街中で見かけない日はないほど、ファッションの定番アイテムとして定着したadidas(アディダス)のトラックジャケット。しかし、いざ自分が購入しようとすると、「モデルの種類が多すぎて違いがわからない」「サイズ選びが難しくて失敗しそう」という悩みに直面する方は少なくありません。
結論から申し上げますと、adidasのトラックジャケット選びで失敗しないためのコツは、モデルごとの「襟の形状」「素材の質感」「シルエット」の違いを正しく理解し、自分の目指すスタイルに合わせてサイズをコントロールすることに尽きます。
本記事では、日米欧で累計50,000着以上の古着を買付け、1,000着以上のトラックジャケットを販売してきた現役アパレルバイヤーである筆者が、定番3大モデルの徹底比較から、古着市場で人気のヴィンテージ知識、そして「脱・部屋着」を叶える今っぽいコーディネート術まで、一生モノの一着に出会うための全知識を余すところなく伝授します。
この記事を読むことで、以下の3点が明確になります。
- ベッケンバウアー、ファイヤーバード、SSTという「3大定番モデル」の決定的な違いと選び方
- adidas特有の「着丈が短い」問題を攻略し、理想のシルエットを手に入れるサイズ選びの鉄則
- ただのジャージに見えない、シティボーイやストリートスタイルを取り入れたトレンドコーディネート術
なぜ今「adidas トラックジャケット」なのか?歴史とトレンド背景
ここ数年、ファッションシーンを席巻している「トラックジャケット」ブーム。単なるスポーツウェアのリバイバルではなく、現代のファッション文脈において欠かせない「定番アイテム」としての地位を確立しています。なぜ今、これほどまでにadidasのジャージが支持されているのでしょうか。その背景にある歴史とトレンドの潮流を紐解いていきましょう。
Y2Kとスポーツミックスが生んだ再ブーム
現在のブームを牽引している最大の要因は、2000年代のファッションを再解釈した「Y2K(Year 2000)トレンド」と、スポーツアイテムを日常着に取り入れる「スポーツミックス」の定着です。
かつては部活動やトレーニングの象徴であったジャージが、若者世代を中心に「レトロで可愛い」「逆に新鮮」と捉え直されました。特に、古着特有の少し色褪せた風合いや、現行品にはない大胆なカラーリングが、個性を表現したい現代のファッショニスタたちの心に刺さったのです。
また、ハイブランドがコレクションでトラックジャケットを取り上げたことも、この流れを加速させました。「ジャージ=手抜き」という既成概念が崩れ、「ジャージ=ハズしのお洒落アイテム」という新たな価値観が生まれたのです。
音楽・カルチャーと密接に関わる「象徴」としてのジャージ
adidasのトラックジャケットは、単なる衣服を超えて、音楽やサブカルチャーの「象徴」としての側面を強く持っています。70年代から80年代にかけて、ヒップホップグループやブリットポップのバンドマンたちが、ステージ衣装や私服としてadidasを愛用しました。
彼らが着用したのは、権威への反抗や、ストリートからの成り上がりを表現するためでした。スリーストライプス(3本線)は、単なるブランドロゴではなく、ある種のアティチュード(姿勢)を示すアイコンとなったのです。
現代において私たちがトラックジャケットを羽織る時、無意識のうちにこうしたカルチャーの歴史を纏っていることになります。これが、他のスポーツブランドのジャージとは一線を画す、adidasならではの「深み」であり、ファッション好きを惹きつけてやまない理由なのです。
部屋着に見えない「ファッションアイテム」としての進化
かつてのジャージと現代のトラックジャケットの決定的な違いは、その「シルエット」と「素材感」の進化にあります。
近年のモデルは、スポーツウェアとしての機能性を保ちつつ、街着として映えるようにパターン(型紙)が細かく調整されています。例えば、腕周りをすっきりさせたり、着丈と身幅のバランスを現代的にアレンジしたりすることで、スラックスや革靴とも違和感なく馴染むよう計算されています。
また、サステナブルな素材への転換も進んでおり、リサイクルポリエステルを使用しながらも、ヴィンテージのような肉厚な質感や光沢感を再現する技術が向上しています。これにより、「楽だから着る」のではなく、「お洒落だから着る」アイテムへと完全に昇華したと言えるでしょう。
Chart|adidasトラックジャケットの人気推移とトレンド相関図
| 年代 | ファッショントレンド | adidasジャージの立ち位置 |
|---|---|---|
| 70s-80s | オールドスクール・ヒップホップ | カルチャーアイコン(Run-D.M.C.等) |
| 90s | ブリットポップ・グランジ | ミュージシャンの象徴・ヴィンテージブーム |
| 00s | スポーツミックス黎明期 | ストリートファッションの定番 |
| 2020s- | Y2K・ジェンダーレス | 必須トレンドアイテム・投資価値のある定番 |
現役アパレルバイヤーのアドバイス
「トラックジャケットの流行は一過性のものだと思われがちですが、バイヤーの視点で見ると、すでに『デニム』や『ミリタリージャケット』と同じような『永世定番』のカテゴリに入ったと確信しています。特にadidasのクラシックモデルは、流行り廃りに関係なく、手入れさえすれば10年後も着続けられる資産価値のある服です。今買うなら、単なる流行消費ではなく、長く付き合える相棒を選ぶつもりで投資することをおすすめします」
【決定版】定番3大モデルを徹底比較!あなたに合うのはどれ?
adidasのトラックジャケットを購入する際、最も多くの人が直面する壁が「モデルの違い」です。一見すると同じように見える3本線のジャージですが、実は「BECKENBAUER(ベッケンバウアー)」「FIREBIRD(ファイヤーバード)」「SST(スーパースター)」という3つの主要モデルが存在し、それぞれ全く異なる特徴を持っています。
これらを知らずに「なんとなく」で選んでしまうと、「思っていたシルエットと違う」「襟が立たなくてイメージと異なる」といった失敗に直結します。ここでは、現役バイヤーが3大モデルを徹底的に解剖し、あなたに最適な一着を導き出します。
Table|3大モデル(ベッケンバウアー/ファイヤーバード/SST)スペック比較表
| モデル名 | 襟(ネック)の形状 | 素材感 | シルエット | おすすめスタイル |
|---|---|---|---|---|
| BECKENBAUER (ベッケンバウアー) |
高い立ち襟 (スタンドカラー) |
肉厚でマット コットン混が多い |
ややタイト きれいめ |
クラシック モード 大人カジュアル |
| FIREBIRD (ファイヤーバード) |
標準的な立ち襟 (スタンドカラー) |
光沢のあるトリコット (ポリエステル) |
ゆったりめ リラックス |
ストリート Y2K オーバーサイズ |
| SST (スーパースター) |
リブ襟 (ボンバー襟) |
程よい厚みと光沢 伸縮性が高い |
スタンダード ラグラン袖 |
スポーティ レイヤード アメカジ |
BECKENBAUER(ベッケンバウアー):クラシックな風格と立ち襟が魅力
1967年に登場したadidas初のトラックスーツを復刻したモデルであり、現在のブームの中心にいるのがこの「ベッケンバウアー」です。
最大の特徴は、何と言っても「圧倒的な存在感を放つ高い立ち襟」です。ファスナーを上まで閉めた時の首元の立ち上がりが非常に美しく、ジャケットやコートのインナーに合わせても埋もれません。
素材はコットンとポリエステルを混紡したものが多く(年代やシーズンによります)、しっかりとした肉厚な生地感で、表面はややマットな風合いです。また、パンツの前面に「センタープリーツ(縫い付け)」が施されているのも特徴で、これによりジャージでありながらスラックスのような上品な印象を与えます。
- おすすめな人:ヴィンテージライクな着こなしを好む人、きれいめに着たい人、首元のレイヤードを楽しみたい人。
FIREBIRD(ファイヤーバード):ゆったりシルエットの王道ストリート
90年代から00年代にかけてストリートシーンで爆発的な人気を誇ったのが「ファイヤーバード」です。ベッケンバウアーと並ぶスタンドカラー(立ち襟)ですが、こちらはより高さが控えめで、スポーティな印象が強くなります。
特徴的なのはその素材感とシルエットです。「トリコット」と呼ばれる光沢のあるポリエステル素材を使用しており、ツルツルとした手触りと独特のテカリがあります。これぞ「ザ・ジャージ」といったレトロな雰囲気です。
シルエットは全体的に「ゆったりとしたリラックスフィット」で作られており、アームホールや身幅にも余裕があります。現代のオーバーサイズトレンドに最もマッチしやすいモデルと言えるでしょう。
- おすすめな人:ストリートスタイル、ダボっとしたオーバーサイズで着たい人、90s〜Y2Kファッションを意識する人。
SST(スーパースター):リブ襟が特徴のスポーティなスタンダード
名作スニーカー「スーパースター」に合わせて作られたと言われるのが「SST」トラックトップです。他の2モデルとの決定的な違いは、襟が「リブ襟(ボンバー襟)」になっている点です。
襟が立たないため首元がすっきりとしており、パーカーのフードを出したり、シャツの襟を見せたりするレイヤードスタイルに最適です。また、肩周りが「ラグランスリーブ」(肩の切り替えがなく、首から脇にかけて斜めに切り替えが入る仕様)になっていることが多く、肩幅を気にせずに着られるため動きやすさはピカイチです。
体に程よくフィットするスタンダードなシルエットで、流行に左右されない普遍的なデザインが魅力です。
- おすすめな人:パーカーとの重ね着を楽しみたい人、動きやすさ重視の人、いかり肩やなで肩など肩幅に悩みがある人。
その他の注目モデル(アディカラー、プライムブルーなど)
上記3大モデル以外にも、「アディカラー(adicolor)」シリーズや、海洋プラスチックを再利用した「プライムブルー(Primeblue)」素材を使用したモデルなどが展開されています。これらは基本的に3大モデルのデザインベースを踏襲しつつ、素材やカラーリングで季節ごとのトレンドを反映させたものです。
特に最近では、ワッフル素材を使用したモデルや、ベロア素材のモデルも人気急上昇中です。しかし、最初の一着を選ぶのであれば、まずは基本の3モデルから自分のスタイルに合うものを選ぶのが間違いありません。
現役アパレルバイヤーのアドバイス
「初心者が最初に選ぶべきモデルとして、私は個人的に『ベッケンバウアー』を強く推します。理由は、その『汎用性の高さ』です。立ち襟のおかげで、ジップを開ければラフに、閉めればモードな雰囲気にと、表情をガラリと変えることができます。また、生地に厚みがあるため体型を拾いにくく、ジャージ特有の『部屋着感』が最も出にくいモデルだからです。迷ったらまずはベッケンバウアーを試着してみてください」
古着市場で人気の「ATP」とは?現行品との違いをプロが解説
adidasのトラックジャケットを探していると、必ずと言っていいほど目にするのが「ATP」というキーワードです。古着市場では高値で取引されていますが、一体何がそんなに特別なのでしょうか?
ここでは、ヴィンテージadidasの代名詞とも言えるATPの特徴と、年代判別の基礎知識、そして現行品との関係性について解説します。知識として知っておくだけでも、選び方の視点がグッと深まります。
伝説の仕様「ATP(Keyrolan)」の特徴と魅力
ATPとは「Association of Tennis Professionals(男子プロテニス協会)」の略称です。70年代後半から80年代にかけて、adidasがATPの公式ウェアを手掛けていた時期に生産されたモデルを指します。
このATPモデルが伝説とされる最大の理由は、デザインもさることながら、その素材にあります。当時使用されていた「Keyrolan(キーローラン)」という生地は、ポリエステルとトリアセテートの混紡素材で、現代のジャージにはない「独特のぬめり感のある光沢」と「しっとりとした肌触り」を持っています。
このテロっとした落ち感のある生地が、着用した時に絶妙なドレープ(シワの波)を生み出し、非常に色気のあるシルエットを作ります。これが、世界中の古着ファンを魅了してやまない理由なのです。
タグで見る年代判別法(70s西ドイツ、80sデサント製など)
古着屋さんでジャージを掘る際、タグを見るだけで年代がわかると買い物が数倍楽しくなります。代表的なタグの変遷を簡単にご紹介します。
- 60s〜70s初期(西ドイツ製など):
タグに「West Germany」や「Made in France」の表記がある時代。トレフォイル(三つ葉)ロゴがないものや、あってもデザインが素朴なものが多く、希少価値が非常に高いです。 - 70s〜80s(デサント製):
日本の古着市場でよく見かけるのが、日本のスポーツメーカー「デサント」がライセンス製造していた時代のものです。タグにカタカナで「アディダス」や「デサント」と書かれています。日本人の体型に合ったサイズ感で、品質も非常に高く人気があります。 - 80s(ATPタグ):
タグに「ATP」のロゴが入っています。アメリカ製(Made in USA)が多く、前述したKeyrolan生地が使用されています。 - 90s〜(万国旗タグ):
各国の国旗がタグに描かれているもの。この時代からシルエットが大きくなり、ストリート色が強まります。
Image Description|年代別タグの変遷と見分け方チャート
(※ここではテキストで解説します)
[70s] 青地に金色のロゴ、または単色タグ。「Ventex」表記など。
[80s] ATPロゴ、または銀色のタグに青文字。
[90s] 銀色のタグに国旗が並んだ「万国旗タグ」。または「パフォーマンスロゴ(3本線の山型ロゴ)」が登場し始める。
ヴィンテージは高騰中?現行品で「古着の雰囲気」を出せるモデルはこれ
現在、状態の良いATPや西ドイツ製のヴィンテージは価格が高騰しており、数万円〜高いものでは10万円を超えることも珍しくありません。「ジャージにそこまでは出せない…」という方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが、現行の「ベッケンバウアー」や、adidas Originalsから定期的にリリースされる「復刻ライン」です。これらは過去の名作をベースにしているため、デザインの雰囲気はヴィンテージに近く、かつ新品なので清潔感があり、価格も定価(1万円〜1.5万円程度)で購入できます。
特に最近のベッケンバウアーは、あえてコットン混のレトロな質感を再現しているものもあり、古着ミックスのコーディネートにも違和感なく馴染みます。
古着を買う時の注意点(状態確認、リブの伸び、ファスナー破損)
もし古着に挑戦する場合は、以下の3点を必ずチェックしてください。
- リブの伸びと穴: 袖口や裾のリブは最もダメージが出やすい箇所です。ゴムが伸びきっていないか、虫食いの穴がないかを確認しましょう。
- ファスナーの稼働: 古いYKKジップやOPTIジップは、塗装が剥げていることが多く、動きが渋くなっている場合があります。スムーズに開閉できるか必ずテストしてください。
- 内側のコーティング剥がれ: 80年代以前の裏起毛モデルの中には、経年劣化で裏地から粉が出てくるものがあります。裏地を指で擦ってみて、粉が付かないか確認が必要です。
業界歴15年の古着バイヤーのアドバイス
「ヴィンテージを見極める際、私が真っ先に見るのは『タグの状態』です。タグの文字がはっきり残っているものは、着用回数が少なく洗濯ダメージも少ない『ミントコンディション』である可能性が高いです。逆にタグが真っ白になっていたり、切り取られているものは、かなり着込まれている証拠。生地が薄くなっている可能性があるので注意が必要です。最初は、信頼できる古着屋さんの実店舗で、店員さんに相談しながら選ぶのが一番の近道ですよ」
「着丈が短い」は本当?失敗しないサイズ選びの鉄則
adidasのトラックジャケットを購入する際、最も多くの人が頭を悩ませるのが「サイズ感」です。特に「adidasは着丈が短い」という噂を耳にして、サイズ選びに躊躇している方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、その噂は本当です。しかし、それは欠点ではなく、adidasならではのクラシックな仕様なのです。ここでは、その特徴を理解した上で、失敗しないサイズ選びの鉄則を伝授します。
adidas特有のサイズ感:なぜ着丈が短く作られているのか
adidasのクラシックモデルは、元々スポーツ選手が競技中に着用することを想定して作られています。激しい動きの中でも裾が邪魔にならないよう、また腰回りのフィット感を高めるために、伝統的に「着丈は短め、袖丈は長め」というパターンが採用されています。
特にベッケンバウアーなどの復刻モデルは、このオリジナルのシルエットを忠実に再現しているため、一般的なTシャツやパーカーと同じ感覚でサイズを選ぶと、「あれ?丈が足りない…」という事態に陥りやすいのです。
ジャストサイズ vs オーバーサイズ!シルエットの違いを検証
サイズ選びの正解は、あなたが「どう着たいか」によって全く異なります。
- ジャストサイズ(本来の着方):
クラシックでスポーティな印象。着丈はベルトが隠れるか隠れないか程度。ワイドパンツと合わせるとAラインが作れて脚長効果が高いです。 - ワンサイズアップ(推奨):
程よいゆとりが生まれ、現代的なファッションとして着やすいバランス。着丈も腰骨あたりまで来るため、インナーとのレイヤードもしやすくなります。 - ツーサイズアップ(オーバーサイズ):
ストリート感が強まります。袖がかなり長くなるため、袖口に溜まりができます。ファイヤーバードなどの元々ゆったりしたモデルでやると、だらしなく見える可能性もあるので注意が必要です。
Image Description|身長別・サイズ着用比較イメージ(目安)
身長170cmの男性の場合:
Mサイズ: ジャストフィット。着丈65cm前後。かなりコンパクトで、インナーは薄手のTシャツ推奨。
Lサイズ: ゴールデンサイズ。着丈67-68cm前後。程よいゆとりがあり、スウェットの上にも羽織れる。
XLサイズ: オーバーサイズ。着丈70cm以上。お尻が半分隠れる程度。袖はかなり余る。
(※モデルや年代により数値は異なります。必ず実寸を確認してください)
【身長別】推奨サイズチャートと選び方の目安
現行品の一般的なサイズ感(日本規格)に基づいた推奨サイズは以下の通りです。ただし、「着丈の短さ」をカバーしたい場合は、迷わず「普段より1〜2サイズ上」を選ぶことを強くおすすめします。
| 身長 | 細身・ジャストで着たい | 普通・少しゆとりが欲しい | 太め・オーバーサイズ |
|---|---|---|---|
| 160-165cm | S / M | L | XL |
| 165-170cm | M | L | XL / 2XL |
| 170-175cm | L | XL | 2XL / 3XL |
| 175-180cm | XL | 2XL | 3XL / 4XL |
| 180cm以上 | 2XL | 3XL | 4XL〜 |
※特に古着の「デサント製(70s-80s)」は、現代のサイズ感よりもかなり小さめ(表記サイズより2サイズくらい小さい感覚)に作られています。古着を買う際は、表記サイズ(3号、4号など)だけで判断せず、必ず実寸を確認してください。
通販で購入する前に必ず確認すべき「身幅」と「裄丈」
試着ができない通販で購入する場合、着丈だけでなく「身幅」と「裄丈(ゆきたけ)」を必ずチェックしてください。
- 身幅: 脇の下の直線距離。ここが狭いとファスナーが閉まらなかったり、パツパツに見えてしまいます。自分の手持ちのパーカーなどを測って比較しましょう。
- 裄丈: 首の後ろ中心から肩を通って袖口までの長さ。ラグランスリーブのモデル(SSTなど)は肩幅が測れないため、この裄丈が袖の長さの基準になります。
現役アパレルバイヤーのアドバイス
「私自身、過去に何度もサイズ選びで失敗してきました。特に痛感したのは『着丈の3cmは印象を劇的に変える』ということです。以前、ジャストサイズだと思って買ったMサイズの着丈が予想以上に短く、バンザイするとお腹が見えてしまうため、結局クローゼットの肥やしになってしまいました。それ以来、私は基本的に『XLまたは2XL』を選んでいます。大は小を兼ねます。袖が長くてもリブで止まりますが、着丈が短いのはどうにもなりません。迷ったらサイズアップ。これが鉄則です」
脱・部屋着!お洒落に見せるコーディネート術と実例
お気に入りの一着を手に入れても、合わせ方を間違えると「部活帰り」や「近所のコンビニに行く人」に見えてしまうのがジャージの怖いところです。ここでは、トラックジャケットを洗練されたファッションアイテムとして着こなすための具体的なテクニックをご紹介します。
【シティボーイ風】スラックス×革靴で合わせる大人ミックス
今最も旬なのが、きれいめなアイテムと合わせるスタイルです。トラックジャケットのスポーティさを、ドレスライクなアイテムで中和します。
- ボトムス: センタープレスの入ったスラックス、チノパン。色はグレー、ネイビー、ベージュなどのベーシックカラー。
- 足元: ローファーや革靴、あるいはクラークスのようなスエードシューズ。
- ポイント: インナーに白シャツを入れて襟を少し見せたり、眼鏡やキャップなどの小物を足すことで、知的な「シティボーイ」感を演出できます。
【ストリート】太めのデニム・カーゴパンツとの黄金比
王道のストリートスタイルですが、今の気分は「上下ともにルーズすぎない」バランス感覚です。
- ボトムス: ウォッシュのかかった太めのデニム、カーゴパンツ、ディッキーズなどのワークパンツ。
- 足元: ボリュームのあるスニーカー(adidasならスーパースターやサンバ、キャンパスなど)。
- ポイント: 上半身(トラックジャケット)を少しコンパクトにするか、あるいはファスナーを全開にして中のプリントTシャツを見せることで、野暮ったさを回避します。
【セットアップ】難易度高め?上下ジャージをお洒落に着こなすコツ
上下揃いのセットアップは難易度が高いと思われがちですが、統一感が出るため実は一番「それっぽく」見えるスタイルです。
- コツ: 部屋着に見せないためには、サイズ感が命です。だらしないオーバーサイズよりも、少しすっきりとしたサイズ感を選ぶのがベター。
- 小物使い: セットアップの時は、必ずアクセサリー(ネックレス、リング)や、質の良いバッグ、レザーシューズなどを合わせましょう。「あえてセットアップを着ている」という主張を小物で表現するのが鍵です。
【インナー使い】トラックジャケットをコートの中に着込む上級テク
秋冬におすすめなのが、トラックジャケットを「インナー」として使うテクニックです。
- アウター: トレンチコート、ステンカラーコート、テーラードジャケット、ダウンジャケット。
- 着こなし: コートの中から、トラックジャケットの立ち襟やフロントのジップ、そして象徴的な3本線をチラ見せします。異素材の組み合わせが奥行きを生み、一気に上級者の雰囲気になります。
NGコーデ例:これをやると「部活帰り」に見えてしまう注意点
逆に、避けるべきNGコーデも知っておきましょう。
- NG例1:中途半端な細さのジーンズ合わせ
スキニーでもなくワイドでもない、中途半端なストレートデニムと合わせると、どうしても「普通のお父さんの休日」感が出てしまいます。シルエットにはメリハリをつけましょう。 - NG例2:ヨレヨレのインナーが見えている
ジャケットの裾から、ヨレたTシャツがだらしなくはみ出していると清潔感が損なわれます。インナーの着丈バランスには気を使いましょう。 - NG例3:全身スポーティすぎる
ジャージにスポーツ用のランニングシューズ、スポーツバッグを合わせると、それはもう「運動する人」です。どこかに必ず「街着」の要素(革、デニム、アクセサリーなど)を取り入れましょう。
現役スタイリストのアドバイス
「トラックジャケットの着こなしで最も重要なのは『ボトムスの太さ』です。トラックジャケット自体は比較的タイト〜標準的なシルエットが多いので、ボトムスに『ワイドなシルエット』を持ってくると、綺麗なAラインができて今っぽいバランスになります。細身のパンツを合わせる場合は、あえてトラックジャケットをかなり大きめにする『Yライン』を意識してください。上下ピチピチだけは避けましょう」
長く愛用するためのお手入れと洗濯方法
お気に入りのトラックジャケットを長く着続けるためには、正しいメンテナンスが欠かせません。特に古着や、長く愛用してクタッとしてきたジャージはデリケートです。ここでは、縮みや毛玉を防ぐプロの洗濯術をお伝えします。
洗濯機はOK?縮みを防ぐ正しい洗い方
基本的にadidasのトラックジャケット(ポリエステル製)は家庭の洗濯機で洗えますが、以下の手順を守ることでダメージを最小限に抑えられます。
- 裏返してネットに入れる: 表面のロゴプリントや刺繍、ファスナーの金具を保護するため、必ず裏返して、目の細かい洗濯ネットに入れます。
- おしゃれ着洗いモード: 「手洗いコース」や「ドライコース」など、水流の弱いモードを選びます。
- 中性洗剤を使用: 一般的なアルカリ性洗剤よりも、生地への負担が少ない中性洗剤(おしゃれ着洗剤)を使用しましょう。蛍光増白剤入りの洗剤は色褪せの原因になるので避けてください。
- 乾燥機は絶対NG: ポリエステルは熱に弱く、乾燥機にかけると縮んだり、ジッパーが波打ったりする原因になります。必ず風通しの良い日陰で吊り干ししてください。
毛玉(ピリング)ができた時の対処法
ポリエステル素材の宿命とも言えるのが毛玉です。脇や袖の内側など、擦れる部分にできやすいです。
- 対処法: 指でむしり取るのは絶対にNGです。生地が薄くなってしまいます。市販の毛玉取り機を使うか、T字カミソリで優しく表面を撫でるようにして除去しましょう。
ファスナーの滑りを良くするメンテナンス
ヴィンテージや長く着ているもので、ファスナーの滑りが悪くなった場合は、潤滑剤を使います。
- 対処法: ファスナー専用の潤滑スプレーを使うのがベストですが、家庭にある「ロウソク」や「鉛筆の芯(黒鉛)」をエレメント(ギザギザ部分)に軽く擦り付けるだけでも滑りが劇的に改善します。
古着特有の匂いを取る方法
古着を購入した際に気になる「古着臭」。これは前の持ち主の柔軟剤や保管環境の匂いが混ざったものです。
- 対処法: 重曹を溶かしたぬるま湯に1時間ほどつけ置きしてから洗濯するのが効果的です。それでも取れない場合は、スチームアイロンの蒸気をたっぷりと当てることで、匂いの粒子を飛ばすことができます。
詳しい洗濯表示マークの解説と推奨洗剤リスト
洗濯表示の確認: タグにある「桶に水が入ったマーク」を確認してください。数字(30や40)は水温の上限です。「手」のマークがある場合は手洗い推奨。「×」がついている場合はクリーニング店へ。
推奨洗剤: エマール(花王)、アクロン(LION)などの中性洗剤が、型崩れや色落ちを防ぐために最適です。柔軟剤は適量であれば使用OKですが、吸水速乾機能を損なう場合があるため、スポーツ用途で使う場合は控えめに。
よくある質問 (FAQ)
最後に、adidasトラックジャケットに関する細かな疑問に、一問一答形式でお答えします。
Q. メンズのSサイズは女性でも着られますか?
A. はい、問題なく着られます。
むしろ、メンズのSサイズやMサイズを女性が着るケースは非常に多いです。レディースモデルはウエストがシェイプされていたり、着丈が極端に短かったりすることがあるため、あえてメンズモデルを選んで、ボーイッシュに着こなすのが現在のトレンドです。
Q. 偽物と本物の見分け方はありますか?
A. 縫製とロゴの刺繍精度に注目してください。
粗悪な偽物は、トレフォイルロゴの刺繍が歪んでいたり、3本線の縫い付けが雑で波打っていたりします。また、内タグの品番(Art No.)をGoogle検索して、全く違う商品が出てくる場合は偽物の可能性が高いです。ただし、近年はスーパーコピーも増えているため、確実なのは正規店や信頼できる古着屋で購入することです。
Q. トラックジャケットは夏以外のどの季節まで着られますか?
A. 真夏以外はオールシーズン活躍します。
春・秋は羽織りとして主役に。冬はコートやダウンのインナーとして。夏場でも、冷房対策として鞄に入れておくのに便利です。薄手のジャージ素材は通年使える万能アイテムです。
Q. 襟は立てて着るべき?折って着るべき?
A. モデルと気分によりますが、「立てて着る」のが今の気分です。
特にベッケンバウアーのような立ち襟モデルは、全部閉めて襟を立てることでモードな印象になります。逆にSSTのようなリブ襟は、立てようがないので自然に寝かせて着ます。ファイヤーバードは、半分開けて襟を折ると90年代風のラフな雰囲気が出せます。
現役アパレルバイヤーのアドバイス
「襟の扱いは、その日の『本気度』を調整するスイッチのようなものです。ビシッと決めたい時は上まで閉めて襟を立てる。リラックスしたい時はジップを胸元まで下げて襟を寝かせる。この微調整だけで、同じジャケットでも全く違う表情を楽しめるのが、トラックジャケットの奥深いところですね」
まとめ:自分だけの一着を見つけてファッションを楽しもう
ここまで、adidasトラックジャケットの選び方からコーディネート術まで、プロの視点で解説してきました。単なる流行アイテムではなく、歴史的背景を持ち、長く愛用できる「名品」であることがお分かりいただけたかと思います。
最後に、あなたにとって最高の一着に出会うためのチェックポイントをおさらいしましょう。
- モデル選び: きれいめなら「ベッケンバウアー」、ストリートなら「ファイヤーバード」、重ね着派なら「SST」。襟と素材の違いで選ぶ。
- サイズ選び: 「着丈の短さ」を考慮し、迷ったらワンサイズアップを選ぶ。古着の場合は必ず実寸を確認する。
- コーディネート: 部屋着に見せないために、スラックスや太めのデニムなど、街着としてのボトムスを合わせる。
adidasのトラックジャケットは、一度袖を通せばその着心地の良さと使い勝手の良さに、きっと手放せなくなるはずです。ぜひこの記事を参考に、あなたのスタイルにフィットする運命の一着を見つけ出し、自由なファッションを楽しんでください。
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