令和の相撲界に突如として現れた「怪物」、大ノ里。その圧倒的な昇進スピードと、土俵上で見せる風格は、相撲ファンの度肝を抜き続けています。なぜ、彼はこれほどまでに強いのか。単に体が大きいだけなのか、それとも他に秘密があるのか。多くのファンが抱くその疑問に対し、相撲取材歴20年の筆者が、技術的な視点と師弟の絆という側面から徹底的に切り込みます。
結論から申し上げますと、大ノ里の強さの根源は、192cm・180kgという恵まれた体格に加え、師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)から叩き込まれた「腰の重さ」と「基本に忠実な技術」の融合にあります。彼は単なるパワーファイターではありません。相手の力を利用し、瞬時に体勢を修正する緻密な「相撲脳」を持っている点こそが、史上最速出世を可能にした最大の要因なのです。
この記事では、以下の3つのポイントを中心に、大ノ里の全貌を解き明かします。
- 専門記者が分析する大ノ里の「3つの技術的武器」と「おっつけ」の凄み
- 師匠・二所ノ関親方との知られざる師弟エピソードと育成の裏側
- 過去の横綱と比較したスピード出世の異常さと、今後の綱取りへの課題
表面的なニュースだけでは分からない、土俵の砂の匂いまで感じられるような深掘り解説をお届けします。これを読めば、次の場所からの大ノ里の取組が、これまでとは全く違った景色に見えてくるはずです。
令和の怪物・大ノ里とは?基本プロフィールと異例の経歴
まずは、大ノ里という力士の基本的なプロフィールと、これまでの歩みを整理しておきましょう。すでに彼の活躍をご存知の方も多いかと思いますが、改めてその数字や経歴を詳細に見ることで、「規格外」と呼ばれる理由がより鮮明になります。私が初めて彼を見た時の衝撃も含め、そのポテンシャルについて解説します。
192cm・180kgの規格外ボディとプロフィール概要
大ノ里の最大の魅力は、何と言ってもその恵まれた体格です。現代の大相撲において、大型化は進んでいますが、彼の場合は単に「重い」だけではありません。身長192cm、体重180kg(2024年時点)というフレームの大きさがありながら、均整の取れたアスリートのような肉体を持っています。特に下半身の安定感は群を抜いており、土俵に立った時の「山」のような存在感は、対戦相手に強烈なプレッシャーを与えます。
以下の表に、大ノ里の基本データをまとめました。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 四股名 | 大ノ里 泰輝(おおのさと だいき) |
| 本名 | 中村 泰輝(なかむら だいき) |
| 生年月日 | 2000年(平成12年)6月7日 |
| 出身地 | 石川県河北郡津幡町 |
| 所属部屋 | 二所ノ関部屋 |
| 身長・体重 | 192cm / 182kg(※場所により変動あり) |
| 得意技 | 右四つ、寄り、突き押し |
| 初土俵 | 2023年(令和5年)5月場所(幕下10枚目格付出し) |
彼の体格で特筆すべきは、「太ももの太さ」と「足首の柔軟性」です。通常、これほどの巨体になると膝や足首への負担が大きく、怪我のリスクが高まります。しかし、大ノ里は柔軟な関節を持っており、それが怪我の予防だけでなく、土俵際での驚異的な粘り腰を生み出しています。
アマチュア横綱から幕下付け出しデビューへの道のり
大ノ里の相撲人生は、アマチュア時代から輝かしいものでした。新潟県の海洋高校から日本体育大学へ進学した彼は、大学時代に「アマチュア横綱」のタイトルを2度獲得しています。これは、学生相撲の枠を超え、実業団選手も含めたアマチュア全日本一を決める大会での快挙であり、彼の実力がプロ入り前から幕内級であったことを証明しています。
この実績により、彼は「幕下10枚目格付出し」という資格を得て大相撲の世界に飛び込みました。これは通常の前相撲からスタートする力士とは異なり、関取(十両以上)まであと一歩という位置からデビューできる特権です。しかし、この資格を持っていても、プロの壁に跳ね返される力士は過去に何人もいました。大ノ里が凄かったのは、その壁を全く感じさせないまま、ストレートで関取へと駆け上がった点です。
彼のアマチュア時代の相撲は、どちらかと言えば「パワーで圧倒する」スタイルでした。しかし、プロ入りを見据えて、大学時代から四つ相撲の技術も磨いていたことが、後のスピード出世に繋がっています。学生相撲の頂点に立ちながらも、決して慢心することなく、プロでの戦いを想定して準備をしていたのです。
史上最速での新入幕・新三役・大関昇進の歩み
大ノ里の経歴を語る上で欠かせないのが、「史上最速」というキーワードです。2023年5月場所の初土俵から、わずか4場所で新入幕(幕内力士)を果たしました。これは昭和以降の記録を塗り替える驚異的なスピードです。さらに、新入幕からわずか数場所で三役(小結・関脇)に昇進し、初土俵から所要7場所(史上最速タイ)での幕内最高優勝も成し遂げました。
そして、初土俵から昭和以降最速となる所要9場所での大関昇進。このスピード感は、過去の大横綱たちと比較しても異次元です。通常、力士は数年かけて体を作り、技術を磨き、番付を上げていきますが、大ノ里はそのプロセスを数倍の速度で駆け抜けました。
この急速な昇進の背景には、本人の資質はもちろんですが、彼を取り巻く環境の変化への適応能力の高さがあります。幕下、十両、幕内と、対戦相手のレベルが上がるごとに、彼自身もまた強くなっていきました。まるでRPGの主人公が強敵と戦うたびにレベルアップしていくかのような成長曲線を描いています。
相撲取材歴20年のベテラン記者のエピソード
「私が初めて大ノ里(当時は中村泰輝選手)を日体大の稽古場で目撃した時のことは、今でも鮮明に覚えています。当時の彼はまだ大学生でしたが、プロの関取衆が出稽古に来ている中でも、その太ももの太さは際立っていました。丸太のような太さでありながら、股割りの際には胸がペタリと地面につく。この『剛』と『柔』を兼ね備えた身体を見た瞬間、『この子は間違いなく横綱になる器だ』と直感し、思わずペンを止めて見入ってしまったものです。」
【技術分析】大ノ里はなぜ強い?玄人を唸らせる3つの武器
ここからは、大ノ里の強さを技術的な側面から深掘りしていきます。多くのファンは彼のパワーに目を奪われがちですが、専門家の視点で見ると、彼が勝てる理由は非常に理にかなった「技術」にあることが分かります。ここでは、特に重要な3つの武器について解説します。
武器1:相手を根こそぎ持っていく「出足」と圧力
大ノ里の相撲の基本は、立ち合いからの強烈な「出足」にあります。相撲において「出足」とは、立ち合いの瞬間に前に出る踏み込みの鋭さと、その後の足の運びを指します。彼の場合、180kgの体重を乗せた一歩目が非常に速く、かつ重いのです。
多くの大型力士は、立ち合いで相手を受け止めてから攻める傾向がありますが、大ノ里は自ら前に出ます。この圧力が凄まじいため、対戦相手は立ち合いの瞬間に上体が起きてしまい、自分の形を作ることができません。相手が浮き上がったところを、そのまま土俵外へ運び出す。これが大ノ里の勝ちパターンの王道です。
この出足を生み出しているのは、足裏全体で土俵を掴む感覚と、強靭な下半身のバネです。彼はすり足の稽古を徹底しており、重心を低く保ったまま前に出る技術が非常に高いレベルで完成されています。
武器2:師匠直伝の強烈な「右おっつけ」と脇の締め
パワーだけでなく、大ノ里を「巧い」と言わしめる最大の要因が、この「右おっつけ」です。これは師匠である二所ノ関親方(元稀勢の里)が現役時代に得意としていた技術であり、まさに師匠直伝の武器と言えます。
▼用語解説:「おっつけ」とは?(クリックして開く)
おっつけ(追っ付け)とは、相撲の基本技術の一つです。自分の脇を固く締め、肘から前腕を使って相手の差し手(まわしを取ろうとする腕)を外側から内側へ強く押し付ける動作を指します。
この技術が決まると、相手は差し手を封じられるだけでなく、体勢を崩され、力が伝わらなくなります。さらに、おっつけながら前に出ることで、相手の脇を空けさせ、自分有利な体勢を作ることができます。攻防一体の高等技術です。
大ノ里の右おっつけは、相手の左差しを許しません。立ち合いで相手が左を差そうとしてきても、強烈な右おっつけでその腕を封じ込め、逆に相手の体勢を崩してしまいます。これにより、相手は得意な形になれず、防戦一方になります。
また、彼の脇の締めは鉄壁です。脇が甘いと相手にまわしを取られやすくなりますが、大ノ里は常に脇を締め、肘を相手の体に密着させています。この基本動作が徹底されているからこそ、巨体でも隙が生まれにくいのです。
武器3:巨体に似合わぬ「修正能力」と土俵際の粘り
3つ目の武器は、瞬時の「修正能力」です。相撲は一瞬の判断ミスが命取りになる競技ですが、大ノ里は取組中に体勢が悪くなっても、すぐに立て直す能力に長けています。
例えば、立ち合いで変化されたり、横に動かれたりしても、彼は慌ててバタバタすることなく、すり足で相手の正面を捉え直します。また、土俵際まで追い込まれたとしても、柔らかい膝と足首を使って残し、そこから逆転の突き落としや寄り切りを決める場面も多く見られます。
この修正能力の高さは、彼の「相撲脳」の良さを示しています。冷静に自分の置かれた状況を判断し、最適な身体操作を選択できる。これは経験の浅い若手力士にはなかなかできない芸当です。
スポーツジャーナリストの分析
「大ノ里の相撲を見ていると、彼の『右肘』の使い方の上手さに驚かされます。立ち合いで右を固め、相手の左腕を殺しながら、自分の右四つの形を作る。あるいは、右でおっつけながらそのまま押し出す。この一連の流れが非常にスムーズです。図解すると、彼の立ち合いの角度は常に相手の中心を向いており、力が分散していません。これが『重くて速い』相撲の正体です。」
師匠・二所ノ関親方(元稀勢の里)との「師弟の絆」と育成論
大ノ里の強さを語る上で、師匠である二所ノ関親方(第72代横綱・稀勢の里)の存在は絶対に無視できません。二人の関係は単なる師匠と弟子を超え、相撲道の継承者としての強い絆で結ばれています。ここでは、入門の経緯から独自の育成論まで、二人の物語を紐解きます。
「茨の道」を選んだ入門の経緯と師匠の口説き文句
アマチュア横綱として引く手あまただった大ノ里(中村泰輝)が、なぜ新設されたばかりの二所ノ関部屋を選んだのか。そこには、師匠の熱烈なスカウトと、ある「口説き文句」がありました。
多くの部屋が「すぐに関取になれる」「待遇を良くする」といった甘い言葉で勧誘する中、二所ノ関親方は彼に対し、「楽な道ではない。茨の道だぞ」と説いたと言われています。そして、「一緒に横綱を目指そう。俺が成し遂げられなかった夢も含めて、お前に託したい」という趣旨の言葉を投げかけました。
この誠実で厳しい言葉が、ストイックな大ノ里の心に響きました。彼は「自分を甘やかさない環境」を求めていたのです。完成した強豪部屋ではなく、これから歴史を作っていく新しい部屋で、師匠と二人三脚で歩む道を選んだ決断こそが、現在の大躍進の原点です。
稀勢の里の現役時代と重なる姿・異なる姿
オールドファンにとって、大ノ里の姿は若き日の稀勢の里(萩原)と重なる部分が多いでしょう。恵まれた体格、右四つの型、そして不器用なまでに真っ直ぐな相撲スタイル。特に、土俵下で控えている時の集中した表情や、負けた時の悔しさを噛み殺す表情は、師匠の現役時代を彷彿とさせます。
しかし、異なる点もあります。それは「メンタルの安定感」かもしれません。現役時代の稀勢の里は、責任感の強さゆえにプレッシャーに弱く、大事な一番で硬くなることがありました。一方、大ノ里は現代っ子らしいというか、どこか肝が据わっており、大舞台でも物怖じしない図太さを持っています。師匠の良い部分を受け継ぎつつ、師匠が苦しんだ精神面の課題を克服しているように見えます。
以下の表は、師弟の昇進スピードを比較したものです。
| 比較項目 | 師匠:稀勢の里 | 弟子:大ノ里 |
|---|---|---|
| 初土俵 | 中学卒業後(15歳) | 大学卒業後(22歳) |
| 新入幕までの所要場所 | 17場所 | 4場所 |
| 新三役までの所要場所 | 31場所 | 5場所 |
| 大関昇進までの所要場所 | 69場所 | 9場所 |
もちろん、中卒叩き上げと大卒付け出しというスタート地点の違いはありますが、それを差し引いても大ノ里のスピードがいかに異常かが分かります。
徹底された基礎稽古と「相撲教習所」免除の英才教育
二所ノ関部屋の稽古は厳しいことで有名です。特に重視されているのが「基礎運動」です。四股、すり足、鉄砲といった基本動作を、親方の監視下で延々と繰り返します。大ノ里といえども特別扱いはなく、むしろ期待の大きさゆえに、誰よりも厳しく指導されています。
また、幕下付け出しの資格を持つ大ノ里は、通常の新弟子が通う「相撲教習所」の一部カリキュラムが免除され、その分を部屋での稽古に充てることができました。この時間を活用し、師匠とマンツーマンで「プロの体」を作ることに専念できたのも大きかったと言えます。
ベテラン記者の取材メモ
「ある日の支度部屋での光景です。取組を終えた大ノ里が、モニターで自分の相撲を見返していた時、背後から二所ノ関親方が近寄り、小声で何かを囁きました。すると大ノ里は直立不動で頷き、その後、誰もいない通路の隅で、指摘されたであろう腕の動きを何度も反復していました。勝った一番であっても決して満足せず、師匠の言葉を反芻して修正を図る。この貪欲さと素直さこそが、彼の成長エンジンの正体でしょう。」
過去の名力士と比較する「スピード出世」の凄まじさ
「史上最速」という言葉が踊りますが、具体的にどれほど凄いことなのでしょうか。ここでは、過去の歴史に名を残すスピード出世力士たちと大ノ里を比較し、その実績を客観的に評価します。
輪島、朝青龍、雅山…歴代スピード出世力士との比較
大相撲の歴史において、スピード出世で有名な力士といえば、元横綱・輪島、元横綱・朝青龍、元大関・雅山などが挙げられます。
- 輪島(元横綱):日大から幕下付け出しでデビューし、天才的な左下手投げで瞬く間に番付を駆け上がりました。彼の新入幕までの速さも伝説的でしたが、大ノ里はそれを上回るペースです。
- 雅山(元大関):「平成の怪物」と呼ばれ、初土俵から所要12場所で大関に昇進しました。長らくこの記録は破られないと思われていましたが、大ノ里はこれを「9場所」に短縮しました。
- 朝青龍(元横綱):高知明徳義塾高からプロ入りし、圧倒的なスピードと気迫で番付を上げました。彼の昇進も速かったですが、大ノ里の記録はそれをさらに凌駕しています。
これらの名力士たちは、後に全員が大関・横綱へと昇り詰めています。つまり、大ノ里が歩んでいる道は、間違いなく「名力士への道」と重なっているのです。
「ざんばら髪」での優勝・大関昇進が意味する歴史的快挙
大相撲において、髪型は力士の格を表します。関取になれば大銀杏を結いますが、髪が伸びるには時間がかかります。通常、大関に昇進する頃には立派な大銀杏が結えるものですが、大ノ里は出世が速すぎて髪の伸びが追いつきませんでした。
その結果、「ざんばら髪」(髷が結えない、あるいは大銀杏が結えない状態)のままで幕内優勝争いを演じ、大関昇進を決めました。これは極めて異例の事態です。見た目は新弟子のようでありながら、実力は大関クラス。このギャップが、彼の「怪物性」をより際立たせています。歴史上、丁髷(ちょんまげ)姿で大関に昇進したのは彼を含めて数えるほどしかいません。
ライバル・尊富士との切磋琢磨が加速させる成長
大ノ里の成長を語る上で、同世代のライバル・尊富士(たけるふじ)の存在も欠かせません。尊富士もまた、新入幕で優勝を果たすという歴史的快挙を成し遂げた「怪物」の一人です。
タイプは異なりますが、同じ時代に、同じようなスピードで出世するライバルがいることは、大ノ里にとって大きな刺激となっています。「あいつには負けられない」という競争意識が、互いの限界を引き上げているのです。かつての「栃若時代」や「曙貴時代」のように、大ノ里と尊富士がこれからの相撲界を牽引していくことは間違いありません。
大関から横綱へ!今後の展望とクリアすべき課題
大関昇進はゴールではなく、通過点に過ぎません。ファンの期待はすでに「次はいつ横綱になるのか」に向いています。しかし、ここからの道のりはさらに険しいものになります。専門家の視点から、今後の展望と課題を分析します。
短期決戦での昇進ゆえの「経験不足」をどう補うか
スピード出世の弊害として唯一懸念されるのが「経験不足」です。通常の力士であれば、幕内の中位や上位で何年も揉まれ、様々なタイプの力士との対戦経験を積んでから大関になります。しかし、大ノ里はその期間が極端に短いため、対戦経験の少ない力士や、苦手なタイプの力士への対応データが十分ではありません。
今後は、初顔合わせの力士や、奇策を用いてくるベテラン力士に対し、取組の中で瞬時に対応する能力がさらに求められます。経験の少なさを、持ち前の修正能力と稽古量でどうカバーしていくかが鍵となります。
研究された後の対応力と「左四つ」対策
大関になれば、当然ながら対戦相手からのマークは厳しくなります。特に大ノ里は「右四つ」が得意なため、相手は徹底して「左四つ」に持ち込もうとしたり、右を差させないような対策を練ってくるでしょう。
すでに一部の力士は、大ノ里の右を封じるために、立ち合いで変化したり、徹底して左へ動く対策を見せています。これに対し、左四つになっても取れる技術を磨くか、あるいは絶対に右四つにするための立ち合いのバリエーションを増やすか。この「研究網」を突破できるかどうかが、横綱への試金石となります。
精神面でのプレッシャーと怪我のリスク管理
大関の地位は、勝って当たり前、負ければ批判される過酷なポジションです。これまでは「若手の挑戦者」として伸び伸びと取れましたが、これからは「受けて立つ」側になります。この精神的な重圧に耐えられるかが問われます。
また、180kgを超える巨体を支える膝や足首のケアも重要です。過去、多くの大型力士が怪我に泣き、短命に終わっています。師匠の稀勢の里も怪我に苦しみました。その教訓を生かし、怪我をしない体作りと、無理な体勢での相撲を避ける賢さが求められます。
相撲ライターのアドバイス
「横綱昇進への最大の壁は、実は『2場所連続優勝(またはそれに準ずる成績)』という内規そのものではなく、『取りこぼしを無くすこと』にあります。これまでの大ノ里は、格下相手に不覚を取る場面が散見されました。横綱になるためには、勝つべき相手には100%勝つという絶対的な安定感が必要です。そのためには、立ち合いの厳しさをさらに追求し、相手に何もさせない『横綱相撲』を完成させる必要があります。」
土俵の外の素顔と人気沸騰の理由
強さばかりが注目されますが、大ノ里の人気の秘密は、その愛されるキャラクターにもあります。土俵を降りた彼の素顔についても少し触れておきましょう。
地元・石川県津幡町への想いと能登半島地震後の活躍
大ノ里は石川県河北郡津幡町の出身です。2024年の能登半島地震の際には、被災した故郷を励ますために「自分が勝って元気を届けたい」と強く語っていました。その言葉通り、地震直後の場所での活躍は、被災地の人々にとって大きな希望の光となりました。
地元への愛着は非常に強く、化粧まわしには地元の伝統工芸や風景が描かれたものを使用することもあります。郷土愛に溢れるその姿勢が、多くのファンの心を掴んでいます。
「かわいい」と評判?笑顔と真面目な性格のギャップ
土俵上では鬼のような形相で相手を睨みつけますが、インタビューやバラエティ番組で見せる笑顔は、まだ20代前半の若者らしく、非常に愛嬌があります。その屈託のない笑顔と、巨体のギャップから「かわいい」という女性ファンも急増しています。
性格は非常に真面目で謙虚。師匠の教えを守り、メディア対応も丁寧です。天狗になることなく、常に「おかげさまで」という感謝の気持ちを持っていることが、言葉の端々から伝わってきます。
大ノ里に関するよくある質問 (FAQ)
最後に、大ノ里について検索されることが多い疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 大ノ里のまげ(大銀杏)はいつ結えるようになりますか?
これは髪の伸びる速度によりますが、一般的には髷が結えるようになるまで1年〜1年半、大銀杏が結える長さになるには2年近くかかると言われています。大ノ里の場合、出世が速すぎたため、大関昇進後もしばらくは「ちょんまげ」姿、あるいは大銀杏が結えてもボリュームの少ない状態が続くと思われます。完全な大銀杏が見られるのは、もう少し先になるでしょう。
Q. 大ノ里に彼女や結婚の噂はありますか?
現時点で、公式に交際や結婚が発表されている情報はありません。現在は相撲一筋で、師匠と共に横綱を目指すことに集中している時期だと思われます。ただ、これだけの人気力士ですから、将来的にどのような伴侶を選ぶのかも注目されるところです。
Q. 師匠の二所ノ関親方とは仲が良いですか?
非常に良好な師弟関係です。親方は大ノ里を厳しく指導する一方で、その才能を誰よりも認めています。大ノ里も親方を心から尊敬しており、インタビューでは度々親方への感謝を口にしています。単なる仲良しではなく、互いに信頼し合う「同志」のような関係と言えるでしょう。
Q. 次の場所の番付予想はどうなっていますか?
番付は、直前の場所の成績によって決まります。大関に昇進した後は、成績次第で「カド番」になったり、逆に「綱取り」のチャンスが巡ってきたりします。日本相撲協会の公式発表を待つ必要がありますが、大関としての地位を確固たるものにし、常に優勝争いに絡む位置(東の正大関など)を目指すことになるでしょう。
まとめ:大ノ里は相撲界の新たな歴史を作る存在
ここまで、大ノ里の強さの秘密と魅力について解説してきました。改めて要点を整理します。
- 規格外の体格と技術:192cm・180kgの巨体から繰り出す「出足」と、師匠直伝の「右おっつけ」が最大の武器。
- 師弟の絆:二所ノ関親方(元稀勢の里)との二人三脚による英才教育が、異次元のスピード出世を支えている。
- 未来への期待:経験不足や研究網という課題はあるものの、それを乗り越えて「令和の大横綱」になる資質は十分にある。
大ノ里は、単に強い力士というだけでなく、私たちに新しい相撲の景色を見せてくれる存在です。彼の取組を見る際は、ぜひ今回解説した「立ち合いの踏み込み」と「右腕の使い方(おっつけ)」に注目してみてください。「あ、今おっつけが効いたな」「修正して残したな」といった視点で観戦すれば、相撲の面白さが何倍にも広がるはずです。
来場所も、この怪物が土俵でどのようなドラマを生み出すのか。私たちファンも、その歴史的瞬間を目撃できる喜びを噛み締めながら、熱い声援を送りましょう。
▼大ノ里観戦ポイント・チェックリスト(観戦のお供に)
- [ ] 立ち合い:相手より先に踏み込めているか?(出足の確認)
- [ ] 右腕:相手の左腕をしっかりおっつけているか?
- [ ] 脇:両脇が締まり、相手にまわしを与えていないか?
- [ ] 土俵際:追い込まれた時の足首の粘りと逆転技
- [ ] 取組後:勝っても負けても表情を変えない風格
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