突然の訃報に接し、動揺されていることとお察しいたします。「ご愁傷様です」という言葉は、相手の深い悲しみに寄り添い、その心を慰めるための非常に重要な挨拶言葉です。結論から申し上げますと、この言葉は目上の人や取引先に対しても問題なく使用できます。本来は対面で口頭にて伝えるのが正式なマナーですが、現代のスピード感が求められるビジネスシーンにおいては、急ぎのメールやLINEでお伝えすることも、決してマナー違反ではありません。
しかし、顔が見えない文字だけのコミュニケーションだからこそ、件名の付け方や言葉の選び方一つで、相手に与える印象が大きく変わってしまうリスクも孕んでいます。この記事では、現役のマナー講師の視点から、今すぐそのまま使える状況別のメール例文や、類似表現との明確な使い分け、さらには遺族として言葉をかけられた際の返信マナーまでを網羅的に解説します。
この記事でわかること
- 【コピペOK】取引先・上司・友人に送る状況別メール・LINE例文
- 「お悔やみ申し上げます」「ご冥福」との明確な使い分け基準
- 遺族として言われた際の正しい返信・対応マナー
焦る気持ちを少し落ち着けて、まずは必要な情報を確認していきましょう。あなたの誠意が正しく伝わるよう、全力でサポートいたします。
「ご愁傷様です」の意味と使ってよい相手・シーン
「ご愁傷様です」という言葉を耳にしたことはあっても、その正確な意味や語源、そして「どこまで使っていいのか」という境界線について、自信を持って説明できる方は少ないかもしれません。特にビジネスシーンでは、一つの言葉の選択ミスが信頼関係に影響を及ぼすこともあるため、基礎知識を確実に押さえておくことが重要です。
ここでは、言葉の本来の意味を紐解きながら、目上の人への使用可否や、メール・LINEといった略儀での連絡におけるマナーの正解を解説します。
正しい意味と「ご愁傷様」が指す範囲
「ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)」という言葉は、「愁(うれ)い」「傷(いた)み」という漢字が使われている通り、相手の心の傷や嘆きを指し示しています。「愁傷」とは、本来「嘆き悲しむこと」を意味する名詞です。これに丁寧語の接頭辞「ご」と、相手への敬意を表す「様」をつけることで、「あなたの嘆き悲しむお姿を拝見し、私も心が痛みます」「どうかその悲しみが癒えますように」という、相手に対する深い同情と慰めの気持ちを表現する言葉となります。
この言葉が指す範囲は非常に広く、通夜や葬儀・告別式の場での挨拶としてはもちろん、訃報を聞いた直後のとっさの挨拶や、後日お会いした際のお悔やみの言葉としても使用されます。また、対象となる相手も選びません。親族を亡くされた方であれば、その関係性が親であれ配偶者であれ、あるいは兄弟であれ、区別なく使用できるのが「ご愁傷様です」の大きな特徴です。汎用性が高いからこそ、正しいニュアンスを理解して心を込めて発することが求められます。
目上の人やビジネス相手に使っても失礼ではないか?
結論から申し上げますと、「ご愁傷様です」は目上の人、上司、取引先の重役など、敬意を払うべき相手に対して使用しても全く失礼にはなりません。むしろ、相手の悲しみを敬う最上級の敬語表現の一つとして認識されています。
ビジネスシーンにおいて、上司や取引先の方のご家族に不幸があった際、「何と声をかけてよいかわからない」と躊躇してしまうことがありますが、沈黙を守るよりも「この度はご愁傷様でございます」と声をかけることこそが、社会人としての適切な振る舞いです。ただし、相手が非常に目上の方である場合や、より改まった場では、語尾を「ご愁傷様でございます」と丁寧語を強調することで、より深い敬意と哀悼の意を表すことができます。「です」でも間違いではありませんが、「ございます」を用いることで、より厳粛なニュアンスが伝わります。
メールやLINEで伝えても問題ないケースとは
本来、お悔やみの言葉は直接お会いして(拝眉の上)伝えるのが正式なマナーです。しかし、現代のビジネス環境やライフスタイルにおいて、すぐに駆けつけることが難しいケースは多々あります。そのような場合、メールやLINEでお悔やみを伝えることは「略儀(りゃくぎ)」として広く許容されています。
具体的には、以下のようなケースではメールやLINEでの連絡が推奨されます。
- 遠方にいてすぐに参列できない場合:弔電を打つ手配と並行して、まずはメールで取り急ぎの弔意を伝えます。
- 深夜や早朝に訃報を知った場合:電話では相手の迷惑になる時間帯でも、メールであれば相手のタイミングで確認できるため、配慮ある連絡手段となります。
- 相手が多忙で電話がつながらない場合:葬儀の準備などで遺族は極めて多忙です。電話で時間を奪うよりも、メールで簡潔に伝える方が相手への負担を減らせます。
- 親しい間柄(友人・同僚)の場合:LINEなどのメッセージアプリを使用しても問題ありませんが、スタンプのみで済ませることは避け、必ず文章を添えるようにしましょう。
現役ビジネスマナー講師のアドバイス
「本来、お悔やみは対面が正式ですが、現代のビジネスシーンでは『何も連絡しない』ことこそが最大のマナー違反です。迷っている間に時間が過ぎてしまうより、まずは連絡を入れることが大切です。ただし、メールはあくまで『略儀(正式ではない方法)』であることを理解し、文末に『本来であれば拝眉の上、お悔やみ申し上げるべきところ、略儀ながらメールにて失礼いたします』と一言添えるだけで、あなたの誠意と教養が伝わり、印象は劇的に変わります。」
【そのまま使える】状況・相手別「ご愁傷様です」メール・LINE例文集
訃報は予期せぬタイミングで届くものです。外出先や移動中、あるいは深夜にスマートフォンで連絡を受け、焦りながら返信を考えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、相手との関係性や状況に合わせて、そのままコピー&ペーストして使えるメール・LINEの例文をご紹介します。
重要なのは、形式を整えることだけでなく、相手の負担にならないよう配慮することです。特に「返信不要」の旨を記載することは、心身ともに疲弊している遺族への最大の思いやりとなります。
【取引先・社外】ビジネスメールの基本構成と件名の書き方
取引先の方へのお悔やみメールでは、ビジネスマナーを守りつつも、事務的になりすぎない温かみのある表現が求められます。また、相手は多くのメールを受け取っている可能性があるため、件名だけで「誰から」「何の用件か」が一目でわかるように工夫する必要があります。
件名のポイント:
「【お悔やみ】社名 氏名」のように、隅付き括弧を使って用件を強調します。「お疲れ様です」などの日常的な挨拶は件名には入れず、厳粛な雰囲気を保ちましょう。
例文:取引先担当者の親族が亡くなった場合
件名:【お悔やみ】〇〇株式会社 佐藤健太(あなたの氏名)
本文:
〇〇株式会社
営業部 課長 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
〇〇株式会社の佐藤でございます。
突然の悲報に接し、驚きを隠せません。
ご尊父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。
本来であればすぐにでも駆けつけ、お悔やみを申し上げたいところではございますが、
遠方のため、略儀ながらまずはメールにて失礼いたします。
〇〇様におかれましても、看病のお疲れが出ませんよう、
どうぞご自愛くださいませ。
なお、このメールへのご返信は無用でございます。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
————————————————–
署名
————————————————–
この例文では、冒頭で驚きと弔意を伝え、中盤で「略儀であることのお詫び」と「相手の体調への気遣い」を述べ、最後に「返信不要」の旨を添えています。この構成が、ビジネスお悔やみメールの黄金比と言えます。
【上司・社内】業務連絡を兼ねた配慮あるメッセージ
社内の上司や同僚へのメールでは、お悔やみの言葉に加え、業務に関する安心感を与えることが重要です。「仕事のことは心配せず、最後のお別れに専念してください」というメッセージが含まれていると、遺族は安心して休暇に入ることができます。
例文:上司の親族が亡くなった場合
件名:【お悔やみ】営業部 佐藤(あなたの氏名)
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。営業部の佐藤です。
ご母堂様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで、深い悲しみの中にいらっしゃることと拝察いたします。
お仕事のことは部内全員でカバーいたしますので、
どうかご心配なさいませんようお願い申し上げます。
本来であれば拝眉の上お悔やみを申し上げるべきところ、
略儀ながらメールにて失礼いたします。
なお、ご返信のお気遣いは無用です。
どうぞ安らかにお見送りなさってください。
————————————————–
署名
————————————————–
【友人・知人】LINEで送る際の短文メッセージとスタンプの是非
親しい友人や知人であれば、LINEでの連絡も自然です。しかし、いくら親しくても「親しき仲にも礼儀あり」を忘れてはいけません。絵文字や顔文字は避け、シンプルな言葉で気持ちを伝えましょう。スタンプについては、お悔やみ用の静かなデザインのもの(「お悔やみ申し上げます」等の文字が入ったもの)であれば許容される傾向にありますが、基本的にはテキストメッセージを送り、スタンプは避けるのが無難です。
例文:友人へのLINEメッセージ
〇〇(友人名)へ
お父様の訃報を聞いて、本当に驚いているよ。
突然のことで、まだ信じられない気持ちでいっぱいです。
心からお悔やみ申し上げます。
今は色々と大変な時期だと思うから、返信はいらないよ。
何か手伝えることがあったら、いつでも声をかけてね。
〇〇も体に気をつけて、無理しないでね。
英語で伝える「ご愁傷様です」(I am sorry for your loss)
グローバルなビジネス環境では、海外の取引先や同僚から訃報を受けることもあります。英語には「ご愁傷様です」に完全に相当する直訳はありませんが、定番のフレーズが存在します。
- I am so sorry for your loss.
(あなたの喪失に対して、大変残念に思います=ご愁傷様です) - Please accept my deepest condolences.
(私の心からの哀悼の意をお受け取りください=お悔やみ申し上げます) - My thoughts are with you and your family.
(私と私の想いは、あなたとご家族と共にあります=お気持ちお察しします)
これらを組み合わせ、”I am so sorry for your loss. Please accept my deepest condolences.” と伝えると、非常に丁寧で心のこもったメッセージとなります。
現役ビジネスマナー講師のアドバイス
「メールを作成する際、無意識に使ってしまいがちなのが『忌み言葉』と『重ね言葉』です。『たびたび』『ますます』『いよいよ』などの重ね言葉は、不幸が重なることを連想させるため厳禁です。また、『死ぬ』『生きる』という直接的な表現も避け、『ご逝去』『ご生前』と言い換えるのがマナーです。送信ボタンを押す前に、必ずもう一度読み返し、これらの言葉が含まれていないかチェックしましょう。」
葬儀・通夜・対面での挨拶マナーと所作
メールでの連絡を済ませた後、通夜や葬儀・告別式に参列することになった場合、実際の対面シーンでの振る舞いが重要になります。文字でのやり取りとは異なり、対面では言葉だけでなく、表情、声のトーン、お辞儀の深さといった「非言語コミュニケーション」が、あなたの弔意を雄弁に語ります。
ここでは、受付から遺族への挨拶まで、会場での一連の所作について解説します。
受付での挨拶:「この度はご愁傷様です」だけで良い?
葬儀会場に到着し、最初に挨拶をするのは受付です。ここでは長く話す必要はありません。受付係の方(多くは遺族の知人や会社関係者など、手伝いの方です)に対し、小さな声で簡潔に挨拶をします。
基本の挨拶例:
「この度は、誠にご愁傷様でございます」
「この度は、お悔やみ申し上げます」
これに続けて、「心よりお祈り申し上げます」と添えて一礼し、香典を渡します。受付が混雑している場合も多いため、余計な世間話はせず、スムーズに記帳へと進むことが周囲への配慮となります。雨天の場合などは「お足元の悪い中…」と声をかけられることがありますが、「恐れ入ります」と短く返すのがスマートです。
遺族に声をかけるタイミングと適切な距離感
通夜振る舞いの席や、焼香の前後で遺族と対面する機会があるかもしれません。しかし、遺族は悲しみの中にあり、同時に多くの参列者の対応に追われ、心身ともに疲弊しています。こちらから積極的に話しかけに行くのは避けましょう。
もし遺族の方と目が合ったり、向こうから近づいてきてくださった場合は、下から仰ぎ見るような視線は避け、伏し目がちに、静かなトーンで「この度は…」と切り出します。長々と故人との思い出話を語るのではなく、遺族の体調を気遣う言葉(「どうぞご無理をなさいませんように」など)を一言添えて、早めに切り上げるのがマナーです。
言葉に詰まった時の対処法:無理に話さず「礼」で伝える
突然の対面で、感極まって言葉が出なくなったり、適切な敬語が出てこなかったりすることもあるでしょう。そのような時に、無理に取り繕ってペラペラと話すのは逆効果です。
言葉に詰まってしまったら、無理に話す必要はありません。相手の目を見て、その後深く、長く頭を下げる(最敬礼)。これだけで十分です。沈黙は失礼ではなく、むしろ「言葉にならないほどの悲しみ」を表現する手段となります。遺族にとっても、静かな共有の時間は慰めになるものです。
現役ビジネスマナー講師のアドバイス
「言葉の内容以上に重要なのが『声のトーンと表情』です。ビジネスの現場ではハキハキと元気よく話すことが良しとされますが、葬儀の場では真逆です。語尾を少し濁すように(消え入るように)小さく発声し、口角を上げずに伏し目がちにすることで、悲しみの深さが伝わります。あえて『聞き取りにくい』くらいの声量で話すのが、この場における正しいマナーなのです。」
「お悔やみ申し上げます」「ご冥福」との違いと使い分け
「ご愁傷様です」と似た言葉に「お悔やみ申し上げます」や「ご冥福をお祈りします」があります。これらは混同されがちですが、使用すべきシーンや対象、さらには宗教的な制約において明確な違いがあります。誤った使い方をして恥をかかないよう、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
比較解説:「ご愁傷様です」vs「お悔やみ申し上げます」
この2つの言葉の最大の違いは、「話し言葉」か「書き言葉」か、そして「誰に対する言葉か」という点にあります。
| 比較項目 | ご愁傷様です | お悔やみ申し上げます |
|---|---|---|
| 主な使用シーン | 会話(口頭) ※メール・LINEも可 |
メール、手紙、弔電 ※口頭も可だがやや硬い |
| 意味の対象 | 遺族の「悲しみ」に対する同情 | 故人の死を「弔う」気持ち |
| ニュアンス | 相手に寄り添う挨拶 | 改まった弔意の表明 |
| 宗教の制約 | なし(全宗教OK) | なし(全宗教OK) |
「ご愁傷様です」は、目の前の遺族に対する「挨拶」としての性質が強く、会話の中で自然に使えます。一方、「お悔やみ申し上げます」は、より形式的で文章に適した表現です。メールの文末などで「謹んでお悔やみ申し上げます」と結ぶ使い方が一般的です。
注意:「ご冥福をお祈りします」は遺族に使ってはいけない?
よく耳にする「ご冥福をお祈りします」ですが、これには大きな落とし穴があります。まず、「ご冥福」とは「死後の幸福」を意味するため、遺族に対して「ご冥福をお祈りします」と言うのは間違いです。「(故人の)ご冥福をお祈りします」と、故人に対して向ける言葉だからです。
さらに重要なのが宗教的な違いです。「冥福」は仏教用語であり、死後の世界(冥土)での幸せを祈るという意味を含みます。そのため、以下の宗教・宗派では使用を避けるべきです。
- 神道(神式):故人は家の守り神となると考えられているため、冥土へ行くという概念がありません。「御霊(みたま)の安らかならんことをお祈りします」などが適切です。
- キリスト教:死は神の御許(みもと)に召されることであり、祝福されるべきことと捉える場合もあります。「安らかな眠りをお祈りします」などが適切です。
- 浄土真宗:亡くなると即座に仏になる(往生する)という教えのため、冥土をさまよう期間が存在しません。「哀悼の意を表します」などが無難です。
相手の宗派がわからない場合は、「ご冥福」という言葉を使わず、「哀悼の意を表します」や「安らかなお眠りをお祈りします」と言い換えるのが最も安全な策です。
「哀悼の意を表します」は弔電や書き言葉専用
「哀悼(あいとう)の意を表します」という表現は、非常に格式高い言葉ですが、日常会話や対面での挨拶で使うには硬すぎます。基本的には、弔電やフォーマルな書面、あるいは会社の公式な訃報通知などで使用される「書き言葉」専用の表現と覚えておきましょう。
詳細:お悔やみ用語の使い分け早見表
| 用語 | 口頭 | メール | 弔電 | 宗教的注意 |
|---|---|---|---|---|
| ご愁傷様です | ◎(最適) | ○ | △(話し言葉的) | なし |
| お悔やみ申し上げます | ○ | ◎(最適) | ◎ | なし |
| ご冥福をお祈りします | △(遺族にはNG) | ○(文末に) | ◎ | 仏教以外注意 |
| 哀悼の意を表します | ×(硬すぎる) | △ | ◎(最適) | なし |
「ご愁傷様です」と言われたら?遺族側の返信・返答マナー
ここまでは「伝える側」のマナーを解説してきましたが、人生には逆の立場、つまり「遺族としてお悔やみの言葉を受ける側」になる場面も必ず訪れます。悲しみの中で多くの言葉をかけられ、どう返事をしてよいか戸惑うこともあるでしょう。
遺族側のマナーとして大切なのは、「気遣いへの感謝」を短く伝えることです。長々と話す必要はありません。
対面で言われた時の返答:「恐れ入ります」「痛み入ります」
葬儀の受付や会場内で「この度はご愁傷様です」と声をかけられた場合、無言で会釈をするだけでも失礼にはあたりませんが、一言返すのであれば以下の言葉が適切です。
- 「恐れ入ります」:相手の心遣いに対して恐縮する気持ちを表します。最も汎用性が高く、使いやすい言葉です。
- 「痛み入ります」:相手の親切や好意が身に染みてありがたい、という意味です。目上の方から丁寧なお悔やみをいただいた際に適しています。
- 「ありがとうございます」:シンプルですが、心を込めて言えば十分に伝わります。「ご丁寧にありがとうございます」と付け加えるとより丁寧です。
「わざわざお越しいただき、ありがとうございます」と添えるのも良いでしょう。ただし、泣いてしまって言葉が出ない場合は、無理に話そうとせず、深く頭を下げるだけで相手には十分伝わります。
メール・LINEへの返信例文:気遣いへの感謝を短く伝える
メールやLINEでお悔やみのメッセージをもらった場合、相手が「返信不要」と書いてくれていたとしても、落ち着いたタイミングで返信をするのが大人のマナーとして望ましい場合があります(もちろん、精神的に辛い場合は無理をする必要はありません)。
返信は短文で構いません。相手も返信を期待して長文を送っているわけではないからです。
返信例文:友人・知人へ
〇〇さん
温かいお言葉をありがとう。
〇〇さんの優しさに、心が救われる思いです。
葬儀が終わり、少し落ち着いたらまた連絡させてください。
本当にありがとう。
ビジネスメールでの返信:業務連絡との兼ね合い
取引先や上司からのメールには、感謝の言葉とともに、業務復帰の目処などを一言添えると、相手も安心します。
返信例文:取引先へ
〇〇株式会社
〇〇様
ご丁寧なお悔やみのメールをいただき、誠に恐れ入ります。
温かいお心遣いに、深く感謝申し上げます。
葬儀を滞りなく済ませ、〇月〇日より出社予定です。
不在中はご迷惑をおかけしますが、復帰後改めてご挨拶に伺います。
略儀ながらメールにて、御礼申し上げます。
————————————————–
署名
————————————————–
現役ビジネスマナー講師のアドバイス
「メールに『返信無用』とあっても、返すべきか迷うことがありますよね。ビジネス上の重要な関係性であれば、『お気遣いありがとうございます』と一言だけ返すのが円滑な場合も多いです。ただし、それは『今すぐ』である必要はありません。葬儀直後の混乱期は避け、すべてが終わって落ち着いてから『遅くなりましたが』と送信するのが鉄則です。相手もあなたの状況を理解していますので、焦る必要は全くありません。」
注意!皮肉や嫌味として使われる「ご愁傷様」
「ご愁傷様です」という言葉は、本来は純粋な同情と慰めの言葉ですが、残念ながら現代の日本では、文脈によって「皮肉」や「嫌味」として使われるケースが存在します。このネガティブな側面を理解しておくことは、意図せず相手を不快にさせるリスクを回避するためにも重要です。
日常会話やネットスラングとしてのネガティブな意味
ドラマやアニメ、あるいはネット上の掲示板などで、「それはご愁傷様だね」と軽く言い放つシーンを見たことがあるかもしれません。この場合、相手の失敗や不運に対して、「ざまあみろ」「精々苦労してくれ」「自分には関係ないけどね」といった、突き放したような、あるいは嘲笑するようなニュアンスが含まれています。
例えば、面倒な仕事を押し付けられた同僚に対して「残業確定か、ご愁傷様」と言うのは、完全に皮肉としての用法です。
誤解を避けるために:軽い場面では使わないのが無難
このような「皮肉の用法」が広まっているため、本当に同情すべき軽いトラブル(例:財布を落とした、風邪を引いた等)に対して「ご愁傷様です」と言うと、相手によっては「馬鹿にされている」と受け取られる可能性があります。
ビジネスシーンにおいて、人の死以外の不運(プロジェクトの失敗や人事異動など)に対して「ご愁傷様です」を使うのは絶対に避けましょう。誤解を招くリスクが高すぎます。そういった場面では、「大変でしたね」「お察しします」「お力になれることがあれば仰ってください」といった、誤解の余地のない言葉を選ぶのが賢明です。
よくある質問(FAQ)
最後に、「ご愁傷様です」の使い方に関して、現場の研修やQ&Aで頻繁に寄せられる質問にお答えします。細かい疑問をここで解消しておきましょう。
Q. 亡くなったのが誰かわからない場合でも使えますか?
A. はい、使えます。
「ご愁傷様です」は相手(遺族)に対する言葉ですので、亡くなったのが誰であるか(父か母かなど)を特定する必要はありません。むしろ、詳しく聞くことが憚られるような状況では、「この度はご愁傷様でございます」とだけ伝えるのが最もスマートで配慮のある対応です。
Q. 「ご愁傷様」は話し言葉ですか?書き言葉ですか?
A. 本来は「話し言葉」ですが、書き言葉としても定着しています。
厳密には口頭で使う挨拶言葉ですが、前述の通りメールやLINEなどの「略儀」においては、書き言葉として使用してもマナー違反ではありません。ただし、弔電や正式な手紙では「お悔やみ申し上げます」や「哀悼の意を表します」を使うのが正式なマナーとされています。
Q. 家族葬で辞退されている場合、メールもしない方がいいですか?
A. 相手との関係性によりますが、控えるのが無難な場合もあります。
「香典・供花・弔電を辞退する」という通知があった場合でも、メールを送ること自体は禁止されていません。しかし、遺族が「静かに見送りたい」「対応に追われたくない」と願って家族葬を選んでいる場合、大量のメールへの返信が負担になることも考えられます。非常に親しい間柄や直属の上司でなければ、後日出社された際に直接お悔やみを伝えるか、メールを送るにしても「返信は一切不要です」と強く念押しする配慮が必要です。
まとめ:相手を思いやる心が一番のマナー
ここまで、「ご愁傷様です」の正しい使い方やメール例文、マナーについて詳しく解説してきました。多くのルールや形式があり、難しく感じられたかもしれません。しかし、最も大切なのは「形式」そのものではなく、その奥にある「相手を思いやる心」です。
多少言葉遣いが拙くても、敬語が完璧でなくても、「あなたの悲しみに寄り添いたい」「何か力になりたい」という真摯な気持ちがあれば、それは必ず相手に伝わります。逆に、どんなに完璧な敬語を使っていても、心がこもっていなければ、それはただの事務連絡に過ぎません。
現役ビジネスマナー講師のアドバイス
「失敗を恐れすぎないでください。マナーとは『自分が恥をかかないための鎧』ではなく、『相手を不快にさせないためのクッション』です。形式も大切ですが、最も大切なのは『あなたの悲しみに寄り添いたい』という気持ちです。完璧な敬語でなくとも、心のこもった『ご愁傷様です』の一言は、必ず相手の心に届きます。勇気を出して、その一言を伝えてあげてください。」
最後に、お悔やみのメールやLINEを送信する前の最終確認リストを用意しました。送信ボタンを押す前に、もう一度だけチェックしてみてください。
要点チェックリスト:お悔やみメール送信前の最終確認
- 件名は一目で用件と送信者がわかるか?(例:【お悔やみ】〇〇株式会社 佐藤)
- 「重ね言葉」(たびたび、ますます)や「忌み言葉」(死ぬ、生きる)を使っていないか?
- 「ご冥福をお祈りします」を遺族への敬称として使っていないか?(正しくは故人へ向ける言葉)
- 相手の宗教に配慮した表現になっているか?(不明な場合は「哀悼の意」などが無難)
- 本文の最後に「返信不要」の旨を添えて、相手の負担を減らしているか?
この記事が、あなたの迷いを消し、大切な方へ温かい気持ちを届ける一助となれば幸いです。
コメント