ビジネス文書や学術論文を作成している際、「この事象は頻度が多い」と書いてふと手が止まったことはありませんか? あるいは、上司や指導教官から「言葉の使い方が不適切だ」と指摘され、どの言葉に書き換えるべきか悩んだ経験があるかもしれません。
結論から申し上げますと、「頻度」とは「ある事柄が繰り返し起こる度合い」を指す言葉であり、修飾語は「多い・少ない」ではなく「高い・低い」を使うのが最も適切かつ正統な表現です。
言葉は生き物であり、時代とともに変化するものですが、ビジネスや学術の場においては「正確性」と「信頼性」が何よりも重視されます。誤ったコロケーション(語の結びつき)や、文脈にそぐわない表現を使用することは、書き手の知性や信頼を損なうリスクに直結します。
この記事では、現役のビジネス文書校正士である筆者が、辞書的な定義にとどまらず、実務で即戦力となる「頻度」の正しい使い方を徹底解説します。
この記事でわかること
- プロが教える「頻度」の正しいコロケーション(結びつき)と、なぜ「多い」がNGとされるのかの理由
- 「回数」「確率」「比率」との決定的な違いと、迷ったときの明確な使い分け基準
- 「頻度」の連呼を避け、文章を洗練させるための状況別「言い換え・類語」リスト
- 英語でのメールや論文作成時に役立つ、Frequency 以外の表現と副詞のニュアンス
曖昧な理解をクリアにし、自信を持って「頻度」を使いこなせるようになるための完全ガイドです。ぜひ最後までお読みいただき、あなたの文章作成にお役立てください。
【基礎】「頻度」の正確な意味と「高い・低い」の正しい使い分け
まずはじめに、「頻度」という言葉の持つ本来の意味と、最も基本的かつ重要な「修飾語との組み合わせ」について解説します。多くの人が無意識に使っている「頻度が多い」という表現が、なぜプロの視点からは「違和感」として捉えられるのか、その背景にある論理を紐解いていきましょう。
辞書的な意味とビジネスでの定義
「頻度(ひんど)」を国語辞典で引くと、一般的に次のように定義されています。
頻度
物事が繰り返し行われる度合い。出現する回数。
ここで重要なのは、「度合い」という言葉です。頻度は単なる「数」そのものではなく、ある一定の期間や範囲の中で、どのくらいの密度で発生しているかという「密度」や「程度」を表す概念です。
ビジネスシーンにおける定義もこれに準じますが、より実務的なニュアンスが含まれます。ビジネス文書において「頻度」という言葉を用いる場合、それは単に回数を数えるだけでなく、「その事象が発生する傾向やパターン」を示唆する役割を果たします。
例えば、「クレームの発生頻度」と言った場合、単に「昨日3件あった」という事実だけでなく、「普段と比べてどうなのか」「対策が必要なレベルなのか」という分析的な視点が含まれています。つまり、ビジネスにおける「頻度」は、現状把握やリスク管理、改善策の立案に直結する重要な指標となる言葉なのです。
したがって、この言葉を正しく使うことは、単に日本語として正しいかどうかという問題を超えて、ビジネスパーソンとしての「分析能力」や「状況把握能力」の高さを示すことにも繋がります。正確な言葉選びは、正確な思考の表れであると捉えられるからです。
要注意!「頻度が多い/少ない」は誤用なのか?
「頻度が多い」「頻度が少ない」という表現は、日常会話では頻繁に耳にしますし、意味も問題なく通じます。しかし、厳密な文章作法、特に公的な文書や論文、格式高いビジネスメールにおいては、これらの表現は避けるべき誤用に近い表現とされています。
なぜなら、「頻度」という言葉自体に「度数」や「度合い」という意味が含まれているためです。「度合い」に対して「多い・少ない」という形容詞を用いるのは、日本語のコロケーション(語と語の慣用的な結びつき)として馴染みが薄いのです。
「度合い」や「密度」を表す言葉には、「高い・低い」を用いるのが原則です。例えば、「密度が高い」「温度が高い」「湿度が低い」と言うのと同じ理屈です。「温度が多い」とは言いませんよね。これと同様に、「頻度」も「高い・低い」で受けるのが論理的に正しい形となります。
以下に、ビジネス文書におけるOK/NGの早見表を作成しました。執筆時の参考にしてください。
Callout (Check)|OK/NG 早見表
- ◎ 頻度が高い / 頻度が低い
(最も推奨される表現。論文、報告書、公式文書などあらゆるシーンで適切) - △ 頻度が多い / 頻度が少ない
(話し言葉やカジュアルな場では許容されるが、書き言葉、特に評価を受ける文書では避けるのが無難) - × 頻度が激しい
(完全に誤用。「激しい」は変動の大きさや勢いを表す言葉であり、頻度(度合い)には使わない)
文化庁が実施した「国語に関する世論調査」などの過去のデータや、言語学者の見解を見ても、「頻度が高い・低い」が規範的な形であるという認識が主流です。言葉は変化するものであり、「頻度が多い」も市民権を得つつあるという見方もありますが、ビジネスの現場、特に年長者や言葉に厳しいクライアントを相手にする場合は、リスクを避けて「高い・低い」を使うのが賢明です。
文章のプロが教える、違和感のない「頻度」の修飾語
では、「高い・低い」以外に「頻度」を修飾する適切な言葉はあるのでしょうか。文章の流れによっては、「高い・低い」ばかりを繰り返すと単調になってしまうことがあります。
プロのライターや校正者がよく使う、自然で違和感のない修飾語の組み合わせをいくつか紹介します。
- 頻度が極めて高い
強調したい場合に「とても」ではなく「極めて」を使うことで、客観的な分析のニュアンスが出ます。 - 頻度が上昇している / 低下している
時系列での変化を報告する際に最適です。「増えている/減っている」よりも、傾向の変化を捉えている印象を与えます。 - 頻度が変わらない
現状維持を示す場合に使います。
逆に、避けるべき組み合わせとしては、前述の「多い・少ない」に加え、「頻度が大きい・小さい」も不適切です。「頻度」は物理的なサイズではないため、大小で表すことはありません。
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「私が新人の頃、上司への報告書で『エラーの頻度が多いようです』と記述し、真っ赤に添削されて返された経験があります。上司のコメントには『頻度は数そのものではなく度合いだ。温度と同じで高い・低いを使え』と書かれていました。
当時は『意味が通じればいいのでは』と思いましたが、校正のプロになった今なら、その指摘の重要性が痛いほど分かります。『頻度が多い』という表現には、言葉の定義に対する解像度の低さが滲み出てしまうのです。
また、『多い』を使うと、『頻度(=度数)』と『多い(=数)』で意味が重複しているような、いわゆる『重言(じゅうげん)』に近い冗長さを感じる読み手もいます。スマートで知的な印象を与えたいのであれば、迷わず『高い・低い』を選択してください。それだけで、文章の格調が一段階上がります」
「頻度」と混同しやすい言葉の違い(回数・確率・比率)
「頻度」を正しく使うためには、似たような意味を持つ言葉との違いを明確に理解しておく必要があります。特に「回数」「確率」「比率」は、文脈によっては「頻度」と混同されがちですが、それぞれが指し示す概念は異なります。
これらの言葉を適切に使い分けることで、より論理的で誤解のない文章を作成することができます。ここでは、それぞれの概念の違いを整理し、ビジネスシーンでの具体的な使い分け方を解説します。
「頻度」と「回数」の決定的な違い
最も混同されやすいのが「頻度」と「回数」です。これらは密接に関連していますが、視点が異なります。
- 回数(Count):単純な発生数
期間や条件に関わらず、事象が発生した「絶対数」を指します。単位は「回」です。
例:このエラーは過去に5回発生しました。 - 頻度(Frequency):単位時間あたりの密度
ある一定の期間や条件下で、どれくらいのペースで発生しているかという「密度」や「度合い」を指します。
例:このエラーは1週間に5回という高い頻度で発生しています。
つまり、「回数」は事実としての数字そのものであり、「頻度」はその数字を時間軸や母数と照らし合わせたときの「評価」や「状態」を表す言葉と言えます。
例えば、1年間に10回会議を行うのと、1週間に10回会議を行うのでは、「回数」は同じ10回ですが、「頻度」は全く異なります。前者は「頻度が低い(月に1回未満)」ですが、後者は「頻度が極めて高い(毎日複数回)」となります。
報告書で「回数」を書くべきか「頻度」を書くべきか迷ったときは、「数そのものを伝えたいのか(実績報告など)」、それとも「発生のペースや緊急性を伝えたいのか(問題提起など)」を自問してみてください。
「頻度」と「確率」の使い分け
次に、「頻度」と「確率」の違いです。これらは過去と未来、あるいは実績と予測という観点で使い分けられます。
- 頻度:過去から現在における実績の密度
「これまでどのくらい起きたか」という実績ベースの記述に使われます。
例:この地域では地震の発生頻度が高い。(過去のデータに基づく事実) - 確率(Probability):未来における発生の可能性
「これから起きる見込み」や、ランダムな事象における期待値を表します。単位は%(パーセント)で表されることが多いです。
例:今後30年以内に地震が発生する確率は70%です。(未来の予測)
ただし、統計学的には「相対度数(全体に対する頻度の割合)」を「確率」の近似値として扱うことがあるため、文脈によっては重なる部分もあります。しかし、一般的なビジネス文書では、「過去の分析=頻度」「未来のリスク=確率」と使い分けるとスムーズです。
「頻度」と「比率(割合)」の使い分け
最後に「比率(割合)」との違いです。
- 比率・割合(Rate / Ratio):全体に対する部分の占める大きさ
全体を1(または100)としたときに、対象がどれくらいを占めるかを表します。
例:不良品の発生比率は全生産量の0.5%です。
「頻度」も「発生頻度」としてパーセンテージで表されることがありますが、厳密には「頻度」は「時間的な繰り返し」に焦点を当てているのに対し、「比率」は「全体と部分の関係」に焦点を当てています。
Chart here|概念図解イラスト(テキスト表現)
| 用語 | キーワード | イメージ | 例文 |
|---|---|---|---|
| 頻度 | 密度・ペース | タイムライン上に点が密集している様子 | 「更新の頻度が高い」 |
| 回数 | 絶対数 | 積み上げられたブロックの数 | 「更新の回数は計5回」 |
| 確率 | 可能性・未来 | サイコロの目が出る見込み | 「次回エラーになる確率」 |
| 比率 | 全体との関係 | 円グラフの1ピース | 「全体の2割を占める比率」 |
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「報告書を作成する際、私が実践している『文脈チェック法』をご紹介します。文章を書いた後、その『頻度』という言葉を『ペース』に置き換えてみてください。
『エラーのペースが高い』→意味が通じる(=頻度でOK)。
『エラーのペースは5回です』→意味不明(=回数に直すべき)。
『エラーのペースは5%です』→違和感あり(=率や確率に直すべき)。
このように、簡単な類語に置き換えて文脈が通るかどうかを確認することで、誤用を未然に防ぐことができます。特に数字を扱う場面では、このチェックを行うだけで論理的な正確性が格段に向上します」
【実践】ビジネス・論文で役立つ「頻度」の言い換え・類語集
「頻度」という言葉は便利ですが、一つの文書内で何度も繰り返すと、文章が単調になり、稚拙な印象を与えてしまうことがあります。また、文脈によっては「頻度」という硬い言葉よりも、もっと状況に適した表現が存在します。
ここでは、ペルソナであるあなたが直面している「表現のマンネリ化」を解消するために、ビジネス、論文、日常会話など、シーン別に使える豊富な言い換え表現を紹介します。
ビジネスメールで使える「頻度」の言い換え(都度、定期的など)
ビジネスメールでは、相手に対する配慮や、業務の正確な進行を促す表現が求められます。「頻度高く」と書くと少し機械的な印象になるため、以下のような副詞や慣用句を活用しましょう。
- こまめに
「頻度高く」のソフトな言い換えです。ポジティブなニュアンスを含み、丁寧な対応をアピールできます。
例:「進捗状況はこまめに報告いたします」 - 都度(つど)
事象が発生するたびに、という意味です。ルールや手順を説明する際に適しています。
例:「不明点があれば、都度ご相談ください」 - 定期的(ていきてき)に
一定の間隔で行うことを強調します。
例:「パスワードは定期的に変更してください」 - 断続的(だんぞくてき)に
途切れ途切れに続く様子。トラブル報告などで使われます。
例:「サーバーへの接続が断続的に不安定になっています」 - 足繁く(あししげく)
相手の元へ何度も通うこと。「通う」という動詞と共に使います。営業活動の報告などで有効ですが、目上の人に対して「足繁く通ってください」と使うのは失礼にあたるので注意が必要です(自分の行動や、第三者の行動に対して使うのが基本です)。
例:「顧客のもとへ足繁く通い、信頼を獲得した」
論文・レポートで使える硬い表現(発生率、出現度など)
学術論文や公的なレポートでは、客観性と厳密性が求められます。「頻度」の繰り返しを避けるための、より専門的な類語です。
- 出現率(しゅつげんりつ)
特定の条件下で現象が現れる割合。
例:「キーワードの出現率を分析する」 - 発生ベース
頻度を基準に物事を考えること。
例:「リスクを発生ベースで評価する」 - 散見(さんけん)される
ちらほらと見受けられること。頻度がそれほど高くない(低い〜中程度)場合に使います。
例:「データの不整合が散見される」 - 多発(たはつ)する
頻度が高いことを簡潔に表す動詞です。
例:「事故が多発する交差点」
日常会話・カジュアルな表現(ちょくちょく、ひっきりなしになど)
社内のチャットツールや、親しい間柄でのやり取りでは、柔らかい表現が好まれます。
- ちょくちょく
時々、たびたび。
例:「彼はちょくちょく席を外している」 - ひっきりなしに
絶え間なく続く様子。頻度が極めて高い、あるいは連続している状態。
例:「問い合わせの電話がひっきりなしに鳴っている」 - しょっちゅう
いつも、常に。少しネガティブな文脈で使われることも多いです。
例:「あのプリンターはしょっちゅう故障する」
Table here|シーン別「頻度」言い換えマトリクス
| 頻度の度合い | フォーマル・書き言葉 | ビジネス・話し言葉 | カジュアル・日常 |
|---|---|---|---|
| 高 (High) | 多発する 高頻度で 絶え間なく |
頻繁に こまめに 足繁く |
しょっちゅう ひっきりなしに いつも |
| 中 (Mid) | 断続的に 散発的に 定期的に |
時折 都度 コンスタントに |
ちょくちょく たまに 時々 |
| 低 (Low) | 稀(まれ)に 皆無(かいむ) 僅少(きんしょう) |
めったに〜ない ごく一部 限定的 |
ほとんどない レア たまーに |
▼(クリックで展開)例文で見る言い換えパターン集
パターン1:ポジティブな行動を強調したい場合
- 修正前:「お客様には頻度高く連絡を入れています。」
- 修正後:「お客様にはこまめに連絡を入れています。」(親身な姿勢が伝わる)
パターン2:ネガティブな事象を報告する場合
パターン3:数値目標として設定する場合
- 修正前:「会議の頻度を減らすことを目標にします。」
- 修正後:「会議の回数を削減することを目標にします。」(具体的で測定可能になる)
パターン4:分析結果を述べる場合
- 修正前:「この単語の使用頻度について調べました。」
- 修正後:「この単語の出現率について調査しました。」(学術的な響きになる)
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「私が実際に修正した悪文の例として、『連絡の頻度を多くして、会議の頻度も多くした結果、ミスの頻度が少なくなった』というものがありました。これでは『頻度』のゲシュタルト崩壊を起こしてしまいます。
これを『連絡を密にし、会議の回数も増やした結果、ミスの発生率が低下した』と直しました。
『密にする』『増やす』『低下する』と、動詞や目的語を適切に散らすことで、文章のリズムが生まれ、読み手の頭にスッと入るようになります。同じ言葉を二度繰り返したら、三度目は必ず言い換える。これをルールにするだけで、あなたの文章力はプロ並みに近づきます」
英語で「頻度」をどう表現する?Frequency以外の選択肢
グローバルなビジネス環境や、英語論文の執筆においては、日本語の「頻度」に相当する英語表現を正しく選ぶ必要があります。直訳の “Frequency” だけでなく、文脈に応じた適切な単語選びと、頻度を表す副詞の使い分けについて解説します。
名詞としての表現(Frequency, Rate, Incidence)
日本語の「頻度」にあたる英単語はいくつか存在しますが、それぞれニュアンスが異なります。
- Frequency
最も一般的で広義の「頻度」。物理的な振動数や、統計的な度数、日常的な頻度の高さなど幅広く使えます。
例:The frequency of meetings has increased.(会議の頻度が増えた) - Rate
「率」や「割合」に近いニュアンスで、一定期間や人口に対する発生比率を表す際によく使われます。ビジネスや経済の文脈で好まれます。
例:Unemployment rate(失業率)、Exchange rate(為替レート) - Incidence
主に医療や疫学、リスク管理の分野で使われる「発生率」です。病気や事故など、ネガティブな事象が新しく発生する頻度を指します。
例:The incidence of influenza(インフルエンザの発生率)
頻度を表す副詞の階層とパーセンテージの目安
ビジネスメールや論文では、具体的な回数を示す代わりに、副詞を使って頻度を表現することが多々あります。これらの副詞には、ネイティブスピーカーが共有する感覚的な「パーセンテージ(確率・頻度)」が存在します。
- Always (100%):常に、例外なく。
- Usually / Generally (80-90%):たいてい、普段は。
- Often / Frequently (60-80%):よく、頻繁に。
- Sometimes (50%):時々。半々くらいのイメージ。
- Occasionally (30-40%):たまに。Sometimesより少し低い。
- Rarely / Seldom (10-20%):めったに〜ない。否定的なニュアンスを含む。
- Hardly ever (5-10%):ほとんど〜ない。
- Never (0%):一度も〜ない。
Chart here|頻度の副詞ピラミッド図(テキスト表現)
ビジネスメールで使える英語フレーズ集
海外のクライアントや同僚に対して、「どのくらいの頻度で?」と尋ねたり、報告したりする際に使える実用的なフレーズです。
- How often do you need reports?
(どのくらいの頻度でレポートが必要ですか?)
※ “What is the frequency of…” と聞くよりも “How often…” の方が自然で一般的です。 - We hold meetings on a weekly basis.
(私たちは週単位で会議を行っています。)
※ “on a daily/weekly/monthly basis” はビジネスで非常によく使われる定型句です。 - I check my email frequently.
(私は頻繁にメールをチェックしています。) - This error occurs rarely.
(このエラーはめったに発生しません。)
統計学・データ分析における「頻度(度数)」の基礎知識
近年、ビジネスパーソンにもデータリテラシーが求められるようになり、統計用語としての「頻度」に触れる機会も増えています。ここでは、統計学やデータ分析の文脈における「頻度」の特別な意味について、専門外の方にもわかりやすく解説します。
度数分布表における「頻度(Frequency)」とは
統計学において「頻度(Frequency)」は、一般的に「度数(どすう)」と訳されます。これは、データをある区間(階級)に分けたとき、その区間に含まれるデータの個数のことを指します。
例えば、あるクラスのテストの点数を「60〜70点」「70〜80点」といった区間に分けたとします。「60〜70点」の区間に5人の生徒がいた場合、この区間の度数(頻度)は「5」となります。
Excelなどの表計算ソフトには `FREQUENCY` 関数というものが存在しますが、これも「指定した範囲内にデータが何個あるか(=頻度分布)」を計算するための関数です。
相対度数と累積度数の簡単な理解
データ分析の報告書を作成する際、単なる「度数(頻度)」だけでなく、以下の指標を併記することで、より説得力のある分析が可能になります。
- 相対度数(Relative Frequency)
全体に対するその区間の割合。「度数 ÷ データの総数」で求められます。
例:クラス全体40人のうち5人なら、相対度数は 5÷40=0.125(12.5%)。 - 累積度数(Cumulative Frequency)
ある区間までの度数を積み上げた合計数。「70点以下の生徒は合計何人か」を知りたいときに使います。
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「データ分析の結果を文章化する際、よくある失敗が『頻度』と『度数』の混同です。統計的な図表(ヒストグラムなど)の説明文を書くときは、『この区間の頻度が高い』と書くよりも、『この区間の度数が最も多い』や『最頻値(モード)を示している』と専門用語を用いる方が、データの正確性が伝わります。
一方で、専門家以外に向けたプレゼン資料であれば、あえて『人数』や『件数』といった平易な言葉に翻訳する配慮も必要です。読み手の知識レベルに合わせて言葉を選ぶことこそ、真のプロフェッショナルなライティングと言えます」
よくある質問(FAQ)
記事の締めくくりとして、「頻度」に関してよく寄せられる疑問や、細かい言葉のニュアンスについての質問にお答えします。
Q. 「頻度」の対義語はありますか?
A. 「頻度」そのものに対する厳密な対義語(反対語)は存在しません。「頻度」は度合いを表す中立的な名詞だからです(「温度」に対義語がないのと同じです)。
ただし、「頻度が高い(頻繁)」の対義語としては「稀(まれ)」や「間欠(かんけつ)」などが挙げられます。「頻度が低い」状態を指す言葉として使うことができます。
Q. 「足繁く(あししげく)」は目上の人に使っても大丈夫?
A. 文法的には間違いではありませんが、目上の人の行動に対して使うのは避けたほうが無難です。「足繁く」には「何度も足を運ぶ」という意味がありますが、これを目上の人に使うと「(わざわざ)何度も来てもらった」というニュアンスになり、場合によっては「暇なのか」という誤解を与えたり、相手の労力を軽んじているように響くリスクがあります。
目上の人が来てくれたことに対しては、「足繁くお越しいただき」ではなく、「度々(たびたび)ご足労いただき」や「何度もご来訪いただき」とするのが、敬語として適切で美しい表現です。
Q. 医療用語としての「頻度」に特別な意味はありますか?
A. はい、医療現場では「頻度」という言葉が非常に厳密に使われます。例えば、薬の副作用の「発現頻度」は、国際的な基準(CIOMS分類など)で定義されています。
- 10%以上:非常に多い(Very common)
- 1%〜10%未満:多い(Common)
- 0.1%〜1%未満:ときどき(Uncommon)
- 0.01%〜0.1%未満:まれ(Rare)
このように、医療文書や添付文書を読む・書く際は、一般的な「多い・少ない」の感覚ではなく、定義された数値範囲に基づいた記述が求められます。
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「『足繁く』のような慣用句は、使いこなせると文章が華やかになりますが、敬語の文脈では落とし穴になりがちです。
『足繁く通う』は、自分や部下が顧客のもとへ通う努力をアピールするときに使うのがベストです。言葉のベクトル(誰が誰に対して行うか)を意識することで、誤用による失礼を回避できます。迷ったときは平易な言葉(何度も、繰り返し)に戻る勇気も大切です」
まとめ:正しい「頻度」の使い方で、洗練された文章を目指そう
最後までお読みいただき、ありがとうございます。「頻度」という一見シンプルな単語にも、奥深いルールや効果的な使い分けがあることがお分かりいただけたかと思います。
最後に、今回の重要ポイントを振り返りましょう。
- 基本原則:「頻度」の修飾語は「多い/少ない」ではなく「高い/低い」を使うのが正解。
- 使い分け:単なる数は「回数」、未来の可能性は「確率」、時間的な密度は「頻度」と区別する。
- 表現力アップ:「頻度」を連呼せず、文脈に合わせて「こまめに」「定期的に」「出現率」などの類語を使い分ける。
- 英語表現:“Frequency” だけでなく、”How often” や “Rarely” などの副詞を活用する。
言葉遣いは、あなたのビジネスパーソンとしての信頼性や、研究者としての厳密さを映し出す鏡です。「頻度が高い」と正しく書かれた報告書は、それだけで読み手に「この書き手は論理的で、言葉を大切にしている」という安心感を与えます。
ぜひ、今日作成するメールや資料から、今回ご紹介した知識を実践してみてください。意識して言葉を選ぶ習慣が、あなたの文章をより説得力のあるものへと変えていくはずです。
現役ビジネス文書校正士のアドバイス
「文章を書いた後、一度立ち止まって『読み手にとって違和感がないか?』と自問する時間を作ってください。それが『推敲(すいこう)』です。
辞書的な正しさも大切ですが、それ以上に『伝わりやすさ』と『相手への敬意』がビジネス文書の本質です。今回学んだ『頻度』の使い方は、そのための強力な武器の一つになるでしょう。あなたの言葉が、より正確に、より美しく相手に届くことを願っています」
Checklist here|文章提出前の最終チェックリスト
- 「頻度が多い/少ない」と書いていないか?(→「高い/低い」に修正)
- 「頻度」という単語を1つの段落で連呼していないか?(→「回数」「こまめに」等に言い換え)
- 具体的な数値を出すべき箇所で、曖昧に「頻度」を使っていないか?(→「週に3回」等具体的に記述)
- 目上の人に「足繁く」を使っていないか?(→「度々ご足労いただき」等に修正)
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