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ハエトリグモは毒なしの益虫!家に出る種類の見分け方から飼育・駆除まで専門家が徹底解説

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ふと部屋の壁や窓際を見ると、小さなクモがピョンピョンと跳ねているのを見かけたことはありませんか?「うわっ、クモだ!」と驚いて殺虫剤を探す前に、少しだけ待ってください。そのクモ、実はあなたの家を害虫から守ってくれる最強のパートナーかもしれません。

結論から申し上げますと、家に出るハエトリグモには毒がなく、人間を噛むこともありません。むしろ、人間にとって不快なゴキブリの幼虫やコバエ、ダニなどを積極的に食べてくれる「最強の益虫」であり、古くから「家の守り神」として親しまれてきた存在です。

この記事では、長年ビル管理の現場で害虫防除に携わりながら、プライベートでは500匹以上のクモを飼育してきた私が、以下の3点を中心に徹底解説します。

  • 家に出るハエトリグモの種類とオスメスの見分け方
  • 殺さずに外へ逃がす方法と、家への侵入を防ぐプロの対策
  • 「かわいい」と話題のハエトリグモを100均グッズで飼育する方法

読み終える頃には、そのつぶらな瞳に愛着が湧き、共存するか、あるいはペットとして迎え入れたくなっていることでしょう。それでは、知られざるハエトリグモの世界へご案内します。

  1. 【緊急確認】ハエトリグモに毒はある?噛まれる危険性と安全性を解説
    1. 結論:日本国内のハエトリグモに毒はない
    2. 人間を噛む?子供やペット(犬・猫)への影響は?
    3. 毒グモ(セアカゴケグモ)との決定的な違いと見分け方
  2. 家によく出るハエトリグモの種類は?写真でわかる特徴と見分け方
    1. 家の中で一番見る「アダンソンハエトリ」の特徴
    2. 縦筋模様が特徴の「チャスジハエトリ」
    3. 稀に見かける「ミスジハエトリ」や屋外種
    4. なぜ家の中にいるの?彼らが屋内に侵入する理由
  3. 「家の守り神」と呼ばれる理由!益虫としての驚くべき能力と生態
    1. 巣を張らない「徘徊性」だから部屋が汚れない
    2. ゴキブリの幼虫・コバエ・ダニを狩る捕食能力
    3. 視力は人間の数倍?8つの目で獲物をロックオンする仕組み
    4. ジャンプ力と壁を登る身体能力の秘密
  4. 苦手な人へ:殺さずに退去してもらう方法と侵入防止策
    1. 絶対に潰したくない人のための「スマートな捕獲・逃がし方」
    2. 殺虫剤は必要?家にあるものでできる忌避対策
    3. 「どこから入る?」プロが教える侵入経路と塞ぎ方
  5. 【飼育入門】ハエトリグモを飼ってみよう!必要な道具と環境準備
    1. なぜ人気?「なつく」と言われる理由とハンドリングの魅力
    2. 専用キット不要!100均グッズで揃う飼育ケース自作法
    3. 隠れ家と足場:造花や流木を使ったレイアウト例
    4. 適切な温度と湿度管理:日本の気候そのままで大丈夫?
  6. 【飼育実践】餌やり・水分補給・掃除の完全ガイド
    1. 餌は何をあげる?捕獲(コバエ)vs 購入(レッドローチ・コオロギ)
    2. 餌やりの頻度と量:あげすぎは禁物?
    3. 水分補給は霧吹きで:溺死を防ぐテクニック
    4. 掃除のタイミングと、ケース内が汚れない工夫
    5. 寿命はどれくらい?最期まで責任を持って飼う心構え
  7. もっと知りたい!ハエトリグモの「沼」と歴史的背景
    1. 江戸時代の遊び「座敷鷹(ざしきたか)」と「ホンチ」文化
    2. まるで手旗信号?オスがメスに見せる「求愛ダンス」の不思議
    3. 海外で大人気!大型種「リーガルジャンピングスパイダー」とは
    4. 自由研究にも最適:マクロレンズで撮影するミクロの世界
  8. ハエトリグモに関するよくある質問(FAQ)
    1. Q. 寝ている間に口に入ったりしませんか?
    2. Q. 冬の間は見かけなくなりますが、どうしていますか?(越冬について)
    3. Q. 糸を出してぶら下がってくることはありますか?
    4. Q. 飼育していて卵を産んでしまったらどうすればいいですか?
  9. まとめ:ハエトリグモは怖くない!共存か飼育か、あなたに合った付き合い方を
    1. ハエトリグモとの付き合い方・最終チェックリスト

【緊急確認】ハエトリグモに毒はある?噛まれる危険性と安全性を解説

家の中でクモを見つけたとき、最も気になるのが「このクモは危険なのか?」「毒を持っているのではないか?」という点でしょう。特に小さなお子様やペット(犬・猫)がいるご家庭では、安全性の確認が最優先事項です。このセクションでは、ハエトリグモの毒性や噛まれるリスクについて、科学的根拠と現場の経験に基づいて詳細に解説し、皆さまの不安を完全に払拭します。

結論:日本国内のハエトリグモに毒はない

まず断言します。日本国内の家屋で見かけるハエトリグモ(主にアダンソンハエトリ、チャスジハエトリなど)は、人間に対して有害な毒を持っていません。

生物学的に言えば、ほとんどのクモは何らかの「毒(消化液や麻痺毒)」を持っています。これは獲物である昆虫を動けなくしたり、消化しやすくしたりするためのものです。しかし、ハエトリグモが持つ毒の成分や量は、あくまで数ミリ程度の小さな虫に効果があるレベルに過ぎません。人間の身体の大きさや代謝機能に対しては、全くと言っていいほど影響を及ぼさない微弱なものです。

私が害虫駆除の現場で数多くの住宅を診断してきましたが、ハエトリグモによる健康被害の事例は一件も確認していませんし、業界の報告でも聞いたことがありません。ですので、「毒があるかもしれない」という心配は一切無用です。安心してください。

人間を噛む?子供やペット(犬・猫)への影響は?

「毒がないのはわかったけれど、噛まれたら痛いのでは?」という疑問もあるでしょう。結論から言うと、ハエトリグモが人間を噛むことは、通常あり得ません。

彼らの牙(毒牙)は非常に小さく、人間の皮膚を貫通できるほどの長さも強度もありません。また、ハエトリグモは非常に臆病で慎重な性格をしています。人間のような巨大な生物が近づいてきた場合、彼らが選ぶ行動は「攻撃」ではなく「逃走」です。素早いジャンプ力を使って、全力で逃げようとします。

万が一、無理やり手で握りつぶそうとしたり、素肌に押し付けたりした場合、防衛本能として噛もうとすることはあるかもしれません。しかし、それでも人間の皮膚(特に大人の角質層)を突き破ることは難しく、仮に噛まれたとしても「チクリとしたかな?」と感じる程度で、蚊に刺されたほどの痒みや腫れすら起きないことがほとんどです。

同様に、犬や猫などのペットに対しても無害です。むしろ、猫がハエトリグモを追いかけて遊んでしまい、クモの方が被害に遭うケースの方が圧倒的に多いでしょう。ペットが誤ってハエトリグモを食べてしまったとしても、毒性はないため健康上の問題はありません。

毒グモ(セアカゴケグモ)との決定的な違いと見分け方

日本には一部、特定外来生物である「セアカゴケグモ」のような毒グモが存在します。これらとハエトリグモを見間違えてパニックにならないよう、明確な違いを知っておくことが重要です。

最大の違いは「動き」と「巣」です。ハエトリグモはその名の通り、ハエなどの獲物を捕まえるために歩き回り、ジャンプします。一方、セアカゴケグモなどの毒グモの多くは、ジメジメした暗い場所に不規則な網(巣)を張り、じっと獲物を待ちます。「明るい場所をピョンピョン跳ねて移動しているクモ」であれば、ほぼ間違いなく無害なハエトリグモと判断して差し支えありません。

ハエトリグモと危険なクモの比較チェックリスト

特徴 ハエトリグモ(安全) セアカゴケグモ(危険)
動き 素早く歩く、ジャンプする ゆっくり動く、跳ねない
巣(網) 張らない(徘徊性) 不規則な汚い網を張る
体型 ずんぐりむっくり、目が大きい 丸い腹部、足が細長い
主な出現場所 壁、窓際、天井、カーテン プランターの裏、排水溝、側溝

一級建築物環境衛生管理技術者のアドバイス
「害虫駆除の現場でお客様から『毒グモが出た!』と通報を受けて駆けつけると、9割以上がこのハエトリグモかアシダカグモです。プロの視点では、ハエトリグモは攻撃性が皆無で、衛生面でも菌を媒介するリスクが極めて低いため、『安全』と判断します。もし見かけても、過剰に怖がらず、そっとしておいてあげてください。」

家によく出るハエトリグモの種類は?写真でわかる特徴と見分け方

「黒くて白い点があるクモを見た」「茶色くて少し大きいクモがいる」など、家の中で見かけるハエトリグモにはいくつかの種類があります。種類によって色や模様、大きさが異なりますが、日本国内の家屋で見られるのは主に2種類です。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説し、オスとメスの見分け方まで掘り下げていきます。目の前のクモが何者なのか、正体を突き止めましょう。

家の中で一番見る「アダンソンハエトリ」の特徴

日本の家屋内で最も遭遇率が高いのが、この「アダンソンハエトリ」です。都市部のマンションから郊外の戸建てまで、あらゆる住宅環境に適応しています。体長は5ミリ〜8ミリ程度と小さく、よく見るとつぶらな瞳をしており、愛好家の間では「アダンソン」の愛称で親しまれています。

  • オス(黒に白斑点)の特徴
    オスは全体的に黒っぽい体色をしています。最大の特徴は、頭胸部(頭の部分)にある白い三日月型の模様と、腹部にある一対の白い斑点です。黒い体に白いラインが映え、まるでタキシードを着ているようなシックな印象を与えます。前脚が長く発達しており、これを振り上げてメスに求愛ダンスを踊ることでも知られています。
  • メス(茶色で地味)の特徴
    一方、メスはオスとは全く異なる見た目をしています。全体的に薄茶色やベージュ色をしており、腹部には少し複雑なモザイクのような模様があります。オスに比べて体がふっくらとしており、ややサイズも大きめです。家の壁紙やフローリングの色に溶け込みやすいため、オスよりも見つけにくいかもしれません。
  • 主な生息場所
    彼らは「明るい場所」を好みます。リビングの白い壁、日当たりの良い窓際、カーテンの裏などが主なパトロールコースです。視覚で獲物を探すため、暗い場所よりも明るい場所に出てくる傾向があります。

縦筋模様が特徴の「チャスジハエトリ」

アダンソンハエトリよりも一回り大きく、存在感があるのが「チャスジハエトリ」です。体長は10ミリ〜12ミリ程度になり、肉眼でもその表情がはっきりと分かるほどのサイズ感です。

  • 外見の特徴
    名前の通り、頭からお尻にかけて「茶色い縦筋(スジ)」が一本通っているのが特徴です。全体的に褐色で、少し毛深く、ワイルドな見た目をしています。アダンソンハエトリよりも脚が太く、ガッシリとした体格をしています。
  • 性格と行動
    見た目は少し強面ですが、性格は非常に温厚です。大型である分、捕食対象も少し大きめのハエやゴキブリの幼虫を狙うことができます。ジャンプ力も凄まじく、壁から壁へと忍者のように飛び移る姿がよく目撃されます。

稀に見かける「ミスジハエトリ」や屋外種

基本的には上記の2種が屋内性のハエトリグモの代表格ですが、窓が開いている時などに屋外性の種類が迷い込んでくることもあります。

  • ミスジハエトリ
    チャスジハエトリと似ていますが、より鮮やかな模様を持ち、主に屋外の草むらや庭に生息しています。家の中で見かけた場合は、洗濯物などに紛れて侵入した可能性があります。
  • シラヒゲハエトリ
    コンクリートの壁やブロック塀などでよく見かける、全体的に白っぽいグレーのハエトリグモです。家の外壁にはよくいますが、室内に入ってくることは稀です。

なぜ家の中にいるの?彼らが屋内に侵入する理由

そもそも、なぜ彼らはわざわざ家の中に入ってくるのでしょうか?答えはシンプルで、「そこに獲物(餌)があるから」「快適な温度があるから」です。

家の中には、人間が気づかないレベルの小さな虫(チャタテムシ、コバエ、ダニなど)が多数生息しています。ハエトリグモにとって、これらは最高のご馳走です。また、日本の家屋は冬暖かく夏涼しいため、過酷な屋外よりも生存に適しています。つまり、彼らはあなたの家を「食料が豊富で快適な楽園」と認識して定住しているのです。

▼詳細:アダンソン・チャスジ・ミスジの比較まとめ
種類名 体長 主な特徴 出現レア度
アダンソンハエトリ 5-8mm オスは黒に白点、メスは茶色。最も一般的。 ★★★★★
チャスジハエトリ 10-12mm 背中に茶色い縦一本線。大型で迫力あり。 ★★★★☆
ミスジハエトリ 6-7mm 屋外性。庭や草むらに多い。迷い込みで出現。 ★★☆☆☆

「家の守り神」と呼ばれる理由!益虫としての驚くべき能力と生態

ハエトリグモが「益虫」と呼ばれるのには、単に毒がないというだけでなく、プロの害虫駆除業者も舌を巻くほどの優れたハンター能力があるからです。彼らは殺虫剤を使わずに、家の中の衛生環境を守ってくれる、まさに「天然のセキュリティガード」です。ここでは、その驚くべき能力と生態について深掘りします。

巣を張らない「徘徊性」だから部屋が汚れない

クモを嫌う理由の第1位は「クモの巣が部屋を汚すから」ではないでしょうか?天井の隅や照明器具に埃まみれの巣があると、掃除も大変ですし、見た目も不潔です。

しかし、ハエトリグモは「徘徊性(はいかいせい)」のクモであり、獲物を捕るための網(巣)を張りません。彼らは自分の足で歩き回り、獲物を見つけて飛びかかるスタイルで狩りをします。そのため、部屋の隅にクモの巣が張られる心配がありません。夜に寝るための「住居(小さな白い繭のようなもの)」をカーテンの隙間などに作ることはありますが、獲物を捕るためのベタベタした網ではないため、部屋を汚すことはほとんどないのです。

ゴキブリの幼虫・コバエ・ダニを狩る捕食能力

ハエトリグモの最大の功績は、家庭内の不快害虫を捕食してくれることです。特に以下の害虫に対して高い効果を発揮します。

  • コバエ(ショウジョウバエ・ノミバエ)
    キッチンやゴミ箱周りに発生するコバエは、ハエトリグモの大好物です。空中に飛んでいるハエをジャンプしてキャッチする姿は、まさにアクロバットです。
  • ゴキブリの幼虫
    孵化したばかりの小さなゴキブリは、ハエトリグモにとって格好の獲物です。ゴキブリが成虫になって繁殖する前に芽を摘んでくれるため、長期的な防除効果が期待できます。
  • ダニ・チャタテムシ
    肉眼では見えにくい微細な害虫も、彼らの優れた視力は見逃しません。

研究や観察によると、元気なハエトリグモは1日に数匹〜10匹程度のコバエを捕食することもあります。これを年間で換算すると、相当数の害虫が彼らによって処理されていることになります。

視力は人間の数倍?8つの目で獲物をロックオンする仕組み

ハエトリグモの顔を正面から見ると、大きな2つの目がこちらを見ていることに気づくでしょう。実は彼らには合計で8つの目(単眼)があります。

正面にある最も大きな2つを「主眼(しゅがん)」と呼び、これは対象の形や色を認識する役割を持っています。その横にある目や頭の後ろにある目は、動きを感知するセンサーの役割を果たしており、ほぼ360度の視野をカバーしています。この視覚システムは昆虫界でもトップクラスで、数メートル先の獲物や天敵を認識できると言われています。

あなたがハエトリグモを見つめたとき、彼らがクルッと体を回してこちらを見つめ返してくるのは、高い視力で「あ、大きな生き物がいるな」と認識しているからなのです。

ジャンプ力と壁を登る身体能力の秘密

彼らの代名詞である「ジャンプ」は、体長の数10倍の距離を一瞬で跳ぶことができます。しかも、ただ跳ぶだけでなく、お尻から常に「命綱(しおり糸)」を出しており、万が一ジャンプに失敗しても地面に落下しないよう安全策を講じています。

また、彼らの足の裏には微細な毛が密集しており、ファンデルワールス力(分子間力)を利用して、ツルツルのガラス面や天井でも逆さまに歩くことができます。この機動力があるからこそ、神出鬼没に家中の害虫を退治できるのです。

一級建築物環境衛生管理技術者のアドバイス
「ハエトリグモが家の中にたくさんいるということは、裏を返せば『それだけ餌となる害虫(コバエやゴキブリの幼虫)が潜んでいる』というサインでもあります。プロの現場診断では、ハエトリグモの出没場所をヒントに、排水溝や網戸の隙間などの害虫発生源を特定することもあります。彼らは優秀なセンサー役でもあるのです。」

苦手な人へ:殺さずに退去してもらう方法と侵入防止策

いくら益虫で毒がないといっても、「どうしても虫が苦手」「生理的に受け付けない」という方もいらっしゃるでしょう。それは決して悪いことではありません。無理に共存する必要はありませんが、彼らは害虫ではないため、できれば殺さずに外へ逃がしてあげたいものです。ここでは、虫嫌いの方でもできるスマートな捕獲・退去方法と、そもそも家に入れないための侵入防止策を伝授します。

絶対に潰したくない人のための「スマートな捕獲・逃がし方」

ハエトリグモをティッシュで掴もうとすると、誤って潰してしまったり、逃げられてパニックになったりしがちです。直接触れずに、安全かつ確実に捕獲するには、以下の道具を使います。

  • 用意するもの:透明な空きカップ(プリンの容器やプラスチックコップ)、硬めの紙(ハガキや下敷き)

【手順】

  1. 壁や床にいるハエトリグモの上から、そっと透明なカップを被せます。透明な容器を使うことで、中の位置が確認できるので安心です。
  2. カップと壁(床)の隙間に、ゆっくりと紙を差し込んでいきます。急ぐと足を挟んでしまうので慎重に。
  3. 紙が完全にカップの口を塞いだら、紙を蓋にしたままカップを持ち上げます。
  4. そのままベランダや玄関の外へ運び、紙を外して逃がします。

この方法なら、クモの感触を感じることなく、無傷で自然に帰すことができます。カプセルトイの空き容器なども活用できます。

殺虫剤は必要?家にあるものでできる忌避対策

ハエトリグモに対して強力な殺虫剤を使うのは、あまりおすすめしません。彼らは薬剤に弱くすぐに死んでしまいますが、同時にその薬剤が室内に残留することになります。特にペットや子供がいる家庭ではリスクとなります。

もし「近寄らせたくない」のであれば、「ハッカ油」「柑橘系のスプレー」が効果的です。クモはこれらの香りを嫌う傾向があります。水で薄めたハッカ油を窓枠や玄関にスプレーしておくだけで、忌避効果が期待できます。これは人間にとっては爽やかな香りなので、一石二鳥です。

「どこから入る?」プロが教える侵入経路と塞ぎ方

一度追い出しても、また入ってきては意味がありません。彼らの侵入経路を断つことが重要です。ハエトリグモは体が小さく平べったいため、わずか数ミリの隙間があれば侵入可能です。

  • 網戸の隙間とモヘアの劣化
    最も多い侵入経路です。網戸とサッシの間にある「モヘア(起毛した隙間テープ)」がすり減っていませんか?ここから簡単に侵入します。ホームセンターで売っている隙間テープで補修しましょう。
  • 通気口・換気扇
    24時間換気の通気口や、キッチンの換気扇も入口になります。屋外側に防虫フィルターを貼ることで、クモだけでなくコバエやゴキブリの侵入も防げます。
  • エアコンのドレンホース
    エアコンの排水ホースから逆流してくることもあります。ホースの先端に防虫キャップ(100均で購入可能)を取り付けましょう。

一級建築物環境衛生管理技術者のアドバイス
「殺虫剤でクモを殺すよりも、クモが好まない環境を作ることが根本解決です。クモは『餌』と『隠れ場所』を求めてやってきます。部屋の四隅の埃を掃除し、段ボールなどを放置せず、餌となるコバエを発生させないこと。家の中を清潔に保つことが、結果としてハエトリグモとの遭遇率を下げる最短ルートです。」

【飼育入門】ハエトリグモを飼ってみよう!必要な道具と環境準備

ここからは、「ちょっとかわいいかも」「観察してみたい」と感じ始めた方へのステップアップ編です。実は近年、ハエトリグモをペットとして飼育する人が急増しています。犬や猫のように散歩の必要がなく、鳴き声もなく、場所も取らないため、現代のライフスタイルにマッチした「マイクロペット」として注目されているのです。

なぜ人気?「なつく」と言われる理由とハンドリングの魅力

「クモがなつくわけがない」と思われるかもしれませんが、ハエトリグモは飼育者の顔や動きを認識します。餌をくれるピンセットに反応して寄ってきたり、指先に乗ってきたりするようになります。これを愛好家の間では「ハンドリング」と呼びます。

指の上でちょこんと座り、首をかしげてこちらを見上げる仕草は、無機質な虫とは思えないほどの愛嬌があります。「なつく」というよりは「慣れる」という表現が正確ですが、恐怖心を持たずに接してくれる姿は、飼い主にとって癒やしそのものです。

専用キット不要!100均グッズで揃う飼育ケース自作法

ハエトリグモ飼育の最大の魅力は、初期費用の安さです。高価な爬虫類用ケージは必要ありません。100円ショップで売っているアイテムだけで、快適なマイホームが作れます。

  • ケース本体
    透明度の高い「コレクションケース」や、キッチン用品の「調味料入れ(クリアタイプ)」がおすすめです。サイズは5cm〜10cm四方あれば十分です。大きすぎると餌を見つけられなくなるので、タイトな空間の方が適しています。
  • 通気孔の確保
    密閉容器だと窒息してしまうので、蓋や側面に空気穴を開ける必要があります。電動ドリルがなくても、キリや安全ピンをライターで熱してプラスチックに押し当てれば、簡単に小さな穴を開けられます。脱走を防ぐため、穴の大きさは1mm以下にしましょう。
  • 床材
    土を入れる必要はありません。管理が楽な「キッチンペーパー」を小さく切って敷くのがベストです。汚れたら交換するだけで済み、衛生的です。

隠れ家と足場:造花や流木を使ったレイアウト例

ケースの中には、彼らが落ち着くための隠れ家や、ジャンプして遊ぶための足場を入れてあげましょう。これも100均の園芸コーナーにある「フェイクグリーン(造花)」や、手芸コーナーの「小さな木片」などが使えます。

立体的な活動を好むので、ケースの上の方に造花の葉っぱが来るように配置すると、その裏に糸で寝床を作って落ち着きます。自分好みのミニチュア庭園を作る感覚でレイアウトを楽しめるのも魅力の一つです。

適切な温度と湿度管理:日本の気候そのままで大丈夫?

アダンソンハエトリなどの日本に住む種類であれば、基本的には「人間が快適に過ごせる室温」であれば問題ありません。特別なヒーターやクーラーは不要です。ただし、真夏の直射日光が当たる窓際(ケース内がサウナ状態になる)や、真冬の氷点下になる場所は避けてください。

湿度は、1日1回霧吹きをする程度で十分です。乾燥しすぎると脱皮不全を起こすことがあるので、適度な湿り気は必要ですが、蒸れすぎにも注意が必要です。

在野のクモ生態研究家のアドバイス
「ケースを作る際、最も重要なのは『蓋の開閉方向』です。ハエトリグモは高い所を好むため、ケースの天井付近に巣を作ることが多いです。上から開けるタイプの蓋だと、開けるたびに巣を壊してしまい、クモにストレスを与えてしまいます。できれば『横開き』や『下が開く』タイプの容器を選ぶか、容器を逆さまにして底を蓋として使うなどの工夫をすると、長期飼育がうまくいきますよ。」

【飼育実践】餌やり・水分補給・掃除の完全ガイド

飼育環境が整ったら、いよいよ日々の世話です。クモの飼育で最もハードルが高いのが「餌」ですが、ここさえクリアできれば、飼育の手間は驚くほど少ないです。

餌は何をあげる?捕獲(コバエ)vs 購入(レッドローチ・コオロギ)

ハエトリグモは生きた虫しか食べません。死んだ虫や人工飼料には反応しないため、動く餌を用意する必要があります。

  • 野生の虫を捕まえる(コスト0円)
    家の中や庭でコバエ、小さな蛾、アブラムシなどを捕まえて与えます。夏場なら網戸に止まっている小さな虫を捕獲すれば餌代はかかりません。ただし、殺虫剤がかかった虫を与えてしまうと、クモも死んでしまうリスクがある点には注意が必要です。
  • 餌用昆虫を購入する(安定供給)
    確実に餌を確保したい場合は、ペットショップや通販で爬虫類用の餌として売られている「レッドローチ(SSサイズ)」や「ヨーロッパイエコオロギ(初令サイズ)」を購入します。これらは栄養価も高く、クモの成長も早くなります。最近では、飛べないように改良された「トリニドショウジョウバエ」も通販で入手可能です。

餌やりの頻度と量:あげすぎは禁物?

哺乳類のように毎日餌をやる必要はありません。成体であれば3日〜1週間に1回程度、お腹の大きさを見ながら与えます。お腹がパンパンに膨れている時は満腹のサインです。逆に、お腹がシワシワに縮んでいたら空腹のサインです。

食べ残しは腐敗やカビの原因になるので、翌日になっても食べていない場合は取り除きましょう。

水分補給は霧吹きで:溺死を防ぐテクニック

餌よりも重要なのが水分です。クモは乾燥に弱いため、定期的な水分補給が欠かせません。しかし、水入れを設置すると、誤って落ちて溺死してしまうことがあります。

安全な給水方法は、「ケースの壁面に霧吹きで水滴をつける」ことです。クモはこの水滴に気づいて近づき、直接飲みます。1日1回、壁面がうっすら濡れる程度にシュッとひと吹きしてあげましょう。

掃除のタイミングと、ケース内が汚れない工夫

ハエトリグモは綺麗好きなので、食べカス(虫の殻など)は巣から離れた場所に捨てに行きます。飼い主は、その食べカスやフン(小さな白い点)を見つけたら、ピンセットや濡らした綿棒で取り除くだけでOKです。床材のキッチンペーパーが汚れてきたら交換します。大掛かりな掃除は月に1回程度で十分です。

寿命はどれくらい?最期まで責任を持って飼う心構え

ハエトリグモの寿命は、種類や環境にもよりますが、おおよそ1年〜3年程度です。短いと感じるかもしれませんが、その短い一生の中で、脱皮を繰り返して成長し、求愛し、命を繋いでいくドラマを見せてくれます。

小さな命ですが、飼い始めたら最期まで面倒を見るのが飼い主の責任です。途中で飽きて外に放すことは、生態系への影響(特に購入した餌や外来種を放つこと)を考えると避けるべきです。

在野のクモ生態研究家のアドバイス
「飼育初心者が最も焦るのは『餌を食べない(拒食)』ときです。しかし、ハエトリグモは脱皮前になると、1週間以上餌を食べずに巣に引きこもることがあります。これは病気ではなく成長のための準備期間です。無理に餌を近づけたり、ケースを揺らしたりせず、湿り気だけ与えて静かに見守ってあげてください。脱皮が無事に終われば、一回り大きくなった姿でまた元気に食べ始めます。」

もっと知りたい!ハエトリグモの「沼」と歴史的背景

ハエトリグモは、現代のペットブームより遥か昔から、日本人と深い関わりを持ってきました。ここでは、単なる生物学的な情報を超えて、ハエトリグモにまつわる文化や、さらに深い楽しみ方をご紹介します。これを知れば、あなたも立派な「ハエトリ沼」の住人です。

江戸時代の遊び「座敷鷹(ざしきたか)」と「ホンチ」文化

江戸時代、ハエトリグモは「座敷鷹」と呼ばれていました。鷹狩りの鷹のように、ハエトリグモを使ってハエを捕らせる遊びが庶民の間で流行したのです。小さなクモを鷹に見立て、ハエを捕る瞬間の鮮やかさを愛でるという、なんとも風流な文化がありました。

また、神奈川県の富津市や横浜市周辺では、ネコハエトリという種類のオス同士を戦わせる「ホンチ(クモ合戦)」という遊びが昭和期まで盛んに行われていました。これは現在でも一部の地域で無形民俗文化財として保存・継承されています。日本人は昔から、この小さなクモに魅了されてきたのです。

まるで手旗信号?オスがメスに見せる「求愛ダンス」の不思議

ハエトリグモのオスにとって、命がけのイベントが「求愛」です。メスを見つけると、オスは長い前脚を高く掲げ、左右に振ったり、お尻を震わせたりして複雑なダンスを踊ります。まるで手旗信号のようなユニークな動きです。

これは「僕は餌じゃないよ!健康なオスだよ!」とアピールするためのものです。もしダンスが下手だったり、メスの機嫌が悪かったりすると、求愛に失敗するどころか、そのまま餌として食べられてしまうこともあります。この健気で必死な求愛行動も、観察の大きな見どころです。

海外で大人気!大型種「リーガルジャンピングスパイダー」とは

世界に目を向けると、さらに多様なハエトリグモが存在します。中でもアメリカなどに生息する「リーガルジャンピングスパイダー(Regal Jumping Spider)」は、体長が2cm近くにもなる大型種で、世界中で爆発的な人気を誇ります。

毛並みが良く、牙の色がメタリックグリーンやピンクに輝くなど、見た目が非常にゴージャスです。日本でも輸入個体や国内繁殖個体が流通しており、アダンソンハエトリの飼育で自信をつけた人が、次に挑戦する憧れの種類となっています。

自由研究にも最適:マクロレンズで撮影するミクロの世界

ハエトリグモは写真写りが非常に良い被写体です。最近ではスマートフォンのカメラに装着できる安価な「マクロレンズ」が100均でも手に入ります。

マクロレンズを通して見るハエトリグモの世界は別格です。宝石のように輝く目、フサフサの毛並み、脚の先の爪まで鮮明に見ることができます。夏休みの自由研究として、家の中のハエトリグモを撮影し、その行動記録をつけるのも素晴らしいテーマになるでしょう。

▼コラム:筆者が体験した「軍曹」との共同生活エピソード

以前、私の書斎に一匹の大きなアダンソンハエトリのオスが住み着きました。私は彼を敬意を込めて「軍曹」と呼び、追い出さずに放置していました。ある日、軍曹が部屋の隅にある観葉植物の鉢の周りを、執拗にウロウロしていることに気づきました。普段は窓際にいる彼が、なぜ薄暗い足元に?

不思議に思って鉢を持ち上げてみると、なんと受け皿の水にコバエの幼虫(ボウフラのようなもの)が大量発生していたのです!軍曹はそこから羽化してくるコバエを待ち伏せしていたのでした。私が気づく前に発生源を突き止め、水際で食い止めてくれていた軍曹。彼のおかげで、その年の夏はコバエに悩まされずに済みました。それ以来、私はハエトリグモを見かけると、心の中で敬礼せずにはいられません。

ハエトリグモに関するよくある質問(FAQ)

最後に、ハエトリグモに関してよく寄せられる質問にお答えします。検索意図として多い疑問をカバーしましたので、参考にしてください。

Q. 寝ている間に口に入ったりしませんか?

A. まず心配ありません。
都市伝説で「人間は寝ている間にクモを食べている」という話がありますが、これは科学的根拠のないデマです。ハエトリグモは振動や二酸化炭素(呼吸)に敏感で、自分より遥かに巨大で動く物体(人間)の口元に自ら近づくメリットがありません。彼らは賢いので、危険地帯には近寄らないのです。

Q. 冬の間は見かけなくなりますが、どうしていますか?(越冬について)

A. 繭を作って冬眠(越冬)しています。
寒くなると活動が鈍り、カーテンのレールの中や家具の裏、壁の隙間などに白い糸で袋状の巣(住居)を作り、その中でじっとして春を待ちます。暖かい室内であれば冬でも活動することがありますが、基本的には静かに過ごしています。掃除の際に見つけても、そっとしておいてあげましょう。

Q. 糸を出してぶら下がってくることはありますか?

A. あります(移動や逃走のため)。
ハエトリグモは巣を張りませんが、移動する際には常にお尻から「しおり糸」を出しています。高いところから降りる時や、ジャンプに失敗して落下した時に、スーッと糸にぶら下がって降りてくることがあります。目の前に急に現れて驚くかもしれませんが、攻撃の意図はありません。

Q. 飼育していて卵を産んでしまったらどうすればいいですか?

A. 自然に帰すか、覚悟を決めて育てるかです。
メスが交尾済みだった場合、飼育ケース内に卵を産むことがあります。一度に数匹〜数十匹の子グモが生まれます。これら全てを飼育するのは、極小の餌(トビムシなど)を用意する必要があり、非常に難易度が高いです。初心者の方であれば、孵化して子グモが散らばり始める前に、ケースごとベランダ等の屋外へ持って行き、自然に帰してあげるのが最も生存率が高い選択です。

在野のクモ生態研究家のアドバイス
「もし飼育下で繁殖(ブリーディング)に挑戦したいなら、子グモが逃げ出さないよう、通気孔をストッキングや不織布で覆う必要があります。生まれたての子グモは1mm以下で、どんな隙間からも脱走します。『いつの間にか部屋中が子グモだらけ』という事態を防ぐためにも、管理には細心の注意を払ってください。」

まとめ:ハエトリグモは怖くない!共存か飼育か、あなたに合った付き合い方を

ここまでハエトリグモの生態や魅力について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。彼らは決して恐ろしい害虫ではなく、むしろ私たちの生活を陰ながら支えてくれる頼もしい隣人であることがお分かりいただけたかと思います。

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 毒なし・噛まない・益虫の「3拍子」揃った安全なクモである。
  • 家に出るのは餌(害虫)がいるから。見かけたら「害虫駆除中」と感謝しよう。
  • どうしても苦手なら、殺さずにカップで捕まえて外へ逃がせばOK。
  • 100均グッズで簡単に飼育可能。ハンドリングもできる癒やしのペットになる。

もし今度、部屋でハエトリグモと目が合ったら、すぐに追い払わずに少しだけ観察してみてください。一生懸命に毛づくろいをしたり、首をかしげたりする姿に、きっと新しい発見があるはずです。

共存するもよし、ペットとして愛でるもよし。この記事が、あなたとハエトリグモとの良好な関係の第一歩となれば幸いです。

ハエトリグモとの付き合い方・最終チェックリスト

  • [ ] 毒がないことを理解し、必要以上に怖がらない
  • [ ] 種類(アダンソンかチャスジか)を見分けてみる
  • [ ] 侵入を防ぎたい場合は、網戸や通気口の隙間を塞ぐ
  • [ ] 飼育に興味が出たら、まずは透明な容器を確保する
  • [ ] 殺虫剤は使わず、彼らの働き(害虫駆除)を見守る

日本蜘蛛学会
農研機構(農業環境変動研究センター)

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