アニメーション映画のワンシーンのような、どこか懐かしく、透明感のある写真。SNSで「ジブリ風」と呼ばれるその世界観に、多くの人が心を奪われています。「自分もこんな写真を撮ってみたい」と思い、フィルターアプリを使ってみたものの、画質が荒れたり、ただ色が派手になっただけで終わってしまった経験はないでしょうか。
結論から申し上げますと、ジブリ風写真の正体は「青(空)と緑(植物)の黄金比」と「光の柔らかさ(コントラストとシャドウのバランス)」にあります。この理論さえ理解できれば、有料のプリセットを購入しなくても、無料版のAdobe Lightroom Mobileひとつで、誰でもスマホにある写真をノスタルジックな名作に変えることが可能です。
この記事では、現役のフォトグラファー兼レタッチャーである私が、感覚に頼らない「再現可能なロジック」として、以下の3点を徹底解説します。
- 誰でも再現できるLightroomの具体的な設定値(数値レシピ)
- 加工前の「元写真」でジブリ感を出すための撮影テクニック
- 肌色が不自然になる失敗を防ぐ、プロの微調整メソッド
これから紹介するステップを実践すれば、あなたのカメラロールに眠っている何気ない日常の風景が、物語のワンシーンへと生まれ変わります。ぜひ、スマホを片手に読み進めてください。
なぜ「ジブリ風」に見えるのか?色彩と光の3大要素を分析
レタッチを始める前に、まず私たちが目指すべき「ゴール」を明確にしておきましょう。多くの人が失敗する原因は、どのような状態が「ジブリ風」なのかを言語化できていないことにあります。「なんとなくエモい感じ」という曖昧なイメージのまま加工を始めると、彩度を上げすぎて目が痛くなるような写真になったり、逆に色がくすんでしまったりします。
私が長年、商業写真のレタッチ業務で培ってきた色彩理論と、数多くのアニメーション背景画の分析に基づくと、ジブリ風写真には明確な「色彩と光のルール」が存在します。これを理解することは、単に設定値を真似するだけでなく、どんな写真に対しても応用を効かせるための基礎体力となります。
現役フォトグラファーのアドバイス
「プロとアマチュアの最大の違いは、『なぜその色にするのか』という意図の有無です。なんとなくスライダーを動かして偶然できた奇跡の一枚に頼るのではなく、光の方向や元の色が持つ特性を理解し、『空はこうあるべき』『影はこうあるべき』と設計図を描いてから加工することで、写真のクオリティは安定します。まずは理論という設計図を手に入れましょう」
特徴①:空の青(シアン寄り)と植物の緑(イエロー寄り)
ジブリ作品の背景美術において、最も特徴的なのが「空」と「植物」の色味です。現実世界の空は、湿度や太陽の角度によって白っぽくなったり、濃い群青色になったりしますが、アニメーションの世界では「理想化された記憶色」が描かれています。
具体的には、空の青は少し緑がかった「シアン(水色)」寄りのトーンで表現されることが多いです。真っ青(ブルー)ではなく、少し爽やかさを感じるターコイズブルーに近い色味です。これにより、夏の暑さの中にも涼しげな風が吹いているような印象を与えます。
対照的に、植物の緑は深く濃い緑ではなく、太陽の光をたっぷりと浴びた「イエローグリーン(黄緑)」寄りの明るいトーンで描かれます。新緑のような瑞々しさを強調することで、生命力や季節感を演出しています。この「シアン寄りの青」と「イエロー寄りの緑」の組み合わせこそが、ジブリ風写真の色彩の核となる黄金比です。
特徴②:コントラストはあるが、影(シャドウ)は明るく柔らかい
次に重要なのが「光と影」の表現です。夏の日差しを描く場合、通常であれば影は濃く、黒く落ち込みます。しかし、ジブリ風の表現では、強い日差しを感じさせつつも、影(シャドウ)の中にもしっかりと色とディテールが残っているのが特徴です。
これは、暗部を真っ黒に潰すのではなく、少し明るく持ち上げ、さらに影の中にわずかに青み(寒色)を混ぜることで表現されます。これにより、コントラスト(明暗差)が高いにもかかわらず、全体として「柔らかく、優しい」印象を与えることができます。写真用語で言えば、「ダイナミックレンジが広い」状態を人工的に作り出す作業と言えます。
特徴③:入道雲を際立たせる「明瞭度」と「白レベル」
ジブリ風写真の主役とも言えるのが、夏空に湧き立つ巨大な「入道雲」です。アニメーションでは、雲の輪郭がはっきりと描かれ、その立体感が強調されています。写真でこれを再現するために重要なのが「明瞭度」や「テクスチャ」といった質感のコントロールです。
単に明るくするだけでは、雲のモクモクとした立体感が飛び、平面的になってしまいます。ハイライト(明るい部分)の階調を粘り強く残しつつ、雲の陰影を適度に強調することで、迫力のある空を表現します。また、「白レベル」を適切に設定することで、雲の最も明るい部分を突き抜けるような白さに仕上げ、夏の日差しの強さを視覚的に伝えます。
▼詳細解説:色相環で見るジブリ色の位置づけ(クリックで展開)
色相環(カラーホイール)を想像してください。
- 通常の青(Blue):色相240度付近。これを210度〜220度(シアン方向)へずらします。
- 通常の緑(Green):色相120度付近。これを80度〜100度(イエロー方向)へずらします。
このように、隣り合う色相へ意図的にシフトさせることで、現実離れしたファンタジー感を演出しつつ、色彩調和(ハーモニー)を保つことができます。この「色相の意図的なズレ」こそが、レタッチの肝となります。
加工前の「撮影」が8割!ジブリ感を高める被写体選びとカメラ設定
「Lightroomを使えばどんな写真でもジブリ風になりますか?」という質問をよく受けますが、答えは「No」です。レタッチはあくまで「素材の良さを引き出す料理」のようなもので、腐った食材を美味しくすることはできません。特にジブリ風写真の場合、「撮影段階で8割が決まる」と言っても過言ではありません。
無理に暗い写真や、曇天の写真を加工で鮮やかにしようとすると、ノイズが大量に発生し、画質が著しく劣化します。ここでは、レタッチの効果を最大化するための、撮影時のポイントとカメラ設定について解説します。
狙い目の被写体と構図(入道雲、田舎道、トンネル、電車)
ジブリ風写真を目指すなら、まずは「それっぽい被写体」を探すことから始めましょう。都会のビル群や無機質なコンクリートよりも、自然やノスタルジーを感じさせる要素が含まれている方が、圧倒的に雰囲気が出やすくなります。
| おすすめの被写体 | 撮影のポイント |
|---|---|
| 入道雲(積乱雲) | 画面の半分以上を空にする大胆な構図で。雲の頂上が切れないように注意し、スケール感を出す。 |
| 田舎道・あぜ道 | ローアングル(低い位置)から撮影し、道が奥へと続く奥行きを強調。手前の草花を前ボケに入れるとベスト。 |
| トンネル・ガード下 | 「向こう側の世界」を感じさせる構図。トンネルの出口の明るさと、手前の暗さの対比(明暗差)を利用する。 |
| 電車・線路・踏切 | 少し遠くから撮影し、風景の一部として車両を捉える。水平垂直をしっかり意識して撮るとアニメのカットのようになる。 |
| 自転車・バス停 | ポツンと置かれた自転車や、誰もいないバス停は物語性を生む最強のアイテム。余白を意識して配置する。 |
これらの被写体を見つけたら、スマホのカメラを構え、少ししゃがんだり、背伸びをしたりして、普段の目線(アイレベル)とは違うアングルを探してみてください。特にローアングルから空を広く入れた構図は、アニメのオープニングシーンのような開放感を演出できます。
iPhone・スマホカメラのおすすめ設定(HDR、露出補正)
最近のスマホカメラは非常に高性能ですが、オート撮影に任せきりにすると、ジブリ風加工には不向きな写真になることがあります。以下の設定を意識してください。
1. スマートHDR(または類似機能)をオンにする
空の明るさと地上の暗さの差が激しいシーンでも、白飛びや黒つぶれを防いで情報を記録してくれます。レタッチの耐性を高めるために必須です。
2. 露出補正を少し下げる(マイナス補正)
撮影画面をタップし、太陽マークのスライダーを少し下げて撮りましょう。スマホカメラは暗い部分を明るくしようとして、空を白飛びさせてしまいがちです。白飛びした(真っ白になった)空には、どんなに加工しても青色は戻りません。少し暗めに撮っておくのが、レタッチ前提の撮影の鉄則です。
3. グリッド線を表示する
設定メニューから「グリッド」をオンにします。地平線や建物のラインを水平・垂直に合わせるだけで、写真に安定感が生まれ、アニメの背景画のような整った印象になります。
撮影にベストな天気と時間帯(順光とサイド光の活用)
光の質は、写真の雰囲気を決定づけます。ジブリ風写真を撮るのにベストな天気は、間違いなく「晴天」です。特に、雨上がりの翌日など、空気が澄んでいて雲がはっきり見える日が最高です。
時間帯としては、正午〜午後3時くらいの太陽が高い時間帯が、青空と白い雲のコントラストが強く出るためおすすめです。夕暮れ時は「エモい」写真にはなりますが、空がオレンジ色に染まってしまうため、「青と緑のジブリ感」を出すのは難しくなります。
また、太陽を背にして撮る「順光」か、横から光が当たる「サイド光」を基本にしましょう。被写体の色が鮮やかに写り、空の青さも最も濃く出ます。
現役フォトグラファーのアドバイス
「あえて『逆光』で撮るのも、高度ですが魅力的なテクニックです。太陽を画面の中に入れたり、木の葉の間から木漏れ日として捉えたりすることで、フレア(光の輪)やゴーストが発生し、幻想的な雰囲気が増します。ただし、逆光時は被写体が真っ黒になりやすいので、撮影時に露出をロックするか、後でシャドウを大幅に持ち上げる覚悟が必要です。初心者のうちは順光で『色の正解』を掴んでから、逆光に挑戦すると良いでしょう」
【数値公開】Lightroomスマホ版で作るジブリ風レタッチ完全ガイド
それでは、いよいよ本記事の核心であるLightroom Mobile(無料版)を使ったレタッチ工程に入ります。ここからは、実際のアプリ画面を開きながら進めてください。
今回は、汎用性が高く、多くの写真に当てはまりやすい「基本のレシピ」を紹介します。写真の明るさや色味は一枚一枚異なるため、この数値を入力した後、微調整を行うのがプロのやり方ですが、まずはこの通りに入力して「世界が変わる瞬間」を体験してください。
ステップ1:【ライト】明るさとコントラストでベースを作る
まずは写真の基礎となる「明るさ」と「明暗のバランス」を整えます。目指すのは、明るく透明感がありつつも、白飛びや黒つぶれのないフラットな状態です。
Lightroomの下部メニューから「ライト」を選択し、以下の数値を目安に設定してください。
- 露光量: +0.20 〜 +0.50
(写真全体を明るくします。元写真が明るい場合は0のままでOK) - コントラスト: -10 〜 -20
(あえてコントラストを下げて、フィルムのような柔らかいベースを作ります) - ハイライト: -30 〜 -50
(空の雲の階調を取り戻すために大きく下げます) - シャドウ: +30 〜 +50
(影になった部分を明るく起こし、ディテールを見せます。これがジブリ風の重要ポイント) - 白レベル: +10 〜 +20
(画像の最も明るい部分を強調し、日差しの輝きを表現します) - 黒レベル: -10 〜 -20
(コントラストを下げてシャドウを上げた分、全体がぼんやりするのを防ぐために、黒を少し引き締めます)
この時点で、写真は少し眠たい(ぼんやりした)印象になるかもしれませんが、それで正解です。色は次のステップで乗せていきます。
ステップ2:【カラー】全体の色温度と色被り補正
次に、写真全体の色味の方向性を決めます。メニューの「カラー」を選択します。
- 色温度: +5 〜 +10
(少しだけ暖色(黄色)寄りに振ります。ノスタルジックな温かみを加えるためです) - 色かぶり補正: +5 〜 +10
(マゼンタ寄りに少し振ることで、緑色が蛍光色のように安っぽくなるのを防ぎます) - 自然な彩度: +20 〜 +40
(全体の鮮やかさを底上げします。「彩度」ではなく「自然な彩度」を使うことで、肌色がオレンジになりすぎるのを防げます) - 彩度: 0 〜 -10
(自然な彩度を上げた分、全体のバランスを見て少し引くこともあります)
ステップ3:【カラーミキサー(HSL)】青と緑を「ジブリ色」に変える魔法
ここが最重要ステップです。「カラー」メニュー内の右上にある虹色の丸いアイコン「ミキサー(またはカラーミキサー)」をタップしてください。ここでは色ごとに個別の調整(HSL:色相・彩度・輝度)を行います。
以下のレシピは、まさに「ジブリ風」を作るための魔法の数字です。
▼重要:各色の設定値レシピ(クリックで展開)
🔴 レッド・オレンジ(主に肌色・レンガ屋根など)
人物の肌を健康的に見せるための調整です。
- オレンジ・色相: 0 〜 +5(赤みに寄りすぎないように)
- オレンジ・彩度: -5 〜 -15(少し彩度を落とすと、肌が白く綺麗に見えます)
- オレンジ・輝度: +10 〜 +20(肌を明るく飛ばします)
🟡 イエロー・グリーン(植物・草木)
ここがジブリ風の肝となる「新緑感」の演出です。
- イエロー・色相: -100(左に振り切り、オレンジ寄りに変えます。枯草のような色を排除します)
- イエロー・彩度: +20 〜 +40(鮮やかさを足します)
- イエロー・輝度: +10 〜 +20
- グリーン・色相: -30 〜 -50(左へ動かし、黄色寄りの緑にします。これがアニメのような緑の秘訣です)
- グリーン・彩度: +20 〜 +40(しっかりと色を乗せます)
- グリーン・輝度: +20 〜 +40(明るく発光するような緑にします)
🔵 ブルー・アクア(空・水)
爽やかな夏の空を作ります。
- アクア(水色)・色相: -20 〜 -40(緑寄りの青へ)
- アクア・彩度: +10 〜 +20
- ブルー・色相: -20 〜 -30(シアン寄りの水色へシフトさせます)
- ブルー・彩度: +10 〜 +30(空の青さを強調します)
- ブルー・輝度: -10 〜 -30(空の色を濃く、深くするために輝度を下げます。ここを下げると空の青さがグッと締まります)
このHSL調整を終えると、写真が一気にイラストのような色彩に変化したはずです。特に「グリーンの色相をマイナス(黄色寄り)」に、「ブルーの色相をマイナス(シアン寄り)」にする操作が、あの独特の世界観を生み出しています。
ステップ4:【効果】粒子と明瞭度でアニメのような質感を足す
最後に、写真としてのリアリティを少し消し、絵画的な質感をプラスします。メニューの「効果」を選択します。
- テクスチャ: -10 〜 -20
(細かな凹凸を滑らかにし、イラストのような平面的な美しさを出します) - 明瞭度: +10 〜 +20
(雲や建物の輪郭をくっきりさせます。テクスチャを下げた分、ここで輪郭を引き締めるのがコツです) - かすみの除去: +10 〜 +20
(空の青さをクリアにし、遠くの景色をはっきりさせます。上げすぎると色が濃くなりすぎるので注意) - 粒子: +20 〜 +30
(あえてフィルムのようなザラつき(ノイズ)を足します。これにより、デジタル写真特有の冷たさが消え、懐かしい雰囲気が出ます)
現役フォトグラファーのアドバイス
「『明瞭度』と『かすみの除去』は劇薬です。上げると一見綺麗に見えますが、やりすぎると写真がガビガビになり、不自然な『加工しました感』が強くなってしまいます。スマホの小さな画面だけでなく、拡大して細部を確認し、画質が崩れていないかチェックする癖をつけましょう。私の経験上、+30を超えると危険信号です」
プロが教える「失敗しない」ための微調整テクニック
上記のレシピは強力ですが、万能ではありません。写真によっては、「人の肌がゾンビのように緑色になってしまった」「空が真っ白で青色が出ない」といったトラブルが起こります。ここでは、プロが現場で行っているリカバリー(修正)テクニックを伝授します。
人物の肌色が緑っぽくなってしまう時の対処法(マスキング活用)
植物の緑を鮮やかにするためにグリーンの彩度を上げると、光の反射などで人物の肌にも緑色が乗ってしまうことがあります。これを防ぐには、Lightroomの「マスク機能」(一部の機能は有料版のみですが、無料版でもカラーミキサーの再調整で対処可能)を使います。
無料版での対処法としては、カラーミキサーの「オレンジ」の調整を見直します。オレンジの色相をマイナス(赤寄り)に少し戻し、輝度を上げることで、緑かぶりを目立たなくさせることができます。また、「カラーグレーディング」機能で、ハイライトにわずかに暖色(オレンジ)を足すことで、健康的な肌色を取り戻せます。
空が白飛びして青が出ない時の救済措置(かすみの除去)
撮影時に空が白く飛んでしまっている場合、HSLで青の彩度を上げても色は乗りません。この場合、諦める前に試してほしいのが「かすみの除去」の大胆な活用です。
「効果」メニューの「かすみの除去」を+40〜+50くらいまで上げてみてください。隠れていた空の青みがうっすらと復活することがあります。その後、露光量を下げて全体を暗くすると、空の色が戻ってくる場合があります。それでも真っ白な場合は、残念ながらその写真は「空を白として見せる」ハイキーな写真として仕上げるのが正解です。
写真全体が眠たい(ぼんやりする)時の引き締め方
ジブリ風を目指してコントラストを下げすぎると、全体がグレーっぽく、インパクトのない写真になりがちです。これを解消するには、「トーンカーブ」(ライトメニュー内)を使いますが、難しければ「黒レベル」をさらに下げてください。
画像の最も暗い部分(影の芯)だけをギュッと引き締めることで、明るい部分は柔らかいまま、写真全体に「締まり」が出ます。「柔らかいのに、ボケていない」プロの仕上がりは、この黒レベルの微調整で作られています。
現役レタッチャーのアドバイス
「プリセットやレシピを適用した後は、必ず一度スマホの画面輝度を最大にして確認してください。暗い画面で編集していると、実際よりも写真を明るくしすぎてしまい、SNSに投稿した時に『白飛びした眩しい写真』になってしまう失敗がよくあります。適正な明るさでのチェックは、色調整と同じくらい重要です」
手軽さ重視!ワンタップで変換できるAIアプリ・フィルター3選
「Lightroomの設定はやっぱり難しそう」「もっと手軽に、イラストそのもののように加工したい」という方には、AI技術を使った加工アプリがおすすめです。最近のAIは非常に優秀で、ワンタップで驚くようなクオリティを出してくれます。
BeautyPlus / SNOW:顔認識スタンプで手軽にアニメ化
自撮りアプリとして有名なこれらのアプリには、「漫画化」「アニメスタイル」といったフィルター機能が搭載されています。人物の顔を認識して、目を大きくしたり肌をイラスト調にしたりと、被写体に特化した加工が得意です。風景よりも、人物メインの写真でジブリ風を楽しみたい場合に最適です。
AIイラスト生成系アプリ:風景を完全にイラスト調に変換
「Meitu」や「EPIK」などの写真編集アプリにある「AIイラスト」機能を使うと、写真を解析して完全に新しいイラストとして描き直してくれます。これはレタッチ(色調整)の域を超えていますが、「絵のような世界観」を求めるなら最も近道です。ただし、元の写真とは細部が変わってしまう(例:看板の文字が謎の記号になる)ことがあるので、あくまでファンタジーとして楽しむのがコツです。
VSCO / Instagram:おすすめの類似フィルター設定
過度な加工を避けたい場合は、フィルターアプリの老舗「VSCO」やInstagram純正フィルターも侮れません。
| アプリ | おすすめフィルター・設定 | 特徴 |
|---|---|---|
| VSCO | プリセット C1 または F2 | C1は鮮やかな色彩でアニメ調に最適。F2は少し色が褪せたような、古いフィルム映画のような風合いになります。 |
| Lark または Juno | Larkは青と緑を強調し、赤みを抑えるため、風景写真との相性が抜群。編集画面で適用量を50-70%に落とすと自然です。 |
ジブリ風写真に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、ジブリ風写真の加工について、SNSや講座でよく聞かれる質問にお答えします。
Q. 無料版のLightroomアプリでも同じように加工できますか?
A. はい、可能です。
今回解説した「ライト」「カラー(HSL含む)」「効果」の機能は、すべて無料版のLightroom Mobileで使用できます。「部分補正」や「修復ブラシ」など一部の高度な機能は有料ですが、色味を変えてジブリ風にするだけであれば、無料版で全く問題ありません。
Q. 夜景や室内の写真でもジブリ風にできますか?
A. 難しいですが、工夫次第で可能です。
ジブリ風写真の定義が「青い空と緑の植物」にあるため、それらが存在しない夜景や室内では再現が難しくなります。しかし、「千と千尋の神隠し」のような世界観を目指すなら、色温度を下げて(青くして)提灯などの暖色を強調したり、「借りぐらしのアリエッティ」のように植物を前ボケに使ったりすることで、ジブリ的な雰囲気を演出することは可能です。
現役フォトグラファーのアドバイス
「ジブリ風加工が最もハマるのは、やはり『自然光が入る屋外の写真』です。蛍光灯の下で撮った写真や、真っ暗な夜の写真は、無理に加工するとノイズが目立ちます。まずは晴れた日の公園や河川敷の写真で練習し、感覚を掴んでから応用編にチャレンジすることをおすすめします」
Q. 作った設定を保存して他の写真にも使い回せますか?
A. はい、「プリセット」として保存できます。
納得のいく加工ができたら、Lightroomのメニュー右上にある「…」アイコン(またはプリセットタブ)から「プリセットを作成」を選んでください。名前(例:Ghibli_Summer)をつけて保存すれば、次回からはワンタップで同じ設定を他の写真に適用できます。これをベースに微調整すれば、作業時間が大幅に短縮されます。
まとめ:日常の風景を物語に変えるレタッチを楽しもう
ここまで、ジブリ風写真を作るための理論、撮影法、そしてLightroomの具体的なレシピまでを解説してきました。最後に重要なポイントをチェックリストとしてまとめます。
- 撮影:晴れた日の順光で、少し暗め(露出マイナス)に撮る。
- 構図:空と植物を大胆に入れ、ローアングルで物語性を出す。
- 色彩:空はシアン寄り、緑はイエロー寄りにシフトさせる(HSL)。
- 光:コントラストを下げつつ、シャドウを明るく持ち上げる。
- 質感:明瞭度で雲を強調し、粒子でフィルム感を足す。
写真は、単なる記録ではありません。あなたの記憶の中にある「あの夏の匂い」や「風の音」を、色と光を使って表現するクリエイティブな行為です。今回紹介したレシピはあくまで出発点です。ここから数値を自分好みにアレンジして、あなただけの「世界観」を見つけてください。
現役フォトグラファーのアドバイス
「最初は数値を真似するだけで精一杯かもしれません。でも、何枚も加工していくうちに『私はもう少し空が青い方が好きだな』『もっと影が濃い方がドラマチックだな』という自分の好みが見えてきます。それこそが、あなただけの作家性です。失敗を恐れず、たくさん撮って、たくさん加工して、日常を物語に変える魔法を楽しんでください」
さあ、今すぐカメラロールを開いて、お気に入りの一枚を編集してみましょう。きっと、見慣れた景色が特別なワンシーンに変わるはずです。
コメント