2022年8月、昭和・平成・令和と三つの時代を駆け抜けた名優・古谷一行さんが78歳でこの世を去りました。その訃報は、長年のファンだけでなく、ドラマ界全体に深い悲しみをもたらしました。古谷さんといえば、やはり「金田一耕助」の飄々とした姿や、「失楽園」で見せた大人の色気が脳裏に焼き付いている方も多いことでしょう。
本記事では、古谷一行さんの俳優としての偉大な足跡を、昭和エンタメの専門家の視点から徹底的に解説します。単なる経歴の振り返りにとどまらず、息子である降谷建志さん(Dragon Ash)との知られざる親子の絆や、今こそ見返すべき名作ドラマの数々を深掘りしていきます。
この記事でわかること
- 古谷一行さんの死因・経歴と、専門家が分析する「俳優としての凄み」
- 「金田一耕助」シリーズや「失楽園」など、絶対に見ておくべき代表作ガイド
- 息子・降谷建志さんとの親子関係と、互いにリスペクトし合う心温まるエピソード
古谷さんが遺した数々の作品は、今もなお色褪せることなく私たちに感動を与え続けています。その魅力を再確認し、故人を偲ぶ一助となれば幸いです。
古谷一行さんの訃報と生涯の軌跡を振り返る
日本のテレビドラマ史において、これほどまでに「主役」としても「名バイプレイヤー」としても愛された俳優は稀有な存在でした。まずは、古谷一行さんの最期の状況と、デビューから晩年に至るまでの輝かしいキャリアを、正確な事実に基づいて振り返ります。
78歳での逝去、死因と最期の状況について
2022年8月23日、古谷一行さんは東京都内の病院で静かに息を引き取りました。享年78。死因については所属事務所より詳細な発表がありましたが、長年にわたる病との闘いがあったことが明かされています。
古谷さんは2011年に早期の肺がんが見つかり、手術を受けて復帰を果たしていました。その後も精力的に活動を続けていましたが、2020年頃から再び体調を崩すことが増え、入退院を繰り返されていたといいます。特に晩年は、顔色が優れない中でも現場では一切弱音を吐かず、プロフェッショナルとしてカメラの前に立ち続けました。
最期はご家族に見守られながらの旅立ちだったと報じられています。昭和のスターらしい、最後まで現役を貫こうとした生き様は、多くの後輩俳優たちに強い影響を与えました。その死は単なる一人の俳優の死ではなく、ひとつの時代の終焉を感じさせる大きな出来事でした。
デビューから晩年まで:俳優・古谷一行の略歴年表
古谷一行さんのキャリアは、俳優座の研修生から始まりました。当初は舞台を中心に活動していましたが、やがてテレビドラマへと活動の場を広げ、国民的な人気を獲得していきます。その半世紀以上にわたる歩みを年表形式で整理しました。
| 年代 | 出来事・主な作品 | 備考 |
|---|---|---|
| 1944年 | 東京都浅草にて誕生 | 中央大学法学部卒業後、俳優座研修生となる |
| 1969年 | 映画「新選組」でデビュー | 本格的な俳優活動を開始 |
| 1977年 | ドラマ「横溝正史シリーズ」主演 | 金田一耕助役でブレイク。ハマり役となる |
| 1983年 | ドラマ「混浴露天風呂連続殺人」開始 | 土曜ワイド劇場の人気シリーズとして定着 |
| 1997年 | ドラマ「失楽園」主演 | 川島なお美さんとの共演が社会現象に。「失楽園」は流行語にもなる |
| 2002年 | 大河ドラマ「利家とまつ」出演 | 重厚な演技で時代劇にも欠かせぬ存在に |
| 2011年 | 肺がんが発覚、手術 | 早期発見により復帰を果たす |
| 2014年 | 旭日小綬章を受章 | 長年の芸術文化への貢献が認められる |
| 2022年 | 8月23日、逝去(78歳) | 映画「おもいで写眞」などが遺作となる |
この年表からもわかるように、古谷さんは20代の下積み時代を経て、30代で「金田一耕助」という最大の当たり役に出会いました。その後も50代で「失楽園」という新たな代表作を生み出すなど、年齢を重ねるごとに俳優としての深みを増していったことが特筆すべき点です。
所属事務所と家族が発表したコメントに見る「最期」
訃報に際して発表された所属事務所やご家族のコメントには、古谷さんの誠実な人柄と、周囲への感謝が溢れていました。ここでは、公式発表の内容を要約してご紹介します。
詳細:所属事務所発表の全文要約と葬儀について
所属事務所(フロム・ファーストプロダクション)の発表要約:
弊社所属の俳優・古谷一行が、2022年8月23日、永眠いたしました。ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでご報告申し上げます。病気療養中ではございましたが、本人の「復帰してまた芝居がしたい」という強い意志のもと、懸命に治療に励んでおりました。しかしながら、その願いは叶わず、静かに旅立つこととなりました。
葬儀・お別れの会について:
葬儀につきましては、ご遺族の意向により、近親者のみで執り行われました。後日、「お別れの会」が関係者やファンに向けて開催され、祭壇には古谷さんの温かい笑顔の遺影が飾られました。多くの俳優仲間が参列し、その早すぎる死を悼みました。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「古谷さんが芸能界に残した最大の功績は、その『品格』にあると私は考えています。どんなにコミカルな役や、あるいはドロドロとした不倫劇の主人公を演じても、古谷さんご自身からは常に知性と清潔感が漂っていました。晩年、病と闘いながらも公の場では決して辛い顔を見せなかった姿勢は、まさに昭和の銀幕スターの美学そのものでした。訃報に接し、日本中が『親戚のおじさん』を亡くしたような喪失感を抱いたのは、彼がそれほどまでに茶の間に愛され、信頼されていた証拠でしょう。」
日本一の「金田一耕助」俳優としての功績
古谷一行さんを語る上で、名探偵「金田一耕助」の存在は絶対に外せません。横溝正史原作のこのシリーズは、映画やドラマで数多くの俳優が演じてきましたが、テレビドラマ版において「金田一といえば古谷一行」というイメージは不動のものです。なぜ彼の金田一はこれほどまでに愛されたのでしょうか。
歴代最多演者!古谷一行版「金田一耕助」が愛された理由
古谷一行さんが金田一耕助を初めて演じたのは、1977年から放送されたTBS系列の「横溝正史シリーズ」でした。その後、TBSとテレビ朝日の2つの局にまたがり、連続ドラマや単発スペシャルとして長きにわたり演じ続けました。その数は合計で47作にも及び、これは歴代の金田一俳優の中で最多記録です。
古谷版金田一の最大の魅力は、「人懐っこさ」と「色気」の同居にあります。原作の金田一耕助は、フケだらけで風采の上がらない人物として描かれていますが、古谷さんはその特徴を残しつつも、どこか憎めない愛嬌と、ふとした瞬間に見せる鋭い眼光、そして大人の男性としての色気を絶妙にブレンドさせました。
また、古谷さんの温かみのある声質は、陰惨な殺人事件が続く横溝ワールドにおいて、視聴者にとっての「癒やし」や「安心感」となっていました。「古谷さんの金田一なら、必ず事件を解決してくれるし、犯人の悲しみにも寄り添ってくれる」という信頼感が、長期シリーズ化の原動力となったのです。
映画版(石坂浩二)とテレビ版(古谷一行)の演技アプローチの違い
金田一耕助役として、古谷一行さんと並び称されるのが映画版の石坂浩二さんです。同時代に異なるメディアで同じ役を演じ、どちらも高い評価を得た二人のアプローチには、明確な違いがありました。この違いを理解することで、古谷さんの独自性がより鮮明になります。
| 比較項目 | 映画版:石坂浩二 | テレビ版:古谷一行 |
|---|---|---|
| 性格・雰囲気 | 知的でクール、飄々とした天使のような傍観者 | 人間味があり、情に厚い。女性にモテる色気がある |
| 推理スタイル | 論理的かつスピーディーに謎を解く | 足を使って情報を集め、犯人の心情に深く迫る |
| 衣装・演出 | 原作に忠実なボサボサ頭と袴姿(清潔感は控えめ) | 小奇麗な着こなしで、ボサボサ頭でも清潔感がある |
| 視聴者の印象 | 「神聖な探偵」 | 「親しみやすい兄貴分」 |
石坂版が「原作のイメージを映像美の中で昇華させた記号的な存在」であるのに対し、古谷版は「お茶の間に入り込む、血の通った人間としての探偵」でした。この「人間臭さ」こそが、毎週テレビで見る視聴者との距離を縮め、長寿シリーズとなった要因と言えるでしょう。
ファンが選ぶ「横溝正史シリーズ」神回ベスト3
数ある古谷一行版金田一耕助の中から、特に評価の高い「神回」とも呼べる作品を3つ厳選しました。これから見返す際の参考にしてください。
- 第1位:犬神家の一族(1977年版)
記念すべきシリーズ第1作。京マチ子さんら豪華キャストとの共演も見どころですが、若き日の古谷さんのエネルギッシュな演技と、ラストシーンで見せる哀愁漂う表情は必見です。テレビドラマの枠を超えた重厚な作りとなっています。 - 第2位:八つ墓村(1978年版)
祟りや因習といったオカルト要素が強い本作ですが、古谷さんの金田一が入ることで、物語が現実世界に繋ぎ止められます。鍾乳洞でのクライマックスシーンにおける緊迫感ある演技は、シリーズ屈指の名場面です。 - 第3位:獄門島(1977年版)
俳句に見立てた殺人という難解なトリックに挑む金田一。犯人が判明した後の、やりきれない感情を押し殺しながら真実を告げる古谷さんの演技は、ミステリードラマの最高峰と言われています。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「原作の横溝正史作品は、ともすれば『おどろおどろしさ』や『猟奇性』ばかりが際立ちがちです。しかし、古谷一行さんが演じることで、その恐怖が適度に中和され、エンターテインメントとして非常に見やすいものになりました。彼の軽妙な語り口や、時折見せるコミカルな反応が緩衝材となり、怖いものが苦手な視聴者をも取り込むことに成功したのです。これは計算された演技プランというより、古谷さんご自身の天性の明るさがもたらした奇跡的な化学反応だったと思います。」
「土曜ワイド劇場」から「失楽園」まで:サスペンスと色気の帝王
古谷一行さんの魅力は金田一耕助だけにとどまりません。80年代から90年代にかけては、2時間ドラマの帝王として、そして社会現象を巻き起こした恋愛ドラマの主役として、その「色気」を遺憾なく発揮しました。50代男性の読者にとっては、この時期の古谷さんが最も印象深いかもしれません。
「混浴露天風呂連続殺人」シリーズで見せたコミカルと色気の融合
1982年から25年以上にわたって放送された「土曜ワイド劇場」の名物シリーズ、「混浴露天風呂連続殺人」。木の実ナナさんとのコンビで、古谷さんは刑事役を演じました。このシリーズの特徴は、何と言っても「お色気」と「コメディ」の融合です。
毎回必ず登場する温泉シーンや、木の実ナナさんとの夫婦漫才のような掛け合いは、サスペンスの緊張感を和らげる絶妙なスパイスとなっていました。古谷さんはここで、少しスケベだが正義感は強いという、世の男性が共感しやすいキャラクターを確立。金田一で見せる知的な顔とは対照的な、三枚目的な魅力を開花させました。この「軽さ」が出せるからこそ、シリアスな場面がより引き立つのです。
社会現象となったドラマ「失楽園」での円熟した演技
1997年、古谷一行さんのキャリアにおいて大きな転換点となったのが、渡辺淳一原作のドラマ「失楽園」です。川島なお美さんとの共演で描かれた、W不倫の末の心中という衝撃的なストーリーは、日本中で大ブームを巻き起こしました。
当時53歳だった古谷さんは、家庭や仕事に疲れた中年サラリーマンが、激しい恋に落ちていく様をリアルに演じました。ここでの古谷さんは、単に情欲に溺れるのではなく、人生の黄昏時に訪れた最後の恋にすがる切なさや哀愁を表現していました。その「枯れた色気」は多くの女性視聴者を虜にし、男性視聴者には「男のロマン」を感じさせました。この作品により、古谷さんは「セクシーな俳優」としての地位を不動のものにしました。
50代以降も輝き続けた「渋い脇役」としての存在感
「失楽園」以降も、古谷さんは主演にこだわらず、重要な脇役として多くのドラマを引き締めました。刑事ドラマでのベテラン上司役、医療ドラマでの院長役など、そこにいるだけで組織の重みを感じさせる存在感は圧倒的でした。
特に、若手俳優が主演する作品において、古谷さんが配置されることは「作品の質を保証する」という意味を持っていました。彼は若手を食うような過剰な演技はせず、しっかりと受け止める芝居で主役を引き立てました。この「引く演技」の巧みさこそが、晩年までオファーが絶えなかった理由です。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「なぜ古谷一行さんには、あれほどまでに『嫌みのない色気』が漂っていたのでしょうか。それは、彼が演じる役柄の根底に常に『弱さ』や『優しさ』が見え隠れしていたからだと思います。強引に女性を口説くのではなく、相手の寂しさに共鳴するような包容力。それが、いやらしさを消し、上品な色気へと昇華させていたのです。50代、60代と年齢を重ねるごとに、その皺の一つ一つさえも魅力に変えてしまう、まさに『年の取り方のお手本』のような俳優でした。」
息子・降谷建志(Dragon Ash)との知られざる親子関係
古谷一行さんのプライベートにおいて、最も有名なトピックの一つが、息子である降谷建志(Kj)さんとの関係です。ロックバンド「Dragon Ash」のフロントマンとして一時代を築いた息子と、昭和の名優である父。ジャンルは違えど、共に頂点を極めた二人の間には、深いリスペクトと絆がありました。
息子が「Kj」としてブレイクした時の父・一行の反応
降谷建志さんがDragon Ashとしてデビューし、90年代後半に爆発的な人気を得た際、古谷一行さんはその活動を静かに、しかし温かく見守っていました。当初、建志さんは「古谷一行の息子」というレッテルを貼られることを嫌い、二世であることを公言していませんでした。古谷さんもその意思を尊重し、メディアで息子の話をすることはほとんどありませんでした。
しかし、家庭内では息子の音楽を認め、応援していたといいます。息子が自分とは全く異なる「ロック」というジャンルで、自らの力で成功を掴み取ったことに対し、父としてだけでなく、一人の表現者として敬意を払っていたのです。建志さんがブレイクした後、古谷さんは周囲に嬉しそうに息子の活躍を語ることもあったそうです。
最初で最後の共演?話題となったCMと当時のエピソード
長らく公の場での共演を避けてきた二人ですが、2008年に放送された映画のプロモーションCMで、奇跡の共演が実現しました。このCMでは、父と子が並んで歩き、言葉を交わすというシンプルな構成ながら、二人の間に流れる自然な空気感と、隠しきれない「似た雰囲気」が大きな話題となりました。
撮影現場では、照れくさそうにしながらも、互いを気遣う様子が見られたといいます。古谷さんは後に、この共演について「嬉しかった」と語っており、建志さんもまた、偉大な父と同じ画面に収まることへの感慨を持っていたことでしょう。これが映像として残る貴重な「親子共演」となりました。
異なるジャンルで頂点を極めた父と子が互いに抱いていたリスペクト
古谷一行さんと降谷建志さんの関係性が素晴らしいのは、単なる「仲良し親子」を超えた、プロ同士のリスペクトがあった点です。古谷さんは俳優として、建志さんはミュージシャンとして、それぞれのフィールドで「本物」を追求しました。
建志さんは父の訃報に際し、SNSで深い悲しみと父への愛を綴っています。そこには、偉大な父の背中を見て育ち、その遺伝子を受け継ぎながらも、自分の道を切り拓いてきた息子の誇りと感謝が滲んでいました。二世タレントが多く存在する芸能界において、これほどまでに互いの領域を侵さず、かつ認め合っていた親子関係は稀有であり、理想的な姿と言えるでしょう。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「古谷さんと建志さんの関係は、『自立したプロフェッショナルな親子像』として非常に好感が持てるものでした。親の七光りを使わせなかった父の厳しさと、それに応えて実力で評価を勝ち取った息子。古谷さんが息子さんのライブ会場に足を運んだ際、関係者席ではなく一般席で静かに見ていたというエピソードも残っています。息子の聖域を荒らさないという配慮と、ファンとして純粋に楽しみたいという親心が同居していたのでしょう。」
時代劇・大河ドラマで見せた重厚な演技と名言
現代劇での活躍が目立つ古谷一行さんですが、時代劇においてもその存在感は別格でした。NHK大河ドラマをはじめとする数々の時代劇で、武将から市井の人々まで幅広く演じ分け、物語に深みを与えました。
大河ドラマ出演歴と印象的な役柄(利家とまつ、元禄繚乱ほか)
古谷さんはNHK大河ドラマに何度も出演しています。中でも記憶に残るのが、2002年の「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」です。この作品では、主人公・前田利家を支える重臣や、物語の鍵を握る人物として登場し、戦国時代の荒々しさと人間ドラマを体現しました。
また、1999年の「元禄繚乱」では、忠臣蔵の世界で重要な役割を果たしました。古谷さんの時代劇における演技は、所作の美しさと発声の確かさに定評がありました。髷(まげ)姿が自然に似合い、着物の着こなし一つとっても「粋」を感じさせる俳優でした。
時代劇における「悪役」「重臣」としての振る舞い
時代劇での古谷さんは、善人役だけでなく、腹に一物ある「悪役」や「食えない重臣」を演じることもありました。表面上は穏やかな笑顔を浮かべながら、裏では冷酷な策を巡らせるような役柄において、古谷さんの演技力は真価を発揮しました。
彼の演じる悪役は、単に憎らしいだけでなく、その人物が背負っている業や悲しみさえも感じさせます。だからこそ、主人公との対決シーンが単なる勧善懲悪で終わらず、深みのある人間ドラマとして成立するのです。「古谷一行が出てくると、ただでは終わらない」と視聴者に思わせる説得力がそこにありました。
共演者やスタッフが語る撮影現場での古谷一行さんの人柄
時代劇の撮影現場は過酷なことで知られていますが、古谷さんは常に周囲への気配りを忘れない「紳士」でした。共演した若手俳優からは、「古谷さんが現場にいるだけで空気が締まるが、緊張させるのではなく、安心させてくれる」という声が多く聞かれます。
また、カツラや衣装の待ち時間でも不機嫌になることなく、スタッフと談笑する姿が目撃されています。ベテランの風を吹かせることなく、職人の一人として作品作りに向き合う姿勢。それが、多くの監督やプロデューサーから愛され、繰り返し起用された理由でした。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「現代劇と時代劇では、発声や所作が全く異なります。古谷さんの凄さは、その切り替えの自然さにありました。時代劇では重心を低くし、腹から響くような重厚な声を出す一方、現代劇では軽妙なトーンで会話を進める。この使い分けができる俳優は年々少なくなっています。特に時代劇における『視線の演技』、言葉を発せずに目で語る技術は、歌舞伎や舞台で培われた基礎があったからこそでしょう。」
【専門家厳選】今すぐ見返したい古谷一行出演ドラマ・映画10選
古谷一行さんの膨大な出演作の中から、今こそ見返すべき、あるいは初めての方にぜひ見てほしい作品を厳選しました。「入門編」と「上級編」に分けてご紹介します。
初心者におすすめ!まず見るべき「入門編」3選
- 横溝正史シリーズ「犬神家の一族」(ドラマ)
古谷金田一の原点にして頂点。ミステリーとしての完成度も高く、古谷さんの若々しい魅力が爆発しています。まずはここから古谷ワールドに入門してください。 - 失楽園(ドラマ)
90年代を代表する恋愛ドラマ。古谷さんの「大人の色気」を堪能するならこの一作。道ならぬ恋に落ちていく心理描写が秀逸です。 - 混浴露天風呂連続殺人シリーズ(ドラマ)
肩肘張らずに楽しめるサスペンスコメディ。古谷さんのコミカルな一面と、昭和・平成の懐かしい温泉地の風景が楽しめます。
マニアも唸る!隠れた名作・怪作「上級編」3選
- 金田一耕助の冒険(映画)
大林宣彦監督による実験的な作品。古谷さんが金田一役として本人役(?)で登場するなど、メタフィクション的な面白さがあるカルト作です。 - ジャングル(ドラマ)
80年代の刑事ドラマ。古谷さんは「津上係長」役で出演。若き日の刑事たちを束ねるリーダーシップと、アクションシーンも見どころです。 - 悪霊島(ドラマ・金田一シリーズ)
「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」のキャッチコピーで有名な作品。古谷版金田一の中でも特にダークで重厚な雰囲気が漂う名編です。
現在の視聴方法:VOD(動画配信サービス)配信状況まとめ
これらの作品を現在視聴できる主な方法をまとめました。配信状況は時期によって変動しますが、主要なサービスで多くの作品がアーカイブされています。
| 作品名 | U-NEXT | Amazon Prime | Hulu / Netflix | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 金田一耕助シリーズ(TBS版) | 〇 | △(レンタル) | × | U-NEXTが最も充実 |
| 失楽園(ドラマ版) | × | × | × | DVDレンタルが確実 |
| 混浴露天風呂シリーズ | × | × | × | CS再放送やDVDが主 |
| 大河ドラマ(利家とまつ等) | 〇(NHKオンデマンド) | 〇(NHKオンデマンド) | × | NHKオンデマンド経由で視聴可 |
※配信状況は変更になる可能性があります。各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。
よくある質問 (FAQ)
古谷一行さんに関して、検索などでよく調べられている疑問について、事実に基づき簡潔にお答えします。
Q. 古谷一行さんの遺作となった作品は何ですか?
映画における遺作は、2021年公開の「おもいで写眞」です。この作品で古谷さんは、主人公を見守る温かい人物を演じました。病と闘いながら撮影に参加された、俳優魂の結晶とも言える作品です。
Q. 金田一耕助シリーズは全何作ありますか?
古谷一行さんが主演した金田一耕助シリーズは、連続ドラマ(全2シリーズ)と単発スペシャルを含めると、合計で47作品に及びます。これに加え、パロディやゲスト出演を含めるとさらに数は増えますが、公式なシリーズとしては47作が定説です。
Q. 息子・降谷建志さんの妻(義理の娘)との関係は?
降谷建志さんの妻はタレントのMEGUMIさんです。古谷一行さんにとっては義理の娘にあたります。MEGUMIさんは古谷さんを非常に慕っており、バラエティ番組などで「素敵なお義父さん」と語ることもありました。家族仲は非常に良好だったと伝えられています。
Q. 古谷一行さんはがん闘病中も仕事をしていたのですか?
はい。2011年の肺がん発覚後も、治療を行いながら仕事を続けました。晩年の再発後も、体調を見ながら現場に立ち続けました。周囲に心配をかけまいと、病状を詳細には語らず、カメラの前では役者として完璧に振る舞う姿勢を貫かれました。
昭和エンタメ専門ライターのアドバイス
「古谷さんの闘病を感じさせなかったプロ根性は、まさに壮絶の一言です。晩年の作品を見返しても、声の張りや目の力に衰えを感じさせないのは、彼が最後の瞬間まで『俳優・古谷一行』であることを自分自身に課していたからでしょう。その生き様こそが、彼が遺した最高のドラマだったのかもしれません。」
まとめ:古谷一行さんの名演は永遠に色褪せない
古谷一行さんは、金田一耕助という国民的キャラクターに命を吹き込み、サスペンスから恋愛ドラマ、時代劇まで、あらゆるジャンルで日本のテレビドラマ界を支え続けた偉大な俳優でした。その演技には、常に人間への温かい眼差しと、大人の男の品格が漂っていました。
78歳での旅立ちはあまりにも惜しまれますが、彼が遺した膨大な作品群は、映像の中で永遠に生き続けます。息子である降谷建志さんとの絆や、家族に見守られた穏やかな最期を知ることで、私たちは改めて古谷さんの温かい人柄を感じることができます。
古谷一行出演作品 視聴チェックリスト
- [ ] 「金田一耕助」シリーズで、若き日の軽妙な推理劇を楽しむ
- [ ] 「失楽園」で、円熟期の渋い色気と演技力に浸る
- [ ] 「土曜ワイド劇場」の再放送で、懐かしい昭和のサスペンスを味わう
- [ ] 息子・Dragon Ashの楽曲を聴き、父から子へ受け継がれた才能を感じる
ぜひこの機会に、動画配信サービスやDVDで、あの懐かしくも新しい名演の数々に触れてみてください。画面の中で微笑む古谷一行さんは、いつでも私たちを優しく迎え入れてくれるはずです。
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