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寝ても寝ても眠いのは病気?「甘え」と自分を責める前に知るべき原因と受診の目安

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毎日しっかりと睡眠時間を確保しているはずなのに、日中に耐え難い眠気が襲ってくる。仕事中、会議の内容が頭に入ってこない。休日は泥のように眠り続けてしまい、気づけば夕方になっている。

そんな日々が続くと、「自分はなんて意志が弱いんだろう」「気合が足りない甘えではないか」と、自分自身を責めてしまうかもしれません。周囲からの「やる気がない」という視線に怯え、カフェインで無理やり体を起こしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、結論から申し上げます。十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず生じる強い眠気は、決してあなたの「甘え」や「怠け」ではありません。それは、過眠症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害、あるいは自律神経の乱れや「隠れ睡眠負債」など、身体が発している深刻なSOSである可能性が高いのです。

この記事では、3,000人以上の睡眠悩みに寄り添ってきた専門家の視点から、以下の3点を中心に詳しく解説します。

  • 「異常な眠気」かどうかが客観的にわかるセルフチェックリスト
  • 眠気を引き起こす主な病気(過眠症・うつ・貧血など)と女性特有の原因
  • 何科を受診すべきかの判断基準と、今日からできる生活改善法

眠気という「身体の声」に耳を傾け、正しい知識を持つことで、罪悪感から解放される第一歩を踏み出しましょう。

  1. 「寝ても寝ても眠い」は身体からのSOS!3つの主要な原因とは
    1. 原因1:睡眠障害・身体疾患(ナルコレプシー、SAS、貧血など)
    2. 原因2:睡眠の「質」の低下(隠れ睡眠負債、環境要因)
    3. 原因3:メンタル・自律神経の乱れ(ストレス、うつ、自律神経失調症)
  2. 【セルフチェック】その眠気、病院に行くべき?受診の目安となる危険サイン
    1. 日中の眠気を数値化する「ESS(エプワース眠気尺度)」簡易チェック
    2. 要注意!「睡眠時間は足りているのに眠い」場合の具体的症状
    3. 「ただの疲れ」と「病的眠気」の決定的な違いとは
  3. 「寝ても寝ても眠い」原因となる主な病気と特徴
    1. 過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症):耐え難い眠気の発作
    2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS):いびきと熟睡感の欠如
    3. うつ病・非定型うつ病:「過眠」がサインとなる心の病
    4. 起立性調節障害・甲状腺機能低下症:全身の倦怠感を伴う
  4. 【女性編】30代〜40代女性に多い「眠気」の正体
    1. 生理周期と眠気(PMS・月経前症候群):プロゲステロンの影響
    2. 鉄欠乏性貧血:酸素不足が招く脳の酸欠と眠気
    3. 妊娠初期・更年期のホルモン変動による睡眠障害
  5. 病気じゃないのに眠い?見落としがちな「生活習慣」の落とし穴
    1. 「質」が悪い?アルコール・カフェイン・寝る前スマホの影響
    2. 食後の強烈な眠気は「血糖値スパイク」の可能性大
    3. 休日だけ長く寝る「寝だめ」が招くソーシャル・ジェットラグ
  6. 仕事中・日中の辛い眠気を乗り切る!即効対策と根本改善
    1. 【即効編】仕事中に襲われた時の緊急対処法(ツボ、換気、仮眠のコツ)
    2. 【根本編】睡眠の質を高める「光」と「体温」のコントロール
    3. サプリメントやカフェイン錠剤との正しい付き合い方
  7. 病院は何科に行くべき?受診の流れと準備
    1. 症状別・診療科の選び方チャート
    2. 医師に正しく症状を伝えるために準備するもの
    3. 睡眠検査(PSG検査など)の内容と費用目安
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 10時間以上寝ないと調子が悪いのは「ロングスリーパー」ですか?
    2. Q. 眠すぎて仕事になりません。休職の診断書はもらえますか?
    3. Q. 市販の睡眠改善薬は「過眠」にも効きますか?
  9. まとめ:自分を責めるのは終わりにして、専門家の力を借りましょう

「寝ても寝ても眠い」は身体からのSOS!3つの主要な原因とは

「昨日は8時間も寝たのに、なぜこんなに眠いのだろう?」

多くの人が抱くこの疑問の答えは、単なる「寝不足」だけではありません。睡眠時間は足りていても、日中のパフォーマンスを著しく低下させる要因は複雑に絡み合っています。まずは、あなたの眠気がどこから来ているのか、その全体像を把握することから始めましょう。

異常な眠気を引き起こす原因は、大きく分けて「睡眠障害・身体疾患」「睡眠の質の低下」「メンタル・自律神経の乱れ」の3つに分類されます。これらは独立して存在するだけでなく、互いに影響し合って悪循環を生み出すことも少なくありません。例えば、ストレス(メンタル)が睡眠の質を下げ、それが身体の不調(疾患)を招くといったケースです。

ここでは、それぞれの要因について詳しく掘り下げていきます。「自分の意志ではどうにもならない原因がある」と知るだけで、心の重荷が少し軽くなるはずです。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「私の元に相談に来られる方の多くが、第一声で『私が怠け者だからでしょうか』と仰います。しかし、詳しくヒアリングを行うと、その眠気は明らかに『意志の弱さ』ではなく『脳と身体の不調』によるものです。眠気は、発熱や痛みと同じく、身体が機能不全を起こしているサインです。ご自身を責めるのではなく、身体の声として受け止めてあげてください。」

原因1:睡眠障害・身体疾患(ナルコレプシー、SAS、貧血など)

最も見過ごしてはならないのが、医学的な治療が必要な「病気」が隠れているケースです。これらは努力や根性で解決できるものではなく、適切な医療介入が必要です。

代表的なものに「過眠症」があります。中でもナルコレプシーは、脳内の覚醒を維持する物質(オレキシン)が不足することで、場所や状況を選ばず強烈な眠気に襲われます。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まることで脳が酸欠状態になり、深い睡眠が得られず、日中に強い眠気を引き起こします。「いびきをかかないから大丈夫」と思っている女性でも、実は「隠れSAS」であることは珍しくありません。

さらに、睡眠そのものの病気だけでなく、甲状腺機能低下症や貧血といった全身疾患も、症状として「強い倦怠感と眠気」を伴います。これらは血液検査などで明確に診断がつくものです。

原因2:睡眠の「質」の低下(隠れ睡眠負債、環境要因)

「時間は確保している」という方に多いのが、睡眠の「質」に問題があるケースです。睡眠には、脳を休める「ノンレム睡眠」と、記憶の整理や感情の処理を行う「レム睡眠」のリズムがありますが、このリズムが崩れると、いくら長くベッドにいても脳は回復しません。

例えば、寝る直前までスマートフォンを見てブルーライトを浴びていたり、深部体温が下がらないまま布団に入ったりしていませんか? また、アルコールの摂取は入眠をスムーズにするように感じられますが、実際には睡眠を浅くし、中途覚醒の原因となります。

自分では気づかないうちに溜まっている「隠れ睡眠負債」も厄介です。平日の睡眠不足を週末の「寝だめ」で解消しようとすると、体内時計が狂い(ソーシャル・ジェットラグ)、月曜日の朝に時差ボケのような辛さを感じることになります。

原因3:メンタル・自律神経の乱れ(ストレス、うつ、自律神経失調症)

心と睡眠は密接にリンクしています。過度なストレスや不安が続くと、自律神経の交感神経が優位になり続け、脳が常に興奮状態となって「休むモード」に入れません。その結果、睡眠時間は確保していても脳が休息できず、日中にガス欠のような眠気が生じます。

また、うつ病や非定型うつ病の初期症状として「過眠」が現れることがあります。一般的なうつ病では不眠(眠れない)が有名ですが、特に若年層や女性に多い非定型うつ病では、「いくら寝ても眠い」「鉛のように体が重い」という症状が特徴的です。これは、現実のストレスから逃避しようとする脳の防衛反応とも言われています。

【図解イメージ】眠気の3大原因構成比率
原因カテゴリー 主な具体例 特徴的な感覚
1. 身体的疾患 過眠症、SAS、貧血、甲状腺機能低下症 抗えない発作的な眠気、全身のダルさ
2. 睡眠の質 環境不良、アルコール、概日リズムのズレ 寝起きが悪い、午前中ずっと頭がボーッとする
3. メンタル ストレス、うつ、自律神経失調症 意欲が湧かない、現実逃避したい感覚

※これらは重複して現れることも多いため、決めつけずに総合的に判断することが重要です。

【セルフチェック】その眠気、病院に行くべき?受診の目安となる危険サイン

「眠いのは辛いけれど、病院に行くほどのことなのだろうか?」と迷う方は非常に多いです。病院に行って「ただの寝不足ですね」と言われるのが怖い、という心理も働くでしょう。

しかし、病的眠気には明確なサインがあります。ここでは、睡眠医療の現場でも使用される指標や、日常生活で現れる危険信号をもとに、受診の目安を確認していきます。客観的な数値や事実は、あなたを守るための重要な判断材料になります。

日中の眠気を数値化する「ESS(エプワース眠気尺度)」簡易チェック

世界中の医療機関で、日中の眠気を評価するために使われているのが「ESS(Epworth Sleepiness Scale:エプワース眠気尺度)」です。以下の8つの状況において、どれくらい眠くなるかを0〜3点で採点してみてください。

  • 0点:決して眠くならない
  • 1点:まれに眠くなる
  • 2点:時々眠くなる
  • 3点:頻繁に眠くなる

【チェック項目】

  1. 座って読書をしているとき
  2. テレビを見ているとき
  3. 会議や映画館など、公共の場所で座っているとき
  4. 乗客として車に1時間続けて乗っているとき
  5. 午後、横になって休息をとっているとき(可能な場合)
  6. 座って人と話をしているとき
  7. 昼食後(お酒なし)、静かに座っているとき
  8. 自分で車を運転中、渋滞などで数分間止まっているとき

合計点が11点以上の場合、病的な眠気(過眠)の疑いがあるとされています。特に「座って人と話をしているとき」や「運転中」に眠気を感じる場合は、重症度が高い可能性があります。

要注意!「睡眠時間は足りているのに眠い」場合の具体的症状

点数だけでなく、日常の具体的なエピソードも重要な判断基準です。7時間以上の睡眠を継続的にとっているにもかかわらず、以下のような症状がある場合は要注意です。

  • 金縛りに頻繁にあう(入眠時幻覚・睡眠麻痺): ナルコレプシーの代表的な症状の一つです。
  • 笑ったり驚いたりした時に力が抜ける(情動脱力発作): 膝がガクッとなる、呂律が回らなくなるなどの症状です。
  • いびきを指摘される、または呼吸が止まっていると言われた: 睡眠時無呼吸症候群の強いサインです。
  • 朝、頭痛がする・口が乾いている: 口呼吸や睡眠中の酸素不足を示唆しています。
  • 無意識に行動している(自動症): 眠気を感じている間の記憶がなく、気づいたら変な文章を打っていたり、知らない場所に移動していたりする状態です。

「ただの疲れ」と「病的眠気」の決定的な違いとは

一般的な疲労による眠気と、病的な眠気の最大の違いは「休息によって回復するかどうか」です。

健常な範囲の疲労であれば、週末にゆっくり休んだり、数日間十分な睡眠をとったりすれば、眠気は解消され、スッキリとした感覚が得られます。しかし、睡眠障害やうつ病などが原因の場合、いくら寝ても「寝足りない感覚」が消えず、倦怠感が持続します。

また、眠気の「質」も異なります。病的な眠気は、意思の力では抗えない「強制的なシャットダウン」に近い感覚です。「気づいたら寝ていた(寝落ち)」が頻発する場合は、脳の覚醒維持機能に障害が起きている可能性が高いと言えます。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「受診を迷ったときにぜひ試していただきたいのが『睡眠日誌』の記録です。2週間程度、就寝・起床時間と、日中の眠気の度合い、その日の気分をメモに残してみてください。『月曜日の午前中だけ特に眠い』『生理前に集中している』など、自分でも気づかなかったパターンが見えてきます。そして何より、この記録は医師への強力な説明資料となり、誤診を防ぐ助けになります。」

受診推奨レベル判定チェックリスト(クリックして確認)

以下のいずれか一つでも当てはまる場合は、専門医療機関への相談を強くお勧めします。

  • [ ] ESS(眠気尺度)の合計が11点以上である
  • [ ] 重要な会議や商談中、運転中など、本来寝てはいけない状況で寝てしまったことがある
  • [ ] 感情が高ぶったときに体の力が抜ける感覚がある
  • [ ] 家族やパートナーから、激しいいびきや無呼吸を指摘された
  • [ ] 十分な睡眠をとっても、1ヶ月以上毎日のように強い眠気と倦怠感が続いている
  • [ ] 眠気のせいで、仕事のミスや遅刻が増えるなど社会生活に支障が出ている

「寝ても寝ても眠い」原因となる主な病気と特徴

ここでは、強い眠気を引き起こす代表的な疾患について、その特徴を解説します。ご自身の症状と照らし合わせることで、受診すべき診療科のあたりをつけることができます。

過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症):耐え難い眠気の発作

ナルコレプシーは、日中の耐え難い眠気が反復する病気です。10代〜20代で発症することが多く、授業中や仕事中、会話中などに突然眠りに落ちてしまいます。特徴的なのは、夜間の睡眠が分断されやすく熟睡できないことや、入眠時にリアルな夢(幻覚)を見たり金縛りにあったりすることです。

特発性過眠症は、ナルコレプシーと似ていますが、情動脱力発作(笑うと力が抜けるなど)がなく、一度眠ると長時間目覚められない、目覚めた後も「睡眠酩酊」と呼ばれる泥酔したような状態が続くのが特徴です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS):いびきと熟睡感の欠如

睡眠中に気道が塞がり、呼吸が何度も止まる病気です。肥満の男性に多いイメージがありますが、「顎が小さい」「首が短い」といった骨格的な特徴を持つ女性や痩せ型の人にも多く見られます。

呼吸停止による低酸素状態と、呼吸再開のための覚醒反応(脳が一瞬起きる)が繰り返されるため、7時間寝ていても脳はマラソンをし続けているような状態になります。日中の強烈な眠気のほか、起床時の頭痛、集中力の低下が顕著です。

うつ病・非定型うつ病:「過眠」がサインとなる心の病

メンタルの不調も眠気の大きな要因です。特に「非定型うつ病」では、過眠や過食が顕著な症状として現れます。夕方になると少し気分が晴れる、楽しいことがあると一時的に元気になる(気分反応性がある)といった特徴があり、周囲からは「わがまま」「気分のムラ」と誤解されやすいのが辛いところです。

また、冬季うつ病(季節性情動障害)のように、日照時間が短くなる冬場に過眠症状が出るケースもあります。これはセロトニン不足や体内時計の乱れが関係しています。

起立性調節障害・甲状腺機能低下症:全身の倦怠感を伴う

起立性調節障害は、自律神経の機能不全により、立ちくらみや朝起きられない、午前中の極度の不調を引き起こします。思春期に多いですが、大人になってから診断されるケースもあります。

甲状腺機能低下症(橋本病など)は、代謝を司る甲状腺ホルモンが不足する病気で、圧倒的な倦怠感、寒がり、むくみ、そして強い眠気が症状として現れます。特に30代〜50代の女性に多く見られるため、見逃せない原因の一つです。

詳しい病気のメカニズム解説(折りたたみ)

ナルコレプシーのメカニズム:
脳の視床下部にある「オレキシン」という神経伝達物質を作る神経細胞が、何らかの原因(自己免疫疾患などが疑われています)で破壊され、オレキシンが欠乏することで起こります。オレキシンは脳を「覚醒」状態に保つスイッチの役割をしているため、これがなくなると覚醒を維持できず、突然スイッチが切れたように眠ってしまいます。

睡眠時無呼吸症候群のメカニズム:
仰向けで寝た際に、舌根(舌の付け根)や軟口蓋が重力で沈下し、気道を塞ぐことで起こります(閉塞性)。呼吸が止まると血中の酸素濃度が下がり、二酸化炭素濃度が上がります。これを危険と察知した脳が交感神経を興奮させ、無理やり呼吸を再開させますが、この過程で睡眠が中断され、深い睡眠(徐波睡眠)が得られなくなります。

【女性編】30代〜40代女性に多い「眠気」の正体

女性の体は、ライフステージや月経周期に伴うホルモンバランスの劇的な変化に常にさらされています。もしあなたが女性で、原因不明の眠気に悩んでいるなら、それは女性ホルモンの影響かもしれません。

生理周期と眠気(PMS・月経前症候群):プロゲステロンの影響

生理前(黄体期)になると、どうしても眠くなるという女性は非常に多いです。これは、排卵後に分泌が増える女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の影響です。

プロゲステロンには、催眠作用があるほか、基礎体温を上げる働きがあります。人は深部体温が下がる時に深い眠りに入りますが、生理前は体温が高い状態が続くため、夜の睡眠が浅くなりがちです。その結果、夜間の質の低下を補おうとして、日中に強い眠気が生じるのです。

鉄欠乏性貧血:酸素不足が招く脳の酸欠と眠気

月経のある女性に圧倒的に多いのが「鉄欠乏性貧血」です。血液中のヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、鉄分不足でヘモグロビンが減ると、脳が慢性的な酸素不足(酸欠)状態になります。

脳が酸欠になると、あくびが頻発し、集中力が低下し、常にボーッとした眠気を感じます。「健康診断で少し貧血気味と言われたけれど、放置している」という方は、鉄分補給をするだけで劇的に眠気が改善することも珍しくありません。

妊娠初期・更年期のホルモン変動による睡眠障害

妊娠初期は、プロゲステロンの急増により、「眠りつわり」と呼ばれるほどの強い眠気が生じます。これは母体を休ませようとする身体の防衛反応でもあります。

一方、更年期(閉経前後)に入ると、エストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少し、自律神経のバランスが崩れます。ホットフラッシュ(ほてり)や発汗で夜中に何度も目が覚めてしまったり、不安感から不眠になったりと、睡眠の質が低下し、日中の眠気に繋がります。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「女性ホルモンの変動による眠気は、いわば『自然現象』に近いものです。生理前などは『今はパフォーマンスが落ちて当たり前』と割り切り、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。また、貧血は『隠れ貧血(フェリチン不足)』の場合もあるので、一般的な血液検査だけでなく、貯蔵鉄(フェリチン)の値を調べてもらうことをお勧めします。」

病気じゃないのに眠い?見落としがちな「生活習慣」の落とし穴

病院で検査をしても「異常なし」と言われた。でも、やっぱり眠い。そんな時に疑うべきなのが、日々の何気ない生活習慣の中に潜む「睡眠の質を破壊する要因」です。

「質」が悪い?アルコール・カフェイン・寝る前スマホの影響

「寝酒」は睡眠の最大の敵の一つです。アルコールは入眠を早めますが、アセトアルデヒドに分解される過程で交感神経を刺激し、睡眠後半の覚醒を促します。結果、睡眠時間は足りていても、脳は休息できていません。

また、カフェインの覚醒作用は摂取後30分〜1時間でピークに達し、個人差はありますが4〜6時間以上持続します。夕方以降のコーヒーやエナジードリンクは、夜の睡眠の質を確実に低下させます。

そして現代病とも言える「寝る前スマホ」。ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、脳に「今は昼だ」と誤認させます。これにより体内時計が後ろにずれ込み、朝起きるのが辛くなるのです。

食後の強烈な眠気は「血糖値スパイク」の可能性大

昼食後に気絶するような眠気に襲われる場合、「血糖値スパイク(反応性低血糖)」の可能性があります。糖質の多い食事(パスタ、うどん、丼ものなど)を一気に摂ると、血糖値が急上昇します。すると、それを下げるためにインスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急激に下がりすぎてしまうのです。

脳のエネルギー源であるブドウ糖が急激に不足することで、強い眠気や集中力の低下、だるさが生じます。これは「隠れ糖尿病」のリスク因子でもあります。

休日だけ長く寝る「寝だめ」が招くソーシャル・ジェットラグ

「平日は6時間睡眠、休日は10時間睡眠」という生活をしていませんか? この2時間のズレが、体内時計に時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)を引き起こします。

休日の朝遅くまで寝ていると、体内時計が後ろにズレます。しかし、月曜日の朝は無理やり早く起きなければなりません。これは、毎週海外旅行をして時差ボケになっているのと同じ負担を脳にかけています。この「時差」が解消されるのには数日かかるため、週の前半はずっと眠い状態が続いてしまうのです。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「以前担当したクライアント様で、毎日ランチに大盛りのパスタを食べていた方がいました。午後の仕事中に寝てしまうと悩んでいましたが、食事を『野菜から先に食べる』『糖質を少し減らしタンパク質を増やす』という内容に変えただけで、嘘のように午後の眠気が消失しました。食事の摂り方ひとつで、脳のパフォーマンスは劇的に変わります。」

血糖値の乱高下と眠気の関係
状態 体内の反応 自覚症状
食事直後 糖質摂取により血糖値が急上昇 一時的な高揚感、あるいは変化なし
30分〜1時間後 インスリンが大量分泌され血糖値が急降下 強烈な眠気、あくび、だるさ
対策 ベジファースト、低GI食品を選ぶ 血糖値が緩やかに変動し、眠気が起きにくい

仕事中・日中の辛い眠気を乗り切る!即効対策と根本改善

原因がわかっても、今まさに襲ってくる眠気をどうにかしなければ仕事になりません。ここでは、緊急時の即効対策と、明日からの眠気を減らすための根本改善策を紹介します。

【即効編】仕事中に襲われた時の緊急対処法(ツボ、換気、仮眠のコツ)

どうしても眠い時は、以下の方法で脳に刺激を与えましょう。

  • 高濃度の二酸化炭素を排出する: 閉め切った会議室などは二酸化炭素濃度が上がり、眠気を誘発します。窓を開けて換気をするか、外の空気を吸いに行くだけで脳が覚醒します。
  • ツボ押し: 親指と人差し指の付け根にある「合谷(ごうこく)」や、首の後ろの生え際にある「風池(ふうち)」を強めに押すと、刺激が脳に伝わります。
  • 冷刺激: 冷たい水で顔を洗う、または保冷剤などで首筋を冷やすと、交感神経が刺激されシャキッとします。
  • 戦略的仮眠(パワーナップ): 15分〜20分程度の短い仮眠は、夜の睡眠の3倍の効果があると言われます。

【根本編】睡眠の質を高める「光」と「体温」のコントロール

根本的に眠気を消すには、体内時計(概日リズム)を整えることが最優先です。その鍵を握るのが「光」と「体温」です。

  • 朝の光を浴びる: 起床直後にカーテンを開け、太陽の光を15秒以上浴びましょう。これでセロトニンの分泌が始まり、体内時計がリセットされ、約14〜16時間後に眠くなるスイッチ(メラトニン)のタイマーが入ります。
  • 入浴で深部体温を上げる: 寝る90分前に入浴し、深部体温を一時的に上げます。お風呂上がりから徐々に体温が下がっていく「落差」が、強力な入眠スイッチとなります。シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることが重要です。

サプリメントやカフェイン錠剤との正しい付き合い方

カフェイン錠剤やエナジードリンクは、あくまで「前借り」です。疲れを消しているわけではなく、脳の疲れセンサーを麻痺させているだけであることを理解しましょう。常用すると耐性がつき、量が増えていく危険性があります。

サプリメントを活用する場合は、睡眠薬代わりではなく、睡眠の質をサポートするもの(グリシン、GABA、テアニンなど)を選び、生活改善の補助として使うのが賢明です。

効果的な仮眠(パワーナップ)のやり方ステップ
Step 1 タイミングは15時まで
夕方以降の仮眠は夜の睡眠に悪影響を与えます。
Step 2 カフェインを摂取
寝る直前にコーヒーなどを飲むと、起きる頃(20分後)に効いてきます。
Step 3 座ったまま寝る
横になると深く眠りすぎてしまうため、椅子に座り机に突っ伏す姿勢がベスト。
Step 4 20分以内に起きる
30分を超えると深い睡眠に入り、起きた後のダルさ(睡眠慣性)が強くなります。

病院は何科に行くべき?受診の流れと準備

「病院に行こう」と決心しても、何科に行けばいいのか迷ってしまうのが睡眠の悩みの難しいところです。適切な診療科を選ぶことが、早期解決への近道です。

症状別・診療科の選び方チャート

ご自身の最も辛い症状に合わせて、以下の診療科を選んでください。

  • 【睡眠外来・睡眠センター】
    第一選択肢です。ナルコレプシー、SAS、特発性過眠症など、睡眠障害全般の専門的な検査・診断が可能です。「日本睡眠学会認定医療機関」を探すと安心です。
  • 【呼吸器内科・耳鼻咽喉科】
    「いびきがひどい」「呼吸が止まっていると言われた」など、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いが強い場合に適しています。
  • 【心療内科・精神科】
    「気分が落ち込む」「不安が強い」「ストレスで眠れない、または寝すぎてしまう」など、メンタルの不調が背景にある場合に適しています。
  • 【婦人科】
    生理周期に連動して眠気が強くなる、更年期障害の症状がある場合は、婦人科でホルモン治療の相談をするのが有効です。

医師に正しく症状を伝えるために準備するもの

医師は限られた時間で診断を下さなければなりません。「とにかく眠いんです」と伝えるだけでは、「様子を見ましょう」で終わってしまうこともあります。以下の情報をメモにまとめて持参しましょう。

  • 睡眠日誌(最低2週間分): 就寝・起床時間、昼寝の時間、日中の眠気の強さ。
  • 既往歴・服用中の薬: 他の病気の薬が眠気を引き起こしている場合もあります。
  • 家族からの情報: いびきや無呼吸、寝ている間の異常行動の有無。

睡眠検査(PSG検査など)の内容と費用目安

専門的な検査として「終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)検査」があります。これは一晩入院して、脳波、呼吸、心電図、眼球運動などを測定し、睡眠の質や病気の有無を詳細に調べるものです。

費用は3割負担で1万〜3万円程度(入院費別)が目安です。簡易的な検査(自宅でセンサーをつけるもの)であれば、数千円で受けられる場合もあります。まずは医師に相談してみましょう。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「『ただの寝不足』と片付けられないためには、眠気が生活にどれだけの『実害』を与えているかを具体的に伝えることが重要です。『仕事でミスをした』『運転中にヒヤリとした』など、具体的なエピソードを伝えることで、医師も医学的な介入の必要性を強く認識してくれます。」

よくある質問(FAQ)

最後に、睡眠に関するよくある疑問にお答えします。

Q. 10時間以上寝ないと調子が悪いのは「ロングスリーパー」ですか?

遺伝的に長い睡眠時間を必要とする「ロングスリーパー(長眠者)」の可能性はありますが、彼らは「長く寝れば日中はスッキリして眠気がない」のが特徴です。もし、10時間寝てもまだ眠い、日中もダルいという場合は、ロングスリーパーではなく過眠症や質の低下を疑うべきです。

Q. 眠すぎて仕事になりません。休職の診断書はもらえますか?

医師が「病気により就労が困難であり、休養が必要」と判断した場合は、診断書が発行されます。特にうつ病や重度の過眠症で業務に支障が出ている場合は、休職して治療に専念することが推奨されます。まずは受診し、仕事での困りごとを正直に相談してください。

Q. 市販の睡眠改善薬は「過眠」にも効きますか?

市販の睡眠改善薬(ドリエルなど)は、抗ヒスタミン成分の副作用(眠気)を利用して「寝つきを良くする」ものであり、「過眠」を治すものではありません。逆に、翌日まで眠気が持ち越され、日中の眠気を悪化させるリスクがあるため、過眠の悩みに対して自己判断で使用するのは避けましょう。

まとめ:自分を責めるのは終わりにして、専門家の力を借りましょう

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。もしあなたが今、「寝ても寝ても眠い」という症状に苦しんでいるなら、これだけは覚えておいてください。

あなたは決して、怠けているわけではありません。

眠気は、身体が必死に伝えようとしているメッセージです。それを「気合」で押し込めるのではなく、適切な「ケア」で応えてあげることが、あなた本来のパフォーマンスと笑顔を取り戻す唯一の方法です。

今日からできる第一歩は以下の3つです。

  • 自分を責めるのをやめる: 「これは身体の不調なんだ」と認めること。
  • 睡眠日誌をつける: 自分の眠気を客観的に記録すること。
  • 専門機関を頼る: セルフチェックで懸念があれば、迷わず受診すること。

睡眠の問題は、適切な治療と生活改善で必ず良くなります。「いつか治るだろう」と我慢せず、ぜひ専門家の力を借りてください。あなたが一日も早く、スッキリとした朝を迎えられることを心から願っています。

上級睡眠健康指導士のアドバイス
「『病院に行くのが怖い』『大げさだと思われたくない』という気持ちは痛いほど分かります。ですが、受診して原因がわかるだけで、『なんだ、私のせいじゃなかったんだ』と涙を流して安堵される方を何人も見てきました。その安心感こそが、回復への最大の特効薬です。まずは日本睡眠学会の公式サイトなどで、お近くの専門医を探してみてください。」

この記事を書いた人

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