春の訪れを告げる食材の代表格、「たけのこ」。
スーパーの店頭に並ぶ掘りたてのたけのこや、知人から頂いた泥付きのたけのこを前に、「どうやって調理すれば一番美味しく食べられるのだろう?」と悩んでいませんか?
結論から申し上げますと、たけのこ料理の美味しさは9割が「下処理(あく抜き)」と「部位の使い分け」で決まります。
どんなに高価な調味料を使っても、下処理が不十分でえぐみが残っていたり、硬い根元を無理にお刺身にしてしまっては、せっかくの旬の味覚が台無しになってしまうからです。
この記事では、和食歴20年の経験に基づき、失敗しないあく抜き方法から、部位ごとの食感を生かした絶品レシピ、そして大量に手に入った時の長期保存の裏技までを網羅しました。
家庭のキッチンで再現できる「プロの知恵」を余すことなくお伝えします。
この記事でわかること
- 失敗知らず!プロが教える「えぐみのないあく抜き」の正解と時短テクニック
- 穂先・根元・姫皮…部位ごとの特徴を最大限に活かすプロの使い分け術
- 定番の煮物から子供が喜ぶガッツリ中華まで、旬を味わい尽くす厳選レシピ15選
【最重要】失敗しない「たけのこのあく抜き」完全ガイド
たけのこ料理において、最も重要かつ最初に行うべき工程が「あく抜き」です。
この工程をおろそかにすると、後でどんなに濃い味付けでリカバリーしようとしても、独特の「えぐみ」や「渋み」が口の中に残り、料理全体の質を下げてしまいます。
なぜ、掘りたての新鮮なたけのこでもあく抜きが必要なのでしょうか。
たけのこは成長スピードが非常に速い植物です。土から掘り起こされた瞬間から、自身の成長を止めようとする作用や酸化によって、えぐみの成分である「ホモゲンチジン酸」や「シュウ酸」が急速に増加していきます。
「朝掘ったらその日のうちに湯がけ」と昔から言われるのは、時間が経つほどにえぐみが強くなり、硬くなってしまうからです。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「『掘りたてなら生でも食べられる』という話を聞くことがありますが、それは掘ってから数時間以内の、本当に限られた産地での特権です。スーパーに並んでいるものや、頂いてから半日以上経過しているものは、必ずあく抜きを行ってください。このひと手間が、春の食卓を笑顔にするかどうかの分かれ道になります」
基本のあく抜き:米ぬかと唐辛子を使う理由と手順
まずは、最も失敗が少なく、たけのこの旨味を引き出す基本の方法をご紹介します。
昔ながらの「米ぬか」と「赤唐辛子」を使う方法には、きちんとした科学的な理由があります。
- 米ぬか:ぬかに含まれるカルシウムが、えぐみ成分(シュウ酸)と結合して中和します。また、ぬかの脂肪分や旨味がたけのこを包み込み、酸化を防ぎながら風味を与えます。
- 赤唐辛子:殺菌作用があるほか、ぬかの臭みがたけのこに移るのを防ぐ効果があります。ピリッとした辛味が味を引き締める役割も果たします。
【用意するもの】
- たけのこ:2〜3本
- 米ぬか:一握り(約1カップ)
- 赤唐辛子:1〜2本
- 水:たけのこが完全にかぶる量
【プロの手順】
- 下処理:たけのこを水洗いし、泥を落とします。外側の硬い皮を2〜3枚剥き、穂先を斜めに切り落とします。さらに、火の通りを良くするために、縦に1本、深さ2cmほどの切り込みを入れます。この切り込みが、中までしっかり熱を通し、あくを出しやすくするポイントです。
- 鍋に入れる:大きな鍋にたけのこを入れ、米ぬかと赤唐辛子を加えます。たけのこが頭を出さないよう、たっぷりの水を注ぎます。
- 加熱:強火にかけ、沸騰したら落とし蓋をして、吹きこぼれない程度の弱火〜中火で40分〜1時間ほど茹でます。水が減ってきたら差し水をして、常にたけのこが水に浸かっている状態を保ってください。
- 放置(最重要):竹串がスッと通るようになったら火を止めます。ここですぐにお湯から出してはいけません。茹で汁につけたまま、常温になるまで完全に冷まします(半日〜一晩)。この冷却時間の間に、あくが茹で汁の中に溶け出し、逆にぬかの旨味がたけのこに戻っていきます。
【時短】圧力鍋を使ったあく抜き方法(通常の1/3の時間で完了)
忙しい現代の家庭において、1時間もコンロを占領されるのは厳しい場合もあります。
そんな時は圧力鍋を活用しましょう。高温高圧で調理することで、繊維を一気に柔らかくし、あく抜きの時間を大幅に短縮できます。
【手順】
- 基本の手順と同様に、たけのこの先端を切り、縦に切り込みを入れます。
- 圧力鍋にたけのこ、米ぬか、赤唐辛子、かぶるくらいの水を入れます(鍋の規定量を超えないよう注意)。
- 蓋をして強火にかけ、圧力がかかったら弱火にして10分〜15分加圧します。
- 火を止め、圧力が自然に下がるまで放置します。
- 圧が下がっても蓋を開けず、そのまま冷めるまで待ちます。
圧力鍋を使う場合の注意点は、急冷して蓋を開けないことです。
余熱調理と、冷めていく過程での味の馴染ませが必要なため、時間は短縮できても「冷ます工程」は省かないようにしましょう。
米ぬかがない時は?「生米」や「重曹」での代用テクニック
「たけのこをもらったけれど、家に米ぬかがない!」というケースも多いでしょう。
そんな時に使える代用品と、その特徴を解説します。
1. 生米(または米のとぎ汁)を使う方法
米ぬかと同じ原理で、米のでんぷん質があくを吸着します。
米ぬかほどの強力な効果はありませんが、鮮度の良いものであれば十分に美味しく仕上がります。
鍋に生米を大さじ3杯ほど(または濃いめのとぎ汁)を入れて、基本の手順通りに茹でてください。茹で上がったお粥はぬめりが強いので食べるには不向きですが、たけのこは白く綺麗に仕上がります。
2. 重曹を使う方法
重曹は繊維を柔らかくする作用が強いため、あくが抜けやすくなります。
水1リットルに対して重曹小さじ1程度を入れます。
ただし、入れすぎたり茹で過ぎたりすると、たけのこの風味が飛び、食感がグズグズになってしまうリスクがあります。
また、重曹特有の匂いが残る場合があるため、茹で上がった後はしっかりと水洗いする必要があります。あくまで「急ぎの場合の手段」として覚えておくと良いでしょう。
あく抜き完了のサインは?竹串の通り具合と放置時間の目安
「もう茹で上がったかな?」と判断に迷う時は、竹串テストを行います。
たけのこの一番太い部分(根元寄り)に竹串を刺してみてください。
抵抗なく「スッ」と中心まで通れば、茹で上がりです。
少しでも「ガリッ」という硬さを感じたら、あと10分ほど茹で時間を追加しましょう。
また、茹で汁が茶色く濁り、独特のとうもろこしのような甘い香りがしてくるのも一つの目安です。
茹で汁を少し舐めてみて、強いえぐみを感じなければ、あくは十分に抜けています。
▼あく抜き方法別・所要時間と仕上がり比較表(クリックで開く)
| 方法 | 加熱時間 | 放置時間 | 仕上がり・特徴 |
|---|---|---|---|
| 鍋(米ぬか) | 40〜60分 | 8時間〜一晩 | 【推奨】 風味豊かでえぐみが最も抜けやすい。失敗が少ない。 |
| 圧力鍋 | 10〜15分 | 自然冷却 | 時短に最適。食感は柔らかくなりやすい。 |
| 生米・とぎ汁 | 40〜60分 | 8時間〜一晩 | 米ぬかがない時の代用。仕上がりの色は白く綺麗。 |
| 重曹 | 30〜40分 | 自然冷却 | 繊維が柔らかくなりすぎるリスクあり。初心者は注意。 |
▼プロの失敗談:修業時代、あく抜きを急いで親方に叱られた話
私がまだ見習いだった頃の話です。
ランチの営業準備に追われ、たけのこのあく抜き後の「冷ます時間」を短縮しようと、茹で上がってすぐに流水で冷やしてしまいました。
見た目は変わりませんでしたが、親方が味見をした瞬間、「なんだこのえぐい筍は!」と激怒されました。
中心部にしっかりとした渋みが残ってしまっていたのです。
結局、そのたけのこはお客様には出せず、全て賄いのカレーの具材になりました(カレーのスパイスでえぐみをごまかすしかなかったのです)。
「たけのこは湯の中で冷ますことで初めて料理になる」という教えは、今でも私の料理哲学の根幹になっています。
プロはこう使う!たけのこの「部位別」特徴とおすすめ調理法
あく抜きが終わったたけのこを見て、「どこからどこまで食べられるの?」「硬い根元はどうすればいいの?」と悩むことはありませんか?
たけのこは、先端から根元まで、部位によって食感や味わいが全く異なります。
これらを使い分けることこそが、家庭料理をプロのレベルに引き上げる最大のコツです。
Image here|たけのこの部位図解(姫皮・穂先・中央・根元)と適した料理のマトリクス
【姫皮(先端の皮)】捨てないで!吸い物や和え物に最適な幻の部位
皮を剥いていくと、先端部分に残る薄く柔らかい皮のような部分。
これが「姫皮(ひめかわ)」です。
多くの人が捨ててしまいがちですが、実は非常に滑らかで上品な甘みがある、極上の部位なのです。
おすすめの食べ方:
- お吸い物:細切りにして浮かべると、ふわっとした食感が楽しめます。
- 梅肉和え:湯通しして刻み、梅肉とかつお節で和えれば、日本酒に合う乙なつまみになります。
- 酢の物:わかめやキュウリと一緒に三杯酢で。
姫皮は量が少ししか取れないため、料理人にとっては「つまみ食いしたくなる」ほど愛おしい部位でもあります。
ぜひ捨てずに活用してください。
【穂先(先端)】柔らかさを楽しむ、煮物・汁物・お刺身向け
たけのこのトップ部分、いわゆる「穂先(ほさき)」は、繊維が柔らかく、見た目も美しい一番のご馳走部分です。
味が染み込みやすく、口当たりが良いのが特徴です。
おすすめの食べ方:
- 若竹煮:形を活かして大きめにカットし、わかめと共に煮含めます。
- お刺身:鮮度が抜群に良い場合は、薄くスライスしてわさび醤油で。
- 茶碗蒸し:具材として入れると、春らしい香りが立ちます。
穂先は崩れやすいので、調理する際はあまりかき混ぜすぎないよう、優しく扱うのがポイントです。
【中央部】歯ごたえと柔らかさのバランス良し。炊き込みご飯・炒め物に
穂先と根元の中間部分は、適度な歯ごたえがありつつも硬すぎない、最も使い勝手の良い万能選手です。
たけのこらしい「シャキシャキ」とした食感を存分に楽しめます。
おすすめの食べ方:
- たけのこご飯:いちょう切りや短冊切りにして、お米と一緒に炊き込みます。
- チンジャオロース:繊維に沿って細切りにすることで、ピーマンや肉との食感のバランスが整います。
- 天ぷら:適度な厚みに切って揚げると、ホクホクとした食感になります。
【根元】硬い部分は薄切りやサイコロ状に。メンマ・ハンバーグ・揚げ物に
根元の部分は繊維が密集しており、色が白く、硬さが特徴です。
「硬くて食べにくい」と敬遠されがちですが、糖度が高く、噛めば噛むほど旨味が出る部位でもあります。
切り方を工夫すれば、驚くほど美味しく変身します。
おすすめの食べ方:
- メンマ:繊維を断つように薄切りにするか、棒状に切ってごま油で炒め煮にします。
- ハンバーグやつくね:みじん切りにして肉ダネに混ぜ込むと、コリコリとした食感がアクセントになり、かさ増しにもなります。
- 唐揚げ:乱切りにして下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げると、スナック感覚で食べられます。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「根元を使う時のプロの技は『隠し包丁』です。輪切りにする場合、両面に格子状の浅い切り込みを入れてみてください。これだけで味が染み込みやすくなるだけでなく、噛み切りやすくなり、小さなお子様やお年寄りでも美味しく召し上がれます」
【和食編】これぞ春の味!絶対外さない定番たけのこレシピ
下処理と部位の選定ができれば、あとは調理するだけです。
ここでは、春の食卓に欠かせない和食の定番レシピを、プロならではの「美味しくなるコツ」と共に解説します。
プロの味を再現!出汁が染みる「たけのこご飯」の黄金比率
春の定番中の定番。シンプルだからこそ、水加減と調味料のバランスが重要です。
【材料(3〜4人分)】
- 米:2合
- 茹でたけのこ(中央〜穂先):150g
- 油揚げ:1枚(コク出しに必須)
- 出汁(かつおと昆布):350ml〜400ml(炊飯器の目盛りに合わせる)
- A 薄口醤油:大さじ2
- A 酒:大さじ1
- A みりん:大さじ1
- 木の芽:適量
【作り方とコツ】
- 米は洗ってザルに上げ、30分ほど置いておきます(吸水)。
- たけのこは食べやすい大きさのいちょう切り、油揚げは短冊切りにします。
- 炊飯釜に米、Aの調味料を入れ、目盛りまで出汁を注ぎます。全体を軽く混ぜます。
- たけのこと油揚げを米の上に広げるように乗せます(混ぜ込まないこと)。
- 通常モードで炊飯し、炊き上がったら底からさっくりと混ぜ合わせます。
プロのポイント:
必ず「薄口醤油」を使ってください。濃口醤油だとご飯が黒っぽくなり、たけのこの淡い黄色が映えません。
また、油揚げを入れることで動物性の脂に近いコクが加わり、冷めても美味しいご飯になります。
ワカメとの相性抜群「若竹煮」失敗しない煮含め方
「出会いもの」と呼ばれる、春のわかめとたけのこの煮物。
繊細な出汁の味を含ませる料理です。
【作り方とコツ】
- たけのこ(穂先中心)は大きめのくし形に切ります。
- 鍋に出汁、薄口醤油、みりん、酒、少量の塩を合わせ、吸い物より少し濃い程度の味付けにします。
- たけのこを入れ、落とし蓋をして弱火で15分ほど煮ます。
- 最後に生わかめ(または戻した乾燥わかめ)を加え、さっと1〜2分煮たら火を止めます。
プロのポイント:
わかめは煮すぎると色が飛び、ドロドロになってしまいます。食べる直前に加え、鮮やかな緑色と歯ごたえを残すのが鉄則です。
カリッと香ばしい「たけのこの天ぷら・唐揚げ」
揚げ物にすると、たけのこの甘みが凝縮されます。
水分が多いと油ハネの原因になるので注意が必要です。
【作り方とコツ】
- たけのこはキッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取ります。
- 天ぷらの場合は薄力粉を薄くまぶしてから衣をつけ、170〜180度の油で揚げます。
- 唐揚げの場合は、醤油と酒で下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げます。
プロのポイント:
天ぷらは「塩」で食べるのが一番。抹茶塩や山椒塩を添えると、春の香りが一層引き立ちます。
【常備菜】ご飯が止まらない「たけのこの土佐煮」
かつお節の旨味をまとわせた、お弁当にも最適な一品です。
【作り方とコツ】
- たけのこをごま油でさっと炒めます(コク出し)。
- 出汁、醤油、みりん、砂糖を加え、汁気が少なくなるまで煮詰めます。
- 仕上げにたっぷりのかつお節を加え、全体に絡めます(「おかかまぶし」の状態)。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「煮物を作る際、最も大切な技術が『鍋止め(なべどめ)』です。煮上がってすぐに器に盛るのではなく、鍋の中でゆっくりと常温になるまで冷ます時間を設けてください。たけのこは冷める時に味が中まで染み込みます。食べる直前に再度温め直すことで、芯まで味の染みたプロの煮物になります」
【洋食・中華編】マンネリ解消!子供も箸が進むガッツリ系レシピ
「毎日たけのこご飯だと飽きる」「子供が煮物を食べてくれない」
そんなお悩みには、油やバター、お肉を使ったガッツリ系レシピで対抗しましょう。
たけのこは意外にも油との相性が抜群に良い食材です。
ご飯泥棒の代表格「チンジャオロース(青椒肉絲)」
中華の定番ですが、市販の素を使わなくても簡単に作れます。
たけのこのシャキシャキ感を一番活かせる料理です。
【ポイント】
- たけのこ、ピーマン、豚肉(または牛肉)は全て同じ太さの細切りにします。太さを揃えることで火の通りが均一になります。
- 肉には片栗粉をまぶしておくと、調味料がよく絡み、肉も柔らかく仕上がります。
- オイスターソースをベースに、砂糖と醤油で甘辛く味付けします。
バターの香りが食欲をそそる「たけのこステーキ バター醤油味」
まるでアワビのような食感を楽しめる、贅沢な一品。
ワインやビールのお供にも最高です。
【作り方】
- たけのこの根元に近い部分を1cm厚さの輪切り、または半月切りにします。
- 両面に格子状の切れ目を入れます。
- フライパンにバターを熱し、たけのこを並べて中火でじっくり焼きます。
- 両面にこんがりと焼き色がついたら、醤油を鍋肌から回し入れ、焦がし醤油の香りをまとわせます。
- 仕上げに黒胡椒を振ります。
春キャベツと合わせて「たけのこと豚肉のオイスターソース炒め」
春の食材同士のコラボレーション。
春キャベツの甘みとたけのこの食感が絶妙です。
【ポイント】
- 豚バラ肉の脂でたけのこを炒めるようにすると、肉の旨味がたけのこに移ります。
- ニンニクと生姜を効かせることで、ご飯が何杯でもいけるスタミナおかずになります。
ワインにも合う「たけのことベーコンのペペロンチーノ風」
パスタの具材にするのはもちろん、そのまま炒め物としても優秀です。
【作り方】
- オリーブオイルでニンニクと鷹の爪を弱火で熱し、香りを引き出します。
- ベーコンと薄切りにしたたけのこ(姫皮や穂先がおすすめ)を炒めます。
- 茹で汁を少し加えて乳化させ、塩胡椒で味を調えます。
- 仕上げにパセリや木の芽を散らします。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「私の店でも、たけのこが苦手なお子様向けに『たけのこ入りハンバーグ』や『たけのこ餃子』をお出しすることがあります。根元の硬い部分を粗みじんにして挽肉に混ぜ込むと、食感が良くなり、野菜嫌いのお子様でも『これ美味しい!』と完食してくれます。ぜひ根元をミンチにして活用してみてください」
大量消費&長期保存!旬の美味しさを長持ちさせる方法
「親戚から段ボール一杯のたけのこが届いた…」
嬉しい悲鳴ですが、鮮度が命のたけのこを腐らせてしまってはもったいない。
用途に合わせた適切な保存方法で、春の味覚を長く楽しみましょう。
【冷蔵保存】水に浸けて毎日交換(保存目安:約1週間)
数日中に使い切る予定なら、冷蔵保存が基本です。
- あく抜きしたたけのこをタッパーに入れ、全体が浸かるように水を張ります。
- 冷蔵庫に入れ、毎日水を交換します。
- これで約1週間は鮮度を保てますが、日が経つにつれて風味は抜けていくので早めに使いましょう。
【冷凍保存】砂糖まぶし冷凍なら食感が変わらない!(保存目安:約1ヶ月)
「たけのこは冷凍するとスカスカになる」と思っていませんか?
実は、あるひと工夫で食感をキープしたまま冷凍できます。
【魔法の「砂糖まぶし」冷凍法】
- たけのこを料理に使いやすい大きさ(薄切りやいちょう切り)にカットします。
- 保存袋に入れ、たけのこの重量の5〜10%程度の砂糖をまぶして揉み込みます。
- 砂糖が水分を抱え込む(保水性)ため、解凍時の水分の流出=スカスカ化を防いでくれます。
- 使う時は、凍ったまま煮物や炒め物に投入します。砂糖の甘みは料理の味付けの一部として利用できます(煮物なら砂糖を減らせばOK)。
【加工保存】自家製メンマにしてラーメンや炒飯の具材に
大量の根元部分は、自家製メンマにして作り置きするのがおすすめです。
- ごま油で炒め、鶏ガラスープの素、醤油、砂糖、酒、鷹の爪で濃いめに味付けして煮詰めます。
- 清潔な保存容器に入れれば、冷蔵庫で2週間ほど持ちます。
- ラーメンのトッピングはもちろん、刻んでチャーハンに入れたり、そのままお酒のアテにもなります。
【干し保存】旨味が凝縮!干したけのこの作り方
晴れた日が続くなら、干してたけのこ(乾燥メンマのようなもの)を作るのも手です。
- 薄切りにしたたけのこをザルに広げ、天日で2〜3日干します。
- カチカチになるまで乾燥させれば、常温で数ヶ月保存可能です。
- 使う時は水で戻してから煮物に使います。生とは違った凝縮された旨味と、コリコリとした独特の食感が楽しめます。
▼保存方法別の期間と用途一覧表(クリックで開く)
| 保存方法 | 保存期間目安 | 適した用途 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 水浸け冷蔵 | 約1週間 | 全ての料理 | 毎日水を替えること。 |
| 砂糖まぶし冷凍 | 約1ヶ月 | 煮物、炒め物 | 解凍せずそのまま加熱調理へ。 |
| 味付け加工(メンマ) | 約2週間 | おつまみ、麺類 | 濃い味付けで日持ち向上。 |
| 天日干し | 数ヶ月 | 煮物、中華スープ | 戻し汁にも良い出汁が出る。 |
たけのこ料理の「困った」を解決!専門家が答えるQ&A
最後に、たけのこ料理に関してよく寄せられる質問に、プロの視点でお答えします。
Q. 茹でた後にえぐみが残ってしまった…リカバリー方法は?
A. 油調理や濃い味付けでカバーしましょう。
残念ながら、一度残ってしまったえぐみを後から完全に抜くことは難しいです。
しかし、感じにくくすることは可能です。
お吸い物や薄味の煮物にするのは諦め、「天ぷら」「唐揚げ」「チンジャオロース」「カレー」など、油を使う料理や、スパイス・ニンニクを効かせた濃い味付けの料理に転用してください。
油分が舌をコーティングし、えぐみを感じにくくしてくれます。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「もし煮物にしてしまった後にえぐみに気づいた場合は、一度煮汁を捨て、新しい出汁で煮直すか、あるいは細かく刻んで『たけのこ入り肉味噌』などにリメイクするのが賢明です。プロの現場でも、わずかなえぐみがある個体は揚げ物や濃い味の炒め物に回すのが鉄則です」
Q. たけのこに付いている白い粉(チロシン)は洗うべき?
A. 洗い流す必要はありません。無害なアミノ酸の一種です。
たけのこの断面や節の間にある白い粉のようなものは、「チロシン」というアミノ酸の結晶です。
これは旨味成分の一部であり、食べても全く問題ありません。
むしろ、脳の活性化やストレス緩和に役立つとも言われる栄養素です。
見た目が気になる場合は水でさっと洗い流しても良いですが、無理に取る必要はありません。
Q. スーパーで美味しいたけのこを見分けるポイントは?
A. 「穂先が黄色いもの」「切り口がみずみずしいもの」を選びましょう。
- 穂先の色:緑色になっているものは、土から頭を出して日が当たっていた証拠で、えぐみが強く硬い傾向があります。穂先が黄色く(または薄茶色)、皮の色艶が良いものを選びましょう。
- 形:ずんぐりむっくりとした、釣鐘型のものが柔らかくて美味しいです。細長いものは成長しすぎて硬い場合があります。
- 根元の粒々:根元の赤い粒々が小さくて少ないものほど、鮮度が良く柔らかいです。
Q. 水煮たけのこ(市販品)を使う場合の臭み取りは?
A. さっと湯通しすると、独特の酸味やパック臭が消えます。
市販の水煮たけのこは便利ですが、保存料としてクエン酸などが使われていることが多く、酸っぱい匂いがすることがあります。
料理に使う前に、沸騰したお湯で1〜2分さっと茹でこぼすか、熱湯を回しかけるだけで、あの独特の臭みが取れ、味が染み込みやすくなります。
まとめ:下処理と使い分けをマスターして、春の味覚を楽しみ尽くしましょう
たけのこは、下処理に少し時間はかかりますが、その手間をかけるだけの価値がある、春だけの特別なご馳走です。
「あく抜き」という最初のハードルさえクリアし、部位ごとの特徴を知ってしまえば、和食だけでなく洋食や中華など、毎日の献立に幅広く活用できる万能野菜です。
最後に、美味しいたけのこ料理を作るためのチェックリストを確認しましょう。
【たけのこ調理・最終チェックリスト】
- [ ] 買ったら(もらったら)すぐに茹でる!時間は置かない。
- [ ] あく抜き後は、茹で汁の中で完全に冷ます(これが味の決め手)。
- [ ] 姫皮は捨てずに吸い物や和え物に活用する。
- [ ] 穂先は煮物やお刺身、根元は炒め物や揚げ物に使い分ける。
- [ ] 煮物は「鍋止め」をして味を染み込ませる。
- [ ] 使いきれない分は、水に浸けて冷蔵するか、砂糖をまぶして冷凍する。
和食歴20年の料理人のアドバイス
「季節の食材を、その季節ならではの手順で料理する。これこそが家庭料理の豊かさであり、一番の贅沢です。多少形が不恰好でも構いません。ぜひ、ご自身の手で茹でたたけのこを食卓に並べ、ご家族と『春の味だね』と笑い合いながら召し上がってください。その時間が、何よりの栄養になるはずです」
ぜひ今日から、スーパーでたけのこを見かけたら手に取ってみてください。
あなたの食卓に、素晴らしい春の香りが届くことを願っています。
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