TikTokやYouTube Shortsを開けば、一度は耳にしたことがあるであろう、あの中毒性のあるリズム。「トゥントゥントゥン、サフール!サフール!」という軽快なビートに合わせて、人々が踊ったり、何かを叩いたりする動画が世界中でバイラル化しています。
結論から申し上げます。「トゥントゥントゥンサフール」の正体は、インドネシアでイスラム教の断食月(ラマダン)に行われる「深夜の目覚ましパレード(Patrol Sahur)」です。夜明け前の食事(サフール)に寝坊しないよう、地域の若者たちが太鼓や竹楽器を打ち鳴らして練り歩く伝統行事が、現代風のリミックス音源として世界中に拡散されたのです。
単なる「面白いミーム」として消費されがちですが、その背景には、世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアならではの、熱狂的かつ相互扶助の精神に満ちたコミュニティ文化が存在します。この記事では、現地在住経験を持つ筆者が、動画だけでは伝わらない「騒音と優しさ」のリアルな実態を徹底解説します。
この記事でわかること
- 「サフール」の本来の意味と、なぜ深夜2時に大騒ぎする必要があるのか
- TikTokで流行したリミックス音源の歌詞(カタカナ読み)と元ネタの正体
- 現地在住経験者が語る、動画には映らない「騒音問題」と地域コミュニティの絆
TikTokで話題!「トゥントゥントゥンサフール」の正体と基礎知識
まず最初に、多くの人が疑問に思っている「この動画は何?」という点について、基礎的な情報を整理しましょう。画面の中で人々が楽しそうに、あるいは必死に何かを叩いている光景は、決してふざけているわけではありません(半分は遊び心ですが)。そこには明確な目的と、長い歴史を持つ伝統が存在します。
どこの国の言葉?「Sahur(サフール)」の意味
動画の中で連呼されている「サフール(Sahur)」という言葉は、インドネシア語であり、元々はアラビア語の「スフール(Suhur)」に由来します。これは、イスラム教のラマダン(断食月)期間中、「夜明け前にとる食事」のことを指します。
イスラム教徒にとって、ラマダン中の断食は義務であり、日の出から日没まで一切の飲食を断ちます。そのため、日が昇る前に食事を済ませておく「サフール」は、その日のエネルギーを蓄えるための生命線とも言える重要な時間です。国はインドネシアが発祥ですが、マレーシアやブルネイなど、マレー語圏の国々でも同様の言葉が使われています。
つまり、あのリズムに乗せて叫んでいる言葉は、「朝ごはんだよ!」「起きろ!」「ご飯を食べる時間だぞ!」という、非常に実用的なメッセージなのです。
あのリズムは何?伝統楽器「ベドゥック」と「ケントンアン」
「トゥントゥントゥン」という独特のリズムを生み出しているのは、インドネシアの伝統的な打楽器です。動画によって使用されている楽器は様々ですが、主に以下の2つが代表的です。
| 楽器名 | 特徴 | 役割 |
|---|---|---|
| ベドゥック (Beduk) | 牛の皮を張った大きな太鼓。モスクにも設置されており、礼拝の時間を知らせるために使われる。 | 重低音を担当。パレードのベースとなるリズムを刻む。 |
| ケントンアン (Kentongan) | 竹や木をくり抜いて作られた筒状の打楽器。叩くと「コンコン」「カランカラン」と乾いた高い音が鳴る。 | 高音を担当。軽快なリズムや装飾音を奏でる。 |
これらの伝統楽器に加え、現代のパレード(Patrol Sahur)では、空のドラム缶、プラスチックのバケツ、鍋の蓋、そしてガラス瓶など、音が出るものなら何でも楽器として利用されます。この「ありあわせの道具」で即興的に生み出されるグルーヴこそが、現地の若者たちの創造性であり、TikTokで世界中の人々を惹きつけた要因の一つです。
なぜTikTokでバズった?EDMリミックスと中毒性の秘密
伝統的な行事がなぜ今、世界的なトレンドになったのでしょうか。その最大の理由は、インドネシア特有の音楽文化「リミックス(Remix)」にあります。インドネシアには、あらゆる楽曲や音声を高速のダンスミュージック(Funky Kota、通称Funkotなど)にアレンジして楽しむ文化が根付いています。
今回の「トゥントゥントゥンサフール」も、本来のパレードの音源をベースに、現地のDJやクリエイターが強力なベースラインと電子音を追加し、中毒性の高いEDMに仕上げました。この音源に合わせて、コミカルなダンスを踊ったり、身の回りのものを叩くふりをしたりする動画がTikTokに投稿され、言語の壁を超えて「ノリが良い」「頭から離れない」と拡散されたのです。
特に、「深夜に大騒ぎして人を起こす」というシチュエーション自体が、多くの国の人々にとって非日常的でシュールな面白さとして受け入れられました。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:インドネシアのSNS事情]
インドネシアは「世界屈指のSNS大国」です。特にTikTokの利用時間は長く、伝統的な行事や宗教的な習慣さえも、若者たちの手によってキャッチーなコンテンツ(ミーム)へと変換され、拡散される傾向があります。「宗教×エンタメ」の垣根が低いのが、この国の面白い特徴の一つです。彼らにとって、宗教行事を楽しむことと、それをSNSでシェアすることは矛盾しないのです。
そもそも「サフール」とは?ラマダン(断食月)における最重要ミッション
動画の面白さから入った方も、ここで少し真面目な文化的背景に触れてみましょう。「たかが朝ごはんでしょ?」と思うかもしれませんが、ラマダン中のイスラム教徒にとって、サフールはまさに「戦い」の始まりであり、絶対に失敗できないミッションなのです。
イスラム教徒にとっての「ラマダン(断食)」の基本ルール
ラマダン(Ramadan)とは、イスラム暦(ヒジュラ暦)の第9月の名称です。この1ヶ月間、イスラム教徒は「日の出前(正確にはファジル礼拝の呼びかけがある時間)」から「日没(マグリブ礼拝の時間)」まで、一切の飲食を断ちます。
水一滴も飲んではいけません。唾液を飲み込むことは許されていますが、意図的に何かを口に入れることは厳禁です。さらに、喫煙や性行為、悪口を言うことや怒ることも慎まなければなりません。これは単なるダイエットや苦行ではなく、空腹の辛さを知ることで貧しい人々への共感を育み、神への信仰心を高め、自らを浄化するための神聖な期間なのです。
インドネシアは赤道直下の熱帯国です。日中の気温は30度を超え、湿度は高く、じっとしていても汗ばむ気候です。その中で、日の出(午前4時半頃)から日没(午後6時頃)までの約13時間半、水を飲まずに過ごすことの過酷さは想像に難くありません。
サフールは「夜明け前の最後の晩餐」!寝坊が許されない理由
ここで「サフール」の重要性が浮き彫りになります。もしサフールを食べずに寝過ごしてしまったらどうなるでしょうか?
答えはシンプルです。「その日は水なし、食事なしで13時間半を耐え抜かなければならない」のです。特に水分補給ができないまま日中の暑さを過ごすことは、脱水症状のリスクもあり、仕事や学業のパフォーマンスにも大きく影響します。また、空腹によるイライラは、ラマダン中に推奨される「忍耐」や「穏やかな心」を保つことを困難にします。
そのため、サフールの時間は、単に腹を満たすだけでなく、その日1日を信仰心を持って乗り切るための「身体的・精神的な準備」の時間でもあります。深夜2時や3時に起き出し、眠い目をこすりながら食事を喉に通す。これは、彼らにとって切実な生存戦略であり、信仰の実践なのです。
食べるだけじゃない?サフールに込められた「徳を積む」精神
サフールには、栄養補給以上の宗教的な意味も込められています。預言者ムハンマドは「サフールをとりなさい。そこには祝福があるからだ」と言ったと伝えられています。
つまり、サフールを食べること自体が、神からの祝福(バラカ)を受ける行為であり、推奨される善行(スンナ)なのです。たとえお腹が空いていなくても、水一口、デーツ(ナツメヤシ)一粒でも口にすることが良しとされています。
また、サフールの時間には家族全員が食卓を囲みます。普段は忙しくて揃わない家族も、この1ヶ月だけは深夜に顔を合わせ、共に祈り、食事をします。サフールは家族の絆を深める大切な団らんの時間でもあるのです。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:サフールの食事内容]
サフールは1日分のエネルギーを蓄える重要な食事です。現地では、白米に加えて、腹持ちの良い肉料理(ルンダンやアヤムゴレンなど)や、水分補給のためのスープ(ソトやサユール)、そして栄養価の高いデーツ(ナツメヤシ)が好まれます。深夜3時にこれらをしっかり食べるのは慣れないと大変ですが、これを逃すと日中の暑さと空腹に耐えられません。現地の人々は、食後に大量の水を飲み、夜明けの礼拝(ファジル)に備えます。
深夜のパレード「Patrol Sahur」が激しすぎる理由と仕組み
サフールの重要性がわかったところで、話題の「トゥントゥントゥン」のリズムを生み出すパレード、「Patrol Sahur(パトロール・サフール)」について深掘りしていきましょう。なぜ彼らはあそこまで激しく、大音量で街を練り歩くのでしょうか。
「起こしてあげる」が正義!若者たちのボランティア活動
かつて、スマートフォンも目覚まし時計も普及していなかった時代、村の人々が全員遅刻せずにサフールをとるためには、誰かが起きて知らせる必要がありました。その役割を担ったのが、地域の若者たちや子供たちです。
彼らは「みんなを起こしてあげる」という使命感を持ち、ボランティアとして深夜の村を巡回しました。イスラム教において、他人の善行(この場合は断食)を助ける行為は、それ自体が非常に徳の高い行い(Ibadah)とされます。「自分が騒音を出すことで、隣人が断食を成功させられるなら、それは良いことだ」というロジックが、この活動の根底にあります。
現代ではスマホのアラームがありますが、この「パトロール」は伝統行事として、また地域コミュニティのイベントとして形を変えながら生き続けています。
使用される楽器:竹筒、ドラム缶、リサイクル品の即興演奏
パトロール・サフールの魅力は、そのDIY(Do It Yourself)精神にあります。正式な楽器セットを持っているグループもありますが、多くの場合は手作りです。
- 竹筒 (Kentongan): 長さの違う竹を用意し、音階を作ります。
- ドラム缶・ポリタンク: 叩くと腹に響く重低音が出ます。
- ガラス瓶: スプーンで叩いて金属的な高音を加えます。
これらを組み合わせ、リーダーの合図に合わせて複雑なリズム(ポリリズム)を奏でます。楽譜はありません。すべては口伝と、その場のノリと阿吽の呼吸で構成されています。この即興性と一体感が、演奏している若者たちをトランス状態に近い熱狂へと誘います。
地域によって異なるスタイル(トラック荷台型 vs 徒歩型)
パトロール・サフールには、地域や規模によっていくつかのスタイルがあります。
1. 徒歩練り歩き型(伝統スタイル)
子供たちや近所の若者が、手持ちの楽器を持って路地裏(Gang)を練り歩くスタイル。アットホームで、近所迷惑にならない程度の(それでも十分うるさいですが)音量です。「サフール!サフール!」という掛け声がメインです。
2. トラック・ピックアップ荷台型(現代スタイル)
TikTokでよく見かけるのはこのタイプです。軽トラックの荷台に巨大なサウンドシステム(スピーカー)と発電機、そしてドラムセットやキーボードを積み込み、DJのように音楽を流しながら大通りを徐行します。後ろにはバイクに乗った若者の集団が続き、あたかも移動式クラブのような様相を呈します。このスタイルは特にジャワ島の一部で盛んで、その派手さと音量は年々エスカレートしています。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:参加者のモチベーション]
彼らが深夜に大騒ぎするのは、単に騒ぎたいからだけではありません。イスラム教には「善行(Ibadah)」の概念があり、断食をする隣人を起こしてあげることは「徳の高い行い」とされています。また、子供たちにとっては、夜更かしが公認され、仲間と街を練り歩ける、年に一度のお祭りのような楽しさもあるのです。この時期だけは、普段厳しい親も夜遊びを許してくれる、そんな解放感も彼らの熱量を支えています。
【現地レポート】実際うるさい?サフールコールを巡る騒音問題とリアル
さて、ここからは現地在住経験者としての「本音」をお伝えします。動画で見ている分には「面白い」「異国情緒がある」で済みますが、実際にその場に住んでいると、事態はもっと深刻で、かつ愛すべきカオスに満ちています。
【体験談】深夜2時、爆音で叩き起こされた筆者の実体験
私が初めてインドネシアでラマダンを迎えた時のことです。深夜2時過ぎ、突然「ドンドコドンドコ!」という地響きのような音と、割れんばかりの叫び声で叩き起こされました。地震か、暴動かと思い、慌てて窓の外を見ると、そこには満面の笑みを浮かべた子供たちと若者の集団がいました。
彼らは私の家の前で立ち止まり、さらに激しく太鼓を叩き始めました。「サフール!サフール!ミスターも起きて!」と言わんばかりのテンションです。時計を見ればまだ午前2時半。眠気と驚きで呆然としましたが、彼らのあまりに純粋な「親切心」と「笑顔」を見て、怒る気力も失せました。
これがラマダン期間中、毎日続くのです。最初の数日は寝不足になりましたが、人間とは不思議なもので、1週間もすればそのリズムが「目覚まし時計」代わりになり、聞こえてくると「ああ、ご飯を食べなきゃ」と条件反射で起きられるようになりました。
「伝統」か「騒音」か?インドネシア国内でも割れる議論
しかし、すべての人がこれを歓迎しているわけではありません。インドネシア国内でも、近年この「パトロール・サフール」の騒音問題は議論の的になっています。
特に、病気の人、高齢者、小さな赤ちゃんがいる家庭、そして非イスラム教徒の住民にとって、深夜2時の大音量は苦痛以外の何物でもありません。また、若者たちがヒートアップしすぎて、爆竹を鳴らしたり、他のグループと喧嘩になったりするトラブルも発生しています。
SNS上では「伝統を守ろう」という意見と、「時代に合わせてマナーを守るべきだ」という意見が毎年ぶつかり合っています。「起こしてあげるのは良いが、巨大スピーカーでEDMを流す必要はあるのか?」という真っ当な批判も多く聞かれます。
拡声器戦争?モスクからのスピーカー放送と政府の規制
パレードだけでなく、各地域のモスク(イスラム礼拝所)から流れるスピーカー放送も強烈です。多くのモスクが競うように大音量でコーランの朗読や説法を流すため、空気が振動するほどの音圧になります。
これに対し、インドネシア宗教省は、スピーカーの音量や使用時間に関するガイドライン(通達)を出しています。例えば、「深夜のサフール呼びかけには外部スピーカーを使わず、内部スピーカーを使うこと」や「音量は100デシベル以下にすること」などが推奨されていますが、地域によっては「神への奉仕に制限をかけるのか」という反発もあり、徹底されていないのが実情です。
それでも憎めない「Gotong Royong(相互扶助)」の精神
騒音問題というネガティブな側面がありながらも、この文化がなくならないのは、インドネシア社会の根底に「Gotong Royong(ゴトン・ロヨン=相互扶助)」の精神があるからです。
「お互い様」の精神で許容し合う。誰かが困っていたら(この場合は寝坊しそうなら)、お節介なほどに助け合う。その過剰なまでのエネルギーが、あの深夜のパレードには詰まっています。うるさいけれど、どこか温かい。孤独死とは無縁の、濃厚な人間関係。現地で生活していると、あの騒音が「一人ではない」という安心感につながる瞬間があるのも事実なのです。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:外国人としての振る舞い]
もし現地でこの騒音に遭遇しても、露骨に不快感を示したり怒鳴ったりするのはNGです。彼らにとっては神聖かつ善意の行いです。「ラマダンならではの風物詩」として、大らかな心で受け止める(あるいは諦めて一緒に早起きする)のが、現地文化を尊重する姿勢と言えるでしょう。どうしても眠れない場合は、耳栓を使用するか、防音設備の整った高級ホテルへ避難するのが賢明です。
カタカナで覚える!「トゥントゥントゥンサフール」歌詞と関連用語
文化的背景を理解したところで、実際に動画で使われている言葉を覚えてみましょう。意味がわかれば、動画を見るのがもっと楽しくなりますし、インドネシア人の友人がいれば、この言葉を使うだけで驚かれること間違いなしです。
バイラル音源の定番フレーズとカタカナ読み
TikTokで流行しているリミックス音源で、主に使用されているフレーズは以下の通りです。
- “Sahur, Sahur! Sahur, Sahur!”
読み:サフール、サフール!
意味:サフール(の時間)だ!
解説:最も基本的な掛け声。リズムに合わせて連呼します。 - “Ayo kita sahur!”
読み:アヨ キタ サフール!
意味:さあ、一緒にサフールしよう!
解説:「Ayo」は「Let’s」、「Kita」は「私たち(話し相手を含む)」を意味します。 - “Jangan tidur lagi!”
読み:ジャンガン ティドゥール ラギ!
意味:二度寝するな!
解説:「Jangan」は禁止(~するな)、「Tidur」は寝る、「Lagi」は再び。まさに母親のような小言ですが、このリズムに乗ると楽しく聞こえます。 - “Bangun, bangun!”
読み:バングン、バングン!
意味:起きろ、起きろ!
解説:直球の目覚ましコールです。
あわせて覚えたいラマダン用語(ブカプアサ、イムサック)
サフール以外にも、ラマダン期間中によく耳にする重要単語を2つ紹介します。
- Buka Puasa(ブカ・プアサ)
意味:断食明け(日没後の食事)
解説:1日の断食を終えて最初に口にする食事のこと。サフールとは対照的に、喜びと解放感に満ちた時間です。街中のレストランは予約でいっぱいになります。 - Imsak(イムサック)
意味:断食開始の直前時間(飲食停止の目安)
解説:夜明け(ファジル)の約10分前に設定されている時間。「もうすぐ夜明けだから、食事を切り上げなさい」という合図です。モスクから「イムサーック、イムサーック」という放送が流れると、人々は急いで最後の水を飲みます。
友達に自慢できる?インドネシア語の「断食おめでとう」
もしSNSでインドネシアのクリエイターにコメントするなら、この言葉を使ってみてください。
“Selamat menunaikan ibadah puasa”
読み:スラマッ ムヌナイカン イバダ プアサ
意味:断食という善行が無事に完遂できますように(断食おめでとう)
少し長いですが、これを言える外国人は現地の人から非常に尊敬されます。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:発音のポイント]
インドネシア語の「R」は巻き舌気味に発音すると現地っぽさが出ます。「サフール」の「ル」を強めに巻いて「サフゥルッ」のように発音してみましょう。また、「Sahur」の発音は地域によって訛りがあり、ジャワ島などでは独特の抑揚やリズム感が加わります。動画の音声に合わせて、少し大げさに真似するのが一番の近道です。
よくある質問(FAQ)
最後に、トゥントゥントゥンサフールやラマダンに関して、よくある疑問にお答えします。
Q. ラマダンはいつ行われるのですか?毎年変わる?
A. はい、毎年約11日ずつ早まります。
イスラム暦は月の満ち欠けに基づく太陰暦を使用しているため、太陽暦(西暦)よりも1年が約11日短くなります。そのため、ラマダンの時期は毎年少しずつズレていきます。真夏に行われる年もあれば、冬に行われる年もあります。旅行を計画する際は、その年のラマダン期間を事前にチェックすることが必須です。
Q. 旅行者も断食をしないといけませんか?
A. いいえ、非イスラム教徒の旅行者に断食の義務はありません。
ただし、公共の場(路上や待合室など)で堂々と飲食や喫煙をすることは、断食中の人々への配慮として避けるべきです。多くのレストランは日中カーテンを閉めて営業していたり、ホテルのレストランは通常通り開いていたりと、旅行者が食事をする場所は確保されていますのでご安心ください。
Q. サフールのパレードに参加することはできますか?
A. 知り合いがいれば可能ですが、飛び入りは注意が必要です。
基本的には地域のコミュニティ行事です。現地の友人に誘われた場合は、貴重な体験として参加してみるのも良いでしょう。しかし、深夜の路上を歩くことになるため、治安面での注意は必要です。観光客がいきなり知らないグループに混ざるのは避け、まずはホテルの窓から眺める程度にしておくのが安全です。
▼[東南アジア地域文化研究家のアドバイス:パレード参加について]
観光客がいきなり地元の若者グループに混ざるのはハードルが高いですが、親しい現地の友人がいれば、同行させてもらうことは可能です。彼らは外国人が自分たちの文化に興味を持ってくれることを喜びます。ただし、深夜の活動であり、交通事故やトラブルのリスクもゼロではありません。まずは安全なエリアで、少し離れた場所から見学することをおすすめします。
まとめ:トゥントゥントゥンサフールは「優しさ」と「熱狂」の目覚まし時計
TikTokで話題の「トゥントゥントゥンサフール」について、その意味や背景を解説してきました。あの陽気なリズムの裏側には、過酷な断食を乗り越えるための知恵と、地域の人々がお互いを支え合う温かい文化が隠されていました。
記事の要点まとめ
- 「トゥントゥントゥン」の正体は、ラマダンの食事(サフール)に遅れないよう隣人を起こす伝統行事「Patrol Sahur」。
- 深夜の騒音は嫌がらせではなく、「善行(徳を積む行為)」であり、地域コミュニティの絆の象徴。
- TikTokでの流行は、この伝統的なリズムを現代風のEDMにリミックスしたことで生まれた。
- 現地では騒音問題としての側面もあるが、文化として深く根付いており、多くの人に愛されている。
次にあの動画を見たときは、単に「面白いリズム」として楽しむだけでなく、その向こう側にあるインドネシアの熱気や、深夜に起きて祈りを捧げる人々の姿を想像してみてください。きっと、今までとは違った深みを持って聞こえてくるはずです。
Checklist|異文化理解度チェック
- [ ] 「サフール」が朝食のことだと知っている
- [ ] 深夜の太鼓が「嫌がらせ」ではなく「親切」だと理解した
- [ ] インドネシアのラマダンの熱気を動画で感じた
- [ ] ぜひ今日から、朝起きられない友人に「サフール!」と声をかけてみてください(※時間は選んで!)
異文化のミームを知ることは、その国の心を知ること。このリズムが、あなたの世界を少しだけ広げるきっかけになれば幸いです。
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