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【産婦人科医監修】つわりはいつからいつまで?ピーク時期と辛い症状の対処法

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妊娠が判明した喜びも束の間、多くの妊婦さんを悩ませるのが「つわり(悪阻)」です。「いつから始まるの?」「いつまで続くの?」「この辛さはいつピークを迎えるの?」といった不安は、初めての妊娠であればなおさら大きいものでしょう。

結論から申し上げますと、つわりは一般的に妊娠5〜6週頃から始まり、8〜10週頃にピークを迎え、胎盤が完成する12〜16週頃(妊娠4ヶ月〜5ヶ月、安定期に入る頃)に落ち着くケースが最も多いです。しかし、これには非常に大きな個人差があり、全く症状がない人もいれば、出産直前まで何らかの症状が続く人もいます。

この記事では、現役の産婦人科医である筆者が、医学的な知見と臨床現場での経験に基づき、以下の3点を中心に徹底解説します。

  • つわりの開始・ピーク・終了時期の目安とスケジュールの全体像
  • 吐きづわり・食べづわりなど5つのタイプ別症状と、医師推奨の具体的な対処法
  • 我慢は危険!病院を受診すべき「妊娠悪阻」のサインと治療内容

今、辛い症状と戦っているあなたが、少しでも見通しを持って安心してマタニティライフを過ごせるよう、詳細に解説していきます。

  1. つわりはいつからいつまで続く?時期の目安とピーク
    1. 一般的な開始時期:妊娠5〜6週頃
    2. 最も辛いピーク時期:妊娠8〜10週頃
    3. 落ち着く時期:妊娠12〜16週頃(胎盤完成期)
    4. 【図解】つわりの時期タイムライン
  2. つわりの原因と「つわりがない」場合の考え方
    1. つわりが起こる主な原因(hCGホルモン等の影響)
    2. つわりが軽い・全くない人は流産しやすい?
    3. 2人目以降の妊娠では症状が変わる?
  3. あなたはどのタイプ?代表的なつわりの種類と特徴
    1. 吐きづわり:食べていなくても気持ち悪い
    2. 食べづわり:空腹になると気持ち悪い
    3. においつわり:特定の匂いで吐き気を催す
    4. 眠りづわり・よだれづわり:強い眠気や唾液過多
  4. 【医師直伝】辛い時期を乗り切るための食事・生活の対処法
    1. 食事の工夫:「分食」と食べられるものの探し方
    2. 水分補給の重要性と飲みやすい飲み物
    3. 辛い時の姿勢とリラックス方法(シムス位など)
    4. 仕事や家事はどうする?無理をしないための環境づくり
  5. 病院に行くべき危険なサイン「妊娠悪阻」とは
    1. 体重減少の目安(妊娠前の体重から5%以上の減少)
    2. 水分が全く摂れない・尿の回数が減った時
    3. 日常生活が送れないほどの強い症状(ケトン体陽性)
    4. 病院で行う治療内容(点滴療法・入院管理など)
  6. 働く妊婦さんが使える制度と権利
    1. 「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用法
    2. つわり休暇や傷病手当金について
    3. 上司や職場への報告タイミングと例文
  7. つわりに関するよくある質問 (FAQ)
    1. Q. つわりが終わる前兆はありますか?
    2. Q. 市販の胃薬や吐き気止めは飲んでもいいですか?
    3. Q. つわりがぶり返すことはありますか?
  8. まとめ:つわりは赤ちゃんが育っている証拠。辛い時は医療の力を頼って

つわりはいつからいつまで続く?時期の目安とピーク

妊娠初期の女性にとって、つわりの期間がどれくらい続くのかという「見通し」を知ることは、精神的な安定を得るために非常に重要です。多くの妊婦さんが、終わりの見えない船酔いのような感覚に不安を抱いています。

ここでは、一般的なつわりのタイムラインについて、週数ごとの特徴を詳しく見ていきましょう。ただし、あくまで目安であり、赤ちゃんの成長スピードが人それぞれであるように、つわりの経過も妊婦さん一人ひとりによって異なることをまずは理解してください。

産婦人科専門医のアドバイス
「診察室で『いつ終わるんですか』と涙ながらに訴える妊婦さんによくお伝えするのは、『つわりは赤ちゃんが元気に育っている証拠でもありますが、お母さんの体が一番大事です』ということです。統計的なピークは8〜10週ですが、これはあくまで平均値。ご自身の体調に合わせて、一日一日を乗り切ることを目標にしましょう。辛い時はカレンダーを見るのも嫌になるかもしれませんが、必ず終わりは来ます。」

一般的な開始時期:妊娠5〜6週頃

つわりの症状が現れ始める最も一般的な時期は、妊娠5週から6週頃です。これは、生理予定日が過ぎて1〜2週間が経過し、妊娠検査薬で陽性反応が出た直後、あるいは産婦人科で胎嚢(赤ちゃんの袋)が確認される時期と重なります。

この時期の症状は、「なんとなく胃がムカムカする」「普段気にならなかったにおいが不快に感じる」「体が熱っぽく、だるい」といった、風邪の初期症状や胃もたれに似た感覚から始まることが多いです。急激に吐き気が襲ってくるというよりは、徐々に違和感が増していくケースが目立ちます。

医学的には、受精卵が着床し、妊娠を維持するために必要なホルモンである「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」が急激に分泌され始めることが、つわりの引き金になると考えられています。体の中で急激な変化が起きているため、脳の嘔吐中枢が刺激されやすくなっているのです。

中には「妊娠4週(生理予定日頃)」から敏感に症状を感じ取る人もいれば、妊娠検査薬を使うまで全く気づかなかったという人もいます。この時期に症状がなくても、赤ちゃんの発育に問題があるわけではないので安心してください。

最も辛いピーク時期:妊娠8〜10週頃

多くの妊婦さんが「最も辛い」と感じるピークの時期は、妊娠8週から10週頃です。この時期はhCGホルモンの分泌量が最大になる時期と一致しており、症状の強さも最高潮に達することが多いです。

ピーク時の症状は多岐にわたります。一日中吐き気が治まらない、水さえ飲むのが辛い、特定のにおいを嗅ぐだけで嘔吐してしまう、といった重い症状に悩まされる方が増えます。また、体調の悪さから精神的にも不安定になりやすく、「このまま一生続くんじゃないか」という絶望感を感じやすいのもこの時期の特徴です。

仕事をしている妊婦さんにとっては、通勤電車や勤務中の業務が困難になり、休暇の取得や業務調整を検討する必要が出てくるタイミングでもあります。無理をして働き続けることで症状が悪化することもあるため、この時期は「人生で一番自分を甘やかす期間」と割り切って、周囲のサポートを求めることが重要です。

落ち着く時期:妊娠12〜16週頃(胎盤完成期)

辛いつわりも、永遠には続きません。一般的には、妊娠12週から16週頃にかけて、徐々に症状が落ち着いてくることが多いです。これは、妊娠15週〜16週頃に「胎盤」が完成し、ホルモンバランスが安定してくるためと考えられています。

「ある日突然、嘘のようにスッキリした」という方もいれば、「少しずつ食べられる量が増え、吐く回数が減っていった」というように、波がありながら徐々に回復していく方もいます。安定期と呼ばれる妊娠5ヶ月(16週以降)に入ると、多くの妊婦さんが食欲を取り戻し、活動的に過ごせるようになります。

ただし、16週を過ぎても症状が続く「後期つわり」を経験する方もいます。胃が大きくなった子宮に圧迫されることで起こる胃酸の逆流などが原因の場合もあります。16週を過ぎて症状が残っていても、決して異常ではありませんので、焦らずに主治医と相談しながら過ごしましょう。

【図解】つわりの時期タイムライン

つわりの症状の推移を視覚的に理解するために、以下の表にまとめました。ご自身の現在の週数と照らし合わせて、今後の見通しを立てる参考にしてください。

時期 妊娠週数 症状の傾向と特徴
開始期 4〜6週 胃のムカつき、眠気、だるさ、においへの敏感さが出始める。「風邪かな?」と勘違いすることも。
ピーク期 7〜11週 最も辛い時期。hCGホルモンの分泌が最大化。嘔吐、食欲不振、強い吐き気、頭痛などが一日中続くことも。
軽減期 12〜15週 胎盤が形成され始め、ホルモンバランスが変化。症状に波はあるものの、調子の良い時間帯が増えてくる。
終了期 16週以降 胎盤が完成(安定期)。多くの人で症状が消失し、食欲が戻る。これ以降も続く場合は「後期つわり」の可能性も。

つわりの原因と「つわりがない」場合の考え方

つわりは全妊婦の約50〜80%が経験すると言われていますが、そのメカニズムは現代医学でも完全には解明されていません。また、つわりの重さと赤ちゃんの元気さは必ずしも比例するわけではありません。

ここでは、現時点で有力視されているつわりの原因説と、症状がない場合の不安について解説します。

つわりが起こる主な原因(hCGホルモン等の影響)

つわりの原因として最も有力な説は、妊娠によって分泌されるホルモンの急激な変化です。特に以下の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

  • hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の作用: 着床後に胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモンです。この分泌量のピークがつわりのピークと一致するため、主要因と考えられています。
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加: 妊娠を継続させるホルモンですが、消化管の動きを抑制する作用があり、胃腸の働きを弱めてガスを溜まりやすくさせます。
  • 自律神経の乱れ: ホルモンバランスの急変に体がついていけず、自律神経が不安定になり、めまいや頭痛、吐き気を引き起こします。
  • 母体の防衛反応: 胎児にとって有害な可能性のある食物(生ものや刺激物など)を摂取しないよう、体が拒絶反応を示しているという説もあります。

これらの変化は、赤ちゃんを育てるための母体の適応過程で起こるものですが、その感受性には大きな個人差があります。

つわりが軽い・全くない人は流産しやすい?

「つわりがないと赤ちゃんが育っていないのではないか?」と不安になる妊婦さんは非常に多いです。インターネット上には様々な情報が溢れていますが、結論から言えば、つわりの有無や軽重だけで流産のリスクを判断することはできません。

▼詳しく見る:つわりの有無と赤ちゃんの元気さの関係

つわりが全くなくても、元気な赤ちゃんを出産される方はたくさんいらっしゃいます。逆に、激しいつわりがあっても、残念ながら流産となってしまうケースも存在します。

つわりが軽いことは、母体にとっては食事が摂りやすく、体力を維持しやすいというメリットでもあります。「赤ちゃんが親孝行してくれているんだ」と前向きに捉えてください。ただし、急に胸の張りがなくなったり、激しい腹痛や出血を伴う場合は、念のためかかりつけ医に相談することをお勧めします。最も確実なのは、定期健診で赤ちゃんの心拍を確認することです。

2人目以降の妊娠では症状が変わる?

「1人目の時は軽かったのに、2人目は重い」「今回は食べづわりだった」など、妊娠ごとに症状が異なることはよくあります。年齢による体力の変化や、上の子のお世話による疲労の蓄積なども影響します。

産婦人科専門医のアドバイス
「経産婦さんの場合、『上の子のお世話をしなければならない』というプレッシャーから休息が取れず、症状が悪化しやすい傾向にあります。2人目以降の妊娠では、初期からファミリーサポートや一時保育、パートナーや実家の協力を積極的に確保することが重要です。『ママが倒れたら家庭が回らない』と割り切り、家事のハードルを極限まで下げてください。」

あなたはどのタイプ?代表的なつわりの種類と特徴

一言で「つわり」と言っても、その症状は千差万別です。自分の症状がどのタイプに当てはまるかを知ることで、適切な対処法が見つかりやすくなり、また「自分だけではない」という安心感にもつながります。

吐きづわり:食べていなくても気持ち悪い

最も一般的なタイプです。胃の中に何かが入っていても、空っぽでも、常に吐き気を感じ、実際に嘔吐を繰り返します。食事を受け付けなくなるため、体重減少や脱水症状のリスクが最も高く、注意が必要です。

食べづわり:空腹になると気持ち悪い

空腹になると血糖値が下がり、強烈な吐き気に襲われるタイプです。「食べていないと気持ち悪い」ため、常に何かを口にしてしまい、急激な体重増加に悩む方もいます。枕元にクラッカーや飴を置いておき、朝起き上がる前に少し口にするなどの対策が有効です。

においつわり:特定の匂いで吐き気を催す

嗅覚が過敏になり、特定ににおいで吐き気が誘発されます。ご飯の炊けるにおい、湯気、洗剤、シャンプー、夫の体臭、冷蔵庫のにおいなどが代表的です。マスクの着用や、においの元を断つ工夫(無香料の洗剤に変えるなど)が必要です。

眠りづわり・よだれづわり:強い眠気や唾液過多

眠りづわり: 強い眠気に襲われ、一日中頭がぼーっとするタイプです。プロゲステロンの作用によるものですが、仕事中に困るケースが多いです。
よだれづわり: 自分の唾液が飲み込めず、常に吐き出さなければならないタイプです。唾液の味が不快に感じることもあり、外出時にペットボトルやタオルが手放せなくなります。

Table here|つわりの種類別チェックリストと特徴まとめ

タイプ 主な特徴・サイン ワンポイント対策
吐きづわり 一日中吐き気がある、水も飲めない 脱水に注意。氷を舐める、点滴を検討。
食べづわり お腹が空くと気持ち悪い、夜中に目が覚める 小分けにして頻回食にする。低カロリーな間食を用意。
においつわり ご飯の湯気、スーパーのにおいがダメ 冷めた食事を摂る。調理中は換気扇を「強」に。
眠りづわり いくら寝ても眠い、だるい 無理せず寝る。仕事中は15分の仮眠をとる。
よだれづわり 唾液が増える、飲み込むと気持ち悪い 外出時は空のペットボトルを持ち歩く。飴を舐める。

【医師直伝】辛い時期を乗り切るための食事・生活の対処法

つわりの時期は、とにかく「今の辛さを少しでも和らげること」が最優先です。栄養バランスなどは二の次で構いません。ここでは、医学的に推奨される方法も含め、具体的なアクションプランをご紹介します。

産婦人科専門医のアドバイス
「つわりの緩和には『ビタミンB6』の摂取が有効であるというデータがあり、産婦人科診療ガイドラインでも推奨されています。バナナや鶏ささみなどに含まれますが、食事で摂るのが辛い場合はサプリメントや、医師が処方するビタミン剤を活用するのも一つの手です。また、漢方薬(小半夏加茯苓湯など)が著効する方もいますので、健診時に相談してみてください。」

食事の工夫:「分食」と食べられるものの探し方

一度にたくさんの量を食べると、胃への負担が増し、血糖値の急激な変動を招いて吐き気を誘発します。そこでおすすめなのが「分食(ぶんしょく)」です。

1日の食事を3回ではなく、5回〜6回に分けて少量ずつ食べます。常に胃の中に少しだけ食べ物がある状態を保つことで、空腹による吐き気(食べづわり)と、満腹による吐き気(吐きづわり)の両方を防ぎやすくなります。

食べやすいものの例:

  • 冷たいもの: アイスクリーム、ゼリー、冷やしトマト、そうめん(においが少なく、喉越しが良い)
  • 酸味のあるもの: レモン、梅干し、酢の物、グレープフルーツ
  • 炭水化物: おにぎり(冷めたもの)、パン、クラッカー、フライドポテト(なぜかジャンクフードなら食べられるという妊婦さんは多いです)

「今はこれしか食べられない」というものがあれば、それだけを食べていても数週間程度なら赤ちゃんへの影響はほとんどありません。食べられるものを、食べられる時に、食べられるだけ口にしましょう。

水分補給の重要性と飲みやすい飲み物

食事よりも重要なのが水分補給です。脱水症状はつわりを悪化させ、母体の危険にもつながります。

一度にゴクゴク飲むと吐いてしまう場合は、スプーン1杯ずつ飲んだり、氷を口に含んでゆっくり溶かして飲む方法が有効です。水やお茶がダメな場合は、イオン飲料(スポーツドリンク)、炭酸水、果汁100%ジュース、野菜スープなどを試してみてください。カフェインレスのお茶や、生姜湯(ジンジャーエール)も吐き気を和らげる効果が期待できます。

辛い時の姿勢とリラックス方法(シムス位など)

胃の圧迫を防ぎ、リラックスできる姿勢をとることも大切です。妊婦さんにおすすめの姿勢として「シムス位(シムスの体位)」があります。

シムス位のとり方:

  1. 体の左側を下にして横向きに寝ます(左側を下にするのは、大静脈の圧迫を防ぎ血流を良くするため)。
  2. 下になった左足は楽に伸ばし、上になった右足は股関節と膝を曲げて前に出します。
  3. 抱き枕やクッションを足の間に挟むとより楽になります。

また、締め付けの強い下着や服は避け、ゆったりとしたマタニティウェアやワンピースで過ごすようにしましょう。腹部の圧迫は吐き気の天敵です。

仕事や家事はどうする?無理をしないための環境づくり

つわりの時期に、妊娠前と同じパフォーマンスで仕事や家事をこなすことは不可能です。優先順位をつけ、「やらないこと」を決めましょう。

  • 家事: ネットスーパー、食事のデリバリー、家事代行サービスをフル活用する。掃除はしなくても死にません。
  • 仕事: 時差出勤やテレワークが可能か相談する。休憩室で横になれるスペースを確保してもらう。
▼詳しく見る:パートナーへの辛さの伝え方・共有のコツ

男性にはつわりの辛さが感覚的に伝わりにくいことがあります。「なんとなく辛い」ではなく、具体的に伝えることが重要です。

  • 「お皿洗いの洗剤のにおいがダメで吐いてしまうから、洗い物をお願いしたい」
  • 「朝起き上がるのが一番辛いから、朝食は自分で用意してほしい」
  • 「このにおいがNG」リストを作って共有する

「2人の赤ちゃんだから、2人で乗り越えたい」というスタンスで協力を仰ぎましょう。

病院に行くべき危険なサイン「妊娠悪阻」とは

つわりは生理的な現象ですが、重症化すると「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という病気の状態になり、治療が必要になります。「つわりは病気じゃないから」と我慢しすぎることは非常に危険です。以下のサインが見られた場合は、健診日を待たずに直ちに産婦人科を受診してください。

産婦人科専門医のアドバイス
「『これくらいで病院に行っていいのかな』と迷う必要はありません。我慢して重度の脱水状態(ケトン体陽性)になってから来院されると、回復にも時間がかかり、入院が必要になるケースが多いです。点滴を1本打つだけで劇的に楽になることもあります。辛い時は医療の力を頼ってください。それは赤ちゃんを守ることにもつながります。」

体重減少の目安(妊娠前の体重から5%以上の減少)

一つの明確な基準は体重です。妊娠前の体重から5%以上減少している場合は、栄養状態が危険水域に入っています。(例:体重50kgの人なら2.5kg以上の減少、47.5kg以下になった場合)

水分が全く摂れない・尿の回数が減った時

食事だけでなく、水分も全く受け付けない状態は緊急性が高いです。また、脱水のサインとして「尿の回数が極端に減る」「尿の色が濃くなる」「トイレに1日1〜2回しか行かない」といった症状が出た場合は、すぐに受診してください。

日常生活が送れないほどの強い症状(ケトン体陽性)

一日中嘔吐を繰り返して起き上がれない、めまいがして歩けないといった状態も治療対象です。病院では尿検査を行い、尿中の「ケトン体」の数値を調べます。ケトン体は、体が飢餓状態になり、脂肪を分解してエネルギーを作ろうとする際に出る物質です。これが陽性(+2や+3)であれば、点滴治療や入院管理が必要と判断されます。

病院で行う治療内容(点滴療法・入院管理など)

病院では主に以下の治療を行います。

  • 輸液療法(点滴): 水分、電解質、ビタミン(特にB1、B6)、ブドウ糖などを直接血管から補給します。脱水が改善されるだけで吐き気が治まることが多いです。
  • 制吐剤の投与: 症状によっては、妊婦さんにも使える安全性の高い吐き気止め(プリンペランなど)や漢方薬を処方します。
  • 入院管理: 自宅での安静や食事摂取が困難な場合、数日から数週間入院し、絶食状態で24時間点滴を行い、胃腸を休ませます。

Checklist here|今すぐ病院に相談すべき危険度チェックリスト

  • □ 水分を摂ってもすぐに吐いてしまう
  • □ 妊娠前から体重が5%以上減った
  • □ おしっこの回数が減り、色が濃くなった
  • □ 吐いたものに血が混じっている
  • □ めまいやふらつきで歩くのが困難
  • □ 口の中が乾いてネバネバする

※1つでも当てはまる場合は、産婦人科へ連絡してください。

働く妊婦さんが使える制度と権利

つわりが辛くて仕事に行けないことは、決して「甘え」ではありません。法律で守られた妊婦さんの権利を知り、安心して休める環境を整えましょう。

「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用法

医師から「通勤緩和」や「休憩時間の延長」、「休業」などの指導を受けた場合、その内容を事業主に的確に伝えるための公的な書類が「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」です。

医師に記入してもらい、会社に提出することで、会社側は記載された指導内容(時差出勤、勤務時間の短縮、作業の転換、休業など)に応じる義務が生じます。診断書の代わりとして強い効力を持ちますので、辛い時は医師に相談して書いてもらいましょう。

つわり休暇や傷病手当金について

会社によっては独自の「つわり休暇」を設けている場合があります。就業規則を確認してみましょう。また、つわり(妊娠悪阻)で仕事を連続して3日以上休み、給与が支払われない場合は、健康保険から「傷病手当金」が支給される可能性があります。医師の診断が必要ですが、経済的な不安を減らすための重要な制度です。

上司や職場への報告タイミングと例文

安定期に入るまでは妊娠報告を控えたいと考える方も多いですが、つわりで業務に支障が出る場合は、直属の上司にだけは早めに伝えるべきです。

報告の例文:
「私事で恐縮ですが、現在妊娠しており、つわりの症状が出てきております。急な体調不良でご迷惑をおかけする場面があるかもしれませんが、業務の引き継ぎや調整など、できる限り対応させていただきますので、ご相談させていただけますでしょうか。」

つわりに関するよくある質問 (FAQ)

最後に、診察室でよく聞かれるつわりに関する疑問にお答えします。

Q. つわりが終わる前兆はありますか?

人それぞれですが、「朝起きた時の気分の悪さが少しマシになった」「食べたいものが頭に浮かぶようになった」「週末だけ調子が良い日が出てきた」といった変化を感じる方が多いです。ある日突然終わるパターンと、行きつ戻りつしながら徐々に終わるパターンがあります。焦らずその時を待ちましょう。

Q. 市販の胃薬や吐き気止めは飲んでもいいですか?

産婦人科専門医のアドバイス
「自己判断での市販薬の服用は避けてください。妊娠中でも飲める薬はありますが、成分によっては胎児への影響が懸念されるものも含まれている可能性があります。胃痛や吐き気が辛い場合は、必ず産婦人科で相談し、妊婦さん用に処方された薬(漢方薬や特定の胃薬など)を使用するようにしてください。」

Q. つわりがぶり返すことはありますか?

あります。一度落ち着いたと思っても、疲れが溜まったり、天候(気圧)の変化、精神的なストレスなどがきっかけで症状がぶり返すことがあります。また、妊娠後期に子宮が胃を圧迫することで起こる「後期つわり」もあります。ぶり返した時は「体が休めと言っているサイン」と捉え、ペースダウンしてください。

まとめ:つわりは赤ちゃんが育っている証拠。辛い時は医療の力を頼って

つわりは、妊娠という奇跡的な変化の中で起こる生理現象ですが、その辛さは当事者にしか分からない過酷なものです。

  • 時期の目安: 5〜6週に始まり、8〜10週にピーク、12〜16週頃に落ち着くのが一般的。
  • 辛い時: 食べられるものを食べ、水分補給を最優先に。家事は手抜きでOK。
  • 受診サイン: 体重5%減、水分摂取不可、日常生活困難なら迷わず病院へ。

今、この記事を読んでいるあなたは、辛い体調の中で必死に情報を探し、お腹の赤ちゃんのために頑張っていることと思います。その頑張りは、すでに立派な母親としての姿です。

産婦人科専門医のアドバイス
「つわりは『病気ではない』と言われますが、それは『治療しなくていい』という意味ではありません。お母さんが辛い思いをしているなら、それは医療的なサポートが必要な状態です。一人で抱え込まず、パートナーや家族、そして私たち産婦人科医を頼ってください。長く暗いトンネルのように感じるかもしれませんが、必ず出口はあります。かわいい赤ちゃんに会えるその日まで、一緒に乗り越えていきましょう。」

あなたのつわりが一日も早く落ち着き、穏やかなマタニティライフが訪れることを心から願っています。

この記事を書いた人

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