ウーパールーパー(メキシコサラマンダー)は、その愛らしい笑顔とユニークな生態で世界中の人々を魅了し続けています。しかし、いざ飼育を始めようとすると「水温管理が難しいのでは?」「何年くらい生きるの?」といった疑問や不安が尽きないものです。
結論から申し上げますと、ウーパールーパーは「水温管理」と「水質維持」という2つの基本さえ守れば、初心者の方でも10年以上一緒に暮らせる、非常に丈夫でパートナーシップを築きやすいペットです。犬や猫のように散歩の必要がなく、鳴き声もしないため、現代のマンション暮らしや一人暮らしのライフスタイルにも驚くほどフィットします。
この記事では、これまでに3,000本以上の水槽を管理し、数多くのウーパールーパー飼育指導を行ってきた「業界歴20年のアクアリウム専任管理士」である筆者が、教科書的な知識だけでなく、現場で培った「失敗しない飼育のコツ」をゼロから徹底的に伝授します。
この記事でわかること
- 初心者に最適な水槽セットの選び方と、無駄を省いた初期費用のリアルな目安(実は砂利は不要です!)
- ウーパールーパーの命を守る、夏場の暑さを乗り切るための具体的かつ実践的な水温管理テクニック
- 餌やりの適量や水換えの頻度など、健康に長生きさせるための日々のルーティンワーク
これから始まるウーパールーパーとの生活が、あなたにとって最高の癒しとなるよう、プロの知見を余すところなく公開します。ぜひ最後までお付き合いください。
ウーパールーパー(メキシコサラマンダー)の基礎知識と魅力
ウーパールーパーを家族として迎え入れる前に、まずは彼らがどのような生物なのか、その基本的な生態と特徴を正しく理解しておくことが重要です。「可愛いから」という衝動だけで飼い始めると、予想外の成長や寿命の長さに戸惑うことになりかねません。生物としての基本情報を整理し、飼育への覚悟をしっかりと固めましょう。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士のアドバイス:お迎え前の心構え]
「ウーパールーパーは、あどけない顔立ちとは裏腹に、非常に生命力が強く長生きする生き物です。適切な環境で飼育すれば、10年以上の付き合いになることも珍しくありません。私が担当した個体の中には、13年以上元気に過ごした子もいます。10年という歳月は、飼い主さんのライフスタイル(就職、結婚、引越しなど)が大きく変わる可能性のある期間です。『可愛いから』という一時的な感情だけでなく、将来の変化も考慮して、最後まで責任を持ってお迎えしましょう。」
正式名称と生態的特徴(再生能力など)
私たちが普段「ウーパールーパー」と呼んでいるこの生き物の正式名称は、「メキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum)」、あるいは「アホロートル」と呼ばれます。「ウーパールーパー」という名前は、実は1980年代に日本でブームが起きた際に付けられた商業用の流通名であり、日本特有の呼び方です。
彼らの最大の特徴は、両生類でありながら大人になっても変態せず、エラ呼吸のまま水中で一生を過ごす「幼形成熟(ネオテニー)」という生態です。通常、サンショウウオの仲間は成長すると陸に上がり肺呼吸へと移行しますが、ウーパールーパーは幼生の姿のまま成熟し、繁殖能力を持ちます。あの特徴的な顔の横にあるフサフサした突起は「外鰓(がいさい)」と呼ばれるエラで、水中の酸素を取り込むための重要な器官です。
また、ウーパールーパーは驚異的な「再生能力」を持つことでも知られています。手足や尾、さらには心臓や脳の一部を失っても、時間をかけて完全に再生することができます。この能力のため、再生医療の研究対象としても注目されていますが、飼育下においては「怪我をしても治るから大丈夫」と過信してはいけません。再生には多大なエネルギーを要し、個体の寿命を縮める要因にもなり得るため、怪我をさせない環境作りが何より大切です。
寿命と成長後の大きさ(25cm前後の水槽サイズ感)
ペットショップでよく見かけるウーパールーパーは、体長5cm〜10cm程度の可愛らしい赤ちゃんサイズが多いですが、彼らの成長スピードは非常に早いです。適切な餌やりを行えば、1年で20cm近くまで成長します。最終的には全長25cm〜30cmほどになり、太さも出てくるため、大人の男性の手のひらよりも大きくなると思ってください。
寿命については、前述の通り非常に長寿です。平均して10年〜15年は生きます。ハムスターなどの小動物(2〜3年)と比較すると、犬や猫に近い感覚で付き合う必要があるパートナーです。
このため、飼育容器(水槽)のサイズ選びは将来を見据えて行う必要があります。幼体のうちは小さなプラケースでも飼えますが、すぐに手狭になります。最初から45cm以上の水槽を用意しておくと、買い替えの手間やコストを省くことができ、水量が多くなることで水質も安定しやすいため、初心者の方には特におすすめです。
人気のカラーバリエーション5種と特徴
ウーパールーパーにはいくつかの体色(カラーバリエーション)があり、それぞれ見た目の印象が異なります。性格に大きな違いはありませんが、視力の弱さや光への敏感さには若干の差があると言われています。代表的な5種類をご紹介します。
- リューシスティック(白・黒目):最もポピュラーな種類です。白い体に黒いつぶらな瞳が特徴で、日本で「ウーパールーパー」といえばこのカラーを指すことが多いです。
- ゴールデン(黄・金環あり):黄色がかった体に、ラメのような輝きが入る種類です。目に「金環」と呼ばれるキラキラした輪が入るのが特徴です。
- ブラック:全身が黒く、野生種に近いカラーです。成長すると渋い魅力が出てきます。
- マーブル:黒、茶、緑などが混ざった迷彩柄のような模様です。個体によって模様の入り方が全く異なるため、コレクション性が高いです。
- アルビノ(白・赤目):体は白く、目が赤い種類です。色素を持たないため、視力が特に弱い傾向があります。
以下に、それぞれの特徴と市場での流通価格の目安をまとめました。
| 種類名 | 体色 | 目の色 | 特徴・備考 | 平均価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| リューシスティック | 白/薄ピンク | 黒 | 一番人気。成長に伴いそばかす(黒点)が出ることがある。 | 1,500円〜3,000円 |
| ゴールデン | 黄色/金 | 白/金環あり | 神々しい見た目。成長するとラメが強くなる傾向。 | 2,000円〜4,000円 |
| ブラック | 黒/濃紺 | 黒 | 顔つきが精悍。病気や汚れが目立ちにくいが観察は必要。 | 2,000円〜4,000円 |
| マーブル | 迷彩柄 | 黒 | 野生個体に最も近い。汚れが目立ちにくい。 | 1,500円〜3,000円 |
| アルビノ | 白/黄 | 赤/白 | 視力が非常に弱い。直射日光を特に嫌う。 | 1,500円〜3,000円 |
【失敗しない】飼育に必要なものと初期費用リスト
ウーパールーパーを飼うために必要な道具は、熱帯魚飼育と似ていますが、いくつか「ウーパールーパーだからこそ」気をつけなければならないポイントがあります。ここでは、無駄な出費を抑えつつ、絶対に用意すべき必須アイテムと、逆に買わない方が良いものを、プロの視点で厳選してご紹介します。
必ず用意すべき「必須アイテム」7選
これら7つのアイテムがあれば、ひとまず安心して飼育をスタートできます。
- 水槽(45cm以上推奨)
前述の通り、成体になると25cmを超えます。30cm水槽では回転することさえ窮屈になります。また、水量が少ないと水質が悪化しやすく、初心者ほど管理が難しくなります。45cmスリム水槽や、標準的な45cm水槽がベストバランスです。 - フィルター(ろ過装置)
水を綺麗にする装置です。ウーパールーパーは水を汚しやすいので必須です。「投げ込み式フィルター(ブクブク)」や「外掛け式フィルター」がメンテナンスも楽でおすすめです。水流が強すぎるとストレスになるので、流量調節ができるものが理想です。 - カルキ抜き
水道水に含まれる塩素(カルキ)は、両生類の肌やエラにダメージを与えます。必ず中和剤を用意してください。液体タイプが即効性があり使いやすいです。 - 水温計
ウーパールーパーの健康管理は水温管理に尽きます。デジタル式でもアナログ式でも構いませんので、毎日チェックできる見やすいものを選びましょう。 - 隠れ家(土管など)
彼らは本来、物陰に隠れて生活しています。明るい場所や視線を遮るものがない環境はストレスになります。素焼きの土管や、専用のシェルターを用意してあげましょう。 - 餌(人工飼料)
栄養バランスが計算された「ウーパールーパー専用の人工飼料」が主食として最適です。水底を歩く彼らのために、沈下性(沈むタイプ)のものを選びます。 - スポイト
食べ残しやフンをこまめに取り除くための大型スポイトです。これが一本あるだけで、水換えの頻度を減らし、水質を劇的に清潔に保てます。アクアリウム用品として販売されているロングタイプが便利です。
あえて「買わなくていい」ものとその理由
初心者の方が良かれと思って購入し、後悔することが多いアイテムがあります。特に以下の2点は、ウーパールーパー飼育においては不要、あるいは危険な場合があります。
- 砂利・底砂
金魚や熱帯魚の水槽では一般的ですが、ウーパールーパー飼育では最大の事故要因となります。彼らは視力が弱く、餌を吸い込むようにして食べるため、目の前の砂利も一緒に飲み込んでしまいます。 - 強い照明(LEDライト等)
水草を育てるわけではないので、観賞用の強いライトは不要です。むしろ、強い光は彼らにとってストレスとなり、隠れ家から出てこなくなる原因になります。部屋の明かり程度で十分です。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士のアドバイス:砂利の誤飲リスクについて]
「私がこれまでに受けた相談トラブルで最も多く、かつ深刻なのが『砂利の誤飲』です。小さな砂利なら排泄されることもありますが、お腹の中に大量に溜まってしまい、腸閉塞を起こして死に至るケースや、開腹手術が必要になるケースを数多く見てきました。初心者のうちは、水槽の底には何も敷かない『ベアタンク』での飼育を強くおすすめします。見た目が殺風景に感じるかもしれませんが、フンや食べ残しがすぐに見つかり、掃除が圧倒的に楽になるというメリットもあります。健康第一で考えましょう。」
初期費用の総額シミュレーション
実際にこれらを揃えた場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。一般的なホームセンターやネットショップで購入する場合の目安を試算しました。
| 項目 | 内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 生体代 | ウーパールーパー1匹 | 1,500円〜3,000円 |
| 水槽セット | 45cm水槽、フタ、フィルター | 4,000円〜6,000円 |
| 飼育用品 | カルキ抜き、水温計、スポイト、隠れ家 | 2,000円〜3,000円 |
| 餌代 | 専用人工飼料(数ヶ月分) | 500円〜800円 |
| 合計 | 初期費用総額 | 8,000円〜13,000円 |
このように、概ね1万円〜1万5千円程度あれば、十分な環境を整えてスタートすることができます。犬や猫の初期費用と比べると非常にリーズナブルですが、後述する「夏場の冷却設備」には別途費用がかかる可能性があることを頭の片隅に置いておいてください。
お迎え準備!水槽の立ち上げとセッティング手順
道具が揃ったら、いよいよ水槽の立ち上げです。「買ってきたその日にすぐ水を入れてドボン!」としてはいけません。水質の急変はウーパールーパーにとって命取りになります。ここでは、プロが行う確実なセッティング手順を解説します。
水槽の設置場所選び(直射日光・家電の近くはNG)
水槽に水を入れると、45cm水槽でも約20kg〜30kgの重さになります。一度設置すると簡単には動かせないので、場所選びは慎重に行いましょう。
避けるべき場所は以下の通りです。
- 直射日光が当たる場所:水温が急激に上昇し、コケも大量発生します。窓際は避けましょう。
- 家電製品の近く:テレビや冷蔵庫の横は、排熱で水温が上がったり、振動がストレスになったりします。また、水換え時の水はねで家電が故障するリスクもあります。
- 不安定な台の上:専用の水槽台か、耐荷重のあるしっかりした家具の上に水平に設置します。
水作り(カルキ抜きと水温合わせ)の重要性
水槽を設置し、軽く水洗いしたフィルターや隠れ家をセットしたら、水を入れます。この時、必ずカルキ抜き(塩素中和剤)を使用してください。日本の水道水に含まれる塩素は、人間には無害でも、エラ呼吸をする彼らにとっては毒になります。
また、お迎えしたウーパールーパーが入っている袋の水温と、新しく用意した水槽の水温に差がないように調整することも重要です。できれば水槽をセットしてフィルターを回し、半日〜1日ほど置いて水温を室温に安定させてから生体を迎えるのがベストです。
生体を水槽に入れる「水合わせ」の具体的なやり方
ショップから連れて帰ってきたウーパールーパーを、いきなり新しい水槽に入れてはいけません。水温や水質(pHなど)の急激な変化は「pHショック」を引き起こし、最悪の場合、数日後に死んでしまう原因になります。以下の手順で丁寧に「水合わせ」を行いましょう。
▼詳細:失敗しない「水合わせ」の3ステップ(ここをクリックして展開)
1. 温度合わせ(30分〜1時間)
買ってきた袋を開封せずに、そのまま新しい水槽の水面に浮かべます。これにより、袋の中の水温と水槽の水温がゆっくりと同じになります。
2. 水質合わせ(30分〜1時間)
袋を開け、袋の中の水を捨てずに、水槽の水をコップ1杯分(袋の水の1/3〜1/4程度)袋に入れます。10分〜20分待ち、また同じように水槽の水を袋に入れます。これを3回〜4回繰り返し、新しい水の水質に徐々に慣れさせます。
3. 生体の移動
十分に慣れたら、生体だけを優しく網ですくうか、手でそっと包むようにして水槽へ移動させます。袋の中の水には排泄物などが含まれている可能性があるため、水槽には入れずに捨てましょう。
健康を守る日々のお世話ルーティン(餌やり・水換え)
無事にお迎えできたら、日々の生活が始まります。ウーパールーパーのお世話は決して難しくありませんが、「やりすぎ」がトラブルの元になることが多いです。ここでは、適度な距離感と正しいケアの方法を解説します。
餌やりの頻度と適量(成長段階別ガイド)
最も多い失敗は「餌のやりすぎ」による消化不良や肥満、そして食べ残しによる水質悪化です。ウーパールーパーは満腹中枢が鈍く、あればあるだけ食べてしまう傾向があります。飼い主がコントロールしてあげましょう。
- 幼体(体長5cm〜10cm)
成長期なので、毎日食べるだけ与えます。ただし、お腹がパンパンになりすぎないよう注意してください。朝晩2回に分けても良いでしょう。 - 若魚〜成体(体長15cm〜)
成長が緩やかになったら、頻度を減らします。2〜3日に1回で十分です。一度に与える量は、人工飼料なら頭の大きさの半分程度を目安にします。
おすすめの餌タイプ(人工飼料 vs 冷凍赤虫)
主食には、栄養バランスが整った「ウーパールーパー専用の人工飼料(ペレット)」が最適です。沈下性で、口のサイズに合った粒の大きさのものを選びましょう。
おやつとして人気なのが「冷凍赤虫」です。食いつきは抜群ですが、水分が多く栄養バランスが偏りやすいため、あくまで副食や、食欲がない時の起爆剤として使うのがプロのコツです。また、赤虫は水を汚しやすいので、与えた後は水換えが必要になることが多いです。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士のアドバイス:餌のやりすぎは命取り]
「水槽の前に立つと、ウーパールーパーが寄ってきて『餌をくれ』とダンスをするような仕草を見せることがあります。これは本当に可愛らしく、つい餌をあげたくなってしまうのですが、ここが我慢のしどころです。野生下では毎日餌にありつけるわけではなく、彼らの内臓は常に満腹であることを想定していません。肥満や消化不良は短命の直接的な原因になります。『少し足りないかな?』くらいが健康維持の秘訣です。愛するからこそ、心を鬼にして適量を守ってください。」
水換えのタイミングと掃除の方法
フィルターを設置していても、有害な物質(硝酸塩など)は水中に蓄積していきます。これをリセットするために水換えが必要です。
- 頻度と量:週に1回、水槽の全水量の1/3〜1/2を交換するのが目安です。全部の水を換えると水質が急変し、バクテリアも減ってしまうのでNGです。
- 日々の掃除:毎日餌やりをした後、食べ残しやフンを見つけたら、すぐにスポイトで吸い出してください。この「こまめな掃除」こそが、週1回の水換えを楽にし、病気を防ぐ最大のポイントです。
【最重要】季節ごとの管理・特に「夏の暑さ対策」
ウーパールーパー飼育において、最も高いハードルとなるのが「日本の夏」です。彼らはメキシコの冷涼な湖(標高2,000m以上の高地)に生息しているため、暑さには極端に弱いです。ここを乗り切れるかどうかが、長期飼育の分かれ道となります。
ウーパールーパーの適温は15℃〜25℃
彼らが快適に過ごせる水温は15℃〜20℃前後です。25℃までは許容範囲ですが、28℃を超えると危険信号、30℃に達すると生命に関わります。逆に寒さには強く、5℃程度でも生きていけますが、活性が下がります。
夏場の水温上昇対策(クーラー・冷却ファン・エアコン)
水温が25℃を超えるようになったら、すぐに対策を講じる必要があります。代表的な冷却方法とその特徴を比較しました。
| 冷却方法 | 冷却能力 | コスト | メリット・デメリット |
|---|---|---|---|
| 水槽用クーラー | 高(確実に設定温度へ) | 高(2〜4万円〜) | 最も確実で安全。初期費用が高いが、安心感は絶大。 |
| 冷却ファン | 中(-3℃〜-4℃程度) | 安(2,000円〜) | 気化熱を利用。安価だが、水が蒸発して減るのが早く、湿度が高いと効きにくい。 |
| エアコン管理 | 高(室温ごと管理) | 中〜高(電気代) | 部屋ごと冷やすので人間も快適。24時間稼働が必要。 |
- やってはいけない対策:氷や保冷剤を直接水槽に入れること。一時的に下がりますが、溶けるとすぐに戻り、急激な温度変化でウーパールーパーがショック状態になります。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士のアドバイス:夏を制する者は飼育を制す]
「ウーパールーパー飼育の最大の山場は『初めての夏』です。私が担当した現場でも、お盆休みの留守中にエアコンを切って出かけてしまい、帰宅したら全滅していた…という悲しい事故が後を絶ちません。閉め切った室内は簡単に35℃を超えます。夏場だけは、24時間エアコンをつけっぱなしにするか、水槽用クーラーを導入することを強く推奨します。電気代はかかりますが、大切な家族の命には代えられません。」
冬場の寒さ対策(ヒーターは必要?)
逆に冬場はどうでしょうか。水温が5℃〜10℃になっても死ぬことはありませんが、動きが鈍くなり、消化機能が低下します。餌を食べても消化不良を起こしやすくなるため、元気に泳ぐ姿を見たい場合は、観賞魚用ヒーターを使って15℃〜18℃以上をキープするのが無難です。ヒーターを入れる際は、火傷防止のカバー付きを選びましょう。
病気のサインとトラブルシューティング
どんなに気をつけていても、体調を崩すことはあります。重要なのは「早期発見」です。普段と違う様子に気づけるよう、観察ポイントを知っておきましょう。
よくある病気「ぷかぷか病」の原因と対処法
ウーパールーパーが水面に浮いたまま沈めなくなる症状を通称「ぷかぷか病」と呼びます。主な原因は、お腹の中にガスが溜まっている(消化不良)、または水温が高すぎることによる浮力調整の不調です。
- 対処法:まずは水温を確認し、高ければ下げます。消化不良が疑われる場合は、餌を数日間抜いて(絶食)、胃腸を休ませます。水位を低くして、足が底につくようにしてあげるとストレスが減ります。
エラの変化(色が薄い・溶ける)は水質悪化のサイン
健康なウーパールーパーのエラ(フサフサ部分)は、血液が循環しているため鮮やかな赤色(リューシスティックなどはピンク色)をしており、ピンと張っています。
- 危険サイン:エラが白っぽく色が抜けている、縮こまっている、溶けたように短くなっている。
- 原因と対処:これらは水質悪化や酸素不足のサインです。直ちに水換えを行い、エアレーション(ブクブク)を強めて酸素を供給してください。
餌を食べない・吐き出す時のチェックポイント
餌を食べない時は、以下の点を確認してください。
- 水温は適切か?(低すぎたり高すぎたりしないか)
- 水は汚れていないか?(前回の水換えはいつか)
- 同じ餌に飽きていないか?(たまに赤虫を与えてみる)
- 便秘をしていないか?(お腹が膨れていないか)
数日食べなくても直ちに餓死することはありませんので、焦らず原因を探りましょう。
▼詳細:塩浴(えんよく)のやり方と注意点(ここをクリックして展開)
体調不良時の初期対応として、薄い塩水の中で生活させる「塩浴」という方法があります。浸透圧の調整を楽にし、自己治癒力を高める効果が期待できます。
方法:
飼育水に対して0.5%の濃度になるよう、天然塩(食塩ではなく、添加物のない粗塩)を溶かします。
例:水1リットルに対して塩5グラム。
※いきなり濃い塩水に入れず、徐々に濃度を上げてください。また、長期間(1週間以上)続けるものではありません。症状が改善しない場合は、エキゾチックアニマルを診察できる動物病院へ相談してください。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士のアドバイス:日々の観察ポイント]
「元気なウーパールーパーは、エラのフサフサが美しく広がり、先端までピンとしています。逆にエラが握りこぶしのようにギュッと縮こまっている時や、前かがみになっている時はSOSのサインです。これは痛みや不快感を感じている証拠。すぐに水質検査や水換えを行い、環境を改善してあげましょう。毎日の『エラチェック』を習慣にするだけで、多くのトラブルを未然に防げます。」
ウーパールーパー飼育のよくある質問(FAQ)
最後に、これから飼育を始める方が抱きがちな疑問にお答えします。
Q. 飼い主になつきますか?
A. 犬や猫のように名前を呼んで寄ってくる…というほどではありませんが、学習能力はあります。「人の影=餌をくれる存在」と認識するため、水槽に近づくと寄ってきたり、水面を見上げて餌をねだる「餌ダンス」をしたりするようになります。この姿は非常になつっこく見え、飼い主の心を掴んで離しません。
Q. 金魚や他の熱帯魚と混泳できますか?
A. 基本的には「単独飼育」を強く推奨します。ウーパールーパーのフサフサのエラは、魚にとって格好の餌に見えるため、かじられてボロボロにされてしまいます。逆に、口に入るサイズの小魚は、ウーパールーパーが夜間に食べてしまいます。お互いのために、別々の水槽で飼いましょう。
Q. 数日間、家を留守にしても大丈夫?
A. 成体であれば、2〜3日餌を抜いても健康上の問題はありません。むしろ、留守中に餌を与えて食べ残しが出ると、水質が悪化して危険です。ただし、夏場の水温管理(エアコン稼働)だけは徹底してください。1週間以上の長期不在になる場合は、信頼できる知人やペットシッターに依頼することをお勧めします。
Q. 手足がなくなっても再生するって本当?
A. はい、本当です。骨や筋肉、神経まで完全に再生する能力を持っています。しかし、再生には数ヶ月かかり、個体の体力も消耗します。また、再生した手足の指の数が変わったり、形が歪になったりすることもあります。「再生するから大丈夫」ではなく、怪我をさせない環境作り(混泳を避ける、尖ったレイアウト物を置かない)が大切です。
まとめ:正しい知識でウーパールーパーとの癒し生活を
ウーパールーパーは、適切な環境さえ整えてあげれば、手間もかからず、長く良きパートナーとなってくれる素晴らしい生き物です。最後に、飼育をスタートさせるためのチェックリストを確認しましょう。
初心者のための飼育開始チェックリスト
- [ ] 45cm以上の水槽とフィルターを確保した
- [ ] 誤飲防止のため、砂利は敷かず「ベアタンク」にする決心をした
- [ ] カルキ抜きと水温計を用意した
- [ ] 夏場の冷却対策(エアコンやクーラー)をどうするか決めた
- [ ] 10年以上生きる彼らを、最後まで責任を持って飼う覚悟ができた
準備が整ったら、ぜひお近くのペットショップや専門店で、運命の一匹を探してみてください。水槽の中でふわふわと漂い、つぶらな瞳でこちらを見つめてくる彼らの姿は、あなたの日常にかけがえのない癒しと安らぎをもたらしてくれるはずです。
[業界歴20年のアクアリウム専任管理士からのエール]
「最初は水温管理や水換えに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、ウーパールーパーが餌を一生懸命食べる姿や、水中でぼーっとしている姿を見ると、日々の疲れや悩みなんて吹き飛んでしまいます。彼らは言葉を話しませんが、全身で信頼を寄せてくれます。しっかり準備を整えて、素敵なアクアリウムライフをスタートさせてくださいね。応援しています!」
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