秋は、夏の猛暑が去り、植物にとっても人間にとっても過ごしやすい季節です。害虫の活動が少しずつ減り、植物の根付きも良くなるため、実は春以上にガーデニングを始めるのに最適なシーズンだといえます。しかし、「秋に植えてもすぐに冬が来て枯れてしまうのでは?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
結論をお伝えすると、品種選びさえ間違えなければ、秋から冬、そして春まで半年以上も花を楽しむことが可能です。この記事では、造園施工管理技士として業界歴20年の経験を持つ筆者が、初心者の方でも育てやすく、コストパフォーマンスに優れた「本当に長く咲く秋の花」を厳選してご紹介します。
この記事を読むことで、以下の3つのポイントを確実にマスターできます。
- 忙しい毎日でも失敗しない!秋の花選びにおける「3つの鉄則」
- プランターでも地植えでも楽しめる、プロ厳選の15品種と開花カレンダー
- センスが良いと褒められる、プロ直伝の寄せ植えテクニックと冬越しのコツ
ただ花を植えるだけでなく、その後の管理や翌春の姿まで見据えた「プロの視点」を余すところなくお伝えします。ぜひ、この記事を参考に、秋の庭やベランダを彩り豊かな癒やしの空間に変えてみてください。
秋のガーデニングで失敗しない「花選び」3つの鉄則
園芸店やホームセンターの店頭には、秋になると色とりどりの花が並びます。その美しさに惹かれて衝動買いをしてしまい、「植えてすぐに枯れてしまった」「思ったよりも花が咲かなかった」という失敗経験をお持ちの方も多いはずです。秋のガーデニングを成功させるためには、品種ごとの特性を理解し、自分のライフスタイルや環境に合った花を選ぶことが何よりも重要です。
ここでは、具体的な品種紹介に入る前に、プロが必ずチェックしている「花選びの3つの鉄則」を解説します。この基準を持つだけで、無駄な出費を抑え、長く美しい状態をキープできるようになります。
「一年草」と「宿根草(多年草)」の使い分けを意識する
ガーデニングにおいて最も基本的な分類が、「一年草」と「宿根草(多年草)」の違いです。この2つの性質を理解し、適材適所で使い分けることが、手間を減らしつつ見栄えの良い庭を作るコツです。
一年草は、種をまいてから一年以内に開花し、種を残して枯れていく植物です。パンジーやコスモスなどが代表的です。一年草の最大のメリットは、「開花期間が長く、花つきが良いこと」です。植物自体が限られた寿命の中で子孫を残そうとするため、次から次へと花を咲かせます。また、安価で入手しやすく、季節ごとに植え替えることで庭の雰囲気をガラリと変えることができます。一方で、毎年植え替えの手間とコストがかかる点がデメリットです。
宿根草(多年草)は、一度植えれば根が残り、毎年決まった時期に花を咲かせる植物です。シュウメイギクやクリスマスローズなどがこれに当たります。メリットは「植えっぱなしで管理が楽」な点と、年々株が大きくなり見応えが増す点です。初期費用は一年草より高めですが、長い目で見れば経済的です。ただし、一年草に比べて開花期間が短いものが多く、花が咲いていない時期(葉だけの時期や休眠期)の景観をどう維持するかが課題となります。
初心者の方におすすめの比率は、「一年草7:宿根草3」、あるいは「一年草6:宿根草4」です。華やかな一年草をメインにしつつ、背景やアクセントとして宿根草を配置することで、常に花がある状態を保ちながら、徐々に「育てる庭」を作っていくことができます。
「開花期間」を確認し、冬まで楽しめる花を選ぶ
「秋の花」と一口に言っても、その開花期間は様々です。9月から10月の短い期間だけ咲く花もあれば、10月から翌年の5月頃まで咲き続ける花もあります。パッケージやラベルに記載されている「開花期」を必ず確認しましょう。
特に秋のガーデニングでは、「耐寒性」の有無が重要です。11月以降、気温が下がっても咲き続けることができるかどうかが、コストパフォーマンスを大きく左右します。例えば、コスモスやケイトウは秋の風情を感じさせる素晴らしい花ですが、霜が降りると枯れてしまう「非耐寒性」または「半耐寒性」の植物です。これらは「秋限定の楽しみ」として割り切って植えるのが正解です。
一方で、パンジー、ビオラ、ガーデンシクラメンなどは耐寒性が強く、真冬の寒さにも耐えて春まで咲き続けます。ベースとなる花壇や寄せ植えにはこれらの「ロングラン品種」を選び、季節感を出すためのアクセントとして短期間の秋の花を取り入れるのが、賢い組み合わせ方です。
苗の購入は「蕾が多いもの」を選ぶのが正解
いざお店で苗を選ぶ際、つい「今満開の花」を手に取りたくなりますが、これは避けたほうが無難です。すでに満開の株は、お店での陳列期間中にエネルギーを使い果たしている場合があり、植え付け後の環境変化に対応できずに弱ってしまうことがあるからです。
プロが良い苗を選ぶ際のチェックポイントは以下の3点です。
- 蕾(つぼみ)の数: まだ咲いていない蕾がたくさん控えているか。これが将来の花数に直結します。
- 株元のぐらつき: 茎の根元を軽く持ち、ぐらぐらしていないか確認します。しっかり根が張っている苗は、植え替え後の定着もスムーズです。
- 下葉の状態: 株元の葉が黄色くなっていたり、カビが生えていたりしないか。病気や害虫のリスクを避けるため、下葉まで緑色が濃く元気なものを選びましょう。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターのアドバイス
「店頭で満開の花がついている苗は魅力的ですが、植え付けのダメージを受けやすく、その後の寿命が短い傾向があります。長く楽しむなら、株元がぐらつかず、蕾がたくさん控えている『これから』の苗を選びましょう。特に秋は、これから気温が下がっていくため、根がしっかりと張っていることが冬越しの成功率を左右します。ポットの底から白い根が少し見えているくらい元気な苗がベストです。」
【目的別】秋から冬まで長く咲く!おすすめの秋の花厳選15選
ここからは、数ある秋の花の中から、プロの視点で厳選した15品種をご紹介します。単なる羅列ではなく、「初心者向け」「季節感重視」「植えっぱなしOK」「日陰対応」という4つのカテゴリに分けて解説しますので、ご自宅の環境や目的に合わせて選んでみてください。
まずは、各花の開花時期と難易度をまとめた一覧表をご覧ください。
▼ 秋の花 開花時期&難易度一覧カレンダー(クリックして開く)
| 品種名 | 分類 | 開花時期 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| パンジー・ビオラ | 一年草 | 10月〜5月 | ★☆☆ | 寒さに最強、半年以上咲く |
| ガーデンシクラメン | 球根(多年草扱) | 10月〜4月 | ★★☆ | 冬の彩りに最適 |
| ノースポール | 一年草 | 12月〜5月 | ★☆☆ | 丈夫で白い花が次々咲く |
| アリッサム | 一年草(多年草扱) | 10月〜5月 | ★☆☆ | 香りが良く寄せ植え向き |
| コスモス | 一年草 | 9月〜11月 | ★☆☆ | 秋の代名詞、風情がある |
| ダリア | 球根 | 9月〜11月 | ★★☆ | 豪華で存在感抜群 |
| ケイトウ | 一年草 | 8月〜11月 | ★☆☆ | ドライフラワーにもなる |
| マム(菊) | 宿根草 | 9月〜11月 | ★★☆ | 種類豊富で丈夫 |
| シュウメイギク | 宿根草 | 9月〜11月 | ★★☆ | 和の趣、半日陰でもOK |
| アメジストセージ | 宿根草 | 9月〜11月 | ★★☆ | ベルベットのような質感 |
| ナデシコ | 宿根草 | 4月〜11月 | ★☆☆ | 四季咲き性が強い |
| キンモクセイ | 花木 | 9月〜10月 | ★☆☆ | 香りが素晴らしい |
| インパチェンス | 一年草 | 5月〜11月 | ★☆☆ | 日陰の花壇を明るくする |
| ベゴニア | 一年草(多年草扱) | 4月〜11月 | ★☆☆ | 銅葉品種が秋に合う |
| ヤブラン | 宿根草 | 8月〜10月 | ★☆☆ | 最強のメンテナンスフリー |
【初心者向け】寒さに強く春まで咲き続ける定番の花(4選)
ガーデニング初心者の方が最初に選ぶべきなのは、環境適応能力が高く、多少の水やり忘れや寒さにも耐える強健な品種です。以下の4種は「失敗知らず」の鉄板フラワーです。
パンジー・ビオラ
秋から春のガーデニングにおける絶対的な主役です。寒さに非常に強く、雪が積もっても枯れないほどの生命力を持ちます。パンジーは花が大きく豪華、ビオラは小輪で花数が多いのが特徴ですが、最近は中間的な品種も増えています。品種改良が盛んで、フリル咲きやアンティークカラーなど、毎年新しい色や形が登場するため、選ぶ楽しみが尽きません。日当たりと水はけの良い場所を好みます。
ガーデンシクラメン
室内用のシクラメンを品種改良し、耐寒性を高めたものがガーデンシクラメンです。冬の貴婦人とも呼ばれる上品な花姿が魅力で、赤、白、ピンクなどの鮮やかな色が、寂しくなりがちな冬の花壇を明るく彩ります。球根植物ですが、植えっぱなしで楽しむのが一般的です。過湿を嫌うため、土が乾いてからたっぷりと水を与え、花や葉に直接水をかけないように株元に注ぐのがコツです。
ノースポール
マーガレットを小さくしたような、中心が黄色で花弁が白い可憐な花です。非常に丈夫で生育旺盛、こぼれ種でも増えるほどです。寒さには強いですが、厳寒期は一時的に花が休むことがあります。春になると爆発的に花数が増え、株全体が白く覆われる姿は圧巻です。どんな色の花とも相性が良いため、寄せ植えの「つなぎ」としても重宝します。
アリッサム(スイートアリッサム)
小花が密集して手毬のように咲く、這い性(横に広がる性質)の植物です。甘い芳香があり、ベランダや玄関先に植えるとふんわりと良い香りが漂います。白、紫、ピンクなどの色があり、寄せ植えの縁取りや、ハンギングバスケットから垂らすように植えるのがおすすめです。乾燥には強いですが、過湿と蒸れには弱いため、風通しの良い場所で管理しましょう。
【秋の風情】季節感を演出する主役級の花(4選)
「秋らしさ」を庭に取り入れたいなら、以下の4種がおすすめです。開花期間は冬まで続きませんが、その分、秋の空気に映える独特の美しさを持っています。
コスモス
秋の桜と書く通り、日本の秋を代表する花です。風に揺れる姿には何とも言えない風情があります。地植えにすると背が高くなりすぎることがありますが、最近は「ソナタ」シリーズのように草丈が低く、プランターでも育てやすい矮性(わいせい)品種が人気です。日当たりさえ良ければ土質を選ばず育ちます。
ダリア
メキシコ原産の球根植物で、その存在感と華やかさは秋の花の中でも群を抜いています。花の大きさは直径30cmを超える巨大輪から、小ぶりなポンポン咲きまで多種多様。特に秋に咲くダリアは、昼夜の温度差により花色が鮮やかに冴え渡ります。支柱が必要な品種が多いですが、一株あるだけで庭のグレードが一気に上がります。
ケイトウ(セロシア)
鶏のトサカのような形や、キャンドルのような形状の花穂が特徴です。赤、黄色、オレンジといったビタミンカラーが多く、ハロウィンの寄せ植えにもぴったりです。ドライフラワーにしても色が綺麗に残るため、切り花として楽しんだ後にスワッグ(壁飾り)にするのも人気です。寒さには弱いため、霜が降りるまでの楽しみとなります。
マム(菊)
かつては仏花のイメージが強かった菊ですが、現在は「マム」と呼ばれ、欧米で品種改良されたおしゃれな品種が逆輸入されています。まん丸い「ポンポンマム」や、花弁がスプーンのような形をしたものなど、洋風ガーデンに似合うデザインが豊富です。非常に丈夫で、挿し木で簡単に増やすことができます。
【植えっぱなしOK】毎年咲いて手間いらずの宿根草・花木(4選)
忙しい方や、ローメンテナンスな庭を目指す方に最適なのが、一度植えれば毎年咲いてくれる宿根草や花木です。
シュウメイギク(秋明菊)
菊という名がついていますが、実はアネモネの仲間です。すらりと伸びた茎の先に、白やピンクの上品な花を咲かせます。和風の庭はもちろん、ナチュラルな洋風ガーデンにもよく馴染みます。半日陰でも育つ貴重な秋の花で、地下茎で増えて群生する姿は見事です。乾燥を嫌うため、水切れには注意が必要です。
アメジストセージ(サルビア・レウカンサ)
ベルベットのような質感を持つ紫色のガクと、そこから伸びる花が美しいハーブの一種です。晩秋まで長く咲き続け、シルバーグリーンの葉も観賞価値があります。非常に生育旺盛で、地植えにすると大きく広がります。プランターの場合は大きめの鉢を用意しましょう。冬に地上部は枯れますが、根は生きており春に新芽を出します。
ナデシコ(ダイアンサス)
「大和撫子」の名で親しまれる日本古来の花ですが、現在は四季咲き性の強い園芸品種が多く出回っています。春と秋の二度見頃を迎えるものが多く、暑さ寒さに強いため、初心者でも容易に育てられます。花色や模様のバリエーションが豊富で、草丈も低くまとまるため、花壇の最前列に適しています。
キンモクセイ
オレンジ色の小花と、甘く芳醇な香りで秋の訪れを告げる常緑花木です。庭木として人気ですが、最近は鉢植えでコンパクトに楽しむ方も増えています。日当たりを好みますが、大気汚染にも強く丈夫です。花期は短いですが、常緑樹なので冬の目隠しとしても機能します。
【日陰・半日陰】シェードガーデンを彩る花(3選)
「うちは日当たりが悪いから…」と諦める必要はありません。秋の柔らかな光や、半日陰の環境を好む植物も存在します。
インパチェンス
初夏から晩秋まで長く咲く一年草です。強い直射日光が苦手で、明るい日陰や半日陰を好みます。北向きの玄関や、木漏れ日の当たる場所を明るく彩るのに最適です。水切れに弱いため、土の表面が乾きかけたらたっぷりと水を与えましょう。八重咲きの品種はミニバラのように華やかです。
ベゴニア(センパフローレンス)
肉厚の葉と鮮やかな花が特徴で、乾燥にも過湿にも比較的強い万能選手です。特に葉が銅色(赤黒い色)をしている「銅葉」の品種は、秋のシックな雰囲気にマッチします。耐陰性があり、日当たりの悪い場所でも徒長しにくいのが強みです。寒さにはやや弱いため、霜が降りる前に軒下や室内に取り込むと冬越しできることもあります。
ヤブラン
細長い葉の間から、紫色の小花を穂状に咲かせる常緑の宿根草です。日本自生種なので気候に完全に適応しており、日陰、乾燥、病害虫に強く、ほぼメンテナンスフリーで育ちます。秋に咲く花の後には黒く艶のある実がなり、冬の庭のアクセントになります。斑入り葉の品種は、暗い場所を明るく見せる効果があります。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターのアドバイス
「共働きで平日の水やりが難しい方には、『植えっぱなし』で毎年咲くシュウメイギクや、乾燥に比較的強いアメジストセージがおすすめです。一度根付いてしまえば、ほとんど手間をかけずに毎年秋の庭を彩ってくれます。特にシュウメイギクは、少し湿り気のある日陰でも元気に育つため、植物が育ちにくい場所の救世主になりますよ。」
センス良く見える!秋の花の「寄せ植え」デザインと組み合わせ
お気に入りの花が見つかったら、次はそれらを組み合わせて「寄せ植え」に挑戦してみましょう。単体で植えるよりも、色や草丈の異なる植物を組み合わせることで、より物語性のある美しいシーンを作り出すことができます。
ここでは、誰でも簡単におしゃれな雰囲気を演出できる、3つの配色・植栽テクニックをご紹介します。
秋色の王道「ハロウィンカラー」でまとめる(オレンジ×紫)
10月のイベントとして定着したハロウィンを意識した配色は、秋の庭をポップで楽しい雰囲気にしてくれます。キーカラーは「オレンジ」と「紫」、そして引き締め役の「黒(ダークカラー)」です。
例えば、オレンジ色のビオラやケイトウをメインにし、その横に紫色の観賞用トウガラシやアメジストセージを配置します。さらに、黒竜(コクリュウ)のような黒っぽい葉を持つ植物を足元に添えることで、全体が引き締まり、子供っぽくなりすぎない大人のハロウィン寄せ植えが完成します。鉢をテラコッタ(素焼き)やブリキ素材にすると、よりカントリーな雰囲気が高まります。
大人っぽくシックに「アンティークカラー」で作る(銅葉×くすみピンク)
最近のトレンドは、鮮やかすぎない「くすみカラー(ニュアンスカラー)」を使った寄せ植えです。落ち着いた秋の光に非常によく馴染みます。
主役には、アンティークピンクやベージュ系のパンジーを選びます。合わせるリーフ(葉もの)には、明るい緑ではなく、チョコレート色のヒューケラや、銅葉のクローバーなどを選びましょう。全体を同系色のグラデーションでまとめることで、まるで絵画のようなシックで洗練された印象になります。白い鉢やグレーの鉢に植えると、花の色がより一層引き立ちます。
春を見越した「ダブルデッカー植え」のすすめ
秋のガーデニングの醍醐味の一つに、「春への準備」があります。限られたスペースを有効活用し、秋から春まで長く、しかも変化を楽しめるのが「ダブルデッカー(二層)植え」というテクニックです。
▼ ダブルデッカー植えの具体的な手順(クリックして詳細を見る)
ダブルデッカーとは、ロンドンの2階建てバスのように、土の中で球根と苗を2層に重ねて植える方法です。
- 鉢の準備: 深さのあるプランターを用意し、鉢底石を敷いて培養土を鉢の深さの半分ほど入れます。
- 1階部分(球根): 春に咲くチューリップやスイセンなどの球根を配置します。球根同士の間隔は、詰め込みすぎず、球根1個分くらい空けるのが目安です。
- 土を被せる: 球根が隠れる程度に土を被せます。
- 2階部分(花苗): その上に、秋から咲くビオラやパンジー、アリッサムなどの苗を配置します。この時、下の球根の真上に苗の根鉢が来ないよう、少しずらして配置すると、球根の芽が出やすくなります。
- 仕上げ: 苗の隙間に土を入れ、たっぷりと水をやります。
こうすることで、秋から冬はビオラの花を楽しみ、春になるとビオラの間からチューリップが芽を出して花を咲かせるという、一度で二度おいしい豪華な寄せ植えになります。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターのアドバイス
「寄せ植えで失敗する最大の原因は『生育環境の不一致』です。例えば、乾燥を好むラベンダーと、水を欲しがるインパチェンスを一緒に植えると、どちらかが必ず弱ってしまいます。必ず『水やり頻度』と『日当たり』の好みが似ている植物同士を組み合わせましょう。また、詰め込みすぎにも注意です。植物は成長しますので、植え付け時は『少し隙間があるかな?』くらいが、風通しも良く、後の成長にとって理想的です。」
10月・11月のお手入れは?秋のガーデニング管理テクニック
秋は植物にとって過ごしやすい季節ですが、夏とは違った管理のコツがあります。「せっかく植えた花を枯らしたくない」という方のために、秋特有の水やり、肥料、病害虫対策について解説します。
【水やり】夏とは違う!「朝イチ」にたっぷりと
夏は朝夕の2回水やりが必要でしたが、秋になり気温が下がってくると、土の乾きも遅くなります。水のやりすぎは「根腐れ」の原因になるため、必ず「土の表面が白く乾いてから」たっぷりと与えるのが基本です。
重要なのは時間帯です。秋以降は、夕方に水をやると夜間の気温低下で土の中の水分が冷え、根を傷めたり、最悪の場合は凍結してしまう恐れがあります。水やりは必ず「暖かい日の午前中(朝イチ)」に行いましょう。これにより、日中の暖かさで余分な水分が蒸発し、夜には適度な湿り具合になります。
【肥料】長く咲かせるための追肥のタイミング
パンジーやビオラのように、次々と花を咲かせる植物は「肥料食い」です。植え付け時に土に混ぜる「元肥(もとごえ)」だけでは、春までスタミナが持ちません。
植え付けから2週間ほど経ち、根が落ち着いてきたら「追肥(ついひ)」を始めます。固形の緩効性肥料を月に1回株元に置くか、液体肥料を10日〜2週間に1回、水やりの代わりに与えましょう。ただし、真冬(1月〜2月)で植物の成長が止まっている時期は、肥料を与えすぎると根が肥料焼けを起こすことがあるため、控えめにします。
【病害虫】秋に発生しやすい虫と予防策
秋は夏に比べて虫は減りますが、油断は禁物です。特に注意したいのが、アブラムシとヨトウムシ(夜盗虫)です。
- アブラムシ: 新芽や蕾に群生し、汁を吸います。見つけ次第、粘着テープで取るか、薬剤を散布します。オルトランなどの粒剤を植え付け時に土に撒いておくと予防になります。
- ヨトウムシ: 昼間は土の中に隠れ、夜になると出てきて葉や花を食い荒らします。「朝起きたら葉っぱがボロボロになっていた」という場合はこの虫の仕業です。株元の土を軽く掘って幼虫を見つけ出し捕殺するか、夜間に見回りをして対処します。
【冬越し準備】霜が降りる前にやっておくべきこと
本格的な冬が来る前に、寒さ対策の準備をしておきましょう。耐寒性のある植物でも、霜柱が立つと根が持ち上げられて枯れてしまうことがあります。
地植えの場合は、株元に腐葉土やバークチップを敷く「マルチング」を行うと、地温の低下を防げます。鉢植えの場合は、霜が直接当たらない軒下に移動させるか、夜間だけ不織布や段ボールを被せるなどの対策が有効です。特に寒風が吹き付ける場所は植物が乾燥しやすいため、風よけを設置するのも効果的です。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターのアドバイス
「秋は意外と雨が多い季節です。長雨が続くと、パンジーなどは花びらが溶けたり、蒸れて灰色かび病が発生しやすくなります。雨が続く予報の時は、鉢植えを軒下に移動させるか、すでに咲き終わった花(花がら)や枯れた下葉をこまめに摘み取って、株の風通しを良くしておくことが重要です。この『花がら摘み』こそが、病気を防ぎ、花数を増やす一番の特効薬です。」
秋の花に関するよくある質問(FAQ)
最後に、秋のガーデニングに関して、初心者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 虫が苦手なのですが、虫がつきにくい秋の花はありますか?
虫が全くつかない植物はありませんが、比較的つきにくいものはあります。ハーブ系の植物は独特の香りを虫が嫌う傾向があります。例えば、今回紹介したアメジストセージやアリッサム、またはローズマリーなどは比較的虫害が少ないです。また、ビオラもアブラムシ以外はつきにくい部類に入ります。逆に、アブラナ科の葉牡丹などは青虫がつきやすいので注意が必要です。
Q. ベランダの日当たりが悪いのですが、それでも育つ花は?
日照時間が1日2〜3時間程度、あるいは木漏れ日程度であれば、インパチェンス、ベゴニア、シュウメイギク、ヤブランなどが元気に育ちます。また、ビオラやパンジーも、花数は多少減りますが、明るい日陰なら徒長(ひょろひょろ伸びること)しつつも花を咲かせてくれます。日陰でも育つカラーリーフ(ヒューケラなど)と組み合わせると、花が少なくても華やかな印象を作れます。
Q. 終わった花(花がら)はどこで切ればいいですか?
花びらだけをむしり取るのではなく、「花茎(かけい)の根元」から切り取るのが正解です。花茎を残しておくと、そこから腐ったり、種を作ろうとして余計なエネルギーを使ってしまいます。ハサミを使わなくても、手で茎の根元をつまんでひねるようにすると簡単に取れる品種も多いです。
Q. 秋に種をまくのと苗を買うの、初心者はどっちが良い?
コスト面では種まきが圧倒的に安いですが、発芽から開花までの管理には手間と技術が必要です。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターのアドバイス
「初心者の方には断然『苗からのスタート』をおすすめします。秋まきの種は、残暑が厳しい時期の温度管理や、発芽後の間引き、ポット上げなど、開花までにいくつものハードルがあります。まずは苗を購入して『植えてすぐに綺麗』という成功体験を積み、植物の扱いに慣れてきたら、翌年に簡単な品種(コスモスやノースポールなど)から種まきに挑戦するのが良いでしょう。」
まとめ:秋の花で庭をリフレッシュして、心豊かな冬を迎えよう
秋のガーデニングは、夏の疲れを癒やし、これから迎える冬、そして春への希望を育む素晴らしい趣味です。今回ご紹介した「失敗しない選び方」と「厳選15品種」を参考にすれば、初心者の方でも必ず美しい秋の庭を実現できます。
最後に、作業前の最終確認としてチェックリストをご用意しました。
秋のガーデニング成功チェックリスト
- 植えたい場所の日当たり(半日以上日が当たるか、日陰か)を確認しましたか?
- 自分のライフスタイル(毎日水やりできるか、週末だけか)に合った品種を選びましたか?
- 購入する苗は「今満開のもの」ではなく、「蕾が多く、株元がぐらつかないもの」を選びましたか?
- 新しい清潔な培養土と、水はけを良くする鉢底石を用意しましたか?
- 植え付け後は、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えましたか?
これらをクリアしていれば、準備は万端です。土に触れ、植物の成長を見守る時間は、忙しい日常の中で極上のリフレッシュタイムになるはずです。
業界歴20年のガーデニング・コーディネーターからのエール
「秋のガーデニングは、夏の灼熱から解放され、蚊も少なくなり、植物とじっくり向き合える最高の時間です。最初から完璧なイングリッシュガーデンを目指す必要はありません。まずは気に入った花を一鉢、玄関やベランダに飾ることから始めてみてください。その一鉢が、日々の暮らしに驚くほどの潤いと彩りを与えてくれるはずです。ぜひ今日から、秋の花のある生活を始めてみてください。」
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