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【プロ解説】グループホームとは?費用・入居条件と失敗しない選び方

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認知症の親を持つご家族にとって、自宅での介護に限界を感じ始めたとき、最も有力な選択肢となるのが「グループホーム」です。しかし、特養や有料老人ホームと何が違うのか、費用は年金の範囲内で収まるのか、そして何より「親が穏やかに暮らせるのか」という不安は尽きないことでしょう。

結論から申し上げますと、グループホームは、認知症の方が少人数(5〜9名)で共同生活を送りながら、専門的なケアを受ける「第2の我が家」です。家庭に近い環境で役割を持って生活することで、認知症の進行緩和が期待できる一方、医療体制の限界や厳格な入居条件には注意が必要です。

この記事では、以下の3点を中心に、パンフレットには載っていない「現場のリアル」を余すところなく解説します。

  • 業界歴18年の専門家が教える、グループホームの特徴と入居条件の「本音」
  • 入居一時金や月額費用のリアルな相場(隠れた実費負担まで公開)
  • 母に合う施設を見極めるための、見学時の「プロ視点」チェックポイント5選

数多くのご家族の相談に乗ってきた経験から、後悔しない施設選びの決定版となる情報をお届けします。ぜひ最後までお読みいただき、親御さんにとって最適な「終の棲家」を見つける手助けとしてください。

  1. グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?特徴と仕組み
    1. 少人数「ユニットケア」で送る家庭的な生活
    2. 「生活リハビリ」で認知症の進行を緩やかにする
    3. 1日の流れとスタッフの関わり方
  2. グループホームに入居できる条件(対象者)
    1. 基本的な4つの入居条件
    2. 「住民票」の壁とは?地域密着型サービスの注意点
    3. 入居を断られる可能性があるケース(医療依存度・暴力行為)
  3. 気になる費用相場:初期費用と月額利用料の内訳
    1. 入居一時金(敷金・保証金)の相場と償却ルール
    2. 月額費用の目安(家賃・食費・介護サービス費)
    3. 意外と見落としがちな「その他の実費負担」
  4. 他の施設となにが違う?特養・有料老人ホームとの徹底比較
    1. 特別養護老人ホーム(特養)との違い
    2. 有料老人ホーム(介護付・住宅型)との違い
    3. あなたの親御さんに適しているのはどこ?(フローチャート解説)
  5. 【現場の本音】グループホームのメリット・デメリット
    1. メリット:認知症ケアの専門性と家庭的な安心感
    2. デメリット:医療体制の限界と人間関係のトラブル
    3. 【体験談】入居後に「こんなはずじゃなかった」とならないために
  6. 失敗しないグループホームの選び方と見学時のチェックポイント
    1. 見学は必ず「昼食時」に行きなさい
    2. スタッフの言葉遣いと入居者の表情を見る
    3. 運営法人の理念とバックアップ体制を確認する
    4. 空き状況の確認と「待機」の考え方
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 親が「家に帰りたい」と言って嫌がる場合はどうすればいい?
    2. Q. 認知症が進んで寝たきりになっても住み続けられる?
    3. Q. 面会や外出・外泊は自由にできる?
    4. Q. 夫婦で一緒に入居することは可能?
  8. 最後 まとめ:母にとって最適な「終の棲家」を見つけるために
    1. グループホーム選び・見学時チェックリスト

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?特徴と仕組み

グループホームは、正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。介護保険制度上の「地域密着型サービス」の一つであり、認知症の高齢者が住み慣れた地域で生活し続けることを目的としています。しかし、制度上の定義だけでは、実際の生活イメージは湧きにくいものです。

私が現場で見てきたグループホームの姿は、単なる「介護施設」というよりも、大きな「シェアハウス」に近い側面があります。管理された病院のような空間ではなく、リビングがあり、キッチンから料理の匂いが漂い、入居者様同士がお茶を飲みながら談笑する。そんな「当たり前の日常」を守る場所がグループホームです。

このセクションでは、グループホームが具体的にどのような仕組みで運営され、親御さんがどのような環境で過ごすことになるのか、その特徴を深掘りして解説します。

少人数「ユニットケア」で送る家庭的な生活

グループホームの最大の特徴は、「ユニットケア」と呼ばれる少人数制のケア体制です。1つのユニットは5名から9名の入居者で構成され、この小集団がひとつの「家族」のように生活します。1つの施設には最大で3ユニット(定員27名)までしか設置できない決まりがあり、大規模施設のような喧騒はありません。

認知症の方は、環境の変化や大勢の人混みにストレスを感じやすく、それが混乱や周辺症状(BPSD)の悪化につながることがあります。しかし、ユニットケアでは常に「顔なじみの入居者」と「顔なじみのスタッフ」に囲まれて過ごします。毎日同じメンバーと顔を合わせることで安心感が生まれ、精神的な安定につながるのです。

リビングダイニングを中心に、個室が配置されるレイアウトが一般的です。食事、団らん、入浴などはユニットごとに行われます。スタッフもユニット担当制が基本であるため、入居者一人ひとりの性格、生活歴、好み、体調の変化を深く理解することができます。「〇〇さんはコーヒーには砂糖を2本入れる」「夕方になると寂しがる」といった細やかな情報を共有し、その人らしさを尊重した個別ケアが可能になるのが、少人数制の大きなメリットです。

「生活リハビリ」で認知症の進行を緩やかにする

グループホームのケア方針の根幹にあるのが「生活リハビリ」という考え方です。これは、機能訓練室で機械を使って運動することだけを指すのではありません。掃除、洗濯、料理の盛り付け、配膳、食器洗い、庭の水やりなど、日常生活の中にある家事を、できる範囲で入居者自身が行うことを指します。

ご家族の中には「高いお金を払って入居しているのに、親に家事をさせるなんて」と驚かれる方もいらっしゃいます。しかし、認知症ケアにおいて「役割を持つこと」は極めて重要です。「何もさせない」「すべてスタッフがやってあげる」という過剰な介護は、認知症の方から残存能力を奪い、無気力化を招き、認知症の進行を早めてしまうリスクがあります。

例えば、長年主婦として台所を切り盛りしてきた女性にとって、包丁を握ったり、洗濯物を畳んだりする動作は、身体が覚えている記憶(手続き記憶)を呼び覚ます行為です。「自分はまだ役に立つ」「必要とされている」という自己効力感を感じることで、表情がいきいきとし、問題行動が減るケースを私は数え切れないほど見てきました。スタッフは危険がないように見守りながら、できない部分だけをさりげなくサポートします。これがグループホームならではの自立支援ケアです。

1日の流れとスタッフの関わり方

グループホームでの1日は、ご本人の生活リズムを尊重しつつ、ゆったりと流れます。決まったスケジュールで管理するのではなく、その日の体調や気分に合わせた柔軟な対応が基本です。

以下は、一般的なグループホームでの1日のスケジュール例です。

時間 活動内容とケアのポイント
07:00 起床・着替え・整容
無理に起こさず、自然な目覚めを待ちます。着替えはご自身で行えるよう声かけし、見守ります。
08:00 朝食
リビングで全員揃って食事。配膳や片付けも入居者とスタッフが協力して行います。
09:00 バイタルチェック・服薬
看護師やスタッフが血圧・体温を測定し、健康状態を確認します。
10:00 午前の活動・体操
ラジオ体操、口腔体操、散歩、買い物など。天気が良ければ近所の公園へ出かけることもあります。
12:00 昼食
メニューの相談をしたり、簡単な調理補助(野菜の皮むき等)を行うこともあります。
14:00 レクリエーション・入浴
おやつ作り、カラオケ、塗り絵、季節行事の準備など。入浴は個浴で、一人ずつゆったりと入ります。
15:00 おやつ・ティータイム
コーヒーや紅茶を飲みながらの団らん。スタッフも交えて会話が弾む大切な時間です。
18:00 夕食
家庭的な雰囲気で夕食を楽しみます。嚥下状態に合わせた食事形態の提供も行います。
20:00 口腔ケア・就寝準備
パジャマへの着替え、義歯の洗浄などをサポートします。
21:00 消灯・就寝
眠れない方にはスタッフが寄り添い、お茶を飲んで落ち着く時間を設けることもあります。夜間もスタッフが常駐し、巡回を行います。

このように、特別なイベントがない日でも、生活の一つひとつの動作がリハビリとなり、コミュニケーションの機会となります。スタッフは「管理者」ではなく「生活のパートナー」として、入居者と同じ目線で時間を共有します。

[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス:生活リハビリの効果について]

「何もさせない」ことが優しさではありません。以前、自宅では無気力で一日中テレビの前で過ごしていた方が、グループホーム入居後に「味噌汁の味見役」をお願いしたところ、役割を持てたことで表情が劇的に明るくなった事例があります。それまでは「自分は厄介者だ」と感じていたのが、「ここの味噌汁は私がいないと味が決まらない」という自信に変わったのです。できることは自分でやる、それがグループホームのケアの本質であり、認知症の進行を緩やかにする最大の秘訣です。

グループホームに入居できる条件(対象者)

「グループホームが良いな」と思っても、誰でも入居できるわけではありません。グループホームは制度上、明確な入居基準が設けられています。特に、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームとは異なる独自の条件があるため、事前の確認が不可欠です。

ペルソナである皆様が「自分の親が入れるか」を即座に判断できるよう、必須条件とよくある誤解、そして実際に入居を断られてしまうケースについて詳細に解説します。

基本的な4つの入居条件

グループホームに入居するためには、原則として以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

  1. 65歳以上であること
    原則として65歳以上の高齢者が対象です。ただし、若年性認知症(初老期認知症)と診断された場合は、40歳〜64歳であっても入居が可能なケースがあります(第2号被保険者)。
  2. 要支援2 または 要介護1〜5 の認定を受けていること
    介護保険の認定が必要です。「要支援1」の方は対象外となりますのでご注意ください。また、身体介護が中心の施設ではないため、要介護度が非常に高い(寝たきり等)場合は、施設の体制によって受け入れが難しいこともあります。
  3. 医師による認知症の診断があること
    「物忘れがある」程度では入居できません。主治医による「認知症」の診断書が必要です。診断書がない場合は、専門医を受診して診断を受ける必要があります。
  4. 施設と同じ市区町村に住民票があること
    これが最も見落としがちな条件です。グループホームは「地域密着型サービス」に分類されるため、原則として施設がある市区町村に住民票がある人しか入居できません。

「住民票」の壁とは?地域密着型サービスの注意点

グループホーム選びで最もトラブルになりやすいのが、この「住民票」の問題です。地域密着型サービスとは、「高齢者が住み慣れた地域で生活し続けること」を支援するための制度であり、その財源は各自治体の保険料で賄われています。

そのため、例えば「娘である私の家の近く(他県や別の市)のグループホームに、地方に住む親を呼び寄せたい」と考えた場合、そのままでは入居できません。親御さんの住民票を、入居希望の施設がある市区町村に移す必要があります。しかし、住民票を移してすぐに介護保険が適用されるか、あるいは「住所地特例」などの例外が適用されるかは、自治体によって運用が異なります。

遠距離介護からの呼び寄せを検討している場合は、まず移動先の市区町村の介護保険課や、地域包括支援センターに「転入してすぐにグループホームに入居できるか」を必ず相談してください。場合によっては、転入後一定期間(3ヶ月〜半年など)経過しないと地域密着型サービスを利用できないという「待機期間」を設けている自治体もあります。

入居を断られる可能性があるケース(医療依存度・暴力行為)

条件を満たしていても、施設側の体制や他の入居者との兼ね合いで、入居を断られる(または退去を求められる)ケースがあります。これらを事前に知っておくことは、ミスマッチを防ぐために非常に重要です。

  • 医療依存度が高い場合
    グループホームには医師の常駐義務がなく、看護師の配置も義務ではありません(配置している施設もあります)。そのため、常時の医療処置が必要な方(例:インスリン注射の管理が自分でできない、痰の吸引が頻繁に必要、経管栄養、常時点滴など)は、受け入れ不可となることが多いです。
  • 集団生活が困難な場合
    他の入居者への暴力、暴言、著しい不潔行為、盗難癖などがあり、共同生活の秩序を乱すと判断された場合です。認知症の症状とはいえ、他の入居者の安全が脅かされる場合は、精神科病院や専門棟のある施設への転居を勧められます。
  • 感染症がある場合
    結核や疥癬(かいせん)など、他の入居者に感染するリスクがある疾患を持っている場合、完治するまで入居を待たされることがあります。
[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス:入居条件の「現場のリアル」]

要件を満たしていても、集団生活が困難なほどの暴力行為や、常時の医療処置が必要な場合は、施設の体制によってはお断りせざるを得ないケースがあります。ここで重要なのは、見学や面談の際に「入居させたい一心で、親の問題行動を隠さないこと」です。「実は夜中に大声を出すことがあります」「たまに手が出ることがあります」と包み隠さず相談してください。施設側もプロですので、事前に情報があれば対策を検討できます。隠して入居し、後でトラブルになって退去勧告を受けるのが、ご本人にとってもご家族にとっても一番の不幸です。

気になる費用相場:初期費用と月額利用料の内訳

施設選びにおいて、ご家族が最も頭を悩ませるのが「費用」の問題です。ペルソナである佐藤様のように「親の年金と少しの持ち出し(月15万円程度)で収めたい」と考えるのは当然のことです。しかし、パンフレットに書かれている金額だけを見て判断すると、後から想定外の出費に苦しむことになりかねません。

ここでは、グループホームの費用構造を解き明かし、実際に毎月いくら支払うことになるのか、シミュレーションを含めて解説します。

入居一時金(敷金・保証金)の相場と償却ルール

グループホームの費用は大きく分けて「入居時に支払う初期費用」と「毎月支払う月額費用」の2つがあります。

まず初期費用ですが、以前は数百万円の一時金が必要な施設もありましたが、現在は法改正や市場の変化により、0円〜数十万円程度が相場となっています。名目は「入居一時金」「敷金」「保証金」など様々です。

  • 敷金・保証金タイプ(相場:10〜30万円)
    賃貸住宅の敷金と同様に、退去時の原状回復費用や利用料未払いの担保として預けるお金です。原則として、退去時に清掃費などを差し引いて返還されます。
  • 入居一時金タイプ(相場:数万〜数百万円)
    家賃の前払い金としての性格を持ちます。「初期償却」や「償却期間」が設定されており、想定居住期間内に退去した場合、未償却分が返還されるルールになっています。最近ではこのタイプは減少しつつあります。
  • 0円プラン
    初期費用がかからない代わりに、月額の家賃設定がやや高めに設定されているケースです。まとまった資金を用意できない場合に適しています。

月額費用の目安(家賃・食費・介護サービス費)

月額費用は、施設によって大きく異なりますが、全国的な相場としては15万円〜20万円程度が目安となります。都市部では地価が高いため、20万円を超えることも珍しくありません。

月額費用の主な内訳は以下の通りです。

  1. 家賃(5〜8万円)
    立地や設備のグレード、個室の広さによって変動します。都市部は高く、地方は安い傾向にあります。
  2. 食費(3〜5万円)
    1日3食とおやつの材料費、調理コストです。欠食した場合は返金されるかどうかも確認が必要です。
  3. 水道光熱費・管理費(2〜4万円)
    共用部の維持管理費や、居室の水道光熱費です。
  4. 介護サービス費(1〜3万円:1割〜3割負担)
    介護保険を利用した自己負担分です。要介護度によって金額が決まっています。例えば、要介護1で1割負担の場合、月額約2.5万円程度です。

意外と見落としがちな「その他の実費負担」

これが最も注意すべきポイントです。上記の月額費用に加え、以下の「実費」が毎月かかります。

  • おむつ代・リハビリパンツ代:施設で購入すると割高になることも。持ち込み可否を確認しましょう。
  • 医療費・薬代:往診や通院にかかる費用。
  • 理美容代:訪問理美容を利用した場合の実費。
  • 日用品費:ティッシュ、歯ブラシ、洗剤など。
  • 嗜好品・レクリエーション費:個人的なお菓子や、イベント時の材料費など。

これらを合計すると、公表されている月額利用料に加えて、プラス3〜5万円程度を見ておく必要があります。

【費用シミュレーション例(要介護1・1割負担の場合)】

項目 金額目安
家賃 60,000円
食費 45,000円
水道光熱費・管理費 25,000円
介護サービス自己負担額 約25,000円
小計(基本月額) 155,000円
医療費・薬代(実費) 5,000円
日用品・おむつ代(実費) 10,000円
理美容・雑費(実費) 5,000円
総支払額(推定) 175,000円
[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス:予算オーバーを防ぐコツ]

パンフレットの「月額利用料」だけで判断するのは非常に危険です。実際には、上記のシミュレーションのように、実費が上乗せされます。親御さんの年金額が月15万円の場合、月額利用料が13万円程度の施設を選ばないと、毎月の収支が赤字になり、貯金を切り崩すことになります。「総額でいくらになるか」を必ず施設長に試算してもらい、年金の範囲内で収まるか、ケアマネジャーと一緒に冷静に計算することをお勧めします。無理な計画は、将来的に退去を余儀なくされる最大のリスクです。

他の施設となにが違う?特養・有料老人ホームとの徹底比較

「グループホーム」以外にも、高齢者施設には「特別養護老人ホーム(特養)」や「有料老人ホーム」などがあり、どれを選べばいいのか迷ってしまうご家族は非常に多いです。それぞれの施設には明確な役割の違いと、向き不向きがあります。

ここでは、他の施設形態との違いを整理し、どのような場合にグループホームを選ぶべきなのか、その判断基準を明確にします。

特別養護老人ホーム(特養)との違い

特養は「介護老人福祉施設」とも呼ばれ、公的な色彩が強い施設です。

  • 入居対象:原則として「要介護3以上」。要介護1〜2の場合は、特例的な事情がない限り入居できません。
  • 費用:グループホームよりもさらに安価な傾向があり、所得に応じた減免制度も充実しています。
  • ケア体制:50名〜100名規模の大型施設が多く、集団ケアが中心です(ユニット型特養もあります)。身体介護や寝たきりの方のケアに強く、看取りまで対応するのが一般的です。
  • グループホームとの決定的違い:特養は「身体介護・重度者向け」、グループホームは「認知症ケア・自立支援向け」という住み分けがあります。また、特養は待機者が多く、入居までに数年かかることも珍しくありません。

有料老人ホーム(介護付・住宅型)との違い

有料老人ホームは民間企業が運営することが多く、サービス内容や設備が多様です。

  • 介護付有料老人ホーム:介護スタッフが24時間常駐し、掃除・洗濯などの生活支援から身体介護まで全てお任せできます。レクリエーションや設備が豪華な施設も多いですが、費用は高めです。
  • 住宅型有料老人ホーム:介護が必要な場合は、外部の訪問介護サービスなどを利用します。
  • グループホームとの決定的違い:有料老人ホームは「サービスの提供」を受ける場所という側面が強く、家事などはスタッフが行います。一方、グループホームは「一緒に生活を作る」場所であり、入居者も家事に参加します。認知症ケアの専門性という点では、グループホームの方がスタッフの教育が行き届いているケースが多いです。

あなたの親御さんに適しているのはどこ?(フローチャート解説)

どの施設が適しているか迷った場合は、以下の基準を参考にしてください。

1. 要介護度は?

  • 要介護3以上 → 費用を抑えたいなら「特養」を第一候補に。待機期間中は他の施設を検討。
  • 要支援2・要介護1〜2「グループホーム」「有料老人ホーム」が選択肢。

2. 認知症の症状は?

  • 認知症があり、徘徊や不安感が強い → 環境変化に弱いため、少人数で家庭的な「グループホーム」が最適。
  • 認知症はなく、身体的な介助が必要「有料老人ホーム」やサ高住がおすすめ。

3. 医療依存度は?

  • 常時医療処置が必要(胃ろう、痰吸引など) → 医療体制が整った「介護付有料老人ホーム」「特養」、または「看護小規模多機能」。
  • 医療処置はほとんど不要「グループホーム」で対応可能。

【施設種別比較表】

施設種別 グループホーム 特養 介護付有料
対象 認知症あり
要支援2〜
原則要介護3〜 自立〜要介護5
費用相場 中(15〜20万) 低(10〜15万) 高(20万〜)
認知症ケア ◎(専門性高)
医療体制 △(施設による) ◎〜○
雰囲気 家庭的・少人数 施設的・大規模 ホテル的・多様

【現場の本音】グループホームのメリット・デメリット

ここまで仕組みや費用について解説してきましたが、最も大切なのは「実際に入居して幸せになれるか」という点です。私はこれまで多くのご家族を見てきましたが、グループホームに入って見違えるほど元気になった方もいれば、残念ながら合わずに退去された方もいます。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、プロの視点からメリットとデメリット、そしてリスクを包み隠さずお伝えします。

メリット:認知症ケアの専門性と家庭的な安心感

最大のメリットは、やはり「認知症の進行緩和」と「精神的な安定」です。

大規模な施設では、スタッフが忙しく走り回り、認知症の方が話しかけても「ちょっと待っててね」と後回しにされがちです。しかしグループホームでは、時間の流れがゆったりしており、スタッフは入居者のペースに合わせて寄り添います。否定せずに話を聞いてくれる人がいる、自分の居場所があるという安心感は、認知症の方にとって何よりの薬です。

また、地域密着型であるため、散歩で近所の馴染みの店に行ったり、地域のお祭りに参加したりと、社会とのつながりを保ちやすい点も大きな魅力です。

デメリット:医療体制の限界と人間関係のトラブル

一方で、デメリットとして以下の2点を覚悟しておく必要があります。

1. 医療体制の弱さ
前述の通り、看護師が常駐していない施設が多く、夜間は介護スタッフのみになります。そのため、急変時の対応に時間がかかったり、インフルエンザや肺炎などで入院が必要になると、そのまま退去せざるを得ないケースがあります。「終の棲家」として入居したつもりでも、身体状況の変化によって住み続けられなくなるリスクは、特養などに比べて高いのが現実です。

2. 入居者同士の人間関係
少人数であることはメリットですが、裏を返せば「逃げ場がない」とも言えます。9人のメンバーの中にどうしても気の合わない人がいたり、特定の入居者から執着されたりすると、大きなストレスになります。スタッフが仲裁に入りますが、相性の問題はどうしても発生します。

【体験談】入居後に「こんなはずじゃなかった」とならないために

ここで、私が担当したあるケースをご紹介します。

【事例:医療依存度が高くなり、半年で退去となったAさん】
Aさん(82歳女性)は、認知症による徘徊がありグループホームに入居しました。当初は穏やかに過ごしていましたが、入居から3ヶ月後に誤嚥性肺炎を起こして入院。退院後は嚥下機能が低下し、痰の吸引が頻繁に必要となりました。入居していたグループホームには看護師がおらず、介護スタッフによる吸引も実施できない体制だったため、施設側から「安全を確保できない」と退去を打診され、慌てて療養型病院を探すことになりました。

ご家族は「もっと長く居られると思っていたのに」と肩を落とされていました。このように、入居時の状態だけでなく「将来的に医療が必要になったらどうするか」を考えておくことが不可欠です。

[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス:看取り対応の確認]

最近は「看取り(ターミナルケア)」に対応するグループホームも増えており、住み慣れた部屋で最期を迎える方もいらっしゃいます。しかし、そのためには訪問看護ステーションとの連携や、医師のバックアップ体制が不可欠です。夜間の看護師配置がない施設も多いため、「最期までここで暮らせるか?」「看取りの実績はどのくらいあるか?」は、遠慮せずに見学時に施設長に確認すべき最重要事項の一つです。

失敗しないグループホームの選び方と見学時のチェックポイント

グループホームは小規模な事業者が多く、運営法人や管理者(施設長)の理念によって、施設の雰囲気やケアの質に驚くほど差があります。パンフレットやウェブサイトの写真だけで決めるのは絶対に避けてください。

必ず複数の施設を見学し、比較検討することが重要です。ここでは、私が自分の親を入れるならここを見る、というプロのチェックポイントを5つ伝授します。

見学は必ず「昼食時」に行きなさい

見学の予約をする際、可能であれば「昼食の時間帯(11:30〜12:30頃)」を指定してください。食事の時間は、その施設の「素の姿」が最もよく表れます。

  • 食事は手作りか、業者のお弁当を温めただけか?(匂いでわかります)
  • スタッフは入居者と一緒に座って食べているか、それとも立ったまま監視するように介助しているか?
  • 食事介助のスピードは適切か?(無理やり口に運んでいないか)
  • 入居者同士の会話はあるか? シーンとしていないか?

活気があり、家庭的な温かさを感じられるかどうかが最大の判断基準です。

スタッフの言葉遣いと入居者の表情を見る

建物が新しくて綺麗かどうかよりも、そこで働く「人」を見てください。スタッフが入居者に対して、子供扱いするような言葉(タメ口や「〜ちゃん」呼び)を使っていませんか? 人生の大先輩として敬意を払い、「〇〇さん」と呼んでいる施設は、ケアの質も高い傾向にあります。

また、入居者の表情が穏やかか、笑顔があるか、あるいはぼんやりと虚空を見つめているだけかも重要なサインです。

運営法人の理念とバックアップ体制を確認する

グループホーム単独で運営している法人よりも、同じ地域で特養や小規模多機能、訪問看護などを展開している法人の方が安心感があります。なぜなら、ご本人の状態が変化してグループホームでの生活が難しくなった際に、系列の施設へ優先的に紹介してもらえる可能性があるからです。

空き状況の確認と「待機」の考え方

人気のグループホームは満室であることが多いです。「空いていないからダメだ」と諦めるのではなく、気に入った施設であれば「待機申し込み」をしておくことをお勧めします。グループホームは入院などで急に空きが出ることがあります。複数の施設に待機登録をしつつ、ショートステイなどを利用してつなぐのも一つの戦略です。

[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス:良い施設を見抜く質問]

見学時に、施設長にこう質問してみてください。「ここで退去になるのは、具体的にどのようなケースですか?」と。
「うちは何でも受け入れますよ、お任せください」と安請け合いする施設は要注意です。逆に、「医療行為が〇〇レベルになったら難しいです」「暴力行為が続き、他の入居者様を守れない場合は退去をお願いすることがあります」と、自施設の限界を正直に説明してくれる施設の方が、誠実で信頼できます。リスクを共有できる関係性が、入居後のトラブルを防ぎます。

よくある質問(FAQ)

最後に、ご家族からよく寄せられる質問にお答えします。入居前の不安を少しでも解消しておきましょう。

Q. 親が「家に帰りたい」と言って嫌がる場合はどうすればいい?

[業界歴18年の現役ケアマネジャーのアドバイス]

入居直後は、環境の変化から誰もが「帰りたい」という帰宅願望を持ちます。これは正常な反応です。この時、無理に「ここはあなたの家よ」と説得しても逆効果です。「家のリフォームが終わるまでここにいましょう」「冬の間だけお世話になりましょう」といった方便(嘘も方便)を使って納得してもらったり、自宅で愛用していた湯呑みやクッションを持ち込んで安心できる空間を作ったりするアプローチが有効です。通常、1〜3ヶ月程度で馴染まれる方が多いので、焦らずに見守りましょう。

Q. 認知症が進んで寝たきりになっても住み続けられる?

施設の方針によります。最近は「重度化対応加算」などを取得し、寝たきりの状態でも手厚い介護を提供するグループホームが増えています。しかし、医療処置(点滴や酸素吸入など)が必要になった場合は、訪問看護との連携があっても限界があり、病院や特養への転居が必要になることがあります。入居時に「看取り実績」を確認することが重要です。

Q. 面会や外出・外泊は自由にできる?

基本的には自由です。ご家族と一緒に外食に出かけたり、お正月には自宅に外泊したりすることも推奨されています。ただし、感染症の流行時期などは制限される場合があります。面会時間が厳しく制限されている施設よりは、いつでも気軽に立ち寄れるオープンな施設の方が、閉鎖性がなく安心です。

Q. 夫婦で一緒に入居することは可能?

可能です。ご夫婦ともに認知症の診断があり、要支援2以上であれば、同じユニットに入居することができます。ただし、2人部屋を用意しているグループホームは少なく、基本的には別々の個室に入居し、日中はリビングで一緒に過ごすというスタイルになります。空室が2つ同時に出るタイミングは珍しいため、早めの相談が必要です。

最後 まとめ:母にとって最適な「終の棲家」を見つけるために

グループホームは、認知症の方にとって、管理されるのではなく「生活する」ための最良の選択肢の一つです。認知症の進行を緩やかにし、最期までその人らしく生きるための環境が整っています。

しかし、費用面や医療面での制約があることも事実です。大切なのは、メリットだけでなくリスクもしっかりと理解した上で、親御さんの状態とご家族の事情に合った施設を選ぶことです。

まずは、お住まいの地域の「地域包括支援センター」や、担当のケアマネジャーに相談してみてください。そして、必ず複数の施設を見学し、ご自身の目で確かめてください。あなたの親御さんが、笑顔で穏やかな日々を過ごせる場所が見つかることを、心より願っています。

グループホーム選び・見学時チェックリスト

見学の際は、以下の項目をチェックしてみてください。

  • 施設に入った瞬間のニオイ(尿臭やカビ臭など)は気にならないか
  • 入居者の服や髪は清潔に整えられているか、爪は伸びていないか
  • スタッフは入居者に対して「さん」付けで呼び、目線を合わせて会話しているか
  • 昼食時の雰囲気は明るいか、食事はおいしそうか
  • 夜間の職員体制(夜勤は何人か)と緊急時の対応フローは明確か
  • 看取り(ターミナルケア)の実績はあるか、具体的な対応内容はどうか
  • 月額費用以外にかかる「実費」の総額を提示してくれるか
この記事を書いた人

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