韓国ドラマや旅行番組で見かける、大きな鍋で鶏一羽を豪快に煮込む料理「タッカンマリ」。白濁した濃厚なスープと、プリプリの鶏肉を赤いタレにつけて食べるシーンを見て、「家でも食べてみたい!」「でも丸鶏を扱うのは難しそう…」と感じている方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、タッカンマリのおいしさは「鶏の鮮度が生み出すスープ」と「自分好みに育てる特製ダレ(タテギ)」の2点で決まります。特別な丸鶏が手に入らなくても、スーパーで買える食材とちょっとしたコツさえあれば、驚くほど本格的な「美肌鍋」を再現することが可能です。
この記事では、韓国ソウルへの料理留学経験を持ち、現地の味を知り尽くした日韓食文化コーディネーターが監修し、丸鶏を使った本格的な調理法から、手羽元を活用した平日の時短テクニック、そして現地の味を完璧に再現するタレの配合まで、家庭で絶対に失敗しないコツを完全解説します。
この記事を読むことで、以下の3点が明確になります。
- 参鶏湯とは似て非なるもの!タッカンマリの正しい定義と、現地流の粋な楽しみ方
- 専門家が長年の研究で見つけ出した「タテギ(つけダレ)」の黄金比率と、日本の調味料での代用テクニック
- 丸鶏でも切り身でも絶品スープに仕上がる、失敗しない出汁の取り方と最適な煮込み時間
読み終える頃には、あなたの家のキッチンがソウル・東大門(トンデムン)の名店に変わっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
タッカンマリとは?参鶏湯との違いと魅力
まずはじめに、「タッカンマリ」という料理の正体について、その背景や文化的な位置づけを深く掘り下げていきましょう。日本では「韓国風の水炊き」と紹介されることが多いですが、現地の韓国人にとっては単なる鍋料理以上の意味を持っています。
タッカンマリは、素材そのものの味を極限まで引き出す料理であり、シンプルだからこそ誤魔化しがききません。ここでは、よく混同されがちな「参鶏湯(サムゲタン)」との違いを明確にしつつ、なぜこれほどまでに多くの人を魅了するのか、その理由を解説します。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「韓国、特にソウルにおいて『タッカンマリ』は、気取らない庶民のスタミナ食としての地位を確立しています。元々は東大門市場周辺で、忙しい商人たちが手早く栄養を摂るために生まれたと言われています。参鶏湯が『ハレの日』や『伏日(ポンナル)』に食べる特別な薬膳料理だとすれば、タッカンマリはもっと日常的で、仕事帰りに仲間と焼酎(ソジュ)を酌み交わしながら囲む、親しみやすいソウルフードなのです。この『日常感』こそが、タッカンマリの最大の魅力と言えるでしょう」
タッカンマリの意味と歴史(「鶏一羽」という名の豪快鍋)
料理名の「タッカンマリ(닭한마り)」は、韓国語で直訳すると「鶏(タッ)一羽(ハンマリ)」という意味になります。その名の通り、鶏を丸ごと一羽、大きな金だらいのような鍋に入れて煮込むスタイルが最大の特徴です。
この料理の発祥は、1970年代後半のソウル・東大門市場付近だと言われています。当時は特定の料理名がなく、「鶏の水炊き(タッペクスッ)」や「鶏カルグクス(うどん)」などと呼ばれていましたが、客が注文する際に「鶏、一羽(タッ、ハンマリ)!」と叫ぶことが多かったため、それがそのまま料理名として定着したという説が有力です。
単に鶏を煮るだけでなく、煮込んだスープでうどん(カルグクス)を食べることが前提となっている点も、日本の水炊きとは少し異なる文化背景です。市場で働く人々にとって、安くて、腹持ちが良く、栄養満点のタッカンマリは、高度経済成長期の韓国を支えたエネルギー源だったとも言えます。
参鶏湯(サムゲタン)との違いは「食べ方」と「漢方」にあり
「鶏を丸ごと煮込む」という点では共通していますが、タッカンマリと参鶏湯は、調理法、材料、そして食べ方において明確な違いがあります。この違いを理解することが、本格的なタッカンマリ作りの第一歩です。
参鶏湯は、若鶏のお腹の中にもち米、高麗人参、ナツメ、栗などを詰め込み、一人一羽ずつ食べる「自己完結型」の薬膳スープです。一方、タッカンマリは、詰め物をせずに鶏をそのまま煮込み、ハサミで切り分けて複数人でシェアする「鍋料理」です。
以下の比較表で、その違いを整理しました。
| 項目 | タッカンマリ | 参鶏湯(サムゲタン) |
|---|---|---|
| 主な材料 | 鶏一羽(中〜大)、ジャガイモ、ネギ、トッポギ | 若鶏(小)、もち米、高麗人参、ナツメ、栗 |
| 調理法 | 詰め物なしで煮込み、食卓で切り分ける | お腹に食材を詰め、形を保ったまま煮込む |
| 味付け | スープは薄味。「タテギ(辛いタレ)」につけて食べる | スープ自体に漢方の風味。塩胡椒で調整して食べる |
| 食べ方 | 大きな鍋を複数人で囲んでシェアする | 一人用の土鍋(トゥッペギ)で一人一羽食べる |
| 〆(シメ) | カルグクス(うどん)や雑炊が必須 | 中にもち米が入っているため、〆はないことが多い |
このように、タッカンマリは「素材を煮出したスープで具材を楽しみ、最後にタレで自分好みの味にする」という、より自由度の高い料理なのです。
翌朝の肌が変わる?コラーゲンたっぷりの美容・健康効果
タッカンマリが女性に圧倒的な支持を得ている理由の一つが、その美容効果です。鶏肉、特に皮や骨の周りには、肌の弾力を保つために欠かせないコラーゲンが豊富に含まれています。
長時間じっくりと煮込むことで、骨から溶け出したコラーゲンや旨味成分(アミノ酸)がスープに凝縮されます。このスープを余すことなく摂取できるタッカンマリは、まさに「食べる美容液」と言っても過言ではありません。
また、タレに使う唐辛子(カプサイシン)の発汗作用や、ニンニク、ニラなどの香味野菜に含まれるアリシンが代謝を促進し、体を芯から温めてくれます。美味しく食べて、美肌と冷え性改善が期待できる。これが、韓国の女性たちがタッカンマリを愛してやまない理由なのです。
【準備編】家庭で本場の味を出すための材料選び
料理の味の8割は「材料選び」で決まると言われますが、シンプルなタッカンマリにおいては、それが10割に近いと言っても過言ではありません。特に主役である「鶏肉」の選び方は、スープの質を左右する最重要ポイントです。
ここでは、スーパーで手に入る食材を使って、いかに本場の味に近づけるか、その具体的な選び方と代用案をご紹介します。
鶏肉の選び方:丸鶏 vs 骨付きぶつ切り肉(水炊き用) vs 手羽元
本場同様に「中抜き丸鶏(内臓を取り除いた鶏)」を使うのがベストですが、日本の一般的なスーパーでは常時販売されていないことも多いでしょう。また、丸鶏の扱いに抵抗がある方もいらっしゃると思います。そこで、3つのパターンに応じた選び方を解説します。
1. 本格派:中抜き丸鶏(約1kg〜1.2kg)
最も濃厚な出汁が出ます。肉屋で注文するか、大型スーパー、通販で購入可能です。選ぶ際は、皮に張りがあり、ドリップ(赤い汁)が出ていない新鮮なものを選びましょう。冷凍ものよりもチルド(冷蔵)の方が、臭みが少なくジューシーに仕上がります。
2. 実用派:骨付きぶつ切り肉(水炊き用)
スーパーで最も手に入りやすく、かつ本格的な味が出せるおすすめの部位です。骨から良い出汁が出るため、丸鶏に遜色ないスープが作れます。選ぶ際は、骨の断面が赤く鮮やかなものを選んでください。
3. お手軽派:手羽元 + 鶏もも肉
包丁いらずで、最も手軽に作れます。手羽元は骨からの出汁とコラーゲン要員、もも肉は食べるための肉要員として組み合わせるのがコツです。ただし、丸鶏に比べるとどうしてもスープの濃厚さが控えめになるため、煮込み時間を工夫する必要があります。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「丸鶏が手に入らない時、私が強くおすすめするのは『手羽先』を数本追加することです。実は手羽先は、コラーゲンと旨味の宝庫。骨付きぶつ切り肉や手羽元をメインにする場合でも、手羽先を3〜4本加えて煮込むだけで、スープのとろみと濃厚さが劇的にアップします。これが、丸鶏を使わずにプロの味に近づける『魔法のひと手間』です」
必須野菜と、あると嬉しいトッピング(ジャガイモ、トッポギ、ネギ)
タッカンマリの具材は非常にシンプルです。あれこれ入れすぎず、鶏の出汁を吸わせて美味しい食材を厳選しましょう。
- 長ネギ(必須): 青い部分は臭み消しとしてスープに入れ、白い部分は具材として食べます。煮込むとトロトロになり、甘みが増します。
- ジャガイモ(必須): メークインなどの煮崩れしにくい品種がおすすめ。鶏の旨味を吸ったホクホクのジャガイモは、主役の鶏肉を凌ぐ美味しさです。厚めの輪切り(1〜1.5cm)にして投入します。
- トッポギ(餅): 日本の切り餅ではなく、煮込んでも溶けにくい韓国のトッポギ餅を使います。スープにとろみをつけ、食感のアクセントになります。
- エリンギ・ヒラタケ: キノコ類を入れるなら、香りが強すぎないものが合います。シイタケは出汁の主張が強すぎるため、タッカンマリにはあまり使いません。
漢方食材は必要?スーパーで買える代用品(ナツメ、ニンニク、生姜)
本格的なタッカンマリ店では、ファンギ(キバナオギ)やオムナム(ハリギリ)といった漢方食材をスープに入れることがありますが、家庭で作る場合は必ずしも必要ありません。身近な食材で十分に代用可能です。
- ニンニク(必須): 皮をむいた丸ごとのニンニクを、これでもかというほど(10粒以上)入れます。これがスタミナ源となり、スープにパンチを与えます。
- 生姜: 薄切りにして数枚入れます。臭み消しと体を温める効果があります。
- ナツメ(あれば): 乾燥ナツメがスーパーの中華食材売り場にあれば、数個入れるとほのかな甘みと本格的な香りが加わりますが、なくても問題ありません。
道具の準備:ハサミとトングが雰囲気を盛り上げる
形から入ることも、料理を美味しくする重要な要素です。タッカンマリを最大限に楽しむために、ぜひ用意していただきたいのが「キッチンバサミ」と「トング」です。
韓国では、食卓上の鍋の中で、煮えた鶏肉をハサミでジョキジョキと切り分けるパフォーマンスが定番です。この工程があるだけで、食事の場が一気に盛り上がります。切れ味の良いハサミを用意して、現地の食堂気分を味わってみてください。
【実践レシピ】プロが教える失敗しないタッカンマリの作り方
材料が揃ったら、いよいよ調理開始です。ここでは、丸鶏を使う場合を基本にしつつ、ぶつ切り肉や手羽元を使う場合でも応用できる手順を解説します。
タッカンマリ作りで最も大切なのは、「煮込み」の工程です。強火で白濁させるのか、弱火で澄んだスープにするのか。プロの技を交えながら、ステップバイステップで進めていきましょう。
下処理の重要性:臭みを消し、スープを濁らせないプロのひと手間
美味しいスープを作るためには、鶏肉の下処理が9割を占めると言っても過言ではありません。この工程をサボると、雑味や臭みが出てしまい、せっかくの鍋が台無しになってしまいます。
▼丸鶏・骨付き肉の血抜きと洗浄の具体的な手順(詳しく見る)
鶏の骨の周りや内臓の残りには、臭みの原因となる血合いや汚れが付着しています。以下の手順で丁寧に取り除きましょう。
- 内臓の除去(丸鶏の場合): お腹の中に赤い内臓(腎臓など)が残っている場合は、指で掻き出します。これが残っているとスープが苦くなります。
- 流水洗浄: 骨付き肉や手羽元も含め、流水で表面と骨の断面をよく洗います。特に骨の周りの血の塊は丁寧に取り除きます。
- 霜降り処理(重要): 大きな鍋に湯を沸かし、沸騰したら鶏肉を入れます。表面が白くなる程度(約1〜2分)茹でたら、すぐに取り出して冷水に取ります。
- 最終洗浄: 冷水の中で、表面に残った汚れやアク、細かい骨片を指で優しくこすり落とします。皮に残っている毛があれば、この段階で抜いておきます。
この「霜降り→冷水洗い」を行うだけで、アクの出方が劇的に減り、透き通った旨味だけのスープになります。
ステップ1:香味野菜と一緒に水からじっくり煮込む
下処理した鶏肉を、綺麗に洗った鍋に戻します。鶏肉が完全にかぶるくらいの水(約2〜3リットル)を注ぎ、以下の香味野菜を加えます。
- 長ネギの青い部分:2〜3本分
- 玉ねぎ:1個(皮をむいて半分に切る)
- ニンニク:5〜6片(包丁の腹で潰したもの)
- 生姜:薄切り3〜4枚
- 酒:100ml
火にかけ、沸騰するまでは強火です。沸騰したらアクが出てくるので、丁寧にすくい取ります。アクが出なくなったら、ここからが運命の分かれ道です。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「スープの仕上がりは火加減で決まります。現地のお店でも『白濁濃厚スープ』と『清湯(チンタン)あっさりスープ』の2派に分かれます。
濃厚派: 蓋をして中強火で煮立たせ続けます。水と油が乳化し、白くクリーミーなスープになります。
あっさり派: 蓋をずらして弱火でコトコト煮込みます。黄金色に輝く、澄んだスープになります。
家庭でのおすすめは、最初の20分は強火で乳化させ、その後弱火でじっくり旨味を引き出すハイブリッド方式です」
ステップ2:野菜を投入し、ハサミで鶏を解体する(動画映えポイント)
鶏肉に火が通り(丸鶏なら約40〜50分、ぶつ切りなら約20〜30分)、スープが良い味になってきたら、香味野菜(ネギの青い部分や玉ねぎ)を取り出します。
ここで、食べるための具材を投入します。
- ジャガイモ、トッポギ、丸ごとのニンニクを入れます。
- これらが煮えるのを待つ間に、丸鶏の場合はトングとハサミを使って、関節にハサミを入れて解体していきます。「ジョキッ」という音とともに肉汁が溢れ出し、食欲をそそる瞬間です。
- 最後に長ネギの白い部分をたっぷりと乗せ、ひと煮立ちさせれば完成です。
【時短アレンジ】炊飯器や圧力鍋を使った平日夜の簡単レシピ
「平日の夜に1時間も煮込んでいられない!」という方には、炊飯器や圧力鍋を使った時短テクニックがおすすめです。特に手羽元を使う場合は、これらの調理器具を使うことで、短時間でホロホロの食感を実現できます。
| 調理器具 | 加熱時間目安 | 仕上がりの特徴 |
|---|---|---|
| 普通の鍋 | 40〜60分 | スープの乳化具合を調整しやすい。部屋中に良い香りが広がる。 |
| 圧力鍋 | 加圧10〜15分 | 骨から身が外れるほど柔らかくなる。時短効果は最強だが、スープの煮詰まり感は少なめ。 |
| 炊飯器 | 通常炊飯1回 | スイッチ一つで放置可能。じっくり加熱されるため、スープが濁らず綺麗に仕上がる。(※保温調理機能付き推奨) |
※炊飯器を使用する際は、蒸気口からの吹きこぼれに十分注意し、容量の7割程度に留めてください。
味の決め手!「タテギ(特製つけダレ)」の黄金比率と作り方
タッカンマリ本体は、鶏の出汁が出た優しい味のスープです。そのままでも美味しいですが、韓国流の真髄は、パンチの効いた「タテギ(薬味ダレ)」につけて食べることにあります。
このタレの配合こそが、各家庭やお店の「秘伝」であり、味の個性を決定づけます。ここでは、日本にある調味料で作れる、最もバランスの良い黄金比率を公開します。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「私が留学時代、東大門のタッカンマリ横丁で食事をしていた時、隣の席の常連らしきアジュンマ(おばさん)が、私のタレの作り方を見て『それじゃダメだ』とお節介を焼いてくれました。彼女が作ってくれたタレは、大量のタテギにお酢とマスタードをたっぷり入れたもので、衝撃的な美味しさでした。タレは最初から完成させるのではなく、食べながら自分の好みに『育てていく』のが韓国流です」
基本のタテギ:唐辛子粉・醤油・酢・マスタード・ニンニクの配合比
まず、ベースとなる「タテギ(辛味噌)」を作ります。これを小皿に取り、さらに醤油や酢で割って自分用のつけダレにします。
【タテギの素(作りやすい分量)】
- 韓国産粉唐辛子(粗挽き):大さじ2
- 韓国産粉唐辛子(細挽き):大さじ1(なければ粗挽きのみでOK)
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ1
- おろしニンニク:大さじ1
- 鶏のスープ(鍋から取る):大さじ1〜2
これらを混ぜ合わせ、少し置いて馴染ませます。粉唐辛子が水分を吸ってペースト状になれば完成です。
【食べる直前の黄金ブレンド(1人分)】
| 調味料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| タテギの素 | 大さじ1 | 辛味と旨味のベース |
| 醤油 | 大さじ1 | 塩気とコク |
| 酢 | 大さじ1 | さっぱり感とキレ(多めがおすすめ) |
| 練りマスタード | 小さじ1/2〜1 | 鼻に抜ける刺激と酸味(※重要) |
| ニラ(刻み) | 適量 | 食感と風味のアクセント |
この配合を基準に、「もっと辛く」「もっと酸っぱく」と調整してください。特に「酢」と「マスタード」を多めに入れるのが、現地の味に近づくポイントです。
日本の調味料で代用する場合のベストミックス(コチュジャン活用など)
「韓国産の粉唐辛子がない!」という場合は、家にある調味料で代用版を作りましょう。
- コチュジャン代用: コチュジャン大さじ2 + 醤油大さじ1 + 酢大さじ1 + ごま油少々。
※コチュジャンには甘みがあるため、みりんは不要です。少し甘めのタレになりますが、これもまた美味です。 - 一味唐辛子代用: 日本の一味唐辛子は韓国産に比べて辛味が鋭いため、量は半分以下にしてください。パプリカパウダーがあれば混ぜると色味が出ます。
辛いのが苦手な人・子供向けのマイルドタレ・アレンジ
辛いものが苦手な方やお子様には、全く別のタレを用意しましょう。
- ごま油塩ダレ: ごま油 + 塩 + 胡椒。シンプルに鶏の味を楽しめます。
- ポン酢マスタード: ポン酢 + 練りマスタード。さっぱりとしていて、子供でも食べやすい味です。
タッカンマリを2倍楽しむ!本場の食べ方と「〆(シメ)」の流儀
タッカンマリは、ただ食べるだけでなく、コース料理のように段階を追って楽しむ料理です。現地流の流儀を知れば、食卓での会話も弾むこと間違いなしです。
食べる順番の正解:まずはスープとトッポギから
- スープを味わう: 何も味付けしていない、純粋な鶏のスープを一口飲みます。薄いと感じたら、少量の塩胡椒を自分の器で足します。
- トッポギを食べる: 餅は火が通りすぎると溶けてしまうので、浮き上がってきたら食べ頃です。タレにつけて楽しみます。
- 鶏肉とジャガイモ: メインの鶏肉をタレにたっぷり絡めていただきます。ホクホクのジャガイモもスープと一緒に。
- 野菜を追加: 途中でキャベツやニラを追加しても美味しいです。
味変テクニック:後半にキムチ(古漬け)を投入して「キムチ鍋」へ
ある程度食べ進めたら、ここで劇的な味変を行います。用意しておいた「白菜キムチ」を、汁ごと鍋に投入するのです。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「キムチを入れるタイミングは、鶏肉を半分以上食べてからです。そして、ここで使うキムチは、買ってすぐの浅漬けではなく、酸味が出始めた『古漬け(酸っぱいキムチ)』がベストです。乳酸発酵による酸味が鶏の脂っこさを中和し、信じられないほど深いコクを生み出します。現地では、キムチと一緒にタテギも鍋に追加して、真っ赤なスープにして楽しみます」
最高のフィナーレ:韓国うどん「カルグクス」と最後の雑炊(チュク)
タッカンマリの〆と言えば、「カルグクス(韓国うどん)」です。日本のうどんよりもコシがあり、煮込んでも伸びにくいのが特徴です。手に入らなければ、冷凍うどんやちゃんぽん麺でも代用可能です。
鶏と野菜の旨味、そしてキムチの酸味が溶け込んだスープを吸った麺は、まさに絶品。さらに余裕があれば、残ったスープにご飯、刻み海苔、ごま油、卵を入れて「ポックンパ(炒飯風雑炊)」や「チュク(お粥)」にすれば、最後の一滴まで余すことなく堪能できます。
外食派はこちら!新大久保&ソウルのおすすめタッカンマリ店
「家で作るのもいいけど、まずは正解の味を知りたい」「たまには外で本格的な味を楽しみたい」という方のために、間違いのない名店をご紹介します。お店選びの参考にしてください。
【新大久保】日本で本場の味を楽しめる名店3選
東京・新大久保には多くの韓国料理店がありますが、タッカンマリを看板メニューに掲げる店は限られています。中でも評価が高いのは以下の3店舗です。
- コリアタッカンマリ: 店名に掲げるだけあり、専門店としてのこだわりが光ります。スープの透明度が高く、上品な味わいが特徴。
- まいうKOREA: リーズナブルにタッカンマリを楽しめる人気店。サイドメニューも豊富で、ワイワイ楽しむのに最適です。
- 素羅(ソラ): 落ち着いた雰囲気で、ワンランク上のタッカンマリを提供しています。デートや接待にも使えるクオリティです。
【ソウル・東大門】タッカンマリ横丁で絶対に行くべき元祖の店
もし韓国旅行に行く機会があれば、東大門にある「タッカンマリ横丁」は外せません。細い路地に何軒もの専門店がひしめき合っています。
- 陳玉華(チン・オックァ)ハルメ元祖タッカンマリ: 常に大行列ができる、タッカンマリの代名詞的なお店。ニンニクがガツンと効いたスープが特徴で、観光客だけでなく地元の人々にも愛され続けています。
筆者も実際に訪れましたが、席に着くと注文する前に、洗面器のような鍋に入った鶏一羽が「ドン!」と置かれます(メニューが一つしかないため)。店員さんがものすごいスピードでハサミで解体してくれる様子は圧巻です。現地の熱気と共に食べるタッカンマリは、一生の思い出になるでしょう。
タッカンマリ作りでよくある質問(FAQ)
最後に、タッカンマリ作りでよくある失敗や疑問にお答えします。これを知っておけば、初めてでも安心です。
Q. スープが薄い気がします。味を足すなら何が良いですか?
家庭で作る場合、鶏の量が店より少ないため、どうしても出汁が薄くなりがちです。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「塩だけで味を決めようとすると、塩辛いだけで深みのないスープになってしまいます。旨味が足りない時は、『鶏ガラスープの素』を小さじ1〜2杯足すか、韓国の調味料『アミの塩辛(セウジョッ)』や『ダシダ(牛肉だしの素)』を少量加えてみてください。特にアミの塩辛は、発酵の旨味が加わり、劇的にプロの味に近づきます」
Q. 残ったスープの保存方法とリメイクレシピは?
残ったスープは宝物です。ザルで濾して骨や野菜を取り除き、保存容器に入れて冷蔵(2〜3日)または冷凍(1ヶ月)保存可能です。
リメイクレシピとしては、以下がおすすめです。
- 鶏粥: ご飯を入れて煮込み、ごま油と塩で味付け。朝食に最高です。
- カレーのベース: 水の代わりにこのスープでカレーを作ると、驚くほどコクのあるチキンカレーになります。
- ラーメンスープ: 醤油ダレと合わせて、自家製鶏白湯ラーメンに。
Q. 鶏肉が生煮えか心配です。確認方法は?
骨付き肉は火が通りにくいので注意が必要です。最も厚みのある部分(もも肉など)に竹串や箸を刺し、抜いた穴から「透明な肉汁」が出てくれば火が通っています。もし「赤やピンクの濁った汁」が出てくる場合は、まだ生煮えですので、さらに5〜10分煮込んでください。
まとめ:週末は自家製タッカンマリで美肌とスタミナを手に入れよう
ここまで、タッカンマリの魅力から本格レシピ、タレの作り方までを解説してきました。難しそうに見えるタッカンマリですが、ポイントさえ押さえれば、家庭でも十分に本場の味を再現できます。
最後に、美味しいタッカンマリを作るための重要ポイントを振り返りましょう。
- 鶏肉は鮮度が命: 可能な限り新鮮な骨付き肉を選び、丁寧な下処理(血抜き・霜降り)を行う。
- 煮込みは大胆かつ繊細に: 最初は強火で乳化させ、後は弱火でじっくり旨味を引き出す。
- タレ(タテギ)は自分で育てる: 醤油、酢、マスタードの黄金比率をベースに、自分好みの味を見つける。
- 〆までがタッカンマリ: カルグクスや雑炊で、コラーゲンたっぷりのスープを最後の一滴まで味わい尽くす。
日韓食文化コーディネーターのアドバイス
「韓国には『食治(シクチ)』、つまり食事で体を治すという考え方があります。季節の変わり目や、少し疲れを感じた時、温かいタッカンマリを囲んで汗をかけば、心も体も軽くなるのを感じるはずです。ぜひ今度の週末は、大切な人と一緒に自家製タッカンマリを楽しんでみてください。翌朝の肌のハリと体調の良さに、きっと驚かれるはずです」
さあ、今すぐスーパーへ行って、新鮮な鶏肉と野菜を買いに行きましょう!
▼タッカンマリ作り・買い物リスト(スクリーンショット用)
- 精肉コーナー
- 鶏肉(丸鶏、または骨付きぶつ切り肉、手羽元):合計1kg〜1.2kg
- 野菜コーナー
- 長ネギ:2〜3本
- ジャガイモ(メークイン):2〜3個
- 玉ねぎ:1個
- ニラ:1束
- 生姜:1片
- ニンニク:2玉(バラ売りなら15片以上)
- その他・調味料
- トッポギ餅
- うどん(〆用)
- キムチ(できれば酸っぱいもの)
- 韓国産粉唐辛子(粗挽き・細挽き)
- 醤油、酢、みりん、酒、練りマスタード
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