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【プロ監修】お布施の金額相場と書き方・渡し方マナー完全ガイド|法要・宗派別

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大切な家族を見送る葬儀や、故人を偲ぶ法要において、多くの喪主様が頭を抱えるのが「お布施」の問題です。「お気持ちで結構です」という僧侶の言葉に戸惑い、相場がわからず不安な夜を過ごした経験を持つ方は少なくありません。

結論から申し上げますと、お布施の金額相場は法要の種類や地域・宗派により大きく異なりますが、一般的な葬儀(通夜・告別式)なら15万円〜50万円、四十九日などの法要なら3万円〜5万円がひとつの目安となります。しかし、これはあくまで平均的な数値であり、失敗しないためには「費用の内訳」や「渡し方の作法」まで正しく理解しておく必要があります。

この記事では、葬祭の現場で20年以上にわたり数千件の式を取り仕切ってきた現役の葬祭ディレクターである筆者が、教科書的な建前だけでなく、現場の実情に即した「恥をかかないための正解」を徹底解説します。

この記事でわかること

  • 【金額】葬儀・四十九日・一周忌など法要別&宗派別のリアルな相場一覧
  • 【マナー】封筒(不祝儀袋)の選び方、筆ペンの種類、お札の向きなどの完全な作法
  • 【実務】「お気持ちで」と言われた時の具体的な対応策と、お車代・御膳料の計算式

スマートフォンで確認しながら準備を進められるよう、図解やチェックリストを交えて分かりやすく解説していきます。故人への感謝と、ご遺族の安心のために、ぜひ最後までお役立てください。

  1. お布施とは?渡す前に知っておくべき費用の内訳と基礎知識
    1. お布施の本来の意味と現代における役割
    2. お布施に含まれる費用・含まれない費用(読経料・戒名料・お車代・御膳料)
    3. 宗教・宗派による考え方の違い(浄土真宗・曹洞宗・真言宗など)
  2. 【法要別】お布施の金額相場シミュレーション
    1. 葬儀・告別式のお布施相場(通夜・告別式・初七日含む)
    2. 四十九日法要のお布施相場
    3. 一周忌・三回忌など年忌法要のお布施相場
    4. 納骨式・開眼供養(お墓の魂入れ)のお布施相場
    5. 初盆(新盆)・お彼岸のお布施相場
  3. 【宗派別】お布施の傾向と注意点
    1. 浄土真宗(本願寺派・大谷派)の相場と「読経料」と呼ばないマナー
    2. 曹洞宗・臨済宗(禅宗系)の相場傾向
    3. 真言宗・天台宗(密教系)の相場傾向
    4. 日蓮宗の相場傾向
    5. 浄土宗の相場傾向
  4. 失敗しないお布施封筒の選び方と書き方【図解あり】
    1. 封筒(不祝儀袋)の選び方:水引の有無と色は?
    2. 【表書き】筆ペンの種類(薄墨か濃墨か)と正しい書き方
    3. 【中袋】金額と住所・氏名の書き方マナー
    4. 【裏書き】中袋がない場合の書き方
    5. 金額(数字)の書き方:旧字体(壱、弐、参)一覧リスト
  5. お金の入れ方・包み方のマナー
    1. お札は新札?旧札?お布施ならではのルール
    2. お札を入れる向き(肖像画は表?裏?上?下?)
    3. 袱紗(ふくさ)の種類(色・形状)と正しい包み方
  6. 恥をかかないお布施の渡し方とタイミング
    1. 渡すタイミングはいつ?(葬儀・法要の開始前or終了後)
    2. 手渡しはNG!切手盆(きってぼん)または袱紗を使った渡し方
    3. 渡す際に添える挨拶・言葉の例文集
  7. お布施以外に必要なお金(お車代・御膳料・心付け)
    1. 「御車代」の相場と渡す条件
    2. 「御膳料」の相場と渡す条件(会食を辞退された場合)
    3. 運転手や火葬場スタッフへの「心付け」は必要?
  8. よくある質問に葬祭のプロが回答 (FAQ)
    1. Q. お布施の金額は偶数でも大丈夫ですか?(2万円など)
    2. Q. お布施を渡し忘れた場合はどうすればいいですか?
    3. Q. 郵送でお布施を送っても失礼になりませんか?
    4. Q. お布施は相続税の控除対象になりますか?
    5. Q. 菩提寺がない(お寺と付き合いがない)場合はどうすれば?
  9. まとめ:お布施は感謝の心を表すもの。相場を参考に無理のない範囲で
    1. お布施準備の最終チェックリスト

お布施とは?渡す前に知っておくべき費用の内訳と基礎知識

具体的な金額の話に入る前に、まず「お布施」とは一体何に対して支払うお金なのか、その本質と内訳を整理しておきましょう。ここを曖昧にしたまま金額だけを決めようとすると、思わぬマナー違反を犯したり、後々トラブルになったりする原因となります。お布施は単なる「読経の対価」ではありません。

お布施の本来の意味と現代における役割

本来、仏教における「布施(ふせ)」とは、見返りを求めずに施しを行う修行のひとつ(六波羅蜜)を指します。修行中の僧侶に対して信者が食事や衣服を提供し、そのお返しとして僧侶が法(教え)を説いたことが起源です。したがって、宗教的な建前としては「対価」や「労働報酬」ではなく、ご本尊(仏様)への「お供え」であり、寺院を支えるための「寄付」という性格を持っています。

しかし、現代の日本社会におけるお布施の役割は、より現実的な側面も帯びています。私たち葬祭業者が現場で見ている実情としては、お布施は「寺院の維持管理費」および「僧侶の生活費・活動費」としての側面が非常に強いです。お寺を維持するには莫大な費用がかかります。皆様が支払うお布施によって、本堂は修繕され、僧侶は仏道に専念できるのです。

この「建前(寄付)」と「本音(維持費)」のギャップが、金額設定を難しくしている最大の要因です。「お気持ちで」と言われるのは寄付だからですが、実際には維持費としての「損益分岐点」や「地域の相場」が存在します。ここを理解することが、適切な金額を導き出す第一歩です。

お布施に含まれる費用・含まれない費用(読経料・戒名料・お車代・御膳料)

「お布施」として包む封筒の中身には、何が含まれているのでしょうか。一般的に「お布施」と表書きされた封筒に入れるお金は、以下の要素の合計額、または一部を指します。ここを混同すると予算オーバーや渡し忘れに繋がります。

1. 読経料(どきょうりょう)
葬儀や法要で御経をあげていただいたことへの謝礼です。お布施のメインとなる部分ですが、浄土真宗など一部の宗派では「読経料」という言葉を使わない(読経は僧侶が仏様を讃える行為であり、遺族のためのサービスではないため)ので注意が必要です。

2. 戒名料(かいみょうりょう)/法名料
故人に授けられる名前(戒名・法名)に対する謝礼です。特に葬儀の際のお布施において、金額の多寡を決定づける最も大きな要素です。一般的な「信士・信女」ランクであれば数万円〜十数万円ですが、「居士・大姉」「院号」といった高位の戒名になると、数十万円〜百万円単位で跳ね上がります。多くの場合、葬儀のお布施の中に合算して包みますが、寺院によっては別封筒を求められることもあります。

3. 含まれない費用:御車代・御膳料
ここが重要です。僧侶が自ら移動して会場に来られた場合の「御車代」と、法要後の会食(お斎)を辞退された場合の「御膳料」は、原則として「お布施」とは別の封筒(白封筒)で用意します。 お布施の金額の中にこれらを含めて渡してしまうと、僧侶は「お布施(本尊への供え物)だけ頂いた」と認識し、交通費や食事代が支払われていないと誤解される恐れがあります。

宗教・宗派による考え方の違い(浄土真宗・曹洞宗・真言宗など)

日本には多くの仏教宗派があり、お布施に対する考え方も微妙に異なります。特に「浄土真宗」とそれ以外の宗派では、概念が大きく異なる点を押さえておきましょう。

浄土真宗(本願寺派・大谷派など)
浄土真宗では、亡くなった方はすぐに仏様になる(往生即成仏)と考えます。そのため、僧侶の読経は「霊を慰めるため(供養)」ではなく、「仏様の徳を讃え、遺族が法話を聞くため」に行われます。したがって、お布施も「読経への対価」や「供養料」ではなく、阿弥陀如来への「感謝の気持ち」として渡すものとされています。名目として「読経料」や「回向料」という言葉は使いません。

禅宗系(曹洞宗・臨済宗)
戒名のランクを重んじる傾向があり、戒名料がお布施の金額を大きく左右します。また、修行を重んじるため、儀式の作法も厳格な場合が多いです。

密教系(真言宗・天台宗)
加持祈祷などの儀式性を重視します。お布施の金額も、儀式の規模や僧侶の人数によって変動しやすい傾向にあります。

現役葬祭ディレクターのアドバイス
「建前上は『寄付』ですが、実際には寺院の維持管理費や僧侶の生活費としての側面があります。地域や寺院の格によって『暗黙の定価』が存在することも多いため、独断で決めるのはリスクがあります。特に、先祖代々のお墓がある菩提寺(ぼだいじ)の場合、過去帳などの記録で『先代の葬儀では〇〇万円だった』と確認されていることがほとんどです。前回より極端に低い金額だと、今後の付き合いに支障が出る可能性もゼロではありません。」

【法要別】お布施の金額相場シミュレーション

それでは、皆様が最も知りたい「具体的な金額」について解説します。ここでは日本消費者協会のアンケート調査データや、私が実際の現場で見聞きしている肌感覚を基に、法要ごとの相場レンジを提示します。ただし、これらはあくまで「目安」であり、地域や寺院との関係性によって変動することを前提にご覧ください。

葬儀・告別式のお布施相場(通夜・告別式・初七日含む)

葬儀のお布施は、人生で最も高額な仏事費用のひとつです。一般的に、通夜・告別式・初七日法要(繰り上げ初七日)までをセットで行う場合、お布施の総額相場は20万円〜50万円程度が最も多い価格帯です。

この金額の幅は、主に「戒名のランク」と「僧侶の人数」によって決まります。
最も一般的な戒名(信士・信女)で、僧侶がお一人で来られる場合は、20万円〜30万円程度で収まることが多いでしょう。
一方で、位の高い戒名(居士・大姉、院号)を授かる場合や、導師(メインの僧侶)に加えて脇導師(サポートの僧侶)が複数名来られるような大規模な葬儀では、50万円〜100万円、あるいはそれ以上となるケースもあります。

また、近年増えている「一日葬(告別式のみ)」や「火葬式(直葬)」の場合は、読経の回数が減るため、相場も下がります。一日葬なら10万円〜25万円、火葬式なら3万円〜10万円程度が目安となります。

四十九日法要のお布施相場

故人が亡くなってから49日目に行う「四十九日法要(満中陰法要)」は、忌明けとなる重要な節目です。この法要のお布施相場は、3万円〜5万円が全国的な平均です。

葬儀の時のお布施の「10分の1」程度が目安と言われることもありますが、最低ラインとして3万円を下回ることはあまり推奨されません。また、四十九日に合わせて「納骨」を行う場合は、後述する納骨のお布施を上乗せするか、別封筒で用意する必要があります。
本堂ではなく自宅やセレモニーホールに僧侶を招く場合は、別途「御車代(5千円〜1万円)」が必要です。

一周忌・三回忌など年忌法要のお布施相場

亡くなってから1年目の「一周忌」、2年目の「三回忌」、それ以降の「七回忌」「十三回忌」などの年忌法要(法事)のお布施も、四十九日と同様に3万円〜5万円が相場です。

傾向として、一周忌までは少し手厚く(5万円など)、三回忌以降は少し抑えめに(3万円など)される方もいらっしゃいますが、基本的には3万円以上を包んでおけば失礼にはあたりません。
ただし、法要の後に会食(お斎)の席を設ける場合、僧侶も同席されるかどうかで追加費用(御膳料)が変わってきますので、事前の確認が必須です。

納骨式・開眼供養(お墓の魂入れ)のお布施相場

四十九日法要と同日に行うことが多い「納骨式」ですが、お布施としては法要分とは別に考えるのが丁寧です。
納骨式のみを行う場合のお布施相場は3万円〜5万円です。
四十九日法要とセットで行う場合は、法要のお布施に上乗せして包む(例:法要3万円+納骨2万円=計5万円)か、別々の封筒(法要3万円、納骨3万円)にするかは地域によりますが、合算して「御布施」として渡すケースが多いです。

また、新しくお墓を建てた場合の「開眼供養(魂入れ)」や、仏壇を購入した際の「性根入れ」は、慶事(お祝い事)の要素も含まれるため、相場は少し高めの3万円〜10万円となります。この場合、封筒の水引が紅白になる地域もあるため注意が必要です。

初盆(新盆)・お彼岸のお布施相場

四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆を「初盆(はつぼん・ういぼん)」または「新盆(にいぼん・あらぼん)」と呼びます。通常のお盆よりも丁寧に行うため、お布施も少し多めに包みます。
初盆の相場は3万円〜5万円、通常のお盆やお彼岸で、僧侶に自宅へ来ていただき読経してもらう場合は5千円〜2万円程度が目安です。

お寺で行われる「合同法要(施餓鬼会など)」に参加する場合は、塔婆(とうば)料を含めて3千円〜1万円程度と、比較的安価に設定されていることが一般的です。

▼法要別お布施金額相場 早見表(クリックで展開)
法要の種類 金額目安(相場) 備考
葬儀(通夜・告別式) 20万円 〜 50万円 戒名料を含む場合が多い。宗派や規模で大きく変動。
四十九日法要 3万円 〜 5万円 納骨がある場合は上乗せを検討。
一周忌・三回忌 3万円 〜 5万円 年忌法要の基本額。
納骨式 3万円 〜 5万円 法要と同日の場合は合算可。
初盆(新盆) 3万円 〜 5万円 通常のお盆より手厚くする。
通常のお盆・お彼岸 5千円 〜 2万円 自宅へ招く場合。合同法要なら数千円。

現役葬祭ディレクターのアドバイス
「僧侶に『お気持ちで』と言われた場合、それは『0円でも良い』という意味ではありません。『皆様、このあたりの地域では〇万円くらい包まれることが多いようですが、いかがでしょうか?』と、具体的な数字を出して反応を伺うのが正解です。もし金額が少なすぎる場合は『うーん、まあ、それでも構いませんが…』といった微妙な反応が返ってくることがありますし、十分であれば『それで結構です』と即答いただけます。たたき台となる数字を出すことで、お互いに腹の探り合いをするストレスがなくなります。」

【宗派別】お布施の傾向と注意点

お布施の相場は宗派によっても傾向が異なります。ご自身の家の宗派がわかる場合は、以下の特徴を参考にしてください。特に戒名のランク付けや名称の違いは重要です。

浄土真宗(本願寺派・大谷派)の相場と「読経料」と呼ばないマナー

浄土真宗は、他の宗派に比べてお布施の相場が比較的抑えめであると言われることがあります。これは、高額な戒名(法名)料の概念が薄いことが一因です。浄土真宗では「戒名」ではなく「法名(ほうみょう)」を用い、基本的には「釋〇〇(男性)」「釋尼〇〇(女性)」という形式で、ランクによる極端な金額差が生じにくい構造になっています(院号を付ける場合は別です)。
注意点として、前述の通り表書きや会話の中で「読経料」「供養料」という言葉は使わず、すべて「御布施」で統一してください。

曹洞宗・臨済宗(禅宗系)の相場傾向

曹洞宗や臨済宗などの禅宗系は、規律を重んじる宗派であり、戒名のランク(信士・信女、居士・大姉、院号)が明確です。そのため、葬儀のお布施においては、どのランクの戒名を授かるかによって金額が大きく変動します。居士・大姉クラスになると、お布施の総額が50万円〜100万円近くになるケースも珍しくありません。事前の相談が特に重要です。

真言宗・天台宗(密教系)の相場傾向

真言宗や天台宗は、葬儀において多くの真言(マントラ)を唱えたり、印を結んだりと、儀式の手順が多く複雑です。そのため、お布施の相場も比較的高めになる傾向があります。また、本山への納金などが必要なケースもあり、お布施とは別に特定の費用が発生することもあるため、菩提寺によく確認することをお勧めします。

日蓮宗の相場傾向

日蓮宗では、戒名にあたるものを「法号(ほうごう)」と呼びます。「信士・信女」などの位に加え、「日号(にちごう)」が入るかどうかが大きなポイントとなります。日号が入る法号は位が高く、その分お布施の金額も上がります。相場感としては禅宗系に近いイメージで、法号のランク次第で幅広くなります。

浄土宗の相場傾向

浄土宗のお布施相場は、仏教界全体の中では平均的と言えます。戒名には「誉(よ)」の字が入ることが特徴です。地域差はありますが、極端に高額になることも、安価になることも少ない安定した相場感です。葬儀で30万円〜50万円程度がボリュームゾーンとなるでしょう。

▼もっと詳しく:戒名(法名)のランクと費用の関係(クリックで展開)

戒名はお金で買うものではありませんが、寺院への貢献度や社会的な地位、そしてお布施の額によって授与されるランクが変わるのが通例です。

  • 信士(しんじ)・信女(しんにょ):最も一般的なランク。追加費用なし〜数万円程度。
  • 居士(こじ)・大姉(だいし):信士・信女より位が高く、仏教への信仰が厚い人に贈られる。相場は+10万円〜30万円程度。
  • 院号(いんごう):最高ランク。「〇〇院」と付く。寺院への多大な貢献が必要。相場は+50万円〜100万円以上。

「立派な戒名をつけたい」と希望する場合は、それに見合ったお布施を用意する必要があります。逆に予算が限られる場合は、正直に相談して一般的なランクにしてもらうのが賢明です。

失敗しないお布施封筒の選び方と書き方【図解あり】

金額が決まっても、それを包む「封筒」の選び方や書き方を間違えては、せっかくの気持ちも台無しです。ここでは、文具店やコンビニで封筒を選ぶところから、筆を入れるまでの手順を解説します。

封筒(不祝儀袋)の選び方:水引の有無と色は?

お布施を入れる封筒は、金額や地域によって使い分けます。

1. 奉書紙(ほうしょがみ)で包むのが最上
最も丁寧なのは、市販の封筒ではなく、奉書紙という和紙を使って、中袋に入れたお札を包む方法です。高額なお布施(5万円以上〜)や、葬儀の際のお布施は、この形式が望ましいです。

2. 市販の「御布施」封筒でもOK
3万円〜5万円程度の法要であれば、市販されている白い封筒や、「御布施」と印刷された不祝儀袋で問題ありません。ただし、郵便番号枠が印刷されている茶封筒などは事務的すぎるため避けましょう。

3. 水引(みずひき)の色は?
ここが間違いやすいポイントです。
関東を中心とした多くの地域:「水引なし」の白封筒、または「双銀(銀色のみ)」の水引を使います。黒白の水引は香典(霊前)用とされることが多く、お布施には避ける傾向があります。
関西地方:「黄白(黄色と白)」の水引を使うのが一般的です。
迷った場合は、「水引なしの白い封筒」を選ぶのが最も無難で、どの地域・宗派でも失礼になりません。

【表書き】筆ペンの種類(薄墨か濃墨か)と正しい書き方

香典の表書きは「悲しみで墨が薄まった」という意味で「薄墨(うすずみ)」を使いますが、お布施の表書きは「濃墨(こずみ・普通の黒)」を使います。
お布施は僧侶への謝礼であり、悲しみの表現ではないため、しっかりと濃い黒で書くのがマナーです。

書き方の手順:
封筒の中央上部に「御布施」または「お布施」と書きます。あらかじめ印刷されているものを使っても構いません。
その下(水引がある場合は水引の下)中央に、「〇〇家」または「フルネーム」を書きます。喪主のフルネームを書くのが一般的ですが、施主が明確でない場合は「〇〇家」でも通じます。

【中袋】金額と住所・氏名の書き方マナー

外包みの中に、お札を入れるための「中袋(なかぶくろ)」がある場合、ここに金額と住所氏名を記入します。

  • 表面:中央に縦書きで金額を書きます。頭に「金」、末尾に「圓(または円)也」を付けます。(例:金参萬圓也)
  • 裏面:左下に住所と氏名(喪主名)を書きます。これは、お寺様が後で帳簿をつける際に誰からのお布施か分からなくならないようにするための配慮です。

【裏書き】中袋がない場合の書き方

市販の白い封筒など、中袋がついていないタイプ(一重の封筒)の場合は、封筒の裏面に直接記入します。
裏面の左下に、金額と住所・氏名を縦書きで記載してください。金額を書き忘れると、お寺様が中身を確認した後に「これは誰の分だったか?」と混乱する原因になりますので、必ず記載しましょう。

金額(数字)の書き方:旧字体(壱、弐、参)一覧リスト

金額を書く際は、改ざんを防ぐために「大字(だいじ)」と呼ばれる旧字体を使うのが正式なマナーです。漢数字(一、二、三)でも間違いではありませんが、旧字体の方が丁寧な印象を与えます。

数字 旧字体(推奨) 使用例
1 金 壱萬圓 也
2 金 弐萬圓 也
3 金 参萬圓 也
5 金 伍萬圓 也
10 金 壱拾萬圓 也
1,000 (あまり使いません)
10,000 金 参拾萬圓 也

※「円」は「圓」と書くのが正式ですが、「円」でも問題ありません。

現役葬祭ディレクターのアドバイス
「字が下手でも心を込めて手書きするのが一番ですが、どうしても自信がない場合は、パソコンでの印刷やスタンプでも最近は許容される傾向にあります。ただし、明朝体や行書体などの『毛筆フォント』を選びましょう。ゴシック体は事務的すぎるので避けてください。また、葬儀社のスタッフに頼めば、綺麗な字で代筆してくれるサービスを行っていることも多いので、遠慮なく相談してみてください。」

お金の入れ方・包み方のマナー

封筒への現金の入れ方にも、お布施ならではのルールがあります。香典(お悔やみ)とは逆のルールも存在するため、混同しないよう注意が必要です。

お札は新札?旧札?お布施ならではのルール

香典では「不幸を予期して準備していたと思われないように」古札(使い古したお札)を使うのがマナーとされていますが、お布施の場合は「新札」を用意するのがマナーです。
これは、お布施が「あらかじめ準備して、感謝の気持ちを込めて渡すもの」だからです。
もし新札が手元にない場合は、比較的きれいな古札を選べば問題ありません。破れていたり、シワだらけのお札は避けましょう。どうしてもシワのあるお札しかない場合は、布をあてて低温でアイロンをかけるという裏技もあります。

お札を入れる向き(肖像画は表?裏?上?下?)

お札を封筒に入れる向きも、香典とは逆になります。

  • 表裏:封筒の「表側(御布施と書いてある面)」に、お札の「肖像画がある面(表)」が来るように入れます。
  • 上下:お札の「肖像画」が、封筒の「上側(口に近い方)」に来るように入れます。

つまり、封筒からお札を出した時に、「最初に肖像画の顔が見える」状態にするのが正解です。これは慶事(お祝い)と同じ入れ方であり、僧侶への敬意を表す作法です。

袱紗(ふくさ)の種類(色・形状)と正しい包み方

お布施を裸のまま持ち歩くのはマナー違反です。必ず「袱紗(ふくさ)」に包んで持参しましょう。

  • 色:紫色の袱紗が最も便利です。紫は慶事(祝儀)・弔事(不祝儀)のどちらにも使える万能色です。それ以外なら、紺・深緑・グレーなどの寒色系(弔事用)を選びます。赤やピンクなどの暖色系は慶事用なので、法事では使用しません。
  • 包み方:
    1. 袱紗をひし形に広げ、中央より少し右寄りに封筒を置きます。
    2. の角を内側に折ります。
    3. の角を上に折ります。
    4. の角を下に折ります。
    5. 最後にの角を右へ折り込み、余った部分を裏へ回します。

ポイントは「左が一番上に来る」ことです。これが弔事(仏事)の包み方です(慶事は右が上)。最近よくあるポケットタイプの「金封袱紗」の場合も、左開きの状態で封筒を差し込みます。

恥をかかないお布施の渡し方とタイミング

準備が整ったら、いよいよ僧侶へ渡す場面です。ここでの所作がスマートだと、非常に好印象を与えられます。

渡すタイミングはいつ?(葬儀・法要の開始前or終了後)

お布施を渡すタイミングは、基本的に「法要が始まる前の挨拶の時」または「法要がすべて終わった後」のどちらかです。
葬儀の場合は、式場に到着して僧侶が控室に入られたタイミングで、喪主が挨拶に伺い、その場でお渡しするのが一般的です。
法事(四十九日など)の場合も同様ですが、開始前はバタバタしていることもあるため、全ての儀式が終わり、僧侶が一息つかれたタイミングでお渡ししても構いません。「本日は丁寧なご供養をありがとうございました」とお礼を述べながら渡すとスムーズです。

手渡しはNG!切手盆(きってぼん)または袱紗を使った渡し方

最もやってはいけないのが、封筒をポケットから取り出して、直接手渡しすることです。
お布施は、小さなお盆である「切手盆(きってぼん)」に乗せて渡すのが正式な作法です。切手盆は葬儀場やお寺には必ず用意されています。

渡し方の手順:

  1. 切手盆の上に、お布施の封筒を乗せます(文字が自分から読める向き)。
  2. 僧侶の前に進み、一礼します。
  3. 切手盆を時計回りに180度回し、「僧侶から文字が読める向き」にします。
  4. 両手で切手盆を持ち、差し出します。

切手盆がない場合(袱紗を使う方法):
自宅での法要などで切手盆がない場合は、包んできた袱紗を利用します。

  1. 袱紗から封筒を取り出します。
  2. 畳んだ袱紗を手のひらに乗せ、その上に封筒を乗せます(座布団代わりにするイメージ)。
  3. その状態で、文字の向きを僧侶側に変えて差し出します。

渡す際に添える挨拶・言葉の例文集

無言で渡すのは失礼ですので、一言添えましょう。

  • 開始前に渡す場合:
    「本日はどうぞよろしくお願いいたします。こちら、お布施でございます。お納めください。」
  • 終了後に渡す場合:
    「本日は丁寧なお勤めをいただき、ありがとうございました。ささやかですが、お礼でございます。」
  • お車代などを別にする場合:
    「こちらは御布施でございます。また、こちらは御車代でございます。どうぞお納めください。」

現役葬祭ディレクターのアドバイス
「自宅での法要などで切手盆(黒いお盆)がない場合は、袱紗を座布団代わりにして、その上に封筒を乗せて差し出せばマナー違反にはなりません。絶対に避けるべきは、封筒を裸のまま手渡しすることです。これは『お小遣い』を渡すような仕草に見えてしまい、非常に失礼にあたります。必ず『ワンクッション(お盆か袱紗)』を置くことを意識してください。」

お布施以外に必要なお金(お車代・御膳料・心付け)

予算を組む際に見落としがちなのが、お布施以外の諸費用です。これらは状況によって必要かどうかが変わります。

「御車代」の相場と渡す条件

僧侶がタクシーや自家用車で、自宅や葬儀会館まで来てくださった場合に渡します。
相場:5,000円〜10,000円
お寺で法要を行う場合や、喪家側がタクシーを手配して送迎した場合は不要です。距離が遠い場合は、実費(タクシー代相当)に少し色を付けて渡すのが親切です。

「御膳料」の相場と渡す条件(会食を辞退された場合)

法要の後には「お斎(おとき)」と呼ばれる会食の席を設けるのが通例ですが、僧侶が都合により参加せず帰られる場合に、食事代の代わりとして渡します。
相場:5,000円〜10,000円
僧侶が会食に参加される場合は不要です。また、最近はお弁当を持ち帰っていただくケースもありますが、その場合も御膳料は不要です(お弁当が御膳料代わりになります)。

運転手や火葬場スタッフへの「心付け」は必要?

霊柩車の運転手や、火葬場の係員、配膳スタッフなどに渡すチップを「心付け(こころづけ)」と言います。
かつては必須の習慣でしたが、現在は公営の火葬場を中心に「受け取り禁止」となっている場所が増えています。また、葬儀社のプランにサービス料が含まれている場合も多いため、必ずしも必要ではありません。
渡す場合は、ポチ袋に1,000円〜3,000円程度を入れますが、事前に葬儀担当者に「この地域では心付けは必要ですか?」と確認するのが確実です。

よくある質問に葬祭のプロが回答 (FAQ)

Q. お布施の金額は偶数でも大丈夫ですか?(2万円など)

A. お布施に関しては、偶数でも問題ありません。
結婚式のご祝儀では「割れる(別れる)」を連想させる偶数は避けますが、お布施は不幸事に対する慰謝料ではないため、数字の吉凶にはこだわりません。2万円、20万円といった金額でも大丈夫です。ただし、「4(死)」や「9(苦)」を連想させる金額は避けるのが無難です。

Q. お布施を渡し忘れた場合はどうすればいいですか?

A. 気づいた時点ですぐにお詫びの連絡を入れ、後日持参しましょう。
当日渡し忘れてしまった場合は、すぐにお寺に電話をして謝罪し、「明日、お届けに上がります」と伝えて持参します。遠方の場合は、現金書留で送ることも可能ですが、その際は必ず一筆箋にお詫びと感謝の手紙を添えましょう。

Q. 郵送でお布施を送っても失礼になりませんか?

A. 事前に連絡をすれば失礼にはなりません。
遠方の菩提寺にお願いする場合や、後日渡す場合は、現金書留での郵送も一般的です。普通の封筒に現金を直接入れるのは法律違反(郵便法)ですので、必ず郵便局の「現金書留封筒」を使います。その中に、奉書紙や不祝儀袋に入れたお布施と、手紙を同封します。

Q. お布施は相続税の控除対象になりますか?

A. 葬儀のお布施は控除対象になりますが、四十九日以降は原則対象外です。
通夜・告別式・初七日(葬儀と同時に行う場合)に支払ったお布施は「葬儀費用」として、相続財産から差し引くことができます。しかし、四十九日法要や一周忌などの法事費用は、追善供養(遺族が行うもの)とみなされ、控除対象にはなりません。
なお、お布施には領収書が出ないことが多いため、いつ、どのお寺に、いくら支払ったかをメモに残しておけば、税務申告の際の証拠として認められます。

Q. 菩提寺がない(お寺と付き合いがない)場合はどうすれば?

A. 葬儀社に紹介してもらうか、僧侶手配サービスを利用します。
特定のお付き合いしているお寺がない場合は、葬儀担当者に相談すれば、希望する宗派の僧侶を紹介してくれます。この場合、お布施の金額があらかじめ決まっていることも多く、交渉の手間が省けます。

現役葬祭ディレクターのアドバイス
「お寺とのお付き合いがない場合、葬儀社やネットの僧侶手配サービスを利用するのも一般的になっています。この場合、お布施の金額があらかじめ定額で明示されている(例:法要1回〇万円など)ため、相場で悩むストレスから解放されるメリットがあります。ただし、親戚の中に『どこの馬の骨とも分からん坊さんを呼んで!』と気にする方がいる場合は、事前に説明して了承を得ておくことがトラブル回避の鍵です。」

まとめ:お布施は感謝の心を表すもの。相場を参考に無理のない範囲で

お布施の金額やマナーについて解説してきましたが、最も大切なのは「故人を供養していただくことへの感謝の気持ち」です。相場はあくまで目安であり、ご家庭の経済状況に合わせて無理のない範囲で包むことが、本来の形です。

しかし、マナーを守ることは、僧侶への敬意であると同時に、故人を送り出す遺族としての品格を守ることにも繋がります。最後に、準備のチェックリストを確認して、自信を持って当日をお迎えください。

お布施準備の最終チェックリスト

  • [ ] 金額の決定:相場の範囲内か? 親族と相談したか?
  • [ ] お札の準備:新札(または綺麗な古札)を用意したか?
  • [ ] 封筒の用意:白封筒または不祝儀袋(水引はなしか双銀・黄白)か?
  • [ ] 表書き:「御布施」と「氏名」を濃い黒で書いたか?
  • [ ] 裏書き/中袋:金額、住所、氏名を記入したか?
  • [ ] お札の向き:肖像画が表・上に来るように入れたか?
  • [ ] 付属品:袱紗(ふくさ)または切手盆の準備はOKか?
  • [ ] 追加費用:お車代・御膳料が必要か確認し、別封筒を用意したか?

このガイドが、皆様の不安を取り除き、心安らかに故人をお見送りする一助となれば幸いです。

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