ビジネスの現場において、うっかりミスや連絡漏れは誰にでも起こり得るものです。しかし、そのミスに気づいた瞬間、どのように対応するかで、あなたの評価は「信頼できない人」になるか、あるいは「誠実で責任感のあるプロフェッショナル」として再評価されるかが決まります。特に「忘れていました」という事実を伝える際、言葉選び一つで相手の受ける印象は劇的に変わります。
結論から申し上げますと、「失念(しつねん)」とは「うっかり忘れていたこと」をへりくだって伝える謙譲語であり、ビジネスシーンにおける謝罪の鉄板フレーズです。言い訳を並べ立てるのではなく、潔く非を認め、直ちに謝罪と具体的なリカバリー案を提示することこそが、信頼回復への最短ルートとなります。
本記事では、今まさにミスに直面し焦っているあなたのために、以下の3点を中心に、現役のビジネスマナーコンサルタントが徹底解説します。
- コピペですぐに送れる「失念」を使った状況別・謝罪メール例文
- 上司や取引先に失礼にならない正しい言葉の選び方とマナー
- ミスを逆に信頼に変える、プロ直伝の再発防止・リカバリー策
この記事を読み終える頃には、焦る気持ちが落ち着き、自信を持って送信ボタンを押せるようになっているはずです。まずは深呼吸をして、状況を挽回するための第一歩を踏み出しましょう。
【緊急用】コピペで即対応!「失念」を使ったお詫びメール例文集
この記事に辿り着いたあなたは、おそらく「やってしまった!」という焦りの中にいることでしょう。資料の送付漏れ、報告の遅延、あるいはアポイントの失念など、ミスに気づいた瞬間の血の気が引くような感覚は、何度経験しても慣れるものではありません。
しかし、ここで立ち止まってはいけません。ビジネスにおけるミスの対応は、何よりも「スピード」が命です。あれこれと言い訳を考えたり、怒られることを恐れて連絡を躊躇したりしている間にも、相手の不信感は刻一刻と増大していきます。まずは状況に応じた最適なテンプレートを使用し、一刻も早く第一報を入れることが最優先事項です。
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントのアドバイス
「ミスに気づいた時、最もやってはいけないのは『怒られるのが怖くて連絡を先延ばしにすること』です。1分の遅れが不信感を増幅させます。私が過去に見てきた事例でも、ミスそのものより『隠そうとしたこと』『報告が遅れたこと』が原因で信頼を失ったケースが圧倒的に多いのです。まずは以下のテンプレートを使って、一刻も早く第一報を入れましょう。完璧な文章を作ろうとするよりも、素早い謝罪の方が誠意は伝わります。」
【社外・取引先】資料送付や返信を忘れていた場合
取引先への資料送付や問い合わせへの返信漏れは、相手の業務を停滞させてしまうため、非常に迷惑がかかるミスです。ここでは、言い訳を一切せず、素直にこちらの不手際(失念)を認め、直ちに本来送るべきだった資料を提示する構成が求められます。
以下の例文は、丁寧な謝罪と迅速な対応を両立させた構成になっています。件名ですぐにお詫びのメールだと分かるようにし、本文では「なぜ遅れたか(失念)」を簡潔に伝えつつ、すぐに資料を確認してもらえるよう配慮しています。
▼例文をコピーする(資料送付忘れ)
件名:【お詫び】資料送付の件につきまして(株式会社〇〇 佐藤)
本文:
〇〇株式会社
営業部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。
先日はお打ち合わせのお時間をいただき、誠にありがとうございました。
その際にお約束しておりました資料の送付につきまして、
私の不手際により、送付を失念しておりました。
多大なるご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
本メールにて、取り急ぎ資料を添付いたします。
ご確認いただけますでしょうか。
(添付ファイル:〇〇資料.pdf)
今後はこのような不始末のないよう、管理を徹底してまいります。
本来であれば直接お詫びすべきところ、メールにて恐縮ですが、
取り急ぎ、資料送付の遅れへのお詫びとさせていただきます。
————————————————–
署名
————————————————–
このメールのポイントは、「私の不手際により」と責任の所在を明確にしている点です。「バタバタしておりまして」などの余計な一言は、相手にとっては何の関係もない言い訳に過ぎず、かえって心象を悪くします。潔く「失念」を用いた方が、プロフェッショナルとしての潔さが伝わります。
【社内・上司】報告や確認を忘れていた場合
社内の上司や先輩に対する報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の遅れも頻繁に起こるミスです。「後で報告しよう」と思っていて、つい他の業務に追われて忘れてしまうパターンです。社内だからといって甘えは禁物ですが、社外向けほど堅苦しくなりすぎず、しかし反省の意はしっかりと示すバランスが重要です。
上司が最も気にしているのは「ミスの事実」そのものよりも、「現在の状況(進捗)」と「今後の見通し」です。したがって、謝罪だけでなく、現在のステータスを即座に報告することが必須となります。
▼例文をコピーする(報告忘れ)
件名:【お詫び】〇〇案件の進捗報告につきまして
本文:
〇〇課長
お疲れ様です。佐藤です。
〇〇案件の進捗報告につきまして、
昨日中に報告すべきところ、完全に失念しておりました。
ご心配をおかけし、誠に申し訳ございません。
現在の状況は以下の通りです。
~(報告内容を詳細に記載)~
以後、タスク管理を徹底し、再発防止に努めます。
取り急ぎ、ご報告とお詫びを申し上げます。
社内メールであっても、「失念しておりました」という表現を使うことで、事態を重く受け止めている姿勢を示すことができます。「忘れていました」では軽すぎると感じる場合に最適です。また、再発防止への言及も一言添えることで、上司の安心感につながります。
【アポイント・会議】日程や時間を忘れていた場合(欠席・遅刻)
これは最も深刻なケースです。相手の貴重な時間を奪ってしまったことになるため、メールだけで済ませるのは原則としてNGです。まずは電話で直接謝罪するのがマナーですが、相手が電話に出られない場合や、電話後のフォローとしてメールを送る場合の例文を紹介します。
このケースでは、「失念」という言葉に加え、相手への深い配慮と、代替案の提示が不可欠です。
▼例文をコピーする(アポイント失念・欠席)
件名:【深くお詫び申し上げます】本日のお打ち合わせの件(株式会社〇〇 佐藤)
本文:
〇〇株式会社
営業部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。
本日14時よりお約束しておりましたお打ち合わせにつきまして、
私の不注意により日時を失念しており、お伺いすることができませんでした。
貴重なお時間を割いてお待ちいただいていたにも関わらず、
多大なるご迷惑とご不快な思いをおかけしましたこと、
深くお詫び申し上げます。
先ほどお電話を差し上げましたが、ご不在でしたため、
まずはメールにて失礼いたします。
私の管理不足が原因であり、弁解の余地もございません。
もし改めて機会をいただけるようでしたら、
〇〇様のご都合の良い日時に、改めてお伺いさせていただければと存じます。
本来であればすぐにでも参上してお詫びすべきところですが、
まずは書中をもちまして、非礼のお詫びを申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。
————————————————–
署名
————————————————–
アポイントのすっぽかしは、取引停止にもつながりかねない重大なミスです。ここでは「不注意」「管理不足」「弁解の余地もございません」といった、より強い反省を示す言葉を重ねることで、事の重大さを理解していることを示します。
「失念」の正しい意味とビジネスで使うべきシーン
急ぎのメール対応がひと段落したところで、改めて「失念」という言葉の正しい意味と、ビジネスシーンでの適切な使い方について深掘りしていきましょう。言葉の意味を正しく理解しておくことは、今後の誤用を防ぎ、とっさの時に適切な敬語を使えるようになるための基礎体力となります。
「失念(しつねん)」の意味と読み方
「失念」は「しつねん」と読みます。辞書的な定義としては「うっかり忘れること」を指します。ビジネスシーンにおいては、単に「忘れた」という事実を伝えるだけでなく、自分の非を認め、へりくだって表現する謙譲語としての役割を果たします。
日常会話で「財布を失念した」とは言わないように、基本的には改まった場や、書き言葉(メール・文書)で用いられることが多い言葉です。「忘れていました」と言うと、どこか他人事のような、あるいは「大したことではない」というニュアンスが含まれてしまうことがありますが、「失念しておりました」と言うことで、「覚えておくべき重要事項であったにも関わらず、私の不徳の致すところで記憶から抜け落ちてしまいました」という、反省のニュアンスを強くにじませることができます。
「忘れる」「忘却」との違いと使い分け
「忘れる」ことを表す言葉はいくつかありますが、ビジネスでは相手との関係性や状況の深刻度によって使い分ける必要があります。以下の表で、それぞれの言葉のニュアンスと適切な使用シーンを確認しましょう。
| 言葉 | 丁寧度・重み | ニュアンス | 主な使用シーン |
|---|---|---|---|
| 失念 | High (高い) | 自分の過失を強調する謙譲表現。「うっかり」の意を含む。 | 上司・取引先への謝罪メール、公式な報告 |
| 忘却 | Mid (中) | 事実として「記憶から消える」こと。感情を含まない硬い表現。 | 文書や説明文(例:「忘却の彼方」など)。謝罪には不向き。 |
| ド忘れ | Low (低い) | カジュアルな口語。「ついさっきまで覚えていたのに」という軽い感じ。 | 親しい同僚との会話、雑談 |
| 放念 | Special (特殊) | 「気にしないでください」という尊敬語的用法。 | 相手に対して使う(例:「ご放念ください」)。自分のミスには使わない。 |
このように比較すると、「失念」がいかに謝罪に適した言葉であるかが分かります。「忘却しておりました」と書くと、まるで機械的で冷たい印象を与えますし、「ド忘れしておりました」では反省の色が見えません。「失念」は、ビジネスパーソンとして自分のミスを認めつつ、相手への敬意を保つための最適なツールなのです。
「失念」を使ってはいけない相手とは?
「失念」は便利な言葉ですが、誰に対しても使ってよいわけではありません。基本的には、自分よりも目上の人(上司、先輩、取引先、顧客)に対して使う言葉です。
逆に、部下や後輩、あるいは非常に親しい同僚に対して「その件は失念しておりました」と使うと、慇懃無礼(丁寧すぎて逆に失礼)な印象を与えたり、よそよそしい距離感を感じさせたりする可能性があります。身内や目下の人に対しては、「ごめん、忘れてた」「うっかりしていた」といった、より平易な表現の方がコミュニケーションとして円滑な場合も多いです。
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントのアドバイス
「『失念』は便利な言葉ですが、多用は禁物です。頻繁に使うと『いつも忘れている人』『言葉だけで片付けようとする人』というレッテルを貼られてしまいます。また、あまりに些細なことで連発すると、言葉の重みがなくなってしまいます。ここぞという時の謝罪、本当に申し訳ないと感じている時の切り札として大切に使ってください。」
相手を怒らせないために!「失念」を使う時の3つの鉄則
「失念」という言葉自体は正しい敬語ですが、それを使えば全てが許されるわけではありません。むしろ、使い所や前後の文脈を間違えると、「慇懃無礼なやつだ」と火に油を注ぐ結果になりかねません。ここでは、相手を怒らせず、スムーズに謝罪を受け入れてもらうための3つの鉄則を解説します。
鉄則1:言い訳(忙しさ・他の業務)を絶対に書かない
ミスをした時、私たちはつい自分を守りたくなる生き物です。「他の案件が立て込んでいて」「急な出張が入ってしまって」「メールシステムの不具合で」……など、様々な理由が頭をよぎるでしょう。しかし、謝罪メールにおいて、これらの事情は相手にとっては何の価値もないノイズでしかありません。
特に「忙しかった」という言い訳は、「あなたの案件は、私の他の業務よりも優先順位が低かった」と宣言しているのと同じです。これは相手のプライドを深く傷つけます。「失念」を使う際は、潔く「私の管理不足です」「私の不手際です」と言い切ることが、逆説的ですが最も相手の怒りを鎮める方法です。
鉄則2:「失念しておりました」+「お詫びの言葉」はセットで
「資料の送付を失念しておりました。」
これだけでメールを終わらせてはいけません。これでは単なる事実報告です。「失念」はあくまで状況説明の言葉であり、謝罪の言葉そのものではないからです。
必ず、「失念しておりました。大変申し訳ございません。」と、謝罪のフレーズをセットにして一息で伝えるようにしましょう。さらに丁寧に言うなら、「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません」と、相手にかけた迷惑への配慮を加えるとベストです。この「状況説明+謝罪」のワンセットが、ビジネスメールの基本フォーマットです。
鉄則3:リカバリー(解決策)を即座に提示する
ビジネスにおける謝罪のゴールは、「許してもらうこと」ではなく、「業務を正常な軌道に戻すこと」です。相手はあなたが忘れていたこと自体よりも、「で、結局いつ資料は届くの?」「納期はどうなるの?」という未来のことに最大の関心を持っています。
したがって、「失念しておりました」と謝るだけでなく、必ず「いつまでにやるか」「どう対処したか」をセットで提示してください。
- × 悪い例:「失念しておりました。申し訳ございません。」(で、どうするの?)
- ○ 良い例:「失念しておりました。申し訳ございません。本メールにて直ちに資料を添付いたします。」
- ○ 良い例:「失念しておりました。申し訳ございません。至急作成し、本日15時までにお送りいたします。」
このように、解決策(リカバリー案)が提示されて初めて、相手は「わかった、それならいいよ」と矛を収めることができるのです。
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントのアドバイス
「私の新人時代の失敗談をお話ししましょう。ある重要な確認事項を忘れてしまった際、怒られるのが怖くて『確認先に連絡がつかず、時間がかかっており…』と嘘の報告をしてしまったことがあります。しかし、後で私が『失念』していたことが発覚しました。その時、上司からはミスそのものより『嘘をついて保身に走ったこと』を厳しく叱責されました。人間ですから忘れることはあります。しかし、嘘は人間性を疑われます。素直に『失念』を認めることが、結果として傷口を最小限にし、あなたの誠実さを守る盾となるのです。」
シーン別・相手別「失念」の言い換えとフレーズ調整
基本的には「失念」で通じますが、状況によっては少し硬すぎたり、逆にもっと重い表現が必要だったりすることもあります。TPOに合わせて言葉の温度感を調整できると、コミュニケーションの達人に一歩近づけます。
会話・電話で使う場合:「うっかりしておりまして」
メール等の書き言葉では「失念」が最適ですが、電話や対面での会話で「あ、それは失念しておりました」と言うと、少し芝居がかった、あるいは事務的で冷たい印象を与えることがあります。
口頭でのコミュニケーションでは、もう少し柔らかい表現の方が、反省の感情が伝わりやすい場合があります。
- 「申し訳ございません、うっかりしておりまして…」
- 「お恥ずかしい話ですが、完全に私の確認不足でした」
- 「今の今まで、すっかり頭から抜け落ちておりまして…」
このように、自分の非を認めつつ、人間味のある表現を使うことで、相手も「まあ、人間だものね」と許容してくれる空気が生まれやすくなります。
さらに重い謝罪の場合:「不徳の致すところ」「猛省しております」
取り返しのつかない重大なミスや、会社全体に損害を与えかねないトラブルに発展してしまった場合、「失念」だけでは軽すぎると受け取られる可能性があります。その場合は、より強い自責の念を表すフレーズを選びます。
- 「私の不徳の致すところでございます」
- 「弁解の余地もございません」
- 「今回の件につきまして、猛省しております」
これらの言葉は非常に重いため、日常的なミスで使うと大袈裟すぎますが、ここぞという深刻な場面では、事態の深刻さを理解していることを示すために必要となります。
軽い確認漏れの場合:「抜け落ちておりました」
社内チャット(SlackやTeamsなど)や、親しい間柄の取引先とのやり取りで、ちょっとした添付漏れなどを指摘された場合、「失念」だと堅苦しいことがあります。
- 「すみません、添付が抜け落ちておりました」
- 「認識が漏れておりました」
- 「確認不足でした」
スピード感が重視されるチャットツールなどでは、こうした簡潔な表現で素早くリカバリーする方が好まれる傾向にあります。
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントのアドバイス
「いきなり『失念しました』と切り出すのが怖い場合や、相手の反応が心配な場合は、クッション言葉を活用しましょう。『お恥ずかしい話ですが…』『弁解の余地もございませんが…』『私の不手際で…』といった言葉を文頭に添えるだけで、文章全体に柔らかさと謙虚さが生まれます。相手の心情を和らげ、謝罪を受け入れてもらいやすくする効果がありますよ。」
注意!よくあるNG例文と誤用パターン
良かれと思って使った敬語が、実は間違いだったり、相手に不快感を与えたりすることはよくあります。ここでは、ペルソナである佐藤さんが陥りがちな、「失念」にまつわるNGパターンを解説します。これを知っておくだけで、恥をかくリスクを大幅に減らせます。
二重敬語:「失念いたしました」「失念しておりました」はOK?
敬語に敏感な方ほど、「失念いたしました」は二重敬語ではないかと不安になるかもしれません。結論から言うと、「失念いたしました」「失念しておりました」は正しい敬語表現であり、問題なく使用できます。
「失念」という名詞に、「する」の謙譲語「いたす」が付いた形ですので、文法的に正しい構成です。
一方で、過剰な敬語表現には注意が必要です。例えば「失念させていただきました」という表現。これは「(相手の許可を得て)忘れさせてもらった」という奇妙な意味になってしまうため、不適切です。また、恩恵を受けるわけではないので「させていただく」を使うのは文法的にも誤用とされます。シンプルに「失念いたしました」で十分丁寧です。
相手の忘れを指摘する際に「失念ですか?」と聞くのはNG
これが最も危険な間違いです。「失念」はあくまで自分の行為に対して使う謙譲語です。相手が何かを忘れていることを指摘する際に、「〇〇様、その件はご失念でしょうか?」と聞くのは大変失礼にあたります。「うっかり忘れてるんじゃないですか?」と、へりくだった言葉で相手をなじっているように聞こえてしまうからです。
相手の忘れを指摘する場合は、以下のように尊敬語や丁寧語を使いましょう。
- × NG:「ご失念でしょうか?」
- ○ OK:「お忘れでしょうか?」
- ○ OK:「ご記憶にございますでしょうか?」
- ○ OK:「念のため再送させていただきます(相手のミスを直接指摘せず、やんわりとリマインドする)」
「放念(ほうねん)」との混同に注意
「失念」と似た言葉に「放念」がありますが、意味は全く逆です。
- 失念:自分が忘れること(謙譲語)
- 放念:相手に「忘れてください」「気にしないでください」と伝えること(尊敬語的用法)
よくある間違いとして、自分のミスに対して「放念しておりました」と言ってしまうケースがありますが、これは意味が通じません。逆に、相手に対して「ご失念ください」と言うのも誤りです。「ご放念ください」は、「先ほどのメールは誤りですので、どうぞご放念ください(気にしないで捨ててください)」といった文脈で使います。
ミスを帳消しにする!謝罪後の信頼回復(リカバリー)アクション
謝罪メールを送って「ふぅ、終わった」と安心していませんか?実は、本当の勝負はここからです。ミスをしてしまった事実は消せませんが、その後の対応次第で、マイナスをゼロに戻すどころか、「何かあった時もしっかり対応してくれる人だ」というプラスの信頼に変えることができます。
具体的な「再発防止策」をメールに盛り込む
定型文のような「以後、気をつけます」だけでは、相手の不安は払拭されません。「また同じミスをするんじゃないか?」と思われてしまいます。そこで、具体的なアクションプランを提示することが効果的です。
例えば、以下のように「仕組み」で解決することを伝えます。
- 「今後は個人の記憶に頼らず、チーム共有のカレンダーにリマインダーを設定し、二重チェックを行う体制に変更いたしました。」
- 「タスク管理ツールへの登録フローを見直し、着手前にアラートが鳴るよう設定いたしました。」
ここまで具体的に書かれていれば、相手も「そこまで考えてくれているなら、次は大丈夫だろう」と納得感を持つことができます。精神論ではなく、仕組みでの解決をアピールしましょう。
謝罪メール送信後のフォロー手順
メールは一方通行のコミュニケーションになりがちです。特に重要な案件や、相手が激怒している可能性がある場合は、メールを送った直後に電話を入れるのがベストです。
「先ほど、お詫びのメールをお送りいたしました。本来であれば直接お伺いすべきところですが、取り急ぎお電話にてお詫び申し上げたく…」とフォローを入れることで、誠意の総量が伝わります。電話に出てもらえなかった場合でも、着信履歴とメールの両方が残ることで、「必死に連絡を取ろうとした」という姿勢は伝わります。
また、次に相手と会った時の第一声も重要です。「先日は大変失礼いたしました」と、改めて頭を下げることで、わだかまりを完全に解消することができます。ここで「もう終わったことだから」とスルーしてしまうと、相手の中に小さなしこりが残る可能性があります。
ミスをきっかけにコミュニケーションを深める逆転の発想
ミスはピンチですが、同時に「あなたの対応力を見せるショーケース」でもあります。誰もが順調な時は良い対応ができますが、トラブルの時こそ人間の本質が見えるからです。
逃げずに正直に謝り、迅速にリカバリーし、再発防止策まで提示してくる営業担当者を見て、顧客はどう思うでしょうか?「この人は信用できる」「何かトラブルがあっても、この人なら隠さずに解決してくれる」と感じるはずです。
過度に萎縮する必要はありません。誠実な対応を積み重ねることで、ミスをきっかけに以前よりも深い信頼関係を築くことは十分に可能です。
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントのアドバイス
「『雨降って地固まる』という言葉があります。私が以前コンサルティングした営業担当者の方で、大切なアポイントを完全に失念してしまった方がいました。彼は即座に先方のオフィスへ向かい、受付で手書きの詫び状と、次回の提案資料を預けて帰りました。会ってはもらえませんでしたが、その日の夜に先方から連絡があり、『君の誠意と、資料の内容に免じて今回は水に流そう。次は頼むよ』と言われ、結果として大型契約につながった事例があります。ミスをした後の行動量と熱量が、相手の心を動かすのです。」
よくある質問(FAQ)
最後に、「失念」に関してよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。細かい疑問を解消して、迷いなく業務に戻りましょう。
Q. 「失念」は社内・社外どちらでも使えますか?
A. はい、使えます。
社外の取引先はもちろん、社内の上司や他部署の人に対しても使用可能な標準的なビジネス用語です。ただし、非常に親しい同僚や後輩に対して使うと、堅苦しく他人行儀な印象を与えるため、「うっかり忘れてた」「ごめん、抜けてた」など、相手との関係性に応じて使い分けるのがスマートです。
Q. 「忘念」という言葉はありますか?
A. ビジネス用語としては使いません。
「忘念(ぼうねん)」という言葉自体は存在し、仏教用語などで使われることがありますが、ビジネスシーンでの謝罪として使うのは一般的ではありません。「放念(ほうねん)」との混同や、単なる造語だと思われるリスクがあるため、「失念」を使うのが無難かつ確実です。
Q. 理由を聞かれたら正直に「忘れていた」と言っていいですか?
A. 「失念しておりました」と伝えるのがベストです。
「忘れていました」と言うと、プロ意識が低いように聞こえてしまいますが、「失念しておりました」と言えば、自分の管理不足を認める潔さと、反省のニュアンスが含まれます。変に取り繕って「システムのエラーで…」などと嘘をつくより、正直に「失念」を認める方が、長期的には信頼を守ることができます。
まとめ:誠実な「失念」の謝罪で信頼を取り戻そう
「失念」という言葉は、単なる「忘れました」の言い換えではありません。そこには、自分の非を認め、相手への敬意を払い、関係を修復しようとするビジネスパーソンの誠意が込められています。
ミスをしてしまったことは変えられませんが、今この瞬間からの行動は変えられます。最後に、謝罪メールを送信する前のチェックリストを確認してください。
謝罪メール送信前の最終チェックリスト
- 件名は一目で用件と謝罪がわかるか?(例:【お詫び】〇〇の件につきまして)
- 「失念」を正しい文脈で使えているか?(自分のミスに対して使う)
- 言い訳(多忙、体調不良など)を書いていないか?
- 「失念しておりました」+「申し訳ございません」のセットになっているか?
- リカバリー案(いつまでに対応するか、資料添付など)は具体的か?
- 誤字脱字はないか(特に相手の社名・氏名は致命的)?
現役ビジネスメール・マナーコンサルタントからのエール
「誰にでもミスはあります。私も数え切れないほどの失敗をしてきました。しかし、大切なのは『やってしまった後』の対応です。逃げずに誠実に向き合えば、必ず相手に気持ちは伝わります。この記事の例文を参考に、心を込めて対応すれば大丈夫です。さあ、深呼吸をして、送信ボタンを押しましょう。あなたの誠意が伝わることを信じています。」
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