ビジネスの現場において、一度決定したアポイントメントや会議の日程を変更すること、いわゆる「リスケ(日程変更)」は、極力避けるべき事態です。しかし、予期せぬトラブル、急な体調不良、あるいはより優先度の高い重要案件の発生などにより、どうしても日程を再調整せざるを得ない場面は、誰にでも訪れます。
結論から申し上げますと、リスケそのものが直ちに信頼失墜につながるわけではありません。真の問題は、変更が発生した際の「対応スピードの遅さ」と、相手への配慮を欠いた「言葉選び」にあります。誠意ある迅速な対応と、マナーを押さえた適切なコミュニケーションができれば、相手の信頼を損なうことなく、むしろ「トラブル時の対応がしっかりしている」という好印象を与えてリカバリーすることさえ可能です。
この記事では、企業の役員秘書として月間200件以上のスケジュール調整を行い、数々の突発的な変更対応を経験してきた筆者が、相手に失礼にならないための手順と、そのままコピーして使えるメール例文を徹底解説します。
この記事でわかること
- 上司や取引先にも失礼にならない「リスケ」の正しい伝え方とマナー
- 【状況別】コピペで即送信可能な日程変更のお詫びメール例文・電話トーク集
- ピンチをチャンスに変え、トラブルを回避しつつ好印象を与えるリカバリーのコツ
急な変更で焦っている方も、まずはこの記事のテンプレートを活用し、落ち着いて誠実な連絡を入れてください。
そもそも「リスケ」とは?ビジネスでの意味と使用NGシーン
ビジネスシーンで頻繁に耳にする「リスケ」という言葉ですが、その正確な意味やニュアンスを正しく理解して使っている人は意外に少ないものです。特に、新入社員や若手ビジネスパーソンの場合、社内用語として飛び交う「リスケ」を、そのまま社外や目上の人に対して使ってしまい、知らず知らずのうちに「マナーを知らない人だ」と評価を下げてしまっているケースが散見されます。
ここでは、まず「リスケ」という言葉の定義を明確にし、誰に対して、どのような場面で使うべき言葉なのか、あるいは使ってはいけないのかというTPO(時・場所・場合)について、現役秘書の視点から詳しく解説します。言葉選び一つで、相手が受け取る印象は天と地ほど変わります。無用なトラブルを避けるためにも、まずは言葉の重みを理解しましょう。
リスケ(リスケジュール)の正しい意味と語源
「リスケ」とは、英語の「reschedule(リスケジュール)」を省略した和製英語的なビジネス略語です。「re(再び)」と「schedule(予定する)」を組み合わせた単語であり、本来の意味は「計画を変更する」「日程を再調整する」ことを指します。
ビジネスの現場では、会議の時間変更、納期の延期、訪問日の再設定など、予定していたスケジュールを後ろ倒しにする際によく使われます。「明日の会議、リスケでお願い」といったように、主に口頭やチャットツールなどのカジュアルなコミュニケーションで用いられることが一般的です。
しかし、金融業界など特定の業界では意味が異なる場合があります。金融用語としての「リスケ」は「リスケジュール」の略として、借入金の返済条件の変更(返済猶予)を指す非常にシビアな言葉として使われます。このように、業界や文脈によって言葉の重みが変わる可能性があることも、知識として持っておく必要があります。一般的なビジネスシーンでは「日程変更」の意味で通じますが、略語である以上、そこには「軽さ」や「カジュアルさ」が含まれていることを忘れてはいけません。
目上の人や社外への使用は要注意!正しい言い換え表現
もっとも重要なポイントは、「リスケ」という言葉を目上の人や取引先に対して使ってはいけない、という点です。前述の通り、「リスケ」は略語です。ビジネスにおいて略語を使用することは、相手に対してフランクな態度、あるいはぞんざいな態度と受け取られるリスクがあります。
親しい同僚や部下に対して「これ、リスケしておいて」と言う分には問題ありませんが、上司やお客様に対して「リスケさせてください」と言うのは、マナー違反です。相手の時間を奪い、予定を変更してもらうという申し訳ない立場であるにもかかわらず、略語を使って依頼することは、相手への敬意を欠いていると判断されかねません。
では、どのように言い換えるべきでしょうか。相手との関係性に応じた適切な表現を以下の表にまとめました。これらを使い分けることで、「デキるビジネスパーソン」としての品格を保つことができます。
| 相手との関係性 | NG表現(使用を避けるべき) | 推奨される言い換え表現 |
|---|---|---|
| 同僚・部下・親しい先輩 (社内・カジュアル) |
特になし (リスケでも通じるが多用は注意) |
「日程を変更する」 「予定を組み直す」 「リスケする」 |
| 直属の上司・他部署の管理職 (社内・フォーマル) |
「リスケしてください」 「リスケお願いします」 |
「日程の変更をお願いできますでしょうか」 「スケジュールの見直しをご相談させてください」 「日時の再調整をお願いしたく存じます」 |
| 取引先・お客様・社外の目上の方 (社外・最重要) |
「リスケさせてください」 「リスケをお願いします」 |
「日程の再調整をお願い申し上げます」 「日程変更のお願い」 「大変恐縮ながら、日時の変更をご相談させていただけますでしょうか」 |
このように、相手が社外や目上の人の場合は、「再調整」「変更」「見直し」といった正式な日本語を用い、さらに「お願いできますでしょうか」「ご相談させていただけますでしょうか」と、相手の意向を伺う謙虚な姿勢を示す言葉を添えることが鉄則です。
▼[現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス:言葉の選び方ひとつで印象が変わる]
現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス
「『リスケ』は便利な言葉ですが、略語であるためカジュアルな響きを含みます。私が担当する役員クラスの対応では、口頭であっても『スケジュールの見直し』『日程の再調整』という言葉を使い、相手への敬意を崩さないよう徹底しています。特に謝罪が必要な場面では、『リスケさせてください』ではなく『日程の変更をお願いできますでしょうか』と切り出すのが鉄則です。言葉の端々に表れる丁寧さが、トラブル時の相手の心証を大きく左右します。」
相手を怒らせない!日程変更(リスケ)を依頼する際のマナー5箇条
日程変更を依頼するということは、相手があなたのために確保してくれていた時間を一度白紙に戻し、さらに新たな時間を割いてもらうという、相手に二重の手間をかけさせる行為です。そのため、依頼する側の態度には最大限の配慮と誠意が求められます。
ここでは、ペルソナであるあなたが最も恐れている「相手を怒らせてしまう」「信頼を失ってしまう」という事態を回避するために、必ず守るべき5つの行動指針(マナー)を解説します。これらは、私が秘書として数千件の調整を行う中で確立した、絶対に外せない「黄金ルール」です。
1. 連絡は「発生した時点」で即座に入れる
日程変更が必要になった際、最もやってはいけないのが「連絡の遅延」です。「怒られるのが怖い」「どう伝えればいいか迷う」「もう少し粘れば予定通りいけるかもしれない」といった心理から連絡を先延ばしにすることは、事態を悪化させるだけです。
相手は約束の日時に向けて、資料の準備や移動の手配、他の予定の調整を行っています。連絡が遅くなればなるほど、相手の準備時間を無駄にし、実害を与えることになります。変更が確定した時点、あるいは「変更が必要になる可能性が高い」と判明した時点で、第一報を入れるのがマナーです。
たとえ代替案が決まっていなくても、「急なトラブルで伺えなくなる可能性が出てきました。確定次第すぐにご連絡しますが、取り急ぎ第一報としてお伝えします」と連絡を入れるだけで、相手は心積もりができ、リスクを回避できます。スピードこそが最大の誠意であると心得てください。
2. 必ず「代替案」を3つ以上提示する
「日程を変更してください」とだけ伝え、「いつなら空いていますか?」と相手に丸投げするのは、非常に失礼な対応です。変更を申し出たのはこちら側ですから、再調整の手間は全てこちらが引き受けるべきです。
代替案を提示する際は、必ず3つ以上の候補日を挙げてください。1つだけでは「その日は都合が悪い」となった際に再びメールの往復が発生し、調整に時間がかかってしまいます。また、「いつでもいいです」というのも、相手にカレンダーを確認させて選ばせるという負担を強いるため避けるべきです。
具体的な提示方法としては、以下のように幅を持たせるとスムーズです。
- 候補1:直近の同時間帯(例:翌日の午後)
- 候補2:数日先の午前中
- 候補3:翌週の夕方
このように日時や時間帯を分散させることで、相手のスケジュールにヒットする確率を高めることができます。
3. 変更理由はどこまで正直に伝えるべきか?
日程変更の理由を伝える際、「正直に言うべきか、嘘をつくべきか」で迷う方は多いでしょう。基本的には「正直かつ簡潔に」伝えるのがベストですが、相手に不快感を与えない表現に変換する配慮が必要です。
例えば、「他のお客様とのアポが入ったので」と伝えると、「うちは優先順位が低いのか」と不快に思われます。この場合は「どうしても外せない緊急の用件が発生し」や「社内事情により」とぼかすのが大人のマナーです。
一方で、自身の体調不良や身内の不幸、天災などのやむを得ない事情は、正直に伝えた方が相手の理解を得やすい傾向にあります。「インフルエンザに罹患し、出社停止となりました」と具体的に伝えれば、相手も「それは仕方がない、お大事に」と納得してくれます。ただし、寝坊や失念(うっかり忘れ)などの個人的なミスは、そのまま伝えると信用に関わるため、「当方の管理不足により」「不手際により」といった表現で、自分の非を認めつつも具体的な恥ずかしい内容は伏せるのが賢明です。
4. 謝罪の言葉は「クッション言葉」で丁寧に
メールや電話で依頼をする際、いきなり本題に入るのではなく、相手への配慮を示す「クッション言葉」を挟むことで、文章の印象を柔らかくし、こちらの申し訳ない気持ちを強調することができます。
特に日程変更のようなネガティブな依頼では、クッション言葉の有無が相手の感情を大きく左右します。以下のようなフレーズを文頭に添えるように意識しましょう。
- 大変恐縮ですが
- ご多忙の折、大変申し訳ございませんが
- 誠に勝手なお願いで恐縮ですが
- ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんが
これらの言葉があるだけで、「相手の忙しさを理解している」「無理を言っている自覚がある」という姿勢が伝わり、相手の反発心を和らげる効果があります。
5. 当日・直前の変更はメールだけでなく「電話」も必須
アポイントの前日や当日に急遽変更が必要になった場合、メールだけで済ませるのは絶対にNGです。相手がメールを見ていない可能性があり、知らずに待ち合わせ場所に向かってしまうリスクがあるからです。また、直前のキャンセルは相手の時間を直撃するため、メールという一方的な手段だけでは誠意が伝わりきりません。
緊急時は、まず電話で直接お詫びと変更の依頼をし、その直後に詳細(代替案など)をメールで送るという「電話とメールの合わせ技」が必須です。電話がつながらない場合でも、留守電にメッセージを残した上で、すぐにメールを送りましょう。
「電話は緊張する」「怒られるのが怖い」と感じるかもしれませんが、ここで逃げずに直接声で謝罪できるかどうかが、その後の信頼関係を維持できるかの分かれ道となります。
▼[現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス:代替案提示の「黄金ルール」]
現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス
「代替案を出す際は、相手の選択コストを下げることが重要です。『来週で空いている時間はありますか?』と丸投げするのはNG。私は必ず『①直近の同時間帯、②少し先の午前中、③夕方の遅い時間』とバリエーションを持たせた3つの候補日を提示します。これにより、相手は『カレンダーを見て空きを探す』作業ではなく、『提示された中から選ぶ』という単純作業になり、調整のストレスを最小限に抑えられます。相手の思考の手間を減らすことこそ、究極の配慮です。」
【状況別】そのまま使える!日程変更(リスケ)のお詫びメール例文集
ここでは、実際に日程変更を依頼する際にそのまま使えるメールのテンプレートを紹介します。相手との関係性や緊急度に合わせて、最適なものを選んで活用してください。コピー&ペーストして、[ ]の部分を書き換えるだけで、失礼のないメールが完成します。
【社外・取引先】基本的な日程変更依頼メール
数日前の段階で、業務上の都合により日程変更をお願いする場合の基本テンプレートです。丁寧な言葉遣いで、相手への配慮を示します。
本文:
[相手の会社名]
[相手の部署名]
[相手の氏名] 様
いつも大変お世話になっております。
[あなたの会社名]の[あなたの氏名]でございます。
この度は、[当初の予定日]([曜日])[時間]より予定しておりました
お打ち合わせの日程につきまして、ご相談がありご連絡いたしました。
大変恐縮ながら、どうしても外せない緊急の用件が発生してしまい、
お約束の日時にお伺いすることが難しくなってしまいました。
貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、
直前のご連絡となり多大なるご迷惑をおかけしますこと、深くお詫び申し上げます。
誠に勝手なお願いで恐縮ではございますが、
もし可能でしたら、以下の日程で再調整をお願いできませんでしょうか。
【代替日時のご提案】
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
上記日程でご都合が悪い場合は、
[相手の氏名]様のご都合の良い日時をいくつかご教示いただけますと幸いです。
こちらの都合に合わせて調整させていただきます。
こちらの勝手な都合で大変申し訳ございませんが、
何卒ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
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[あなたの署名]
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【社外・緊急】体調不良やトラブルによる直前の変更依頼
当日や前日に、急な体調不良やトラブルで変更を余儀なくされた場合のテンプレートです。緊急性が高いため、まずは電話をし、その後に送るメールとして使用してください。
本文:
[相手の会社名]
[相手の部署名]
[相手の氏名] 様
いつも大変お世話になっております。
[あなたの会社名]の[あなたの氏名]でございます。
先ほどはお電話にて失礼いたしました。
(※電話がつながらなかった場合:先ほどお電話いたしましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。)
本日[時間]よりお約束しておりましたお打ち合わせの件ですが、
昨晩より急な高熱が出てしまい(または:急なトラブル対応のため)、
どうしてもお伺いすることができない状況となってしまいました。
直前のご連絡となり、[相手の氏名]様に多大なるご迷惑をおかけしますこと、
心より深くお詫び申し上げます。
本日のアポイントにつきましては、大変恐縮ながら延期とさせていただき、
体調が回復次第(または:トラブルが収束次第)、改めて日程調整のご連絡を差し上げたく存じます。
(※すぐに代替案が出せる場合は、ここに提示しても良い)
私の体調管理(または:管理不足)の至らなさにより、
貴重なお時間を無駄にしてしまい、誠に申し訳ございません。
メールにて恐縮ですが、取り急ぎお詫びとご連絡を申し上げます。
————————————————–
[あなたの署名]
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【社内・上司】会議や面談のリスケ依頼メール
社内の上司や先輩に対する依頼メールです。社外向けほどかしこまる必要はありませんが、敬語を崩さず、理由は簡潔に伝えることがポイントです。
本文:
[上司の役職・氏名]
お疲れ様です。[あなたの氏名]です。
[当初の予定日] [時間]から予定しておりました
[会議名]について、日程変更のお願いでご連絡いたしました。
急遽、[顧客名]様よりトラブル対応の依頼が入り、
そちらの対応を優先させていただきたく存じます。
ご調整いただいたところ大変申し訳ございません。
つきましては、下記の日程で再設定をお願いできませんでしょうか。
・[月] [日]([曜日]) [時間]
・[月] [日]([曜日]) [時間]
上記以外でしたら、[あなたの氏名]のスケジュール表の空き時間は対応可能です。
お忙しいところお手数をおかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
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[あなたの署名]
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【就活・面接】面接日程の変更をお願いする場合
就職活動や転職活動の面接日程を変更する場合のテンプレートです。志望度が低いと誤解されないよう、強いお詫びの気持ちと、どうしても入社したいという熱意を滲ませる構成にします。
本文:
[応募先企業名]
採用ご担当者様
お世話になっております。
貴社の面接選考のご案内をいただきました、[あなたの氏名]と申します。
この度は、面接の機会をいただき誠にありがとうございます。
[月] [日] [時間]にお伺いする予定となっておりましたが、
大学の講義日程の変更により(または:現職での緊急会議により)、
どうしてもお伺いすることが難しくなってしまいました。
貴重な機会をいただき、私自身も大変楽しみにしておりましたので、
このようなお願いをすることになり大変心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
誠に勝手なお願いで恐縮ですが、もし可能でしたら、
以下の日程で再度面接の機会をいただけませんでしょうか。
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
・[月] [日]([曜日]) [開始時間] ~ [終了時間]
上記日程が難しい場合は、ご担当者様のご都合の良い日時をご提示いただけますと幸いです。
どのような時間帯でも調整させていただきます。
お忙しい中、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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[あなたの署名]
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▼[現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス:メール件名の重要性]
現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス
「多忙な相手ほど、件名だけで『何の件か』『緊急度は高いか』を判断します。件名には必ず【日程変更のご相談】や【お詫び】といった隅付き括弧で強調を入れ、自分の名前と元々の日程を明記しましょう。単に『お打ち合わせの件』とするよりも、相手が見落とすリスクを大幅に減らせますし、件名から誠意を伝えることができます。」
メールだけでは危険?電話でリスケを伝える際のトークスクリプト
前述の通り、当日や前日の変更、あるいは相手がメールをあまり見ないタイプの方である場合、電話での連絡は必須です。しかし、いざ受話器を持つと「何を言えばいいのか」「怒鳴られたらどうしよう」と頭が真っ白になってしまうこともあるでしょう。
ここでは、電話で日程変更を切り出す際の具体的な会話の流れ(トークスクリプト)と、担当者が不在だった場合の対処法を解説します。型を覚えておけば、焦らずに対応できます。
メールと電話の使い分け基準(当日・前日は電話必須)
連絡手段をメールにするか電話にするかの判断基準は、「緊急度」と「確実性」です。
- 電話が必須なケース:
- 当日の変更(ドタキャン)
- 前日の変更
- 謝罪の意を強く伝えたい場合
- メールの返信がなく、相手が認識しているか不安な場合
- メールで良いケース:
- 2~3日以上先の変更
- 相手が「電話よりもメール連絡を好む」と分かっている場合
- 夜間や早朝など、電話をかけると迷惑になる時間帯
基本的には「電話で一報を入れ、詳細はメールで送る」のが最も丁寧で確実な方法です。
【会話例】電話で日程変更を切り出すフロー
電話での会話は、以下の4ステップで構成するとスムーズです。
- 挨拶と名乗り
- 結論(変更のお詫び)と理由
- 代替案の提示と調整
- 再度の謝罪と感謝
実際のトーク例:
あなた:「お世話になっております。[あなたの会社名]の[あなたの氏名]です。今、少しだけお時間よろしいでしょうか?」
相手:「はい、大丈夫ですよ。」
あなた:「ありがとうございます。実は、明日[時間]にお約束しておりましたお打ち合わせの件で、大変申し訳ないご相談がございます。」
相手:「はい、どうされましたか?」
あなた:「大変恐縮ながら、急なトラブル対応が入ってしまい(理由)、どうしても明日お伺いすることが難しくなってしまいました。直前のご連絡となり、多大なるご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。」
相手:「そうですか、それは大変ですね。承知しました。」
あなた:「ご理解いただきありがとうございます。もしよろしければ、来週の[曜日]の午後か、再来週の[曜日]にて改めてお時間をいただけないでしょうか?」
相手:「それなら来週の[曜日]で大丈夫ですよ。」
あなた:「ありがとうございます。では、来週[曜日]の[時間]に改めてお伺いいたします。この度は私の都合で予定を変更していただき、本当に申し訳ございませんでした。当日よろしくお願いいたします。」
担当者が不在だった場合の伝言・留守電の残し方
電話をかけたものの担当者が不在だった場合、伝言をお願いするか、改めてかけ直す必要があります。リスケのような重要な連絡は、伝言だけで済ませると伝達ミスのリスクがあるため、「急ぎの件なので、戻り次第メールをお送りする旨だけ伝えてもらう」のがベストです。
伝言の依頼例:
「明日のお約束の件で緊急のご連絡がありお電話いたしました。お戻りになられましたら、私からメールをお送りしている旨をお伝えいただけますでしょうか。また後ほど、改めてお電話させていただきます。」
留守電に残す例:
「お世話になっております。[あなたの会社名]の[あなたの氏名]です。明日のお打ち合わせの件で、急ぎご相談がありお電話いたしました。この後、詳細をメールにてお送りいたしますので、ご確認いただけますと幸いです。また改めてお電話いたします。失礼いたします。」
▼[現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス:電話で怒られた時の対処法]
現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス
「過去に、私の手配ミスで当日の会食をリスケせざるを得なくなり、電話口でお叱りを受けた経験があります。その際は、言い訳を一切せず『こちらの不手際で貴重なお時間を奪ってしまい、大変申し訳ございません』と全面的に非を認め、誠心誠意お詫びしました。結果的に、その後の迅速なリカバリー対応(代替日の優先確保と手書きの詫び状)により、関係修復ができました。電話は感情が伝わる分、誠意を見せる最大のチャンスでもあります。怒られたとしても、逃げずに向き合う姿勢が、最終的な信頼につながります。」
「リスケをお願いされた」側の返信マナーと神対応
ビジネスでは、自分がリスケを依頼するだけでなく、相手から「日程を変更してほしい」と依頼されることもあります。この時の対応一つで、あなたの度量が試されます。相手は「申し訳ない」と罪悪感を感じているはずですので、その気持ちを和らげ、快く応じるのが「デキる人」のマナーです。
相手に罪悪感を持たせない「承諾メール」の書き方
相手からのリスケ依頼を承諾する際は、「了解しました」だけでなく、「お気になさらないでください」という気遣いの言葉を添えましょう。また、相手が体調不良の場合は、体調を気遣う一言を入れると非常に好印象です。
本文:
[相手の氏名] 様
お世話になっております。
[あなたの会社名]の[あなたの氏名]です。
日程変更の件、承知いたしました。
急なトラブルとのことで、大変かと存じますが、
どうかお気になさらないでください。
(※相手が体調不良の場合:お加減はいかがでしょうか。まずはお身体を第一になさってください。)
ご提示いただきました日程につきまして、
以下の日時で再調整をお願いしたく存じます。
・[月] [日]([曜日]) [時間]
当日はお会いできることを楽しみにしております。
引き続きよろしくお願いいたします。
————————————————–
[あなたの署名]
————————————————–
提示された代替案が合わない場合の断り方と再提案
相手から提示された代替案が、こちらの都合と合わない場合もあります。その際は、「提示してくれたことへの感謝」を述べた上で、やんわりと断り、こちらから新たな候補日を提示します。
返信例:
「日程の再調整をご提案いただき、ありがとうございます。
あいにく、ご提示いただいた日程はいずれも先約があり、調整が難しい状況です。
せっかくご配慮いただいたのに申し訳ございません。
もしよろしければ、以下の日程ではいかがでしょうか。
[あなたの提示する候補日1]
[あなたの提示する候補日2]
お手数をおかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。」
ピンチを信頼に変える!リスケ後のリカバリー術
日程変更の連絡が無事に終わり、新しい日程が決まったからといって、そこで安心してはいけません。「一度約束を変更してもらった」という事実は残っています。ここからの行動が、マイナスをゼロに戻し、さらにはプラスの信頼に変えるための重要なフェーズです。
プロの秘書やトップ営業マンは、リスケ後のフォローアップで差をつけます。ここでは、競合他社と差別化し、相手に「この人は信頼できる」と思わせるためのリカバリー術を紹介します。
次回のアポイント確定後に送る「リマインドメール」の重要性
再調整した日程が決まったら、アポイントの前日(または2日前)に必ず「リマインドメール」を送りましょう。これは単なる確認だけでなく、「今回は絶対に忘れていません」「楽しみにしています」という意思表示になります。
文面には、「先日は日程の再調整にご対応いただき、ありがとうございました。明日は〇〇について詳しくご説明できる準備が整っておりますので、お会いできるのを楽しみにしております」と、感謝と前向きな姿勢を盛り込みます。
実際に会った時の「第一声」で何を言うべきか?
再設定した日時に実際に相手と会った際、第一声で何を言うかは非常に重要です。何事もなかったかのように商談を始めるのはNGです。
名刺交換や挨拶の直後に、「本日は、お忙しい中日程を再調整いただき、本当にありがとうございました」と、改めてお礼とお詫びを伝えましょう。この一言があるだけで、相手の心に残っていたわだかまりが消え、「律儀な人だ」という評価に変わります。
リスケによって生じた時間を「準備期間」と捉え直す
リスケになったことを「失敗した」と引きずるのではなく、ポジティブに捉え直すマインドセットも大切です。日程が延びたということは、それだけ準備する時間が増えたということです。
資料をブラッシュアップしたり、相手企業の最新ニュースを調べたり、提案内容をさらに練り上げたりすることができます。そして当日、「前回延期していただいたおかげで、さらに詳細なデータをご用意できました」と伝えることができれば、相手は「待った甲斐があった」と感じてくれるはずです。
▼[現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス:リスケは準備の質を高める好機]
現役エグゼクティブ・アシスタントのアドバイス
「リスケになったことを『失敗』と引きずるのではなく、『資料をブラッシュアップする時間ができた』『相手の業界動向をさらに調べる猶予ができた』とポジティブに捉え直しましょう。実際に再調整したアポイントで、『前回延期していただいた分、より詳細なシミュレーションをご用意しました』とお伝えすることで、相手の満足度を大きく向上させた事例が何度もあります。ピンチは、準備の質を高める好機なのです。」
よくある質問(FAQ)
最後に、リスケに関してよく寄せられる疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. デートのリスケは何と言えば嫌われない?
A. 「どうしても会いたい」という気持ちを添えましょう。
ビジネス同様、素直な謝罪と具体的な代替案は必須ですが、プライベートでは感情のケアがより重要です。「楽しみにしていたのに残念」「〇〇さんと会うのを励みに仕事を頑張る」といった言葉を添えることで、相手に「脈なしだから断られたわけではない」と安心させることができます。
Q. 何回までならリスケしても許される?
A. 基本は「1回」までです。
2回連続のリスケは、相手に「自分は軽視されている」「スケジュール管理能力がない」と判断され、信頼関係が崩壊する可能性が高いです。もしどうしても2回目の変更が必要になった場合は、電話で平謝りした上で、相手の指定する場所へ出向くなど、最大限の譲歩を示す必要があります。
Q. 天候(台風など)が理由でも謝罪は必要?
A. 必要です。
不可抗力であっても、約束を守れなかったことには変わりありません。「天候のせいだから仕方ない」という態度は出さず、「悪天候によりお伺いできず申し訳ございません」と一言添えるのが大人のマナーです。相手の安全を気遣う言葉も忘れずに入れましょう。
まとめ:リスケは誠意ある対応で乗り切ろう
ビジネスにおいて、スケジュールの変更は避けるべきですが、どうしても発生してしまうものです。重要なのは、その後の対応です。「リスケ」という言葉の軽さに甘えず、相手への敬意と誠意を持って対応すれば、トラブルを信頼に変えることができます。
記事の要点まとめ
- 「リスケ」は略語。目上の人には「日程の再調整」と言い換える。
- 連絡は発生した時点で即座に入れ、代替案は必ず3つ提示する。
- 当日・前日の変更は、メールだけでなく電話での連絡が必須。
- 理由は正直かつ簡潔に。個人的なミスは「管理不足」等の表現で。
- 再調整後の「リマインドメール」と当日の「第一声」でリカバリーする。
今まさに日程変更の連絡をしようとしている方は、以下のチェックリストで最終確認をしてから、この記事のテンプレートを活用して連絡を入れてください。迅速な行動が、あなたの信頼を守ります。
リスケ連絡前の最終チェックリスト
- 代替案は3つ以上用意しましたか?(日時を分散させる)
- メール件名は一目で内容と緊急度が分かりますか?
- 当日・前日の場合、電話連絡も併用しましたか?
- 変更理由は簡潔かつ誠実に記載しましたか?
- クッション言葉(大変恐縮ですが等)を使っていますか?
ぜひ今日から、この「誠意あるリスケ対応」を実践し、どんな状況でも信頼されるビジネスパーソンを目指してください。
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