「手帳やメモに、ちょこっと可愛いイラストを添えてみたい」
そう思ったものの、いざペンを持つと「何を描いてもバランスがおかしい」「センスがないから無理」と諦めてしまった経験はありませんか?
結論から申し上げますと、イラストを描くのに特別な才能や高価な画材は一切必要ありません。私たちが普段目にする「ゆるくて可愛いイラスト」の正体は、実は「○・△・□」という単純な図形の組み合わせに過ぎないのです。
本記事では、累計3,000名以上の生徒さんにイラストを指導してきた経験を持つ筆者が、誰でも驚くほど簡単に描ける「魔法のテクニック」を余すところなくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは以下の3つのスキルを習得しているはずです。
- プロ直伝!「図形の組み合わせ」だけで描く、絵心不要の描画メソッド
- 人物・動物・植物・アイコンまで、マネするだけですぐに使える簡単レシピ50選
- 線が歪んでも失敗しても、それを「味」に変えてしまうプロの修正&アレンジ術
さあ、お手元のボールペンを1本用意して、童心に帰ったつもりで一緒に描いてみましょう。あなたの手帳やメッセージカードが、今日から見違えるほど華やかになることをお約束します。
【準備編】まずはここから!簡単イラストを描くための道具と心構え
「イラストを始めるなら、画材屋さんで専用のペンやスケッチブックを買わなきゃいけないの?」
そんなふうに身構える必要はありません。むしろ、気合を入れて道具を揃えすぎることは、初心者にとって「失敗できない」というプレッシャーになりかねません。ここでは、今日からすぐに始められる、最もハードルの低い道具選びと心構えについて解説します。
弘法筆を選ばず?いいえ、初心者は「水性ゲルインク」を選ぼう
「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、こと初心者のイラストに関しては、道具選びが上達のスピードを大きく左右します。結論から言えば、私が最もおすすめするのは「水性ゲルインクボールペン」です。
なぜ油性ボールペンではなく、水性ゲルインクなのでしょうか。その理由は「インクフロー(インクの出方)」にあります。一般的な油性ボールペンは、筆圧をかけないとインクが出にくく、線が途切れがちです。力を入れて描くと線が硬くなり、どうしても「事務的な文字」のような雰囲気になってしまいます。
一方、水性ゲルインクボールペンは、紙の上を滑らせるだけでサラサラとインクが出てきます。弱い筆圧でも濃くはっきりとした線が引けるため、イラスト特有の「ゆるさ」や「柔らかさ」を表現しやすいのです。
太さは「0.5mm」が標準的でおすすめですが、よりポップで元気な印象にしたい場合は「0.7mm」、手帳の小さなスペースに細かく描きたい場合は「0.38mm」を選ぶと良いでしょう。色は、真っ黒(ブラック)も良いですが、「ブルーブラック」や「ダークブラウン(セピア)」を選ぶと、それだけでプロっぽいお洒落な雰囲気が醸し出せます。黒ほどコントラストが強くないため、多少線が歪んでも目立ちにくいというメリットもあります。
紙は何でもOK!裏紙や手帳の隅っこが最高の練習場所に
練習用の紙に関しては、高価なスケッチブックや上質紙を用意する必要は全くありません。むしろ、真っ白で立派な紙を目の前にすると、「上手に描かなきゃもったいない」という心理的ブロックが働いてしまいます。
初心者の方に特におすすめなのは、「コピー用紙の裏紙」や「使い古した封筒の裏」です。これらは「失敗しても捨てるだけ」と思えるため、心のブレーキを外してのびのびと線を引くことができます。イラストの上達において最も重要なのは「描いた線の総量」ですので、質より量を重視して、気兼ねなく消費できる紙を選びましょう。
また、普段使っている手帳やノートの隅っこも絶好のキャンバスです。罫線や方眼が入っている紙は、バランスを取るためのガイドラインとして活用できるため、実は無地の紙よりも形を取りやすいのです。「方眼の2マス分を顔にする」といった具合に、自分なりの基準を作ることができるので、ぜひ活用してみてください。
「うまく描こう」は禁止!「伝わればOK」が上達の近道
技術的なこと以上に大切なのが、描くときの心構えです。多くの人が「絵心がない」と感じてしまう最大の原因は、頭の中にある「実物のイメージ」と「自分の描いた絵」を比較して、そのギャップに落胆してしまうことにあります。
しかし、私たちが目指す「ゆるかわイラスト」においては、写実的な正確さは必要ありません。むしろ、正確すぎると「図鑑」や「説明書」のようになってしまい、可愛らしさが失われてしまいます。
ここで意識していただきたいのは、「うまく描こう」とするのではなく、「伝わればOK」と割り切ることです。例えば、猫を描くときに、筋肉の構造や毛並みを正確に描く必要はありません。「耳が三角で、ヒゲがあれば猫に見える」という記号的な特徴さえ捉えていれば十分なのです。
線が歪んでしまっても、それは「失敗」ではなく「手書きの味」です。定規で引いたような真っ直ぐな線よりも、人間味があって温かい印象を与えます。自分の描く線の揺らぎを愛でるくらいの気持ちで、リラックスしてペンを走らせてください。
イラスト講座講師のアドバイス
「私の教室でもよくお伝えしているのですが、線のブレや歪みは『手書きの温かみ』そのものです。定規で引いたような無機質な線よりも、少し震えた線の方が『ゆるかわ』に見えるので、自信を持って線を引いてください。プロのイラストレーターがあえて左手で描いたり、目を閉じて描いたりして『崩し』を入れることもあるくらい、不完全さは魅力なのです」
【基礎編】すべては「○・△・□」から!プロが教える図形分解メソッド
「絵を描く」というと、複雑な輪郭線を一筆書きのように描いていくイメージがあるかもしれません。しかし、プロのイラストレーターは、いきなり細部を描き始めることはしません。まずは対象物を単純な図形に置き換えて捉えています。
このセクションでは、本記事の核となる「図形分解メソッド」について解説します。これさえ理解すれば、世の中にあるあらゆるモノが描けるようになります。
世界は「3つの図形」でできている!身の回りのものを分解してみよう
どんなに複雑に見えるものでも、突き詰めれば「○(まる)」「△(さんかく)」「□(しかく)」の3つの図形の組み合わせで構成されています。絵が描けないと悩む人の多くは、対象物を「線」で捉えようとしていますが、まずは「図形」で捉える練習をしてみましょう。
例えば、身の回りにあるものをこの3つの図形に当てはめてみてください。
| 基本図形 | 当てはまるモチーフの例 | 描き方のヒント |
|---|---|---|
| ○(まる) | 時計、ボール、果物(リンゴ・オレンジ)、顔、太陽、花、ドーナツ | 完全な真円でなくてOK。少し横長なら楕円、潰れればお饅頭になります。 |
| △(さんかく) | おにぎり、山、サンドイッチ、帽子、木(ツリー)、ヨットの帆 | 角を丸くすると柔らかい印象に、鋭くするとシャープな印象になります。 |
| □(しかく) | 本、スマートフォン、窓、ビル、カバン、プレゼント箱、テレビ | 長方形や台形も含みます。直線を意識して描くと安定感が出ます。 |
このように、「これは○と□の組み合わせだな」「これは△が2つ重なっているな」という視点を持つことが、イラスト上達の第一歩です。例えば「家」を描くなら、□の上に△を乗せるだけです。「キャンディ」なら、○の両端に△をくっつけるだけです。
複雑な形をそのまま描こうとせず、一度脳内でこの3つの図形に変換してから、パズルのように組み合わせる。これがプロも実践している「描くための思考法」なのです。
魔法の「○(まる)」を描く練習と、崩れた形を活かすコツ
3つの図形の中でも、特に使用頻度が高く、かつ描くのが難しいのが「○(まる)」です。フリーハンドで綺麗な丸を描くのはプロでも至難の業ですが、ゆるかわイラストにおいては、綺麗な丸である必要はありません。
むしろ、少し歪んだ丸の方が愛嬌があって可愛いのです。縦に長い丸なら「ほのぼのした感じ」、横に広い丸なら「どっしりした安定感」、下が膨らんだ丸なら「もちもちした柔らかさ」が表現できます。
練習方法としておすすめなのが、紙の上に大小様々な丸をたくさん描いてみることです。そして、描いた丸の形を見て、「これは何に見えるかな?」と想像を膨らませてみてください。
- 少し潰れた丸 → 「みかん」や「大福」にしてみよう
- 細長い楕円 → 「きゅうり」や「ソーセージ」に見えるかも
- いびつな丸 → 「ジャガイモ」や「石ころ」にぴったり
このように、描いてしまった形に合わせてモチーフを決めるという「逆転の発想」を持つと、失敗という概念がなくなります。どんな丸も、何かのイラストのベースになるのです。
線の端と端を「あえて繋がない」?抜け感を作るプロの技
図形を描く際、多くの人は線の始点と終点をきっちり繋げようとします。しかし、あえて「線を繋がない(隙間を空ける)」ことで、イラストに抜け感とプロっぽさを出すテクニックがあります。
例えば、四角い箱を描くとき、4つの角を全てきっちり閉じるのではなく、四隅を少しだけ開けて描いてみてください。あるいは、線を途中で途切れさせてみてください。すると、不思議なことに、きっちり描いた時よりも柔らかく、お洒落な雰囲気になります。
これは、人間の脳が「途切れている線を無意識に補完して見る」という性質を利用したものです。全てを描き切らず、見る人の想像力に少し委ねることで、圧迫感のない「ゆるさ」が生まれるのです。特に手帳の枠線や、吹き出しを描くときにこのテクニックを使うと、文字を邪魔しないスッキリとしたイラストになります。
▼【コラム】美大時代の失敗から学んだ「引き算」の重要性
私が美術大学に通っていた頃、デッサンの授業で「とにかく見たままを正確に描き写す」ことに没頭していました。髪の毛一本一本、服のシワの一つ一つまで克明に描いた私の絵を見て、友人が一言「なんか、怖いし可愛くないね」と言ったのです。
その時はショックを受けましたが、今ならその理由がよく分かります。情報量が多すぎる絵は、見る人に緊張感を強いてしまうのです。一方で、単純な線だけで描かれたキャラクターが世界中で愛されているのは、情報量を極限まで削ぎ落とす「引き算(デフォルメ)」がなされているからです。
「描く」ことと同じくらい、「描かない」ことは重要です。情報を削ぎ落とし、エッセンスだけを残す。それが「簡単&ゆるかわイラスト」の真髄であり、絵が苦手な人こそが実は得意とすべき分野なのかもしれません。
【実践編】手帳やメモに添えたい!「人物と表情」の描き方
基礎ができたら、いよいよ実践です。まずは、最も描きたいという声が多い「人物」の描き方です。人物イラストは難しいと思われがちですが、これも「配置」と「図形」のルールさえ守れば、誰でも可愛く描くことができます。
基本の顔:輪郭を描かずに「パーツの配置」だけで可愛く見せる黄金比
人物を描くとき、多くの人が「輪郭」から描き始めますが、実はこれがバランスを崩す原因です。おすすめは、「目と口」から先に描くことです。なぜなら、顔の可愛さは輪郭の形よりも、パーツの配置バランス(黄金比)で決まるからです。
「ゆるかわ」に見せるための黄金比には、明確なルールがあります。
- パーツを中心に寄せる: 目と目の間隔を狭くし、目と口の距離も近づけます。顔の下半分にパーツを集中させるイメージです。
- 目は小さく、離しすぎない: 黒い点(・)を2つ打ちます。
- 口は目のすぐ近くに: 目のラインのすぐ下に、小さく口を描きます。
この配置にすると、人間の赤ちゃんや小動物のような「守ってあげたい可愛さ(ベビーシェマ)」が生まれます。逆に、目と口を離して描くと、大人っぽく、あるいは間延びした印象になります。
輪郭は、このパーツを包み込むように後から描きます。丸でも下ぶくれでも構いませんし、極端な話、輪郭を描かなくても目と口だけで「顔」として認識されます。手帳のスケジュール欄など狭いスペースでは、あえて輪郭を描かない方がスッキリとして可愛く見えることも多いです。
髪型のバリエーション:黒く塗りつぶせばバランスが整う
顔が描けたら次は髪型です。髪の毛を線で一本一本描こうとすると、どうしてもゴチャゴチャしてしまいます。簡単イラストでは、「髪の毛全体を一つの塊(シルエット)」として捉え、黒く塗りつぶしてしまうのがおすすめです。
黒く塗りつぶすことには、2つの大きなメリットがあります。一つは、画面が引き締まること。線だけのイラストの中に「黒い面」ができることで、メリハリが生まれます。もう一つは、頭の形が多少歪んでいても、塗りつぶしてしまえば誤魔化しが効くということです。
- ショートヘア: 顔の丸の上半分を塗りつぶし、耳のあたりを少し跳ねさせる。
- ボブ: 顔の横に「ハ」の字のように広がる台形を描いて塗りつぶす。
- お団子: 頭の上に小さな「○」を乗せて塗りつぶす。
前髪は、ギザギザにしたり、ぱっつんにしたりとアレンジ自在ですが、あまり細かく描きすぎないのがコツです。大雑把なシルエットで捉えましょう。
棒人間からの卒業!「U字」と「A字」で描く簡単ボディ
顔ができたら体を描きます。「棒人間しか描けない」という方も多いですが、棒人間にほんの少し肉付けするだけで、立派なイラストになります。
基本となるのは、アルファベットの「U(ユー)」と「A(エー)」の形です。
- ワンピース・コート(A字): 顔の下から、アルファベットの「A」のような末広がりの三角形を描きます。これが体になります。手足は棒でOKです。
- ズボン・Tシャツ(U字): 顔の下に「U」の字を描いて胴体にし、その下に棒を2本生やせば足になります。
ポイントは、「頭を大きく、体を小さく」描くことです。2頭身、あるいは1.5頭身くらいのバランスにすると、マスコットキャラクターのような愛らしさが出ます。首は描かずに、顔のすぐ下に体を描くのが「ゆるかわ」の鉄則です。
感情が伝わる!「眉毛」と「口」の組み合わせパターン表
最後に、キャラクターに命を吹き込む「表情」の描き方です。表情は「眉毛」と「口」の形の組み合わせだけで無限に作れます。目は「黒い点(・)」のままで固定していても、眉と口を変えるだけで感情は伝わります。
| 感情 | 眉毛 | 口 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 笑顔(基本) | なし or アーチ型 | U字 | 基本のハッピーな顔。口角を上げると楽しそうに見えます。 |
| 困る・悩む | 八の字(ハ) | 一本線(ー)or 点(・) | 眉尻を下げるのがポイント。口を小さくすると自信なさげに。 |
| 怒る・気合 | 逆八の字(V) | への字(へ) | 眉間を寄せるイメージ。プンプンした顔も可愛く見えます。 |
| 驚く | 高い位置にアーチ | 丸(○) | 眉毛を思い切り上に離して描くと、ビックリした感じが出ます。 |
イラスト講座講師のアドバイス
「表情を描くときは、自分の顔も同じ表情にしてみましょう。鏡を見なくても、筋肉の動きをイメージしやすくなり、生き生きとした表情が描けます。口角を上げてニッコリしながら描くと、不思議とイラストも楽しそうな顔になるんですよ」
【実践編】人気モチーフを攻略!「動物・植物・食べ物」の描き方レシピ
人物以外のモチーフも、基本図形の応用で簡単に描けます。ここでは、検索されることが多い人気のモチーフを厳選し、その描き方のレシピをご紹介します。
【動物】猫・犬・くま・うさぎは「耳の形」を変えるだけで描き分けられる
動物を描き分けるのは難しそうですが、実は「顔の輪郭」はすべて同じ「少し横長の楕円」で構いません。違いを出す決定的な要素は「耳の形」だけです。
まず、ベースとなる「横長の楕円(お饅頭型)」を描いてください。そこに以下の耳を付け足してみましょう。
- 猫: 上に「三角(△)」を2つ付ける。ヒゲを3本ずつ描く。
- くま: 上に「半円(○を半分にしたもの)」を2つ付ける。耳の中も塗るとくまらしくなります。
- うさぎ: 上に「長い楕円」を2つ付ける。片方を折れ耳にしても可愛いです。
- 犬: 横に「垂れた楕円」を付ける(垂れ耳)。または三角を垂れさせる。
目と鼻・口のパーツは、人物と同じく「中心に寄せる」のが可愛く見せるコツです。特に動物は、鼻と口を繋げて「人」の字のように描く(ωのような口にする)と、動物らしさが際立ちます。
【植物】北欧風でオシャレ!葉っぱと花を「線と点」で描く方法
手帳の空きスペースや、メッセージカードの装飾に便利なのが植物のイラストです。リアルに描こうとせず、北欧テキスタイルのような「幾何学的な植物」を目指すと、簡単でお洒落に仕上がります。
葉っぱの描き方:
まず、緩やかなカーブを描いて「茎」にします。その茎に沿って、左右に小さな「水滴の形」や「丸」をポチポチと描いていくだけです。葉脈などを細かく描く必要はありません。茎の先っぽに1枚だけ葉をつけるのもシンプルで素敵です。
花の描き方:
「点(・)」をたくさん集めて円にすれば、ミモザやアジサイのような花になります。「放射状の線(*)」を描けば、キクやマーガレットのような花になります。茎を一本すっと引いて、その先にちょこんと色を乗せるだけでも、十分にお花として成立します。
【食べ物】パン・スイーツ・コーヒーは「湯気」と「お皿」でシズル感を出す
カフェの記録や食事のメモに使える食べ物イラスト。美味しそうに見せるための秘密の調味料は「湯気」と「お皿」です。
例えば、ただの四角い形を描いても「食パン」には見えにくいですが、その上に「〜」のような波線を2、3本描くだけで、焼きたての温かいパンに見えてきます。コーヒーカップやスープボウルも同様です。湯気があるだけで、「温かいもの」「美味しいもの」という情報が伝わります。
また、食べ物の下に「薄い楕円」を描いてお皿を表現すると、イラストとしての座りが良くなります。ケーキなどのスイーツは、横に「フォーク」のような直線を3本添えるだけで、一気にカフェメニューらしさが出ます。
【季節】誕生日ケーキやクリスマスなど、イベントで使えるワンポイント
季節のイベントも、単純な図形の組み合わせで表現できます。
- 誕生日ケーキ: 「長方形」の上に「台形」を重ね、トップに「細い棒(ロウソク)」を立てるだけ。
- クリスマスツリー: 「三角形」を3つ、下に行くほど大きくしながら重ねていきます。一番上に「星(またはダイヤ形)」を飾ります。
- お正月(鏡餅): 大小の「平たい丸」を2段重ねて、一番上に「小さい丸(みかん)」を乗せます。
イラスト講座講師のアドバイス
「動物を描くときは、あえて頭を大きく、体を小さく(2頭身以下に)描くと、赤ちゃんのような愛らしさが生まれ、バランスも取りやすくなります。体が小さいとポーズを描く手間も省けるので、初心者の方には一石二鳥のテクニックなんですよ」
【応用編】文字だけの手帳が華やかに!アイコン&フレーム活用術
イラスト単体で描くことに慣れてきたら、次は手帳やノートの中で「実用的に使う」方法を学びましょう。文字だけの殺風景なページも、アイコンやフレームを少し足すだけで、見やすく楽しい紙面に変わります。
スケジュール管理に便利!天気・移動・食事のシンプルアイコン
アイコンは、情報を瞬時に伝えるための「視覚的な記号」です。時間をかけずに1秒で描けるシンプルさが重要です。
- 天気:
- 晴れ:丸を描き、周りにチョンチョンと線を放射状に描く。
- 曇り:モコモコとした雲の輪郭を描く。下を平らにすると安定します。
- 雨:雲の下に、斜めの線を3本引く。
- 移動手段:
- 電車:長方形を描き、下に丸(車輪)を2つ、中に四角(窓)を2つ。
- 車:台形の下に長方形をくっつけ、丸(タイヤ)を2つ。
- 飛行機:シンプルな十字架のような形を描き、角を丸くする。
- 食事・カフェ:
- コーヒー:台形(カップ)を描き、横に「C」の字(取っ手)をつける。
- ランチ:丸の中に十字を描けば「お皿とカトラリー」に見えます。
- 飲み会:逆三角形(カクテルグラス)の上に丸を描く。
文字を囲むだけで強調!フリーハンドで描く「ゆる枠」アイデア集
重要な予定やメモを目立たせたいときは、「枠(フレーム)」で囲みましょう。定規で引いた枠ではなく、フリーハンドの枠を使うことで、手帳全体が柔らかい印象になります。
- 二重線フレーム: 四角く囲んだ後、少しずらしてもう一度四角を描き、二重線にします。線が重なったりはみ出したりしても、それがお洒落なデザインに見えます。
- 点線・破線フレーム: 実線ではなく、点々(・・・)や破線(—)で囲みます。圧迫感がなく、軽やかな印象になります。
- くるくるフレーム: ペンの先を離さずに、くるくると螺旋を描きながら文字を囲みます。電話のコードのようなイメージです。
- リボン風: 長方形の上に、小さな「V」の字を描くと、リボンが掛かっているように見えます。
箇条書きが楽しくなる!行頭に添える「ブレット(点)」のアレンジ
ToDoリストや箇条書きの行頭にある「・(黒丸)」を、簡単なイラストに変えてみましょう。これを「カスタムブレット」と呼びます。
- チェックボックス風: 小さな「□」を描く。完了したら中にレ点を入れます。
- 星マーク: 一筆書きの星(☆)ではなく、小さな「*(アスタリスク)」や「キラキラマーク(ダイヤ型)」を描くと大人っぽくなります。
- ミニイラスト: その日の気分に合わせて、小さな「ハート」「音符」「花」などを行頭に描きます。
行頭が可愛いと、面倒なToDoリストを消化するモチベーションも上がります。まずは黒丸を「白丸(○)」に変えるところから始めてみてください。
失敗した時はどうする?プロ直伝の修正テクニックとQ&A
ボールペンイラストの最大の悩みは「消せないこと」です。しかし、プロは失敗を失敗のままにしません。ここでは、ミスをなかったことにする、あるいは魅力に変えてしまうリカバリー術と、初心者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
失敗した線は消さなくていい!「模様」や「影」に変えるリカバリー術
線がはみ出したり、形が歪んでしまったりしても、修正テープを使うのは待ちましょう。修正テープは目立ちますし、紙の裏側が汚くなることもあります。代わりに、ペン一本でできる修正方法を試してください。
- 塗りつぶして「模様」にする:
例えば、線がはみ出してしまったら、その部分を塗りつぶして「水玉模様」や「ストライプ」の一部にしてしまいます。服の柄や背景の装飾としてカモフラージュするのです。 - 太くして「影」にする:
線が歪んでしまったら、その線を何度もなぞって太くします。あえて太い線にすることで、「ここは影になっている部分だよ」という表現に見せかけることができます。 - 周りに描き足して「別物」にする:
意図しない線を描いてしまったら、そこから発想を広げて別のイラストに変身させます。丸が歪んだら、耳を足して動物にしたり、葉っぱを足して果物にしたり。失敗から生まれた予期せぬイラストが、最高傑作になることも珍しくありません。
Q. 一発書きでバランスを取るのが怖いです。どうすればいい?
ボールペン一発書きは緊張しますよね。プロでも緊張します。そんな時は、文明の利器を活用しましょう。
イラスト講座講師のアドバイス
「どうしても不安な場合は、薄い黄色の水性マーカー(蛍光ペンなど)で『アタリ(下書き)』を描いてから、その上を黒ペンでなぞる方法がおすすめです。黄色なら遠目にはほとんど目立たず、消しゴムで消す手間もありません。薄いガイドラインがあるだけで、驚くほど線が安定しますよ」
Q. 毎日練習しないと上手くなりませんか?
「毎日描かなきゃ」と義務感を持つと、絵を描くことが苦痛になってしまいます。上達のために毎日描くことは理想的ですが、それよりも「描きたいときに描く」という楽しさを維持することの方が大切です。
週に一度、手帳を書くついでに1つだけイラストを添える。電話中に手元のメモに落書きをする。そんな「ついで描き」の積み重ねで十分上達します。気負わず、細く長く続けていきましょう。
Q. おすすめのペンや紙はありますか?
冒頭でも触れましたが、個人的には国内メーカーの「水性ゲルインクボールペン」を強く推奨します。具体的には、文具店やコンビニで手に入る100円〜200円程度の定番商品が最も優秀です。
インクがドバっと出すぎず、かつカリカリしない絶妙な書き味のものが、日本の文具メーカーからは多数発売されています。売り場の試し書きコーナーで、「の」の字を連続して書いてみて、一番気持ちよく書ける相棒を見つけてみてください。紙は、裏写りしにくい適度な厚みのあるノートや手帳がおすすめですが、練習段階ではコピー用紙で十分です。
まとめ:イラストはコミュニケーション!下手でも「気持ち」は必ず伝わります
ここまで、○△□の図形を使った簡単なイラストの描き方をご紹介してきました。最後に、もう一度大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 道具は手持ちのボールペンでOK(水性ゲルインクがおすすめ)
- すべての絵は「○・△・□」の組み合わせで描ける
- 線は多少歪んでいても「味」になるので気にしない
- 人物は「目と口の距離」を近づけると可愛くなる
- 失敗したら塗りつぶしたり、模様にして誤魔化す
イラストを描く本来の目的は、「上手い絵を見せること」ではなく、「情報をわかりやすく伝えたり、相手を和ませたりすること」にあります。
あなたが手帳に描いた小さなニコちゃんマークを見て、あなた自身が少し元気になれる。メッセージカードに添えた不格好な猫の絵を見て、友人がクスッと笑ってくれる。それだけで、そのイラストは大成功なのです。
上手く描こうとする必要はありません。まずは今日のToDoリストの横に、小さなお花を一つ描いてみてください。その小さな「描けた!」という喜びが、あなたの毎日を少しだけカラフルにしてくれるはずです。
イラスト講座講師のアドバイス
「私の教室でも、最初は『線も引けない』と言っていた方が、今ではお孫さんに似顔絵を描いて喜ばれています。大切なのは上手さよりも『描いてみよう』という遊び心です。まずは手元のメモ用紙に、ニコニコマークを一つ描くことから始めてみてください。あなたの描く線には、あなたにしか出せない素敵な温もりがあるのですから」
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