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【専門家監修】70歳になったらやることは?医療費・免許・年金の手続き完全ガイド

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70歳という年齢は、古くは「古希(こき)」として長寿を祝うめでたい節目でしたが、現代においては「社会制度の大きな転換点」としての意味合いが非常に強くなっています。医療費の自己負担割合が変更となり、運転免許の更新には特別な講習が義務付けられ、年金や働き方のルールも変わります。

「役所からのお知らせは難しくて読む気になれない」「いつまでに何をすればいいのかわからない」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、手続きのタイミングを逃したり、制度を誤解したまま過ごしたりすると、本来払わなくて済む医療費を支払うことになったり、年金が一部カットされてしまったりと、金銭的な損失につながる可能性があります。

この記事では、シニアライフ専門の社会保険労務士である筆者が、70歳を迎える方が直面する「お金・手続き・生活」のすべてを網羅的に解説します。

この記事でわかること

  • 医療費が「2割負担」になる正確な時期と、新しい保険証(高齢受給者証)の受け取り方
  • 70歳からの免許更新で必須となる「高齢者講習」の具体的な内容と、予約困難時の対策
  • 働きながら年金をもらう際の注意点や、古希祝いのマナー、健康寿命を延ばす秘訣

これさえ読めば、70歳の手続きに関する疑問がすべて解消され、安心して新しい年代をスタートできるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

  1. 70歳を迎える前に確認!主な制度変更と「やること」一覧
    1. 【一覧表】70歳で変わるお金・手続き・イベント
    2. 特に注意が必要なのは「医療費」と「運転免許」
  2. 【医療費】70歳から原則2割負担へ!負担割合と「高齢受給者証」
    1. 自己負担割合はいつから変わる?「誕生月の翌月」ルール
    2. 「高齢受給者証」とは?届く時期と使い方
    3. 「現役並み所得者」の判定基準と3割負担になるケース
    4. 高額療養費制度の上限額も変更に
  3. 【運転免許】70歳からの更新は「高齢者講習」が必須に
    1. 通常の更新と何が違う?70歳以上の更新フロー
    2. 高齢者講習の内容と所要時間・手数料
    3. 【要注意】講習の予約が取れない?早めの行動がカギ
  4. 【年金・仕事】70歳以降の働き方と年金の受け取り方
    1. 厚生年金の加入資格は70歳で喪失する
    2. 働きながら年金をもらう「在職老齢年金」の注意点
    3. 70歳まで繰り下げ受給をした場合の増額効果
  5. 【お祝い】古希(70歳)祝いのマナーとおすすめの過ごし方
    1. 古希(こき)の意味とテーマカラー「紫」
    2. お祝いのタイミングは満年齢?数え年?
    3. 70歳に喜ばれるプレゼントと相場・メッセージ文例
  6. 【健康・生活】「70歳の壁」を乗り越え健康寿命を延ばすコツ
    1. 意図的に「外出」と「会話」を増やす
    2. 食事は「粗食」より「タンパク質」を意識する
    3. 資産寿命を延ばすためのお金の管理
  7. 70歳に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q. 70歳になったらマイナンバーカードの保険証はどうなる?
    2. Q. 介護保険サービスは70歳からでも利用できる?
    3. Q. 70歳から入れる医療保険はある?
  8. まとめ:手続きを確実に済ませて、安心で楽しい70代を

70歳を迎える前に確認!主な制度変更と「やること」一覧

70歳になると、これまで「65歳以上」という枠組みで一括りにされていた制度が、「70歳から74歳まで(前期高齢者)」という新たな区分に変更されます。これにより、医療、介護、移動手段、そして年金受給において、具体的な手続きや意識の切り替えが必要となります。

多くの人が「誕生日が来たら自動的に変わる」と考えがちですが、実際には「誕生月の翌月から適用」されるものや、「誕生日の半年前から準備が必要」なものなど、タイミングはバラバラです。まずは全体像を把握するために、主要なライフイベントと制度変更を一覧表で確認しましょう。

【一覧表】70歳で変わるお金・手続き・イベント

以下の表は、70歳を迎える前後で発生する主なイベントと、それに伴う手続きの要否、注意点をまとめたものです。ご自身の誕生日と照らし合わせながら、スケジュールの目安としてご活用ください。

カテゴリ 項目・イベント 時期・タイミング 主な内容・変更点 手続きの要否
医療・介護 医療費自己負担割合の変更 誕生月の翌月1日から
(1日生まれは当月から)
原則3割 → 2割負担
(現役並み所得者は3割維持)
不要
(高齢受給者証が自動送付)
高額療養費の上限額変更 負担割合変更と同時 自己負担限度額が引き下げられるケースが多い 不要
(自動適用)
運転免許 高齢者講習の受講 更新期間満了日の
6ヶ月前から受講可能
座学・適性検査・実車指導。
受講しないと免許更新不可。
必要
(要予約・自動車教習所等へ)
年金・仕事 厚生年金保険の資格喪失 70歳の誕生日前日 給与からの保険料天引き終了。
在職老齢年金の支給停止調整は継続。
会社経由で実施
(個人での届出は原則不要)
年金繰り下げ受給の検討 65歳〜75歳の間 70歳まで繰り下げると42%増額。
受給開始の手続きが必要。
必要
(年金事務所へ請求書提出)
お祝い 古希(こき)祝い 満70歳の誕生日
(または数え年70歳)
テーマカラーは「紫」。
家族での食事会や旅行など。
企画・予約
(家族や本人が実施)

このように、70歳は単なる通過点ではなく、行政手続きや家計管理において非常に重要な「切り替えポイント」です。特に、自動的に切り替わるものと、自ら動かなければならないもの(免許更新や年金請求など)が混在している点に注意が必要です。

特に注意が必要なのは「医療費」と「運転免許」

上記の一覧の中で、生活への影響度と手続きの煩雑さから、特に優先順位が高いのが「医療費負担割合の変更」「運転免許の高齢者講習」です。

医療費については、多くの人が「安くなる」というメリットを享受できますが、切り替えのタイミングを誤解していると、病院の窓口で一時的に多く支払うことになったり、あるいは古い保険証を使い続けて後から差額を請求されたりするトラブルが散見されます。

一方、運転免許の更新は、これまでのような「更新センターに行って視力検査をして終わり」という単純なものではなくなります。事前に教習所へ予約を入れ、数時間の講習を受け、その修了証明書を持って更新手続きに行くという、2段階のステップが必要になります。近年、高齢者講習の予約が取りづらい状況が続いており、早めの行動が求められます。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「70歳の手続きで最も大切なのは『スケジューリング』です。特に運転免許証の有効期限が70歳の誕生日の前後にある方は要注意です。更新ハガキが届くのを待っていると、希望の日時で講習の予約が取れず、焦ってしまうケースが後を絶ちません。誕生日の約5ヶ月前には、一度ご自身の免許証の有効期限を確認し、手帳やカレンダーに『講習予約』の予定を書き込んでおくことを強くおすすめします。余裕を持った準備が、安心な70代のスタートラインとなります。」

【医療費】70歳から原則2割負担へ!負担割合と「高齢受給者証」

70歳を迎える多くの方にとって、最大の関心事は「医療費が安くなる」という点でしょう。日本の公的医療保険制度では、年齢に応じて窓口での自己負担割合が変動します。6歳(義務教育就学後)から69歳までは原則「3割負担」ですが、70歳から74歳までは原則「2割負担」へと軽減されます。

しかし、この「2割負担」への移行には、正確な適用開始日や所得による例外規定など、複雑なルールが存在します。ここでは、YMYL(Your Money or Your Life)の核心部分である医療費制度について、誤解しやすいポイントを詳しく解説します。

自己負担割合はいつから変わる?「誕生月の翌月」ルール

「70歳の誕生日を迎えたその日から、医療費が2割になる」と思っている方が非常に多いのですが、これは正確ではありません。法律上の適用開始日は以下のルールで定められています。

  • 原則:70歳の誕生月の「翌月1日」から変更
  • 例外:誕生日が「1日(ついたち)」の方は、その「誕生月」から変更

例えば、4月15日生まれの方の場合、4月中はまだ69歳としての扱い(3割負担)が続き、5月1日の受診分から2割負担が適用されます。一方で、4月1日生まれの方の場合、4月1日からすぐに2割負担となります。

この「翌月ルール」を知らずに、誕生日の直後に病院へ行き、「まだ3割のままです」と窓口で言われて戸惑うケースがよくあります。切り替えのタイミングまでは、従来の保険証を使用し、3割の自己負担を支払う必要があります。

「高齢受給者証」とは?届く時期と使い方

70歳になると、これまで使っていた健康保険証に加えて、新たに「高齢受給者証」というカード(または紙の証書)が交付されます。これは、医療機関の窓口で「私は2割負担(または3割負担)です」という負担割合を証明するための重要な書類です。

受け取り方法と時期

  • 申請手続き: 原則として不要です。加入している健康保険組合(国民健康保険、協会けんぽ、共済組合など)から、登録住所へ自動的に郵送されます。
  • 届く時期: 負担割合が変更となる月の前月末まで、あるいは適用開始月の初旬までに届きます。例えば、4月15日生まれの方は5月から適用となるため、4月下旬頃に届くのが一般的です。

医療機関での使い方

70歳から74歳までの間は、病院や薬局の窓口で「健康保険証」と「高齢受給者証」の2枚をセットで提示する必要があります。高齢受給者証を忘れてしまうと、負担割合の確認ができないため、一時的に3割負担を請求される可能性があります。

※近年では、マイナンバーカードを健康保険証として利用する場合(マイナ保険証)、カードリーダーで負担割合情報が自動的に読み取られるため、高齢受給者証の持参が不要になるケースが増えています。ただし、システムトラブル等に備え、念のため持ち歩くことを推奨します。

詳細:高齢受給者証で確認すべき記載項目

お手元に高齢受給者証が届いたら、以下の項目に間違いがないか必ず確認してください。

  • 氏名・生年月日: 本人のものであるか。
  • 発効期日: 「誕生月の翌月1日(1日生まれは誕生月1日)」になっているか。
  • 一部負担金の割合: 「2割」または「3割」と記載されています。ご自身の認識と一致しているか確認しましょう。
  • 有効期限: 通常は毎年7月末までとなっており、8月に新しい証書が送られてくるサイクルが一般的です(75歳到達時は誕生日前日まで)。

「現役並み所得者」の判定基準と3割負担になるケース

70歳になれば誰でも自動的に2割負担になるわけではありません。現役世代と同等の所得がある方は、支払い能力があるとみなされ、70歳以降も引き続き「3割負担」となります。これを「現役並み所得者」と呼びます。

では、どのくらいの収入があると「現役並み」と判定されるのでしょうか。判定は主に「住民税の課税所得」と「年収」の2段階で行われます。

判定の目安(年収ベース)

  • 単身世帯の場合: 年収 約383万円以上
  • 夫婦2人世帯の場合: 2人の年収合計 約520万円以上

これはあくまで目安であり、正確には「住民税課税所得が145万円以上」かつ「収入額が基準額以上」の場合に3割負担となります。判定は毎年行われるため、所得が変動すれば、今年は3割でも来年は2割になる(あるいはその逆)ということも起こり得ます。

詳細:現役並み所得者の判定フローチャート解説

負担割合の判定は以下の手順で自動的に行われます。

  1. 住民税課税所得の確認: 同一世帯の70歳〜74歳の被保険者の中に、住民税課税所得が145万円以上の人がいるか?
    • いない → 2割負担
    • いる → 次のステップへ
  2. 収入額による基準収入額適用の申請(または自動判定):
    • 単身世帯で年収383万円未満 → 申請により2割負担
    • 複数世帯(70歳以上)で年収合計520万円未満 → 申請により2割負担
    • 上記基準を超える → 3割負担(現役並み所得者)

※「年収」とは、必要経費や控除を差し引く前の総収入金額(年金収入+給与収入など)を指します。

高額療養費制度の上限額も変更に

医療費の負担割合変更と合わせて確認しておきたいのが、「高額療養費制度」の自己負担限度額の変更です。高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の上限額を超えた分が払い戻される制度です。

70歳以上になると、この上限額の設定が70歳未満よりも細分化され、一般所得者や低所得者にとっては、より低い上限額が設定されるため、入院や手術などで医療費が高額になった際の負担が軽減されやすくなります。

例えば、一般的な所得区分(年収約156万円〜約370万円)の方の場合、外来(通院)だけの月であれば上限は18,000円(年間上限14万4,000円)、入院を含めた世帯全体の上限は57,600円となります(※令和6年現在の基準)。これにより、慢性疾患で毎月通院している方などは、経済的な恩恵を感じやすくなるでしょう。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「もし、窓口で誤って3割負担で請求されてしまった場合でも、慌てる必要はありません。後日、加入している健康保険組合や自治体の窓口で『償還払い(払い戻し)』の手続きを行えば、2割負担との差額は返金されます。ただし、領収書が必ず必要になりますので、70歳の誕生日前後の医療費領収書は、絶対に捨てずに保管しておくようにしてください。また、高額療養費の申請も時効は2年ですので、気づいた時点で早めに手続きを行いましょう。」

【運転免許】70歳からの更新は「高齢者講習」が必須に

地方にお住まいの方や、日常的に車を利用する方にとって、70歳からの運転免許更新は非常に大きなハードルとなります。これまでのような簡単な手続きでは済まされず、法律で定められた「高齢者講習」を受講しなければ、免許の更新自体が認められません。

ここでは、手続きの流れや講習内容、そして多くのシニアドライバーが直面する「予約問題」について解説します。

通常の更新と何が違う?70歳以上の更新フロー

70歳以上の免許更新における最大の違いは、「更新手続きの前に講習を受けなければならない」という点です。通常の更新では、免許センターに行ってその場で講習を受けますが、70歳以上は事前に指定された自動車教習所などで講習を済ませておく必要があります。

更新のタイムライン

  1. 更新期間満了日の約6ヶ月前: 公安委員会から「高齢者講習のお知らせ」ハガキが届く。
  2. 予約: ハガキに記載された教習所へ電話やネットで予約を入れる。
  3. 受講: 予約した日時に教習所で「高齢者講習」を受ける。終了後に「講習終了証明書」を受け取る。
  4. 更新手続き: 誕生日の前後1ヶ月の間に、免許センターや警察署へ行き、講習終了証明書を提出して視力検査などを受け、新しい免許証の交付を受ける。

つまり、これまでは誕生日の前後1ヶ月に行けばよかったものが、半年前から動き出さなければならない長期戦に変わるのです。

高齢者講習の内容と所要時間・手数料

「試験に落ちたら免許を取り上げられるのではないか」と不安に思う方もいらっしゃいますが、70歳から74歳の方が受ける「高齢者講習」は、あくまで「自分の身体機能の変化を自覚し、安全運転に役立てるための講習」であり、合否判定のある試験ではありません。最後まで受講すれば、原則として誰でも更新可能です。

講習の概要(70歳〜74歳の場合)

  • 所要時間: 2時間
  • 手数料: 6,450円(標準額・令和6年現在)
  • 内容:
    • 座学(約30分): 交通ルールの再確認や、高齢ドライバーの事故特徴についてのビデオ視聴。
    • 運転適性検査(約30分): 動体視力や夜間視力、視野の広さなどを機器を使って測定します。結果が悪くても更新不可にはなりませんが、運転時の注意点として指導を受けます。
    • 実車指導(約60分): 教習所内のコースを実際に運転します。クランクやS字、一時停止などを走行し、指導員から「ブレーキのタイミングが遅れ気味です」といった具体的なアドバイスをもらいます。

なお、75歳以上になると、この講習に加えて「認知機能検査」が義務付けられ、認知症の恐れがある場合には医師の診断書が必要になるなど、ハードルが一段上がります。70歳の時点では、まだ認知機能検査はありません。

【要注意】講習の予約が取れない?早めの行動がカギ

現在、全国的に高齢者講習の予約が取りにくい状況が続いています。特に人口の多い都市部や、教習所の数が少ない地域では、「予約の電話をしたら3ヶ月待ちと言われた」というケースも珍しくありません。

もし講習の予約が取れないまま免許の有効期限(誕生日の1ヶ月後)を過ぎてしまうと、免許は失効してしまいます。「予約が取れなかった」という理由は、原則として失効の救済事由にはなりません(※やむを得ない事情として認められる場合もありますが、手続きは煩雑です)。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「『高齢者講習のお知らせ』ハガキは、更新期間満了日の約6ヶ月前(誕生日の5ヶ月前頃)に届きます。このハガキが届いたら、その日のうちに開封し、すぐに教習所へ予約の電話を入れてください。『まだ半年もあるから』と後回しにするのが一番危険です。もし近隣の教習所が満杯でも、少し離れた地域の教習所なら空いていることがあります。県内であればどこの教習所でも受講可能ですので、範囲を広げて探すのが、混雑回避の裏技です。」

【年金・仕事】70歳以降の働き方と年金の受け取り方

「人生100年時代」と言われる今、70歳を過ぎても現役で働き続ける方は増えています。しかし、70歳は年金制度上でも大きな区切りとなる年齢です。働きながら年金を受け取る場合のルールや、年金を増やして受け取るための「繰り下げ受給」の最終判断など、損をしないための知識が求められます。

厚生年金の加入資格は70歳で喪失する

会社員として働いている方の場合、70歳の誕生日の前日をもって、厚生年金の被保険者資格を喪失します。これには、働く側にとって大きなメリットがあります。

メリット:保険料の天引きがなくなる
これまで給与から天引きされていた「厚生年金保険料」の支払いがなくなります。同じ給与額で働き続けたとしても、保険料分だけ手取り収入が増えることになります。ただし、健康保険料や介護保険料は引き続き天引き(または年金から天引き)されますのでご注意ください。

※70歳以降も厚生年金に加入できる例外として「高齢任意加入」という制度があります。これは受給資格期間(10年)を満たしていない場合などに利用するものです。

働きながら年金をもらう「在職老齢年金」の注意点

70歳以降も会社に勤めて給与をもらいながら、同時に老齢厚生年金を受け取る場合、「在職老齢年金」の制度が適用されます。これは、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止(カット)される仕組みです。

支給停止の基準額(令和6年度)
基本月額(年金の月額) + 総報酬月額相当額(月給+直近1年の賞与÷12) > 50万円

この合計額が50万円を超えた場合、超えた金額の2分の1が年金から差し引かれます。なお、カットされるのは「老齢厚生年金(報酬比例部分)」のみであり、「老齢基礎年金(国民年金部分)」は所得に関わらず全額支給されます。

ケース 給与+年金の合計 年金の支給状況
Aさん 45万円(基準額以下) 全額支給(カットなし)
Bさん 60万円(基準額オーバー) 一部停止
(超過分10万円の半分、5万円がカット)

70歳になると厚生年金の保険料は払わなくなりますが、この「在職老齢年金による調整」の仕組み自体は継続します。働き損にならないよう、勤務時間や給与設定を調整する方も少なくありません。

70歳まで繰り下げ受給をした場合の増額効果

65歳から受け取れる年金をあえて受け取らず、受給開始を遅らせることで年金額を増やす「繰り下げ受給」。70歳まで我慢した場合の増額率は42%にもなります。

繰り下げ受給の増額率

  • 65歳受給開始:増額なし(100%)
  • 70歳受給開始:42%増額(142%)
  • 75歳受給開始:84%増額(184%) ※最大

70歳時点で受け取りを開始するには、年金事務所へ「裁定請求書」を提出する必要があります。42%の増額は魅力的ですが、年金額が増えると、それに連動して所得税・住民税や、国民健康保険料・介護保険料も上がってしまう点には注意が必要です。手取り額でシミュレーションすると、額面ほどのメリットが出ない場合もあります。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「『年金カットを避けたいから給与を下げてほしい』と会社に相談する方がいらっしゃいますが、給与を下げてまで年金を満額もらうのが本当に得策かは慎重な判断が必要です。給与が高いということは、それだけ手元の現金収入が多いということでもあります。また、70歳以降の繰り下げ受給については、『長生きリスク』への備えとして有効ですが、持病がある方や早期に資金が必要な方は、無理に繰り下げず、70歳から確実に受け取り始めるのも賢明な選択です。ご自身の健康状態と資産状況を天秤にかけて決定しましょう。」

【お祝い】古希(70歳)祝いのマナーとおすすめの過ごし方

ここまでは制度や手続きといった少し堅い話が続きましたが、70歳は「古希(こき)」と呼ばれるおめでたい長寿祝いのタイミングでもあります。唐の詩人・杜甫の「人生七十古来稀なり(70歳まで生きる人は古くから稀である)」という詩句に由来していますが、平均寿命が延びた現代においては、「現役世代からの卒業と、第二の人生の本格的なスタート」を祝う意味合いが強くなっています。

古希(こき)の意味とテーマカラー「紫」

還暦(60歳)のテーマカラーが「赤」だったのに対し、古希のテーマカラーは「紫」です。紫色は古くから高貴な色とされ、位の高い人しか身につけることが許されなかった色です。70歳を迎えた方への敬意と、これからの健康長寿への願いが込められています。

お祝いの席では、紫色のちゃんちゃんこを着る風習がありますが、最近では「年寄りくさい」と敬遠されることも多いため、紫色のシャツやスカーフ、ネクタイ、あるいは紫色の花束などを贈るスタイルが主流になりつつあります。

お祝いのタイミングは満年齢?数え年?

本来、長寿祝いは「数え年(生まれた時を1歳とし、元旦に歳をとる数え方)」で行うのが伝統的なしきたりでした。数え年の70歳は、満年齢でいうと69歳になります。

しかし、現在ではわかりやすさを重視し、「満年齢の70歳の誕生日」にお祝いをするケースが圧倒的に増えています。どちらが正解という決まりはありませんので、家族が集まりやすいタイミングや、本人の意向に合わせて日程を決めると良いでしょう。

70歳に喜ばれるプレゼントと相場・メッセージ文例

70歳の方へのプレゼント選びでは、「健康」「趣味」「思い出」がキーワードになります。物は十分に持っている世代ですので、形に残るものよりも、体験や時間を贈る「コト消費」ギフトが喜ばれる傾向にあります。

おすすめのプレゼント例

  • 旅行券・温泉宿泊: 夫婦や家族水入らずで過ごす時間。
  • 健康グッズ: マッサージクッション、ウォーキングシューズ、上質な枕など。
  • 名入れギフト: お酒やタンブラーに「古希記念」や名前を入れた世界に一つの品。
  • フォトブック: 家族の写真をまとめたアルバムやデジタルフォトフレーム。

予算の相場

  • 子供から親へ:10,000円〜50,000円
  • 孫から祖父母へ:3,000円〜10,000円
  • 親戚・知人へ:5,000円〜20,000円
参考:古希祝いのメッセージ文例集

プレゼントに添えるメッセージカードの文例です。手書きで一言添えるだけで、感謝の気持ちがより伝わります。

【子供から親へ】
「お父さん(お母さん)、古希おめでとうございます。いつも家族のために頑張ってくれてありがとう。これからも健康に気をつけて、お母さん(お父さん)と仲良く、趣味の〇〇を楽しんでください。今度みんなで温泉に行きましょう。」

【孫から祖父母へ】
「じいじ(ばあば)、70歳のお誕生日おめでとう!いつも遊んでくれてありがとう。いつまでも元気で長生きしてね。また美味しいご飯を食べに行こうね。」

【配偶者へ】
「祝・古希!お互い70代に突入だね。長い間支えてくれて感謝しています。これからは二人の時間を大切に、のんびりと旅行でも楽しみましょう。これからもよろしく。」

【健康・生活】「70歳の壁」を乗り越え健康寿命を延ばすコツ

ベストセラー書籍などで話題になった「70歳の壁」という言葉をご存知でしょうか。現代の高齢者にとって、60代までは現役時代とあまり変わらない体力を維持できますが、70代に入ると心身の機能がガクンと衰えるリスクが高まると言われています。

しかし、恐れることはありません。70歳からの生活習慣を少し意識するだけで、健康寿命(介護を必要とせず自立して生活できる期間)を延ばすことは十分に可能です。

意図的に「外出」と「会話」を増やす

定年退職や免許返納などを機に、家に閉じこもりがちになるのが70代の最大のリスクです。社会とのつながりが希薄になると、認知機能の低下(認知症)やフレイル(虚弱)が進行しやすくなります。

  • 用事がなくても外に出る: 散歩、図書館、スーパーへの買い物など、1日1回は外出する習慣をつけましょう。太陽の光を浴びることは、睡眠の質を高め、骨を強くする効果もあります。
  • 人との会話を楽しむ: 家族以外の人と話す機会を作りましょう。趣味のサークル、地域のボランティア、あるいは馴染みのお店の店員さんとの挨拶だけでも、脳への良い刺激になります。

食事は「粗食」より「タンパク質」を意識する

「歳をとったら粗食が良い」というのは一昔前の常識です。70代からは、筋肉量が急激に減少する「サルコペニア」を防ぐため、意識的に栄養を摂る必要があります。

特に重要なのが「タンパク質」です。肉や魚、卵、大豆製品を毎食手のひら一杯分程度食べることを意識してください。栄養不足は免疫力の低下を招き、肺炎などの感染症リスクを高めてしまいます。「少し太め」くらいの方が、統計的にも長生きするというデータがあります。

資産寿命を延ばすためのお金の管理

身体の健康と同じくらい大切なのが、お金の健康(資産寿命)です。70歳になると、収入は年金のみになる方が大半ですが、医療費や介護費用の支出は増えていく傾向にあります。

無理な節約をする必要はありませんが、毎月の収支を把握し、「使いすぎない」仕組みを作ることが大切です。また、認知症になって口座が凍結されるリスクに備え、家族信託や任意後見制度について情報を集めたり、不要なクレジットカードや銀行口座を解約して整理(断捨離)したりするのも、70代のうちにやっておくべき「終活」の一つです。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「私が多くのシニアの方と接してきて感じるのは、健康で長生きされている方は皆、『今日行くところ』と『今日用事があること』を持っていらっしゃるということです。仕事でも趣味でも、あるいは孫の世話でも構いません。『誰かに必要とされている』という感覚こそが、認知症予防の特効薬です。70歳は、義務としての仕事から解放され、自分が本当にやりたいことで社会とつながれる自由な時間の始まりです。ぜひ、新しいコミュニティに飛び込んでみてください。」

70歳に関するよくある質問(FAQ)

最後に、70歳の手続きや生活に関して、相談現場でよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 70歳になったらマイナンバーカードの保険証はどうなる?

A. そのまま使えますが、登録情報の自動更新を確認しましょう。
マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合、70歳になってもカード自体を更新する必要はありません。医療機関のカードリーダーにかざせば、自動的に「2割負担」等の新しい負担割合情報が参照されます。ただし、システムの反映にタイムラグがある場合もあるため、念のため紙の「高齢受給者証」が届いたら、しばらくは携帯しておくと安心です。

Q. 介護保険サービスは70歳からでも利用できる?

A. もちろんです。年齢に関わらず「要介護認定」を受ければ利用可能です。
介護保険サービスは65歳以上(第1号被保険者)であれば、原因を問わず、介護が必要と認定された場合に利用できます。70歳だからといって利用制限はありません。「最近、足腰が弱って入浴が不安だ」「物忘れが増えた」などを感じたら、地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を検討してください。

Q. 70歳から入れる医療保険はある?

A. ありますが、保険料は割高になります。公的保障とのバランスを考えましょう。
多くの保険会社が80歳や85歳まで加入可能な医療保険を販売しています。しかし、高齢になってからの新規加入は保険料が高額になりがちです。70歳からは公的医療保険の高額療養費制度の上限額が下がるため、過度な民間保険は不要な場合もあります。貯蓄で医療費を賄えるかシミュレーションし、どうしても不安な部分だけを保険でカバーするのが賢い選び方です。

シニアライフ専門の社会保険労務士のアドバイス
「民間保険の見直しは70歳が良いタイミングです。現役時代に入った高額な死亡保障がついた保険などは、子供が独立していれば不要かもしれません。その分の保険料を、日々の生活を楽しむ費用や、ご自身の医療・介護費用としての貯蓄に回す方が、結果的に豊かな老後につながることが多いです。保険証券を一度整理し、内容を確認してみましょう。」

まとめ:手続きを確実に済ませて、安心で楽しい70代を

70歳という節目は、医療費負担の軽減や免許更新の講習など、これまでの生活ルールが変わる重要なタイミングです。手続きが複雑で面倒に感じることもあるかもしれませんが、これらはすべて、高齢期を安心して安全に過ごすための社会的なサポートシステムでもあります。

最後に、70歳になったらやるべきことの要点を整理します。

  • 医療費: 誕生月の翌月1日から原則2割負担。「高齢受給者証」が届いたら内容を確認し、病院には2枚セットで持参する。
  • 免許更新: 誕生日の約5ヶ月前にハガキが届いたら、即座に「高齢者講習」の予約を入れる。
  • 年金・仕事: 働き続ける場合は「在職老齢年金」のカット基準(50万円)を意識し、厚生年金保険料の天引きがなくなることを確認する。
  • 健康・生活: 「外出」と「タンパク質摂取」を心がけ、社会とのつながりを保つ。

まずは、お手元の健康保険証と運転免許証の有効期限を確認し、カレンダーに「いつ何が届くか」「いつ予約が必要か」を書き込むことから始めてみてください。早めの準備さえしておけば、何も恐れることはありません。手続きをスムーズに済ませ、心置きなく古希のお祝いや趣味の時間を楽しみましょう。

ぜひ今日から、素晴らしい70代のスタートに向けて、小さな一歩を踏み出してみてください。

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