「最近、以前と比べて疲れが抜けにくくなった」「肌の衰えや健康診断の数値が悪化してきた」
もしあなたが40代以降でこのような不調を感じているなら、それは単なる「年のせい」ではありません。体内で24時間365日、細胞をサビつかせ続けている「活性酸素」と、それを無毒化する防御システムである「SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)」のバランスが崩壊し始めている証拠です。
SODは、私たちの体内で作られる「最強の抗酸化酵素」であり、老化や病気を防ぐための最重要防衛ラインです。しかし、残酷な現実は、このSODの合成能力が40代を境に急激に低下することです。多くの人がこの事実に焦り、「SOD配合」と書かれた酵素サプリメントやドリンクに手を出しますが、医学的な視点から言えば、その多くは期待通りの効果を発揮しません。
なぜなら、酵素はタンパク質であり、そのまま摂取しても消化過程で分解されてしまうからです。では、私たちはなす術もなく老化を受け入れるしかないのでしょうか? 答えは「No」です。
この記事では、長年酸化ストレス研究と臨床に携わってきた専門医の立場から、以下の3点を中心に、科学的根拠に基づいた「SOD活性を高める正解」を解説します。
- 老化の根本原因である「活性酸素」を無毒化するSODの精緻なメカニズム
- 市販の「食べるSOD」が効かない理由と、消化吸収に関する医学的事実
- 専門医も実践している、体内の抗酸化力を最大化するための食事と生活習慣
巷に溢れる商業的な宣伝文句ではなく、生化学的なメカニズムに基づいた「真実」を知ることで、あなたの体は細胞レベルから若々しさを取り戻すことができます。10年後も錆びない体を作るための、具体的な戦略を一緒に見ていきましょう。
老化を食い止める体内酵素「SOD」の基礎知識とメカニズム
私たちが呼吸をして酸素を取り入れる限り、老化の原因となる「活性酸素」の発生は避けられません。しかし、人体には元来、この毒性の高い活性酸素を瞬時に無毒化する極めて優秀なシステムが備わっています。その主役こそが、SOD(Superoxide Dismutase:スーパーオキシドディスムターゼ)です。
このセクションでは、なぜSODが「最強の酵素」と呼ばれるのか、その化学的な働きと、加齢によって私たちの体内で何が起きているのかを、理系的な視点で深く掘り下げて解説します。
そもそもSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)とは?
SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)は、その名の通り「スーパーオキシド(Superoxide)」という活性酸素種を、「不均化(Dismutation)」して消去する酵素のことです。私たちの細胞内、特にエネルギー工場であるミトコンドリアでは、酸素を使ってATP(エネルギー)を産生する過程で、副産物としてどうしても活性酸素が発生してしまいます。
最初に発生するのが「スーパーオキシドアニオン(O2-)」という活性酸素です。これは他の物質を酸化させる力が強く、放置すれば細胞膜やDNAを傷つけ始めます。SODは、このスーパーオキシドを見つけると瞬時に反応し、毒性の低い「過酸化水素(H2O2)」と「酸素(O2)」に変換します。
詳細解説:活性酸素の発生とSODによる分解フロー(クリックして展開)
体内の抗酸化システムは、以下のようなリレー形式で活性酸素を無害化しています。
- 発生段階:
呼吸で取り込んだ酸素の約1〜2%が、ミトコンドリアでの電子伝達系エラーなどにより、電子を過剰に受け取り「スーパーオキシドアニオン(O2-)」に変化します。これが活性酸素の「元凶」です。 - 第一段階の防御(SODの出番):
ここにSODが介入し、以下の化学反応を触媒します。
2O2- + 2H+ → H2O2(過酸化水素) + O2
この反応速度は極めて速く、SODが存在する限り、スーパーオキシドは瞬時に過酸化水素へ変換されます。 - 第二段階の防御(カタラーゼ・グルタチオンペルオキシダーゼ):
生成された過酸化水素(H2O2)もまだ活性酸素の一種です。これをさらに「カタラーゼ」や「グルタチオンペルオキシダーゼ」という別の酵素が分解します。
2H2O2 → 2H2O(水) + O2
最終的に、無害な「水」となって体外へ排出されます。
つまり、SODは抗酸化酵素リレーの「第一走者」であり、ここで処理に失敗すると、より毒性の強い「ヒドロキシラジカル」などが発生し、細胞に甚大な被害を与えることになるのです。
SODには活性中心となるミネラルの違いによって、主に3つの種類が存在します。
- Cu/Zn-SOD(銅・亜鉛SOD): 細胞質(細胞の中の液体部分)に多く存在し、細胞全体を守っています。
- Mn-SOD(マンガンSOD): ミトコンドリア内部に存在し、活性酸素の発生源で直接防御を行う極めて重要なSODです。
- EC-SOD(細胞外SOD): 血液やリンパ液など、細胞の外側に存在し、全身を巡りながら酸化を防ぎます。
これらが適材適所で働くことで、私たちの体は酸化から守られているのです。
40代から急降下!加齢とともに訪れる「酸化の崖」
若い頃は、多少の無理をしても一晩寝れば回復していました。これは、体内のSOD合成能力が十分に高く、発生した活性酸素を寝ている間に処理しきれていたからです。しかし、このSODの合成能力は、年齢とともに低下することが分かっています。
研究データによると、体内のSOD活性(酵素が働く力)は20代をピークに徐々に低下し始めますが、40代を迎えると「崖」を転げ落ちるように急激に減少します。
具体的には、40代以降のSOD産生能力はピーク時の半分以下になるとも言われています。一方で、年齢を重ねるとミトコンドリアの機能も低下し、エネルギー生産の効率が悪くなるため、活性酸素の発生量自体はむしろ増加する傾向にあります。
- 防御力(SOD)の低下
- 攻撃力(活性酸素)の増加
この2つが同時に起こるのが40代以降の体です。処理しきれなくなった活性酸素は体内に溢れ出し、細胞を次々と酸化させていきます。これが、いわゆる「老化」の正体であり、中年以降に急に疲労感や肌の衰え、生活習慣病のリスクが増大する生化学的な背景なのです。
SODが不足するとどうなる?(シミ・疲労・疾患リスク)
SODによる防御壁が突破され、酸化ストレスが慢性化すると、体にはどのような影響が出るのでしょうか。これは単なる美容の問題にとどまらず、生命維持に関わる深刻なダメージへと繋がります。
1. 細胞膜の酸化と機能不全(疲労・代謝低下)
細胞膜は脂質でできています。活性酸素によって細胞膜が酸化すると「過酸化脂質」に変化し、細胞への栄養の取り込みや老廃物の排出がスムーズに行かなくなります。その結果、細胞全体の代謝が落ち、慢性的な疲労感やだるさが発生します。
2. DNAの損傷と発がんリスク
細胞の核にあるDNAが酸化ダメージを受けると、遺伝情報のコピーミスが起こりやすくなります。通常は修復酵素が直してくれますが、ダメージが多すぎると修復が追いつかず、細胞ががん化するリスクが高まります。
3. 血管の老化と動脈硬化
血液中のLDLコレステロールが活性酸素によって酸化されると「酸化LDL」となり、血管壁に付着してプラークを形成します。これが動脈硬化の始まりであり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中の引き金となります。
4. 肌の老化(シミ・シワ)
皮膚細胞が酸化すると、コラーゲンを破壊する酵素が活性化してシワができたり、メラニン色素の生成が過剰になってシミが定着したりします。肌の曲がり角は、実はSOD不足のサインでもあるのです。
抗酸化療法専門医のアドバイス
「私の診察室には、『とにかく疲れが取れない』『急に老け込んだ気がする』と訴える患者さんが多くいらっしゃいます。血液検査でd-ROMs(酸化ストレス度)とBAP(抗酸化力)を測定すると、ほぼ例外なく、酸化ストレス値が基準値を大きく超え、逆に抗酸化力が低下している状態、つまり『酸化の崖』から落ちている状態が見受けられます。特に、仕事が忙しくストレスが多い方、睡眠不足の方、加工食品中心の食生活の方は、実年齢以上にSODの消耗が激しいのが特徴です。自覚症状が出たときには、すでに細胞レベルでの酸化がかなり進行していると考えたほうが良いでしょう。」
【重要】「SOD酵素配合」は意味がない?サプリメントの誤解と真実
「SODが足りないなら、SODを飲めばいい」
そう考えて、インターネットで「SODサプリ」や「酵素ドリンク」を検索する方は非常に多いです。市場には「SOD配合」「生酵素」などを謳う商品が溢れています。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
ペルソナであるあなたが最も知りたいであろう疑問、「経口摂取で本当に効果があるのか?」について、専門医として不都合な真実を含めて回答します。結論から言えば、「SODそのものを口から摂取しても、体内のSODとしては働かない」というのが医学的な常識です。
「酵素はタンパク質」という壁:胃酸で分解されるメカニズム
酵素栄養学の一部では「酵素を食べることで体内の酵素不足を補う」と説明されることがありますが、現代の生化学・栄養学の観点からは、この理論には大きな無理があります。
SODを含むすべての酵素は、物質としては「タンパク質」で構成されています。私たちが肉や魚(タンパク質)を食べるとどうなるでしょうか? 胃に入った段階で強力な胃酸と消化酵素(ペプシンなど)によって変性・切断され、小腸に届く頃にはバラバラの「アミノ酸」や「ペプチド」に分解されます。
SODも例外ではありません。「SOD酵素」としてサプリメントを飲んだとしても、胃の中でその立体構造は破壊され、ただのアミノ酸混合物として吸収されます。一度バラバラになったアミノ酸が、体内で再び勝手に「SOD」という特定の形に再構築されることはありません。
つまり、「SOD配合」と書かれたサプリメントを飲むことは、高価な肉を食べるのと栄養学的には大差がない可能性が高いのです。これが、多くの医師や科学者が安易な酵素サプリメントに懐疑的な最大の理由です。
それでも効果がある商品は何が違う?「低分子化」と「コーティング」
では、すべてのSOD関連製品が詐欺なのかというと、必ずしもそうではありません。科学的なアプローチで「消化の壁」を乗り越えようとする技術も存在します。
1. 腸溶性コーティング技術
胃酸で溶けず、腸まで届いてから溶ける特殊なカプセルやコーティング技術を用いた製品です。これにより、酵素が胃酸で失活するのを防ぎ、小腸まで届けることが理論上は可能です。しかし、小腸内にも強力なタンパク質分解酵素(トリプシンなど)が存在するため、分子量の大きなSOD(約32,000ダルトン)がそのままの形で腸壁を通過し、血中に取り込まれるかどうかについては、まだ議論の余地があります。
2. 低分子化と発酵処理
SODそのものではなく、植物や穀物を特殊な菌で発酵させ、SODに似た働きをする低分子の抗酸化物質を抽出した製品です。これらは分子量が小さいため、消化酵素の影響を受けにくく、腸から吸収されやすいという利点があります。厳密には「酵素(タンパク質)」ではありませんが、体内で抗酸化作用を発揮するという点では理にかなっています。
3. グリアディン包摂(メロンSODなど)
特定のメロンから抽出したSODを、小麦タンパク質のグリアディンでコーティングし、消化管での分解から守る技術です。一部の研究では、経口摂取でも抗酸化マーカーの改善が見られたというデータが存在します。これは、腸の免疫系を介して間接的に体内の抗酸化力を高めている可能性が示唆されています。
重要なのは「SODそのもの」より「SOD様作用」
ここで視点を変える必要があります。「SODという物質」を補充することに固執するのではなく、「体内でSODと同じ働き(活性酸素の除去)をしてくれる物質」を取り入れる、あるいは「自分の細胞がSODを作る能力を高める」ことが、現実的かつ科学的に正しいアプローチです。
これを「SOD様作用(エスオーディーようさよう)」と呼びます。
ポリフェノール、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンEなどの低分子抗酸化物質は、消化されずに血液中に吸収され、SODの代わりに活性酸素を消去してくれます(スカベンジャー機能)。また、特定の栄養素は、遺伝子に働きかけて細胞内のSOD合成スイッチをONにします。
「SOD酵素を食べる」のではなく、「SOD様作用のある食品を摂る」こと、そして「自前のSODを作れる体にする」こと。これが、40代以降の抗酸化戦略の核心です。
抗酸化療法専門医のアドバイス
「高い酵素ドリンクを何ヶ月も飲み続けているのに、全く体調が変わらないという患者さんの共通点は、『飲めば酵素が増える』と単純に信じていることです。残念ながら、人体はそこまで単純ではありません。酵素ドリンクの成分表示を見てください。大半は糖分(ブドウ糖果糖液糖など)です。これでは逆に血糖値を上げ、糖化ストレスによる老化を促進しかねません。賢い患者さんは、酵素そのものではなく、酵素を助ける『補酵素』や、酵素の働きを模倣する『低分子抗酸化物質』に投資しています。消化のメカニズムを無視した商品に惑わされないでください。」
専門医が教える!体内のSOD活性を極限まで高める3つのアプローチ
「食べるSOD」に限界があるならば、私たちは具体的に何をすれば良いのでしょうか? ここからは、私が普段の診療や自身の健康管理でも実践している、科学的根拠に基づいた3つのアプローチを紹介します。
これらは、外部から酵素を足すのではなく、あなたの細胞が本来持っている「抗酸化システム」を再起動させ、最大化するための手法です。
アプローチ1:SODの「材料」となるミネラル(亜鉛・銅・マンガン)を摂る
SODはタンパク質だけでできているわけではありません。その活性中心(エンジンのような部分)には、必ず特定の「ミネラル」が結合しています。ミネラルが不足していると、いくらタンパク質があってもSODは完成せず、機能しない「アポ酵素」という抜け殻の状態になってしまいます。
日本人の食生活で特に不足しがちなのが、SODの核となる以下の3つのミネラルです。
| ミネラル | 対応するSOD | 多く含む食材と摂取のポイント |
|---|---|---|
| 亜鉛 (Zn) | Cu/Zn-SOD (細胞質) |
牡蠣、牛肉(赤身)、レバー、カシューナッツ 構造維持に必須。加工食品の添加物(ポリリン酸など)は亜鉛の吸収を阻害するため、コンビニ食が多い人は要注意。 |
| 銅 (Cu) | Cu/Zn-SOD (細胞質) |
イカ、タコ、エビ、ココア、レバー 亜鉛とのバランスが重要(亜鉛10:銅1程度が理想)。通常の食事で極端に不足することは少ないが、サプリでの亜鉛過剰摂取による銅欠乏に注意。 |
| マンガン (Mn) | Mn-SOD (ミトコンドリア) |
玄米、大豆製品、生姜、ナッツ類、緑茶 ミトコンドリアを守る要。精製された白米やパンばかり食べていると不足しやすい。全粒穀物への切り替えが有効。 |
特に亜鉛は、細胞の代謝や免疫機能にも関わる超重要ミネラルですが、ストレスやアルコール摂取で大量に消費されてしまいます。40代の男性が意識して摂るべきは、まず「亜鉛」です。
アプローチ2:「第7の栄養素」ファイトケミカルでスカベンジャー機能を補う
加齢によりSOD自体の生産量が減る分は、外部からの援軍で補う必要があります。そこで活躍するのが、植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出す色素や香り成分「ファイトケミカル」です。
これらは分子量が小さいため腸から吸収されやすく、血液に乗って全身を巡り、SODの代わりに活性酸素を直接消去(スカベンジ)してくれます。いわば「SODの代理人」です。
- ポリフェノール類: 赤ワイン(レスベラトロール)、緑茶(カテキン)、カカオ、ベリー類(アントシアニン)。
- カロテノイド類: トマト(リコピン)、人参(β-カロテン)、鮭・エビ(アスタキサンチン)。
- イオウ化合物: ニンニク、玉ねぎ、キャベツなどのアブラナ科野菜。これらは体内の解毒酵素のスイッチを入れる働きもあります。
ポイントは「色」です。食卓が茶色一色になっていませんか? 赤、黄、緑、紫、黒など、カラフルな食材を毎食取り入れることが、最も強力な抗酸化対策になります。
アプローチ3:過剰な活性酸素を生まない「ミトコンドリアケア」
防御力を高めるのと同時に、攻撃側(活性酸素の発生量)を減らすことも重要です。活性酸素の90%以上は、ミトコンドリアがエネルギーを作る際に発生します。
ミトコンドリアに過度な負担をかける行為、それが「過食(カロリーオーバー)」です。必要以上の燃料(糖や脂質)がミトコンドリアに送り込まれると、処理しきれずに電子が漏れ出し、大量の活性酸素が発生します。これを「ミトコンドリアの空焚き」状態と呼びます。
- 腹八分目を守る: 摂取カロリーを適正に保つだけで、活性酸素の発生は劇的に減ります。
- 適度な運動: 激しすぎる運動は逆に活性酸素を増やしますが、ウォーキングなどの有酸素運動は抗酸化酵素の活性を高めます。
- 質の高い睡眠: メラトニンという睡眠ホルモンには強力な抗酸化作用があります。睡眠不足は防御システムを停止させる行為です。
抗酸化療法専門医のアドバイス
「私が40代で自身の体調不良を克服した際、最初に行ったのはサプリメントを飲むことではなく、主食を白米から『玄米・雑穀米』に変えることでした。これによりマンガンや亜鉛などのミネラル摂取量が自然と増え、さらに抗酸化力の高い野菜を毎食『手のひら一杯分』追加しました。そして何より、夜遅くのドカ食いをやめました。これだけで、3ヶ月後の血液データは見違えるほど改善しました。高価な特別なことは必要ありません。まずは『材料を入れる』ことと『工場(ミトコンドリア)を酷使しない』こと。この基本が最強の治療法です。」
科学的に正しい「SOD様作用食品」おすすめリストと摂取のコツ
ここでは、スーパーやドラッグストアで手に入りやすく、かつ科学的に高い「SOD様作用(抗酸化作用)」が認められている食品を具体的に紹介します。日々の食事や飲み物の選択を少し変えるだけで、抗酸化力は積み上がっていきます。
ルイボスティー:フラボノイドの力で活性酸素を除去
ルイボスティーは、南アフリカ原産のマメ科植物から作られるお茶です。このお茶の最大の特徴は、SOD様作用を持つフラボノイド(アスパラチンなど)を豊富に含んでいることです。
研究において、ルイボスティーの抽出液がスーパーオキシドを消去する活性を持つことが確認されています。カフェインを含まないため、就寝前でも飲めるのが大きなメリットです。水を飲む代わりにルイボスティーを常飲することで、常に体内に抗酸化物質を巡らせておくことができます。
麹・味噌などの発酵食品:低分子化された抗酸化物質の宝庫
日本の伝統的な発酵食品は、抗酸化の切り札です。麹菌(アスペルギルス・オリゼ)などの微生物は、発酵の過程で素材を分解し、新たな抗酸化物質を作り出します。
- 味噌: 大豆のイソフラボンが発酵によりアグリコン型という吸収されやすい形に変化し、さらにメラノイジンという強力な抗酸化物質が生成されます。熟成期間の長い(色の濃い)味噌ほど抗酸化力が高い傾向があります。
- 納豆: ポリアミンなどの成分が細胞の若返りをサポートします。
- 甘酒: 「飲む点滴」と呼ばれますが、コウジ酸やフェルラ酸などの抗酸化成分が豊富です。
胚芽・種子類:自然界の防御システムを取り入れる
植物の種(たね)は、次世代の生命を守るために、酸化を防ぐ成分を凝縮して持っています。
- ゴマ: ゴマリグナン(セサミンなど)は、肝臓で発生する活性酸素を除去する稀有な成分です。すりごまにして吸収率を高めて摂りましょう。
- アーモンド: 「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンEが圧倒的に豊富です。ビタミンEは細胞膜に入り込み、脂質の酸化を食い止めます。
- ブロッコリースプラウト: 種から発芽したばかりの新芽には、成長した野菜の何倍ものスルフォラファンが含まれています。これは体内の解毒酵素・抗酸化酵素の生成を強力に誘導します。
効率的な摂取タイミングと組み合わせ(ビタミンC・Eとの相乗効果)
抗酸化物質は単独で摂るよりも、組み合わせることで効果が倍増します。これを「抗酸化ネットワーク」と呼びます。
例えば、ビタミンEは活性酸素を消去すると自らが酸化して力を失いますが、そこにビタミンCがあると、酸化したビタミンEを還元して元の姿に戻してくれます。さらにコエンザイムQ10やα-リポ酸もこのネットワークに参加します。
おすすめの組み合わせ例:
- アーモンド(ビタミンE) × イチゴやキウイ(ビタミンC)
- 緑黄色野菜のサラダ(ビタミンC・カロテノイド) × オリーブオイル(ビタミンE・ポリフェノール)
脂溶性の抗酸化物質(カロテノイド、ビタミンE)は油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。サラダにはノンオイルドレッシングではなく、良質なオイルをかけるのが正解です。
SODと抗酸化に関するよくある質問に専門医が回答
最後に、診療現場などで患者さんから頻繁に寄せられるSODや抗酸化に関する質問に、Q&A形式でお答えします。
Q. 自分の体内のSOD能力(抗酸化力)は測定できますか?
A. はい、専門の医療機関で測定可能です。
一般的な健康診断の項目にはありませんが、抗酸化療法を行っているクリニックや一部の人間ドックでは、「酸化ストレス検査」を受けることができます。
抗酸化療法専門医のアドバイス
「代表的な検査に『d-ROMsテスト(酸化ストレス度)』と『BAPテスト(抗酸化力)』があります。少量の血液採取で済み、自分の体がどれくらいサビているか、そしてサビを防ぐ力がどれくらい残っているかが数値でわかります。私が診ている患者さんには、まずこの検査を受けてもらい、自分の現在地を知ることから治療をスタートします。客観的な数値を見ることで、生活習慣改善のモチベーションが劇的に変わりますよ。」
Q. SODクリームなどの化粧品は肌に効果がありますか?
A. 一定の効果は期待できますが、浸透力に課題があります。
SODを配合したクリームは、紫外線によって皮膚表面で発生した活性酸素を除去し、炎症を抑える効果が期待できます。しかし、SODは分子量が大きいため、塗るだけでは肌の奥(真皮層)までは浸透しにくいのが現実です。最近では、ナノカプセル化したり、誘導体にして浸透性を高めたりした製品も開発されています。あくまで「表面の保護」として活用し、根本的な肌の酸化対策は、やはり食事による内側からのケアが主軸になります。
Q. 活性酸素は全て悪者なのですか?(免疫機能との関係)
A. いいえ、活性酸素にも重要な役割があります。
活性酸素を「完全な悪」としてゼロにしようとするのは間違いです。実は、白血球などの免疫細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスを殺すための武器として、あえて活性酸素(スーパーオキシドなど)を使っています。また、細胞間の情報伝達(シグナル伝達)にも活性酸素が使われています。
問題なのは、活性酸素が「過剰」になり、制御不能になることです。必要な分は残しつつ、溢れ出た余剰分だけをSODなどの抗酸化システムが処理する、この「バランス」こそが健康の鍵なのです。
まとめ:SODを味方につけて「老いない体」を作る
ここまで、SODのメカニズムから、サプリメントの真実、そして今日から実践できる解決策までを解説してきました。
40代以降、私たちの体からSODが減っていくのは自然の摂理です。しかし、それを放置して「酸化の崖」を転がり落ちるか、科学的な知識を持って食い止めるかは、あなたの選択次第です。
重要なポイントをもう一度整理しましょう。
- SODそのものは消化される:「酵素配合」という言葉に踊らされず、その仕組みを理解する。
- 材料を補給する:SODを作るためのミネラル(亜鉛・銅・マンガン)を意識的に摂る。
- 援軍を送る:ファイトケミカル(野菜・お茶・発酵食品)でSODの働きを肩代わりさせる。
- 敵を増やさない:腹八分目と良質な睡眠で、ミトコンドリアからの活性酸素漏れを防ぐ。
最後に、体内の抗酸化力を高めるための習慣チェックリストを用意しました。まずはこの中から、今日できることを1つ選んで始めてみてください。
体内の抗酸化力を高める習慣チェックリスト
- 主食を精製されていないもの(玄米・雑穀米・全粒粉パン)に変える
- 1日1回、色の濃い野菜や果物を「手のひら一杯分」食べる
- コーヒーやジュースの代わりに、ルイボスティーや緑茶を選ぶ
- 納豆、味噌汁などの発酵食品を1日1品取り入れる
- おやつにはスナック菓子ではなく、素焼きアーモンドやカシューナッツを食べる
- 夕食は寝る3時間前までに済ませ、腹八分目を心がける
- 亜鉛を多く含む食材(牡蠣、赤身肉)を意識してメニューに加える
酸化対策は、一発逆転の魔法ではありません。日々の小さな「抗酸化」の積み重ねが、5年後、10年後のあなたの活力と若々しさを決定づけます。ぜひ今日から、SODを味方につける生活をスタートさせてください。
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