの切り口の間をつなぐように、縦に包丁かハサミを入れて殻を切り開きます。殻を開くと、オレンジ色の身が現れます。指を殻と身の間に差し込み、優しく剥がしていきます。新鮮なものであれば、つるりと綺麗に剥がれます。
身を取り出したら、さらに身を縦に切り開きます(袋状になっているため)。中にある黒っぽい塊や、糸状のものが内臓や排泄物です。これらはエグみや臭みの原因になるので、指で丁寧に取り除きます。先ほど確保したホヤ水の中で、身を優しく揺らすようにして、残った内臓や汚れを洗い流します。
手順④:切り分けと盛り付けのポイント
きれいに掃除した身を、食べやすい大きさにカットします。一口大の乱切りや、細切りなどお好みで構いませんが、仲買人のおすすめは「少し大きめの乱切り」です。噛んだ時の食感と、ジュワッと溢れる旨味を堪能できるからです。
盛り付ける際は、殻を器として使うと見た目も華やかになります。最後に、軽くキッチンペーパーで余分な水分を拭き取ってから盛り付けると、味がぼやけません。
刺身だけじゃない!ホヤの旨味を味わい尽くす絶品食べ方・レシピ
新鮮なホヤは刺身が一番ですが、それだけではありません。加熱することで甘みが増したり、独特の食感が生まれたりと、別の表情を見せてくれます。「刺身だと少しクセが強いかな?」と感じた場合や、購入から1日経ってしまった場合の救済策としても役立つレシピをご紹介します。
【王道】ホヤの刺身(きゅうり・わかめ添え)
まずは基本の刺身です。三陸では、ホヤの刺身に「きゅうり」と「わかめ」を添え、二杯酢(酢と醤油を1:1)で食べるのが定番です。これを「ホヤ酢」と呼びます。
きゅうりの青い香りとシャキシャキした食感が、ホヤの磯の香りと絶妙にマッチします。わかめも同じ海の食材として相性抜群です。お好みで、おろし生姜や七味唐辛子を振ると、味が引き締まり、日本酒が止まらなくなること請け合いです。
【加熱】ホヤの塩焼き・蒸しホヤ(旨味が凝縮される食べ方)
ホヤは加熱すると、生の状態よりも甘みが強くなり、食感もプリプリとして貝柱やエビに近くなります。生食が苦手な方には、むしろ加熱調理をおすすめします。
- 蒸しホヤ:殻付きのまま、または剥き身を酒蒸しにします。何もつけずにそのままで、濃厚な旨味爆弾になります。
- ホヤの塩焼き:剥き身に軽く塩を振り、グリルやフライパンでさっと焼きます。表面が少し焦げた香ばしさと、中のジューシーさがたまりません。バター焼きにしても最高です。
【保存】余ったホヤで作る「塩辛」と「炊き込みご飯」
一度に食べきれない場合は、塩辛にするのが保存も効いて便利です。剥き身を細切りにし、重量の3〜5%程度の塩と、少量の酒で和えて冷蔵庫で寝かせます。1日経つと水分が抜けてねっとりとし、ご飯のお供に最適です。
また、ホヤを使った炊き込みご飯「ホヤ飯」も絶品です。研いだお米に、ホヤの剥き身、酒、醤油、刻み生姜を入れて炊き上げるだけ。炊飯器を開けた瞬間の磯の香りは、まさに港町の食堂の香りです。
▼詳細レシピ:仲買人の賄い飯「ホヤと大葉の天ぷら」
私が市場の食堂でよく作ってもらう、秘密の賄い飯レシピを公開します。ホヤの水分を衣で閉じ込めることで、噛んだ瞬間に熱々の旨味ジュースが溢れ出します。
【材料】(2人分)
- ホヤの剥き身:2個分
- 大葉:4〜5枚
- 天ぷら粉:適量
- 揚げ油:適量
- 塩(抹茶塩や山椒塩がおすすめ):少々
【手順】
- ホヤは一口大に切り、キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取る(油跳ね防止のため重要)。
- 大葉は半分に切る。
- ホヤを大葉で包む。
- 少し固めに溶いた天ぷら衣にくぐらせる。
- 170℃〜180℃の油で、衣がカラッとするまで揚げる(ホヤは生でも食べられるので、衣が揚がればOK)。
- 熱いうちに塩をつけていただく。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「ホヤに合わせる日本酒なら、絶対に『辛口の純米酒』がおすすめです。特に宮城県の地酒、例えば『日高見』や『浦霞』のような、キレのあるお酒と合わせると、口の中のホヤの甘みをスッと流してくれ、次の一口を誘います。フルーティーすぎる吟醸酒よりは、米の旨味がしっかりしたタイプが合いますよ」
ホヤに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、お客様からよく寄せられる質問や、購入後の「困った」を解決するためのQ&Aをまとめました。
Q. さばいている時に出てくる黒い塊は食べられますか?
A. 基本的には取り除くことをおすすめします。
身の中にある黒い塊は、ホヤの肝臓や消化器官にあたる部分です。一部のマニアの方はここも珍味として食べますが、苦味やエグみが強く、鮮度が落ちていると臭みの原因になります。初めての方や、美味しく食べたい方は、丁寧に取り除いて赤い身の部分だけを楽しむのが正解です。
Q. 購入後、冷蔵庫で何日くらい持ちますか?
A. 殻付きなら2日、剥き身なら当日〜翌日が限度です。
ホヤは鮮度劣化が非常に早い食材です。殻付きの状態であっても、冷蔵庫で保存できるのは購入日を含めて2日程度と考えてください。剥き身にした場合は、空気に触れて酸化が進むため、できるだけその日のうちに食べきってください。時間が経つにつれて、あの独特の臭みが出てきてしまいます。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「どうしても食べきれない時は、冷凍保存が可能です。ただし、殻付きのまま冷凍するのはNG。必ずさばいて内臓を取り、水気をよく拭き取ってからラップで小分けにし、冷凍用保存袋に入れて冷凍してください。解凍後は生食ではなく、加熱調理(天ぷらやアヒージョなど)に使うと美味しくいただけます」
Q. 養殖と天然で味に違いはありますか?
A. どちらも美味しいですが、肉厚さは養殖に軍配が上がることが多いです。
市場に出回っているホヤの多く(特にマボヤ)は養殖ものです。養殖といっても、自然の海にロープを垂らして育てる方法なので、食べているプランクトンは天然と同じです。養殖は管理が行き届いているため、身が大きく肉厚に育ちやすいのが特徴です。天然物は岩場に自生しており、形や大きさが不揃いですが、磯の香りがより強いと好む方もいます。スーパーで見かける立派なホヤは、多くが三陸の豊かな海で育った養殖ものですので、安心して選んでください。
ホヤの名産地と通販でお取り寄せする際の注意点
近所のスーパーに良いホヤがない場合や、旬の最高級品を食べてみたい場合は、産地直送の通販を利用するのが一番です。ここでは、産地の特徴と失敗しない通販の選び方をご紹介します。
ホヤの聖地「宮城県」の特徴と生産量
ホヤといえば、なんといっても宮城県です。全国のホヤ生産量の約8割を占めており、まさに「ホヤの聖地」です。特に石巻市、南三陸町、気仙沼市などの三陸沿岸部は、リアス式海岸の複雑な地形と、森からの栄養分が流れ込む豊かな海のおかげで、丸々と太った甘みの強いホヤが育ちます。
この地域の漁師さんたちはホヤに対する情熱が凄まじく、水揚げ後の鮮度管理も徹底されています。通販で探す際は、「宮城県産」「三陸産」と書かれているものを選べば間違いありません。
Map here|三陸ホヤの主要産地マップ
| 産地名 | 特徴 |
|---|---|
| 石巻市(雄勝・牡鹿) | 生産量トップクラス。身が厚く、甘みが強いのが特徴。 |
| 南三陸町(志津川) | 「西の明石、東の志津川」と呼ばれるタコの名産地だが、ホヤも絶品。 |
| 気仙沼市 | 唐桑半島などで良質なホヤが育つ。加工品の開発も盛ん。 |
| 岩手県(洋野町) | 「種市」などが有名。天然ホヤの水揚げも多い。 |
通販で買うなら「殻付き」か「剥き身」か?プロの推奨
通販サイトを見ると、「殻付き」と「剥き身(パック詰め)」の両方が売られていますが、仲買人としてのおすすめは、断然「殻付き」です。
理由は単純で、殻に入っている状態が一番鮮度が保たれるからです。剥き身は手軽ですが、加工から食卓に届くまでの間にどうしても風味が飛びやすくなります。今回ご紹介したさばき方を実践していただければ、殻付きでも全く難しくありません。ぜひ、殻を割った瞬間の溢れ出る香りを体験してください。
鮮度を保つための配送オプション(冷蔵・冷凍)の選び方
生食(刺身)で楽しみたいなら、必ず「冷蔵便」を選んでください。そして、到着日が消費期限だと思って、届いたその日に食べるのが鉄則です。
一方、保存用や加熱調理用として割り切るなら「冷凍便」も選択肢に入ります。最近の冷凍技術は高く、真空パックされた冷凍ホヤもかなりレベルが高いですが、やはり生の食感とは異なります。初めての感動を味わうなら、旬の時期(5月〜8月)に冷蔵便で取り寄せるのがベストアンサーです。
まとめ:新鮮なホヤはフルーツのように甘い!旬の味を楽しもう
最後までお読みいただき、ありがとうございます。「ホヤ=臭い」というイメージは払拭されましたでしょうか?
ホヤは、鮮度と扱い方さえ間違えなければ、フルーツのような甘みと海のアロマを同時に楽しめる、世界に誇るべき日本の珍味です。スーパーで「パンパンに張った」元気なホヤを見つけたら、それは海の神様からの贈り物です。ぜひ迷わずカゴに入れ、今夜の晩酌の主役に抜擢してください。
三陸の水産仲買人のアドバイス
「初めてホヤを自分でさばいて食べた時、『今まで食べていたのは何だったんだ!』と感動するはずです。その感動こそが、私たちが毎日海で戦っている理由です。失敗を恐れず、ぜひ一度、本物のホヤの味に挑戦してみてください。あなたの食の世界が、また一つ広がりますよ」
最後に、ホヤを楽しむためのチェックリストをおさらいしておきましょう。
- 選ぶ時:殻に張りがあり、色が鮮やかで、ずっしり重いものを選ぶ。
- さばく時:絶対に真水で洗わない。「ホヤ水」を捨てずに活用する。
- 食べる時:まずは刺身で。余ったら天ぷらや塩焼きで旨味を凝縮させる。
- 時期:5月〜8月の旬を逃さない。
今日からあなたもホヤの目利き名人です。三陸の海の恵みを、心ゆくまで堪能してください。
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