ハワイの風を感じる鮮やかな赤身のマグロ、クリーミーなアボカド、そして香ばしいごま油の香り。一口食べれば、そこはもうワイキキのビーチサイドです。しかし、自宅でいざ作ってみると、「なんだか味が決まらない」「ただのマグロの漬け丼になってしまった」という経験はありませんか?
実は、ポキのおいしさの秘訣は、日本の「漬け」とは根本的に異なる「和える」技術と、計算された食感のコントラストにあります。スーパーで売られている普通の刺身でも、ほんの少しの科学的なコツと現地の知恵を加えるだけで、驚くほど本格的なハワイアン・テイストに変身させることができるのです。
この記事では、ハワイ・ホノルルのレストラン厨房で修行を積み、現地の味を知り尽くした筆者が、スーパーの刺身を極上のポキに変える「魔法の黄金比」と、日本で入手しやすい食材で作る完全再現レシピを伝授します。
この記事でわかること
- 日本の「漬け丼」になってしまう失敗を防ぐ、本場の調理理論と科学的根拠
- マグロとアボカドが劇的に美味しくなる、失敗知らずの「タレの黄金比」
- 入手困難なククイナッツやリム(海藻)がなくてもOK!身近な食材での代用テクニック
さあ、まな板とボウルを用意して、自宅のキッチンをハワイのローカル・デリに変えてみましょう。
ポキ(Poke)とは?日本の「漬け」と決定的に違う3つのポイント
「ポキ(Poke)」と聞いて、多くの日本人がイメージするのは「マグロの醤油漬け」です。確かに見た目は似ていますが、料理としてのルーツや設計思想は、日本の「漬け(ヅケ)」とは似て非なるものです。なぜ、家で作ると海鮮丼の味になってしまうのか。その答えは、ポキという料理の定義と、その調理プロセスに隠されています。
このセクションでは、単なるレシピの手順だけでなく、料理を美味しくするための「理屈」を解説します。ここを理解することで、あなたのポキ作りは一段階上のレベルへと進化するでしょう。
語源「Poke=切る」が示す調理法の真髄
まず、「ポキ(Poke)」という言葉の意味から紐解いていきましょう。ハワイ語で「Poke」は「切る」「切り身にする」という意味を持っています。具体的には、魚をブロック状にぶつ切りにする動作を指します。
歴史を遡ると、古代ハワイの漁師たちが、獲れたての魚をその場で捌き、海で採れた塩や海藻(リム)、砕いたククイナッツ(キャンドルナッツ)をまぶして食べたのが始まりとされています。ここで重要なのは、彼らは魚を調味液に「長時間漬け込んで保存食にした」のではなく、「切って、和えて、すぐに食べた」という点です。
つまり、ポキの本質は「フレッシュなサラダ」に近い料理なのです。日本の「漬け」が、醤油の塩分とアルコールを利用して保存性を高め、時間をかけて味を染み込ませる「保存食」の技術から発展したのに対し、ポキは素材の鮮度と食感をダイレクトに楽しむ「即席料理」としての性格が強いのです。この意識を変えるだけで、仕上がりの食感は劇的に変わります。
最大の違いは「浸透圧」と「乳化」の科学
日本の「漬け」とハワイの「ポキ」の味わいを分ける決定的な違いは、調理科学の視点で見ると「浸透圧」と「乳化」の扱いにあります。
1. 浸透圧のコントロール
日本の漬けは、醤油やみりんのタレに魚を浸します。塩分濃度の高い液体に魚を入れると、浸透圧の作用で魚の細胞から水分が外へ抜け出します。これにより、身が締まり、ねっとりとした独特の食感と凝縮された旨味が生まれます。しかし、ポキにおいてはこの「脱水」は必ずしも正解ではありません。ポキは、魚のプリッとした弾力とジューシーさを残すことが求められます。そのため、タレと和えるのは「食べる直前」が鉄則なのです。
2. 油分による乳化とコーティング
もう一つの大きな違いは「油」の存在です。ポキには必ずと言っていいほどごま油(またはその他のオイル)が使われます。油は魚の表面をコーティングし、醤油の塩分が急激に魚の内部へ浸透するのを防ぐバリアの役割を果たします。また、醤油(水分)とごま油(油分)をしっかりと混ぜ合わせて「乳化」させたタレを絡めることで、舌触りがまろやかになり、角のない濃厚な味わいが生まれます。日本の漬けには通常、油は入りません。この「油によるコーティング」こそが、ポキをポキたらしめる最大の要素なのです。
現地流は「食感」を楽しむ!薬味とナッツの重要性
ハワイのスーパーマーケットやポキ専門店に行くと、ショーケースに並ぶポキの多様さに驚かされます。そこには、単に魚とタレだけでなく、玉ねぎ、万能ねぎ、海藻、そして砕いたナッツなどがふんだんに混ぜ込まれています。
ポキのおいしさは、柔らかい魚の身に対して、「シャキシャキ(玉ねぎ)」「カリカリ(ナッツ)」「プチプチ(トビコや海藻)」といった異なる食感が複雑に絡み合うことにあります。口の中で様々な食感が弾ける楽しさこそが、ハワイアン・キュイジーヌの醍醐味です。
一方、日本の漬け丼は、魚のねっとり感と白米の一体感を重視するため、異物感のある硬い食材を混ぜることはあまりありません。ポキを作る際は、恐れずに「食感のアクセント」を加えることが、本場の味に近づく近道です。
詳細比較:ポキ vs 日本の漬け 違いまとめ表
| 比較項目 | ハワイの「ポキ」 | 日本の「漬け」 |
|---|---|---|
| 基本概念 | 切って和える(サラダ感覚) | タレに浸す(保存食・熟成) |
| 調理時間 | 食べる直前に和える(5分以内) | 数十分~一晩寝かせる |
| 油分の有無 | あり(ごま油等で乳化) | なし(醤油・みりん・酒) |
| 食感 | プリッと弾力あり、ナッツ等の食感 | ねっとり凝縮、一体感 |
| 具材の大きさ | 1.5cm~2cmの角切り(ぶつ切り) | 薄い切り身(そぎ切り)が多い |
アイランド・キュイジーヌ研究家のアドバイス
「現地ハワイのポキ・カウンターでは、注文を受けてからその場で魚とタレ、具材をボウルで和えて提供するのが一般的です。作り置きをしている場合でも、回転が早いため長時間漬かった状態にはなっていません。長時間漬け込むと、魚の水分が抜けすぎて身が縮み、ポキ特有のあの『プリッ』としたフレッシュさが失われてしまいます。ご家庭で作る際も、『漬け込まない』のが鉄則。食卓に出す直前にボウルでざっくりと混ぜ合わせるのが、一番美味しく食べる秘訣ですよ。」
スーパーの食材で再現!本場の味に近づける「3つの神器」
本格的なポキを作りたいと思っても、「ククイナッツ」や「オゴ(海藻)」といったハワイ特有の食材は、日本の一般的なスーパーではまず手に入りません。しかし、諦める必要はありません。料理の構造を理解していれば、身近な食材でその役割を完璧に代用し、あるいはそれ以上に美味しく仕上げることが可能です。
ここでは、スーパーの食材を使って本場の味と食感を再現するための「3つの神器」について解説します。これらを知っているだけで、あなたのポキは「なんちゃって料理」から「プロの味」へと昇華します。
【油分】ごま油だけじゃない?旨味を閉じ込めるコーティング術
ポキの味のベースとなるのは間違いなく「ごま油」ですが、選び方と使いにコツがあります。スーパーには「焙煎ごま油(茶色)」と「太白ごま油(無色)」などが並んでいますが、ポキに最適なのは、香りが強すぎず、かつ香ばしさを感じられる標準的な「純正ごま油」です。
ただし、ごま油の香りが強すぎると、繊細なマグロの風味を消してしまうことがあります。そこでプロが使うテクニックが、「サラダ油(または米油)」を少量ブレンドするという方法です。例えば、ごま油とサラダ油を「3:1」程度の割合で混ぜると、香ばしさは残しつつ、口当たりがより軽やかになり、たくさん食べても飽きのこない味になります。
また、この油分がマグロの表面をコーティングすることで、醤油の塩分による脱水を防ぎ、時間が経っても水っぽくなりにくいというメリットも生まれます。油は単なる風味付けではなく、「食感を守るシールド」として機能しているのです。
【食感】幻の「ククイナッツ」は◯◯◯で代用せよ
本場ハワイの伝統的なポキに欠かせないのが「ククイナッツ(キャンドルナッツ)」です。脂肪分が多く、ローストすると独特の香ばしさとカリカリとした食感が生まれますが、日本では入手困難です。これを省略してしまうと、食感のコントラストがなくなり、平坦な味になってしまいます。
そこで、最も優秀な代用食材として推奨するのが「カシューナッツ」または「マカダミアナッツ」です。
- カシューナッツ: 甘みとコクがあり、ククイナッツの油分に近い濃厚さを持っています。スーパーのおつまみコーナーで手に入る「素焼き(無塩)」のものを選びましょう。
- マカダミアナッツ: ハワイ土産の定番でもあり、風味の再現度は最高です。ただし、価格が少し高めなのが難点です。
ポイントは、これらを包丁で粗く砕いて使うこと。粉々にするのではなく、米粒〜小豆大くらいの大きさを残すことで、マグロの柔らかい身と一緒に噛んだ時に、心地よいアクセントが生まれます。アーモンドやクルミでも代用可能ですが、皮の渋みが邪魔をする場合があるため、クリーミーなカシューナッツがベストバランスです。
【風味】「リム(海藻)」の代わりに使うべき日本の海藻
ハワイ語で海藻を意味する「リム」。特にポキに使われるのは「オゴ」や「リム・コフ」といった赤い海藻で、シャキシャキとした食感と磯の香りが特徴です。これを日本で再現するために最適なのが、「乾燥わかめ」ではなく「海藻サラダミックス」や「トサカノリ」です。
刺身のツマとして売られている赤や緑の海藻(トサカノリ)や、乾燥の海藻サラダミックスに含まれる茎わかめなどは、水で戻すとしっかりとした歯応えが出ます。これらはオゴの食感に非常に近く、ポキに混ぜ込んだ時に水分が出にくいという利点もあります。
もし手に入らない場合は、乾燥わかめでも構いませんが、戻した後に徹底的に水気を絞ることが重要です。さらに、キッチンペーパーで包んで水分を拭き取ってから混ぜないと、タレが薄まり、生臭さの原因になってしまいます。ここでひと手間かけられるかが、仕上がりのクオリティを左右します。
アイランド・キュイジーヌ研究家のアドバイス
「食感のアクセントこそが『ポキらしさ』を生みます。私はよく、カシューナッツの代わりに『フライドオニオン』を仕上げに散らすこともあります。カリッとした食感と玉ねぎの甘みが加わり、現代的なハワイのカフェ風ポキになりますよ。また、海藻の代わりに『刻み昆布』を少し混ぜると、昆布のグルタミン酸(旨味成分)がマグロのイノシン酸と相乗効果を生み出し、日本人好みの深い味わいになるのでおすすめです。」
【基本】失敗知らずの「クラシック・アヒポキ(醤油味)」レシピ
ここからは、いよいよ実践編です。ハワイ語でマグロを意味する「アヒ(Ahi)」を使った、最もスタンダードな醤油ベースのポキを作ります。手順はシンプルですが、各工程に「なぜそうするのか」という理由があります。それを意識するだけで、味の解像度が格段に上がります。
材料と分量(2人分):タレの黄金比
まずは材料を揃えましょう。この「タレの黄金比」は、ご飯のおかずとしても、お酒のつまみとしても成立する絶妙なバランスです。
【メイン食材】
- マグロ(赤身・サク): 200g
※スジの少ない赤身を選びましょう。高価な中トロである必要はありません。 - アボカド: 1個
※指で押して少し弾力を感じる程度の完熟手前のものがベスト。 - 玉ねぎ: 1/4個
- 万能ねぎ(小口切り): 2〜3本分
【タレの黄金比】
- 醤油: 大さじ2
- ごま油: 大さじ1.5
- みりん: 小さじ1(煮切り、またはレンジで20秒加熱してアルコールを飛ばしたもの)
- おろしにんにく: 小さじ1/2(チューブでOK、生なら風味アップ)
- おろし生姜: 小さじ1/2
- いりごま(白): 大さじ1
【食感と風味のアクセント(3種の神器)】
- ローストカシューナッツ(砕いたもの): 大さじ1〜2
- 海藻(水で戻して硬く絞ったもの): ひとつかみ
- 一味唐辛子または七味: 少々(お好みで)
買い物リスト(スクリーンショット推奨)
- [ ] マグロ(赤身サク・200g)
- [ ] アボカド(1個)
- [ ] 玉ねぎ(1個)
- [ ] 万能ねぎ
- [ ] 醤油
- [ ] ごま油
- [ ] みりん
- [ ] にんにく・生姜チューブ
- [ ] いりごま
- [ ] カシューナッツ(素焼き)
- [ ] 乾燥海藻ミックス
下準備:マグロは「1.5cm角」が一番美味しい理由
1. 玉ねぎの処理
玉ねぎは繊維を断ち切るように薄切り(スライス)にするか、粗めのみじん切りにします。重要なのは「水にさらして辛味を抜く」こと、そして「水気を完全に拭き取る」ことです。水に5〜10分さらした後、ザルにあげ、さらにキッチンペーパーでギュッと絞ってください。ここに水分が残っていると、タレが薄まり味がぼやけます。
2. マグロのカット:1.5cmの魔法
マグロは1.5cm〜2cm角のサイコロ状に切ります。これは、日本の刺身や漬け丼の切り身よりも厚く、大きめのサイズです。
なぜこのサイズなのか? それは、口に入れた時に「歯がスッと入る食感」と「噛んだ時に溢れるマグロの旨味」を最大化するためです。小さすぎるとタレの味が勝ちすぎて塩辛くなり、大きすぎると味が絡まず物足りなくなります。アボカドも同様に、マグロと同じサイズに揃えて切ることで、見た目の美しさと食べた時の一体感が生まれます。
調理工程:タレを乳化させてから魚を投入する
ここで最大のポイントです。絶対に、魚に直接醤油やごま油をかけてはいけません。
1. タレの乳化
大きめのボウルに、醤油、ごま油、煮切りみりん、にんにく、生姜を入れます。そして、泡立て器やスプーンを使って、全体が白っぽくトロッとするまで激しく混ぜ合わせます。
油と醤油を強制的に混ぜて「乳化」させることで、角の取れたまろやかなソースになります。この工程を経ることで、タレがマグロの表面に均一に絡みつき、液垂れもしにくくなります。
2. 具材の投入順序
乳化したタレの中に、まず玉ねぎと海藻を入れて軽く和えます。玉ねぎに味を吸わせるイメージです。
次に、マグロを投入し、タレを全体にコーティングするように優しく混ぜます。
仕上げ:アボカドの変色を防ぎ、崩さない混ぜ方
1. アボカドは最後に
マグロにタレが絡んだら、最後にアボカドを加えます。アボカドは崩れやすいので、ゴムベラなどを使い、ボウルの底からすくい上げるようにさっくりと混ぜ合わせます。この段階で、アボカドの表面も油分を含むタレでコーティングされるため、空気に触れにくくなり、変色を遅らせる効果があります。
2. アクセントを加えて完成
最後に、砕いたカシューナッツ、いりごま、万能ねぎを加え、ひと混ぜしたら完成です。
冷蔵庫で冷やす必要はありません。常温(または魚の冷たさ)のまま、炊きたてのご飯に乗せるか、そのままおつまみとして楽しみましょう。作ってから30分以内に食べ切るのが、食感を楽しむベストなタイミングです。
アイランド・キュイジーヌ研究家のアドバイス
「玉ねぎの水さらしは、新玉ねぎの時期ならサッとで構いませんが、辛味の強い玉ねぎの場合はしっかり行いましょう。ただし、水にさらしすぎると玉ねぎの旨味まで抜けてしまいます。私がお店で仕込むときは、水にさらした後、さらに『塩もみ』をして水分を極限まで絞り出します。こうすると、玉ねぎがシャキシャキになり、タレの味が薄まるのを完全に防げるんです。家庭でもぜひ試してみてください。」
【アレンジ】濃厚さがたまらない「スパイシー・アヒポキ」レシピ
醤油味のクラシック・ポキと並んで、ハワイのローカルに絶大な人気を誇るのが「スパイシー・アヒ」です。ピリッとした辛さとマヨネーズのコクが、マグロの脂と絡み合い、中毒性の高い味わいになります。「マヨネーズなんて邪道では?」と思うなかれ。一度食べれば、その濃厚な旨味の虜になるはずです。
「シラチャ―ソース」がない場合の自作ブレンド術
本場のスパイシー・ポキの味の決め手は、タイ発祥のチリソース「シラチャ―ソース(Sriracha)」です。ニンニクの効いた酸味のある辛さが特徴ですが、日本の家庭には常備されていないことも多いでしょう。
そんな時は、以下の配合で「即席シラチャ―風ソース」を作ることができます。
【スパイシーマヨソースの配合(2人分)】
- マヨネーズ: 大さじ3
- 豆板醤(トウバンジャン): 小さじ1〜2(辛さの好みで調整)
- ケチャップ: 小さじ1(酸味と甘みをプラス)
- 醤油: 小さじ1/2(隠し味)
- ごま油: 小さじ1(風味付け)
- 一味唐辛子: 少々(キレのある辛さが欲しい場合)
豆板醤のコクとケチャップの酸味をマヨネーズでまとめることで、シラチャ―ソース特有の「旨辛酸っぱい」風味を再現できます。
マヨネーズとトビコのプチプチ感が相性抜群
スパイシー・ポキをさらに本格的にするのが、魚卵の存在です。ハワイでは「マサゴ(Masago)」や「トビコ(Tobiko)」がよく使われます。
手に入るなら「トビコ」を大さじ1〜2杯、ソースに混ぜ込んでみてください。マヨネーズのクリーミーな食感の中に、トビコのプチプチとした弾ける食感が加わることで、リズムが生まれます。もしトビコがなければ、辛子明太子をマヨネーズに混ぜて「明太マヨポキ」にアレンジするのも、日本人の味覚に合う素晴らしい選択肢です。
サーモンやタコで作る場合のアレンジポイント
スパイシーソースは、マグロ以外の魚介類とも相性抜群です。
- サーモン: 脂の乗ったサーモンは、マヨネーズと合わせると非常に濃厚になります。くどくなりすぎないよう、レモン汁を少し多めに加えたり、玉ねぎ(スライス)を多めに入れてバランスを取りましょう。
- タコ(茹で): タコは水分が少ないため、時間が経っても味がボケにくいのが利点です。キュウリの角切りやセロリなど、歯応えのある野菜と一緒に和えると、サラダ感覚で楽しめるヘルシーな一品になります。
アイランド・キュイジーヌ研究家のアドバイス
「スパイシー・ポキを作る際、私は隠し味に必ず『レモン汁』を小さじ1杯ほど加えます。マヨネーズと魚の脂で重くなりがちな口当たりを、レモンの酸味がキュッと引き締めてくれるからです。また、現地では仕上げに『あられ(ぶぶあられ)』をトッピングすることも多いです。お茶漬け用のあられをパラリとかければ、香ばしさとカリカリ食感が加わり、見た目も華やかになりますよ。」
ポキを最高に楽しむための盛り付けとサイドメニュー
美味しいポキができたら、最後は「体験」の演出です。ハワイのカフェで出てくるような盛り付けと、気分を盛り上げるサイドメニューを用意して、自宅をリゾート空間に変えましょう。
丼(ポキボウル)にする時のご飯の工夫(酢飯 vs 白飯)
ポキをご飯に乗せて「ポキボウル(Poke Bowl)」にする際、よく議論になるのが「酢飯か、白飯か」という問題です。
- 現地のスタイル: 基本的には温かい「白飯(スチームドライス)」、または「玄米(ブラウンライス)」が主流です。熱々のご飯と、冷たいポキの温度差(ひやあつ)を楽しみます。
- 日本人の好み: 醤油ベースの魚料理には、やはり「酢飯」が合います。特に脂の多い魚を使う場合、酢飯の方がさっぱりと食べられます。
筆者の推奨:
「おうちハワイ」を楽しむなら、「白飯にふりかけ」スタイルをおすすめします。温かいご飯に、かつお風味や海苔のふりかけを薄くまぶし、その上にたっぷりのポキを乗せる。これが最も現地のロコ(地元民)が愛する食べ方に近いです。
パーティーの前菜として出す時の「映える」盛り付け
ホームパーティーの前菜として出す場合は、丼ではなく「おつまみスタイル」で。
- 器選び: 白い角皿や、木製のサラダボウルを使うとカフェ風になります。ガラスの器を使えば涼しげな印象に。
- 高さを出す: 平らに広げるのではなく、中央に高く積み上げるように盛り付けると立体感が出ます。
- 彩りのトッピング: 仕上げに糸唐辛子、白いりごま、刻んだ青ネギ、あれば食用花(エディブルフラワー)を添えると、一気に華やかになります。
- ワンタンの皮チップス: ワンタンの皮や餃子の皮を三角形に切って油で揚げたものを添え、ポキをディップして食べるスタイル(ポキ・ナチョス)もパーティーでは大人気です。
付け合わせに最適!ハワイアンなサイドメニュー案
ポキだけでは食卓が寂しい時、こんなサイドメニューはいかがでしょうか。
1. ガーリックシュリンプ
殻付きのエビをニンニクとバターで炒めるだけ。ポキと同じくハワイの定番料理で、ビールが進みます。
2. マカロニサラダ
ハワイのプレートランチには必ずと言っていいほど付いてくる、シンプルなマカロニサラダ。具材は人参と玉ねぎのみで、マヨネーズたっぷりの柔らかめに仕上げるのが現地流です。
3. ハワイアン・ビールやトロピカルドリンク
コナビールなどのハワイアンビールや、パイナップルジュースを用意すれば、雰囲気は完璧です。
盛り付けイメージのヒント
- ポキボウル: 木の器にご飯、ポキ、アボカド、海藻サラダ、枝豆、ガリを円グラフのように彩りよく配置する。
- アペタイザー: クラッカーや揚げたワンタンの皮の上に、一口分のポキを乗せて並べる。
ポキ作りでよくある質問(FAQ)
最後に、ポキ作りにおいて多くの人が抱く疑問に、プロの視点からお答えします。特に衛生面と保存については正しく理解しておきましょう。
Q. 作ってからどれくらい日持ちしますか?(翌日も食べられる?)
A. 基本的には「当日中」に食べ切ってください。
ポキは「漬け」と違い、塩分濃度が低く、保存を目的とした調理法ではありません。特に玉ねぎや海藻などの生野菜を混ぜているため、時間が経つと野菜から水分が出て味が薄まり、雑菌も繁殖しやすくなります。
どうしても余ってしまった場合は、冷蔵庫で保管し、翌朝には必ず食べ切るようにしましょう。その際、フライパンでサッと焼いて「ポキ・ソテー」にして火を通すと、また違った美味しさが楽しめ、衛生面でも安心です。
アイランド・キュイジーヌ研究家のアドバイス
「生の魚介類を扱う以上、鮮度管理は最優先です。常温に長時間放置するのは絶対に避けましょう。もし翌日に持ち越す可能性があるなら、最初から『食べる分だけ和える』スタイルにするのが賢明です。タレと魚を別々に保存しておけば、翌日もフレッシュな状態で楽しめますよ。」
Q. 冷凍マグロや解凍マグロでも美味しく作れますか?
A. もちろんです!むしろポキに最適です。
スーパーで売られている解凍マグロは、余分な水分が出やすい傾向がありますが、ポキならごま油でコーティングし、薬味と和えてしまうので、多少の水っぽさやドリップの臭みは気にならなくなります。
解凍マグロを使う際のコツは、切る前にキッチンペーパーで表面のドリップ(赤い汁)をしっかり拭き取ること。これだけで生臭さが消え、タレの絡みが良くなります。安価なビンチョウマグロでも、アボカドやマヨネーズと合わせれば、高級な味わいに化けます。
Q. 味が薄い・水っぽくなってしまった時の修正方法は?
A. 「追いごま油」と「塩」で調整してください。
野菜の水分が出て味がぼやけてしまった場合、醤油を足すと水っぽさが加速してしまいます。代わりに、塩をひとつまみ振って味を引き締め、ごま油を少し足して乳化させ直すと、コクと輪郭が戻ります。
また、韓国海苔をちぎって混ぜるのも裏技です。海苔が余分な水分を吸ってくれ、旨味と塩気もプラスされるので、リカバリーには最適です。
まとめ:3つのコツを押さえて、自宅でハワイの風を感じよう
ここまで、本場の理論に基づいたポキの作り方を解説してきました。日本の「漬け」とは違う、ハワイの風を感じるポキを作るためのポイントは、以下の3点に集約されます。
- [ ] マグロは1.5cm角に切り、玉ねぎは水にさらしてしっかり絞る
- [ ] タレ(醤油+ごま油)は事前によく混ぜて「乳化」させる
- [ ] 食べる直前に和え、ナッツで「食感」をプラスする
この3つさえ守れば、スーパーのパック刺身が、まるでホノルルの人気店で食べるような極上の一皿に変わります。難しい技術は必要ありません。「混ぜる」という工程に、少しの科学と愛情を加えるだけです。
今週末は、お気に入りの音楽をかけて、冷えたビールやトロピカルジュースを用意し、手作りのポキボウルで「おうちハワイ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。一口食べれば、きっと心は太平洋の真ん中へと旅立つはずです。
ぜひ今日から、あなたの料理のレパートリーに、この「本場のポキ」を加えてみてください。
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