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【皮膚科医解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方|顔への使用や市販薬との違いも徹底検証

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「SNSで『究極のアンチエイジングクリーム』と話題になっていたから使ってみたい」
「乾燥肌がひどいけれど、病院に行く時間がないから市販薬で代用できないか」

診察室で患者さんとお話ししていると、このような声を耳にすることが年々増えています。しかし、結論から申し上げますと、ヒルドイドは美容クリームではなく、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などを治療するための「医療用医薬品」です。自己判断での美容目的使用は、予期せぬ副作用のリスクや、日本の医療保険制度を圧迫する深刻な問題を含んでいます。

この記事では、臨床経験20年の現役皮膚科専門医である筆者が、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の真の効果と、インターネット上で飛び交う噂の真偽について、医学的根拠に基づき徹底的に解説します。

この記事でわかること

  • 現役医師が教えるヒルドイドの正しい効果と3つの薬理作用
  • 「顔に塗るとニキビが増える?」副作用の真実と使用上の注意点
  • 病院に行くべきか迷う人へ:保険適用の明確な基準と市販薬(OTC)の賢い選び方

正しい知識を身につけ、あなたの肌にとってベストな選択ができるようになりましょう。

  1. ヒルドイド(ヘパリン類似物質)とは?医療現場で使われる3つの効果
    1. 作用1:高い「保湿」効果で肌のバリア機能を修復
    2. 作用2:「血行促進」効果でしもやけやあざを改善
    3. 作用3:「抗炎症」作用で荒れた肌を鎮める
    4. クリーム・ローション・泡・軟膏…剤形による使い分け
  2. 顔に塗っても大丈夫?ヒルドイドの副作用と使用上の注意点
    1. 「顔に塗るとニキビができる」説の医学的根拠
    2. 赤み・痒みが出たら?主な副作用と対処法
    3. 目や傷口は避けるべき?塗ってはいけない部位と禁忌
    4. 効果を最大化する「塗るタイミング」と「適量(1FTU)」
  3. 美容目的はNG!保険適用になる症状と病院受診の判断基準
    1. なぜ「美容目的」での処方が問題視されているのか
    2. 保険適用となる主な疾患(アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏症など)
    3. 「ただの乾燥肌」で皮膚科に行ってもいい?受診すべき目安
  4. 処方薬と同じ成分?ヒルドイド代用としての「市販薬(OTC)」活用ガイド
    1. 処方薬と市販薬(OTC)、成分濃度や効果の違いは?
    2. 「医薬品」と「医薬部外品・化粧品」の決定的な差
    3. 失敗しない市販薬の選び方:成分表示のここを見よう
  5. ヒルドイドに関するよくある質問に皮膚科医が回答
    1. Q. ステロイド外用薬と一緒に使っても平気ですか?塗る順番は?
    2. Q. 赤ちゃんや子供にも安心して使えますか?
    3. Q. ジェネリック医薬品(ビーソフテン等)は効果が違いますか?
    4. Q. 妊娠中・授乳中でも使用できますか?
  6. まとめ:正しく使って健やかな肌へ。迷ったらまずは市販薬か受診の検討を

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)とは?医療現場で使われる3つの効果

まず、ヒルドイドとは一体どのような薬なのか、その基本定義から掘り下げていきましょう。ヒルドイドという名称は商品名であり、その主成分は「ヘパリン類似物質」と呼ばれるものです。これは、私たちの体内にある「ヘパリン」という物質と似た構造を持つ成分で、主に乾燥肌の治療や、血行障害に基づく皮膚トラブルの改善に用いられます。

多くの患者さんが「単なる強力な保湿クリーム」と認識されていますが、医学的にはそれ以上の複合的な作用を持っています。皮膚科医がヒルドイドを処方する際、私たちは単に肌を潤すことだけを目的としているわけではありません。肌の内部で起きている炎症や血流の滞りを改善し、肌本来の構造を立て直すことを狙っているのです。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「診察室で『市販の保湿クリームと何が違うんですか?』とよく聞かれます。最大の違いは、ヒルドイドが『治療』を目的とした医薬品であるという点です。化粧品や医薬部外品の保湿剤は、あくまで肌の表面を整えたり乾燥を防いだりする『予防』や『維持』が主な役割ですが、ヒルドイドはすでに壊れてしまった肌のバリア機能や組織を『修復』する力を持っています。だからこそ、医師の診断のもとで適切に使用する必要があるのです。」

ここでは、ヒルドイドが持つ主要な3つの薬理作用について、それぞれ詳しく解説していきます。

作用1:高い「保湿」効果で肌のバリア機能を修復

ヒルドイドの最も知られている効果が「保湿作用」です。しかし、これは単に肌の表面に油膜を張って水分蒸発を防ぐ(エモリエント効果)だけではありません。ヘパリン類似物質は、皮膚の深部にある角質層に浸透し、水分を抱え込む性質を持っています。

健康な肌は、角質細胞とその間を埋める細胞間脂質(セラミドなど)がレンガとモルタルのように隙間なく並び、外部刺激から肌を守る「バリア機能」を果たしています。乾燥肌やアトピー性皮膚炎の患者さんの肌では、この構造が乱れ、水分が保持できなくなっています。ヒルドイドは、この乱れた角質層のラメラ構造に働きかけ、水分保持能そのものを回復させる働きがあります。これにより、一時的な潤いではなく、長時間続く保湿効果と、外部刺激に負けない強い肌作りが可能になるのです。

作用2:「血行促進」効果でしもやけやあざを改善

2つ目の重要な作用が「血行促進作用」です。ヘパリン類似物質には、末梢の血管を広げ、血液の流れを良くする働きがあります。これにより、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が促され、傷ついた組織の修復が早まります。

この作用があるため、ヒルドイドは単なる乾燥肌だけでなく、以下のような症状にも処方されます。

  • しもやけ(凍瘡):寒さで血流が悪くなり鬱血した状態を改善します。
  • 打撲後のあざ・腫れ:皮下に溜まった血液の吸収を促し、治癒を早めます。
  • ケロイドの予防・治療:過剰な組織の増殖を抑え、傷跡を柔らかくします。

逆に言えば、この血行促進作用があるため、出血している傷口や、血が止まりにくい病気をお持ちの方には使用できない場合があります。これが、単なる化粧品とは決定的に異なる点です。

作用3:「抗炎症」作用で荒れた肌を鎮める

3つ目は「抗炎症作用」です。乾燥して荒れた肌は、微細な炎症を起こしている状態です。炎症があると痒みが生じ、掻いてしまうことでさらにバリア機能が壊れるという「痒みと掻破の悪循環(イッチ・スクラッチ・サイクル)」に陥ります。

ヒルドイドには、この皮膚の炎症を鎮める効果があります。もちろん、強い炎症がある場合はステロイド外用薬などを併用する必要がありますが、軽度な炎症であればヒルドイドの連用によって鎮静化が期待できます。正常な皮膚の状態を取り戻すための土台作りとして、この抗炎症作用は非常に重要です。

クリーム・ローション・泡・軟膏…剤形による使い分け

ヒルドイドには、その用途や使用感に合わせて様々な「剤形(タイプ)」が存在します。成分は同じヘパリン類似物質ですが、基剤(薬を溶かしているベースの成分)が異なるため、塗り心地や保湿力、適した部位が異なります。医師は患者さんの肌質や季節、好みに応じてこれらを使い分けています。

詳細を見る|ヒルドイドの剤形別特徴とおすすめの使用部位比較表
剤形タイプ 特徴・メリット デメリット おすすめの使用部位・季節
ソフト軟膏(クリーム) 最も一般的。油分が多く、保湿力が非常に高い(カバー力が強い)。 ややベタつきを感じることがある。夏場は重たく感じることも。 手足、体幹、極度の乾燥部位。
冬場の乾燥対策に最適。
ローション(乳液) 伸びが良く、広範囲に塗りやすい。さっぱりした使用感。 軟膏に比べると保湿の持続時間がやや短い。 背中やお腹などの広範囲。
頭皮(有毛部)。夏場やベタつきが苦手な方。
泡状スプレー 泡で出てくるため、液垂れしにくく広げやすい。摩擦レスで塗れる。 使用時に缶を振る必要がある。低温で泡になりにくい場合も。 お子様の体、背中など。
短時間で全身に塗布したい場合。
軟膏(油性クリーム) 水を含まない油脂性基剤。刺激が最も少なく、保護作用が強い。 非常にベタつく。テカリが出る。衣服につきやすい。 亀裂(ひび割れ)がある部位。
刺激に敏感な顔や目元(医師の指示がある場合)。

このように、同じ「ヒルドイド」でも剤形によって特性が異なります。自己判断で友人の薬を借りたりせず、ご自身の肌状態に合ったものを医師に選んでもらうことが、治療の第一歩です。

顔に塗っても大丈夫?ヒルドイドの副作用と使用上の注意点

「ヒルドイドは顔に塗っても良いのでしょうか?」
これは、インターネット検索でも非常に多く見られる質問であり、YMYL(Your Money Your Life)領域において最も慎重に扱うべき「安全性」に関わるテーマです。結論から言えば、医師の指示があれば顔への使用は可能ですが、自己判断での漫然とした使用にはリスクが伴います。

ここでは、特に懸念される副作用や、ネット上の噂に対する医学的な見解を詳しく解説します。

「顔に塗るとニキビができる」説の医学的根拠

「ヒルドイドを顔に塗っていたらニキビが増えた」という訴えは、実際に診察室でも少なくありません。これには医学的な理由があります。

ヒルドイド、特に「ソフト軟膏(クリームタイプ)」は、高い保湿効果を持たせるために油分を多く含んでいます。乾燥肌の方にはこの油分が必要ですが、元々皮脂分泌が活発な方や、ニキビができやすい脂性肌(オイリースキン)の方が顔全体に厚塗りすると、毛穴を油分で塞いでしまい、ニキビ(面ぽう)の形成を助長してしまうことがあるのです。

これを「コメドジェニック」な状態と言います。もし、ヒルドイドを使用してニキビが悪化した場合は、使用を中止するか、油分の少ないローションタイプに変更するなどの対策が必要です。決して「好転反応」などと自己解釈して使い続けないでください。

赤み・痒みが出たら?主な副作用と対処法

ヒルドイドは副作用が比較的少ない安全な薬ですが、医薬品である以上、ゼロではありません。主な副作用として以下の症状が報告されています。

  • 皮膚刺激感(ピリピリする、しみる)
  • 皮膚炎、発赤(赤くなる)、発疹
  • 痒み(そう痒感)
  • 紫斑(内出血のようなあざ)

特に、肌のバリア機能が極端に低下している時や、季節の変わり目で敏感になっている時に初めて使用すると、刺激を感じることがあります。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「副作用が出やすい方の特徴として、『血行が良くなりすぎることによる痒み』を訴えるケースがあります。入浴直後など体が温まっている時に塗ると、ヒルドイドの血行促進作用が相まって痒みが増すことがあります。その場合は、少し体が冷めてから塗るか、塗布量を調整するよう指導しています。しかし、塗った直後から強い赤みやブツブツが出た場合は『接触皮膚炎(かぶれ)』の可能性がありますので、直ちに使用を中止し、再受診してください。」

目や傷口は避けるべき?塗ってはいけない部位と禁忌

ヒルドイドには使用してはいけない部位、いわゆる「禁忌」や「要注意箇所」があります。これを守らないと、症状を悪化させる危険性があります。

  1. 出血している傷口:
    血行促進作用により出血が止まりにくくなる恐れがあります。かさぶたができている状態なら使用可能ですが、ジュクジュクした傷には塗らないでください。
  2. 目や粘膜(口の中、鼻の中など):
    刺激が強いため、直接入らないように注意してください。目の周りに塗る際は、目に入らないようギリギリを避けて薄く塗るのが鉄則です。
  3. 感染症を起こしている部位:
    細菌やウイルスによる感染(とびひ、ヘルペスなど)がある部位に塗ると、広げてしまう可能性があります。

また、「血友病」「血小板減少症」などの出血性血液疾患をお持ちの方は、微量の出血でも重大な結果を招く可能性があるため、ヒルドイドの使用は原則として禁忌(使用禁止)となっています。ご自身やご家族に既往歴がある場合は、必ず医師に申告してください。

効果を最大化する「塗るタイミング」と「適量(1FTU)」

薬の効果を最大限に引き出すためには、「いつ」「どれくらい」塗るかが非常に重要です。

塗るタイミング:
最も効果的なのは「入浴後5分以内」です。入浴直後の肌は水分を多く含んで柔らかくなっていますが、急速に乾燥が進む時間帯でもあります。このタイミングでヒルドイドを塗ることで、水分を逃さず閉じ込めることができます。

塗る量(適量):
多くの患者さんは、塗る量が少なすぎる傾向にあります。適量の目安として世界的に使われているのが「1FTU(フィンガーチップユニット)」という単位です。

詳細を見る|1FTU(フィンガーチップユニット)の図解と塗布量の目安

1FTU(Finger Tip Unit)とは?
大人の人差し指の先から第一関節まで、チューブから薬を絞り出した量(約0.5g)のことです。

  • 1FTU(約0.5g)で塗れる範囲:
    大人の手のひら2枚分の面積

部位ごとの目安量:

  • 顔・首:約2.5 FTU
  • 片腕:約3 FTU
  • 片脚:約6 FTU
  • 胸・お腹:約7 FTU
  • 背中・お尻:約7 FTU

塗り終わりのサイン:
塗った場所がテカテカと光り、ティッシュペーパーを一枚貼り付けても落ちないくらいのベタつき加減が「適量」です。すり込むのではなく、優しく乗せるように広げてください。

「ベタベタして服につくのが嫌」という理由で薄く伸ばしすぎると、十分な治療効果が得られません。医師が処方した本数を使い切るペースで、たっぷりと塗布することを心がけてください。

美容目的はNG!保険適用になる症状と病院受診の判断基準

近年、SNSや雑誌で「数万円の高級美容液より効く」といった誤った情報が拡散され、美容目的で皮膚科を受診しヒルドイドを求めるケースが急増しました。これは社会的な問題となっており、私たち医療従事者も強い危機感を持っています。

なぜ「美容目的」での処方が問題視されているのか

日本の公的医療保険制度は、病気や怪我の治療に対して税金や保険料から医療費の7〜9割を補助する仕組みです。「美容」は病気ではないため、保険適用の対象外です。

単なる美容目的(シワ予防、美白、アンチエイジングなど)でヒルドイドを保険を使って処方してもらうことは、本来アトピー性皮膚炎や重度の乾燥症で苦しんでいる患者さんのための医療資源を食いつぶす行為に他なりません。このまま不適切な処方が続けば、医療費が圧迫され、将来的にヒルドイドが保険適用から外されたり、処方制限がかかったりして、本当に薬を必要としている患者さんが困る事態になりかねないのです。

保険適用となる主な疾患(アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏症など)

では、どのような症状であれば堂々と保険適用で処方を受けられるのでしょうか。主な適応症は以下の通りです。

  • 皮脂欠乏症(乾皮症):加齢や体質により皮脂が減少し、肌が粉を吹いたり亀裂が入ったりする状態。
  • アトピー性皮膚炎:バリア機能の低下を伴う慢性的な湿疹。
  • 進行性指掌角皮症(手荒れ):水仕事などで指先が硬くなり、ひび割れる症状。
  • 凍瘡(しもやけ):寒冷刺激による血行障害。
  • 肥厚性瘢痕・ケロイド:外傷や手術後の傷跡の治療。

これらに該当し、医師が「治療が必要」と判断した場合にのみ、保険が適用されます。

「ただの乾燥肌」で皮膚科に行ってもいい?受診すべき目安

「病気というほどではないけれど、市販のクリームでは治らない乾燥肌」の場合、受診を躊躇される方も多いでしょう。どこからが「治療が必要なレベル」なのか、その境界線は曖昧です。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「私が『保険適用外』としてお断りするのは、『肌トラブルは特にないが、将来のシワ予防のために欲しい』『化粧下地として使いたい』といった明確な美容目的のケースです。一方で、『市販の保湿剤を塗っても痒みが治まらない』『乾燥で夜眠れない』『肌が赤くなってヒリヒリする』といった症状があり、日常生活に支障をきたしている場合は、立派な『皮脂欠乏症』などの疾患である可能性があります。そのような場合は、遠慮なく受診してください。我慢して悪化させてから来るよりも、早めの受診が早期治癒につながります。」

以下のチェックリストを参考に、ご自身の肌状態を確認してみてください。

Checklist|皮膚科受診をおすすめする肌トラブルのセルフチェックリスト

以下の項目に1つでも当てはまる場合は、市販薬でのセルフケアではなく、皮膚科受診を検討してください。

  • [ ] 市販の保湿剤を1週間以上使っても乾燥や痒みが改善しない
  • [ ] 乾燥だけでなく、赤み、ブツブツ、ジュクジュクがある
  • [ ] 痒みが強く、夜中に目が覚めてしまう、または無意識に掻いてしまう
  • [ ] 全身に広範囲に乾燥や湿疹が広がっている
  • [ ] 亀裂(ひび割れ)から出血しており、痛みを伴う
  • [ ] 過去にアトピー性皮膚炎と診断されたことがある
  • [ ] 子供の肌がカサカサして、よく体を擦り付けている

処方薬と同じ成分?ヒルドイド代用としての「市販薬(OTC)」活用ガイド

「病院に行く時間がない」「美容目的と言われるのが怖くて受診しづらい」という方にとって、ドラッグストアや薬局で購入できる市販薬(OTC医薬品)は強力な味方です。近年、ヒルドイドと同じ「ヘパリン類似物質」を配合した市販薬が数多く登場しています。

処方薬と市販薬(OTC)、成分濃度や効果の違いは?

最も気になるのは「処方薬と市販薬で効果に違いがあるのか?」という点でしょう。

処方薬のヒルドイド(クリーム0.3%など)には、ヘパリン類似物質が0.3%の濃度で配合されています。実は、市販されている「第2類医薬品」のヘパリン類似物質製剤の多くも、同じく0.3%の濃度で配合されています。

つまり、有効成分の濃度という点では、処方薬と多くの市販医薬品は同等と言えます。ただし、以下の点に違いがあります。

  • 基剤(ベース成分)の違い:添加物が異なるため、塗り心地や保湿の持続性、肌への浸透感に微妙な差があります。
  • 配合成分の違い:市販薬の中には、ヘパリン類似物質単体ではなく、ビタミンや抗炎症成分などをプラスして配合しているものもあります。

「医薬品」と「医薬部外品・化粧品」の決定的な差

市販品を選ぶ際に絶対に注意していただきたいのが、その製品が「医薬品」なのか「医薬部外品(薬用化粧品)」なのかという区分です。

  • 第2類医薬品:治療を目的としており、ヘパリン類似物質の濃度が規定量(通常0.3%)しっかり配合されています。乾燥肌の「治療」が可能です。
  • 医薬部外品・化粧品:あくまで「予防」や「保湿」が目的です。ヘパリン類似物質は配合されていますが、濃度は医薬品より低い場合が多く、効果は穏やかです。「ヘパリン類似物質配合」と書かれていても、治療効果を期待するなら医薬品を選ぶ必要があります。

失敗しない市販薬の選び方:成分表示のここを見よう

ドラッグストアの棚には似たようなパッケージが並んでいますが、パッケージ裏面の「成分・分量」と「区分」を確認しましょう。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「深刻な乾燥肌をなんとかしたい場合は、必ずパッケージに『第2類医薬品』と記載されているものを選んでください。一方で、毎日のスキンケアとして長期的に使い続けたい、あるいは肌トラブルは起きていないが予防したいという場合は、『医薬部外品』のローションやミルクの方が、使用感が良く続けやすいでしょう。市販薬で1〜2週間様子を見ても改善しない場合は、自己判断を中止して皮膚科を受診してください。」

詳細を見る|処方薬ヒルドイドと主な市販類似製品(OTC)のスペック比較表
区分 処方薬(医療用) 市販薬(第2類医薬品) 医薬部外品・化粧品
製品例(通称) ヒルドイド
ビーソフテン
ヘパリン類似物質外用泡状スプレー
ヒルマイルド
HPクリーム
ピアソンHP
カルテHD
各種ヘパリン配合化粧水
ヘパリン類似物質濃度 0.3%(一定) 0.3%(多くの製品) 非公開(一般的に低い)
目的 疾患の治療 症状の改善・治療 予防・保湿・スキンケア
入手方法 医師の処方が必須 薬局・ドラッグストアで購入可 ドラッグストア・通販で購入可
コスト 保険適用で安価
(別途診察代が必要)
全額自己負担
(1,000〜2,000円程度)
全額自己負担
(ピンキリ)

ヒルドイドに関するよくある質問に皮膚科医が回答

最後に、日々の診療の中で患者さんから頻繁に寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。細かい疑問を解消して、安心して使用できるようにしましょう。

Q. ステロイド外用薬と一緒に使っても平気ですか?塗る順番は?

A. はい、併用は一般的です。塗る順番は「広範囲に塗る方」を先にしましょう。

アトピー性皮膚炎などの治療では、炎症を抑えるステロイドと、保湿のためのヒルドイドを併用することがよくあります。塗る順番に厳密な決まりはありませんが、一般的には「ヒルドイド(保湿剤)を先に広い範囲に塗り、その後にステロイドを患部だけに重ねて塗る」方法を推奨することが多いです。これにより、ステロイドを不必要に広げすぎるのを防げます。ただし、医師から「混合薬(あらかじめ混ぜたもの)」を処方された場合や、特定の指示がある場合はそれに従ってください。

Q. 赤ちゃんや子供にも安心して使えますか?

A. はい、小児から高齢者まで幅広く使用されています。

ヒルドイドはステロイドのような副作用の心配が少なく、赤ちゃんの乳児湿疹や子供の乾燥肌(ドライスキン)にも第一選択として処方されます。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「小児への処方は非常に頻度が高いです。小さなお子様の場合、クリームのベタつきを嫌がって逃げ回ることも多いため、サッと塗れる『泡状スプレー』を処方することも増えています。お風呂上がりに親御さんが手早く塗ってあげることが、将来のアトピー発症予防や悪化防止に繋がります。ただし、お子様が舐めてしまわないよう注意し、万が一赤みが出た場合はすぐに使用を中止してください。」

Q. ジェネリック医薬品(ビーソフテン等)は効果が違いますか?

A. 有効成分と効果は同等ですが、使用感が異なることがあります。

ヒルドイドのジェネリック(後発医薬品)として、「ヘパリン類似物質『日医工』」や「ビーソフテン」などがあります。これらは先発品のヒルドイドと同じ有効成分を同濃度含んでおり、医学的な治療効果は同等と認められています。しかし、基剤(添加物)の配合が異なるため、「ジェネリックの方がサラッとしている」「ヒルドイドの方がしっとりする」といった使用感の違いを感じることはあります。経済的な負担を減らすためにも、ジェネリックを積極的に活用して問題ありません。

Q. 妊娠中・授乳中でも使用できますか?

A. 基本的に使用可能です。

ヒルドイドは外用薬であり、皮膚から吸収されて全身や胎児に影響を及ぼす可能性は極めて低いと考えられています。妊娠中の妊娠線予防(ストレッチマーク対策)として処方を希望される方もいますが、これは保険適用外となる場合が多いです。授乳中も問題なく使用できますが、乳房に塗る場合は、授乳前に拭き取るか、乳首部分は避けるようにしてください。

まとめ:正しく使って健やかな肌へ。迷ったらまずは市販薬か受診の検討を

ヒルドイドは、乾燥肌や肌トラブルに悩む多くの患者さんにとって、非常に優秀な治療薬です。しかし、「魔法の美容クリーム」ではありません。その効果、副作用、そして社会的なルールを正しく理解し、適切に使用することが何より大切です。

最後に、今回の記事の要点を振り返り、あなたの次のアクションを明確にしましょう。

ヒルドイド・保湿剤選びの最終チェックリスト

  • 美容目的・予防目的の場合:
    皮膚科には行かず、ドラッグストアで「医薬部外品」のヘパリン類似物質配合スキンケアや、通常の化粧品を購入してケアする。
  • 軽度の乾燥・通院する時間がない場合:
    ドラッグストアで「第2類医薬品」のヘパリン類似物質製剤(OTC)を購入し、1〜2週間様子を見る。
  • 強い痒み・赤み・亀裂がある場合:
    セルフケアの限界です。保険証を持って皮膚科を受診し、医師の診断のもとで適切な処方(ヒルドイドやステロイド等)を受ける。
  • 使い方の基本:
    入浴後5分以内に、1FTU(人差し指の先から第一関節まで)をたっぷりと、擦り込まずに乗せるように塗る。

現役皮膚科専門医のアドバイス
「肌は『内臓の鏡』とも言われますが、同時に『生活の鏡』でもあります。ヒルドイドは壊れたバリア機能を治す強力なサポーターですが、それだけに頼るのではなく、部屋の加湿、熱いお風呂を避ける、体を洗う時にゴシゴシ擦らないといった、生活習慣の見直しも同時に行ってください。正しい知識と日々のケアで、トラブルのない健やかな肌を取り戻しましょう。もし迷ったら、自己判断せず、私たち専門家を頼ってくださいね。」

あなたの肌悩みが一日も早く解消されることを願っています。

この記事を書いた人

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