「あの人は生まれつきセンスがいいから」
「私にはファッションの才能がないから、何を着てもダサくなる」
鏡の前でそうため息をついたことはありませんか?もしあなたがそう感じているなら、それは大きな誤解です。断言します。「おしゃれ」に生まれつきの特別な才能やセンスは一切不要です。
なぜなら、おしゃれとは感覚的なものではなく、「客観視」と「論理的なルール」の積み重ねによって誰でも100%再現可能な「技術」だからです。料理にレシピがあるように、ファッションにも「美味しく(素敵に)見えるレシピ」が存在します。それを知っているか、知らないか。違いはただそれだけなのです。
この記事では、業界歴15年、延べ3,000名以上のスタイリング診断を行ってきた現役パーソナルスタイリストである筆者が、感覚に頼らず論理的に「垢抜け」を実現するためのメソッドを完全公開します。
この記事でわかること
- 現役スタイリストが現場で実践している「おしゃれに見える」3つの絶対法則
- 「無難」と「洗練」を分ける、具体的なアイテム選びと配色の黄金比(70:25:5)
- 30代から急に服が似合わなくなる根本原因と、今すぐできる解決策
読み終える頃には、あなたの「おしゃれに対する苦手意識」は消え去り、明日の服選びが楽しみになっているはずです。さあ、クローゼットを開ける前に、まずは「おしゃれのロジック」をインストールしましょう。
おしゃれの正体とは?センス不要で「垢抜け」は作れる
多くの人が抱えている「おしゃれ=センス(才能)」という思い込み。まずはこのマインドブロックを解除することから始めましょう。私がこれまでのキャリアで出会ってきた「おしゃれな人」たちも、最初から洗練されていたわけではありません。彼ら、彼女らは、ある日突然センスに目覚めたのではなく、試行錯誤の中で「自分を良く見せる法則」を学び取っていったのです。
では、その法則の正体とは何でしょうか。それは、自分を主観ではなく「他人の目」で見る力、すなわち「徹底的な客観視」と、それを補正するための「理論武装」です。
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「私のサロンに来られるお客様の多くが『センスがないんです』と仰います。しかし、詳しくお話を伺うと、センスがないのではなく『知識がない』だけというケースが99%です。おしゃれとは、数式のようなものです。『A(自分の体型)+B(服の形)=C(印象)』という方程式を知っていれば、誰でも正解を導き出せます。センスという曖昧な言葉に逃げず、まずは『知る』ことから始めましょう。」
おしゃれな人に共通する「客観視」の能力
おしゃれな人とそうでない人の決定的な違いは、鏡の前に立った時の「視点」にあります。
おしゃれが苦手な人は、鏡を見る時に「顔」や「気になっているパーツ(例えば太ももやお腹)」ばかりを凝視しがちです。「今日のメイクは大丈夫か」「お腹が出ていないか」といった局所的なチェックに終始してしまいます。これは「主観」の視点です。
一方、おしゃれな人は、自分を「街中を歩く風景の一部」として捉えています。鏡から2メートル離れ、全身のバランス、服のシルエット、靴との相性、そしてその日の天候や行く場所の雰囲気と合っているかを確認します。これが「客観視」です。
例えば、素敵なレストランに行くとして、自分だけが極端にカジュアルだったり、あるいは気合が入りすぎて浮いてしまったりした経験はないでしょうか?これは「その場にいる自分」を客観視できていなかったことが原因です。おしゃれとは、単に高価な服を着ることではなく、「TPO(時・場所・場合)と自分自身との調和」が取れている状態を指します。
この客観視の能力を養うための最も簡単なトレーニングは、「出かける前に全身の写真を撮ること」です。鏡は脳内で自動補正がかかりやすく、自分の見たいように見てしまいますが、写真は残酷なまでに現実を映し出します。スマホで全身を撮影し、客観的に眺めてみる。「あれ、思ったより足が短く見えるな」「色がごちゃごちゃしているな」と気づくこと。その「気づき」こそが、垢抜けへの第一歩なのです。
「無難」と「シンプル」の決定的な違い
「目立ちたくないから、とりあえず無難な服を選んでしまう」
この心理は、多くのおしゃれ迷子が陥る罠です。しかし、ここで明確にしておきたいのは、「無難」と「シンプル(洗練)」は似て非なるものだということです。
「無難」とは、思考停止の結果です。「とりあえず黒を着ておけばいい」「汚れてもいい服でいい」という消極的な選択から生まれます。結果として、サイズ感が合っていなかったり、素材が安っぽかったり、全身がぼんやりとした印象になり、「地味な人」「どうでもいい人」というレッテルを貼られてしまいます。
対して「シンプル」とは、計算された引き算の結果です。「自分の体型をきれいに見せるために、装飾を削ぎ落とす」「上質な素材を引き立てるために、色数を絞る」という積極的な意図があります。白のTシャツにデニムという究極にシンプルなスタイルでも、おしゃれに見える人は、サイズ感やシルエット、小物の合わせ方を緻密に計算しています。
以下の表で、その違いを整理してみましょう。
| 要素 | 無難な人(地味) | シンプルな人(洗練) |
|---|---|---|
| サイズ感 | 体型を隠そうとして大きめ、または昔の服でピチピチ | 自分の骨格に合ったジャストサイズ、または意図的なオーバーサイズ |
| 色使い | 黒、グレー、ネイビーのみで暗い印象 | ベーシックカラーに「白」や「アクセント」を効果的に配置 |
| 素材感 | 機能性重視でペラペラ、シワが目立つ | ハリ、ツヤ、とろみなど、質感にこだわっている |
| 小物 | 実用性のみ(大きなリュック、歩きやすいだけの靴) | コーデの引き締め役としてバッグや靴を選んでいる |
目指すべきは「無難」ではなく「シンプル」です。そのためには、「なんとなく」選ぶのをやめ、「なぜこの服を着るのか」という理由を持つことが大切です。
まず捨てるべきは「高価な服が必要」という思い込み
「おしゃれになるにはお金がかかる」と思っていませんか?これは半分正解で、半分間違いです。確かに、上質なコートやバッグはスタイルを格上げしてくれますが、全身をハイブランドで固める必要は全くありません。
むしろ、おしゃれな人ほど「ユニクロ」や「GU」「ZARA」などのファストファッション(プチプラ)を上手に活用しています。現代のプチプラ服は、縫製も生地も飛躍的に進化しており、パッと見ではブランド品と区別がつかないものも多くあります。
重要なのは「ブランドタグ」ではなく、以下の3つの要素です。
- 清潔感(土台):シワがない、毛玉がない、汚れがない。
- サイズ・シルエット(骨組み):自分の体型を美しく見せているか。
- 配色・組み合わせ(装飾):色が調和しているか。
これらが整っていれば、全身で1万円以下のコーディネートでも十分におしゃれに見えます。逆に、いくら10万円のワンピースを着ていても、サイズが合わずシワだらけであれば、それは「だらしない人」にしか見えません。
おしゃれのピラミッドをイメージしてください。一番下が「清潔感」、その上が「サイズ感」、その上に「配色」、最後に一番上の小さな部分が「トレンド」や「ブランド」です。土台がグラグラしていては、頂点に何を乗せても崩れてしまいます。まずは、お金をかけずにできる「清潔感」と「サイズ選び」から見直していきましょう。
【法則編】明日から変わる!おしゃれに見せる3つのロジック
ここからは、感覚を一切排除し、誰でも明日から実践できる具体的な「おしゃれのロジック」を解説します。これらは私がプロのスタイリストとして、お客様に提案する際に必ず用いている基本原則です。
数学に公式があるように、ファッションにも「黄金比」や「法則」が存在します。これを守るだけで、あなたのコーディネートは劇的に垢抜けます。
法則1:黄金比「70:25:5」で整える3色コーデのルール
コーディネートがごちゃごちゃして見える最大の原因は「色数が多すぎること」です。逆におしゃれに見える人は、全身の色数を「3色以内」に抑えています。
しかし、ただ3色選べばいいわけではありません。それぞれの色には役割と、最適な面積比率があります。それが「ベースカラー70%:アソートカラー25%:アクセントカラー5%」の法則です。インテリアやWebデザインでも使われるこの配色の黄金比をファッションに適用することで、誰が見ても「バランスが良い」と感じるスタイルが完成します。
▼配色の黄金比率と具体例(クリックで詳細を展開)
1. ベースカラー(70%):全体の印象を決める主役の色
- 役割: コーディネートの土台。背景となる色。
- アイテム: コート、ワンピース、スーツのセットアップ、あるいはトップスとボトムスを同系色にする場合など。
- おすすめ色: 白、黒、ネイビー、ベージュ、グレー、ブラウンなどのベーシックカラー。
2. アソートカラー(25%):ベースを補佐し、安定させる色
- 役割: ベースカラーを引き立てたり、馴染ませたりする色。
- アイテム: トップス、ボトムス、カーディガンなど。
- おすすめ色: ベースカラーと相性の良い色、またはベースカラーの濃淡(トーン・オン・トーン)。
3. アクセントカラー(5%):視線を集め、全体を引き締める色
- 役割: 「差し色」として、単調になりがちなコーデにメリハリをつける。
- アイテム: 靴、バッグ、スカーフ、ベルト、アクセサリー。
- おすすめ色: 赤、青、黄色、シルバー、ゴールドなどの鮮やかな色や柄物。
【実践例:大人のきれいめカジュアル】
・ベース(70%):ネイビー(ロングコート+デニム)
・アソート(25%):ホワイト(ニットトップス)
・アクセント(5%):レッド(パンプス)または シルバー(バッグ)
初心者はまず、この「3色」を意識することから始めましょう。慣れてきたら、「ネイビーとブルー」のように同系色をまとめて1色とカウントするテクニックもありますが、最初は厳密に3色に絞る方が失敗がありません。
特に重要なのは「白」の使い方です。3色のうちの1色、特にアソートカラー(25%)かアクセント(5%)に「白」を入れると、一気に清潔感と抜け感が生まれます。「なんだか暗いな」と思ったら、インナーや靴、バッグに白を足してみてください。それだけで「抜け感」の正体である明るさと軽やかさが手に入ります。
法則2:身体のラインをきれいに見せる「I・Y・A」のシルエット
色使いの次は「形(シルエット)」です。人間の目は、複雑な形状よりも単純な図形を好む性質があります。ファッションにおいて、スタイルが良く見えるシルエットは大きく分けて「Iライン」「Yライン」「Aライン」の3つしかありません。
鏡の前で自分の姿を見たとき、このアルファベットのどれかに当てはまっていれば合格。どれにも当てはまらず、全体的にダボダボ、あるいは中途半端な形になっていると「野暮ったい」印象になります。
| シルエット | 特徴と作り方 | 体型カバー効果 |
|---|---|---|
| I(アイ)ライン | 上下ともにボリュームを抑えた細身のスタイル。 例:タイトスカート+コンパクトなニット、ストレートパンツ+シャツ。ロングカーディガンを羽織って縦長を作るのも有効。 |
「背を高く、細く見せる」 縦のラインが強調されるため、低身長の方や、全体的にスッキリ見せたい方におすすめ。最も大人っぽく、知的な印象を与える。 |
| Y(ワイ)ライン | トップスにボリュームがあり、ボトムスはタイト。 例:オーバーサイズニット+スキニーパンツ、ビッグシルエットのコート+タイトスカート。 |
「お腹や二の腕を隠し、脚を細く見せる」 上半身にボリュームを持ってくることで、相対的に下半身が華奢に見える。上半身の厚みが気になる方におすすめ。 |
| A(エー)ライン | トップスはコンパクト、ボトムスにボリューム。 例:フィットしたTシャツ+フレアスカート、ワイドパンツ。 |
「下半身のボリュームを隠し、ウエストを細く見せる」 女性らしい優雅なシルエット。お尻や太ももの張りが気になる方にとって最強の味方。 |
今日の服装がしっくりこない時は、この3つのアルファベットのどれを目指しているのかを自問してみてください。「上も下もゆるっとしている(Hラインになりがち)」なら、ボトムスを細くしてYラインにするか、トップスをインしてAラインにするか。シルエットを意図的に操作することで、スタイルアップは簡単に叶います。
法則3:「3首見せ」と「先端のケア」で抜け感を作る
ファッション誌でよく見る「抜け感」という言葉。なんとなく雰囲気の良い言葉として使われていますが、ロジックで説明すると「肌の露出による軽やかさの演出」です。
そのための鉄則が「3首見せ」です。3首とは、「首」「手首」「足首」のこと。これらは身体の中で最も細い部分(くびれ)です。ここを露出させることで、全身が華奢に見え、着痩せ効果が生まれます。
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「『3首見せ』は、目の錯覚を利用した最強のテクニックです。人間の脳は、見えている部分の細さから、隠れている部分の太さを推測する傾向があります。つまり、一番細い手首や足首を見せることで、『この服の下にある体も細いに違いない』と脳に錯覚させることができるのです。長袖のシャツをまくって手首を見せる、フルレングスのパンツの裾を少しロールアップして足首を見せる。これだけでマイナス3kgの視覚効果があります。」
逆に、タートルネックに長袖、フルレングスのパンツ、ブーツと、3首すべてを隠してしまうと、どんなに細い人でも重たく、詰まった印象になってしまいます。冬場など寒い時期でも、Vネックを選んで首を見せるか、袖を少しプッシュアップして手首を見せるなど、「どこか1箇所」は3首を意識するだけで、洗練度が段違いに変わります。
また、3首の先にある「先端」も重要です。指先(ネイル)、足先(靴のつま先)、毛先。人間の視線は先端に留まる習性があります。服がどれほど素敵でも、靴のつま先が剥げていたり、髪の毛先がパサついていたりすると、全体の印象が一気に「不潔」「だらしない」に傾きます。おしゃれの神様は先端に宿る。これも忘れてはいけないロジックの一つです。
【実践編】失敗しない服選びとクローゼットの整え方
ロジックを理解したら、次は実践です。ここからは、無駄な買い物を減らし、毎朝の服選びを楽にするための具体的なアクションプランをお伝えします。
「クローゼットはパンパンなのに着る服がない」という現象は、服の選び方に基準がないために起こります。基準さえ持てば、必要な服と不要な服が明確になります。
ベーシック8割・トレンド2割が最強のバランス
おしゃれな人のクローゼットは、意外なほどシンプルです。その構成比率は、「ベーシックアイテム8割:トレンドアイテム2割」になっています。
ベーシックアイテム(8割)とは、流行に左右されない定番の服です。
白シャツ、黒のテーパードパンツ、ネイビーのジャケット、ベージュのトレンチコート、シンプルなニットなど。これらはコーディネートの「土台」となるご飯やパンのような存在です。
トレンドアイテム(2割)とは、その年の流行色や、特徴的なデザインの服です。
今年流行りのビビッドカラーのスカートや、変形デザインのブラウスなど。これは「スパイス」や「おかず」です。
おしゃれ迷子の方のクローゼットは、この比率が逆転していることが多いのです。「せっかく買うなら変わったデザインを」とトレンド物ばかり買い集め、それらを繋ぐ「土台」がないため、コーディネートが組めずに終わります。
まずは、週に3回着ても誰にも指摘されないような、上質なベーシックアイテムを揃えましょう。地味に見えるかもしれませんが、それこそが「着回し」の要です。ベーシックな土台があって初めて、2割のトレンドアイテムが輝くのです。
試着室で必ず確認すべき「サイズ感」のチェックポイント
服を買う時、試着をせずに買ったり、ただ着てみるだけで終わらせていませんか?試着室は、その服が自分を輝かせるかどうかの「最終オーディション会場」です。厳しく審査しましょう。
サイズタグ(S, M, L)はあくまで目安です。ブランドによって大きさは全く異なります。見るべきはタグではなく、自分の身体とのフィット感です。
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「試着室で直立不動のまま鏡を見て『入ったからOK』とするのは危険です。私たちは日常生活で動きます。必ず以下の動作を行ってください。
1. 腕を上げる・回す:肩や二の腕が突っ張らないか。
2. 椅子に座る(屈伸する):ウエストが食い込まないか、太ももがパツパツにならないか。
3. 後ろ姿を見る:背中の肉感を拾っていないか、下着のラインが出ていないか(合わせ鏡やスマホ撮影で確認)。
特に大人の女性は、背中と二の腕に年齢が出ます。ここをきれいに見せてくれるサイズ選びが、洗練への近道です。」
また、「肩の位置」も重要です。セットインスリーブ(普通の袖付け)の場合、自分の肩の骨と服の肩のラインが合っているかが、きちんと感の生命線です。ここが落ちているとだらしなく、内側に入りすぎていると太って見えます。
プチプラでも「高見え」する素材と、避けるべき素材
予算には限りがあります。全てのアイテムにお金をかける必要はありません。メリハリをつけることが大切です。「投資すべきアイテム」と「安くてもバレない(むしろ賢い)アイテム」を見極めましょう。
以下の表を参考に、予算配分を決めてみてください。
| カテゴリ | 投資すべきアイテム(お金をかける) | プチプラ・安くてもOKなアイテム |
|---|---|---|
| アウター | コート、ジャケット 面積が大きく、全体の印象を決定づける。安い生地はシワや毛羽立ちが目立ちやすい。 |
薄手のカーディガン、レインコート 消耗品として割り切れるもの。 |
| ボトムス | センタープレスパンツ、デニム シルエットの美しさが価格に比例しやすい。 |
フレアスカート、プリーツスカート 布量が多いふんわりしたものは、素材の安っぽさが目立ちにくい。 |
| トップス | カシミヤニット、シルクシャツ 肌触りと光沢感が全く違う。 |
Tシャツ、トレンドデザインのブラウス 汚れやすく洗濯頻度が高いものはプチプラで毎年買い替えるのが清潔感の秘訣。 |
| 小物 | 靴、バッグ、財布 「先端」と「持つもの」には品格が出る。合皮よりも本革を長く使うのがおすすめ。 |
流行のアクセサリー、スカーフ、靴下 遊び心を取り入れる部分。 |
特に避けるべきは、プチプラの「ペラペラのポリエステル」や「編み目の粗いローゲージニット」です。これらは安っぽさが露骨に出ます。逆に、プチプラでも「目の詰まったハイゲージニット」や「ハリのあるコットン素材」は高見えします。素材の「厚み」と「ハリ」を基準に選んでみてください。
30代・40代が陥る「おしゃれ迷子」からの脱出法
「20代の頃に着ていた服が、なんだか似合わない」「同じブランドの服なのに、違和感がある」。30代を超えると、多くの女性がこの壁にぶつかります。
これは老化ではなく、「進化」です。大人の女性としてのステージが変わったサインです。過去の自分にしがみつくのではなく、今の自分に合ったスタイルへアップデートしましょう。
「今まで着ていた服が似合わない」原因は肌質と体型の変化
なぜ似合わなくなるのでしょうか。主な原因は2つあります。
- 肌の質感とトーンの変化:年齢とともに肌のハリやツヤ、血色が変化します。若い頃は肌自体に強いハリがあったため、安っぽい素材や奇抜な色も「若さ」で着こなせました。しかし、大人になると肌と服の素材感のコントラストが目立つようになります。くすんだ色の服を着ると顔色が沈んで見えたり、化学繊維のテカリが肌の粗を目立たせたりします。
- 体型の重心の変化:体重が変わっていなくても、筋肉の衰えにより、バストやヒップの位置が下がり、重心が下がります。また、背中や二の腕、腰回りに丸みが出ます。これにより、若い頃の「Xライン(くびれ強調)」よりも、直線を意識した「Iライン」の方が美しく見えるようになります。
この変化を受け入れ、「隠す」のではなく「きれいに見せる」素材や形を選ぶことが、大人の垢抜けの鍵です。例えば、膝上のミニスカートは卒業し、膝下のタイトスカートやテーパードパンツを選ぶ。首元の開いた服でデコルテをきれいに見せる(レフ板効果を狙う)など、戦略を変えていきましょう。
大人の洗練に必要なのは「引き算」の勇気
若い頃のおしゃれは「足し算」でした。リボン、フリル、柄、アクセサリー…盛れば盛るほど可愛かったかもしれません。しかし、大人のおしゃれは「引き算」です。
要素を盛りすぎると、「頑張っている感」や「若作り」に見えてしまいます。大人の余裕を感じさせるには、あえて「何かを引く」勇気が必要です。
- 大ぶりのネックレスをするなら、ピアスは小さくする。
- 柄物のスカートを履くなら、トップスは無地のシンプルにする。
- メイクをしっかりするなら、ヘアスタイルはラフにまとめる。
「物足りないかな?」と思うくらいが、実は一番洗練されて見えます。鏡の前で一つアクセサリーを外す。その余裕が、あなたをより魅力的に見せてくれます。
骨格タイプ・パーソナルカラー診断を「活用する人」と「縛られる人」
近年流行している「骨格診断」や「パーソナルカラー診断」。これらは非常に有用なツールですが、使い方を間違えると逆におしゃれの幅を狭めてしまいます。
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「診断結果はあくまで『地図』であり、目的地ではありません。『私は骨格ストレートだから、この服は着てはいけない』『イエベだから青は似合わない』と、禁止事項として捉えてしまう方が非常に多いです。これはもったいないことです。
診断は『似合わせるためのテクニック』を知るために使ってください。例えば、苦手な色を着たいなら顔から離れたボトムスに持ってくる、苦手な形の服を着たいなら素材を得意なものにするなど、調整方法はいくらでもあります。診断結果に縛られず、なりたい自分(目的地)に向かうために、地図を賢く利用しましょう。」
「似合う」も大切ですが、「着たい」という気持ちも同じくらい大切です。ロジックを知った上で、あえて外す。それができるようになれば、あなたはもう上級者です。
服以外で差がつく!おしゃれな雰囲気を作る「仕上げ」の魔法
最後に、盲点になりがちな真実をお伝えします。実はおしゃれな雰囲気の正体の半分以上は、「服以外の要素」で構成されています。
どれほど素敵なコーディネートでも、髪がボサボサだったり、猫背だったりすると、すべてが台無しになります。逆に言えば、服がシンプルでも、ここさえ整っていれば「素敵な人」に見えるのです。
髪のツヤと姿勢が「清潔感」の9割を決める
「髪は顔の額縁」と言われます。特に大人の女性にとって、髪のツヤは清潔感そのものです。パサついた髪は、生活感や疲れを感じさせます。高価な服を買う前に、美容院でトリートメントをする、毎朝ヘアオイルをつける。これだけで、見た目年齢は5歳若返り、服が3割増しで良く見えます。
そして「姿勢」。猫背でスマホを見ながら歩いている人と、背筋を伸ばして颯爽と歩いている人。どちらが着ている服が高そうに見えるでしょうか?答えは明白です。美しい姿勢は、服のシルエットを正しく見せるためのハンガーの役割を果たします。頭のてっぺんが天井から糸で吊られているイメージで、背筋を伸ばしましょう。これこそが、0円でできる最高のおしゃれです。
アクセサリーと小物の使い方が「こなれ感」の正体
シンプルな服(ユニクロのTシャツとデニムなど)を着ているのに、なぜかおしゃれに見える人。その秘密はアクセサリーと小物使いにあります。
- 手首にシルバーのバングルをつける。
- 耳元にパールのピアスを光らせる。
- バッグにスカーフを巻く。
これらの「光るもの」「揺れるもの」は、シンプルな服に立体感と奥行きを与えます。特に「3首」の部分にアクセサリーを配置すると、視線が集まり、効果絶大です。服はキャンバス、小物は絵の具と捉え、最後の仕上げを楽しみましょう。
服のメンテナンス(シワ・毛玉)はおしゃれの最低条件
どんなに高価なブランド服でも、シワくちゃだったり、毛玉だらけだったりすれば、それは「ゴミ」と同然に見られてしまいます。厳しいようですが、これが現実です。
- 洗濯物は干す時に入念にシワを伸ばす、あるいはスチームアイロンをかける。
- ニットの毛玉はこまめにカミソリや毛玉取り機で取る。
- 靴の汚れは帰宅後にブラシで落とす。
これらのメンテナンスは、服への愛情であり、それを見る他人への礼儀でもあります。「清潔感」は、洗いたてであることよりも、「手入れされていること」から生まれます。
▼出かける直前の最終確認!「残念な人」にならないための5秒チェックリスト
- □ 背中や裾にシワはついていませんか?(後ろ姿チェック)
- □ 靴のつま先やヒールは汚れていませんか?
- □ 服のタグや糸くずが飛び出していませんか?
- □ 髪の毛(特にアホ毛や後頭部の寝癖)は整っていますか?
- □ ストッキングは伝線していませんか?
- □ 鏡から2メートル離れて全身を見たとき、バランスは良いですか?
おしゃれに関するよくある質問(FAQ)
最後に、スタイリングの現場でよく聞かれる質問にお答えします。多くの人が同じ悩みを抱えています。
Q. センスに自信がないのですが、マネキン買いはアリですか?
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「結論から言うと、大アリです!むしろ、初心者が自己流で組み合わせるよりも、プロ(ショップ店員やブランドのデザイナー)が考え抜いたコーディネートをそのまま着るほうが、確実に失敗しません。
ただし、注意点が一つ。マネキンと自分では『体型』が違います。必ず試着をして、サイズ感が合っているかだけは確認してください。サイズさえ合えば、マネキン買いは『正解の教科書』を買うようなもので、最短でおしゃれになれる賢い手段です。」
Q. 流行を追うのが疲れます。トレンドはどこまで取り入れるべき?
無理に追う必要は全くありません。先ほどお伝えした通り、トレンドは全体の「2割」で十分です。もっと言えば、色や形ではなく「風」を取り入れるだけでもトレンド感は出ます。
例えば、今は「リラックス感」がトレンドなら、少しゆとりのあるサイズを選ぶ。「クラシック」がトレンドなら、スカーフを巻いてみる。その程度のさじ加減で十分です。トレンドに振り回されるのではなく、自分のスタイル(ベーシック)の中に、季節の挨拶状のように少しだけ取り入れる。それくらい軽やかな付き合い方が、大人の余裕です。
Q. 少ない服でおしゃれに着回すコツはありますか?
「着回し」とは、全く違う印象に見せることではなく、「どの組み合わせでも合格点が出せる状態」を作ることです。
コツは、クローゼットの中の色を「3色+1色」程度に絞ることです。例えば、「白・黒・ベージュ」を基本にし、そこに「ブルー」だけ足す。こうすれば、どのトップスとボトムスを合わせても、色が喧嘩することがありません。服が少ない人ほど、色を統一することで、毎日のコーディネートが驚くほど楽に、かつ洗練されて見えます。
まとめ:おしゃれは「知識」で手に入る。まずは3色ルールから始めよう
最後までお読みいただき、ありがとうございます。ここまで読んでくださったあなたは、もう「センスがない」と嘆く必要はありません。おしゃれの正体は、魔法でも才能でもなく、「客観視」「3色ルール」「シルエット」「3首見せ」「清潔感」といったロジックの集合体だと理解できたはずです。
これらは知ってさえいれば、誰にでも、今日からでも実践できる技術です。まずは、明日着る服をベッドの上に並べてみてください。そして、以下の3つだけチェックしてみましょう。
現役パーソナルスタイリストのアドバイス
「ファッションが変われば、背筋が伸びます。背筋が伸びれば、行動が変わります。行動が変われば、出会う人や未来が変わります。たかが服、されど服。あなたが鏡の中の自分を『ちょっといいな』と思える瞬間が増えること。それが、スタイリストとしての私の願いです。まずは靴を磨き、手首を出して、笑顔で出かけてみてください。世界はきっと、あなたに優しく微笑み返してくれますよ。」
おしゃれ度アップのためのTo Doリスト
- [ ] クローゼットの中身を「ベーシック」と「トレンド」に分けてみる
- [ ] 明日のコーディネートを「3色以内」で組んでみる
- [ ] 全身鏡の前で2メートル離れてチェックする(または自撮りする)
- [ ] 靴の汚れを落とし、髪にツヤを出す
- [ ] 3首(首・手首・足首)のどこか1箇所を出して「抜け感」を作る
小さな一歩の積み重ねが、あなただけの素敵なスタイルを作り上げます。自信を持って、ファッションを楽しんでください。
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