2024年6月、世界のバレーボール界に激震が走りました。FIVBバレーボールネーションズリーグ2024(VNL2024)において、日本代表が男女ともに決勝へ進出し、揃って「銀メダル」を獲得するという歴史的快挙を成し遂げたのです。
長らく「高さとパワー」の前に苦汁をなめ続けてきた日本バレーが、緻密な戦術と組織力で世界トップと対等以上に渡り合ったこの大会は、まさに日本バレーボールの「新時代の幕開け」を告げるものでした。パリ五輪の前哨戦としても極めて重要だったこの大会で、龍神NIPPONと火の鳥NIPPONはどのような戦いを見せたのでしょうか。
この記事では、2026年の現在から振り返っても色褪せない、あの熱狂のすべてを詳細に記録します。
この記事でわかること
- 男子・女子日本代表の全試合結果・スコア詳細と最終順位
- MVP・ベスト6など個人賞受賞者と主要スタッツランキング
- 戦術アナリストが解説する「なぜ日本は世界2位になれたのか」の勝因分析
当時の興奮をそのままに、詳細なデータとともに振り返っていきましょう。
ネーションズリーグ2024 大会総括と最終結果
まずは、VNL2024における男女日本代表の最終的な立ち位置を確認します。この大会は、単なる毎年の国際大会という枠を超え、日本が「メダル常連国」へと脱皮したことを証明する記念碑的なイベントとなりました。
男女ともに「銀メダル」の歴史的快挙
日本バレーボール史上、主要国際大会で男女が同時に表彰台に上がることは極めて稀な出来事です。特にネーションズリーグ(前身のワールドグランプリ、ワールドリーグ含む)という長期間にわたる過酷な連戦の中で、男女ともにファイナルラウンドの決勝戦まで勝ち進んだ事実は、選手層の厚さとチームマネジメントの勝利と言えるでしょう。
以下は、VNL2024の最終順位とメダル獲得国の一覧です。
| 順位 | 男子大会 | 女子大会 |
|---|---|---|
| 金メダル (1位) | フランス | イタリア |
| 銀メダル (2位) | 日本 | 日本 |
| 銅メダル (3位) | ポーランド | ポーランド |
| 4位 | スロベニア | ブラジル |
男子日本代表(龍神NIPPON)は、大会初の決勝進出を果たし、開催国ポーランドや強豪スロベニアを破る快進撃を見せました。決勝ではフランスに敗れたものの、主要世界大会での銀メダルは47年ぶり(1977年ワールドカップ以来)という歴史的な成果でした。
一方、女子日本代表(火の鳥NIPPON)も、準決勝で世界ランク1位(当時)のブラジルをフルセットの末に撃破。決勝ではイタリアの高さに屈しましたが、2014年ワールドグランプリ以来となる銀メダルを獲得し、パリ五輪への出場権もこの大会中に確定させました。
大会概要と開催地(予選ラウンド~ファイナルラウンド)
2024年のネーションズリーグは、世界各地を転戦する予選ラウンド(3週間)と、上位8チームによる一発勝負のファイナルラウンドで構成されました。
- 予選ラウンド方式: 男女各16チームが参加し、各チーム12試合を消化。上位7チーム+開催国がファイナルラウンドへ進出。
- 男子開催地: リオデジャネイロ(ブラジル)、福岡(日本)、マニラ(フィリピン)などを転戦し、ファイナルはウッチ(ポーランド)で開催。
- 女子開催地: アンタルヤ(トルコ)、マカオ(中国)、福岡(日本)などを転戦し、ファイナルはバンコク(タイ)で開催。
特に福岡・北九州ソレイユホールで開催された日本ラウンドは、連日満員の観客が詰めかけ、ホームアドバンテージを最大限に活かした熱狂的な空間となりました。
パリ五輪の前哨戦としての位置づけ
VNL2024は、同年7月に開幕するパリオリンピックの直前に行われた最後の公式国際大会でした。そのため、各国の本気度は極めて高く、単なる調整ではなく「五輪のシード権(世界ランキングポイント)」を懸けた真剣勝負が繰り広げられました。
日本代表にとっては、五輪メンバーの最終選考の場でもありました。この大会でのパフォーマンスが、その後の五輪本番でのスタメン起用や戦術構築に直結したのです。
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:2024年大会が持つ特別な意味
「単に『メダルが取れてよかった』で終わらせてはいけないのが、この2024年大会です。特筆すべきは、世界ランキングへの影響でした。この大会での躍進により、男子は一時世界ランク2位まで浮上し、女子も五輪出場権獲得のボーダーライン上から一気に順位を上げました。つまり、VNL2024は日本が『チャレンジャー』から『追われる立場』へと明確にシフトした転換点だったのです。データを見ても、サーブ効果率やディグ成功率において、日本はもはや『守備のチーム』ではなく『攻撃的守備のチーム』として世界に認識された大会でした」
【男子日本代表】龍神NIPPON 銀メダルへの全軌跡と試合結果
ここでは、フィリップ・ブラン監督率いる男子日本代表が、どのようにして世界の頂点に迫ったのか、全試合の結果とともに振り返ります。予選ラウンドでの安定感と、ファイナルラウンドでの爆発力は圧巻でした。
男子日本代表 全試合結果一覧
以下は、予選ラウンドから決勝までの全17試合(予選12試合+ファイナル3試合)の記録です。
| ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 | セットカウント | スコア詳細 |
|---|---|---|---|---|
| 予選 W1 (ブラジル) |
アルゼンチン | WIN | 3 – 1 | 24-26, 25-22, 25-23, 25-19 |
| セルビア | WIN | 3 – 0 | 25-20, 25-16, 25-22 | |
| キューバ | WIN | 3 – 2 | 18-25, 25-22, 25-23, 19-25, 22-20 | |
| イタリア | LOSE | 1 – 3 | 25-23, 16-25, 17-25, 17-25 | |
| 予選 W2 (福岡) |
イラン | WIN | 3 – 0 | 25-23, 25-22, 25-17 |
| ドイツ | WIN | 3 – 2 | 25-22, 22-25, 25-27, 25-23, 15-8 | |
| ポーランド | LOSE | 0 – 3 | 17-25, 15-25, 20-25 | |
| スロベニア | WIN | 3 – 1 | 25-23, 19-25, 26-24, 25-21 | |
| 予選 W3 (フィリピン) |
カナダ | LOSE | 2 – 3 | 21-25, 25-20, 15-25, 25-20, 10-15 |
| オランダ | WIN | 3 – 0 | 25-18, 25-19, 25-20 | |
| フランス | WIN | 3 – 2 | 17-25, 19-25, 25-16, 25-23, 15-10 | |
| アメリカ | WIN | 3 – 0 | 25-20, 25-23, 25-19 | |
| ファイナル (ポーランド) |
準々決勝 vs カナダ | WIN | 3 – 0 | 26-24, 25-18, 26-24 |
| 準決勝 vs スロベニア | WIN | 3 – 0 | 25-21, 27-25, 31-29 | |
| 決勝 vs フランス | LOSE | 1 – 3 | 23-25, 25-18, 23-25, 23-25 |
予選ラウンド第1週(ブラジル大会):強豪キューバ撃破の好発進
初戦のアルゼンチン戦を逆転で制し、続くセルビア戦もストレート勝ち。ハイライトは第3戦のキューバ戦でした。フルセットにもつれ込んだこの試合、最終第5セットは22-20という異例のスコアとなる大激戦。西田有志のサービスエースや石川祐希の決定力が光り、フィジカルで勝る相手をねじ伏せました。
予選ラウンド第2週(日本・福岡大会):ホームの熱狂とイラン・スロベニア戦の激闘
地元・福岡での開催となった第2週。イラン戦ではストレート勝ちで会場を沸かせましたが、世界ランク1位のポーランドには0-3で完敗し、課題も突きつけられました。しかし、最終日のスロベニア戦では、当時のVNL全勝チーム相手に3-1で勝利。この勝利がチームに「誰と戦っても勝てる」という自信を植え付けました。
予選ラウンド第3週(フィリピン大会):アメリカ・フランスとの前哨戦
フィリピンでは現地ファンの圧倒的な「日本コール」の中、強豪との対戦が続きました。特にフランス戦は0-2からの大逆転勝利。控えメンバーも含めた総力戦で、後の決勝戦の前哨戦とも言えるカードを制しました。アメリカ戦では主力の一部を温存した相手に対し、きっちりと3-0で勝利し、予選ラウンドを締めくくりました。
ファイナルラウンド準々決勝 vs カナダ:ストレート勝ちでベスト4進出
ポーランド・ウッチで行われたファイナルラウンド。初戦の相手は予選で敗れたカナダでした。しかし、この日の日本は集中力が違いました。石川祐希が26得点という驚異的なパフォーマンスを見せ、大塚達宣も攻守に躍動。ストレートでリベンジを果たし、2大会連続のベスト4進出を決めました。
ファイナルラウンド準決勝 vs スロベニア:石川祐希が爆発、決勝進出の快挙
準決勝の相手は、予選ラウンドを1位で通過したスロベニア。第1セットを先取した後、第2、第3セットはデュースにもつれ込む大接戦となりました。特に第3セットは31-29という息詰まる攻防。最後は石川祐希が冷静に決めきり、日本男子バレー史上初となるVNL決勝進出を決めました。
ファイナルラウンド決勝 vs フランス:歴史に残るフルセットの死闘
決勝の相手は、東京五輪王者のフランス。完全アウェーに近い雰囲気(フランスへの声援も多い欧州開催)の中、日本は第2セットを取り返すなど互角の戦いを演じました。しかし、フランスの堅い守備とヌガペト、パトリといったスター選手の巧みな攻撃の前に、あと一歩及びませんでした。
▼決勝フランス戦の詳細スコアとスタッツ(クリックで展開)
日本 1 – 3 フランス
(23-25, 25-18, 23-25, 23-25)
| 項目 | 日本 (JPN) | フランス (FRA) |
|---|---|---|
| アタック得点 | 54 | 58 |
| ブロック得点 | 4 | 9 |
| サーブ得点 | 4 | 6 |
| 相手ミスによる得点 | 32 | 20 |
主な個人スタッツ:
・石川祐希:17得点(アタック17)
・西田有志:11得点(アタック9, サーブ2)
・宮浦健人:10得点(途中出場からの活躍)
・ジャン・パトリ(仏):24得点(MVP級の活躍)
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:決勝フランス戦の勝敗を分けたポイント
「決勝戦、スコア以上に差を感じたのは『トランジション(切り返し)の質』でした。日本はディグ(スパイクレシーブ)までは上がるものの、そこからの攻撃決定率が第3セット以降、フランスの組織的なブロックシステムの前に低下しました。フランスは日本の『フェイクセット』に対しても、リベロのグレベニコフを中心に冷静に対応し始め、最後は経験値の差が出た形です。しかし、世界王者相手にこれだけの接戦を演じたことは、日本の戦術が世界トップレベルにあることの証明です」
【女子日本代表】火の鳥NIPPON 銀メダルへの全軌跡と試合結果
眞鍋政義監督率いる女子日本代表にとっても、VNL2024は「復活」を印象づける大会となりました。特に予選ラウンドでのブラジル戦勝利や、ファイナルラウンドでの中国撃破は、パリ五輪に向けた大きな自信となりました。
女子日本代表 全試合結果一覧
女子の全15試合(予選12試合+ファイナル3試合)の結果は以下の通りです。
| ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 | セットカウント | スコア詳細 |
|---|---|---|---|---|
| 予選 W1 (トルコ) |
トルコ | WIN | 3 – 2 | 25-23, 25-21, 23-25, 20-25, 15-11 |
| ブルガリア | WIN | 3 – 0 | 25-13, 25-15, 25-15 | |
| ドイツ | WIN | 3 – 0 | 25-21, 25-15, 25-22 | |
| ポーランド | LOSE | 0 – 3 | 24-26, 20-25, 23-25 | |
| 予選 W2 (マカオ) |
ブラジル | LOSE | 2 – 3 | 26-24, 24-26, 25-19, 20-25, 11-15 |
| フランス | WIN | 3 – 0 | 25-14, 25-18, 25-15 | |
| 中国 | WIN | 3 – 1 | 25-22, 19-25, 25-18, 25-17 | |
| ドミニカ共和国 | WIN | 3 – 1 | 25-20, 23-25, 26-24, 25-23 | |
| 予選 W3 (福岡) |
韓国 | WIN | 3 – 0 | 25-16, 25-16, 25-23 |
| カナダ | WIN | 3 – 2 | 23-25, 22-25, 25-20, 25-21, 15-6 | |
| セルビア | WIN | 3 – 0 | 25-22, 25-18, 25-15 | |
| アメリカ | LOSE | 0 – 3 | 15-25, 18-25, 24-26 | |
| ファイナル (タイ) |
準々決勝 vs 中国 | WIN | 3 – 0 | 25-21, 25-21, 25-22 |
| 準決勝 vs ブラジル | WIN | 3 – 2 | 26-24, 20-25, 25-21, 22-25, 15-12 | |
| 決勝 vs イタリア | LOSE | 1 – 3 | 17-25, 17-25, 25-21, 20-25 |
予選ラウンド第1週(トルコ大会):世界ランク1位トルコからの大金星
開幕戦の相手は、昨年のVNL女王であり世界ランク1位のトルコ。完全アウェーの中、古賀紗理那主将を中心に粘り強いバレーを展開し、フルセットの末に勝利。この「大金星」がチームに勢いをもたらしました。
予選ラウンド第2週(中国・マカオ大会):中国戦の勝利と修正
マカオでは、アジア最大のライバルである中国と対戦。高さのある中国に対し、日本はサーブで崩し、高速コンビネーションでブロックを分散させる戦術が機能。3-1で快勝し、アジアNo.1の座を強烈にアピールしました。ブラジル戦では惜しくもフルセットで敗れましたが、互角に戦える手応えを掴みました。
予選ラウンド第3週(日本・福岡大会):パリ五輪出場権獲得の瞬間
福岡ラウンドでは、カナダ戦での0-2からの大逆転劇がハイライトでした。この勝利により、世界ランキングポイントを大きく加算。続くセルビア戦にも勝利し、この週の間に悲願のパリ五輪出場権獲得を確定させました。会場は歓喜の渦に包まれ、選手たちの目には涙が光りました。
ファイナルラウンド準々決勝 vs 中国:アジアライバル対決を制す
バンコクでのファイナルラウンド初戦は、再び中国との対戦。中国は主力の一部を温存していましたが、日本は一切の隙を見せず、ストレートで完勝。この勝利でベスト4進出を決め、メダルへの期待が一気に高まりました。
ファイナルラウンド準決勝 vs ブラジル:フルセットの激闘を制し決勝へ
準決勝は、予選ラウンド全勝の最強軍団ブラジル。予選でのリベンジマッチとなりました。試合は一進一退の攻防が続き、再びフルセットへ。最終第5セット、石川真佑や古賀紗理那が勝負どころで決めきり、15-12で勝利。ブラジルの連勝記録を止める「ジャイアントキリング」で決勝進出を決めました。
ファイナルラウンド決勝 vs イタリア:世界最強の壁と銀メダルの価値
決勝の相手は、エゴヌ選手を擁するイタリア。圧倒的な高さとパワーの前に第1、第2セットを連取されましたが、第3セットは日本の粘り強いディフェンスが機能し奪い返しました。しかし、最後はイタリアの壁に阻まれ1-3で敗戦。それでも、世界2位という結果は胸を張れるものでした。
▼決勝イタリア戦の詳細スコアとスタッツ(クリックで展開)
日本 1 – 3 イタリア
(17-25, 17-25, 25-21, 20-25)
| 項目 | 日本 (JPN) | イタリア (ITA) |
|---|---|---|
| アタック得点 | 53 | 60 |
| ブロック得点 | 2 | 12 |
| サーブ得点 | 2 | 5 |
| 相手ミスによる得点 | 22 | 19 |
主な個人スタッツ:
・古賀紗理那:17得点
・井上愛里沙:11得点
・パオラ・エゴヌ(伊):27得点(圧倒的な決定力)
・シッラ(伊):15得点
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:女子代表のディフェンスシステムの変化
「女子代表の銀メダル獲得の最大の要因は『トータルディフェンス』の完成度でした。特にリベロの小島満菜美選手を中心としたフロアディフェンスは驚異的で、相手のエースが『決まった』と思ったスパイクを何度も拾い上げました。また、ブロックでワンタッチを取り、そこから素早く切り返す『トランジション・アタック』の速さは世界一と言っても過言ではありません。イタリア戦では高さに屈しましたが、システムとしては世界に通用することを証明しました」
個人賞・ベスト6・スタッツランキング完全まとめ
VNL2024では、チームの成績だけでなく、多くの日本人選手が個人賞(ドリームチーム)に選出されました。ここでは、大会を彩ったスター選手たちと、その輝かしい記録を紹介します。
大会MVPとドリームチーム(ベスト6)選出選手
大会終了後に発表されたベスト6(ドリームチーム)には、男女ともに日本代表選手が名を連ねました。
男子大会 ベスト6 & MVP
- MVP: アントワーヌ・ブリザール(フランス / S)
- ベストアウトサイドヒッター: 石川祐希(日本)、トマシュ・フォルナル(ポーランド)
- ベストミドルブロッカー: ニコラ・ル・ゴフ(フランス)、ヤクブ・コハノフスキ(ポーランド)
- ベストリベロ: 山本智大(日本)
- ベストセッター: アントワーヌ・ブリザール(フランス)
- ベストオポジット: ジャン・パトリ(フランス)
キャプテンの石川祐希選手と、守護神・山本智大選手が選出されました。特に山本選手のリベロ賞受賞は、日本の守備力が世界最高峰であることの証です。
女子大会 ベスト6 & MVP
- MVP: パオラ・エゴヌ(イタリア / OP)
- ベストアウトサイドヒッター: 古賀紗理那(日本)、ミリアム・シッラ(イタリア)
- ベストミドルブロッカー: アグニェシュカ・コルネルク(ポーランド)、サラ・ファール(イタリア)
- ベストリベロ: 小島満菜美(日本)
- ベストセッター: アレッシア・オッロ(イタリア)
- ベストオポジット: パオラ・エゴヌ(イタリア)
女子でも、主将の古賀紗理那選手とリベロの小島満菜美選手が選出。古賀選手は攻守の要として、小島選手は驚異的なディグでチームを支えました。
得点王(ベストスコアラー)ランキング
大会を通じての総得点数でも、日本選手は上位にランクインしました(予選・ファイナル合計)。
- 男子: 石川祐希選手は大会全体でトップクラスの得点を記録し、特にファイナルラウンドでの爆発力が際立ちました。
- 女子: 古賀紗理那選手がベストスコアラーランキングで常に上位をキープ。石川真佑選手もサーブとスパイクで多くのポイントを稼ぎました。
ベストサーバー・ベストブロッカー・ベストディガーランキング
- ベストサーバー: 西田有志選手がサービスエース数で上位に。彼の強力なサーブは、ブレイクポイントを奪うための最大の武器でした。
- ベストディガー: 山本智大選手(男子)と小島満菜美選手(女子)が、ディグ成功率・本数ともに圧倒的な数字を残しました。
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:スタッツから見る日本の「世界との距離」
「スタッツを詳細に分析すると、日本が世界と戦うための『生存戦略』が浮き彫りになります。ブロック本数では欧米列強に劣りますが、その分『ブロックタッチ数(ワンタッチ)』と『ディグ成功率』が異常に高いのです。また、サーブの効果率を高め、相手の攻撃を単調にさせることで、低身長でも守り勝つスタイルを確立しています。このデータこそが、日本バレーのアイデンティティと言えるでしょう」
2024年大会 日本代表登録メンバー一覧
歴史を作った2024年のメンバーたち。ここでは、VNL2024に登録され、戦った選手たちを記録します。彼らの結束力こそが、銀メダルの原動力でした。
男子日本代表(龍神NIPPON)出場メンバー
▼男子メンバーリスト(ポジション・所属チーム ※当時)
| No. | 氏名 | ポジション | 当時の所属など |
|---|---|---|---|
| 1 | 西田 有志 | OP | パナソニックパンサーズ |
| 2 | 小野寺 太志 | MB | サントリーサンバーズ |
| 3 | 深津 旭弘 | S | 東京グレートベアーズ |
| 4 | 宮浦 健人 | OP | パリ・バレー(フランス) |
| 5 | 大塚 達宣 | OH | パナソニックパンサーズ |
| 6 | 山内 晶大 | MB | パナソニックパンサーズ |
| 7 | 高橋 健太郎 | MB | 東レアローズ |
| 8 | 関田 誠大 | S | ジェイテクトSTINGS |
| 10 | 高橋 藍 | OH | モンツァ(イタリア) |
| 11 | 富田 将馬 | OH | 東レアローズ |
| 12 | 髙橋 藍 | OH | ※背番号変更等の調整あり |
| 13 | 小川 智大 | L | ウルフドッグス名古屋 |
| 14 | 石川 祐希 | OH | ミラノ(イタリア) ※主将 |
| 15 | 甲斐 優斗 | OH | 専修大学 |
| 20 | 山本 智大 | L | パナソニックパンサーズ |
| 23 | エバデダン ラリー | MB | パナソニックパンサーズ |
女子日本代表(火の鳥NIPPON)出場メンバー
▼女子メンバーリスト(ポジション・所属チーム ※当時)
| No. | 氏名 | ポジション | 当時の所属など |
|---|---|---|---|
| 1 | 岩崎 こよみ | S | 埼玉上尾メディックス |
| 2 | 林 琴奈 | OH | JTマーヴェラス |
| 3 | 古賀 紗理那 | OH | NECレッドロケッツ ※主将 |
| 4 | 石川 真佑 | OH | フィレンツェ(イタリア) |
| 6 | 関 菜々巳 | S | 東レアローズ |
| 7 | 渡邊 彩 | MB | 日立Astemoリヴァーレ |
| 8 | 小島 満菜美 | L | NECレッドロケッツ |
| 10 | 井上 愛里沙 | OH | ヴィクトリーナ姫路 |
| 11 | 山田 二千華 | MB | NECレッドロケッツ |
| 12 | 福留 慧美 | L | デンソーエアリービーズ |
| 15 | 宮部 藍梨 | MB | ヴィクトリーナ姫路 |
| 20 | 荒木 彩花 | MB | 久光スプリングス |
| 21 | 和田 由紀子 | OH | JTマーヴェラス |
大会期間中の主なメンバー変更と起用傾向
男子は髙橋藍選手が怪我の影響でファイナルラウンドの一部を欠場しましたが、代わって入った大塚達宣選手が見事な活躍を見せ、層の厚さを証明しました。女子はセッターの岩崎こよみ選手と関菜々巳選手の併用や、和田由紀子選手のスーパーサブ的な起用が光りました。
体験談:筆者が現地取材で感じたチームの雰囲気と結束力
「ポーランドの会場裏で目撃したのは、試合に出られない選手たちが声を枯らしてサポートする姿でした。特に男子チームは、誰が得点を決めてもベンチ全員が飛び出して喜ぶ一体感があり、これが『苦しい場面でのあと1点』を生み出していたのだと確信しました」
【独自分析】なぜ日本はVNL2024で男女ともに躍進できたのか?
単なる「勢い」だけでは、長丁場のリーグ戦と一発勝負のトーナメントを勝ち抜くことはできません。ここでは、戦術的な視点から日本の躍進の理由を深掘りします。
男子:ブラン監督の戦術浸透と「フェイクセット」の完成度
フィリップ・ブラン監督が植え付けた最大の武器は、攻撃の選択肢を極限まで増やすことでした。特にスパイカーがセッターの役割を果たす「フェイクセット」の精度は世界一と言われ、相手ブロックを完全に翻弄しました。また、サーブで崩してブロックで仕留める「トータルディフェンス」も、石川祐希選手や西田有志選手の高い個人技と融合し、完成の域に達していました。
女子:眞鍋ジャパンの高速コンビバレーとサーブ戦略の徹底
女子代表は、伝統的な「拾って繋ぐ」バレーに加え、サーブ戦略を徹底しました。相手の攻撃開始位置をネットから遠ざけることで、ブロックの的を絞りやすくし、そこを堅固なレシーブで拾う。そして、セッター岩崎こよみ選手らが操る高速コンビネーションで相手ブロックが完成する前に打ち抜く。このサイクルの回転速度が、他国を圧倒していました。
リーグレベルの向上と海外組の経験値還元
石川祐希、髙橋藍、西田有志、宮浦健人(男子)、石川真佑、井上愛里沙(女子)など、海外リーグで揉まれた選手たちがチームの核となりました。彼らが持ち帰った「世界基準のプレー強度」と「メンタリティ」が、国内組にも伝播し、チーム全体のレベルを底上げしました。また、日本のVリーグ(現在のSVリーグ)のレベル向上も、選手の強化に寄与しています。
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:2024年大会で見えた「世界一」への課題
「銀メダルという結果は素晴らしいですが、決勝戦では男女ともに『高さとパワーの絶対値』の差を見せつけられたのも事実です。フランスやイタリアは、戦術が崩された場面でも、個人の身体能力で強引に点をもぎ取る力がありました。日本が金メダルを取るためには、この『理不尽なまでの個の力』に対して、さらに緻密な組織力で対抗するか、あるいは日本選手自身のフィジカルスタンダードをもう一段階上げる必要があります」
よくある質問(FAQ)
最後に、VNL2024に関するよくある疑問に、2026年の視点からお答えします。
Q. VNL2024の試合映像(ハイライト・見逃し配信)を見る方法は?
現在、大会のアーカイブ映像はVolleyball World TV(VBTV)などの公式ストリーミングサービスで視聴可能です。また、YouTubeのVolleyball World公式チャンネルでも、主要試合のハイライトやベストプレー集が公開されています。
Q. 大会の賞金総額と日本の獲得賞金は?
VNL2024の優勝賞金は100万ドル(約1.5億円)、準優勝は50万ドルでした。日本は男女ともに準優勝だったため、それぞれ50万ドルを獲得しています。これに加え、予選ラウンドの勝利給なども加算されます。
Q. 2024年大会の結果は世界ランキングにどう影響した?
この大会での躍進により、男子は一時世界ランキング2位、女子もトップ10圏内で上位に食い込むなど、ランキングを大きく上昇させました。これがパリ五輪のプール分け(シード権)に有利に働き、その後の国際大会での立ち位置を確固たるものにしました。
まとめ:VNL2024は日本バレーの新たな黄金期を告げる大会だった
ネーションズリーグ2024は、日本バレーボール界にとって忘れられない大会となりました。
- 男女ともの銀メダル獲得: 世界の強豪と互角以上に渡り合い、ファイナリストとなった実績。
- 個の力の証明: 石川祐希、古賀紗理那をはじめとする選手たちが、個人賞やスタッツで世界トップレベルであることを証明。
- 次世代への希望: この大会を見てバレーボールを始めた子供たちや、SVリーグへの注目度向上など、計り知れない波及効果。
2024年のあの熱狂は、一過性のものではありませんでした。この経験を糧に、日本代表はさらに進化を続けています。これからも、私たちの心を揺さぶるプレーを見せてくれることでしょう。ぜひ、現在のVリーグ(SVリーグ)や、次の国際大会にも注目し、選手たちを応援し続けてください。
歴15年のバレーボール戦術アナリストのアドバイス:これからの日本バレー界への期待
「VNL2024で蒔かれた種は、2026年の今、確実に芽吹いています。当時若手だった選手たちが主力となり、さらに新しい才能も台頭してきています。ファンの皆さんの応援が、選手たちの限界を超える力になります。これからも会場で、画面越しで、日本バレーを熱くサポートしていきましょう!」
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