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リスカ(リストカット)はやめられる?心理の専門家が教える「切る理由」と衝動への対処法

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あなたは今、誰にも言えない苦しみを抱え、ひとりで震える夜を過ごしているかもしれません。まず最初にお伝えしたいのは、リストカットをしてしまう自分を、どうか責めないでほしいということです。

結論から申し上げますと、リストカットは「死ぬため」の行為ではなく、耐え難い感情の痛みから一時的に逃れ、感覚を麻痺させて「生き延びるため」に行っている必死の対処行動です。無理にやめようとして自分を追い詰める必要はありません。

この記事では、長年多くの若者の心に寄り添ってきた公認心理師の立場から、あなたのその行動の裏にある心理的メカニズムと、少しずつ楽になるための具体的な方法を解説します。

この記事でわかること

  • なぜ切ると落ち着くのか?脳の仕組みと心理的背景の深い理解
  • 「切りたい」という激しい衝動が襲ってきた時の具体的な5つの代替行動
  • 傷跡の適切なケア方法と、信頼できる相談先の選び方
  1. リスカ(リストカット)をしてしまう心理と原因:あなたは「おかしい」わけではない
    1. 「死にたい」ではなく「生きたい」?自傷行為のパラドックス
    2. なぜ切ると落ち着くのか:脳内麻薬「エンドルフィン」の働き
    3. リスカに関連する主な精神疾患と背景(境界性パーソナリティ障害、うつ病など)
    4. 10代・若者に多い「見捨てられ不安」と「愛着」の問題
  2. 「切りたい」衝動が襲ってきた時に試してほしい5つの代替行動(ハームリダクション)
    1. 刺激置換法:手首に輪ゴムをパチンと弾く、氷を握りしめる
    2. 感覚発散法:不要な紙を破り捨てる、大声で歌う、赤いペンで手首に線を引く
    3. 鎮静呼吸法:4秒吸って、7秒止めて、8秒で吐く(4-7-8呼吸法)
    4. タイムアウト法:「あと10分だけ待つ」を繰り返してピークをやり過ごす
    5. 【筆者のカウンセリング事例】自分に合った「コーピング(対処法)」リストの作り方
  3. 切ってしまった後の処置と、傷跡を目立たなくする方法
    1. まず行うべき応急処置:止血と消毒の正しい手順
    2. 感染症のリスクと病院へ行くべき危険なサイン
    3. 学校やバイト先でバレないための傷の隠し方(ファンデーションテープ、服装など)
    4. 将来的に傷跡は消せる?美容医療(レーザー治療)の現実と費用感
  4. 親や周囲にバレた時、どうすればいい?
    1. 親にバレた時の対処法:まずは「否定しないで」と伝える勇気
    2. もし親が理解してくれない場合:距離の取り方と相談先
    3. 友達のリストカットを見てしまった場合:かけるべき言葉とNG行動
  5. 根本的に解決するために:カウンセリングと医療機関の活用
    1. 精神科・心療内科は何をしてくれる場所?(薬物療法と精神療法)
    2. カウンセリングの効果:話すことで「心の毒」を外に出す
    3. 相性の良い医師・カウンセラーの見極め方
    4. 未成年でも一人で受診できる?保険証と費用の話
  6. リスカに関するよくある質問 (FAQ)
    1. Q. リスカをやめないと大人になれませんか?
    2. Q. 傷跡を見るとまた切りたくなるのはなぜですか?
    3. Q. 入院させられたりしませんか?
  7. まとめ:リスカはあなたの「生きる力」の証。少しずつ手放していこう

リスカ(リストカット)をしてしまう心理と原因:あなたは「おかしい」わけではない

多くの当事者の方が、「自分は頭がおかしいのではないか」「なぜこんなことをしてしまうのか」という強い自己否定感に苛まれています。しかし、リストカットには明確な心理的・生理学的な理由が存在します。それはあなたの弱さではなく、過酷な現実を生き抜くために脳が選んだ、ひとつの防衛手段なのです。

公認心理師のアドバイス
「リストカットは『心の杖』です。足が痛い時に杖をつくように、心が痛い時に切ることでバランスを保とうとしているのです。自分を責めないでください。あなたは今、言葉にできないほどの苦しみを抱えていて、それを生き抜くために、無意識にこの方法を選んでいるだけなのです。」

「死にたい」ではなく「生きたい」?自傷行為のパラドックス

一般的に、リストカットは自殺未遂や死にたい願望の表れだと誤解されがちですが、心理学の現場では少し違った捉え方をします。多くのケースにおいて、リストカットは「死にたい」という気持ちよりも、「今のつらさを消して、なんとか生きたい」という生存本能に近い欲求から行われています。

心の中に渦巻く不安、恐怖、怒り、あるいは虚無感といったネガティブな感情が限界を超えたとき、人はパニック状態に陥ります。このとき、身体に痛みを加えることで、心の痛みを身体の痛みに「置き換える」という作業が無意識に行われます。目に見えない心の苦しさを、目に見える出血や痛みに変換することで、一時的に問題を具体化し、コントロール可能なものにしようとしているのです。

つまり、あなたは自らを傷つけているようでいて、実は「心の崩壊」を防ぐために必死で自分を守っているとも言えます。この「自傷のパラドックス(逆説)」を理解することが、自分自身を受け入れる第一歩となります。

なぜ切ると落ち着くのか:脳内麻薬「エンドルフィン」の働き

「切るとスーッと落ち着く」「頭の中のモヤモヤが晴れる気がする」と感じることはありませんか?これには、脳科学的な根拠があります。

人間の脳は、身体が傷つくと、その痛みを和らげるために「エンドルフィン」や「エンケファリン」といった神経伝達物質を分泌します。これらは脳内麻薬とも呼ばれ、強力な鎮痛作用と同時に、一時的な安らぎや多幸感をもたらす働きがあります。

リストカットをした瞬間に感じる「落ち着き」は、この脳内物質が分泌されることによる生理的な反応です。つまり、あなたは精神的に弱いから切ってしまうのではなく、脳が「痛みを加えれば楽になれる物質が出る」という回路を学習してしまった状態にあるのです。

しかし、この効果は一時的なものであり、時間が経てばすぐに消失します。するとまた苦しみが襲ってきて、再び脳内物質を求めて切ってしまうという「依存のサイクル」が形成されやすくなります。これはアルコールや薬物の依存メカニズムと非常によく似ており、意志の力だけでやめることが難しいのはこのためです。

リスカに関連する主な精神疾患と背景(境界性パーソナリティ障害、うつ病など)

リストカットは特定の病気だけの症状ではありませんが、背景にいくつかの精神医学的な課題が隠れていることがあります。これらを知ることは、自分を客観視する助けになります。

▼詳細:関連性の高い精神疾患や心理状態
境界性パーソナリティ障害 感情の波が極端に激しく、見捨てられることへの強い不安を感じます。感情の爆発を抑えるため、または空虚感を埋めるために自傷を行うことがあります。
うつ病・双極性障害 持続的な気分の落ち込みや、自分には価値がないという感覚から、自己処罰(自分を罰する)の意味で自傷に至るケースがあります。
解離性障害 辛い現実から心を守るために、自分が自分でないような感覚(解離)に陥ります。「生きている実感が欲しい」ために痛みを感じようとして切ることがあります。
摂食障害 過食嘔吐などと同様に、自分の身体や衝動をコントロールできない苦しみから、自傷行為を併発することが少なくありません。

これらの疾患名がついたとしても、それはあなたの全人格を否定するものではありません。「そういう傾向があるから、今はつらいのだ」と理解するためのラベルに過ぎないのです。

10代・若者に多い「見捨てられ不安」と「愛着」の問題

特に10代から20代前半にかけてのリストカットの背景には、「愛着」の問題が潜んでいることが多くあります。幼少期からの親子関係や、重要な他者との関係において、「自分は無条件に愛されている」という安心感が十分に育まれていない場合、人は強烈な孤独感や「見捨てられ不安」を抱くようになります。

「誰かに気付いてほしい」「心配してほしい」という気持ちと、「迷惑をかけたくない」「どうせ分かってもらえない」という諦めが葛藤し、言葉にならないSOSとしてリストカットを選んでしまうのです。これは決して「かまってちゃん」といった卑下されるべきものではありません。人間として根源的な「つながり」を求める切実な叫びなのです。

「切りたい」衝動が襲ってきた時に試してほしい5つの代替行動(ハームリダクション)

ここからは、実際に「今まさに切りたい」という衝動に襲われた時に、どう対処すればよいかという実践的な方法をお伝えします。これは「ハームリダクション(被害低減)」と呼ばれる考え方に基づいています。無理に「ゼロ」にするのではなく、より身体へのダメージが少ない行動に置き換えていくアプローチです。

衝動の波と代替行動の効果について
自傷の衝動は、ずっと続くわけではありません。通常、強烈なピークは15分から30分程度と言われています。この「魔の30分」さえ別の行動でやり過ごすことができれば、衝動の波は自然と引いていきます。以下の方法は、その時間を乗り切るための「命綱」です。

刺激置換法:手首に輪ゴムをパチンと弾く、氷を握りしめる

脳が「強い感覚」を求めている時、刃物による傷以外の方法で強い刺激を与えることで、衝動を鎮めることができます。

  • 輪ゴム法:手首に輪ゴムを巻き、パチンと弾きます。一瞬の鋭い痛みが、切った時の痛みの代わりとなり、脳への刺激として機能します。痕が残りにくく、場所を選ばずにできる方法です。
  • 氷にぎり法:氷を素手で強く握りしめます。冷たさは痛覚と非常に近い感覚であり、脳に強いショックを与えます。「冷たい!」という感覚に意識が集中することで、切る衝動から気を逸らすことができます。赤くはなりますが、組織を傷つけることはありません。

感覚発散法:不要な紙を破り捨てる、大声で歌う、赤いペンで手首に線を引く

内側に溜まった破壊的なエネルギーを、外に向かって安全に放出する方法です。

  • 破壊行動の代替:不要な雑誌や新聞紙を思いっきりビリビリに破いたり、雑巾を限界まで絞ったりします。クッションを殴る、お風呂の中で大声を出すなども有効です。
  • 視覚的な代替:赤い水性ペンや口紅で、切りたい場所に線を引きます。「赤い色」を見ることで、切った時と同じような視覚的満足感が得られ、落ち着くことがあります。その後、洗い流すことで「傷が消えた」という感覚を得ることも癒やしにつながります。

鎮静呼吸法:4秒吸って、7秒止めて、8秒で吐く(4-7-8呼吸法)

パニック状態にある時、呼吸は浅く速くなっています。強制的に呼吸をコントロールすることで、副交感神経を優位にし、身体をリラックスモードへ切り替えます。

【4-7-8呼吸法の手順】

  1. 口から息を完全に吐き切る。
  2. 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸う。
  3. 息を7秒止める(これが重要です)。
  4. 口から8秒かけて、「フーッ」と音を立てながらゆっくり息を吐き切る。

これを4セット繰り返してください。数えることに集中することで、頭の中のぐるぐる思考を一時停止させる効果もあります。

タイムアウト法:「あと10分だけ待つ」を繰り返してピークをやり過ごす

衝動が来た時、「絶対にやってはいけない」と思うと余計に苦しくなります。「やってもいいけど、あと10分だけ待ってみよう」と自分に言い聞かせてください。

タイマーを10分にセットし、その間は音楽を聴いたり、動画を見たりして過ごします。10分経ってもまだ切りたければ、さらに10分延長します。これを繰り返しているうちに、衝動のピークである30分が過ぎ、嘘のように波が引いていくことがあります。「先延ばし」にするだけで、成功体験になります。

【筆者のカウンセリング事例】自分に合った「コーピング(対処法)」リストの作り方

私が担当したあるクライアントの方は、スマホのメモ機能に「自分だけのコーピングリスト」を作っていました。そこには「温かいココアを飲む」「ペットの動画を見る」「お気に入りの毛布にくるまる」「香水をかぐ」など、些細なことが50個以上書かれていました。

つらい時は思考力が低下しているため、ゼロから対処法を考えることができません。元気な時にリストを作っておき、いざという時は上から順番に試していくのです。「これをすれば少しマシになる」という手札を増やすことが、自傷への依存を減らす鍵となります。

公認心理師のアドバイス
「代替行動は『実験』のつもりで取り組んでみてください。最初からすべてうまくいかなくても大丈夫です。『今日は氷を試してみよう』『ダメなら次は輪ゴムにしよう』と、実験感覚で自分に合う方法を一緒に探していきましょう。ひとつでも代わりが見つかれば、それは大きな進歩です。」

切ってしまった後の処置と、傷跡を目立たなくする方法

もし、衝動に負けて切ってしまったとしても、自分を責めないでください。終わったことを悔やむよりも、今のあなたの身体を大切にケアすることが最優先です。ここでは、切ってしまった後の適切な処置と、社会生活を送る上で気になる傷跡の隠し方について解説します。

まず行うべき応急処置:止血と消毒の正しい手順

切ってしまった直後は、冷静に対処することが感染症や跡残りを防ぐために重要です。

  1. 洗浄:まずは流水(水道水)で傷口をよく洗います。血液や汚れを洗い流すことが最も重要です。石鹸を使う場合は、泡立てて優しく洗い、十分にすすいでください。
  2. 止血:清潔なガーゼやティッシュ、タオルなどを傷口に当て、上から強く圧迫します。心臓より高い位置に腕を上げると止血しやすくなります。数分間は押さえ続けて様子を見ます。
  3. 保護:血が止まったら、傷口を閉じるようにして絆創膏や医療用パッドを貼ります。傷口を乾燥させない「湿潤療法」対応の絆創膏(キズパワーパッド等)を使用すると、痛みが少なく、跡も残りにくく治りが早いです。

感染症のリスクと病院へ行くべき危険なサイン

自宅での処置だけでは危険な場合があります。以下のようなサインが見られる場合は、迷わず外科や救急外来を受診してください。ためらう気持ちは分かりますが、医師は治療のプロであり、責めたりしません。

  • 血が止まらない:圧迫しても10分〜15分以上出血が続く場合、動脈を傷つけている可能性があります。
  • 傷が深い:黄色い脂肪組織や、白い腱・骨が見えている場合。縫合が必要です。
  • 感染の兆候:数日後に傷口がひどく腫れる、熱を持つ、膿が出る、赤い筋が伸びている場合。抗生物質による治療が必要です。
  • 感覚がない:指が動かしにくい、しびれがある場合は、神経を損傷している恐れがあります。

学校やバイト先でバレないための傷の隠し方(ファンデーションテープ、服装など)

傷跡を見られるのが怖くて、外出がおっくうになってしまうこともあるでしょう。状況に応じた隠し方をいくつか紹介します。

▼詳細:傷跡を隠すための便利アイテム一覧
ファンデーションテープ 肌色に合わせて選べる極薄のテープです。傷の凹凸や色味を強力にカバーし、耐水性もあるため、温泉やプールでも使用できます。ネット通販で入手可能です。
アームカバー・サポーター スポーツ用やUVカット用のものであれば、装着していても不自然ではありません。「日焼け対策」「筋肉の保護」と言い訳ができます。
リストバンド・時計 手首の局所的な傷であれば、太めのリストバンドや大きめの腕時計で隠すことができます。ファッションの一部として取り入れやすいです。
コンシーラー ウォータープルーフタイプの強力なコンシーラー(舞台用など)を塗り、パウダーで抑える方法です。薄い傷跡なら目立たなくなります。

夏場などは長袖を着続けるのが不自然になることもあります。薄手のカーディガンやシースルー素材のトップスを活用するなど、ファッションを工夫することで、周囲に違和感を与えずに隠すことができます。

将来的に傷跡は消せる?美容医療(レーザー治療)の現実と費用感

「この傷跡は一生消えないのか」という不安を持つ方も多いですが、現代の美容医療では、傷跡を目立たなくする治療法が進歩しています。

完全に「無かったこと」にするのは難しい場合もありますが、フラクショナルレーザー治療や切除縫縮手術などにより、白い線状の傷跡をぼかして肌に馴染ませることは可能です。ただし、これらの治療は基本的に自費診療(保険適用外)となることが多く、費用は範囲や回数によりますが、数万円から数十万円かかることが一般的です。

将来、経済的に自立してから治療を受けるという選択肢もあります。「今は傷があっても、いつか薄くできる」という希望を持つことは、心の安定にもつながります。

親や周囲にバレた時、どうすればいい?

リストカットをしている当事者にとって、最大の恐怖のひとつが「親バレ」です。もしバレてしまった時、あるいは自分から打ち明けようと思った時、どのように対応すれば関係悪化を防げるのでしょうか。

公認心理師のアドバイス
「親御さんが泣いたり怒ったりするのは、あなたを憎んでいるからではありません。大切な我が子が傷ついている姿を見て、ショックを受け、どうしていいか分からずパニックになっているのです。それは、あなたを愛するがゆえの動揺です。まずは相手が落ち着くのを待ち、『死にたいわけじゃない』と伝える準備をしましょう。」

親にバレた時の対処法:まずは「否定しないで」と伝える勇気

親に見つかった時、反射的に「やめなさい!」「親不孝だ」と叱責されることがあります。しかし、そこで売り言葉に買い言葉で返してしまうと、お互いに傷つくだけです。

深呼吸をして、可能であれば次のように伝えてみてください。
「ごめんなさい、驚かせてしまって。でも、死にたいからやっているわけじゃないの。つらい気持ちを落ち着かせるために、どうしても必要だったの。今はただ、怒らないで手当てを手伝ってほしい。」

「死ぬつもりではない」という事実と、「助けてほしい」という意思を伝えることで、親のパニック(子供が死んでしまうかもしれないという恐怖)を和らげることができます。

もし親が理解してくれない場合:距離の取り方と相談先

残念ながら、どうしても理解を示せない親御さんもいます。世間体を気にしたり、自分の育て方を責められたと感じて逆上したりする場合です。

何度説明しても否定される場合は、精神的な距離を取ることが必要です。「親には分かってもらえない」という事実を受け入れ、期待することを一時的に手放しましょう。その代わり、スクールカウンセラーや保健室の先生、心療内科の医師など、外部の大人を頼ってください。家庭の外に安全基地を作ることは、決して逃げではありません。

友達のリストカットを見てしまった場合:かけるべき言葉とNG行動

逆に、あなたが友人の傷を見てしまったり、打ち明けられたりすることもあるかもしれません。その時、絶対に避けるべきなのは「やめなよ」「ダメだよ」という正論による否定と、「誰にも言わないで」という秘密の約束です。

かけるべき言葉は「話してくれてありがとう」「つらかったね」「どうしたの?」といった、受容と傾聴の言葉です。相手は解決策よりも、ただ苦しみを分かってくれる人を求めています。そして、あなた一人で抱えきれないと感じたら、「あなたのことが大切だから、専門家に相談しよう」と提案し、信頼できる大人につなぐことが、本当の意味での友情です。

根本的に解決するために:カウンセリングと医療機関の活用

自力での対処(セルフケア)には限界があります。根本的な生きづらさを解消し、リストカットを手放していくためには、専門家の力を借りることが近道です。

精神科・心療内科は何をしてくれる場所?(薬物療法と精神療法)

精神科や心療内科は、心の不調を医学的に治療する場所です。受診すると、医師があなたの話を聞き、眠れない、不安が強いといった症状に合わせてお薬を処方することがあります(薬物療法)。

薬は「心の波」を穏やかにする浮き輪のようなものです。薬だけで全てが解決するわけではありませんが、過度な不安や衝動を抑えることで、冷静に物事を考えられる余裕を作ってくれます。また、医師と話すことで「自分は治療が必要な状態なんだ」と客観的に認識できることも大きな一歩です。

カウンセリングの効果:話すことで「心の毒」を外に出す

薬物療法と並行して効果的なのがカウンセリングです。公認心理師や臨床心理士といった心の専門家と、定期的に対話を行います。

カウンセリングでは、無理にアドバイスをされることはありません。あなたが抱えているモヤモヤ、誰にも言えなかった本音、過去の傷つき体験などを、安全な場所で言葉にしていきます。心の中に溜まった「毒」を言葉にして外に出す(カタルシス効果)ことで、不思議と心が軽くなり、切らなくても自分の感情を処理できる力が育っていきます。

相性の良い医師・カウンセラーの見極め方

専門家といえども人間同士ですので、相性は必ずあります。「話をしっかり聞いてくれない」「上から目線で決めつけられる」と感じたら、無理に通い続ける必要はありません。

良い専門家の特徴は、「あなたのペースを尊重してくれること」「否定せずに話を聞いてくれること」「薬の説明や治療方針を丁寧に話してくれること」です。いくつかの病院やクリニックを比較検討(セカンドオピニオン)することも、全く問題ありません。

未成年でも一人で受診できる?保険証と費用の話

「親に内緒で受診したい」という10代の方は多いですが、精神科の初診は、原則として保護者の同伴や同意を求められることがほとんどです。薬の副作用や治療方針の決定に責任が伴うためです。

ただし、一部の「ユースクリニック」や、自治体の保健センターで行われている「こころの健康相談」などは、親の同意なしで無料で相談できる場合があります。まずは、電話相談や学校のスクールカウンセラーを通じて、地元の医療機関の情報を集めてみることをお勧めします。

リスカに関するよくある質問 (FAQ)

Q. リスカをやめないと大人になれませんか?

公認心理師のアドバイス
「いいえ、そんなことはありません。リストカットはあくまで一時的な対処行動であり、あなたの人間としての価値や成長を阻害するものではありません。実際、成長とともに環境が変わり、ストレス対処能力が上がるにつれて、自然と卒業していく方もたくさんいます。今すぐやめられないからといって、大人になれないわけではありません。焦らなくて大丈夫です。」

Q. 傷跡を見るとまた切りたくなるのはなぜですか?

これは「条件付け」と呼ばれる脳の学習効果によるものです。過去に切ってスッキリした経験があるため、傷跡(視覚刺激)を見るだけで、脳がその時の快感や安らぎを思い出し、「またあの感覚が欲しい」と衝動を引き起こしてしまうのです。傷跡をテープや服で隠して視界に入れないようにすることは、この連鎖を断ち切るためにも有効です。

Q. 入院させられたりしませんか?

リストカットをしているだけで即入院、となることは基本的にはありません。入院が必要となるのは、傷が深く生命の危険がある場合や、自宅での生活が著しく困難で、24時間の見守りが必要と医師が判断した場合に限られます。外来通院で治療を続ける方が大半ですので、過度に恐れずに相談してください。

まとめ:リスカはあなたの「生きる力」の証。少しずつ手放していこう

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。最後に改めてお伝えしたいのは、リストカットはあなたが弱いからしているのではなく、つらい現実の中でなんとか生きようとする、あなたの「生命力」の表れだということです。

しかし、それは副作用の強い薬のようなものでもあります。長期的にはあなたを傷つけ、孤立させてしまうかもしれません。だからこそ、今日紹介した代替行動や相談先を使いながら、少しずつ「切らないでもいられる時間」を増やしていきましょう。

公認心理師からの最後のメッセージ
「今、この画面を見ているあなたは、現状を変えたいと願う強い力を持っています。その力があれば、必ず回復への道を歩めます。一人で抱え込まず、以下の窓口や専門家を頼ってください。あなたのペースで、少しずつ楽になっていきましょう。応援しています。」

今夜がつらい時の緊急相談窓口リスト

  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
  • よりそいホットライン:0120-279-338 (24時間無料・通話料無料)
  • TELL (Tokyo English Lifeline):電話およびチャット相談あり
  • チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777 (16時〜21時)

記事のポイント振り返りチェックリスト

  • リスカは「生きるための手段」だと理解し、自分を責めない
  • 切りたくなったら「氷を握る」「輪ゴム」「4-7-8呼吸法」などの代替行動を試す
  • 傷の手当てを適切に行い、感染症を防ぐ。隠すためのアイテムも活用する
  • つらい時は無料の電話・SNS相談を利用し、誰かとつながる

どうか、今夜あなたが少しでも安心して眠れますように。

この記事を書いた人

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