ネット通販で気に入った服を見つけたとき、サイズ選びで迷った経験はありませんか?「Mサイズで入るかな?」「モデルさんの着用感は参考にならないし…」と悩んだ末に購入し、届いてみたら「胸が苦しくて着られない」「逆に大きすぎて太って見える」といった失敗をしてしまうことは、実は多くの人が経験しています。
その失敗の最大の原因は、「身幅(みはば)」の重要性を正しく理解していないことにあります。
結論から申し上げます。身幅とは、服を平らな場所に置いた状態で「両袖の付け根(脇の下)を直線で結んだ長さ」のことです。着丈や肩幅も大切ですが、自分の体型に合う服を選ぶ上で、着心地とシルエットを決定づける最も重要な数値こそが、この「身幅」なのです。
この記事では、現役のパタンナー(型紙職人)である筆者が、プロの視点で以下の3点を徹底解説します。
- 「身幅」と「胸囲(バスト)」の決定的な違いと、単純計算の落とし穴
- メジャー1本で誰でもできる、手持ちの服を使った正確な測り方
- ネット通販で失敗しないための「ヌード寸法+ゆとり分」の黄金比
「たかが数センチ」と思われるかもしれませんが、その数センチが「お気に入りの一着」になるか「タンスの肥やし」になるかの分かれ道です。この記事を読み終える頃には、サイズ表の数字を見るだけで、その服が自分にどうフィットするかを手に取るようにイメージできるようになるでしょう。
身幅(みはば)とは?服の構造から知る基礎知識と重要性
まずは言葉の定義を明確にしましょう。ファッション用語には似たような言葉が多く、「身幅」「胸囲」「バスト幅」などが混同されがちです。しかし、服を作るパタンナーの視点から言えば、これらは全く異なる意味を持っています。ここを曖昧にしたままでは、正しいサイズ選びはできません。
このセクションでは、身幅の正確な位置と、なぜそれがサイズ選びにおいて最重要項目なのかを、服の構造的な観点から深掘りして解説します。
Callout (Green)|用語解説
身幅(Width):服を平置きにした状態で、左右の脇の下(アームホールの底)の縫い目同士を直線で結んだ長さ。あくまで「服」の寸法。
胸囲(Chest/Bust):体を一周した長さ、または服のバストラインを一周した長さ。立体的な「周径」の寸法。
図解でわかる「身幅」の正しい位置
「身幅」を測る位置は、服の構造上で最も太い部分の一つである「脇の下」です。専門的には「鎌底(かまぞこ)」と呼ばれる、袖と身頃(みごろ)が結合している最下点を指します。
以下のイメージ図を想像してください。Tシャツを床にきれいに広げて置きます。右の脇の下の縫い目の交差点と、左の脇の下の縫い目の交差点。この2点を結んだ「水平な直線」が身幅です。
Image here|身幅の計測位置図解
(Tシャツのイラストで、左右の脇の下を結ぶ水平ラインを赤線で強調し、「ここが身幅」と明記されている図を想定。矢印は左右の脇の縫い目から水平に伸びている。)
ここで重要なのは、「直線距離」であるという点です。体のラインに沿ってカーブしているわけではなく、あくまで平面上の最短距離を指します。この単純明快さが、通販サイトなどで統一規格として採用されている理由でもあります。
よくある勘違い!「身幅」と「胸囲(バスト)」の違い
最も多くの人が陥る誤解が、「身幅 × 2 = 胸囲(バスト)」だと思い込んでしまうことです。確かに、シンプルなTシャツなどではこの計算式が概ね成り立ちますが、厳密には間違いです。ここには「平面」と「立体」の決定的な違いがあります。
私たちパタンナーが服の型紙(パターン)を作るとき、人間の体の丸みに合わせて布を立体的にするために、「ダーツ」や「タック」、「ギャザー」といった技法を使います。特に女性の服の場合、バストの膨らみを考慮して前身頃(まえみごろ)にゆとりを持たせたり、背中の丸みに合わせて後ろ身頃を調整したりします。
例えば、背中にタックが入っているシャツを想像してください。平置きして身幅を測ると50cmだったとしても、着用してタックが開くと、実際の胸周りは100cm(50×2)よりも大きくなります。逆に、立体裁断でバスト部分が膨らんでいるジャケットなどは、平置きの直線距離(身幅)だけでは、実際の収納力(バストの容積)を完全には表しきれません。
つまり、「身幅 × 2」はあくまで「最小の胸囲」の目安であり、実際の服の胸囲はそれ以上になることが多いのです。しかし、通販で失敗しないためには、この「最小値」である身幅が、自分の体を通過するかどうかを確認することが安全策となります。
なぜ「着丈」や「肩幅」よりも「身幅」が重要なのか?
サイズ選びにおいて、着丈(服の縦の長さ)や肩幅ももちろん重要ですが、優先順位としては「身幅」が圧倒的に1位です。その理由は、「修正の難易度」と「着用の可否」に直結するからです。
もし着丈が長すぎた場合、お直し屋さんに出せば数千円で短くカットすることができます。逆に短すぎても、レイヤード(重ね着)として楽しむことができます。肩幅が多少合わなくても、最近のドロップショルダーの流行もあり、デザインとして許容される範囲が広いです。
しかし、身幅が足りない場合は致命的です。物理的にボタンが留まらない、ファスナーが上がらない、あるいは着られたとしても布が引きつって横ジワが入り、パツパツの状態になってしまいます。これは「着られない」と同義です。逆に身幅が大きすぎると、服の中で体が泳いでしまい、実際よりも太って見えたり、だらしない印象を与えたりします。
さらに、構造上の問題として、身幅を後から広げることはほぼ不可能です。縫い代(ぬいしろ)が残っていれば数ミリは出せるかもしれませんが、基本的には「小さい服を大きくする」ことはできません。だからこそ、購入段階で最も慎重にチェックすべき数値なのです。
現役パタンナーのアドバイス
「着丈が長くてもお直しで短くできますが、身幅が足りない服を広げることは構造上ほぼ不可能です。多くの人が『いつものMサイズだから』と安心しがちですが、ブランドやデザインによって身幅の設定は5cm以上違うこともザラにあります。サイズ選びで迷ったら、まずは身幅(バスト周り)が入るかどうかを最優先に確認してください。ここさえクリアすれば、服選びの失敗の8割は防げます。」
【実践】プロ直伝!正確な身幅の測り方 4ステップ
「身幅の意味はわかったけれど、実際にどう測ればいいの?」という疑問にお答えします。ここでは、読者の皆さんが実際に手持ちの服を測るシーンを想定し、プロが検品時に行っている計測手順をベースに、家庭でも再現できる方法を解説します。
通販で失敗しないための鉄則は、「自分の体を測るのではなく、手持ちの着心地の良い服を測る」ことです。自分のヌード寸法を正確に測るのはプロでも難しいですが、服を測ることなら誰でも正確にできます。
準備するものと計測前の重要ポイント
計測を始める前に、環境を整えましょう。不安定な場所で測ると、平気で1〜2cmの誤差が出ます。身幅の1cmの誤差は、周囲(胸囲)にすると2cmの誤差になり、着心地に大きな影響を与えます。
- 平らな場所: ダイニングテーブルやフローリングの床など、硬くて平らなスペースを確保してください。ベッドやソファの上は沈み込むためNGです。
- メジャー: 裁縫用の柔らかいメジャーがベストです。もしなければ、金属製のコンベックス(巻き尺)や、30cm定規(長い定規)でも代用可能です。身幅は直線計測なので、定規でも正確に測れます。
- 最重要ポイント: 服のフロントボタンやファスナーは、全て閉じた状態にしてください。開けたまま測ると、前身頃が広がってしまい、正確な数値が出ません。
ステップ1:服を平らに広げてシワを伸ばす
まず、測りたい服を平らな場所に置きます。このとき、ただ置くだけでは不十分です。洗濯や着用によって生じたシワやヨレを手で優しく撫でて伸ばし、服本来の形に整えます。
特に脇の下周辺はシワが寄りやすい部分です。両手を使って、中心から外側に向かってパンパンと軽く叩くようにして生地を落ち着かせましょう。ただし、ニット素材などを強く引っ張って伸ばすのは厳禁です。あくまで「自然に置いた状態」を作ります。
ステップ2:脇の下の「縫い目」を見つける
次に、計測の起点となるポイントを見つけます。身幅の定義は「両袖の付け根」ですが、具体的には「脇の下の縫い目が十字(またはT字)に交差している点」を探してください。
前身頃と後ろ身頃を縫い合わせている「脇線」と、袖を筒状にしている「袖下線」がぶつかる場所です。ここが、服の構造上で最も力がかかる「鎌底(かまぞこ)」と呼ばれるポイントであり、ここを基準点(0cm)とします。
ステップ3:左右の点を直線で結んで計測する
左脇の基準点にメジャーの「0」を合わせます。そこから右脇の基準点まで、一直線にメジャーを渡します。
このとき、メジャーがたるまないようにピンと張ることが大切ですが、服自体を引っ張ってはいけません。メジャーを服の上にふわりと乗せるようなイメージです。視線はメジャーの真上から落とし、目盛りを読み取ります。斜めから見ると数ミリの誤差が出ます。
もし数値が「52.5cm」のように半端な場合は、通販での比較用としては「52cm」と辛め(小さめ)に見積もるか、あるいは「約52.5cm」と記録しておきましょう。自分に厳しく見積もる方が、サイズ選びのリスクを減らせます。
ステップ4:特殊な服(ラグラン・ドルマン・ダウン)の測り方
基本的なTシャツやシャツは上記の方法で測れますが、世の中には「脇の縫い目がない服」や「特殊な形状の服」もたくさんあります。これらこそ、計測ミスが起きやすい難所です。
詳細解説:特殊な袖の測り方テクニック(クリックで展開)
1. ラグランスリーブの場合
肩と袖が一続きになっているラグランスリーブには、肩の縫い目がありませんが、脇の下には必ず「前身頃と後ろ身頃の縫い合わせ」があります。袖の付け根のカーブが終わる最下点を探し、そこを基準に左右を結んでください。
2. ドルマンスリーブの場合
袖ぐりが深く、身頃と袖が一体化しているドルマンスリーブの場合、明確な「脇の下」が存在しません。この場合、身幅という概念自体が適用しにくいですが、一般的には「最も細くなっているウエスト部分」や「裾幅」を参考にするか、メーカーが指定する「裄丈(ゆきたけ)」などの別指標を重視する必要があります。無理に身幅を測ろうとせず、デザイン全体のゆとりを見るのが正解です。
3. ダウンジャケットの場合
ダウンは中に羽毛が入って膨らんでいるため、平置きして上から押し付けて測ると、実際よりも大きな数値が出てしまいます。軽く手で押さえて空気を抜き、縫い目同士の距離を測るように意識してください。それでも厚みの分だけ内側は狭くなっているため、数値の読み取りには注意が必要です(詳細は後述)。
現役パタンナーのアドバイス
「ニットやカットソーなど伸縮性のある素材を測る際、無理に引っ張って伸ばしてはいけません。『自然に置いた状態』がその服の本来の寸法です。例えば、リブ素材の服を引っ張って『身幅50cm』と計測しても、着ているうちに縮もうとする力が働き、実際はもっとタイトに感じます。引っ張って測った数値を基準にすると、届いた服が小さくて着られない原因になりますので、生地には触れず、メジャーだけを動かすようにしてください。」
通販で失敗しない!「ヌード寸法」と「仕上がり寸法」の黄金比
正確な測り方をマスターしたら、次はいよいよ実践的なサイズ選びの法則です。ここで理解しなければならないのは、「自分の体のサイズ(ヌード寸法)」と「服のサイズ(仕上がり寸法)」は全くの別物であるという事実です。
多くの人が「私のバストは85cmだから、身幅42.5cm(胸囲85cm)の服を買えばいい」と考えがちですが、これは大きな間違いです。もしそのサイズの服を着たら、呼吸はおろか、腕を上げることもできない拘束衣のような状態になってしまいます。
「自分の体のサイズ」と「服のサイズ」は違う
服には、人間が動くための「ゆとり分(運動量)」が必要です。このゆとり分がどれくらい確保されているかで、着心地とシルエットが決まります。
- ヌード寸法: 下着姿で測った、体の実際のサイズ。
- 仕上がり寸法: 商品サイズ。服そのものを測ったサイズ(身幅×2など)。
- ゆとり分: 仕上がり寸法 - ヌード寸法。
通販サイトのサイズ表には、このどちらが記載されているかを必ず確認する必要がありますが、一般的には「仕上がり寸法(商品の実寸)」が書かれています。つまり、「自分のヌード寸法 + 必要なゆとり分」を満たす仕上がり寸法の服を選ぶのが、サイズ選びの正解ルートです。
パタンナーが教える「適正ゆとり量」の目安
では、具体的に何センチのゆとりがあれば良いのでしょうか?これはアイテムや好みのフィット感によって異なりますが、パタンナーが設計段階で基準にしている「黄金比」とも言える目安があります。
| フィット感 | 必要なゆとり分(胸囲) | 身幅換算(片面) | 着用イメージ |
|---|---|---|---|
| タイト・ジャスト | ヌード寸法 + 4〜6cm | ヌード + 2〜3cm | 体のラインが出る。インナーや伸縮性のある服向け。 |
| 標準(レギュラー) | ヌード寸法 + 8〜12cm | ヌード + 4〜6cm | 付かず離れずの快適な着心地。シャツやブラウスの基本。 |
| ルーズ・オーバー | ヌード寸法 + 15cm以上 | ヌード + 7.5cm以上 | トレンドのビッグシルエット。体型カバー効果が高い。 |
例えば、バスト88cmの方が「標準的な着心地のシャツ」を探す場合、必要な胸囲は「88cm + (8〜12cm) = 96〜100cm」となります。これを身幅に換算すると、「48〜50cm」の服を選べば失敗がない、という計算になります。
この「ゆとり分」は、呼吸をするための空間や、腕を前に出したときに背中の生地が引っ張られる分として不可欠です。どんなにタイトな服でも、最低4cmのゆとりがないと日常生活に支障をきたします。
自分のベストサイズを知る「マイ・ゴールデン・サイズ」の見つけ方
ここまで計算式をお伝えしましたが、実はもっと簡単で、かつ最も失敗が少ない方法があります。それは、「手持ちの服の中で、一番着心地が良い服の身幅を測り、それを基準にする」ことです。
自分のヌード寸法を正確に測るのは、メジャーが背中で下がってしまったりして意外と難しいものです。しかし、すでに持っている「お気に入りのシャツ」や「ちょうどいいTシャツ」は、あなたの体型と好みにフィットしているという揺るぎない「正解」です。
その服の身幅が「50cm」だったとしましょう。それがあなたの「マイ・ゴールデン・サイズ」です。通販で服を買うときは、その「50cm」を基準にして、
- 「今回は少しゆったり着たいから、52cmのものを選ぼう」
- 「冬物で中に着込むから、54cmは必要だな」
- 「これは48cmか…今のシャツより2cm狭いと、ちょっときついかもしれない」
というように比較検討すれば、試着ができなくても着用感を限りなくリアルに想像することができます。
現役パタンナーのアドバイス
「ECサイトのサイズ表を見るときは、自分のヌード寸法と比べるのではなく、手持ちの服の寸法と比べてください。『この服は手持ちのシャツより身幅が2cm広いから、指2本分くらいゆったり着られるな』と具体的にイメージすることが、通販での失敗をゼロにする近道です。面倒でも一度だけ、クローゼットの『一軍の服』を測ってスマホにメモしておくと、一生使える買い物リストになりますよ。」
アイテム別・身幅の考え方とチェックポイント
身幅の基準値(マイ・ゴールデン・サイズ)がわかったところで、次はアイテムごとの微調整について解説します。Tシャツと厚手のコートでは、求められる身幅の意味合いが異なります。素材の伸縮性や生地の厚みを考慮しないと、「数字は合っているのに着られない」という事態が起こります。
Tシャツ・カットソー:素材の伸縮性を考慮する
Tシャツやトレーナーなどのカットソー(編み物)は、生地自体に伸縮性があります。そのため、ゆとり分は少なめでも快適に着ることができます。
- 目安: ヌード寸法 + 4〜8cm(身幅換算で +2〜4cm)
ストレッチの効いた素材やリブ素材なら、ジャストサイズ(ヌード寸法とほぼ同じ)でも着用可能です。逆に、綿100%のヘビーウェイトTシャツなど、あまり伸びない素材の場合は、少し多めにゆとりを持たせないと脱ぎ着が大変になります。
シャツ・ブラウス:伸縮性がないため「ゆとり」が必須
Yシャツやブラウスなどの布帛(ふはく/織り物)は、基本的に生地が伸びません。そのため、身幅の数値が着心地にダイレクトに影響します。
- 目安: ヌード寸法 + 10〜12cm(身幅換算で +5〜6cm)
特に女性の場合、バスト部分のゆとりが不足すると、ボタンとボタンの間が開いて中が見えてしまう現象が起きます。これを防ぐためにも、シャツ類は十分な身幅を確保することが鉄則です。
アウター・ジャケット:インナーの厚みを計算に入れる
ジャケットやライトアウターの場合、シャツやニットの上に羽織ることを前提とするため、インナー分の厚みを考慮して大きめに選ぶ必要があります。
- 目安: インナーを着た状態の胸囲 + 10〜15cm
基準となる「手持ちの服」も、Tシャツではなく、同じような用途のアウターを測って比較してください。
厚手のダウン・コート:外寸と内寸の誤差に注意
ここが最も注意が必要なポイントです。ダウンジャケットや中綿入りのコートは、生地に厚みがあります。通販サイトに記載されている身幅は、あくまで「外側を測った寸法(外寸)」です。
例えば、ダウンの厚みが片側2cmあるとします。前身頃と後ろ身頃で合計4cm、左右でさらに厚みがあるため、外寸が身幅60cmあっても、実際に体が入る内側の空間(内寸)は、54〜55cm程度しかないということが起こり得ます。
現役パタンナーのアドバイス
「ダウンジャケットのように厚みのある服は、サイズ表の『身幅(外寸)』をそのまま信じてはいけません。生地と詰め物の厚み分(合計約4〜6cm程度)を差し引いて考える必要があります。外寸だけで判断すると、『サイズ表では余裕があるはずなのに、着てみたら中が意外と窮屈で、セーターを着るとパンパン』という失敗が起こります。冬のアウターは、自分が思っている以上に大きな数値のものを選んでちょうど良いことが多いのです。」
フリマアプリ(メルカリ等)出品時の身幅計測マナー
ここまでは「買う側」の視点でお話ししてきましたが、「売る側」として身幅を扱う場合もあります。メルカリやラクマなどのフリマアプリでは、身幅の記載がない、あるいは測り方が間違っていると、購入者とのトラブルや返品の原因になります。プロ並みの正確さで情報を伝え、信頼される出品者になるためのポイントを解説します。
トラブルを防ぐ説明文の書き方テンプレート
素人が採寸する場合、どうしても誤差は出ます。それを防ぐために、正直かつ明確な記述を心がけましょう。以下のようなテンプレートを使うと、トラブルを未然に防げます。
【サイズ詳細】
表記サイズ:L
身幅:52cm(脇下から脇下までの直線距離)
着丈:68cm
肩幅:46cm
※平置き・メジャー採寸です。
※素人採寸のため、1〜2cm程度の誤差はご容赦ください。
※素材は伸縮性のあるコットン100%です。
ポイントは、「どこからどこまでを測ったか」を明記することと、「素人採寸であること」を断っておくことです。また、「身幅」と書かずに「バスト幅」と書く人もいますが、誤解を避けるために「身幅(脇下)」と書くのが最も安全です。
写真で証拠を残す!メジャーの当て方・撮り方
言葉よりも雄弁なのが写真です。説明文に数値を書くだけでなく、実際に服にメジャーを当てている写真を1枚掲載しましょう。
- 服全体が写る引きの写真ではなく、脇の下周辺のアップ。
- メジャーの目盛りが読める鮮明さ。
- 「0」の位置が左脇の縫い目に合っていることがわかる構図。
これがあるだけで、購入者は「この出品者は丁寧に測っているな」と安心し、購入率がグッと上がります。また、万が一「サイズが違う」と言われたときの証拠にもなります。
質問が来た時の対応:「身幅50cmですがLサイズですか?」
コメント欄でよくあるのが、「普段Lサイズを着ていますが、この服は入りますか?」という質問です。これに対して「入ると思います」と無責任に答えるのはNGです。
正解の回答例は以下の通りです。
「ブランドやデザインによってサイズ感が異なるため、一概には申し上げられません。お手持ちの着やすいお洋服の身幅を測っていただき、こちらの実寸(50cm)と比較してご判断いただくのが確実かと思います。」
このように、実寸での比較を促すことが、お互いにとって最も納得感のある取引につながります。
身幅に関するよくある質問(FAQ)
最後に、身幅に関してよく寄せられる細かい疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. 身幅と「胴囲(ウエスト)」は違いますか?
A. はい、全く違います。
身幅は「脇の下(胸の位置)」の幅ですが、胴囲(ウエスト)は「お腹の一番細い位置(またはパンツの腰回り)」の幅です。最近のオーバーサイズTシャツなどは、身幅とウエスト幅がほぼ同じ「ボックスシルエット」のものも多いですが、シェイプされたシャツなどは身幅よりウエストの方が細くなっています。お腹周りが気になる方は、身幅だけでなくウエスト幅も確認が必要です。
Q. 海外ブランド(US/UKサイズ)の身幅は日本と違う?
A. 大きく異なります。
一般的に、海外ブランド(特にUSサイズ)は日本サイズよりも1〜2回り大きく作られています。特に注意すべきは「身幅と着丈のバランス」です。海外製は身幅が非常に広い割に、着丈が長すぎたり短すぎたりすることがあります。「Mサイズだから」と安心せず、必ずcm単位の実寸を確認してください。日本のLサイズ相当が、USサイズのSサイズであることも珍しくありません。
Q. 洗濯すると身幅は縮みますか?
A. 素材によっては縮みます。
綿(コットン)、麻(リネン)、ウールなどの天然素材は、洗濯(特に乾燥機の使用)によって縮む性質があります。一般的に、天竺素材のTシャツなどは縦方向に縮みやすいですが、編み方によっては横方向(身幅)も1〜2cm縮むことがあります。ポリエステルなどの化学繊維はほとんど縮みません。
現役パタンナーのアドバイス
「綿100%の未洗い(ノンウォッシュ)のデニムや、目の詰まったTシャツは、最初の洗濯で想像以上に縮むことがあります。これを『洗濯縮率(せんたくしゅくりつ)』と呼びますが、私たちはこれを計算に入れてパターンを作ります。しかし、乾燥機にかけると想定以上に縮んでしまうのが常です。綿製品を長く愛用したいなら、ギリギリのジャストサイズを選ぶより、洗濯後の縮みを見越してわずかに余裕のあるサイズを選ぶか、最初から『ワンウォッシュ済み』の商品を選ぶのが賢明です。」
まとめ:身幅を制する者は通販を制す!
ここまで、パタンナーの視点から「身幅」の定義、測り方、そして選び方の極意をお伝えしてきました。最後に改めて要点を整理します。
身幅とは、単なる服の横幅ではありません。それは、あなたがその服を快適に着られるかどうかを決定する、最も重要な「カギ」となる数字です。
- 結論: 身幅は「脇の下の縫い目を結んだ直線距離」。
- 鉄則1: 自分の体(ヌード寸法)ではなく、「手持ちのベストな服」を測って基準にする。
- 鉄則2: 素材の伸縮性と厚みを考慮し、必要な「ゆとり分」を計算に入れる。
- 鉄則3: 「身幅 × 2 = 胸囲」はあくまで目安。立体的な構造を理解して少し大きめを選ぶのが安全。
これからのネットショッピングでは、モデルさんの素敵な写真に目を奪われる前に、まずは「サイズ詳細」のボタンをクリックし、「身幅」の数字をチェックする癖をつけてみてください。
さっそく、今からクローゼットにある「一番お気に入りの服」を1着取り出し、その身幅を測って、スマホのメモ帳に記録しておきましょう。そのたった一つの数字が、あなたのこれからの買い物を成功させる最強の物差しになります。
【最終確認】身幅計測の要点チェックリスト
- メジャーは平らな場所で、水平に当てられていますか?
- 脇の下の「縫い目の交差点(十字)」を起点にしましたか?
- 服のシワを優しく伸ばし、整えましたか?
- 伸縮性のある素材を、無理に引っ張っていませんか?
- 厚手のアウターの場合、内側の厚み分を考慮しましたか?
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