公的な書類を作成する際、多くの人が一度はペンを止めてしまう項目、それが「続柄(つづきがら)」です。日常生活では「夫」「妻」「子供」と呼んでいても、いざ書類に記入しようとすると、「長男と書くべきか、子と書くべきか?」「世帯主から見た関係とはどういうことか?」と迷ってしまうことは珍しくありません。
結論から申し上げますと、続柄の書き方は、提出する書類(住民票・履歴書・税務書類)によって明確にルールが異なります。たとえば、住民票では「子」と書くのが正解ですが、履歴書では「長男」と書くのがマナーとされるケースがあります。これらを混同して誤った記載をしてしまうと、役所の窓口で訂正を求められたり、就職活動での書類不備につながったりするリスクがあります。それぞれのルールを正しく理解し、適切に使い分けることが、スムーズな手続きへの第一歩です。
この記事では、行政手続きと労務管理の現場で15年以上の経験を持つ専門家が、以下の3点を中心に徹底解説します。
- 【早見表】自分から見た相手の続柄の書き方が一目でわかる一覧
- 住民票は「子」、履歴書は「長男」など、書類ごとの使い分けルール
- 同棲・事実婚・離婚後など、迷いやすい特殊なケースの正解
この記事を読み終える頃には、手元の書類に自信を持って正しい続柄を記入できるようになっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも「続柄」とは?読み方と基本的な考え方
書類作成の基本となる「続柄」という言葉ですが、その定義や本質的な意味を正しく理解している人は意外と少ないものです。ここでは、具体的な書き方に入る前に、言葉の正しい読み方や定義、そしてなぜ書類によって書き分けが必要になるのかという根本的な理由について詳しく解説します。この前提知識を持っておくことで、応用的なケースにも迷わず対応できるようになります。
正しい読み方は「つづきがら」。「ぞくがら」は許容範囲?
まず最初に確認しておきたいのが、「続柄」の読み方です。多くの人が「ぞくがら」と読んでいますが、本来の正しい読み方は「つづきがら」です。「続(つづき)」と「柄(がら)」が合わさった言葉で、血縁関係や婚姻関係の「つながりの間柄」を意味しています。
しかし、言葉は時代とともに変化するものであり、現在では「ぞくがら」という読み方も広く浸透しています。辞書によっては「ぞくがら」が見出し語として掲載されていることもあり、日常会話や口頭での説明において「ぞくがら」と言っても意味は通じますし、間違いだと強く指摘されることは少なくなっています。
とはいえ、公式な場や教養が問われる場面では注意が必要です。特に就職活動の面接や、目上の方との会話、厳格な手続きの場においては、本来の読み方である「つづきがら」を使用するのが無難であり、マナーとしても適切です。言葉の使い方は、その人の教養や細部への配慮を表すものでもあるため、正しい知識として覚えておきましょう。
続柄の意味=「中心人物から見た関係性」
続柄を記入する際、最も重要なのが「誰から見た関係性なのか」という視点の固定です。続柄とは、単に対象者の肩書き(「父」や「妻」など)を書くものではなく、「中心となる人物(世帯主や本人)から見て、その対象者がどのような関係にあるか」を表すものです。
たとえば、あなたの父親について記載する場合を考えてみましょう。あなた自身が中心人物(世帯主など)であれば、続柄は「父」となります。しかし、あなたの祖父が中心人物(世帯主)である場合、あなたの父親は祖父から見て「子(または長男など)」となります。このように、同じ人物であっても、誰を起点にするかによって続柄の表記は変化するのです。
多くの記入ミスは、この「視点」がブレることで発生しています。書類の項目名に「世帯主との続柄」とあれば「世帯主から見た関係」を書き、「あなたとの続柄」とあれば「あなた(申請者)から見た関係」を書く。この原則さえ守れば、大きな間違いを防ぐことができます。
なぜ書類によって書き方が違うのか?(行政・税務・慣習の違い)
「なぜ統一してくれないのか」と不満に思う方も多いでしょう。住民票、戸籍、履歴書、税務申告書などで書き方が異なる背景には、それぞれの制度が作られた目的や歴史、管轄する省庁の違いが深く関わっています。
たとえば、住民票は総務省が管轄し、居住関係や選挙人名簿の基礎となるデータです。ここでは個人の特定と世帯構成の把握が主目的であるため、プライバシー保護の観点から簡素化が進んでいます。一方、戸籍は法務省が管轄し、親族法上の身分関係を公証するものであるため、出生順などの詳細な情報が重視されます。
また、履歴書は商慣習やビジネスマナーが色濃く反映される私的な文書であり、相手に敬意を払い、正確な情報を伝えることが求められます。税務署類は国税庁の管轄で、適正な課税と控除の判定が目的であるため、扶養関係の実態がわかれば表記の揺れには比較的寛容です。このように、それぞれの書類が持つ「目的」の違いが、書き方のルールの違いとなって現れているのです。
歴15年の社労士・行政書士のアドバイス
「実務上、『ぞくがら』と読んでも窓口で手続きが止まることはありませんが、面接などの公式な場では『つづきがら』と読むのが社会人としてのマナーです。また、書類作成で最も重要なのは『誰から見た関係か』という視点を固定することです。多くのミスは、この視点が途中で自分視点になったり世帯主視点になったりとブレることで起きています。まずは鉛筆書きで薄く『誰から見て?』とメモをしてから記入するのも、ミスを防ぐ良い方法ですよ。」
【一目でわかる】書類別・相手別「続柄」書き方早見表
ここでは、理論よりも実践を重視し、今すぐ書類を書き上げたい方のための早見表を掲載します。「自分(世帯主または本人)」を中心とした場合、相手をどう記載すべきか、主要な書類ごとにまとめました。スマホでご覧の方は、表を横にスクロールしてご確認ください。
自分(世帯主・本人)から見た家族の書き方一覧
以下の表は、左列の「対象者」を、各書類のルールに従ってどう記載するかを示しています。迷った際は、この表の通りに記入すれば間違いありません。
| 対象者(あなたから見て) | 住民票(世帯主視点) | 履歴書(本人視点) | 確定申告・年末調整 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 夫 | 夫 | 夫 |
| 妻 | 妻 | 妻 | 妻(または配偶者) |
| 子供(息子) | 子 | 長男・二男など | 子(または長男など) |
| 子供(娘) | 子 | 長女・二女など | 子(または長女など) |
| 父親 | 父 | 父 | 父 |
| 母親 | 母 | 母 | 母 |
| 祖父 | 祖父 | 祖父 | 祖父 |
| 祖母 | 祖母 | 祖母 | 祖母 |
| 孫 | 子の子 | 孫 | 孫 |
| 兄・弟 | 兄・弟 | 兄・弟 | 兄弟 |
| 姉・妹 | 姉・妹 | 姉・妹 | 姉妹 |
| 同棲相手(未婚) | 妻(未届)または 同居人 | 婚約者(必要な場合のみ) | -(扶養に入れない場合) |
※住民票における「子」の表記については、後述のセクションで詳しく解説しますが、出生順(長男・二男)を区別しないのが現在の標準ルールです。
「あなたとの続柄」と「世帯主との続柄」の違い
書類作成で最も混乱を招くのが、「あなたとの続柄」と「世帯主との続柄」の違いです。これは視点の置き場所(カメラの位置)が違うと考えるとわかりやすくなります。
1. 世帯主との続柄(住民票など)
カメラの位置は「世帯主」にあります。世帯主が父親の場合、その子供であるあなたは「子」、あなたの配偶者は「子(世帯主)の妻」ではなく、世帯主から見て「子の妻」となります。世帯主を中心に家系図を描き、そこから伸びる線を辿って名称を決定します。
2. あなたとの続柄(年末調整の扶養控除申告書など)
カメラの位置は「あなた(書類の提出者)」にあります。あなたが世帯主でなくても関係ありません。あなたから見て配偶者は「妻(または夫)」、あなたの親は「父」「母」となります。自分が中心にいるため、直感的に書きやすいのが特徴です。
重要なのは、書類の記入欄の上部や注釈に書かれている「誰との」という文言を見落とさないことです。ここを確認せずに書き始めると、すべて書き直しになるリスクがあります。
【住民票・公的証明書】の続柄の書き方ルール
住民票や住民票記載事項証明書などの行政書類は、最もルールが厳格であり、かつ近年大きな変更があった分野でもあります。ここでは、役所の窓口でスムーズに受理されるための正しい書き方を解説します。
原則は「世帯主」から見た関係を書く
住民票における続柄の基本原則は、徹底して「世帯主から見た関係」を記載することです。たとえあなたがその家の実質的な大黒柱であったとしても、住民票上の世帯主が父親になっているのであれば、すべての家族の続柄は父親(世帯主)を基準に決定されます。
よくある間違いとして、世帯主である父親の住民票を取得する申請書に、申請者(子)の視点で「父」と書いてしまうケースがあります。しかし、住民票の中に記載される続柄はあくまで世帯主(この場合は本人)から見た関係なので、世帯主本人の欄には「世帯主」、その妻の欄には「妻」と記載されます。申請書を書く際と、住民票そのものの記載内容を混同しないよう注意が必要です。
「長男・二男」ではなく「子」に統一された理由と注意点
かつて、住民票の続柄欄には「長男」「二男」「長女」といった出生順ごとの記載がなされていました。しかし、平成7年(1995年)の住民基本台帳事務処理要領の改正により、現在はすべて「子」と統一して記載することになっています。
この変更の背景には、プライバシー保護の観点や、出生順による差別的な扱いをなくそうという社会的な動きがあります。また、再婚家庭などで複雑な家族構成の場合、「長男」といった表記が実態とそぐわなかったり、子供の心理的負担になったりすることを防ぐ目的もあります。
したがって、現在の手続きにおいて住民票関係の書類を作成する際は、意図的に「長男」と書く必要はありません。むしろ、古い慣習で「長男」と書いてしまうと、役所の担当者から「現在は『子』で統一していますので訂正をお願いします」と言われる可能性があります。シンプルに「子」と書くのが、現在の行政手続きにおける正解です。
祖父母・孫・兄弟姉妹の住民票上の表記(父、母、祖父、祖母など)
世帯主から見たその他の親族の書き方も確認しておきましょう。
- 父母:世帯主の親は「父」「母」と記載します。義理の親(配偶者の親)の場合は、「妻の父」「夫の母」などと具体的に書くのが原則ですが、同居の義父母を扶養に入れている場合など、単に「父」「母」等の記載が許容されるケースもあります(自治体により運用が異なる場合がありますが、基本は具体的関係性を記載)。
- 祖父母:「祖父」「祖母」と記載します。
- 孫:「子の子」と記載するのが正式です。「孫」という記載も通じますが、住民記録システム上は「子の子」として登録されることが一般的です。
- 兄弟姉妹:「兄」「弟」「姉」「妹」と具体的に記載します。ここでも「子」のように「兄弟」と統一はされていません。
住民票記載事項証明書の書き方ポイント
就職や引越しの際に求められることの多い「住民票記載事項証明書」ですが、これは「住民票に書かれている内容のうち、証明が必要な項目だけを抜粋したもの」です。会社指定の用紙に自分で記入し、役所で認証印をもらう形式が一般的です。
この書類を書く際も、ルールは住民票と同じです。会社に提出するからといって履歴書のように「長男」と書くのではなく、住民票のデータと完全に一致させるために「子」と書く必要があります。ここで表記が異なると、役所は「住民票の記載と異なるため証明できない」と判断し、訂正を求めてきます。住民票記載事項証明書は、あくまで「住民票の写し」であることを意識してください。
歴15年の社労士・行政書士のアドバイス:よくある失敗
「平成7年の法改正以降、住民票では出生順(長男・長女など)を区別せず、すべて『子』と記載するのが正解です。古い慣習や履歴書の感覚でつい『長男』と書いてしまい、役所窓口で二重線による訂正を求められるケースが非常に多いので注意しましょう。訂正印だらけの書類にならないよう、最初から『子』と書くことを強くおすすめします。」
【履歴書・身上書】の続柄の書き方ルール
就職・転職活動で使用する履歴書や身上書は、行政書類とは異なり、日本の伝統的な戸籍制度に基づいた表記が求められる傾向にあります。ここでは、採用担当者に好印象を与えるための、マナーとしての書き方を解説します。
原則は「本人(応募者)」から見た関係を書く
履歴書における続柄欄は、基本的に「本人(応募者)」から見た関係を記載します。履歴書はあなた自身の情報を伝えるための書類ですので、視点は常に「あなた」にあります。
家族欄や緊急連絡先欄に記入する際、父親なら「父」、母親なら「母」、配偶者なら「夫」または「妻」と記入します。ここで誤って世帯主(例えば父親)視点で書いてしまい、自分の母親を「妻」と書いてしまうようなミスは絶対に避けなければなりません。これは笑い話のようですが、緊張していると意外に起こりやすいミスの一つです。
家族欄・緊急連絡先には「長男・長女」など詳細区分を書く
住民票では「子」に統一されましたが、履歴書においては依然として「長男」「二男」「長女」「二女」といった詳細な区分を記載するのが一般的であり、正しいマナーとされています。
これは、履歴書が戸籍の情報を元に本人確認を行う側面を持っていた時代の名残でもありますが、現在でも家族構成を正確に伝えるために区別して書くことが推奨されています。「子」と書いても間違いではありませんが、丁寧さに欠けると判断される場合や、面接で「ご兄弟はいらっしゃいますか?」と余計な確認の手間を取らせてしまう可能性があります。
なお、「次男」か「二男」かという点については、戸籍上の正式表記は「二男」ですが、履歴書などの一般書類では「次男」と書いても問題ありません。こだわりがなければ、戸籍通り「二男」とするのが最も格式高い書き方と言えます。
配偶者の呼び方(妻・夫・配偶者どれが適切?)
配偶者の記載についても迷うポイントです。履歴書の家族欄などでは、以下の使い分けが一般的です。
- 男性から見た女性パートナー:「妻」と書くのが一般的です。「家内」や「嫁」は口語表現なので書類には適しません。「配偶者」と書くことも可能ですが、少し事務的な印象になります。
- 女性から見た男性パートナー:「夫」と書くのが一般的です。「主人」や「旦那」も同様に口語表現なので避けましょう。
履歴書のフォーマットによっては「配偶者」の有無をチェックする欄(あり・なし)が設けられていることがあります。その場合は指示に従ってチェックを入れれば問題ありません。
一人暮らしの場合の世帯主欄の書き方
実家を離れて一人暮らしをしている場合、住民票を移していれば、あなた自身が「世帯主」となります。履歴書に「世帯主」の氏名と「続柄」を書く欄がある場合、以下のように記入します。
- 世帯主氏名:あなたの氏名
- 続柄:本人
ここで「世帯主」と書いてしまう人がいますが、続柄欄は「あなたから見た関係」を書く場所なので、あなた自身が世帯主であれば「本人」と書くのが適切です。もし住民票を実家に残したままであれば、世帯主は実家の父親(など)になり、続柄は「父」(または長男など、欄の趣旨によるが通常は本人から見た関係で父)となりますが、現住所と住民票住所が異なると通勤手当の手続き等で混乱を招くため、実態に合わせて住民票を移しておくことが推奨されます。
キャリアカウンセラーのアドバイス:採用担当者の視点
「履歴書は公的書類であると同時に、あなたのビジネスマナーをアピールするプレゼンテーションツールでもあります。『長男』『二男』と正確に書き分けることで、細部まで注意を払える丁寧な人物だという印象を与えることができます。また、同居・別居の区分もしっかり確認しておきましょう。企業は緊急時の連絡体制や、家族手当の計算のためにこの欄を見ています。」
【年末調整・確定申告・源泉徴収】の続柄の書き方ルール
毎年やってくる年末調整や確定申告。税務署類は記入項目が細かく、アレルギー反応を示す方も多いかもしれません。しかし、税務上の続柄記載は、実は行政書類ほど厳格ではありません。
申告書A・Bにおける「世帯主との続柄」
確定申告書A(現在は廃止され統合されましたが、様式としての名残)やB、現在の確定申告書第一表には、「世帯主の氏名」と「世帯主との続柄」を書く欄があります。
ここは「申告する人(あなた)」が「世帯主」から見てどういう関係かを書きます。
- あなたが世帯主の場合:「本人」
- 世帯主があなたの父の場合:「子」
- 世帯主があなたの夫の場合:「妻」
住民票のルールと似ていますが、あなたが世帯主である場合に「世帯主」と書くのではなく「本人」と書く点がポイントです。これは、申告書があくまで「あなた」の書類だからです。
扶養控除等申告書における「あなたとの続柄」
年末調整で会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。この書類の中にある、控除対象配偶者や扶養親族の欄には「あなたとの続柄」を書きます。
ここは文字通り「あなたから見た関係」を書きます。「妻」「子」「父」「母」などでOKです。ここでも「長男」「二男」と書き分ける必要性は薄く、税務上はすべて「子」として扱われます。もちろん「長男」と書いても間違いではなく、そのまま受理されます。
マイナンバー記載時の注意点
現在、税務関係の書類にはマイナンバー(個人番号)の記載が必須となっています。マイナンバーは住民票コードを基礎に生成されているため、記載内容(氏名・住所・生年月日・性別・続柄)が住民票の情報と整合していることが理想です。
そのため、迷った場合は住民票の記載に合わせて「子」と書くのが最も無難で確実な方法です。しかし、前述の通り税務署は「扶養の事実」を確認することが主目的ですので、履歴書流に「長男」と書いてしまっても、それだけで不備として返却されることはまずありません。
税理士事務所勤務経験者のアドバイス:実務上の許容範囲
「税務署類の場合、厳密な『子』と『長男』の区別よりも、その親族が所得要件(103万円の壁など)を満たしており、正しく扶養親族としてカウントできるかどうかが重視されます。書き方で迷ったら、住民票通りに『子』と書くのが無難ですが、癖で『長男』と書いてしまっても税務上は問題なく受理されることがほとんどです。神経質になりすぎず、所得金額の記載ミスのほうに注意を払いましょう。」
【社会保険・健康保険】被扶養者届の書き方
入社時や、結婚・出産で家族が増えたときに提出する「健康保険 被扶養者(異動)届」。これは会社を経由して年金事務所や健康保険組合に提出される書類です。
被保険者(社員)から見た関係を記載する
この書類の主役は「被保険者(社員であるあなた)」です。したがって、続柄は「あなたから見た関係」を記載します。
配偶者を扶養に入れるなら「妻」または「夫」、子供なら「子」と書きます。ここでも住民票ルールが適用されることが多く、健康保険組合によっては「長男」ではなく「子」と書くよう案内している場合もあります。指定がない場合はどちらでも通りますが、「子」としておくのが今のスタンダードです。
続柄コードが必要な場合の調べ方
電子申請化が進んでいる大企業などでは、続柄を文字ではなく「コード(数字)」で記入または入力するよう求められることがあります。日本年金機構の仕様では、以下のようなコードが割り当てられています。
- 配偶者:記載なし(続柄コードの枠がない、または専用欄がある)
- 子:01
- 父:03
- 母:04
- 弟妹:06
- 兄姉:05
※コードは様式やシステムによって異なる場合があるため、必ず会社から配布される記入要領やマニュアルを確認してください。「01」だと思って記入したら、その組合独自のコードでは違っていた、ということもあり得ます。
収入要件と続柄の関係確認
社会保険の扶養手続きでは、続柄の記載以上に「扶養の範囲」に含まれる続柄かどうかが重要になります。
▼詳細解説:社会保険の扶養に入れる親族の範囲
社会保険(健康保険)の扶養に入れる親族には範囲があります。
- 同居・別居を問わない:配偶者、子、孫、弟妹、兄姉、父母、祖父母など(直系血族および兄弟姉妹)
- 同居が必須条件:上記以外の3親等内の親族(叔父、叔母、甥、姪など)、内縁関係の配偶者の父母・子など
「続柄」欄に正しい名称を書くだけでなく、同居要件を満たしているかどうかも併せて確認が必要です。
Chart here|社会保険手続きフロー
(ここではテキストでフローを表現します)
- STEP 1 ライフイベント発生:結婚、出産、同居開始など
- STEP 2 書類の準備:被扶養者(異動)届を入手
- STEP 3 続柄の確認:被保険者(自分)から見た関係を記入(例:子、妻)
- STEP 4 添付書類の確認:続柄を証明する戸籍謄本や、収入証明書が必要か確認
- STEP 5 会社へ提出:総務・人事担当者へ渡す
【特殊なケース】同棲・事実婚・離婚・養子の書き方
ここまでは一般的な家族構成について解説してきましたが、現代の家族の形は多様です。同棲、事実婚、離婚、再婚など、判断に迷う特殊なケースについて、専門的な視点から正解を解説します。
同棲中のパートナー(見届の妻・夫/同居人/縁故者)
結婚していない同棲相手(恋人)と一緒に住むために住民票を移す場合、続柄はどうなるのでしょうか。
- 単なる同棲(将来の結婚を前提としない、または準備段階):
世帯主から見て「同居人」と記載するのが一般的です。「彼氏」「彼女」「婚約者」といった情緒的な表現は住民票には使用できません。 - 事実婚(内縁関係)として公に認められたい場合:
世帯主から見て「妻(未届)」または「夫(未届)」と記載します。これにより、法律上の結婚はしていなくても、社会保険の扶養に入れたり、事実婚としての権利を一部主張したりする際の証明となります。
婚約者の扱いと書き方
婚約中であっても、入籍前であれば法的には「他人」です。したがって、住民票上は「同居人」となります。履歴書の家族欄に書く必要はありませんが、結婚に伴う転居で就職活動をしている場合などは、備考欄や面接で「婚約者と同居予定」と伝えると事情が伝わりやすくなります。
離婚後の子供や、連れ子がいる場合の書き方
離婚して、子供の親権をあなたが持ち、一緒に暮らしている場合、当然続柄は「子」となります。
複雑なのは再婚時の「連れ子」の扱いです。
あなたが再婚し、新しい配偶者の家に、あなたの連れ子と一緒に引っ越したとします。新しい配偶者が世帯主の場合、あなたの連れ子は世帯主と養子縁組をしていなければ、法的な親子関係はありません。
この場合、住民票上の続柄は「妻の子」または「夫の子」となります。養子縁組をした場合は、実子と同じく「子」となります。
養子縁組をしている場合の記載(養子・養親)
法的に養子縁組をしている場合、住民票や戸籍上の扱いは実子と同等になります。したがって、住民票の続柄欄には、わざわざ「養子」と書く必要はなく、単に「子」と記載します。
ただし、戸籍謄本には「養子」と明確に記載されます。履歴書においては、通常は「長男」「長女」などの記載で構いませんが、厳密な記述が必要な身上書などでは「養子」と書くケースもあります。一般的な就職活動や行政手続きでは「子」で統一して問題ありません。
叔父・叔母・甥・姪などの傍系親族の書き方
同居している叔父や甥などを扶養に入れる場合などの書き方です。
- 叔父・叔母(父母の兄弟姉妹):そのまま「叔父」「叔母」と記載します。
- 甥・姪(兄弟姉妹の子):「甥」「姪」と記載します。
住民票では「子の子」のように「父の兄」「姉の子」といった記述的な書き方も許容されますが、一般的には親族名称を用います。
▼詳細解説:事実婚(内縁関係)の住民票記載について
住民票において事実婚関係を証明したい場合、「夫(未届)」または「妻(未届)」と記載することが可能です。これを記載するためには、双方が独身であること(重婚でないこと)を確認するため、戸籍謄本の提示を求められることがあります。
単なる「同居人」として届け出てしまうと、後から「実は事実婚でした」と社会保険の扶養申請をする際に、「住民票上は他人(同居人)になっていますが、本当に内縁関係ですか?」と疑義を持たれ、追加の証明書類(民生委員の証明など)が必要になるなど、手続きが非常に煩雑になります。事実婚として生活する覚悟がある場合は、最初から「未届の妻/夫」として届け出ることを強く推奨します。
歴15年の社労士・行政書士のアドバイス:事実婚の注意点
「事実婚のパートナーを社会保険の扶養に入れる場合、住民票の続柄が『同居人』ではなく『妻(未届)』となっていることが、関係性を証明する最も強力な公的証拠になります。将来的な手続きや、万が一の際の遺族年金等の請求(要件は厳しいですが)を見据えて、住民票の届出時から正しく記載することをお勧めします。恥ずかしがらずに窓口で『事実婚としての記載をお願いします』と伝えましょう。」
よくある質問(FAQ)
最後に、続柄の書き方に関してよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。提出直前の最終確認としてご活用ください。
Q. 「私」や「本人」と書くのはどんな時ですか?
A. 続柄を書く欄が、その書類の対象者(あなた自身)の行にある場合です。
例えば、確定申告書の「世帯主との続柄」欄で、あなたが世帯主である場合は「本人」と書きます。また、履歴書の家族欄に自分の名前を書くことは通常ありませんが、もし世帯全員を記載するタイプの書類であれば、自分の欄には「本人」と記載します。「私」と書くことは公的書類では一般的ではありません。
Q. 続柄欄が空欄の場合はどうすればいいですか?
A. 基本的に公的書類に空欄は好ましくありません。該当する関係がない場合(例:配偶者欄があるが独身の場合)は、「なし」と記入するか、斜線を引いて「記載なし」の意思表示をするのがマナーです。ただし、マークシート形式や特定の指示がある場合はそれに従ってください。
Q. 間違えて記入してしまった場合の訂正方法は?
A. 修正液や修正テープの使用は、公的書類や履歴書では一切NGです。
間違えた箇所を定規を使って二重線で消し、その上または近くに訂正印(届出に使用した印鑑と同じもの)を押し、正しい内容を近くの余白に記載します。
履歴書の場合は、訂正印だらけの書類は印象が悪くなるため、手間でも新しい用紙に書き直すことを強くおすすめします。
行政手続きの専門家のアドバイス:訂正印のルール
「公的書類の訂正に修正テープは絶対に使ってはいけません。改ざんを疑われ、受理されなくなります。間違えた箇所を二重線で消し、その線にかかるように訂正印を押し、正しい文字をその上に見やすく書くのが正式な作法です。これができないスペースであれば、あきらめて書き直しましょう。」
まとめ:提出先によって続柄を正しく書き分けよう
続柄の書き方は、一見複雑に見えますが、「誰から見た関係か」という視点と、「提出先が何を求めているか」という目的さえ理解すれば、決して難しくありません。
- 住民票・行政書類:「世帯主」視点で、「子」に統一。
- 履歴書・身上書:「本人」視点で、「長男・長女」など丁寧に。
- 税務・社会保険:実態重視だが、基本は住民票準拠でOK。
最後に、書類を提出する前のチェックリストを用意しました。これを確認して、自信を持って書類を提出してください。
提出前チェックリスト
- 誰から見た関係か(世帯主視点 vs 本人視点)を再確認しましたか?
- 住民票関係の書類では、「長男・長女」ではなく「子」と書きましたか?
- 履歴書では、戸籍通り正確に(長男・二男など)書きましたか?
- 事実婚や同棲の場合、目的に合わせて「未届の妻」や「同居人」を使い分けましたか?
- 誤字を修正テープで消していませんか?(訂正印または書き直し)
たかが続柄、されど続柄。この小さな欄を正しく埋めることは、あなたの社会人としての信頼性を証明することにもつながります。ぜひ今日から、迷いのない書類作成を実践してみてください。
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